社内で複数の担当者がファイルを共有する基盤を新しく整えるとき、候補として必ず挙がるのが「ファイルサーバー」と「NAS」です。どちらも、みんなでファイルを置いて共有する仕組みという点は共通しているため、何がどう違い、自社にはどちらが合うのかが分かりにくいという声は少なくありません。
この違いを曖昧にしたまま選ぶと、「少人数で手軽に始めたかったのに高機能すぎて持て余す」「拡張しようとしたら増設に手間とコストがかかる」といったミスマッチが起こります。特にIT専任の担当者が少ない企業では、導入後の運用負担まで見据えた判断が欠かせません。
本記事では、ファイルサーバーとNASの違いを「仕組み」「費用」「運用の手間」「セキュリティ」などの観点で整理し、自社の規模・体制に合う選び方を解説します。あわせて、物理的な機器を持たずに運用負担や容量不足を抑える第3の選択肢として、近年導入が進むクラウドストレージについても紹介します。
目次
ファイルサーバーとNASの違いを一言でいうと(仕組みか、専用機器か)
ファイルサーバーとNASの違いを一言でいうと、ファイルサーバーは「ファイル共有を実現する仕組み(システム)」、NASは「そのための専用機器」です。両者は対立する別物というより、「同じ目的を、どんな形で用意するか」という手段の違いとして捉えると理解しやすくなります。

ファイルサーバーは、サーバー用のコンピューターにOSやファイル共有の機能を載せて構築します。自社の要件に合わせて機能やアクセス権限を細かく設計でき、保存容量もサーバーの構成次第で柔軟に拡張できます。その分、構築や運用には専門的な知識が必要です。
一方のNAS(Network Attached Storage)は、ネットワークに接続してファイルアクセスの機能を提供するファイル共有専用の機器です。ハードディスクと必要な機能があらかじめ一体化されているため、ネットワークにつないで初期設定すればすぐに使い始められます。
つまり、カスタマイズ性や拡張性を重視して自社仕様で作り込むのがファイルサーバー、導入と運用の手軽さを重視して完成した機器を使うのがNAS、という整理になります。この前提を押さえたうえで、次の章から観点別の違いを具体的に見ていきます。
出典・参考資料(1件)
【比較表】ファイルサーバー・NAS・クラウドを6つの観点で比べる
ここからは、ファイルサーバーとNASの違いを「費用」「導入・運用の手間」「カスタマイズ性」「セキュリティ・権限管理」「容量の拡張」「向く利用規模」の6つの観点で比較します。あわせて、物理機器を持たない第3の選択肢であるクラウドストレージも同じ観点で並べ、3者を見比べられるようにしました。
| 観点 | ファイルサーバー | NAS | クラウドストレージ |
|---|---|---|---|
| 費用 | サーバー機器・OS・構築費がかかり高くなりやすい | 機器購入費が中心で比較的安価 | 初期費用を抑えやすいが、利用する限り月額が継続して発生 |
| 導入・運用の手間 | 構築・保守に専門知識が必要 | 設置・初期設定で始めやすい | 機器の調達・保守が不要で、管理はブラウザや管理画面から |
| カスタマイズ性 | 高い(自社要件に合わせて作り込める) | 製品の機能範囲に依存し自由度は限定的 | サービスの機能範囲に依存するが、権限・共有の設定は柔軟 |
| セキュリティ・権限管理 | 細かい権限設計やログ管理を作り込める | 製品の標準機能に依存 | 暗号化・アクセス制御・ログ・多要素認証などを標準提供する製品が多い(データは社外保管のため社内確認が必要な場合も) |
| 容量の拡張 | 構成変更で拡張できるが手間がかかる | 搭載ディスクの上限に左右され、増設に手間 | 容量追加プランで比較的柔軟に拡張しやすい |
| 向く利用規模 | 利用者が多く要件が複雑な中〜大規模向き | 少人数〜中小規模向き | 規模を問わず対応しやすいが、インターネット接続が前提 |
表のとおり、ファイルサーバーは「作り込みと拡張性」、NASは「手軽さとコスト」に強みがあります。クラウドストレージは、機器を自社で持たずに両者の運用負担を抑えられる点が特徴です。次章では、それぞれの長所と短所をもう少し詳しく見ていきます。
ファイルサーバーとNASそれぞれのメリット・デメリット
ここからは、比較表で俯瞰した違いを、ファイルサーバーとNASそれぞれの長所・短所として掘り下げます。自社にとってどちらの特性が重要かを判断する材料にしてください。
ファイルサーバーのメリット・デメリット
ファイルサーバーの最大のメリットは、自社の運用に合わせて柔軟に設計できることです。部署や役職ごとの細かいアクセス権限、操作ログの取得、他システムとの連携などを要件に応じて作り込めます。利用者が増えても、サーバーの構成を見直すことで対応しやすい拡張性も強みです。
特にWindowsサーバーで構築する場合は、社員アカウントを一元管理するActive Directoryと連携でき、既存アカウントに紐づけてフォルダ単位の権限を一括管理できます。人数が多く権限設計が複雑な環境ほど、この一元管理の効果が大きくなります。
