会社を設立したばかりで、決算の実績がなくても法人カードを作れるのか不安を感じていませんか。経費の立て替えが役員や従業員に偏り、資金繰りや経費精算の負担が膨らみやすいスタートアップほど、支払いをカードに集約して経理をラクにしたいというニーズは強いものです。
一方で、法人カードは年会費や利用限度額、追加カードの発行枚数、ポイント還元、会計ソフトとの連携まで条件がさまざまで、設立直後の自社に合う1枚をどう選べばよいか迷いやすい領域でもあります。成長フェーズや経費の使い方に合わせて、どのような観点で比較すればよいのでしょうか。
本記事では、スタートアップ向けの法人カード12枚を比較・解説します。設立直後でも作れるかどうかの審査を起点に、役員・従業員分を含む複数枚発行と権限管理、会計ソフト連携による経理の自動化、外貨決済のコストといった、成長期の企業ならではの選定観点を整理しました。自社の状況に合う1枚を見つけるための判断材料としてご活用ください。
また、自社に合う1枚を最短で見つけられる「30秒の選定診断」も用意しています。
目次
本記事の対象範囲
本記事は、設立直後から成長期にあるスタートアップ・ベンチャーが、はじめて、または追加で持つ1枚を選ぶことを想定して、12枚の法人カードを比較します。決算の実績が乏しい段階でも申し込みやすいか、役員や従業員の増加に合わせてカードを増やし管理できるか、少人数のバックオフィスでも経理を回しやすいかを軸に取り上げます。
企業規模や業種を問わず法人カード全般を広く比較したい場合は、別の記事で年会費・還元率・会計連携などの観点から詳しく解説しています。ここでは、設立間もない企業が直面しやすい論点に絞って掘り下げます。
ビジネスカードとコーポレートカードの違い
法人向けのカードは、審査の対象によって大きく2種類に分けられます。スタートアップがまず押さえておきたいのは、この区分によって設立直後の作りやすさが変わる点です。
一般にビジネスカードと呼ばれるタイプは、代表者個人の信用情報を中心に審査するため、決算実績が乏しい設立直後でも申し込みやすく、中小企業や個人事業主、創業期の法人に広く向きます。一方のコーポレートカードは、法人の財務内容や決済実績を審査の中心に据え、従業員数が多く決済規模の大きい企業向けとされます。設立間もない段階では、代表者個人の与信で発行できるビジネスカードから検討するのが現実的です。
スタートアップが法人カードを持つメリット
ここからは、設立間もない企業が法人カードを導入することで得られる主なメリットを整理します。
第一に、事業の支払いと代表者個人の支払いを明確に分けられます。創業期は代表者が私費で立て替えてしまいがちですが、事業用のカードに決済を集約すれば、経費と私費が自然に切り分けられ、帳簿付けや確定申告・決算の手間が減ります。
第二に、立て替えと精算の負担を軽くできます。役員や従業員が自腹で支払って後から精算する運用は、人数が増えるほど申請・承認・振込の作業が膨らみます。追加カードを配れば、各自が事業用カードで直接支払えるようになり、精算業務そのものを減らせます。
第三に、キャッシュフローの改善が見込めます。カード払いは利用から口座引き落としまでに猶予があるため、支出のタイミングを後ろ倒しにでき、資金繰りに余裕を持たせられます。利用明細で「いつ・何に・いくら使ったか」が見える化され、資金の使途を把握しやすくなる点も、資金管理がシビアなスタートアップには利点です。
加えて、固定費や仕入れをカードに集約すればポイントやマイルが貯まり、実質的なコスト削減につながります。カードの利用実績を重ねることは、将来より上位のカードや他の与信を得るうえでの土台にもなります。
設立直後でも法人カードは作れる?審査と落ちないための対策
スタートアップが最も不安に感じやすいのが、設立直後の審査です。結論として、決算実績がなくても作れる法人カードは複数あります。ここでは、なぜ作れるのか、審査で何が見られるのか、落ちないためにできることを整理します。
前述のとおり、ビジネスカードと呼ばれるタイプの多くは代表者個人の信用情報を中心に審査するため、会社の決算書がなくても申し込めます。カードによっては、申し込み時に登記事項証明書や決算書の提出が不要であることを明示しているものもあります。そのため、「法人の実績がないから作れない」とは限らず、代表者個人の信用が整っていれば発行される可能性は十分にあります。
もう一つの選択肢が前払い式のカードです。資金をチャージして使うプリペイド型や、口座残高の範囲で即時に引き落とすデビット型は、カード会社が代金を立て替える後払いではないため、与信審査自体を必要としない設計のものがあります。
後払いのクレジットカードに与信調査義務を課す割賦販売法の枠組みも、前払い・即時払いの手段は対象外です。与信に不安がある設立直後は、前払い式を併用してカード運用を始める方法も検討に値します。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:割賦販売法 第三十条の二(包括支払可能見込額の調査)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000159)

審査で主に見られるのは、代表者個人の信用情報と属性です。過去のローンやクレジットの返済状況、他社借入やキャッシング枠の大きさ、申込内容の正確さなどが確認されます。会社の固定電話やオフィスの実在、事業内容の明確さも、事業の実態を示す材料として見られます。
落ちないための対策としては、申し込み前に代表者個人の信用情報を整えておくこと(延滞の解消、不要なキャッシング枠の縮小)、申込書の記載を正確に揃えること、そして一度に複数のカードへ短期間に申し込まないことが挙げられます。それでも審査に不安が残る場合は、前払い式やデビット型から始めて利用実績を積み、後からクレジット型に広げる進め方が現実的です。
