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e-文書法とは?対象文書・満たすべき要件・電子帳簿保存法との違いをわかりやすく解説

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電子契約システム比較表(2026年版)

契約書や請求書、領収書など、これまで紙での保存が義務づけられてきた文書を、スキャンした画像などの電子データで保管したい——そのときに最初に確認しておきたいのが「e-文書法」です。

e-文書法という名前は見かけても、何の法律で、自社のどの文書が対象になるのか、満たすべき要件がいくつあるのかは分かりにくいものです。名前の似た電子帳簿保存法との違いも混同されがちです。

本記事では、e-文書法とは何かという定義から、対象となる文書、満たすべき要件、電子帳簿保存法との違い、そして電子化を何から始めるかまでを解説します。要件の数が「3つ」「4つ」と分かれて見える理由と、どの要件がどの文書に求められるのかも整理したので、自社の文書を電子保存してよいかを判断する材料としてご活用ください。

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e-文書法とは

まずは、e-文書法がひとことで言うと何の法律なのかを確認します。

e-文書法とは、これまで紙での保存が義務づけられていた法定文書を、スキャンした画像などの電子データ(電磁的記録)で保存することを認める法律です。

正式名称は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)といいます。2004年(平成16年)に成立し、2005年(平成17年)4月1日に施行されました。

この法律は、電子保存に共通する事項を定める「通則法」と、それだけでは手当てしきれない個別の関係法律を整える「整備法」(平成16年法律第150号)の2本立てで構成されています。

通則法であるため、電子保存の具体的な方法や要件は、e-文書法の本体ではなく各分野の主務省令で定める仕組みになっています。後述する「要件が情報源によって分かれて見える」理由は、ここにあります。

電子データでの保存を指す「電磁的記録」について、e-文書法第2条第4号は「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」と定義しています。これは刑法第7条の2が定める電磁的記録の定義とほぼ同じ一般的な定義です。

出典・参考資料(3件)

e-文書法の対象となる文書・ならない文書

次に、自社の文書がe-文書法で電子保存できるのかを確認します。

e-文書法が電子保存を認める対象は、各種の法令で保存が義務づけられている法定保存文書です。内閣官房の立案方針によれば、その範囲は約250本の法律に及びます。

通則法により措置する法律数は、約250本。

出典:e-文書イニシアティブについて −e-文書法の立案方針−(内閣官房IT担当室)|厚生労働省

具体的には、次のような身近な文書が対象に含まれます。

  • 契約書
  • 注文書・請求書・領収書・見積書
  • 帳簿
  • 取締役会などの議事録
  • 定款

一方で、紙そのものの現物性が重視される文書は、電子保存の対象から外れます。内閣官房の立案方針は、対象外となる文書の例を次のように挙げています。

一部の文書について電子保存対象外となる法律(約50本)/(例)緊急時に即座に確認する必要があるもの:船舶に備える安全手引書など/現物性が極めて高いもの:免許証、許可証など

出典:e-文書イニシアティブについて −e-文書法の立案方針−(内閣官房IT担当室)|厚生労働省

免許証・許可証や、条約による制約がある文書なども、現物を備えておく必要があるため電子保存できません。自社で扱う文書が対象か迷う場合は、その文書の保存を定めている法令と、所管省庁の省令を確認するのが確実です。

出典・参考資料(1件)

e-文書法で満たすべき要件は結局いくつか

e-文書法で満たすべき要件は、情報源によって数も用語も分かれて見えます。「見読性・完全性・機密性・検索性」の4つと説明されることもあれば、機密性を除いた見読性・完全性・検索性の3つとされることもあります。

さらに、国税関係書類では「真実性・可視性」、医療分野では「真正性・見読性・保存性」というように、分野が変われば用語そのものが変わります。

こうして見え方が分かれるのは、e-文書法の本体が要件そのものを定めていないためです。e-文書法は第3条で、電子保存の具体的な方法を主務省令に委ねています。

民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)については、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができる。

出典:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

そのため、どのような要件が求められるかは、文書を所管する省庁の省令や分野ごとに異なります。内閣官房の立案方針も、要件の程度は文書の性格によって変わると説明しています。

文書の内容、性格により、真実性・可視性を確保するための要件(改ざん防止措置等)の要請の程度が異なりうるので、電子保存の方法等については主務省令で具体的に定める。

出典:e-文書イニシアティブについて −e-文書法の立案方針−(内閣官房IT担当室)|厚生労働省

よく挙げられる要件は、どの分野・場面のものかによって用語が変わります。まずは全体像を、出所ごとに整理すると次のとおりです。

分野・場面求められるとされる要件根拠(出所)
一般の業務文書見読性・完全性・検索性(機密性はアクセス管理で確保)所管省令が個別に定める(法が4語で定めたものではない)
国税関係書類のスキャナ保存真実性・可視性電子帳簿保存法・国税庁
医療情報真正性・見読性・保存性厚生労働省ガイドライン

