ECサイトは「作る費用」よりも、公開後に毎月かかり続ける運用費の見通しが立てにくいものです。カートの利用料や決済手数料、サーバー代、保守や人件費まで含めると、結局いくらあれば回せるのかが読めず、予算を組みあぐねている担当者は少なくありません。
運用費は、出店するモールや、ASP(月額制で使えるネットショップ作成サービス)・オープンソース・パッケージ・クラウド・受託構築といった構築方式、事業規模、そして運用代行に出すかどうかで大きく変わります。費目ごとの相場と、自社の規模・方式での目安を押さえておくと、無理のない予算が立てられます。
本記事では、EC運用にかかる月額ランニングコストを費目別・規模別・構築方式別に整理し、自前運用と運用代行の費用差や売上に対する適正なコスト割合まで横断的に解説します。予算の当たりをつけ、自社に合うサービスの比較・資料請求へ進む材料としてご活用ください。
目次
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EC運用にかかる月額ランニングコストの費目別相場
はじめに、ECサイトを運用し続けるために毎月発生する費用を費目ごとに見ていきます。「回し続けるのに月いくらか」をつかむには、固定でかかる費用と、売上に連動して増える費用を分けて捉えるのが近道です。
ランニングコスト(運用費用)とは|初期費用との違い
初期費用は、ECサイトを立ち上げるときに一度だけかかる費用です。これに対してランニングコスト(運用費用)は、公開後にサイトを維持・運営するあいだ毎月かかり続ける費用を指します。カートの利用料やサーバー代のように金額が決まっている固定費と、決済手数料や物流費のように売上が伸びるほど増える変動費に分かれます。
運用費用の見積もりでは、この変動費の存在を見落とさないことが大切です。固定の月額が安くても、決済手数料率が高ければ売上が伸びたときの総額は膨らみます。費目ごとに「固定か変動か」を意識して積み上げると、自社の運用費の全体像が見えてきます。
この固定費と売上連動費(変動費)の関係を整理すると、運用費の全体像は次のようにつかめます。

費目別の月額相場早見表
EC運用で毎月発生する主な費目と、その月額の目安をまとめました。カート・システム利用料と決済手数料は各社の公式料金から確認した実額(2026年10月21日時点)を、提供元によって幅のある費目は一般的な目安として示しています。
| 費目 | 月額の目安 | 固定/変動 | 補足 |
|---|---|---|---|
| カート・システム利用料 | 0円〜25万円以上 | 固定 | 無料ASPは0円(例:BASEスタンダード0円)、有料ASPは月3,000〜5万円程度(例:Shopify Basic 3,650円/カラーミー レギュラー4,950円)、中〜大規模クラウドは月25万円〜(例:EBISUMART) |
| 決済手数料 | 売上の約3〜6% | 変動 | 自社ECは売上の3〜6%程度(例:BASE 3.6%+40円+サービス手数料3%で実質約6.6%/Shopify Basic 3.55%)。モール出店は売上の10〜15%程度に達することもある |
| ドメイン代 | 月数十〜500円程度(年500〜6,000円) | 固定 | 提供元・ドメイン種別で異なる。ASPでは利用料に含まれる場合がある |
| サーバー費用 | 月500円〜数万円程度 | 固定 | オープンソース・自社構築で必要。ASP・クラウドはシステム利用料に含まれることが多い |
| SSL証明書 | 無料〜年数万円程度 | 固定 | ASPは標準付帯が一般的。独自に取得する場合に発生 |
| 梱包・物流費 | 1件あたり数百〜2,500円程度 | 変動 | 商材・配送方法・外部倉庫の利用有無で変わる(目安) |
| 人件費・外注費 | 月数万〜数十万円 | 固定〜変動 | 運用体制や外注範囲で大きく変動(目安) |
| 保守・管理費 | 月数千〜数十万円 | 固定 | ASP・オープンソースは月数千〜数万円、パッケージ・大規模は月数万〜数十万円(目安) |
| 広告・集客費 | 月数万〜数百万円 | 変動 | 売上目標・施策(リスティング/SNS広告等)で変動(目安) |
各サービスの料金は公式料金ページにて2026年10月21日時点で確認した値です。料金は改定される場合があるため、最新の情報は各社公式サイトでご確認ください。
出典・参考資料(3件)
- 出典:料金プラン|BASE株式会社(https://thebase.com/pricing)
- 出典:料金プラン|Shopify(https://www.shopify.com/jp/pricing)
- 出典:プラン・料金一覧|カラーミーショップ byGMOペパボ(https://shop-pro.jp/plans/)