スタートアップ向け法人カードの選び方
ここからは、設立間もない企業が自社に合う法人カードを見極めるための観点を解説します。成長フェーズと経費の使い方に直結する軸を中心に取り上げます。
複数枚を発行して権限・利用上限を管理できるか
スタートアップは人の増え方が速く、役員や従業員に事業用カードを持たせる場面がすぐに訪れます。追加カードを何枚まで無料で発行できるか、カードごとに利用上限や使える店舗・用途を設定できるか、誰がいつ何に使ったかを管理画面でまとめて把握できるかは、人が増えたときの管理負担を大きく左右します。
少人数のうちは追加カードが数枚発行できれば十分ですが、採用を急拡大する計画があるなら、発行枚数の上限が緩く、カード単位の利用上限設定や証憑(領収書)の回収まで一元管理できるカードが向きます。管理を仕組み化できるかどうかで選択肢が分かれます。
年会費と利用限度額
年会費は、永年無料のものから、一定額の利用で翌年以降無料になるもの、ステータスや付帯サービスと引き換えに有料のものまで幅があります。固定費を抑えたい創業期はまず無料・低年会費のカードが候補になりますが、出張や接待が多く付帯サービスの価値が年会費を上回るなら有料カードも合理的です。
利用限度額は、設立直後は低めに設定されがちで、売上や決済の実績に応じて見直されていくのが一般的です。広告費やSaaS利用料など月々の決済額が大きくなりそうなら、限度額の目安や増額のしやすさも確認しておくとよいでしょう。前払い式のカードはチャージ残高が実質的な上限になるため、与信枠とは別の考え方で使えます。
ポイント・マイル還元
広告費・クラウド利用料・出張費など、スタートアップの支出は特定の費目に集中しがちです。還元率そのものに加えて、貯めたポイントを何に使えるか、出張が多いならマイルへ移行できるか、特定のSaaSや広告出稿で還元が上乗せされるかを見ると、自社の支出と相性のよいカードが見えてきます。固定費をカードに集約するほど、わずかな還元率の差でも年間では無視できない金額になります。
会計ソフト連携で経理を自動化できるか
少人数でバックオフィスを回すスタートアップでは、カード明細が会計ソフトへ自動で取り込まれ、仕訳が半自動で起こせるかどうかが経理の工数を大きく左右します。利用のたびに明細がリアルタイムで反映され、証憑(領収書・適格請求書)の回収までカード側で管理できると、月次の締め作業が軽くなります。
この自動化を考えるうえで前提になるのが、電子帳簿保存法への対応です。国税庁は、事業に関連して受領したクレジットカードの利用明細データについて、次のように電子取引の取引情報に該当し、電子データのまま保存する必要があるとしています。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者が、その事業に関連するクレジットカードの利用明細データを受領した場合のように、個々の取引を集約した取引書類のデータを授受した場合には、クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当することから、その電磁的記録の保存が必要です。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)問4|国税庁
カード明細を会計ソフトへ自動連携する運用は、この電子データ保存の要件を満たすうえでも効率的です。ただし注意したいのは、インボイス制度(適格請求書等保存方式)のもとでは、カード会社が発行する利用明細書だけでは仕入税額控除の要件を満たさない点です。国税庁は、法人カードの請求明細書について次のように整理しています。
クレジットカード会社の作成した請求明細書を保存することにより仕入税額控除の適用を受けることはできません。この場合、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することで、仕入税額控除の適用が認められます。
出典:質疑応答事例(消費税)「クレジットカード会社からの請求明細書」|国税庁
明細の自動取り込みで経理はラクになりますが、別途、加盟店が発行する適格請求書等をあわせて保存・突合する必要があります。領収書や適格請求書の回収・保管までカード側の機能でカバーできるかどうかは、少人数経理では実務的な分かれ目になります。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0024005-113_r603.pdf)
- 出典:質疑応答事例「クレジットカード会社からの請求明細書」|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm)
自動連携で経理をどこまでラクにできるかは、取り込み先の会計ソフト自体の機能にも左右されます。カード明細を受けるクラウド会計ソフトをこれから選ぶなら、以下の記事で主要製品を規模・タイプ別の選び方と料金から比較しています。
海外取引・外貨決済のコスト
越境ECの仕入れや海外SaaSの支払いが多いスタートアップでは、外貨決済にかかるコストが無視できません。一般的なクレジットカードで外貨建ての支払いをすると、国際ブランドの基準レートに各カード会社の事務手数料が上乗せされ、見えにくい形でコストが発生します。
海外取引の比重が高いなら、実勢レートに近い形で外貨決済ができるか、複数通貨を保有できるアカウントとデビットを組み合わせられるかといった観点が効いてきます。国内の支払いが中心か、海外取引が多いかによって、重視すべきカードは変わります。
