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ChatGPTで契約書レビューはどこまでできる?できること・プロンプトと弁護士法・情報漏洩の注意点

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契約書レビュー比較表(2026年版)のプレビュー

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契約書レビュー比較表(2026年版)

取引先から届いた契約書のチェックに、毎回時間がかかっていませんか。専任の法務がいない、あるいは一人で契約を見ている担当者ほど、見落としへの不安は大きくなりがちです。弁護士に都度依頼すれば費用も納期もかかり、契約審査の専用ツールは「高そうだ」と導入をためらう声も少なくありません。

そこで、普段から使っている ChatGPT に契約書を貼り付けてレビューさせられないか、と考える方が増えています。実際、ChatGPT は契約書の読み解きを補助する用途に一定の力を発揮します。一方で、任せてよい範囲とそうでない範囲、情報漏洩や弁護士法との関係など、使う前に押さえておきたい点もあります。

本記事では、ChatGPT で契約書レビューができること・できないことの線引きから、自社利用と弁護士法の関係、プラン別の情報の扱い、そのまま使えるプロンプト、そして ChatGPT では物足りないときの選択肢までを順に整理します。今日から自社の契約で試すための判断材料としてご活用ください。

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ChatGPTで契約書レビューはどこまでできる?できること・できないこと

最初に結論を示します。ChatGPTは契約書レビューの「下読み」や「たたき台づくり」には役立ちますが、最終的な法的判断や最新の法令への当てはめは任せられません。補助として使い、要所は人が確かめる——この前提で使うと効果が出ます。得意なことと当てにならないことを分けて見ていきます。

ChatGPTで契約書レビューをするときに任せてよい範囲と任せられない範囲の対比図。できることは、一般的な条項の抜け漏れの指摘、不利・リスクの高い条項の洗い出し、言い換え案や交渉用の代替文案、長文・英文契約の要約・翻訳といった下読み・たたき台づくり。任せられないことは、最新の法改正や新しい判例の反映、契約の可否などの最終的な法的判断、条文番号・判例の正確な引用で、要所は人が確かめる必要がある。

ChatGPTが得意なこと(できること)

ChatGPTは、契約書の内容を素早く読み解いて論点を並べる作業に向いています。具体的には、次のような下読み・整理の補助で力を発揮します。

  • 一般的な契約書にあるべき条項の抜け漏れの指摘(秘密保持、損害賠償、解除、準拠法・管轄など)
  • 自社に不利になり得る条項やリスクの高い条項の洗い出し
  • 曖昧な条文の言い換え案や、交渉用の代替文案のたたき台づくり
  • 長い契約書や英文契約書の要約・翻訳による内容把握

いずれも「担当者が自分で確認する前の一次整理」を速める使い方です。どこに注意して読むべきかの当たりが短時間で付くため、チェックの出発点として役立ちます。

ChatGPTが当てにならないこと(できないこと)

一方で、次の領域はChatGPTに任せきれません。ChatGPTは入力に続く言葉を確率的に予測して文章を生成する仕組みで、学習したデータにも時点の区切り(ナレッジカットオフ)があるためです。

  • 最新の法改正や新しい判例を踏まえた判断(学習時点より後の内容は反映されない)
  • この契約を結んでよいかという最終的な法的判断や、自社に固有の事情を踏まえた意思決定
  • 条文番号や判例の正確な引用(実在しない条番号・判例をもっともらしく生成することがある)

なぜこうした限界が生まれるのか、どんな誤りが起きやすいのか、どこから人に引き継ぐべきかは、記事後半の「ChatGPTの限界と、人・専門家に任せるべき範囲」で詳しく扱います。まずは「補助はできるが、最終判断と最新性は任せられない」という線引きを押さえてください。

ChatGPTで自社の契約書をレビューするのは弁護士法違反にならないのか

先に結論を述べます。自社の契約を自社のためにChatGPTでレビューする限り、利用する企業や担当者が弁護士法に違反することはありません。理由は、弁護士法第72条が禁じているのが「報酬を得る目的で」「他人の」法律事件を「業として」取り扱うことだからです。

自社の契約を自社のために確認する行為は、「他人の」法律事件ではなく、報酬を得る目的でも業として行うものでもないため、そもそも同条が禁止する行為に当たりません。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

