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リスクマネジメントの4原則とは?回避・低減・移転・保有の使い分けと4段階プロセスを解説

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企業活動には、自然災害やシステム障害、法令違反、情報漏えいなど、事業の継続をおびやかすさまざまなリスクがつきまといます。こうしたリスクに備える取り組みが「リスクマネジメント」であり、その基本として「4原則」という言葉がよく使われます。

ところが、いざ調べてみると「4原則」が指す中身は記事によってばらばらです。ある記事は「回避・低減・移転・保有」という4つのリスク対応を4原則と呼び、別の記事は「特定→分析→評価→対応」という4段階のプロセスを指しています。この2つの「4」が区別されないまま説明されるため、「自分が知りたい4原則はどちらなのか」で迷う方は少なくありません。

本記事では、「リスクマネジメントの4原則」が指し得る意味を冒頭で切り分けます。そのうえで、最も一般的な回答である4つのリスク対応の内容と使い分け、もう一つの4段階プロセスとの違い、拠り所となる国際規格ISO 31000などの規範との関係を解説します。あわせて、これらを実務で回す手段となる全社リスク管理ツールも紹介します。

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リスクマネジメントの4原則とは?|2つの「4」を切り分けて即答

「リスクマネジメントの4原則」という言葉は、文脈によって次の2つの「4」のいずれかを指して使われます。多くの方が最初に迷うのはこの点なので、まず結論から整理します。

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「4原則」が指すもの①4つのリスク対応(最も一般的)②4段階のプロセス
内容回避・低減・移転・保有(受容)特定→分析→評価→対応
どんなときにこう呼ばれるか特定したリスクに「どう対処するか」の選択肢を4つに整理したもの。多くの記事が「4原則」と呼ぶのはこれリスクマネジメントを「どんな手順で進めるか」を4ステップに整理したもの

②の4段階プロセスは、国際規格ISO 31000が定める正式なプロセスを簡略化した整理です。正式なプロセスとの関係は、記事後半でくわしく解説します。

一般に「リスクマネジメントの4原則」として説明されることが最も多いのは、①の「回避・低減・移転・保有」という4つのリスク対応です。本記事もこれを主軸に解説し、混同されやすい②の4段階プロセスとの違い(後述)や、拠り所となる規範(ISO 31000など)上の位置づけ(後述)も順に整理します。

そもそもリスクマネジメントとは、企業活動にともなうさまざまなリスクを把握し、事業への影響を抑えるために計画的に対処していく取り組みを指します。国際規格ISO 31000では、リスクそのものを「目的に対する不確かさの影響」と定義しています。この「不確かさ」に対して、どう対応し、どんな手順で進めるかを整理したものが、本記事で扱う「4つの対応」や「4段階プロセス」です。

リスクへの4つの対応|回避・低減・移転・保有とは

ここからは、「4原則」として最もよく説明される4つのリスク対応を解説します。これは、特定したリスクに対して「どう対処するか」を選ぶときの基本的な選択肢で、回避・低減・移転・保有の4つに整理されます。

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リスクへの対応回避低減移転保有
考え方リスクを生む活動そのものを行わない発生確率や影響の大きさを小さくするリスクの財務的な影響を他者と分け合うリスクを受け入れ、自社で備える
具体例リスクの大きい事業・取引から撤退する、危険な作業を取りやめる設備の二重化、マニュアル整備、研修、セキュリティ対策の導入保険への加入、業務の外部委託、契約による責任分担影響が小さいリスクを許容する、引当金や準備金で備える

回避は、リスクの原因となる活動を始めない、あるいは継続しないという対応です。たとえば、法規制や治安に不安のある国への進出を見送る、採算と安全性に懸念のある事業から撤退する、といった判断がこれにあたります。最も確実にリスクをなくせる一方で、その活動から得られるはずだった利益も手放すことになるため、影響も発生確率も大きいリスクに対して検討されます。

対策を講じてリスクの発生確率や影響を小さくするのが低減です。設備の冗長化やバックアップ、社内ルールの整備、従業員教育などが該当し、多くのリスクで現実的な選択肢になります。「軽減」と呼ばれることもあります。