海外取引先への送金や外貨での売上受取が多く、カード決済にとどまらず海外送金そのもののコストも抑えたい場合は、以下の記事で法人向けの海外送金サービスを手数料・為替コストの観点から比較しています。
付帯サービス・ステータス
成長期に入り出張や会食の機会が増えると、旅行傷害保険やショッピング保険、空港ラウンジ、コンシェルジュ、会食に使える優待といった付帯サービスの価値が高まります。これらはおおむねゴールド・プラチナといった上位カードに手厚く付きますが、その分年会費も上がります。
設立直後で出張がまだ少ないうちは付帯サービスより年会費の低さを優先し、事業が拡大した段階で上位カードへ切り替える、という段階的な持ち方が無理のない選び方です。
利用目的・成長フェーズ別に見るおすすめのタイプ
ここまでの選び方を踏まえ、スタートアップ向けの法人カードを利用目的・成長フェーズ別に4つのタイプに整理しました。自社がどのタイプに近いかを起点にすると、候補を絞り込みやすくなります。
| タイプ | 経費・会計を自動化したいSaaS連携型 | 年会費を抑えた低コスト型 | ポイント・マイル/ステータスを重視する成長期型 | 海外取引・外貨決済のコストを抑えたい型 |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 明細の自動連携・証憑管理・複数枚の権限/利用上限管理に強く、少人数バックオフィスの経理自動化に向くカード。設立直後でも作りやすいものが多い。 | 年会費が無料または条件付き無料で、設立直後の1枚目として持ちやすい低コストのカード。追加カードも作りやすい。 | ポイント・マイルの還元や、空港ラウンジ・会食優待など付帯サービスが手厚い上位カード。出張・接待が増える成長期向け。 | 実勢レートに近い外貨決済や多通貨アカウントで、越境EC・海外SaaS支払いのコストを抑えたい場合に向く。 |
| こんなスタートアップに | 経理を仕組み化したい/人が増えていく | 固定費を抑えたい/まず1枚目を作りたい | 出張・接待が多い/マイルを貯めたい | 海外仕入れ・海外SaaSの支払いが多い |
| 該当する主なカード | マネーフォワード ビジネスカード、UPSIDERカード、freeeカード Unlimited、バクラクビジネスカード | 三井住友カード ビジネスオーナーズ、JCB Biz ONE、セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・グリーン/ゴールド、ダイナースクラブ ビジネスカード | Wise Business |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別のカードの詳細な条件は、以下の比較表と各カードの紹介をご確認ください。
とはいえ、自社がどのタイプに当てはまるかの判断が難しいこともあります。そうした場合でも、自社の状況に合わせて最適なカードを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
【比較表】スタートアップ向け法人カードのおすすめ比較
ここからは、スタートアップ向けの法人カード12枚を、年会費・設立直後の申し込み・追加カード・利用限度額・還元・会計連携・外貨決済・国際ブランドといった観点で横並びに比較します。自社の重視する軸に合わせてご覧ください。
| サービス名 | マネーフォワード ビジネスカード | Wise Business | UPSIDERカード | 三井住友カード ビジネスオーナーズ | freeeカード Unlimited | バクラクビジネスカード | JCB Biz ONE | セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | アメリカン・エキスプレス・ビジネス・グリーン・カード | アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード | ダイナースクラブ ビジネスカード |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年会費 | 無料(1年間未利用時1,000円・税抜) | 年会費なし(口座開設無料/外貨口座情報の設定手数料1回3,000円) | 無料 | 一般:永年無料 ゴールド:5,500円(年100万円利用で翌年以降無料) | 無料 | 無料 | 一般:永年無料 ゴールド:5,500円(初年度無料・年100万円利用で翌年度無料) | 永年無料 | 初年度無料 次年度以降33,000円 | 13,200円 | 49,500円 | 33,000円(2026年4月改定/要確認) |
| 設立直後の申込 | 決算書・登記簿謄本なしで申込可 独自与信(後払い)+前払いチャージ併用 | 決算書など財務情報の提出なし 本人確認・事業確認(与信審査なし) | 法人のみ 銀行口座情報による独自与信(後払い)/保証金プランは審査なし | 登記簿謄本・決算書なしで申込可(一般・ゴールド) 代表者個人の与信 | 決算書に依存しない独自与信 連帯保証不要・設立直後も申込可 | 決算書提出不要(独自与信) 預金残高1,000万円未満は保証金プラン(与信審査なし) | 決算書不要・開業前も申込可 代表者個人の与信 | 決算書・登記簿謄本なしで申込可 代表者個人の与信 | 決算書・登記簿謄本なしで申込可 代表者個人の与信 | 決算書・登記簿謄本は原則不要 代表者個人の与信 | 設立1年未満・起業直後も申込可 代表者個人の与信 | 設立初年度・スタートアップも対象 代表者個人の与信(決算書要否は公式に明示なし) |