売上連動で効く費目(決済手数料・物流費)の料率感
月額の固定費だけを見て予算を組むと、売上が伸びたときに想定外の支出に驚くことがあります。EC特有の注意点は、決済手数料と物流費が売上に連動して増える点です。とくに決済手数料は、売上規模が大きくなるほど総額への影響が無視できなくなります。
自社ECの決済手数料は、サービスによって売上の3〜6%程度が中心です。たとえばBASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%+40円にサービス手数料3%、Shopifyのベーシックプランは標準カード決済で3.55%です(いずれも2026年10月21日時点の公式料金)。
ASPのなかには、上位プランほど決済手数料率が下がる設計のサービスもあります。売上が増えるほど上位プランへの切り替えで手数料を圧縮できる仕組みで、各社の具体的な料率は後半の比較表で確認できます。
一方、楽天市場やAmazonなどのモールに出店する場合は、システム利用料や販売手数料として売上の10〜15%程度がかかることもあります。自社ECよりも集客力を借りられる反面、売上連動の負担は重くなりがちです。物流費も1件あたり数百〜2,500円程度と、出荷件数に比例して積み上がります。固定費だけでなく、この変動費を売上計画に織り込んでおくことが欠かせません。
出典・参考資料(3件)
- 出典:料金プラン(スタンダードプラン決済手数料)|BASE株式会社(https://thebase.com/pricing)
- 出典:料金プラン(Basic決済手数料)|Shopify(https://www.shopify.com/jp/pricing)
- 出典:プラン・料金一覧(決済手数料)|カラーミーショップ byGMOペパボ(https://shop-pro.jp/plans/)
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月商規模別に見るEC運用の月額相場の目安
費目がわかったら、次は自社の規模だと月額がどのくらいになるのかを押さえましょう。EC運用費は、カート利用料やサーバー代のように規模が変わっても大きくは動かない固定費と、決済手数料や広告費のように売上に比例して増える変動費に分かれます。総額を押し上げるのは主に後者で、ここが「固定費は安いはずなのに思ったより高い」と感じる原因になります。
ここでは月商を目安に、費目を積み上げて月額の目安を示します。システム・基盤まわりの固定費は月0〜30万円程度に収まる一方、決済手数料は売上の3〜6%、広告費は力を入れる場合で売上の15〜30%が目安のため、売上が増えるほど総額は大きくなります。
| 費目 | 月商100万円(小規模) | 月商500万円(中規模) | 月商3,000万円(中〜大規模) |
|---|---|---|---|
| システム利用料・サーバー・保守(固定費) | 月0〜1万円 | 月1万〜7万円 | 月5万〜30万円 |
| 決済手数料(売上の3〜6%) | 月3万〜6万円 | 月15万〜30万円 | 月90万〜180万円 |
| 固定費+決済手数料の小計 | 月約3万〜7万円 | 月約16万〜37万円 | 月約95万〜210万円 |
| (売上目標に応じて別途)広告・集客費/人件費・外注費 | 広告は任意・運用は自社内で対応可 | 広告・外注で月数万〜数十万円 | 広告・人件費・物流で月数十万〜数百万円 |
固定費・決済手数料は本記事の費目別相場と構築方式別早見表から積み上げた目安です。広告費・人件費は売上目標・運用体制により大きく変動するため小計に含めていません。
システム・基盤の固定費は規模が変わっても大きくは増えませんが、決済手数料が売上に比例して積み上がるため、月商が一桁上がると「必ずかかる費用(固定費+決済手数料)」の小計も大きく変わります。広告や外注にどこまで投資するかは売上目標次第なので、固定費と売上連動費を分けて売上計画に織り込むのが、過不足のない予算づくりのコツです。
システムの月額が規模とともに段階的に上がる例として、中〜大規模向けクラウドECの「EBISUMART」が公開している料金イメージが参考になります(決済手数料・広告費を除く、システム費用の目安です)。
公式サイトの料金イメージでは、月商1,000万円で導入費用500万円・月額30万円、月商5,000万円で導入費用3,000万円・月額80万円が目安として示されています(2026年10月21日時点)。
出典・参考資料(1件)
- 出典:料金|EBISUMART(株式会社インターファクトリー)(https://ebisumart.com/price.html)
構築方式別の初期・月額・売上連動手数料 早見表