出典:弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条|e-Gov法令検索

では、なぜ「ChatGPTでの契約書レビューは弁護士法違反では」という不安が語られるのでしょうか。弁護士法第72条がおもに問題になるのは、AIを使った契約書関連サービスを「提供する側」です。法務省は令和5年8月に、AI等を用いた契約書作成・審査・管理の支援サービスの提供と第72条の関係についての考え方を示していますが、これは一貫してサービス提供者の行為を対象にしたものです。

AI等を用いて契約書等(中略)の作成・審査・管理業務を一部自動化することにより支援するサービス(以下これらを総称して「本件サービス」という。)の提供と同条との関係についての考え方を以下に示した。

出典:法務省大臣官房司法法制部「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」(令和5年8月)

第72条は「サービスを提供する事業者が非弁行為に当たらないか」という観点の論点であり、そのサービスを使って自社の契約を確認する利用者側の行為を縛るものではありません。法務省の整理でも、通常の企業法務で行われる契約締結に向けた検討については、多くの場合いわゆる「事件性」がないとされています。ChatGPTを自社契約の確認に使うことは、この利用者側の通常業務に当たります。

ただし、注意したい使い方もあります。たとえば他社の契約書を報酬を受けて代わりにレビューし、その成果物を外部に提供するような形になると、「他人の」法律事件を「業として」扱うことになり、第72条の問題が生じ得ます。あくまで自社の契約を自社のために確認する範囲にとどめることが前提です。

ただし、第72条に当たるかどうかは最終的に個別の事実関係に基づいて裁判所が判断する事柄であり、ここで述べているのは一般的な考え方である点は申し添えます。

出典・参考資料(2件)

契約書をChatGPTに貼って情報漏洩しないか——プラン別のデータ利用と対策

契約書には取引先名や金額など、外部に出せない情報が含まれます。ChatGPTに貼り付けてよいかは、使っているプランによって入力データの扱いが異なる点を押さえると判断しやすくなります。

プラン別の学習利用・保持・オプトアウト一覧表

大きく分けると、個人向けプラン(無料・Plus・Pro)、ビジネス向けプラン(Team・Enterprise・Edu)、そして開発者向けのAPIで扱いが分かれます。以下は各プランのデータ利用に関する整理です。仕様は変更され得るため、貼り付け前に必ず公式の最新情報を確認してください。

← 横にスクロールできます →
プラン個人向け(無料/Plus/Pro)ビジネス向け(Team/Enterprise/Edu)API(開発者向け)
入力データのモデル改善への利用既定では改善に利用され得る既定で利用されない方針2023年3月1日以降、原則利用されない
オプトアウト・回避の設定設定→データコントロールで「モデルの改善」をオフ/一時チャットの利用管理者がデータ保持・権限を管理明示的にオプトインした場合を除き学習不使用
補足オフにしても不正監視などで一定期間保持される場合がある業務データをモデル学習に使わない前提で設計不正利用監視ログは原則最大30日保持

※2026年10月時点の情報です。プラン別の最新の仕様・設定名は各公式ページでご確認ください。

APIについては、OpenAIが「送信されたデータは2023年3月1日以降モデルの学習・改善に使われない(明示的に共有をオプトインした場合を除く)」と明記しています。開発者向けに自社システムへ組み込む場合の裏づけになります。

Your data is your data. As of March 1, 2023, data sent to the OpenAI API is not used to train or improve OpenAI models (unless you explicitly opt in to share data with us).

出典:Data controls in the OpenAI platform|OpenAI Platform Docs
出典・参考資料(3件)

貼り付け前のマスキング・安全な使い方

プランの設定に加えて、入力する内容そのものを工夫すると安全度が上がります。次のような手順を習慣にしておくと安心です。

  • 会社名・担当者名・金額などの固有情報は「A社」「○○円」などに置き換えてから貼り付ける(マスキング)
  • 個人向けプランでは、設定のデータコントロールでモデル改善への利用をオフにする、または一時チャットを使う
  • 社内で扱う契約書の機密区分に応じて、業務で使うプラン(ビジネス向け)を選ぶ
  • そもそも社外秘性の高い契約は、データの取り扱いが契約で担保された専用ツールの利用も検討する