以下では、この表の各行を順に補足します。

一般文書で整理される技術的な観点(見読性・完全性・機密性・検索性)

まず、表の「一般の業務文書」の行を補足します。電子保存を説明するとき、「見読性・完全性・機密性・検索性」の4つの観点がよく挙げられますが、これは法律や立案方針がこの4語で要件を定めたものではなく、実務で広く使われている整理です。それぞれの意味は次のとおりです。

  • 見読性:保存した電子データを画面表示や書面出力によって、人が読める状態にできること
  • 完全性:保存した記録が改ざんされていないことを確保すること
  • 機密性:許可された人だけが記録にアクセスできるように保つこと
  • 検索性:必要な記録を日付・取引先・金額などで探し出せること

この4つのうち、機密性・完全性は情報セキュリティの考え方(CIA=機密性・完全性・可用性)に、見読性・検索性は保存した記録を読める・探し出せる状態にする「可視性」の考え方に対応します。

国税庁も電子帳簿保存法で「可視性の確保」をディスプレイ等での表示と検索で説明しており、見読性・検索性はこの可視性に対応します。

普通の契約書や社内文書であれば、実務上は読めること(見読性)・改ざんを防ぐこと(完全性)・探し出せること(検索性)を押さえ、機密性はアクセス管理で確保するのが基本になります。

このため、機密性を除いた見読性・完全性・検索性の3つとして整理されることもあります。冒頭で触れた要件が「3つ」「4つ」と分かれて見えるのは、機密性を含めるかどうかの違いによるものです。

ただし、これらの観点が具体的にどこまで求められるかは、文書を所管する省令が個別に定めます。すべての文書に一律で課されるわけではない点は、後述の「どの要件がどの文書に求められるか」で確認します。

国税関係書類のスキャナ保存の要件(真実性の確保・可視性の確保)

表の2行目、国税関係書類の行を補足します。国税関係書類(契約書・請求書・領収書など、税務に関わる書類)を電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法にもとづいて「真実性の確保」と「可視性の確保」が求められます。国税庁は、それぞれ次の措置を示しています。

真実性の確保(いずれかの措置を行う)○ タイムスタンプが付与されたデータを受領 ○ 受領したデータに速やかにタイムスタンプを付与 ○ データの訂正削除の履歴が残る(又は訂正削除できない)システム等を利用して授受・保存 ○ 改ざん防止のための事務処理規程を策定、運用、備付け

可視性の確保(①と②を全て満たす)①保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること ②「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できること

出典:電子帳簿保存法パンフレット|国税庁
出典・参考資料(1件)

国税関係書類を実際にスキャンして保存する際の解像度や検索の要件、スキャン後に紙の原本を廃棄してよい条件は、以下の記事で詳しく解説しています。

医療分野の要件(真正性・見読性・保存性)

分野によって求められる用語が変わる一例が医療分野です。医療機関が診療録(カルテ)などを電子的に保存する場合は、厚生労働省のガイドラインが「真正性・見読性・保存性」の3つを求めています。

いわゆる電子保存の 3 要件(真正性、見読性、保存性)について規定されています。

出典:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版|厚生労働省

真正性は作成者の責任の所在と改ざん防止、見読性は読める状態の維持、保存性は期間中の真正性・見読性の維持を指します。同じ電子保存でも、分野が変われば使われる用語が異なることが分かります。

どの要件がどの文書に求められるか

最後に、要件の中でも位置づけが誤解されやすい「機密性」を取り上げます。

よく4要件の一つに挙げられる機密性は、情報セキュリティの考え方に由来するもので、e-文書法の電子保存で法的根拠のある保存要件として定められているわけではありません。厚生労働省のガイドラインも、機密性を電子保存の要件とは区別し、情報セキュリティの要素として説明しています。

一方、情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)は、情報資産の安全かつ信頼できる利用において求められる、情報セキュリティにおける要素です。(略)機密性を満たすことにより、真正性の要件の多くを満たしていると評価することもできます。

出典:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版|厚生労働省

どの要件が必要かは、その文書を所管する省令や、電子帳簿保存法・各分野のガイドラインを個別に確認するのが確実です。

出典・参考資料(2件)

電子保存にタイムスタンプは必要か

結論から言うと、タイムスタンプは電子保存で一律に必須ではありません。改ざん防止(完全性)を満たす有力な手段ですが、訂正・削除の履歴が残るシステムを使うといった代替手段もあり、文書の区分によって要否が変わります。