運用の月額は、どの構築方式でECサイトを作るかによって大きく変わります。ここでは、モール・無料ASP・有料ASP・オープンソース・クラウドEC・パッケージ・受託構築それぞれの初期費用と月額、売上連動手数料の目安を、代表サービスの公式料金とともに整理します。
各方式の初期費用・月額・売上連動手数料
| 構築方式 | 初期費用の目安 | 月額(ランニング)の目安 | 売上連動手数料 | 代表サービスと公式料金例 |
|---|---|---|---|---|
| モール型(出店) | 0〜数万円 | 0〜数万円 | 売上の10〜15%程度 | 楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング(自社EC構築ではなく出店型) |
| 無料ASP | 0円 | 0円〜 | 決済手数料3.6%+40円+サービス料3% | BASE:スタンダード 月額0円・初期0円 |
| 有料ASP | 0〜3,300円程度 | 月3,000〜5万円程度 | 決済手数料3〜4%程度 | Shopify:Basic 月¥3,650(年払)/カラーミー:レギュラー 月4,950円・初期3,300円 |
| オープンソース | 制作費のみ(数十万円〜) | サーバー・保守 月数千〜数万円 | 導入する決済代行による | EC-CUBE:ソフトウェア無料(オープンソース版・別途サーバー費) |
| クラウドEC | 15万〜300万円程度 | 月5万〜25万円以上 | サービス・決済による | ecforce:初期148,000円・月49,800円〜/EBISUMART:初期300万円〜・月25万円〜 |
| パッケージ | 300万円〜(要問い合わせ) | 月10万円〜(要問い合わせ) | 要問い合わせ | ecbeing:BtoB向けecWorks 初期300万円〜・月10万円〜(BtoC向けは要問い合わせ) |
| フルスクラッチ/受託構築 | 数百万〜数千万円(要見積もり) | 月数十万円〜(保守) | 要見積もり | マルウェブ:Magento/Adobe Commerce 受託構築(個別見積もり) |
代表サービスの料金は各社公式料金ページで2026年10月21日時点に確認した値です。初期費用・月額は契約プラン・カスタマイズ内容により異なります。
出典・参考資料(7件)
- 出典:料金プラン|BASE株式会社(https://thebase.com/pricing)
- 出典:料金プラン|Shopify(https://www.shopify.com/jp/pricing)
- 出典:プラン・料金一覧|カラーミーショップ byGMOペパボ(https://shop-pro.jp/plans/)
- 出典:ec-cube.co 料金資料|株式会社イーシーキューブ(https://www.ec-cube.co/pdf/service.pdf)
- 出典:料金|ecforce(株式会社SUPER STUDIO)(https://ec-force.com/product_plan)
- 出典:料金|EBISUMART(株式会社インターファクトリー)(https://ebisumart.com/price.html)
- 出典:料金|株式会社ecbeing(https://www.ecbeing.net/price/)
費用感をつかんだら、次は自社に合う構築方式の見極めです。以下の記事では、モール・ASP・オープンソース・パッケージ・クラウドという5つの構築方式それぞれの特徴・費用相場・選び方を、代表的なおすすめサービスとあわせて詳しく比較しています。構築方式から絞り込んで検討したい場合にご活用ください。
無料・低コストサービスで見落としがちな費用
月額0円や低額で始められるサービスは魅力的ですが、「固定費が安い=総額が安い」とは限りません。固定費を抑えたサービスほど、売上連動の決済手数料やサービス手数料で収益を得る設計になっていることが多いためです。
たとえばBASEのスタンダードプランは月額0円ですが、決済手数料3.6%+40円に加えてサービス手数料3%がかかります。売上が月100万円を超えてくると、月額固定のプラン(BASEのグロースプランは年払いで月16,580円、サービス手数料0円)に切り替えたほうが手数料総額を抑えられる場合があります。無料・低コストサービスを選ぶ際は、想定する売上での手数料総額まで試算して比較することが大切です。
このほか、独自ドメインの取得・更新費、デザインテンプレートの有料オプション、アプリ・拡張機能の月額利用料なども、低コストサービスで後から積み上がりやすい費用です。契約前に、標準機能でどこまで賄えるか、追加費用が必要になる機能は何かを確認しておきましょう。
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自前運用と運用代行はどちらが得か|運用代行の料金体系と業務別相場