マスキングをすれば、条項の構造やリスクの洗い出しといった下読みの用途は十分にこなせます。固有情報を伏せても契約の骨格は読み取れるためです。

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そのまま使える契約書レビュー用プロンプト集(作業別・契約類型別)

ここからは、実際に貼り付けて使えるプロンプトを紹介します。まず進め方の手順を押さえ、その後に「作業別」「契約類型別」の2つの切り口でプロンプトを示します。契約書の本文は、前節のマスキングを済ませてから貼り付けてください。

ChatGPTで契約書レビューを進める手順

進め方はシンプルです。まず、自社がその契約で発注者か受注者か、何を確認したいか(抜け漏れ、リスク、修正案など)を決めることから始めます。次に、立場と目的を明示したプロンプトとともに、マスキング済みの契約書を貼り付けて指示を出します。出てきた回答は鵜呑みにせず、指摘された条項を実際の契約書と照らして確かめ、重要な条項や判断に迷う点は法務担当者や弁護士に確認するのが安全です。

この「準備→指示→検証→専門家確認」の流れを守ると、ChatGPTの下読みを安全に活かせます。

契約書の渡し方は、本文をコピーして貼り付けるほか、WordやPDFのファイルを添付して読み込ませる方法もあります。ファイル添付なら整形の手間が省けますが、ファイル経由でも固有情報のマスキングは同じように必要です。条文数の多い契約書は、全文を一度に渡すと見落としが増えるため、章・条のまとまりごとに分けて確認したり、気になる条項だけを抜き出して深掘りしたりすると精度が上がります。

作業別プロンプト(全体レビュー・リスク抽出・修正案・要約翻訳)

1. 全体をまとめてレビューする

あなたは企業法務の担当者です。以下の契約書について、当社が〔発注者/受注者〕の立場で不利になり得る条項、一般的にあるべきなのに抜けている条項、意味が曖昧で解釈が割れそうな条項を洗い出してください。それぞれ「対象の条番号・なぜ問題か・確認すべき点」を一覧にして示してください。

【契約書】
(ここにマスキング済みの本文を貼り付け)

契約書全体の論点を短時間で一覧化し、どこを重点的に読むべきかの当たりを付けるためのプロンプトです。返ってくる回答は、次のように「対象の条項・問題点・確認すべき点」が項目ごとに並ぶ形になります。

【第◯条 損害賠償】
・問題点: 賠償額の上限が定められておらず、当社の負担が青天井になり得ます。
・確認すべき点: 「直接かつ現実に生じた通常の損害に限る」「賠償額は委託料を上限とする」などの定めを追加できないか交渉する。

【抜けている条項】
・反社会的勢力の排除条項が見当たりません。一般的な契約では定めることが多い条項です。

このように論点が整理されるので、指摘された条項を実際の契約書と照らし、重要な点は人が最終確認します。

2. リスクの高い条項を抽出する

以下の契約書から、当社にとってリスクの高い条項を重大度の高い順に抽出してください。たとえば、損害賠償の上限がない、解除事由が相手方に一方的に有利、秘密保持の範囲が広すぎる、といった観点です。各項目について「なぜリスクか」「修正の方向性」を添えてください。

【契約書】
(ここにマスキング済みの本文を貼り付け)

優先して交渉・確認すべき条項を見極められます。重大度順に並ぶため、対応の優先順位を付けやすくなります。

3. 修正案・代替文案をつくる

以下の条項について、当社(〔立場〕)に有利で、かつ相手方も受け入れやすい代替文案を2案作成してください。各案について「狙い」と「相手方が反発し得る点」も説明してください。

【対象の条項】
(ここに対象条項を貼り付け)

交渉のたたき台として、条文の修正案を複数パターンで用意できます。そのまま使うのではなく、最終的な文言は担当者が確認します。

4. 要約・翻訳で内容を把握する

以下の契約書を、法務以外の事業部メンバーにも分かるように、「契約の目的・当社の主な義務・金額・期間・解除条件」の観点で800字程度に要約してください。専門用語には簡単な注釈を付けてください。
(英文契約の場合は冒頭を「以下の英文契約書を和訳したうえで、…」に変更)

【契約書】
(ここにマスキング済みの本文を貼り付け)