リスクが顕在化したときの損失を自社だけで抱えず、保険会社や委託先など他者と分け合うのが移転です。保険への加入や業務の外部委託、契約での責任分担が代表例で、「転嫁」と表記されることもあります。

保有は、リスクを認識したうえで、あえて対策をとらずに受け入れる対応です。たとえば、めったに起こらず、起きても損失が小さい備品の故障などには保険をかけず、発生したときに自己資金で対応する、といったケースが当てはまります。対策の費用が見込まれる損失を上回る場合など、影響が小さいリスクで選ばれます。

なお、文献によっては「受容」「容認」とも表記されますが、いずれも同じ考え方を指します。

この4つの対応は、国際規格ISO 31000:2018が示すリスク対応の選択肢を実務向けに整理したものです。たとえば「低減」は、ISO 31000の「リスク源の除去」「起こりやすさの変更」「結果の変更」をまとめた実務上の呼び方にあたります。ISO 31000での位置づけは記事後半の規範の解説でくわしく整理します。

出典・参考資料(1件)

4つの対応の使い分け|発生確率×影響度で選ぶ

では、回避・低減・移転・保有のどれを選べばよいのでしょうか。判断の軸としてよく用いられるのが、リスクの「発生確率(頻度)」と「影響度(損失の大きさ)」の2つを掛け合わせる考え方です。

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リスクの発生確率高い低い
影響度が大きい場合回避(活動そのものを見直す)移転(保険などで備える)
影響度が小さい場合低減(対策で発生を抑える)保有(受け入れて備える)

それぞれの組み合わせで対応が分かれる理由は、次のように考えると理解しやすくなります。発生確率も影響も大きいリスクは、抱え続けると損失が大きいため、活動自体を見直す「回避」が向きます。

頻繁に起きるが1回の影響が小さいリスクは、対策で発生を抑える「低減」が基本です。

発生確率は低いが起きれば大損失というリスクには、めったに起きないため保険などで備える「移転」が適しています。

発生確率も影響も小さいリスクは、対策コストに見合わないため受け入れる「保有」を選ぶのが一般的です。

この「発生確率×影響度でリスクへの対応を選ぶ」考え方には学術的な出自があります。日本リスクマネジメント学会の創立者である亀井利明氏は、リスクを頻度(F)と強度(S)の大小で4つの型に分け、それぞれに原則となる処理手段を対応づけています。

(2)頻度も強度も大小だけで表すと、A型リスク(F大S大)、B型リスク(F小S大)、C型りスク(F大S小)、D型リスク(F小S小)の4種類になる。(3)A型リスクは『回避』、B型リスクは保険またはそれ以外の『転嫁』、C型リスクは『除去や防災』、D型リスクは『保有』が原則である。

出典:リスクマネジメント理論の体系(亀井利明)|日本リスクマネジメント学会

ここでいう「転嫁」は本記事の「移転」、「除去や防災」は「低減」にあたります。言葉は少しずつ異なりますが、発生確率と影響度の組み合わせで対応を選ぶという考え方は共通しています。実務では、まず自社のリスクをこの2軸で整理し、どの対応が適しているかを検討していくことになります。

リスクマネジメントの4段階プロセスと「4つの対応」の違い

「リスクマネジメントの4原則」と調べたときに出てくるもう一つの「4」が、リスクマネジメントを進める手順を示した「4段階のプロセス」です。これは前述の「4つの対応」とは別のものなので、違いを押さえておきましょう。

  1. 特定:自社にどんなリスクがあるかを洗い出す
  2. 分析:洗い出したリスクの発生確率や影響の大きさを見積もる
  3. 評価:分析結果をもとに、対応すべきリスクの優先順位をつける
  4. 対応:優先順位の高いリスクから、回避・低減・移転・保有のいずれかを選んで実行する
リスクマネジメントの4段階プロセス(特定・分析・評価・対応)を矢印でつないだ図。最後の対応の段階で、回避(リスクを生む活動そのものを行わない)、低減(発生確率や影響の大きさを小さくする)、移転(保険などで他者と分け合う)、保有(受け入れて自社で備える)の4つの選択肢から選ぶという入れ子の関係を示す。