運用費を考えるうえで避けて通れないのが、どこまでを自社で行い、どこからを外部に委託するかの判断です。ここでは、自前運用と運用代行の費用の違い、運用代行を使う場合の料金体系と業務別の相場を整理します。
自前運用と運用代行の費用の違い
自前運用の場合、システム利用料や決済手数料に加えて、商品登録・受注処理・顧客対応・集客といった運用業務を担う人件費が費用の中心になります。社内に運用ノウハウが蓄積される一方、担当者の採用・育成に時間とコストがかかります。
運用代行は、こうした業務の一部または全部を外部の専門会社に委託する方法です。人材採用の負担を抑え、専門的な集客・運用ノウハウを早く取り込める反面、委託範囲に応じた代行費用が上乗せされます。どこまで外注するか(撮影だけ、集客だけ、運営全般まで)で費用は大きく変わるため、自社の人件費と比較して判断します。
判断の目安として、受注や問い合わせが自社の人手で回っているうちは自前運用が割安です(EC運用の専任担当を置く場合、人件費は月20万〜40万円程度が一つの目安)。売上や受注件数が増えて集客・顧客対応・物流が追いつかなくなってきたら、不足している業務から部分的に外注するのが、固定費を抑えつつ成長を支える現実的な進め方です。
運用代行の料金体系(月額固定/成果報酬/複合)
運用代行の料金は、大きく月額固定型・成果報酬型・複合型の3つに分かれます。公式サイトで料金を明示する運用代行会社は少なく、下記は公開情報から整理した一般的な相場感です。実際の金額は委託範囲・売上規模・商材によって大きく変動するため、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。
| 料金体系 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 月数万〜30万円程度 | 委託する業務量に応じた固定額。売上が伸びてもコストが一定で読みやすい |
| 成果報酬型 | 売上の5〜25%程度 | 売上に連動して費用が決まる。初期の固定負担を抑えやすい一方、売上拡大時は割高になりやすい |
| 複合型(固定+成果報酬) | 固定20万円程度+売上の5〜10% | 固定で基本業務を、成果報酬で成長分を分担する折衷型 |
運用代行の料金は公開されにくく、上表は公開情報をもとにした相場感です。実際の費用は委託範囲・売上規模により変動します。
代行業務別の費用相場
運用代行は「まるごと委託」だけでなく、業務を切り分けて一部だけ依頼することもできます。業務別の費用の目安は次のとおりです。こちらも公開情報からの相場感であり、依頼先・作業量で変動します。
| 代行業務 | 費用の目安 |
|---|---|
| コンサルティング・戦略設計 | 月10〜30万円 |
| サイト制作・リニューアル | 50〜150万円/案件 |
| マーケティング・集客 | 月5〜20万円+広告費 |
| 商品撮影・登録(ささげ業務) | 1商品5,000〜10,000円 |
| 物流・発送代行 | 月1〜3万円〜(+出荷件数に応じた費用) |
| 顧客対応・カスタマーサポート | 月5〜15万円 |
| 運営・管理全般 | 月10〜40万円 |
上表は公開情報をもとにした相場感です。実際の費用は依頼先・作業量・商材により変動します。
運用代行への委託を具体的に検討するなら、依頼先のタイプごとの違いと選び方を押さえておくと、費用と成果のミスマッチを避けやすくなります。以下の記事では、一括委託・特定業務のみ・システム型という委託タイプ別の費用相場と、失敗しない選定軸を解説しています。
運用費用を抑える現実的な方法
運用費用は、費目の見直しと制度の活用で抑えられる余地があります。ここでは、すぐに取り組める見直しのポイントと、導入・運用に使える補助金を紹介します。
決済手数料・プラン・外注範囲の見直し
売上が伸びてきたら、まず決済手数料とプランを見直しましょう。上位プランで決済手数料率が下がるサービスや、固定月額のプランに切り替えるとサービス手数料が不要になるサービスでは、売上規模に合わせたプラン変更で手数料総額を圧縮できます。
外注範囲の見直しも効果があります。運用代行にまるごと委託していた業務のうち、社内で回せるようになったものは内製に戻すことで、代行費用を減らせます。逆に、採用・育成のコストがかさむ業務は、必要な部分だけ外注する切り分けが有効です。固定費と変動費のバランスを、売上の推移に合わせて定期的に点検するのがコスト最適化の基本です。
使える補助金(デジタル化・AI導入補助金2026など)
ECサイトの構築やシステム導入には、国の補助金を活用できる場合があります。従来「IT導入補助金」として知られていた制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。通常枠の補助率・補助額・対象経費は公募要領で次のように定められています。