長い契約書や英文契約書の要点を、関係者に共有できる形に落とせます。社内での合意形成を速める用途に向きます。

契約類型別プロンプト(業務委託・NDA・売買・ライセンス・賃貸借)

契約の種類ごとに、特にリスクになりやすい論点は異なります。類型に合わせて観点を指定すると、確認の精度が上がります。

1. 業務委託契約

以下の業務委託契約書を、次の観点でチェックしてください。(ア)偽装請負と疑われる指揮命令の記述、(イ)成果物の権利帰属と著作者人格権の扱い、(ウ)再委託の可否、(エ)フリーランスへの発注で求められる取引条件の明示。各観点について問題の有無と確認すべき点を示してください。

【契約書】(マスキング済みの本文)

委託契約で特に争点になりやすいのが、指揮命令・成果物の権利・再委託の扱いです。これらをまとめて点検できます。

2. 秘密保持契約(NDA)

以下の秘密保持契約書を、(ア)秘密情報の定義範囲が広すぎないか、(イ)目的外使用の禁止が明確か、(ウ)有効期間と契約終了後も残る義務(残存条項)、(エ)終了時の返還・破棄の定め、の観点でチェックし、当社に不利な点を指摘してください。

【契約書】(マスキング済みの本文)

秘密情報の範囲と有効期間は、NDAで見落とされやすいところ。この2点を重点的に確認できます。

3. 売買契約

以下の売買契約書を、(ア)契約不適合責任の期間と範囲、(イ)所有権の移転時期と危険負担、(ウ)検収の条件と期限、(エ)支払条件と遅延時の取り扱い、の観点でチェックし、当社が買主(または売主)として不利になる点を示してください。

【契約書】(マスキング済みの本文)

引き渡しと責任の所在をめぐる、売買契約に固有の論点を洗い出せます。

4. ライセンス契約

以下のライセンス契約書を、(ア)利用許諾の範囲(地域・期間・用途・利用者数)、(イ)再許諾(サブライセンス)の可否、(ウ)知的財産権の帰属、(エ)保証と免責の範囲、の観点でチェックし、当社に不利な点と確認すべき点を示してください。

【契約書】(マスキング済みの本文)

利用できる範囲と権利の帰属という、ライセンス契約の核になる論点を押さえられます。

5. 賃貸借契約

以下の賃貸借契約書を、(ア)原状回復の範囲と負担区分、(イ)中途解約の予告期間と違約金、(ウ)賃料改定の条項、(エ)契約更新の条件、の観点でチェックし、当社(借主または貸主)に不利な点を指摘してください。

【契約書】(マスキング済みの本文)

原状回復と中途解約は、賃貸借契約で後からもめやすい論点。契約前に確認しておけます。

ChatGPTの限界と、人・専門家に任せるべき範囲

プロンプトを使いこなしても、ChatGPTには仕組み上の限界があります。どこで誤りが起きやすく、どこから人に引き継ぐべきかを具体的に見ていきます。

条文番号・判例の捏造に注意(ハルシネーション)

前述のとおりChatGPTは言葉を確率的に予測して文章を組み立てるため、実在しない条文番号や判例を、もっともらしい書きぶりで生成することがあります。たとえば「民法第○○条によれば」「最高裁平成○年○月○日判決では」といった形で、存在しない根拠が添えられるケースです。条番号や判例が出てきたら、そのまま信じずに必ず原典(e-Gov法令検索や裁判所の公式情報など)で裏取りしてください。

最新の法改正・判例は反映されない

ChatGPTが学習したデータには時点の区切りがあり、それ以降に施行された法改正や新しい判例は反映されません。たとえば、フリーランスへの発注に関する取引適正化のルール(いわゆるフリーランス新法)は2024年11月1日に施行されていますが、学習時点がそれ以前のモデルでは、この内容を正しく踏まえた指摘は期待できません。

また、Web検索(ブラウジング)に対応したモデルでは最新情報を参照させることもできますが、検索結果から適切な条文を選び、自社の契約に正しく当てはめる判断までは任せられません。古い情報や関係のない情報を拾うこともあるため、Web検索を使う場合でも、最新の制度に関わる論点は公式情報(所管官庁のサイトやe-Gov法令検索)で現行の内容を確認する前提は変わりません。

出典・参考資料(1件)