ここで重要なのは、両者の関係です。「4段階のプロセス」はリスクマネジメント全体の進め方を示す手順であり、「4つの対応」はその最後の「対応」の段階で選ぶ選択肢にあたります。つまり、プロセスの中に4つの対応が含まれる入れ子の関係であり、別々の「4原則」が2つあるわけではありません。

この「特定→分析→評価→対応」の4段階も、国際規格ISO 31000(およびその日本語版であるJIS Q 31000)が示す正式なプロセスを簡略化した整理です。

ISO 31000が定めるプロセスは、次の構成要素からなります。

  • コミュニケーション及び協議
  • 適用範囲、状況及び基準
  • リスクアセスメント(リスクの特定・分析・評価)
  • リスク対応
  • モニタリング及びレビュー
  • 記録作成及び報告

本記事でいう4段階の「特定・分析・評価」は、ISO 31000ではまとめて「リスクアセスメント」に位置づけられ、「対応」がその次の段にあたります。

出典・参考資料(1件)

リスクマネジメントは、似た言葉と混同されがちです。社内説明や規程づくりで言葉を正確に使い分けられるよう、よく並べて語られる3つの用語との違いを整理します。

  • リスクヘッジ:特定のリスクに対して、損失を抑えるために前もって講じる個別の備えを指します。もともとは金融・投資の分野で使われてきた言葉で、リスクマネジメントが全社的・体系的な管理の取り組み全体を指すのに対し、リスクヘッジはその中の個別手段に近い位置づけです。
  • 危機管理(クライシスマネジメント):リスクが実際に起きて危機となった後の対応を中心とした考え方です。リスクマネジメントがリスクの発生前から予防・管理を行うのに対し、危機管理は発生後の被害を最小限に抑え、早期復旧を図ることに重点があります。
  • リスクアセスメント:前述の4段階プロセスのうち「特定・分析・評価」にあたる一連の工程を指し、リスクマネジメント全体の中の一部分です。リスクマネジメントは、この後の「対応」や継続的な見直しまでを含む、より広い取り組みを指します。

いずれもリスクマネジメントと密接に関わる言葉ですが、リスクマネジメントは「リスクの特定から対応、見直しまでを含む継続的な管理の取り組み全体」を指す、最も広い概念だと捉えると整理しやすくなります。

リスクマネジメントの拠り所となる規範|ISO 31000/JIS Q 31000/COSO ERM

ここまで解説してきた「4つの対応」や「4段階プロセス」は、社内で説明したり規程に落とし込んだりする際に、拠り所となる規範を押さえておくと説得力が増します。代表的な規範が、ISO 31000・JIS Q 31000・COSO ERMの3つです。

ISO 31000:2018(リスクマネジメントの国際規格)

ISO 31000は、国際標準化機構(ISO)が発行するリスクマネジメントの国際規格です。2018年に改訂された現行版がISO 31000:2018で、組織の種類や規模を問わず適用できる、原則・枠組み・プロセスを示す指針として位置づけられています。本記事で触れてきた「リスク対応の選択肢」も、この規格の中で次のように示されています。

Options for treating risk may involve one or more of the following:
— avoiding the risk by deciding not to start or continue with the activity that gives rise to the risk;
— taking or increasing the risk in order to pursue an opportunity;
— removing the risk source;
— changing the likelihood;
— changing the consequences;
— sharing the risk (e.g. through contracts, buying insurance);
— retaining the risk by informed decision.

出典:ISO 31000:2018 Risk management — Guidelines, 6.5.2|ISO(国際標準化機構)

このように、ISO 31000は、回避・リスク源の除去・起こりやすさの変更・結果の変更・リスクの共有(=移転)・リスクの保有に加え、機会を追求するためにあえてリスクを取る・増やすという選択肢まで、全部で7つの選択肢を挙げています。

実務で使われる「回避・低減・移転・保有の4つ」は、このうち主要なものを分かりやすくまとめた整理で、「低減」はリスク源の除去・起こりやすさの変更・結果の変更をまとめた呼び方にあたります。ISO 31000自体は組織がリスクマネジメントを行う際の指針であり、ISO 27001のような第三者認証の対象となる規格ではありません。

JIS Q 31000:2019(ISO 31000の日本語版規格)

