日本製の化粧品は海外での人気が高く、円安も追い風となって、化粧品を越境EC(海外の消費者向けインターネット通信販売)で売る動きが広がっています。ただし化粧品は、一般的な物販と違って、中国のNMPA(国家薬品監督管理局)への登録・届出をはじめとする各国の規制や、液体・アルコール・引火性ゆえの輸送制限といった固有の関門があります。

本記事では、化粧品を越境ECで売る3つの始め方(モール出店・自社サイト構築・販売代行)と選び方を示したうえで、狙い目の国、中国NMPAなど各国の規制対応、海外発送の注意点、費用と期間の目安までを順に整理します。
どの国に・どの方法で売り、どんな手続きと費用がかかるのかを一度に見通せるようにまとめました。自社でどこまで対応し、どこから越境EC支援サービスに任せるかを判断する材料としてご活用ください。
目次
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化粧品を越境ECで売る3つの始め方と選び方
化粧品を越境ECで売る方法は、大きく「モール出店」「自社サイト構築」「販売代行」の3つに分かれます。どれを選ぶかで、かかる費用・自社で抱える手間・集客の作り方が変わります。まずは3つの違いを横並びで見て、自社がどれから始めるか当たりをつけましょう。
| 始め方 | モール出店 (海外ECモールに出店) | 自社サイト構築 (独自ドメインで販売) | 販売代行 (越境EC支援サービスに委託) |
|---|---|---|---|
| 初期費用の目安 | 無料のモールもあれば出店料がかかるモールもあり、各モール公式で要確認(2026年10月時点) | 主要カートは初期費用なしで開始できる(独自デザインを外注する場合は別途・要見積もり) | 要見積もり。支援内容で変動し、成果報酬・レベニューシェア型もある |
| 月額・手数料の目安 | 月額固定費+販売手数料。例:Amazon大口出品は月額4,900円(税抜)+ビューティーの販売手数料5〜10.4%(価格帯で変動・最低30円)。モールにより異なる | カートの月額+決済手数料。例:Shopifyベーシックプランは月額3,650円〜(年払い)+決済手数料3.55%〜。モールの販売手数料はかからない | 要見積もり。月額+売上連動のレベニューシェアなど、支援会社により異なる |
| 手間(自社リソース) | モールの送客に乗れるが、出店審査・多言語の商品ページ作成・現地対応は自社で行う | 集客を自力でつくる必要があり、3つの中で最も手間がかかる | 構築・運営・物流・多言語対応を任せられ、自社リソースは最小で済む |
| 向いている事業者 | すでに認知のある国・モールで、まず売れ行きを試したい事業者 | ブランドの世界観を自社で管理し、顧客データを自社に蓄積したい事業者 | 海外EC運営の人員やノウハウが社内に乏しく、まとめて任せたい事業者 |
| 化粧品での向き不向き | モールごとに化粧品の出品可否・求められる登録が異なる。中国系モールは特に規制対応が前提になりやすい | 規制対応・多言語・物流をすべて自社で設計する必要があり、化粧品では負担が大きい | 規制対応まで任せられるかは支援会社により異なり、化粧品規制の代行可否は各社への確認が必要 |
出典・参考資料(2件)
モール出店は送客力を借りて早く試せる一方、化粧品は出品前の登録・届出が壁になりやすい方法です。自社サイト構築はブランド管理と顧客データの蓄積に向きますが、集客から規制・物流まで自社で背負います。
販売代行は手間を最小にできる代わりに、どこまで任せられるか(特に規制対応)を事前に見極める必要があります。また、モールの出店料・手数料や各カートの料金は変動し、仕向国やプランでも異なるため、具体的な金額は各モール・各サービスの公式情報で最新の条件を確認してください。
モール出店と自社サイト構築のどちらで売るかをさらに具体的に比べたい場合は、主要な出店先プラットフォームをモール型・自社EC型のタイプ別に、費用・海外販売機能・対応地域で比較した記事もあわせてご覧ください。
日本製化粧品が売れる国と狙い目
ここからは、狙う国の当たりをつけるための判断材料を地域ごとに整理します。日本から海外への越境ECは、品質への信頼と円安を背景に拡大が続いており、経済産業省の電子商取引市場調査でも越境ECの市場規模は拡大基調にあると報告されています。国によって日本製化粧品の人気の理由と参入のしやすさが異なるため、自社の候補地だけ拾って読んでください。