最後は人・専門家が担う範囲

以上を踏まえると、ChatGPTに任せてよいのは「下読み・論点の洗い出し・たたき台づくり」までです。この契約を結ぶべきかという判断、自社に固有の事情を踏まえた交渉方針、そして最終的な法的な確認は、法務担当者や弁護士が担う領域になります。重要度の高い契約や、相手方との交渉が難航している契約では、早い段階で専門家に相談するのが安全です。

ChatGPTで一次整理を済ませておけば、専門家に確認すべき論点が明確になり、相談の質も上がります。

ChatGPTで物足りないときの選択肢——契約審査に特化したAIサービス

「ChatGPTの下読みだけでは心もとない」「機密性の高い契約を汎用AIに貼るのは不安だ」と感じたら、契約審査に特化したAIサービスが選択肢になります。日常的な契約の下読みはChatGPTで素早く済ませ、重要度や機密性の高い契約は専用サービスや弁護士に任せる、という使い分けが現実的です。

契約の重要度・機密性に応じたChatGPTと専用サービス・弁護士の使い分けを示した図。日常的で低リスクの契約は、ChatGPTで抜け漏れやリスク条項の洗い出し、たたき台づくり、要約・翻訳まで素早く下読みし、固有情報はマスキングして利用する。重要で機密性の高い契約は、弁護士監修の基準や自社基準に沿ったレビューと最終的な法的判断・交渉方針を、契約審査に特化したAIサービスや弁護士に任せ、データの取り扱いを契約で担保する。

契約審査特化のサービスは、弁護士が監修した基準でレビューする、自社のひな型・社内基準を反映できる、Wordと連携して使える、製品によっては弁護士に直接相談できる、データの取り扱いを契約で明確にする、といった点で汎用のChatGPTと異なります。まず次の比較表で各サービスの対応を一覧にし、そのあと1社ずつ紹介します。

← 横にスクロールできます →
サービスCLOUD LEGALOLGALegalOn Cloudマネーフォワード クラウドAI契約書レビューLegalBaseLeCHECK
提供形態クラウド
法務BPaaS(AI×弁護士)
クラウド
法務オートメーション
クラウド
AI法務プラットフォーム
クラウド
契約審査特化(Web+Word)
クラウド
AI+弁護士オールインワン
クラウド
契約審査特化
弁護士監修のAIレビュー●●●●△AIレビューの監修体制は非公表●
自社ひな型・基準の反映△プレイブック登録に対応●自社ひな型・ナレッジを反映———●自社基準チェックに対応
Word連携(アドイン等)●AIエディターでWord上完結—△Word連携オンラインエディタ●Wordアドイン版(オプション)—●Wordアドインに対応
弁護士への相談●チャット・TV面談・電話———●THEMILで弁護士にチャット相談—
料金目安月額11,000円〜
(税込・初期費用0円)
標準は要問い合わせ
中小企業向けは月額1万円〜(税別・初期10万円)
要問い合わせ
(モジュール選択型)
要問い合わせ
(件数に応じ従量)
月額5,000円〜
(税抜・初期費用なし)
要問い合わせ
(個別見積もり)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト

ここで挙げたサービスを含め、契約審査に特化したAIサービスをより広く比較し、選び方や機能・料金の違いから自社に合う一社を見極めたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)の公式サイト

CLOUD LEGALは、MOLTON株式会社が提供する、生成AIと弁護士・士業による運用を組み合わせた法務BPaaS型(AIと専門家の業務代行を合わせた法務アウトソーシング)のサービスです。弁護士監修のひな型を使った契約書作成、AIによる契約書レビュー(リーガルチェック)、法務・労務相談などを、月額11,000円(税込、ブロンズプラン、2026年8月時点)からオンラインで利用できます。

顧問弁護士を置きにくい中小企業や、社内の法務リソースが不足している企業を主な対象としています。

特徴は、レビューの土台が弁護士監修の契約書フォーマットである点と、相談先に実際の弁護士がつく点です。

2026年2月に提供を始めた「CloudLegal AIエディター」は、使い慣れたMicrosoft Wordのサイドバー上でAIと対話しながら、不利な条文や欠落している条項の検出と修正案の提示までをWord内で完結させる機能です。同社の測定では、契約書レビューの時間を3分の1に短縮したとしています。