一方のデメリットは、導入と運用に専門知識とコストがかかる点です。サーバー機器やOSの購入・構築に数十万円以上の初期費用がかかることもあるうえ、障害対応やセキュリティ更新といった保守を継続的に行う必要があります。IT専任の担当者がいない企業では、この運用負担が重くのしかかりやすい点に注意が必要です。
NASのメリット・デメリット
NASのメリットは、導入と運用が手軽でコストを抑えやすいことです。ファイル共有に必要な機能があらかじめ一体化されているため、ネットワークにつないで初期設定すれば使い始められます。製品によっては数万円台から導入できるものもあり、専門知識が少なくても扱いやすいのが利点です。
デメリットは、カスタマイズ性と拡張性が製品の仕様に左右されることです。細かな権限設計や高度なセキュリティ対策は、製品が備える機能の範囲に収まります。保存容量も搭載ディスクの上限に依存するため、データが増え続けると増設や買い替えの手間が生じます。セキュリティの水準も製品ごとに差があり、運用でどこまで担保できるかは確認が必要です。
自社に合うのはどっち?規模・体制・要件で選ぶ
ここからは、「結局、自社にはどちらが合うのか」を判断するための考え方を整理します。利用人数・IT体制・セキュリティ要件・拡張の見込み・コストの観点から、向いているケースを具体的に見ていきましょう。
NASが向いているのはどんな企業か
NASは、少人数〜中小規模で、まずは手早く・低コストに共有環境を整えたい企業に向いています。特に、IT専任の担当者がおらず運用の手間を増やしたくない場合や、権限管理は部署・フォルダ単位の基本的な制御で足りる場合に適しています。
- 利用者が数名〜数十名程度で、同時アクセスが集中しすぎない
- 導入・運用の手間とコストをできるだけ抑えたい
- 複雑な権限設計や他システム連携までは必要としない
ファイルサーバーが向いているのはどんな企業か
ファイルサーバーは、利用者が多く、権限管理やセキュリティの要件が厳格で、将来の拡張も見据えたい企業に向いています。自社で管理できるIT体制があり、要件に合わせて作り込みたい場合に強みを発揮します。
- 利用者が多く(目安として100名規模以上)、同時アクセスも多い
- 部署・個人単位での細かい権限設定やログ監視など、厳格なアクセスポリシーが求められる
- 事業拡大を見据えて、独自機能の追加やシステム連携など拡張性を確保したい
NASかファイルサーバーに絞り込めたら、次章で挙げる確認ポイント(RAID・同時接続・バックアップ・保守)を製品選びの軸にすると、導入後のミスマッチを避けやすくなります。
なお、「手軽さは欲しいが、拡張性やリモート対応にも不安が残る」という場合は、どちらか一方に絞り込む前に、後述するクラウドストレージも含めて検討すると選択肢が広がります。

導入前に確認したいチェックポイント(RAID・同時接続・バックアップ・保守)
ファイルサーバー・NASのどちらを選ぶ場合も、導入後に「思っていた使い方ができない」とならないよう、事前に押さえておきたい観点があります。次の4点は、製品選定の前に自社の要件と照らし合わせておくと安心です。
- RAIDへの対応:複数のディスクにデータを分散・複製してディスク故障に備える仕組みです。業務データを扱うなら、どのRAID構成に対応しているかを確認し、障害時の復旧のしやすさも見ておくと安心です。
- 推奨同時接続数:同時にアクセスする人数が多いと処理が重くなることがあります。利用人数に対して余裕のある推奨同時接続数か、アクセスのピーク時にも耐えられるかの確認が重要です。
- バックアップ:RAIDは故障対策であって、誤削除やランサムウェア被害に対するバックアップとは別物です。別媒体やクラウドへの定期バックアップの手段があるかを確認しておきましょう。
- 保守・サポート:障害時にどこまで支援を受けられるか(保守サービスの有無・範囲・期間)は、運用負担を大きく左右します。IT専任者がいない場合は特に重視したいポイントです。
ファイルサーバーやNASのデータをクラウドへ自動退避する方法を具体的に検討したい場合は、法人向けクラウドバックアップの対応範囲や選び方を比較した次の記事が参考になります。
どちらの運用負担も避ける第3の選択肢「クラウドストレージ」
ここまでファイルサーバーとNASを比べてきましたが、どちらも物理的な機器を自社で用意し、運用・保守し続ける必要があります。既存のファイルサーバーやNASが老朽化してきた、容量が足りなくなってきた、テレワークや拠点間での共有に対応しづらい、といった課題を抱えている場合は、第3の選択肢としてクラウドストレージが候補になります。
クラウドストレージは、事業者がインターネット経由で提供するファイル保管・共有の仕組みです。自社で機器を持たないため、調達・保守の手間や容量不足の悩みを抑えやすく、必要に応じて容量を追加できます。