出典・参考資料(1件)
中国
中国は日本製化粧品の人気が最も高い市場の一つで、品質への信頼を背景に継続的な需要があります。後述する跨境電商(保税区)という越境EC向けの受け皿が整っており、正式登録を経なくても販売を始めやすいルートが用意されている点も、最初の候補地になりやすい理由です。一方で、現地ブランドの台頭や価格競争、規制対応の手間は大きく、需要が大きいぶん準備も重くなります。
東南アジア・台湾
東南アジアや台湾は、EC市場の成長とともに日本製化粧品への関心も高い地域です。現地で利用者の多いモールを使えば少ない初期投資で出店でき、中国本土向けより規制対応の軽い国もあります。客単価は中国・欧米より控えめな傾向ですが、まず小さく試すには参入しやすい狙い目です。ただし届出制度は国ごとに異なり、狙う国を絞って手続きを確認する必要があります。
欧米
欧米は美容市場が成熟しており、品質・安全性を重視する層に日本製化粧品が受け入れられています。購買力が高く客単価を取りやすい反面、EUの化粧品規則や米国のMoCRAなど、販売前に求められる手続きのハードルは高めです。規制対応を織り込んだうえで、ブランドの独自性を打ち出せる事業者に向く市場です。
中東
中東は日本製化粧品の先行事例がまだ少ない地域です。高温環境での品質保持(クリームなど油分の多い剤型の劣化対策)やハラールへの配慮が求められ、物流・表示の要件を早い段階で確認する必要があります。競合は薄い一方、市場規模や規制の情報は中国・欧米ほど整っておらず、ジェトロ等で個別に確かめながら進めるのが現実的です。
韓国は自国の化粧品産業と規制が成熟しており、日本製化粧品を越境ECで展開する優先度は相対的に低めです。参入する場合は、現地の輸入規制を個別に確認してください。
化粧品の越境ECで必要な規制対応
化粧品の越境ECでつまずきやすいのが、国ごとに異なる登録・届出です。狙う国ごとの登録・届出・期間・費用を一覧で示します。自分の狙う国の条件だけ拾って確認してください。また、期間と費用は各国の当局が標準値を公表していないものが多く、代行会社や検査にかかる市場相場で幅があります。断定せず、目安として読んでください(2026年10月時点)。
| 国・地域 | 中国(一般貿易) | 中国(跨境電商・保税区) | 米国 | EU | ASEAN・台湾 |
|---|---|---|---|---|---|
| 必要な登録・届出 | 一般化粧品=届出(備案)/特殊化粧品=登録(注冊) | 正式登録が軽減される越境EC向けルート。取引限度額あり(1回5,000元・年間2万6,000元) | MoCRA:施設登録(隔年更新)・製品リスト(成分を含む/年次更新) | EU域内の責任者を立て、販売前にCPNPへ届出。安全性評価(CPSR)が必要 | 各国当局への事前届出(notification)が基本 |
| 期間の目安 | 当局は標準期間を公表せず。準備から完了まで数ヶ月規模が目安(要確認) | 一般貿易より短い傾向 | 公表された標準期間なし | 公表された標準期間なし | 国により異なる(要確認) |
| 費用の目安 | 当局の公定費用はなく、代行・成分試験の委託費が中心で幅あり(要見積もり) | 関税・諸税が軽減される(要確認) | FDA登録・製品リスト提出に政府手数料の定めはなく、代行利用時はその委託費が中心(要見積もり) | 当局の公定費用ではなく、責任者・CPSR(安全性評価)の委託費が中心(要見積もり) | 国により異なる(要確認) |
| 主な根拠・確認先 | 化粧品監督管理条例ほか/ジェトロ | ジェトロ | FDA | 欧州委員会/化粧品規則(EC)No 1223/2009/ジェトロ | ASEAN化粧品指令/各国当局 |
※ 上記は各国制度の概要と市場目安です。期間・費用・取引限度額・対象は改定され得るため、実際に手続きする際は各国当局・ジェトロの最新情報で確認してください(2026年10月時点)。
中国(NMPA:一般化粧品=届出、特殊化粧品=登録)
中国では、化粧品が「一般化粧品」と「特殊化粧品」に区分され、求められる手続きが変わります。ジェトロは、効能を標榜する一部の化粧品を特殊化粧品とし、それ以外を一般化粧品と整理したうえで、それぞれに必要な手続きを次のように示しています。
染髪用、パーマネント用、シミ取り・美白、日焼け止め、抜け毛予防、または新たな効能を標榜する化粧品が該当します。特殊化粧品以外の化粧品は、一般化粧品に該当します。