データの取り扱いについては、公式サイトで生成AIは顧客情報を学習に使用しないと明記し、ISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得しています。プライム上場のITサービス企業では、従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかっていた契約書レビューや弁護士相談を1〜2日で返せたという併用事例を公表しています。

ChatGPTのような汎用AIのツールだけでは、使いこなす人がいて初めて成果が出ます。この「ツールと人」の関係について、同社は次のように述べています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO(最高営業・マーケティング責任者)
金沢由樹氏
独自インタビューより

SaaSは便利な反面、高機能化していて、フルに使い倒すには操作する人が必要になります。使い倒せないままSaaSだけが増えていく、という状況も起きがちです。法務BPaaS型の企業法務アウトソーシングサービスALSP(代替法務サービスプロバイダー)として、当社は人がついて、裏側で回る部分まで提供しているので、「使い倒せない」という状態はありません。現場にとって、ここがいちばん効いてくると思います。ツール導入が目的ではなく、業務が前に進むことが目的なので、そこに合わせて設計しています。

2. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」の公式サイト

GVA TECH株式会社が提供するOLGAは、契約書の作成・審査から締結後の契約書管理まで、法務業務の全プロセスを一つのクラウド上で扱う法務オートメーションのプラットフォームです。運営会社は東証グロース市場の上場企業で、代表取締役CEOを弁護士の山本俊氏が務めます。AI契約レビュー、案件の受付・管理、契約台帳の自動生成、ナレッジ活用までをモジュールとして組み合わせて導入できます。

契約書レビューの観点では、弁護士が作成・監修した契約書ひな型をベースにしたAIレビューに加えて、自社のひな型やナレッジを設定したうえでの審査ができる点が、設定を都度プロンプトで渡す汎用AIとの違いになります。Word・PDFの両方に対応(OCR対応)し、リスク箇所の自動検出と修正案の提示、文書比較(差分抽出)ができます。

さらに2026年4月からは、ChatGPTやCopilotなどの汎用生成AIを業務に取り込む企業向けに、企業ごとの契約審査基準(プレイブック)の構築を支援する「OLGA AIコンサルティング」を、ツール提供とは別メニューとして展開しています。

料金は、標準プランが要問い合わせ(機能ごとの個別見積り)、2026年7月に新設された中小企業向け契約管理プランは初期費用10万円(税別・初年度のみ)・月額1万円〜(税別・年間契約)です(2026年9月時点)。

ChatGPTのような汎用生成AIをすでに使っている企業を、どう支援していく考えなのか。同社は次のように説明しています。

大沢氏
GVA TECH株式会社 法務オートメーション事業部 パートナーアライアンスチーム マネージャー
大沢氏
独自インタビューより

当社では「AX(AIトランスフォーメーション)」という概念を掲げています。単純にツールを展開するだけでなく、お客様が既に導入されているAIツールとOLGAをどう有機的にシナジーを生み出しながら最大活用していくか。そこをツールとコンサルティングの両輪で支援していきます。具体的には、業務設計をしっかり整えた上でAIに自動化させていき、最終的な責任は人が持ちながらも、AIを使うガバナンスをどう整えるかというところまで、お客様と一緒にフェーズを分けて取り組んでいく方針です。

3. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOn Cloudの公式サイト

契約審査から契約管理、電子契約までを同じ基盤の上で扱えるのが、株式会社LegalOn Technologiesの「LegalOn Cloud」です。AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」とAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」で培った技術に大規模言語モデル(LLM)を統合したAI法務プラットフォームで、2024年4月15日に提供を開始しました。

レビュー・案件管理・契約管理・電子契約・リサーチのモジュールを必要に応じて選んで導入する構成です。

締結前のレビュー機能は、弁護士監修のAIがリスクや体裁をチェックし、編集機能やひな形集と合わせて使えます。ひな形は、弁護士監修の「LegalOn Template」1,500点以上に加えて、森・濱田松本法律事務所が監修する高度なライブラリを備え、汎用AIでは手当てしにくい専門監修の土台を持ちます。

契約書の版管理・全文検索・文書比較・Word連携のオンラインエディタを標準機能として提供し、英文をはじめとする多言語契約書の翻訳・言語確認にも対応します。セキュリティ面では、ISMS(ISO/IEC 27001)、ISMSクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)、SOC 2 Type 2を取得し、多要素認証を標準搭載しています。