| 追加カード | 追加発行可(バーチャルは原則無料/リアルは2枚目以降900円+税) | 1枚目無料・追加640円/枚 デジタルカード対応・年会費なし | 発行枚数無制限・無料 | 最大18枚・永年無料 | バーチャル枚数無制限・無料 | 追加発行可(年会費無料/リアルは1,540円・税込) | 最大9枚(2026年10月6日〜・年会費無料) | 最大9枚・無料 | 最大9枚・3,300円/枚 | 発行可(付帯特典あり6,600円/なし無料) | 最大99枚(付帯特典あり13,200円/なし無料) | 2枚まで無料(3・4枚目は5,500円/枚) |
| 利用限度額の目安 | 最大10億円(チャージ入金で上限なく利用可) | 口座残高の範囲(与信枠なし) | 最大10億円/月 | 〜500万円(審査で個別設定) | 最大5億円を上限として記載(実枠は審査で個別設定) | 柔軟に対応(5億円以上の実績/2億円超は個別相談) | 〜500万円(審査で個別設定) | 公式に非公表(審査で個別設定) | 最大9,990万円(個別審査) | 一律の上限なし(個別設定) | 一律の上限なし(個別設定) | 一律の上限なし(個別設定) |
| ポイント・マイル還元 | 1%(MF関連サービスは3%) マイル移行なし | ポイント・マイルなし(日本は対象外) | 1.0%〜 マイル移行なし | 通常0.5%(特約店で最大1.5%・一般) Vポイント | 0.5%(月間利用50万円未満は0.3%) freee製品の支払いに充当 | キャッシュバック0.8% マイルなし | 1%(優待店で最大21倍) | 0.5%(対象10サービスで最大2%) 永久不滅ポイント→JAL/ANAマイル移行可 | 通常0.5% SAISON MILE CLUB登録で最大1.125%(JALマイル) | 100円=1ポイント ANA等のマイルへ移行可 | 100円=1ポイント ANA・JAL等のマイルへ移行可 | 100円=1ポイント(有効期限なし) ダイナースグローバルマイレージでANA・JAL等へ移行可 |
| 会計ソフト連携・経費管理 | マネーフォワード クラウド会計へリアルタイム連携 証憑のインボイス番号をAI-OCRで自動読取 | Xero・QuickBooks等と連携 (freee・マネーフォワードは連携一覧になし) | freee・マネーフォワード・勘定奉行・弥生等と連携 電子帳簿保存法・インボイス自動判定 | WEB明細「Vpass」でCSV出力 (会計ソフトとのAPI連携は公式に明記なし) | freee会計に同期(最短当日) 証憑OCRで適格請求書を判別 | freee・マネーフォワード・弥生・勘定奉行クラウド等と連携 AIが明細と証憑を自動照合・仕訳 | 弥生会計・freee会計・マネーフォワード クラウド会計と連携 | マネーフォワードはポイント優遇対象 (API連携は公式に明記なし) | freee会計と連携(資金繰り改善ナビで限度額を自動見直し) | freee会計・弥生・マネーツリーとAPI連携 | freee会計・弥生・マネーツリーとAPI連携 | freee会計と連携(マネーフォワード等は公式未確認) |
| 外貨・海外決済 | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 仲値(ミッドマーケットレート)で40通貨以上に対応 | 海外事務手数料2.2%(税込) | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 外貨決済手数料無料 | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 海外ショッピングはポイント2倍(海外事務手数料あり) | 海外利用は永久不滅ポイント2倍(海外事務手数料あり) | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) | 海外加盟店で利用可(海外事務手数料あり) |
| 国際ブランド | Visa | Mastercard(デビット) | Visa | Visa/Mastercard(選択制) | Visa | Visa | JCB | American Express | American Express | American Express | American Express | Diners Club(Mastercard併用) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報をもとにした比較です。年会費・還元率・限度額・発行条件などの最新の詳細は各社公式サイトでご確認ください。
スタートアップにおすすめの法人カード12選
ここからは、先ほどのタイプ別に、それぞれのカードの特徴と、どんなスタートアップに向くかを紹介します。
経費・会計を自動化したいSaaS連携型
1. マネーフォワード ビジネスカード(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードのグループ会社・マネーフォワードケッサイ株式会社が発行するVisaブランドのビジネスカードで、事前に入金した残高で使うプリペイドと、独自審査で付与される与信枠の後払いを1枚に併せ持つ点が仕組み上の特徴です。初期費用・入会費は無料、年会費も1年に1度以上の利用があれば無料になります(1年間未利用の場合は1,000円・税抜)。
後払い型の審査では登記事項証明書や決算書の提出が不要な独自の与信ロジックを採用しており、設立間もない企業でも申込対象になります。与信枠を使わずチャージ残高の範囲で使うプリペイド利用なら与信審査自体が不要なため、決算実績がまだない創業直後でもカード運用を始められます。