特殊化粧品を輸入する際には、事前に特殊化粧品登録手続きが必要です。一般化粧品を輸入する際には、一般化粧品届出手続きが必要です。
出典:中国における化粧品の輸入規制|ジェトロ(日本貿易振興機構)貿易・投資相談Q&A
中国語の正式呼称では、一般化粧品の届出が「備案」、特殊化粧品の登録が「注冊」にあたります。これらの手続きは化粧品監督管理条例などの法令に基づいて運用されています。
一方、越境EC向けには跨境電商(保税区)というルートがあり、正式登録の負担が軽減されます。ジェトロによると、保税区モデルを使う越境ECでは1回あたりの取引限度額が5,000元、年間の上限額が1人あたり2万6,000元に設定されています。まずこのルートで売れ行きを確かめ、本格的に伸ばす段階で一般貿易の正式登録へ進む、という使い分けが現実的です。
出典・参考資料(1件)
米国(MoCRA:施設登録・成分リスト提出)
米国では、2022年に成立した化粧品規制現代化法(MoCRA)により、化粧品の製造・加工施設の登録と、販売する製品のリスト提出が求められます。FDA(米食品医薬品局)は、施設登録を隔年で更新し、責任者(responsible person)が各製品について成分を含む情報を届け出て毎年更新すると説明しています。
登録番号の付与はFDAによる承認を意味するものではなく、事前承認制ではない点にも触れられています。施設登録・製品リスト提出の手続き自体にFDAの政府手数料の定めはなく、費用は主に書類作成や代行を使う場合の委託費です。提出はFDAのポータル「Cosmetics Direct」を通じて行います。
EU(化粧品規則(EC)No 1223/2009とCPNP届出)
EUで化粧品を販売するには、化粧品規則(EC)No 1223/2009に基づき、EU域内に設立された責任者を立てたうえで、販売前に化粧品届出ポータル(CPNP)へ届け出る必要があります。
欧州委員会は、EUで販売する製品は市場に出す前にCPNPへ登録し、販売前に専門家による科学的な安全性評価を受けなければならないと示しています。日本の事業者が直接販売する場合も、EU域内の責任者の指定が前提になります。
ジェトロによると、この責任者はEU域内に居住・設立された個人または事業者である必要があり、製品情報ファイル(PIF)は上市後最低10年間保存することが求められます。安全性評価の結果は、化粧品規則(EC)No 1223/2009が定める化粧品安全性報告書(CPSR)としてまとめ、このPIFに含めます。
出典・参考資料(2件)
ASEAN・台湾(各国届出)
ASEAN各国と台湾は、販売前に各国当局へ届け出る「notification(事前届出)」制が基本です。ASEANではEUの化粧品規則をモデルにしたASEAN化粧品指令(ACD)が各国の国内法に反映されており、台湾は化粧品衛生安全管理法に基づきTFDA(衛生福利部食品薬物管理署)への届出・登録が求められます。
手続きや必要書類、当局は国ごとに異なるため、狙う国を特定して各国当局の一次情報で確認するのが確実です。
出典・参考資料(1件)
禁止成分・表示義務を自社処方で確認する方法
禁止・制限される成分は国ごとに膨大で、たびたび改定されます。すべてを本文で列挙しても自社処方の適合判断には足りないため、ここでは「どこを見れば自社の処方・ラベルを照合できるか」という公式の確認先を示します。
EU向けは、欧州委員会の成分データベース「CosIng」で、禁止成分(附属書II)や制限成分(附属書III・V)を確認できます。たとえばハイドロキノンは一般の化粧品では使用できず、パラベン類は濃度などの条件付きで使用が制限されています。
表示面では、2023年の改定(Regulation(EU)2023/1545)により、個別に表示が必要な香料アレルゲンの対象が拡大し、2026年10月時点で約80物質にのぼります。「26種類」とする古い情報が残っていることがあるため、現行の対象で確認してください。
出典・参考資料(2件)
中国向けは、NMPAが公表する「化粧品安全技術規範」の禁用・限用成分リストと、使用実績のある原料をまとめた「已使用化粧品原料目録(IECIC)」で照合します。禁止される成分は多数にのぼり、指定は改定され得るため、最新の公表内容を当局で確認してください。