インターネットがあればどこからでもアクセスでき、データのバックアップ・冗長化や、暗号化・アクセス権限の管理を標準で備える製品が多い点も特徴です。パスワード付きメール添付(いわゆるPPAP)を見直す流れのなかで、社外との安全なファイル共有手段として導入する企業も増えています。
近年は、WindowsのエクスプローラーやMacのFinderから、これまでのファイルサーバー・NASと近い操作感で使える法人向けのクラウドストレージも登場しています。ここでは、社内のファイルサーバー・NASの置き換えに向くサービスを比較します。各社で課金方式(容量課金/ID課金)が異なるため、料金は容量・ID数の前提とあわせてご確認ください。
| サービス名 | ABLENETストレージ | Fileforce | コワークストレージ | セキュアSAMBA | 使えるファイル箱 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額料金(最小構成) | 19,800円〜/月 (1TB・1年契約、税込) | 9,900円〜/月 (10ID・税別) | 2,750円〜/月 (5ID・100GB、税込) | 25,000円〜/月 (300GB) | 25,520円〜/月 (1TB・1年契約、税込) |
| 課金方式 | 容量課金 (ユーザー数無制限) | ID課金/ユーザー数無制限 (プラン選択) | ID課金 (ID数・容量でプラン選択) | 容量課金 (有料はユーザー数無制限) | 容量課金 (ユーザー数無制限) |
| 容量(最小構成) | 1TB〜 (1TB単位で追加可) | 100GB〜 (最大38TB) | 100GB〜 (最大5TB、追加可) | 300GB〜 (最大3TB、以上は個別見積) | 1TB〜 (アドバンスは3TB) |
| エクスプローラー / Finder対応 | ● | ● | △Windowsエクスプローラー対応(Mac Finderは未確認) | △Windowsエクスプローラー対応(Mac Finderは未確認) | ● |
| 取得認証(ISO/IEC) | ISO認証データセンター (種別は非公表) | ISO/IEC 27001・27017 JIIMA認証(電帳法) | ISO/IEC 27001・27017 | ISO/IEC 27001・27017・27701 | ISO/IEC 27001 |
| 国内データセンター | ●国内保管 | △AWS利用・所在地非公表 | ●国内 | ●AWS東京 | ●国内(長野2拠点) |
| 無料トライアル | ●10日間(カード情報不要) | ●30日間(簡易審査あり) | ●30日間(スタートプラン) | ●14日間+無料プラン(容量2GB) | ●30日間(カード情報不要) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
それぞれのサービスの特徴を紹介します。料金や機能の詳細は変更される場合があるため、導入前に各社の最新情報をあわせてご確認ください。
1. ABLENETストレージ(株式会社ケイアンドケイコーポレーション)

ABLENETストレージは、レンタルサーバーなどを手がける株式会社ケイアンドケイコーポレーションが2025年12月に提供を開始した法人向けクラウドストレージです。利用人数ではなく保存容量で料金が決まる容量課金制を採り、ユーザー数は無制限。社員や取引先の増減で費用が変わらない料金設計を特徴としています。
WindowsのエクスプローラーやMacのFinderから仮想ドライブとしてアクセスでき、使い慣れた操作のままファイルを扱えます。IT専任者が不在の中小企業を主な対象に、パスワード付きメール添付(PPAP)の廃止やシャドーIT(許可されていない機器・サービスの業務利用)対策といった用途として想定されています。
料金はベーシック(1TB)で月額22,000円(1ヶ月契約・税込、1年契約なら月額換算19,800円)から、初期費用は16,500円です。AES256ビットの暗号化や二要素認証を備え、上位のプロプランではIPアドレス制限なども利用できます(2026年9月時点)。
導入したツールが社内で使われ続けるかどうかは、IT専任の担当者がいない企業ほど運用の成否を左右します。この点について、提供元の株式会社ケイアンドケイコーポレーションの的場氏は次のように述べています。

いくら機能が優れていても、操作が難しくて現場の方が使いこなせなければ、結局問い合わせが総務部門に殺到してしまって業務負担が増えてしまいます。中小企業様では、総務部門の方が通常業務と兼ねてIT窓口も担当されているケースが多いので、「運用負荷を増やさないこと」は本当に重要な判断軸になります。
2. Fileforce(Fileforce株式会社)