料金はモジュール選択型で、初期費用・月額とも要問い合わせが基本です(2026年8月時点)。

4. マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドAI契約書レビューの公式サイト

マネーフォワード クラウドAI契約書レビューは、株式会社マネーフォワードが2025年8月8日に提供を開始した、締結前の契約書レビューに特化したサービスです。契約書をアップロードすると、専門弁護士が監修したAIがリスク箇所を指摘し、変更条文例や解説を表示します。バックオフィスSaaS群「マネーフォワード クラウド」を展開する同社が、電子契約の川上にあたるレビュー工程へ機能を広げた製品にあたります。

リスク指摘にとどまらず変更条文例と解説まで提示するため、条文の直し方まで含めて確認できます。対象の2文書を選ぶとWeb画面上で差分を表示でき、WordファイルとPDFファイルをまたいだ比較にも対応します。オプションのWordアドイン版を使えば、Web版と同じレビュー支援機能をWord上でそのまま利用できます。

電子契約の「マネーフォワード クラウド契約」と併用すると、事業部門とチャット形式で法務相談・審査のやりとりを記録しながら、作成から締結までを一元管理できます。料金は要問い合わせで、AIレビューのチェック件数は月間100件ごとに追加料金が発生します(2026年7月時点)。

5. LegalBase(株式会社アシロ)

LegalBase(リーガルベース)の公式サイト

AI契約書レビューと企業法務に詳しい弁護士へのチャット相談を月額定額にまとめたのが、株式会社アシロの「LegalBase」です。2026年3月に提供を開始したオールインワンのリーガルテックで、AI契約書レビュー「LEGIEW」と弁護士チャット相談「THEMIL」を中核に、契約書ひな形のダウンロード、反社チェック、契約管理を備えます。法務担当者が不在の中小企業を主な対象としています。

「LEGIEW」は締結前の契約書の抜け漏れ・リスクを自動検出して修正案を提示する機能で、Word・PDF・OCRに対応し、全プランで無制限に使えます。AIで日常的な契約書を素早く確認し、判断が難しい案件は弁護士にチャットで相談するという二段構えが、汎用AIだけでは補いにくい部分を埋めます。

相談ごとの従量課金なしで弁護士相談が月額に含まれ、公式のaboutページでは回答までの目安を24時間以内としています。また、公式サイトには、AIレビューは弁護士の法的判断の代替ではなく確認を補助するものである旨の注記があります。

料金は月額5,000円(税抜、個人事業主プラン)から、従業員10名未満で月額10,000円(税抜)で、初期費用・追加費用がなく契約期間の縛りもありません(2026年10月時点)。

6. LeCHECK(株式会社リセ)

LeCHECK(リチェック)の公式サイト

株式会社リセの「LeCHECK」は、和文・英文の契約書を弁護士監修のAIでレビューする、法務特化型のクラウドサービスです。契約書ファイルをアップロードすると、検討が必要な箇所や欠落している条文、修正案を自動で提示します。代表取締役CEOを弁護士の藤田美樹氏が務め、累計導入企業数は5,000社を突破しています(2026年1月時点、公式プレスリリース)。

中堅・中小企業から東証プライム上場企業、法律事務所まで導入実績があります。

AIリスクチェックは弁護士監修の基準に沿って指摘を行い、リスクの高さを3段階で色分け表示します。自社の過去契約書・ひな型を登録して社内基準との相違を検証する「自社基準チェック」に対応しており、汎用AIに自社ルールを都度与える手間なく運用できます。

英文契約書は海外取引に精通した弁護士監修によるリスクチェックと機械翻訳を同時に行い、Wordアドイン経由でWord文書上でもレビュー・校正ができます。弁護士監修のひな型は1,300種類以上を備え、100種類以上の契約類型に対応します。

2025年12月には、2026年1月1日施行の取適法(旧・下請法の改正法)に対応した「取適法マスター」を提供するなど、法改正への対応も進めています。セキュリティはISO/IEC 27001・ISO/IEC 27017を取得。料金は個別見積もり制(要問い合わせ)で、無料トライアルを用意しています(2026年7月時点)。