つまずきやすい例として、日本で広く使われる原料でもIECICに収載がなければ、中国では新規原料として別途の登録・届出が必要になります。米国など他国でも成分ごとに可否が分かれるため、処方・ラベルは必ず各国の公式確認先で照合してください。
ASEAN・台湾・米国など他の国・地域についても、各国当局やジェトロの情報で自社の成分とラベル表示を照らし合わせるのが基本です。成分数や指定は変わり得るので、販売のたびに最新の確認先に当たるようにしましょう。
化粧品の海外発送・国際配送の注意点
ここからは、化粧品を実際に送れるのか・何が止まるのかという不安に実務で答えます。化粧品は液体・アルコール・引火性の成分を含むものが多く、一部は危険物として扱われるため、送り方に制約があります。
液体・アルコール・引火性は危険物扱いで止まることがある
香水やアルコールを含む化粧品は、引火性液体として国際郵便では送れません。日本郵便は、国際航空運送協会(IATA)の規則が対象とする航空危険物について、次のように案内しています。
国際航空運送協会(IATA)の「危険物に関する規則」が対象とする物品(航空危険物)については、国際郵便において、郵便物の種類および輸送手段に関わらず送ることができません。(船便扱いでも引受不可となりますのでご注意ください。)
出典:国際郵便として送れないもの(航空危険物)|日本郵便
引火性液体は、おおむね摂氏60度(華氏140度)以下で引火性蒸気を発生させる液体とされ、香水はこれに該当して郵送できません。アルコール飲料も濃度24%を超えるものは引火性液体として禁止されます。引火点60℃以下かどうかが、送れる・送れないの境目になると覚えておくと、判断の目安になります。香水類は危険物の国際分類でも引火性液体(UN1266・クラス3)に区分されます。
国際郵便で送れない場合でも、DHLやFedExなどのクーリエ(国際宅配便)は、危険物として所定の申告・梱包・数量制限などの条件を満たせば引き受けられることがあります。ただし条件は配送事業者や仕向地によって異なるため、利用前に各社の危険物取扱ガイドで確認してください。
必要書類(インボイス・パッキングリスト・SDS)
化粧品を海外へ送る際は、取引内容を示すインボイス(送り状)と、梱包の内訳を記したパッキングリストが基本の書類になります。引火性液体などの危険物を扱う場合は、成分や危険性を示すSDS(安全データシート)の添付が求められることがあります。SDSは製品の安全性を輸送事業者や通関に示す書類で、添付の要否や条件は配送事業者・仕向地ごとに異なるため、事前に確認しておくと通関で止まるリスクを下げられます。
温度管理・通関
クリームや乳液、油分の多い製品は高温で品質が劣化しやすいため、夏場の中東・東南アジア向けなどでは温度管理に配慮した輸送・保管を検討するとよいでしょう。
通関にかかる日数も通関方式で変わります。中国では、跨境電商が個人輸入に相当する扱いで比較的短く、一般貿易は正式な輸入通関で長めになる傾向です。送れる成分か・何日かかるか・どの書類が要るかを出荷前に押さえると、現地到着までの見通しが立てやすくなります。
化粧品の越境ECにかかる費用と期間の目安
最後に、「結局いくら・何ヶ月かかるのか」を通しで見渡します。費用は〔出店・構築費+規制対応費+物流費+(代行を使う場合の利用費)〕に分かれ、国と始め方で大きく変わります。ここでは2つのシナリオで、何に・どこは要見積もりかを内訳で示します。
| 費目 | シナリオA:中国へ跨境電商で小さく始める | シナリオB:自社サイトでEU1カ国へ |
|---|---|---|
| 出店・構築費 | 保税区モデルの越境ECプラットフォーム利用費(掲載の支援サービス等)=要見積もり | カート利用。例:Shopifyベーシックは初期費用なし・月額3,650円〜(年払い)+決済手数料3.55%〜 |
| 規制対応費 | 跨境電商なら正式登録(備案/注冊)が軽減。当局の公定費用はなく、代行・試験費は要見積もり | EU域内の責任者+CPSR(安全性評価)+CPNP届出。当局の公定費用ではなく代行・評価の委託費=要見積もり |
| 物流費 | 重量・温度管理・危険物該当で変動=要見積もり | 引火性に当たれば危険物対応クーリエが必要=要見積もり |
| 代行・利用費 | 月額+売上連動のレベニューシェアなど=要見積もり | 自力運営なら不要/支援を使うなら要見積もり |
| その他の目安 | 取引は1回5,000元・年間2万6,000元の上限内(ジェトロ) | 製品情報ファイル(PIF)は上市後最低10年保存(ジェトロ) |