部署・従業員・仕入先・目的ごとにカードを追加発行でき、バーチャルカードは原則無料で、カード単位に決済上限や利用先を設定できます。利用明細はマネーフォワード クラウド会計・確定申告へリアルタイムで連携して仕訳候補になり、添付した領収書のインボイス登録番号はAI-OCRが自動で読み取ります。
2. UPSIDERカード(株式会社UPSIDER)

UPSIDERカードは、株式会社UPSIDERが法人向けに提供するVisaブランドのカードです(個人事業主は対象外)。年会費・発行手数料は無料で発行枚数に上限がなく、利用限度額は最大10億円/月に対応します。
支払い方には、連携した銀行口座の残高情報などをもとに独自の与信モデルで審査する後払いプランと、あらかじめ預けた保証金の範囲で使う保証金プランの2つがあります。前払いの保証金プランなら与信審査に関わらず利用でき、最短1営業日で使い始められるため、決算実績が乏しい設立直後でも導入しやすい設計です。
カードごとに日次・月次・取引単位の上限を設けたり、260以上のサービスから利用先を限定したりでき、稟議から決済までをつなぐ利用申請・承認の機能も備えます。会計はfreee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウドなど主要な会計ソフトと連携し、証憑が電子帳簿保存法の要件や適格請求書に適合するかを自動で判定します。
3. freeeカード Unlimited(フリー株式会社)

クラウド会計ソフト「freee会計」と連携する法人向けのカードで、発行主体はfreee finance lab株式会社、国際ブランドはVisaです。年会費・カード発行手数料・追加カードの発行手数料・外貨決済手数料がいずれも無料です。
freee会計に同期した銀行口座や会計データを独自の与信モデルで分析して限度額を決めるため、代表者個人の信用情報に依存せず、代表者の連帯保証も不要としています。設立直後の法人でも申し込め、利用可能枠は最大5億円を上限として公式サイトに記載があります(実際に付与される枠は審査による個別の値です)。
利用明細は最短当日でfreee会計に同期され、繰り返しの支払いは自動で仕訳されます。証憑の回収はSlackやメールで利用者に依頼でき、提出されたレシートはfreee会計のファイルボックスに自動保存され、OCRがインボイス登録番号を読み取って適格請求書かどうかを判別します。バーチャルカードは最短3時間・枚数無制限で無料発行でき、カードごとに利用上限や停止をWeb上で管理できます。
4. バクラクビジネスカード(株式会社LayerX)

経費精算や請求書受取などのバックオフィスSaaS「バクラク」シリーズを展開する株式会社LayerXの法人カードです(Visa、法人のみ)。年会費は無料で、バーチャルカードの発行手数料も無料です(リアルカードは1枚1,540円・税込。ETCカードは無料で発行でき、31枚目以降は1枚550円・税込)。
後払いプランは連携した銀行口座情報をもとに独自モデルで審査し、決算書の提出は求められません。預金残高が1,000万円未満の場合は、入金額の範囲で利用枠が付与される保証金プランが案内されるため、与信審査を通さずに使い始められ、従業員が代表者のみの小規模法人でも利用できます。発行は最短で当日中、遅くとも3営業日以内に審査が完了します。
カードごとに利用先(500件超のサービスから選択)・上限金額・期間・通貨を制限でき、部門やプロジェクト単位でカードを設計できます。利用明細はリアルタイムに同期され、AIが最大100件の明細と証憑を照合して会計ソフト向けの仕訳データを自動で作成します。
会計ソフトはfreee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生・勘定奉行クラウドなどとAPI連携し、同シリーズの「バクラク経費精算」と組み合わせると、立替経費とカード利用明細を一つの申請フォームで扱えます。
年会費を抑えた低コスト型
5. 三井住友カード ビジネスオーナーズ(三井住友カード株式会社)

一般・ゴールド・プラチナプリファードの3ランクで構成される、三井住友カード株式会社の法人カードシリーズです。申込対象は法人代表者・個人事業主で、代表者個人の信用情報をもとに審査する個人与信型のため、一般・ゴールドは申し込みに登記簿謄本・決算書の提出が不要とされています。
一般ランクは年会費が永年無料、ゴールドは5,500円(税込)で、年間100万円の利用があれば翌年以降は永年無料になります。パートナーカード(追加カード)は全ランク最大18枚まで永年無料で発行でき、従業員や役員への配布にも使えます。
ポイントは一般・ゴールドとも通常200円につき0.5%相当が貯まり、特約店での条件達成時は一般で最大1.5%まで上がります。利用明細は法人会員向けのWEB明細「Vpass」でCSVダウンロードでき、確定申告や経費精算に使う項目を抽出できます。発行は最短3営業日です。
6. JCB Biz ONE(株式会社ジェーシービー)

JCB(株式会社ジェーシービー)が2024年9月に投入した、個人事業主・フリーランス・法人代表者向けの法人カードです。Web完結の「モバ即」なら最短5分でカード番号が発行され、顔写真付き本人確認書類1点で申し込めます。法人の決算書は提出不要で、開業前でも申し込める点を公式が示しています。
年会費は一般が永年無料、ゴールドが5,500円(税込・初年度無料)で、年間100万円(税込)以上の利用があれば翌年度も無料になります。従業員に配るパートナーカードは、2026年10月6日から最大9枚まで発行できるようになりました。
ポイントは一般・ゴールドとも200円につきJ-POINT2ポイント(公式表記で1%還元)が貯まり、優待店では最大21倍まで上がります。会計面では、公式が「弥生会計」「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」などとの連携に対応するとしており、明細の取り込みを自動化できます。
7. セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

国際ブランドにAmerican Expressを採用した、株式会社クレディセゾン発行の年会費永年無料の法人カードです。申込対象は個人事業主・フリーランス・経営者で、決算書・登記簿謄本を提出せずオンラインで申し込みが完結します。公式コラムは「起業したばかりの経営者の方でもお申し込みいただけます」としています。
追加カードは年会費無料で最大9枚(新規入会時の同時申込は最大3枚)まで発行できます。ポイントは基本が1,000円につき永久不滅ポイント1ポイント(最大0.5%相当)ですが、AWS・クラウドワークス・マネーフォワードなど対象10サービスの利用では4倍(最大2%相当)になり、対象にはスタートアップが日常的に使うツールがそろっています。
ETCカードは発行手数料・年会費とも無料で最大5枚まで持てますが、入会月から翌年入会月の前月末までにETC利用が一度もないと、年1回2,200円(税込)のETCカードサービス手数料がかかります。旅行傷害保険・ショッピング保険は付帯しません。
ポイント・マイル/ステータスを重視する成長期型
8. セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

個人事業主・経営者が個人名義で持てる、株式会社クレディセゾンがアメリカン・エキスプレスブランドで発行するプラチナクラスの法人カードです。申し込みに決算書・登記簿謄本は不要で、公式サイトは独立したばかりの方や設立間もない法人代表者も申し込めるとしています。
年会費は初年度無料、次年度以降は33,000円(税込)です。別途年会費5,500円(税込)のSAISON MILE CLUBに登録すると、カード利用額がJALマイルへ自動で移行され、最大1.125%のマイル還元になります。登録しない場合は、1,000円ごとに有効期限のない永久不滅ポイントが1ポイント貯まります。
通常年会費469米ドル相当のプライオリティ・パス(プレステージ会員)が無料で付帯し、世界1,700ヶ所以上の空港ラウンジを利用できます。24時間365日対応のコンシェルジュ・サービスや最高1億円の海外旅行傷害保険も備わり、出張・会食が増える成長期に向きます。追加カードは3,300円(税込)で最大9枚まで発行でき、freee会計との連携にも対応します。
9. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・グリーン・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

アメリカン・エキスプレスが個人事業主・中小企業向けに自社発行するビジネス・カードシリーズのうち、年会費が最も低いグレードにあたるカードです。発行会社はアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドで、国際ブランドと発行体が同一のプロパーカードです。
年会費は13,200円(税込)です。公式は起業直後でもビジネス・カードに申し込めるとしており、個人事業主は代表者本人の本人確認書類だけで申し込め、決算書・登記簿謄本は原則不要です。利用100円につき1ポイントが貯まり、年会費3,300円(税込)のメンバーシップ・リワード・プラスに登録すると、ANAマイルへの移行が1,000ポイント=1,000マイルのレートになります。
利用可能枠に一律の上限を設けず、利用状況に応じて個別に設定する運用が特徴です。対象空港のラウンジは搭乗券を持つ同伴者1名まで無料で利用でき、ETCカードは年会費・発行手数料とも無料で基本カード会員は最大20枚まで発行できます。freee会計・弥生・マネーツリーとAPI連携し、利用明細を会計ソフトへ自動で同期できます。
10. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

同じアメリカン・エキスプレスのビジネス・カードシリーズで、グリーンの上位に位置づけられる中位グレードです。出張や接待に関わる特典を厚くしており、公式も設立一年未満の会社や起業直後の申し込みを受け付けるとしています。
年会費は49,500円(税込)です。空港ラウンジは本会員に加えて同伴者1名まで無料で利用でき、最高1億円の旅行傷害保険や国内航空機遅延費用補償が付帯します。東急の定額宿泊サービス「ツギツギ」で使える無料宿泊特典や、全国約200店舗で所定コースを2名以上で利用すると1名分が無料になるダイニング優待など、会食・出張に紐づく特典がそろいます。
追加カードは最大99枚まで発行でき、付帯特典あり・なしを選んで従業員分のコストを調整できます。利用100円につきメンバーシップ・リワードのポイントが1ポイント貯まり、ANA・JALなどのマイルへ移行できます。弥生・freee会計とAPI連携するほか、取引先への支払いをカード化する「請求書カード払い by GMO」も利用できます。
11. ダイナースクラブ ビジネスカード(三井住友トラストクラブ株式会社)

ダイナースクラブブランドを日本国内で発行する三井住友トラストクラブ株式会社が、法人代表者・個人事業主向けに提供するカードです。2021年12月のラインナップ刷新で発行が始まり、招待制の上位カードと違って通常申し込みができます。発行開始時のプレスリリースでは、会社設立初年度やスタートアップまで幅広い経営者を対象に挙げています。