補助率:1/2以内(一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内)
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)|中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026年2月27日作成)
補助額:5万円〜150万円未満(1プロセス以上)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上)
補助対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費
この制度は、事務局に登録されたITツールを登録支援事業者経由で導入することが前提で、クラウド型のECカート・システムの利用料(最大2年分)も対象になり得ます。ただし補助の主眼はあくまで「導入」であり、運用の恒常的な費用を無条件に賄う制度ではない点に注意が必要です。申請には締切回ごとの公募期間があるため、最新の日程は公式ポータルで確認してください。
このほか、小規模事業者向けには「小規模事業者持続化補助金」もあります。第20回公募では補助上限50万円・補助率3分の2(赤字かつ賃金引上げに取り組む事業者は4分の3)で、販路開拓の一環としてECサイト関連費用に使える場合があります。いずれの補助金も、対象経費や要件は公募ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領で確認することが欠かせません。
出典・参考資料(2件)
- 出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)|中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(https://it-shien.smrj.go.jp/)
- 出典:「持続化補助金〈一般型・通常枠〉」第20回公募|J-Net21(独立行政法人中小企業基盤整備機構)(https://j-net21.smrj.go.jp/news/nskto6000001zxd4.html)
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売上に対する適正なコスト割合の考え方
運用費用は「毎月いくらか」という絶対額だけでなく、「売上の何%か」という割合で捉えると、妥当性を判断しやすくなります。ここでは、EC運用でよく使われるコスト割合の考え方を紹介します。あくまで一つの目安であり、商材の原価率や事業フェーズによって適正値は変わる点に留意してください。
費目ごとの目安としては、決済手数料が売上の3〜6%程度、カート・システム利用料が1〜3%程度、物流費が商品価格の5〜15%程度、広告費が売上の15〜30%程度といった水準がしばしば挙げられます。これらを合算し、原価と合わせて売上の80〜90%以内に収まっていれば、利益を残せる構造とされます。
ただしこれらの割合は業界で経験的に共有されている目安で、確立した唯一の基準があるわけではありません。自社の実績値と照らし合わせて調整してください。
コスト配分のモデルとして、原価・広告販促・その他経費と利益をそれぞれ3割・3割・4割に配分する考え方(いわゆる「3:3:4」)が紹介されることもあります。ただしこれは一つのフレームであり、すべての事業に当てはまる正解ではありません。自社の商材・利益率に合わせて配分を調整することが前提です。
また、新規獲得の広告費は、一度きりの売上ではなく顧客生涯価値(LTV)で回収できるかという視点で評価すると、過不足のない投資判断ができます。
【比較表】運用月額・保守費用で選ぶECサイト構築サービス
ここまでの費用相場を踏まえ、構築方式ごとの代表的なECサイト構築サービスを、初期費用・月額・決済手数料・無料で始められるかの軸で横並びに比較します。自社の予算帯と運用規模に照らして、候補を絞り込む材料としてご活用ください。
| サービス名 | BASE | Shopify | カラーミーショップ | EC-CUBE | ecforce | EBISUMART | ecbeing | Magento/Adobe Commerce(マルウェブ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 構築方式 | ASP型 | ASP型(SaaS) | ASP型 | オープンソース型 | クラウド型 | クラウド型 | パッケージ型 | オープンソース型 (受託構築) |