このように確定しやすいのはカートの月額などごく一部で、規制対応費・物流費・代行費は国と商品で動くため要見積もりが基本です。各国当局は標準期間も公表しておらず、準備から登録・届出の完了まで数ヶ月規模を見込む国もあります。
早い段階で費目ごとに見積もりを取り、資金と期間の計画に落とし込みましょう(2026年10月時点の目安)。
出典・参考資料(3件)
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EC構築・運営・物流・多言語を越境EC支援サービスに任せる
ここまで見てきたとおり、化粧品の越境ECは、EC構築・運営、液体の輸送、多言語での販売・決済と、自力でそろえるには負担の大きい工程が重なります。このうちEC構築・運営・物流・多言語・決済をまとめて任せられるのが越境EC支援サービスです。ここでは、海外向けの販売基盤づくりや運営を支援する3社を紹介します。
ただし、以下の3社が支援するのはEC構築・運営・物流・多言語・決済の範囲で、化粧品固有の輸出規制(NMPA等)の代行可否は各社の公式情報に記載がありません。規制対応まで依頼できるかは、各社に直接確認してください。
化粧品規制(中国のNMPA備案・注冊、EUの責任者設置・CPSRなど)や成分の適合確認は、自社、または化粧品の薬事・海外申請を専門とする代行会社、各国当局・ジェトロで対応するのが基本です。引火性など危険物に当たる化粧品を扱えるかも、物流手段や各社ごとに確認する対象になります。
規制対応を外部に頼る場合は、化粧品の薬事・海外申請に特化した代行会社や、ジェトロの貿易投資相談窓口が探し始めの手がかりになります。EC運営の支援サービスとは役割が異なるため、分けて検討すると整理しやすくなります。
まず、紹介する3社を一覧で比較します。
| サービス名 | WeChatミニプログラム For中国越境EC | Lingble Global Guide | Lingble Link |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | 中国向け越境EC店舗の 構築・運営(WeChatミニプログラム) | 自社ドメインのグローバルECを 戦略立案〜構築・運営まで一括支援 | 複数国のEC運営を 一元管理する統合基盤 |
| 主な対応国・市場 | 中国 | グローバル (34カ国で販売・170カ国へ配送) | グローバル (複数国のチャネルを統合) |
| 支援範囲 | 店舗構築・運営 WeChatPay決済 国際物流パートナー連携 CRM・販促・現地カスタマーサポート代行 | 戦略立案・構築・運営 国際配送・通関・DDP対応 現地決済の最適化 多言語カスタマーサポート(24時間365日) | 受注・在庫・物流・決済・商品データの一元管理 多通貨・多言語・国別価格設定 主要EC/決済/配送/MAツール連携 |
| 料金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (売上連動のレベニューシェア型) | 要お問い合わせ (売上連動のリスク共有型) |
| 向いている事業者 | 中国向けの販売・決済・物流を 一つの仕組みでまかないたい事業者 | 海外EC運営をフルマネージドで任せ ブランド体験を自社で管理したい事業者 | 複数の国・チャネルの運営を 一つの基盤に集約したい事業者 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 |
1. WeChatミニプログラムFor中国越境EC(株式会社マルウェブ)

WeChat(微信)のアプリ内で動く「ミニプログラム」としてEC店舗を構築できる、株式会社マルウェブの中国向け越境ECサービスです。香港の上場企業である微盟(Weimob)との代理店契約に基づいて提供されており、利用者はアプリの追加インストールなしで店舗を利用できます。販売開始までの期間は約1〜3ヶ月が公式の目安とされています。
管理画面での商品・注文管理やCRM、グループ購入・ライブコマースなどの販促機能に加え、WeChatPayでの決済に対応し、売上は日本円建てで最低月1回振り込まれます。国際物流パートナーと連携し、倉庫保管型・注文都度発送型のいずれの配送スキームも提案できる点も特徴です。15日間のトライアルが用意されており、中国向けの販売・決済・物流を一つの仕組みでまかないたい事業者におすすめです。