JIS Q 31000:2019は、ISO 31000:2018をもとに、技術的内容と構成を変えずに作成された日本産業規格で、日本規格協会(JSA)が発行しています。正式名称は「リスクマネジメント-指針」です。国内で規程や社内文書を整備する際には、この日本語版を参照すると用語を正確にそろえられます。

出典・参考資料(1件)

COSO ERM(2017年版・全社的リスクマネジメントの枠組み)

COSO ERMは、米国のトレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO)が公表した、全社的リスクマネジメント(ERM)のフレームワークです。2017年に公表された現行版は「Enterprise Risk Management — Integrating with Strategy and Performance」という名称で、5つの構成要素と20の原則からなります。

ISO 31000が組織の種類を問わず使える簡潔な国際規格であるのに対し、COSO ERMは内部統制の系譜を汲み、リスクマネジメントを戦略の策定や業績と結びつけて捉える点に重点を置いた、より詳細な枠組みです。どちらを参照すべきかは、自社の目的(国際規格に沿った体系づくりか、戦略・内部統制との統合か)に応じて選ぶとよいでしょう。

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リスク管理を実務で回す手段|全社リスク管理(ERM)型のGRCツール

4つの対応や4段階プロセスを理解しても、全社のリスクを継続的に管理していくには、部門ごとに散らばったリスク情報を一元的に把握し、特定・評価・対応・モニタリングの各段階を回し続ける仕組みが必要になります。

実務での最初の一歩は、4段階プロセスに沿って自社のリスクを洗い出し、一覧(リスク台帳)にまとめることです。そのうえで発生確率と影響度で優先順位をつけ、重要なものから回避・低減・移転・保有の方針を決めます。社内規程では、この一連の流れと担当(リスク管理委員会など)を定めておくと、運用が定着しやすくなります。

こうした一連のサイクルを支援するのが、全社リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)型のGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ツールです。リスクを台帳で管理し、発生確率と影響度で評価して対応の進捗を追えるため、表計算ソフトでの属人的な管理から脱却できます。

ここでは、全社リスクの特定・評価・対応・モニタリングを支援するツールを紹介します。

1. Enterprise Risk MT(ERMT)(株式会社GRCS)

Enterprise Risk MT(ERMT)のウェブサイト

Enterprise Risk MT(ERMT)は、ガバナンス・リスク・コンプライアンス領域を専門とする株式会社GRCS(東京証券取引所グロース市場上場)が提供する、全社的リスクマネジメント向けのツールです。

公式サイトでは、国際規格ISO 31000:2018に準拠したリスクマネジメントのプロセスに沿ったERM基盤として位置づけられています。全社のリスクを洗い出して評価し、対応状況を継続的に管理する用途に向いており、導入企業として戸田工業株式会社、セガサミーホールディングス株式会社、青山商事株式会社などが公表されています。

  • ISO 31000:2018準拠のプロセス:公式サイトで、同規格が示すリスクマネジメントプロセスに則ったERM基盤として提供していると説明されています(準拠であり、認証取得ではありません)。
  • GRC専業ベンダーの提供:GRCSはガバナンス・リスク・コンプライアンスを専門とする事業者で、2025年9月には東京海上日動火災保険による販売紹介も始まっています。
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2. IBM OpenPages(日本アイ・ビー・エム株式会社)

IBM OpenPagesのウェブサイト

リスク・コンプライアンス・監査の各業務を1つの基盤に統合できるGRCプラットフォームが、日本アイ・ビー・エム株式会社の「IBM OpenPages」です。AIを活用した分類やワークフローの自動化を特徴としています。

全社リスク管理の面では、公式ドキュメントでRCSA(リスクとコントロールの自己評価)によるリスクの特定・評価、主要リスク指標(KRI)/KPIによるモニタリング、損失事象の管理、レポーティングといった機能が挙げられています。コード不要でワークフローやダッシュボードを設定でき、BIツールなどと接続するためのオープンAPIも備えています。

  • AIを組み込んだGRC基盤:分類や課題作成を自動化する組み込みAIに加え、最新版ではwatsonx.aiやサードパーティモデルとのAPI連携にも対応しています。
  • 提供形態の選択肢:クラウド(SaaS)、オンプレミス、IBM Cloud Pak for Dataなど、複数の提供形態から選べます。
出典・参考資料(1件)