| 初期費用 | 0円 | なし(セットアップ費用なし) | 0円(フリー)/3,300円(レギュラー) | 0円(オープンソース版)/70,000円(クラウド版) | 148,000円(スタンダード) | 300万円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額(代表プラン) | 0円(スタンダード) | 3,650円〜(ベーシック年払い) | 4,950円〜(レギュラー) | サーバー費等(オープンソース版)/49,800円〜(クラウド版) | 49,800円〜(スタンダード) | 25万円程度〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 決済手数料 | 3.6%+40円 +サービス手数料3% | 3.55%〜(標準カード) | 3.4%〜(レギュラー) | 決済代行会社による | 決済代行会社による | 決済代行会社による | 決済代行会社による | 決済代行会社による |
| 無料で始められるか | ●無料プランあり | △3日間無料体験 | ●無料プランあり | △オープンソース版は無料(サーバー費別) | × | × | × | × |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る |
おすすめのECサイト構築サービス
比較表で取り上げた構築サービスを、構築方式のコスト帯が低い順に紹介します。固定費を抑えて始めたいのか、規模拡大に耐える拡張性を重視するのかによって、適した方式とサービスは変わります。各サービスの料金は資料で最新の情報を確認できます。
1. BASE(BASE株式会社)

固定費0円でネットショップを始めたい事業者に向くのが、BASE株式会社が運営する無料ASP「BASE」です。スタンダードプランは初期費用・月額ともに0円で、売れたときに決済手数料3.6%+40円とサービス手数料3%がかかる仕組みのため、売上が立つまでの固定費リスクを抑えられます。
売上が月100万円規模に育ってきたら、月額固定でサービス手数料が不要になるグロースプラン(年払いで月16,580円)への切り替えで手数料総額を抑えられます。個人の副業ショップからスモールスタートの法人まで、まず費用をかけずにECを立ち上げたい段階に適した選択肢です。
2. Shopify(Shopify Japan株式会社)

世界中で利用されるSaaS型のECプラットフォーム(有料ASP)がShopifyです。ベーシックプランは年払いで月額3,650円、標準カード決済手数料は3.55%(2026年10月21日時点)と、有料ASPのなかでも始めやすい価格帯です。多言語・多通貨に標準対応し、越境ECや海外展開を見据えた運用に強みがあります。
豊富なアプリ(拡張機能)で機能を追加していける拡張性も特徴で、売上や業務の拡大に合わせてプランや機能を段階的に引き上げられます。月額は手頃に始めつつ、将来の規模拡大や海外販売の余地も残しておきたい事業者に向いています。
3. カラーミーショップ byGMOペパボ(GMOペパボ株式会社)

GMOペパボ株式会社が運営する国産ASP「カラーミーショップ」は、個人の副業から法人まで幅広く使われるネットショップ作成サービスです。初期・月額0円のフリープランから、レギュラー(月4,950円)・ラージ・プレミアムまで4段階のプラン構成が特徴です。
注目したいのは、上位プランほど決済手数料率が下がる設計です。レギュラーの3.4%〜からプレミアムの2.99%〜まで段階的に逓減するため、売上が伸びるほど上位プランへの切り替えで手数料を抑えられます。国内向けに本格的な自社ECを運用しつつ、売上成長に応じて手数料を最適化したい国内ECの運用にフィットします。
4. EC-CUBE(株式会社イーシーキューブ)

自社の要件に合わせて自由にカスタマイズしたい場合の代表的な選択肢が、オープンソースのEC構築システム「EC-CUBE」です。オープンソース版はソフトウェア自体が無料で、月々の運用費はサーバー費用や保守費が中心になります。デザイン・機能を細かく作り込める反面、構築・保守には制作会社への委託費や技術リソースが必要です。
月額固定で運用を安定させたい場合は、同社のクラウド版(ec-cube.co)も選べます。スタンダードプランは初期70,000円・月額49,800円〜(販売額に応じた従量加算あり)です。カスタマイズの自由度と、自社に合った運用形態(自社保守かクラウドか)を両立したい場合の有力な候補になります。
5. ecforce(株式会社SUPER STUDIO)

D2C(メーカーが自社で消費者に直接販売する形態)・単品リピート通販に強みを持つクラウドECが、株式会社SUPER STUDIOの「ecforce」です。スタンダードプランは初期148,000円・月額49,800円(月間受注2,000件まで)に、1受注あたり30円の従量課金が加わる料金体系で、定期購入やLP(ランディングページ)を活用した通販運用に必要な機能を標準で備えます。