2. Lingble Global Guide(Lingble Pte. Ltd.)

ブランド独自ドメインでの海外向けECサイトを、戦略立案から構築・運営・物流・多言語カスタマーサポートまで一括で任せられるのが、Lingble Pte. Ltd.のLingble Global Guideです。
複数国にサイトを分散させるのではなく、統一した自社ドメインでグローバルに販売する体制づくりを支援します。モールへの出店代行ではなく、自社ブランドサイトの運営支援である点が、前述のモール出店とは異なります。
34カ国での販売実績と170カ国への配送実績を公表しており、国際配送・通関・DDP(関税前払い)対応や、市場別の価格・在庫の最適化、24時間365日の多言語カスタマーサポートまでをまとめて提供します。
公式サイトではアパレル・文具・スポーツ・コスメなど多業種での実績があるとしています。料金はサイト売上に応じたレベニューシェア型で、詳細は要お問い合わせです。海外EC運営をフルマネージドで任せ、ブランド体験を自社で管理したい事業者に向きます。
3. Lingble Link(Lingble Pte. Ltd.)

複数国のストア・倉庫・物流・決済・商品データを一つの管理画面に統合する、グローバルEC運営の基盤サービスです。運営はLingble Pte. Ltd.で、日本国内の窓口は株式会社リングブルが担います。先に紹介したLingble Global Guideが構築・運営の伴走を含むのに対し、Lingble Linkは構築済みのチャネルを一元管理する実行基盤という位置づけです。
受注・出荷・返品・在庫・価格や税の設定・商品データ管理を一元化し、複数拠点の在庫統合や注文ごとの最適配送元の自動割り当てに対応します。
主要ECプラットフォーム(Shopify・Amazon・楽天など)や決済(Adyen・Stripe・PayPalなど)と連携できます。国際配送(FedEx・DHL・UPSなど)やマーケティングツール(Klaviyo・Mailchimpなど)とも連携できる点が強みです。料金は売上連動のリスク共有型で、詳細は要お問い合わせ。複数の国・チャネルの運営を一つの基盤に集約したい事業者に適しています。
ここで紹介した3社のように、越境ECの構築・運営・物流などを代行する会社は、支援する範囲(構築のみ・運営までまるごと・特定市場に特化など)や料金体系が会社ごとに大きく異なります。化粧品に限らず越境EC代行を広く見比べて依頼先を選びたい場合は、以下の記事でタイプ別の違いと費用相場・選び方を解説しています。
まとめ
化粧品の越境ECは、まず「モール出店・自社サイト構築・販売代行」のどれから始めるかを、費用・手間・向いている事業者で見比べて決めるところから始まります。そのうえで、狙う国に応じて中国NMPAをはじめとする登録・届出に対応し、禁止成分・表示を公式の確認先で照合し、液体・引火性の化粧品を送れる手段を選ぶ——この順で押さえれば、化粧品ならではの関門を一つずつ越えられます。
費用も期間も、国と始め方、そして自社でどこまで対応するかで大きく変わります。規制対応・物流・多言語などを自力でそろえるのが重いと感じたら、越境EC支援サービスにどこまで任せられるかを確認するのが次の一歩です。資料を取り寄せて、自社の狙う国と始め方に合うかを見比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 化粧品の越境ECとは何ですか?