3. Archer(Archer Technologies Japan合同会社)

Archerのウェブサイト

2000年代初頭にRSA Archerとして登場し、現在はArcher Technologies Japan合同会社(米国Archer Technologies LLCの日本法人)が提供しているのが、統合リスク管理(IRM)/GRCプラットフォームの「Archer」です。金融業界をはじめ幅広い業種で使われています。

ERMの中核機能として、公式情報ではRCSAによるリスクの特定、全社リスクを共通の分類(タクソノミー)で管理するリスク台帳、固有リスクと残存リスクの双方を影響度・発生可能性で評価する機能などが確認できます。設計の土台としてCOSOやISO 31000などの枠組みが挙げられています(適合認証ではなく、設計の考え方としての言及です)。

  • 共通分類によるリスク台帳:全社リスクと配下の中間リスクを共通のタクソノミーで定義し、各部門が同じ構造で評価できます。
  • 固有・残存の2段階評価:対策前の固有リスクと対策後の残存リスクを、それぞれ影響度・発生可能性で評価できます。
出典・参考資料(1件)

【比較表】全社リスク管理(ERM)型GRCツールの比較

以下は、ご紹介した全社リスク管理(ERM)型GRCツールの比較表です。

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サービス名Enterprise Risk MT(ERMT)IBM OpenPagesArcher
提供会社株式会社GRCS日本アイ・ビー・エム株式会社Archer Technologies Japan合同会社
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
オンプレミス
クラウド(SaaS)
オンプレミス
リスクの特定・評価●リスクアセスメント機能●RCSA(自己評価)●RCSA(自己評価)
リスク台帳△公式に台帳機能の明記なし△公式に台帳機能の明記なし●共通分類(タクソノミー)
モニタリング●対応状況の進捗管理●KRI/KPI●KRI(しきい値設定)
規範(ISO 31000/COSO)の扱いISO 31000:2018に準拠と公式明記
※認証ではない
ISO 31000/COSO ERMへの
公式明記は確認できず
COSO・ISO 31000を
設計の土台と公式明記
※認証ではない
料金要お問い合わせUSD 3,300〜(参考価格)
※課金単位は非公開
要お問い合わせ
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※表中の「△」は機能が無いことを示すものではなく、公式情報で明記を確認できなかったことを示します。実際の機能の有無は各社の最新情報をご確認ください。

本記事で紹介したのは全社リスク管理(ERM)型の3製品ですが、GRCツールにはコンプライアンス管理や内部監査など、ほかの領域に強みを持つ製品も数多くあります。自社の課題に合うツールを幅広く見比べたい方は、以下の記事で選び方とあわせてご確認いただけます。

まとめ

「リスクマネジメントの4原則」は、文脈によって「4つのリスク対応(回避・低減・移転・保有)」と「4段階のプロセス(特定→分析→評価→対応)」のどちらかを指して使われます。最も一般的に4原則と呼ばれるのは4つのリスク対応で、これはリスクへの対処方法を選ぶ際の基本的な選択肢です。

4つの対応は、リスクの発生確率と影響度の組み合わせで使い分けるのが基本です。また、「4段階のプロセス」は進め方の手順であり、4つの対応はその最終段で選ぶものという入れ子の関係にあります。これらの考え方は、国際規格ISO 31000や日本語版のJIS Q 31000、全社的リスクマネジメントの枠組みであるCOSO ERMといった規範に拠り所を持っています。

そして、これらを実務で継続的に回していくには、全社のリスクを台帳で管理し、特定・評価・対応・モニタリングの各段階を支援するERM型のGRCツールが有効です。自社の管理体制づくりの検討材料として、各ツールの資料もあわせてご確認ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. リスクマネジメントの4原則とは何ですか?