受注件数が増えても無制限で使えるエキスパートプラン(初期248,000円・月額99,800円)もあり、売上拡大に合わせて移行できます。サブスクリプションや定期通販モデルで、運用効率とCVR(購入率)改善を重視する通販事業者と相性のよいサービスです。
6. EBISUMART(株式会社インターファクトリー)

中〜大規模のECをカスタマイズ性を保ちながら運用したい場合に向くのが、株式会社インターファクトリーのクラウドEC「EBISUMART」です。カスタマイズ対応が可能なクラウド型ECとして豊富な導入実績を持ち、初期構築費用300万円〜・月額25万円程度からと、規模に応じて費用が段階的に上がる体系です。
クラウド型のため、システムのアップデートや保守はサービス側が担い、カスタマイズと運用負荷軽減を両立できます。月商1,000万円規模以上で、独自の業務要件や外部システム連携を伴う本格的なEC運用を見据える企業に向きます。
7. ecbeing(株式会社ecbeing)

大規模・高カスタマイズのEC構築を得意とするパッケージ系の代表が、株式会社ecbeingです。1999年からEC構築を手がける実績を持ち、BtoC向けの初期費用・月額費用は、カスタマイズの範囲や連携システム数によって大きく変わるため要問い合わせとなっています。
BtoB向けには、スタートアッププラン「ecWorks」(初期300万円〜・月額10万円〜)も用意されています。独自の業務フローや基幹システム連携を伴う大規模EC、あるいはBtoB取引を本格的に構築したい企業に向いた選択肢です。見積もりを取り、自社要件での費用を確認したうえで検討するとよいでしょう。
8. Magento/Adobe Commerce 構築・リニューアル支援(株式会社マルウェブ)

グローバル標準のECプラットフォーム「Magento/Adobe Commerce」での構築・リニューアルを受託で任せたい場合の選択肢が、株式会社マルウェブです。Adobe Commerce認定パートナーとして、構築内容・連携範囲・デザイン調整・移行作業の有無に応じた個別見積もりで対応します。
Magento Open Source版はソフトウェアが無償、Adobe Commerce版は別途ライセンス費用がかかります。大規模・多機能なECを、自社の業務要件に合わせて一から作り込みたい、あるいは既存のMagento/Adobe Commerce環境をリニューアルしたい企業に適しています。費用は要件によって変わるため、まず資料で対応範囲を確認するとよいでしょう。
受託構築は費用が一律に決まらず、要件によって見積もりが変わります。同社の前山和範氏は、カタログの独自インタビューで、見積もりの際に確認している項目を次のように述べています。
料金は構築内容や連携範囲によって変わるため、まずは現在のECサイトや業務上の課題、実現したいことを確認します。
そのうえで、商品数や会員数、BtoB・BtoCの商流、必要な機能、データ移行の有無、決済・配送、基幹・在庫管理などの外部システム連携、多言語・多通貨対応、デザインの範囲などを整理していきます。要件が完全に固まっていない段階でも、優先順位を整理しながら概算をご案内することが可能です。
まとめ
ECサイトの運用費用は、システム・カート利用料などの固定費に、売上の3〜6%の決済手数料や広告・人件費といった売上連動費を積み上げて全体像がつかめます。固定費の目安は小規模で月0〜1万円程度、中規模で月1万〜7万円程度、中〜大規模で月5万〜30万円程度ですが、総額はこれに売上連動費(決済手数料・広告費など)が加わって決まります。
自前運用と運用代行のどちらが得かは、委託範囲と自社の人件費を比べて判断します。費用を抑えるには、売上規模に合わせたプラン・決済手数料・外注範囲の見直しに加え、デジタル化・AI導入補助金2026などの制度活用も選択肢になります。自社の予算の当たりがついたら、構築方式と予算帯に合うサービスの資料を取り寄せ、料金と機能を具体的に比較し、次の一歩を進めてください。
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ECサイト運用の費用に関するよくある質問(FAQ)
Q. ECサイトのランニングコスト(運用費用)とは何ですか?
A. ECサイトのランニングコスト(運用費用)とは、サイトを公開したあと、維持・運営するあいだ毎月かかり続ける費用のことです。立ち上げ時に一度だけかかる初期費用とは区別されます。カート・システム利用料やサーバー代のように金額が決まっている固定費と、決済手数料や物流費のように売上が伸びるほど増える変動費に分かれ、両方を積み上げて把握することが予算づくりの出発点になります。