Fileforceは、企業のファイルサーバー・NASのクラウド化を目的とした純国産のクラウドファイルサーバーです。エクスプローラーやFinderから使える「Fileforce Drive」と、ブラウザから使える「Fileforce Web UI」の2つの画面を用意し、オンプレミスのファイルサーバーと同じ操作感・アクセス権限の設計を保ったまま移行できる点を打ち出しています。
料金は初期費用0円で、ユーザー数50名未満向けのID課金プラン(10IDで月額9,900円から・税別)と、人数に左右されないユーザー数無制限プラン(1TBで月額60,000円から・税別)を選べます。
ランサムウェア対策やPPAP対策、電子帳簿保存法対応の機能を備え、JIIMA認証も複数取得。OEM提供分を含め25,000社以上の導入実績があり、1,000名を超える規模の組織での導入事例も公表しています(2026年9月時点)。
3. コワークストレージ(東日本電信電話株式会社)

Windowsのファイルエクスプローラー上にドライブとしてマウントでき、従来のファイルサーバーやNASと近い操作感で使えるのがコワークストレージです。NTT東日本が中小企業向けに提供する国産のクラウドストレージで、データは国内のデータセンターに保管され、情報セキュリティの国際規格であるISO/IEC 27001や、クラウド向けのISO/IEC 27017を取得しています。
料金は初期費用0円で、スタート(5ID・100GB)の月額2,750円からプロフェッショナル(50ID・5TB)の月額39,600円まで5段階(税込)で用意されています。必要に応じてIDや容量を追加できます。
削除ファイルを30日間保持するごみ箱、過去7日分の更新履歴の自動保存、不審なファイル操作を検知するランサムウェア対策機能などを備え、kintoneやMicrosoft 365との連携にも対応します(2026年9月時点)。
4. セキュアSAMBA(株式会社kubellストレージ)

セキュアSAMBAは、導入・運用の負担を抑えることを打ち出した法人向けクラウドストレージで、ファイルサーバーやNASの置き換えを用途として示しています。ドライブマウントによってNASと同等の操作ができるほか、デスクトップアプリやWebブラウザからの利用にも対応。社外の取引先にはユーザーIDを発行せずに共有リンクでファイルを渡せます。
有料プランはユーザー数無制限で、料金は人数ではなくデータ容量で決まる容量課金型です。300GBで月額25,000円のプランから、500GB・1TB・3TBまで段階的に用意されています。
AES256ビットの暗号化、IPアドレス制限、シングルサインオン、二要素認証といったセキュリティ機能を備え、情報セキュリティのISO/IEC 27001をはじめとする認証を取得。容量2GBまでの無料プランも用意されています(2026年10月時点)。
5. 使えるファイル箱(使えるねっと株式会社)

「社内のファイルサーバーをまるごとクラウドへ」を掲げるのが、使えるねっと株式会社の法人向けクラウドストレージ「使えるファイル箱」です。WindowsのエクスプローラーやMacのFinderからアクセスでき、ファイルサーバーに近い操作感で使えます。ユーザー数は無制限で、料金は容量プランで決まります。
料金はスタンダード(1TB)が1年契約で月額25,520円(税込)から、アドバンス(3TB)が月額72,600円(税込)です。最大999世代までさかのぼれる世代管理や削除ファイルの復元、Active Directory連携、操作ログの監視、二要素認証を備えています。上位のアドバンスではIPアドレス制限やデバイス管理も利用できます。
データはAES256ビットで暗号化され、国内(長野県の2拠点)のISO/IEC 27001認証データセンターに保管。30日間の無料トライアル(クレジットカード不要)も用意されています(2026年10月時点)。
ここで取り上げたのは、ファイルサーバー・NASの置き換えに向くサービスに絞った紹介です。料金体系・容量・セキュリティをそろえて主要なクラウドストレージを横並びで比較し、自社の使い方に合うタイプを診断で絞り込みたい場合は、17サービスの比較と選び方をまとめた次の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
ファイルサーバーとNASの違いは、「ファイル共有を実現する仕組み」か「そのための専用機器」かという点にあります。カスタマイズ性と拡張性を重視し、自社のIT体制で作り込みたいならファイルサーバー、手軽さとコストを重視して少人数で早く始めたいならNASが基本の選び方です。
そのうえで、既存機器の老朽化・容量不足・リモート対応といった課題があるなら、物理機器を持たずに運用負担を抑えられるクラウドストレージも有力な選択肢です。自社の規模・体制・セキュリティ要件を踏まえ、3つの選択肢を見比べて検討することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. NASとは何ですか?
A. NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークに接続して複数の利用者でファイルを共有するための専用機器です。
ハードディスクとファイル共有に必要な機能があらかじめ一体化されており、ネットワークにつないで初期設定すればすぐに使い始められます。ファイル共有を実現する「仕組み(システム)」であるファイルサーバーに対し、NASはその役割を担う「完成した機器」である点が最大の違いです。
Q. ファイルサーバーとNASは併用できますか?
A. ファイルサーバーとNASは併用でき、用途や部署によって使い分ける運用も可能です。たとえば全社で扱う基幹データは権限管理を細かく設計できるファイルサーバーに、特定チームの作業用共有は手軽なNASに、といった分担ができます。ただし保管場所が分散するほど、バックアップや権限設定、どこに何があるかの管理の手間が増えるため、データの置き場所のルールをあらかじめ決めておくことが大切です。
Q. 個人向け・家庭用のNASを会社で使っても問題ないですか?
A. 個人向け・家庭用NASを業務で使うことも可能ですが、利用人数が増えたり厳格なセキュリティ・保守が求められたりする場面では法人向け製品が無難です。
家庭用は推奨同時接続数やサポートの範囲が限られることが多く、障害時の復旧やアクセス権限の管理で不足が出やすいためです。少人数で試験的に使う段階を超えて業務の基盤にするなら、推奨同時接続数・RAID対応・保守サービスを備えた法人向けNASを選ぶと安心です。
Q. ファイルサーバーやNASに社外(在宅・拠点)からアクセスできますか?
A. ファイルサーバーやNASも設定次第で社外からアクセスできますが、VPNなどの仕組みと追加のセキュリティ対策が別途必要になります。どちらも社内ネットワーク内での利用を前提とした機器のため、外部からの利用を可能にするには、不正アクセス対策や通信の暗号化を自社で用意しなければなりません。
在宅勤務や複数拠点での利用が多い場合は、インターネット経由でどこからでもアクセスでき、暗号化やアクセス制御を標準で備えるクラウドストレージのほうが運用の負担は軽くなります。
Q. ファイルサーバーやNASからクラウドストレージへ移行できますか?
A. ファイルサーバーやNASからクラウドストレージへの移行は可能で、既存のフォルダ構成やアクセス権限を引き継いで移せるサービスもあります。
近年はWindowsのエクスプローラーやMacのFinderから従来と近い操作感で使える法人向けサービスが増えており、利用者が操作方法を覚え直す負担を抑えやすくなっています。データ量が多い場合は、移行にかかる時間や具体的な方法を事前に各社へ確認しておくとスムーズです。
Q. NASのバックアップはどのように取ればよいですか?
A. NASのバックアップは、RAIDとは別に、外付けHDDや別のNAS、クラウドなど別の媒体へ定期的に取ることが基本です。RAIDはディスク故障に備える仕組みであり、誤ってファイルを削除した場合やランサムウェア被害、機器そのものの故障には対応できないためです。
重要な業務データは「複製を複数持ち、異なる種類の媒体に保存し、うち1つは遠隔地に置く」という考え方で保管場所を分けておくと、万一の際にも復旧しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