A. リスクマネジメントの4原則とは、一般に特定したリスクへの対処方法を「回避・低減・移転・保有(受容)」の4つに整理したものを指します。

ただし「4原則」という言葉は、リスクマネジメントを進める「4段階のプロセス(特定→分析→評価→対応)」を指して使われることもあり、文脈によって意味が分かれます。本記事では、最も一般的に4原則と呼ばれる前者(4つのリスク対応)を主軸に解説しています。

Q. リスクマネジメントの4原則(4つの対応)と4段階プロセスは何が違うのですか?

A. 4つの対応(回避・低減・移転・保有)はリスクに「どう対処するか」の選択肢、4段階プロセス(特定→分析→評価→対応)はリスクマネジメントを「どんな手順で進めるか」の手順で、別々のものを指します。

両者は対立するものではなく、4段階プロセスの最終段である「対応」の段階で4つの対応から選ぶという入れ子の関係にあります。つまり、別々の「4原則」が2つ存在するわけではありません。

Q. リスクの「回避」と「低減」はどう使い分けますか?

A. 回避はリスクを生む活動そのものを行わない対応、低減は活動を続けたうえで発生確率や影響の大きさを小さくする対応です。

発生確率と影響度がともに大きいリスクには回避が、対策によって発生確率や影響を抑えられるリスクには低減が向きます。回避はその活動から得られるはずの利益も手放すことになるため、まず低減で対処できないかを検討し、それでも残る重大なリスクに回避を充てるのが一般的です。

Q. リスクの「保有」「受容」「容認」に違いはありますか?

A. 「保有」「受容」「容認」はいずれも同じ対応を指す表記のゆれで、意味に違いはありません。 リスクを認識したうえで、あえて対策をとらずに受け入れることを指します。

対策の費用が見込まれる損失を上回る場合など、影響が小さいリスクで選ばれる対応です。文献や規格の訳によって表記が分かれますが、同じ考え方を指しています。

Q. リスクの「移転」と「転嫁」は違うものですか?

A. 「移転」と「転嫁」も同じ対応を指す表記のゆれで、違いはありません。 どちらも、リスクが顕在化したときの損失を自社だけで抱えず、保険会社や委託先など他者と分け合う対応を指します。

保険への加入や業務の外部委託、契約による責任分担が代表例です。実務の解説では「移転」が多く使われる一方、日本リスクマネジメント学会(亀井理論)などでは「転嫁」が用いられます。

Q. ISO 31000とは何ですか?

A. ISO 31000は、国際標準化機構(ISO)が発行するリスクマネジメントの国際規格で、組織の種類や規模を問わず適用できる原則・枠組み・プロセスを示す指針です。

現行版はISO 31000:2018で、日本語版はJIS Q 31000:2019として発行されています。本記事の「4つのリスク対応」は、この規格が示す7つのリスク対応の選択肢(回避・リスク源の除去・起こりやすさの変更など)を実務向けに整理したものにあたります。ISO 31000自体は指針であり、ISO 27001のような第三者認証の対象となる規格ではありません。

出典・参考資料(1件)

Q. 中小企業でもリスクマネジメントは必要ですか?

A. 中小企業でもリスクマネジメントは必要です。 むしろ経営資源が限られる分、一度のトラブルが事業継続に与える影響は大きくなりがちです。

大掛かりな体制を一度に整えなくても、まずは自社に関わるリスクを洗い出し、発生確率と影響度で優先順位をつけたうえで、影響の大きいものから回避・低減・移転・保有の対応を検討するとよいでしょう。4段階プロセスに沿って、重要なリスクから段階的に着手できます。

予算や運用負荷の面で導入しやすい中小企業向けのツールについては、『中小企業向けGRCツールおすすめ5選を比較|選び方とIT導入補助金対応まで解説』でも解説しています。

Q. リスクマネジメントはどの部門が担当すべきですか?

A. 総務・経営企画・リスク管理・内部統制/コンプライアンスなどの部門が中心になるのが一般的ですが、本来は特定部門に閉じず全社横断で取り組むべきものです。

部門ごとに散らばりがちなリスク情報を全社で把握するため、部門横断の「リスク管理委員会」を設置する企業も少なくありません。全社のリスクを一元的に管理するうえでは、リスク台帳で特定・評価・対応の状況を追える全社リスク管理(ERM)型のツールを活用する方法もあります。

Q. リスクマネジメントとコンプライアンスは何が違いますか?

A. リスクマネジメントはあらゆるリスクを対象に損失の回避・最小化を図る広い取り組み、コンプライアンスは法令・規則の遵守を主眼とする取り組みで、両者は補い合う関係にあります。

法令違反は企業が備えるべきリスクの一つであり、コンプライアンスはリスクマネジメントが扱う領域の重要な一部と位置づけられます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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