Q. ECサイトの運用費用は月額いくらが相場ですか?
A. ECサイトの運用費用は事業規模で変わります。システム・カート利用料の目安は小規模で月0〜1万円程度、中規模で月1万〜7万円程度、中〜大規模で月5万〜30万円程度で、これに売上の3〜6%の決済手数料や広告費・人件費が別途加わります。自社の月商がどの帯に当たるかで、必要な月額の桁が変わると捉えておくとよいでしょう。
Q. 個人でもECサイトを始めて運用できますか?費用はどのくらいかかりますか?
A. 個人でも、初期費用・月額0円の無料ASPを使えばECサイトを始めて運用できます。 たとえばBASEのスタンダードプランは初期・月額ともに0円で、売れたときに決済手数料とサービス手数料がかかる仕組みのため、売上が立つまでの固定費リスクを抑えられます。副業や小規模からのスタートなら月数千〜3万円程度で運用でき、売上が育ってきた段階で有料プランや他の構築方式への切り替えを検討するのが現実的です。
Q. ECサイトの運用費用は売上の何%が目安ですか?
A. ECサイトの運用費用は費目ごとに、決済手数料が売上の3〜6%程度、カート・システム利用料が1〜3%程度、物流費が商品価格の5〜15%程度、広告費が売上の15〜30%程度が一つの目安とされます。これらを原価と合わせて売上の80〜90%以内に収まっていれば、利益を残せる構造とされます。
ただし適正値は商材の原価率や事業フェーズで変わるため、絶対額だけでなく売上に対する割合で妥当性を点検することが大切です。
Q. ECサイトの初期費用と運用費用はどちらを重視して選ぶべきですか?
A. 初期費用と運用費用の両方を合わせて判断すべきで、とくに毎月かかり続ける運用費用を軽視しないことが重要です。初期費用や月額固定費が安くても、決済手数料率が高ければ売上が伸びたときの総額は膨らみます。固定費だけでなく、売上に連動して増える変動費まで織り込み、数年単位の総額で構築方式やサービスを比較すると、見落としのない選択ができます。
Q. 運用の途中でECサイトを別のサービスに乗り換えると費用はどうなりますか?
A. 乗り換えにはデータ移行やサイト再構築の手間と一時的な費用がかかる一方、月額や決済手数料の低いサービスに移れれば中長期では運用費を抑えられます。 売上規模が変わって現在のプランが割高になってきた場合は、乗り換えの一時コストと、移行後に削減できる月々の費用を数年単位で比べて判断します。まずは同じサービス内の上位・下位プランへの変更で手数料を圧縮できないかを確認するのが現実的です。
Q. ECサイトの運用を運用代行に外注するといくらかかりますか?
A. ECサイトの運用代行の費用は料金体系によって異なり、月額固定型が月数万〜30万円程度、成果報酬型が売上の5〜25%程度、複合型が固定20万円程度+売上の5〜10%が相場です。業務を切り分けて一部だけ依頼することもでき、たとえば商品撮影・登録は1商品5,000〜10,000円、集客は月5〜20万円+広告費が目安です。
委託範囲や売上規模で大きく変わるため、自社の人件費と比較し、複数社から見積もりを取って判断しましょう。
Q. ECサイトの運用費用を抑えるにはどうすればよいですか?
A. ECサイトの運用費用は、売上規模に合わせた決済手数料・プランの見直しと、外注範囲の最適化で抑えられます。 上位プランで決済手数料率が下がるサービスや、固定月額に切り替えるとサービス手数料が不要になるサービスでは、プラン変更で手数料総額を圧縮できます。運用代行に任せていた業務のうち社内で回せるものは内製に戻し、採用・育成コストがかさむ業務だけ外注するといった切り分けも有効です。
Q. ECサイトの運用やシステム導入に補助金は使えますか?
A. ECサイトの構築やシステム導入には、「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧・IT導入補助金)などの補助金を活用できる場合があります。 通常枠は補助率1/2以内(賃金要件を満たせば2/3以内)、補助額5万〜450万円で、クラウド型ECカートの利用料(最大2年分)も対象になり得ます。このほか小規模事業者向けには持続化補助金もあります。
ただし補助の主眼は「導入」であり、運用の恒常的な費用を無条件に賄う制度ではない点に注意が必要です。対象経費や要件は公募ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領で確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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