A. 化粧品の越境ECは日本の化粧品を海外の消費者へ直接ネット販売する手法ですが、アパレルや雑貨など他の物販と決定的に違うのは「規制」と「輸送」の2つの関門がある点です。
売る前に中国のNMPA(国家薬品監督管理局)への登録・届出をはじめ各国の化粧品規制への適合が必要で、さらに液体・アルコール・引火性ゆえに国際郵便では送れない製品があります。この2点が、一般的な越境ECにはない固有のハードルです。
Q. 化粧品の越境ECはどの方法から始めればよいですか?
A. 化粧品の越境ECの始め方は、「モール出店」「自社サイト構築」「販売代行」の3つに大きく分かれます。送客力を借りて早く売れ行きを試すならモール出店、ブランドの世界観と顧客データを自社で管理するなら自社サイト構築、規制対応・物流・多言語まで任せて自社リソースを最小にするなら販売代行が向きます。費用・手間・向いている事業者を見比べ、自社でどこまで対応できるかを基準に選ぶのが現実的です。
Q. 化粧品を中国で越境ECで売るには、NMPAの正式登録が必ず必要ですか?
A. 化粧品を中国で売る場合、跨境電商(保税区)という越境EC向けルートを使えば、一般貿易で求められる正式登録の負担が軽減されます。一般貿易では一般化粧品の届出(備案)または特殊化粧品の登録(注冊)が必要ですが、保税区モデルの越境ECでは取引限度額(1回5,000元・年間2万6,000元)の範囲で販売を始めやすくなります。
まず跨境電商で売れ行きを確かめ、本格的に伸ばす段階で一般貿易の正式登録へ進む、という使い分けが現実的です。制度・限度額は改定され得るため、ジェトロや中国当局の最新情報で確認してください(2026年10月時点)。
Q. 化粧品の越境ECにはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 化粧品の越境ECの費用は、出店の初期費用・手数料、規制対応の費用、物流費、販売代行を使う場合のサービス利用費に分かれ、狙う国と始め方で大きく変わります。
中国NMPAの備案・注冊などは当局が公定費用を公表していないものが多く、代行会社や成分試験にかかる市場相場で幅があります。特定の金額を当局の公式費用のように受け取らず、各モール・各サービスの公式情報と見積もりで最新の条件を確認するのが確実です(2026年10月時点の目安)。
Q. 自社の化粧品が各国の禁止成分に当たらないかは、どこで確認できますか?
A. 化粧品の禁止・制限成分は、国ごとの公式データベースで自社の処方・ラベルを照合して確認します。EU向けは欧州委員会の成分データベース「CosIng」で禁止成分・制限成分を、中国向けはNMPAの「化粧品安全技術規範」の禁用・限用成分リストと「已使用化粧品原料目録(IECIC)」で照合できます。
禁止・制限される成分は多数にのぼり指定も改定され得るため、本文での全列挙ではなく、販売のたびに各国当局やジェトロの最新の公表内容で確認するのが確実です。
Q. 香水やアルコールを含む化粧品も海外に発送できますか?
A. 香水やアルコールを含む化粧品のうち、引火性液体にあたるものは国際郵便では送れません。日本郵便は、IATA(国際航空運送協会)の危険物規則が対象とする物品は郵便物の種類や輸送手段を問わず送れない(船便も不可)と案内しており、引火点60℃以下かどうかが送れる・送れないの境目になります。
ただしDHLやFedExなどのクーリエ(国際宅配便)は、所定の申告・梱包・数量制限などの条件を満たせば引き受けられることがあるため、利用前に各社の危険物取扱ガイドで確認してください。
Q. 化粧品の越境ECの規制対応や物流は、支援サービスにまとめて任せられますか?
A. 越境EC支援サービスを使えば、サイト構築・運営・物流・多言語対応などをまとめて任せられ、自社リソースを最小にできます。ただし化粧品固有の輸出規制(NMPA等)の代行まで対応できるかは支援会社によって異なり、公式情報に記載がない場合もあります。規制対応まで依頼したい場合は、狙う国に対応しているか・どこまで任せられるかを各社に直接確認したうえで資料を取り寄せ、比較して見極めるのが確実です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