公式サイト由来の情報では、本会員の年会費は33,000円(税込)とされています(2026年4月以降に改定された額とみられるため、申し込み前に公式サイトでの確認をおすすめします)。追加カードは2枚まで無料で、Mastercardブランドのビジネスコンパニオンカードも無料で付帯します。利用100円につき1ポイントが貯まり、ポイントに有効期限はありません。
国内外1,700ヵ所以上の空港ラウンジを利用でき、基本会員には傷害死亡・後遺障害で最高1億円の海外旅行傷害保険が付帯します。年間参加料6,600円(税込)のダイナースグローバルマイレージに登録すると、ポイントをANA・JALなど6社の航空会社マイルへ移行できます。対象レストランで所定のコースを2名以上で利用すると1名分が無料になる、会食向けの優待も備えます。
海外取引・外貨決済のコストを抑えたい型
12. Wise Business(ワイズ・ビジネス法人アカウント)(ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社)

Wise Business は、英国 Wise Payments Limited が運営する送金プラットフォームの法人版で、日本では資金移動業者のワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社が提供しています。クレジットカードではなく、40種類以上の通貨を手数料無料で保有・送金できる多通貨アカウントと、その残高から支払う法人デビットカードを組み合わせた仕組みです。
両替には為替マージンを上乗せしないミッドマーケットレート(仲値)を用い、保有する通貨の残高から支払えば為替コストをかけずに外貨決済ができます。残高の範囲で使うデビット方式のため後払いの与信枠はなく、口座開設時に求められるのは本人確認・事業確認(KYC/KYB)の書類で、決算書などの財務情報の提出はありません(審査期間は通常10営業日)。
アカウント開設は無料で、外貨の口座情報を取得する設定手数料が1回限り3,000円かかるほかは、月額の口座維持費はかかりません。法人デビットカードは1枚目無料・年会費なしで、物理カードとデジタルカードの両方に対応します。最大1,000件の一括送金やAPI、XeroやQuickBooksなどの会計ソフト連携も備え、海外取引先への支払いや外貨での売上受取が多い企業に向きます。
まとめ
スタートアップの法人カード選びは、設立直後でも作れるか(代表者個人の与信か、前払い式か)を起点にするのが近道です。そのうえで、役員・従業員分の複数枚発行と権限管理、会計ソフト連携による経理の自動化、海外取引があれば外貨決済のコストという観点から、自社の成長フェーズと経費の使い方に合わせて絞り込みます。
経理の自動化を重視するならSaaS連携に強いカード、固定費を抑えたいなら年会費の低いカード、出張・接待が増える成長期ならポイント・ステータス重視のカード、海外取引が多いなら外貨決済に強いカードが候補になります。まずは無料・低年会費のカードから始め、事業の拡大に合わせて上位カードや複数枚運用へ広げていくのが無理のない進め方です。各カードの資料を取り寄せて、年会費や発行条件を見比べてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. スタートアップ向けの法人カードとは何ですか?
A. スタートアップ向けの法人カードとは、設立直後で決算の実績が乏しくても申し込みやすく、役員・従業員分のカードをまとめて発行・管理したり、会計ソフト連携で経理を自動化したりしやすい法人・個人事業主向けのカードです。代表者個人の信用情報を中心に審査するビジネスカードや、前払い式で与信審査を必要としないカードが中心で、創業期の経費管理やキャッシュフローの改善に役立ちます。
Q. 設立直後で決算の実績がなくても法人カードは作れますか?
A. 設立直後で決算の実績がなくても、作れる法人カードは複数あります。ビジネスカードと呼ばれるタイプの多くは、会社の決算書ではなく代表者個人の信用情報を中心に審査するためで、申し込み時に登記事項証明書や決算書の提出が不要と明示しているカードもあります。
さらに、資金を事前にチャージして使うプリペイド型や、口座残高から即時に引き落とすデビット型は、カード会社が代金を立て替える後払いではないため与信審査自体を必要としない設計のものがあり、与信に不安がある創業直後でも使い始められます。
Q. スタートアップの法人カードの審査では何が見られますか?
A. スタートアップの法人カードの審査で主に見られるのは、代表者個人の信用情報と属性です。過去のローンやクレジットの返済状況、他社からの借入やキャッシング枠の大きさ、申込内容の正確さなどが確認されます。会社の固定電話やオフィスの実在、事業内容の明確さも、事業の実態を示す材料として見られます。
Q. 法人カードの申し込みに必要な書類は何ですか?
A. 必要な書類はカードによって異なり、設立直後向けのビジネスカードでは代表者本人の本人確認書類だけで申し込めるものが多いです。決算書や登記事項証明書の提出を不要としているカードもあり、Web完結で本人確認書類1点から申し込めるものもあります。一方、法人の財務を審査するコーポレートカードでは、登記事項証明書や決算書の提出を求められる場合があります。
Q. 法人カードの審査に落ちたとき、理由は分かりますか?どうすればよいですか?
A. 審査に落ちた場合でも、カード会社は具体的な理由を開示しないのが一般的です。考えられる対策としては、代表者個人の信用情報を整える(延滞の解消、不要なキャッシング枠の縮小)、申込書の記載を正確に揃える、短期間に複数のカードへ同時に申し込まないことが挙げられます。それでも不安が残る場合は、与信審査を必要としない前払い式やデビット型から始めて利用実績を積み、後からクレジット型に広げる方法もあります。