まとめ

ChatGPTは、契約書の抜け漏れの指摘、リスク条項の洗い出し、修正案のたたき台づくり、要約・翻訳といった「下読み」に役立ちます。一方で、最新の法改正への当てはめ、条文番号や判例の正確な引用、最終的な法的判断は任せられません。自社の契約を自社のために確認する限り弁護士法上の問題はありませんが、情報漏洩を避けるにはプラン設定とマスキングの両面で備える必要があります。

まずは本記事のプロンプトを手元の契約で試し、「補助として使い、要所は人が確かめる」使い方を身につけてください。そのうえで、より確実なレビューや機密性の担保が必要になったときは、契約審査に特化したAIサービスの比較・資料請求に進むとよいでしょう。

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よくある質問(FAQ)

Q. ChatGPTでの契約書レビューとは何ですか?

A. ChatGPTでの契約書レビューとは、契約書の本文をChatGPTに読み込ませ、条項の抜け漏れやリスクのある条項の指摘、修正案のたたき台づくり、要約・翻訳といった「下読み」を補助させる使い方です。契約を結んでよいかという最終的な法的判断や、最新の法改正への当てはめは任せられないため、人が確かめる前段の一次整理として使うのが基本になります。

Q. ChatGPTの無料版でも契約書レビューに使えますか?

A. ChatGPTの無料版でも契約書レビューの機能そのものは使えますが、入力した内容は既定ではモデルの改善(学習)に利用され得るため、設定のデータコントロールで「モデルの改善」をオフにするか、固有情報をマスキングしてから貼り付ける必要があります。機密性の高い契約書を頻繁に扱う場合は、入力データを学習に使わない方針のビジネス向けプラン(Team・Enterprise)を選ぶとより安全です。

Q. ChatGPTに機密性の高い契約書をそのまま貼り付けても大丈夫ですか?

A. 機密性の高い契約書は、固有情報をマスキングせずにそのまま貼り付けるのは避けるのが原則です。会社名・担当者名・金額などを「A社」「○○円」などに置き換えれば、条項の構造やリスクの洗い出しといった下読みには十分使えます。社外秘性がとくに高い契約は、データの取り扱いを契約で担保できる契約審査特化ツールの利用も検討してください。

Q. ChatGPTで他社の契約書を代わりにレビューしても弁護士法上問題ないですか?

A. 自社の契約を自社のために確認する限り弁護士法上の問題はありませんが、報酬を得て他社の契約書を代わりにレビューし成果物を提供する形になると、弁護士法第72条(非弁行為)の問題が生じ得ます。ChatGPTを使うかどうかにかかわらず、「他人の」法律事件を「業として」取り扱うかどうかが分かれ目です。自社利用がなぜ問題にならないのかは、本記事の弁護士法の章で詳しく説明しています。

出典・参考資料(2件)

Q. 契約書レビューにはChatGPTとClaudeなどの生成AIのどちらがよいですか?

A. 契約書レビューの下読み用途では、ChatGPTとClaudeなどの汎用生成AIに決定的な優劣はなく、いずれも補助ツールとして使えます。むしろ同じ契約書を複数のAIに読ませて指摘を突き合わせると、片方だけでは気づきにくい見落としを拾いやすくなります。ただしどのAIを使っても、最新の法改正への当てはめや最終的な法的判断は任せられない点は変わりません。

Q. ChatGPTは英文契約書のレビューにも使えますか?

A. ChatGPTは英文契約書の和訳・要約や論点整理に使え、内容把握の下読みには役立ちます。ただし準拠法が外国法の契約では、その国の法制度を正確に踏まえた判断は期待しにくいため、重要な英文契約は英文契約に精通した専門家や、英文対応の契約審査特化ツールに引き継ぐのが安全です。

Q. ChatGPTと契約審査に特化したAIサービスはどう使い分ければよいですか?

A. ChatGPTは日常的な契約書の下読みやたたき台づくりに、契約審査特化のAIサービスは弁護士監修のひな型や自社基準に沿った精度の高いレビューに向いており、契約の重要度と機密性で使い分けるのが基本です。専用サービスは、自社ルールの反映、修正履歴つきWordでの返却、データの取り扱いの契約担保といった、汎用AIにない機能を備えます。

機密性や重要度の高い契約ほど、専用ツールの比較検討が向いています。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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