Q. 前払い式(プリペイド・デビット)の法人カードとクレジットカードはどう違いますか?
A. 前払い式は、チャージした残高や口座残高の範囲で支払うため、後払いの与信審査を必要としない点がクレジットカードとの違いです。後払いのクレジットカードに信用情報の調査を課す割賦販売法も、前払い・即時払いは対象外です。支払いを後ろ倒しにするキャッシュフロー効果は後払いのクレジットカードに分がある一方、前払い式は与信に不安のある設立直後でも使い始めやすい利点があります。
Q. ビジネスカードとコーポレートカードの違いは何ですか?
A. 両者の違いは審査の対象にあり、ビジネスカードは代表者個人の信用情報を中心に審査するのに対し、コーポレートカードは法人そのものの財務内容や決済実績を審査の中心に据えます。設立間もないスタートアップは決算の実績が乏しいため、代表者個人の与信で発行できるビジネスカードから検討するのが現実的です。コーポレートカードは、従業員数が多く決済規模の大きい企業向けとされます。
Q. スタートアップでも年会費無料の法人カードはありますか?
A. スタートアップでも持てる年会費無料(または条件付きで無料)の法人カードは複数あります。永年無料のカードのほか、一定額の利用で翌年以降の年会費が無料になるカードもあります。固定費を抑えたい創業期はまず無料・低年会費のカードが候補になりますが、出張や接待が多く付帯サービスの価値が年会費を上回るなら、有料の上位カードも選択肢になります。
Q. 法人カードは代表者以外の役員・従業員も使えますか?
A. 法人カードは、追加カード(従業員向けカード)を発行すれば代表者以外の役員・従業員も使えます。各自が事業用カードで直接支払えるようになるため、立て替えと精算の手間を減らせます。カードによっては、カードごとに利用上限や使える店舗・用途を設定し、誰がいつ何に使ったかを管理画面で一元的に把握できます。人が増えるスタートアップでは、この権限・利用上限の管理のしやすさが選定の分かれ目になります。
Q. 法人カードの追加カードは何枚まで発行でき、審査は必要ですか?
A. 追加カードの発行枚数の上限はカードによって幅があり、数枚までのものから、最大数十枚、発行枚数無制限のものまであります。追加カードは本会員の与信の範囲で発行されるため、本会員とは別に個別の与信審査が行われないのが一般的です。採用を急拡大する計画があるなら、発行枚数の上限が緩く、バーチャルカードを無料で追加できるカードが向きます。
Q. スタートアップの法人カードの利用限度額はどのように決まりますか?
A. 利用限度額は、設立直後は低めに設定されがちで、売上や決済の実績に応じて見直されていくのが一般的です。後払いのクレジットカードでは、代表者個人の信用情報や会社の決済実績をもとに個別に設定されます。一方、前払い式のカードはチャージした残高が実質的な上限になるため、与信枠とは別の考え方で使えます。月々の決済額が大きくなりそうなら、増額のしやすさもあわせて確認するとよいでしょう。
Q. 法人カードは申し込みからどのくらいで発行されますか?
A. 発行までの期間はカードによって異なり、Web完結の本人確認なら最短数分〜即日でカード番号が発行されるものから、数営業日かかるものまであります。前払い式で与信審査を必要としないプランでは、最短1営業日で使い始められるカードもあります。急ぎで使い始めたい場合は、発行スピードと、バーチャルカードの即時発行に対応しているかを確認するとよいでしょう。
Q. 法人カードの利用明細だけでインボイス制度の仕入税額控除は受けられますか?
A. カード会社が発行する利用明細書だけでは、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の仕入税額控除の要件は満たせません。国税庁は、請求明細書の保存では控除を受けられず、取引先の加盟店から受領した適格請求書等の保存で控除が認められるとしています。明細の自動取り込みで経理はラクになりますが、別途、加盟店発行の適格請求書等をあわせて保存・突合する必要があります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:質疑応答事例「クレジットカード会社からの請求明細書」|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm)
Q. 法人カードの利用明細は電子帳簿保存法でどう保存すればよいですか?
A. 事業に関連して受領したクレジットカードの利用明細データは、電子取引の取引情報に該当し、電子データのまま保存する必要があります。国税庁は、個々の取引を集約した取引書類のデータを授受した場合、クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当し、その電磁的記録の保存が必要としています。カード明細を会計ソフトへ自動連携する運用は、この電子データ保存の要件を満たすうえでも効率的です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0024005-113_r603.pdf)
Q. スタートアップが海外取引・外貨決済のコストを抑えるにはどう選べばよいですか?
A. 海外取引が多いスタートアップは、実勢レートに近い形で外貨決済できるか、外貨決済手数料が低い(または無料の)カードかを基準にするとコストを抑えられます。一般的なクレジットカードの外貨建て支払いは、国際ブランドの基準レートに各社の事務手数料が上乗せされます。越境ECや海外SaaSの支払いが多いなら、仲値で決済できる多通貨アカウントとデビットの組み合わせが候補になります。
Q. スタートアップが法人カードを持つデメリットはありますか?
A. スタートアップが法人カードを持つデメリットは大きくありませんが、設立直後は利用限度額が低めになりやすく、年会費や追加カードの手数料などの固定費がかかる場合がある点に注意が必要です。インボイス制度では利用明細だけでは仕入税額控除の要件を満たさず、適格請求書の保管が別途必要です。これらは、年会費無料のカードを選ぶ、限度額の増額余地を確認する、証憑管理まで対応したカードを選ぶことで対処できます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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