タイムスタンプとは、電子データがある時刻に存在していたこと(存在証明)と、その後改ざんされていないこと(非改ざん)を、第三者が証明する技術です。要件のうち完全性(改ざん防止)を満たす手段として使われます。

国税関係書類を電子データで保存する場合、タイムスタンプは真実性を確保する代表的な手段です。ただし、訂正・削除の履歴が残るシステムを使う、あるいは改ざん防止の事務処理規程を備えるといった方法でも代替でき、タイムスタンプ単独が必ず必須というわけではありません。

一方、一般の文書では、タイムスタンプが法律上一律に必須とされているわけではなく、文書の重要度や改ざん防止の必要性に応じて使うかどうかを判断します。

電子保存に使うタイムスタンプは、総務大臣が認定した事業者が発行するものを用います。これは「時刻認証業務の認定に関する規程」(令和3年総務省告示第146号)にもとづく制度です。2021年(令和3年)4月に、それまでの一般財団法人日本データ通信協会による民間認定から、総務大臣による国の認定制度へ移行しました。

タイムスタンプの利用を一層拡大し、海外とのデータ流通を容易にする観点から、時刻認証業務(電子データに係る情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務)について、総務大臣による認定制度を整備しています。

出典:タイムスタンプについて|総務省

また、電子帳簿保存法のスキャナ保存では、令和3年度の税制改正(令和4年1月1日施行)でタイムスタンプに関する要件が緩和されました。一定の場合には、タイムスタンプの付与に代えて、訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存が認められるようになりました。

電子取引のデータ保存でタイムスタンプを省けるのは具体的にどのような場合か、訂正・削除の履歴が残るシステムや事務処理規程に求められる条件については、以下の記事で条文に沿って整理しています。

出典・参考資料(2件)

e-文書法と電子帳簿保存法の違い

e-文書法とよく混同されるのが、電子帳簿保存法です。両者の違いを整理します。

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)は、国税に関わる帳簿や書類の電子保存を定めた法律です。e-文書法が幅広い法定文書を対象にする通則法であるのに対し、電子帳簿保存法は国税分野に特化した特別法という関係にあります。

比較項目e-文書法電子帳簿保存法
対象各種法令で保存が義務づけられた法定保存文書全般(約250本の法律)国税関係帳簿書類・国税関係書類(帳簿・請求書・領収書など)
管轄各省庁(主務省令で定める)財務省・国税庁
法律上の位置づけ通則法(電子保存の共通事項を定める)国税分野の特別法
事前承認原則不要スキャナ保存の税務署長による事前承認は令和3年度改正で廃止(令和4年1月1日以後に適用)
施行2005年(平成17年)4月1998年(平成10年)制定、スキャナ保存制度は2005年に追加

このように、e-文書法は電子保存のルール全体を横断的に定める通則法で、電子帳簿保存法は国税関係書類についてより具体的な要件を定める特別法です。税務に関わる書類を電子化する場合は、e-文書法だけでなく電子帳簿保存法の要件もあわせて確認する必要があります。

電子帳簿保存法そのものの中身は、以下の記事でまとめて確認できます。電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分や、電子取引データ保存だけが2024年1月から全事業者に義務化された点などを扱っています。

出典・参考資料(3件)

文書を電子化するメリットと何から始めるか

自社の文書が電子保存できると分かったら、次は実際に電子化を進める段階です。まず、電子化で得られるメリットを整理します。

紙の文書を電子データで保存すると、書類の保管スペースや、ファイルを探す時間を減らせます。災害時にもデータが失われにくく、事業継続の備えにもなります。オフィス以外の場所からでも必要な書類を確認でき、リモートワークとも相性がよいといえます。

電子化を始めるときは、ここまで見てきた要件——改ざんを防ぐ完全性(認定タイムスタンプなど)や、必要な書類を探し出せる検索性——を、どの仕組みで満たすかを決めることが出発点になります。契約書であれば電子契約システム、税務書類であればスキャナ保存に対応した仕組み、幅広い法定文書であれば文書管理システムが候補になります。

ここでは、契約書の電子化に使う電子契約システムの代表例として、認定タイムスタンプの付与や紙文書の取り込みに対応し、要件に沿った電子保存を支援する2つのサービスを紹介します。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインの公式サイト

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。契約書のアップロードから電子署名・タイムスタンプの付与、保管・検索までをオンラインで完結でき、導入社数は250万社以上とされています。

全プランで総務大臣認定のタイムスタンプを標準付与し、記録した書類は訂正・削除ができない設計で、電子帳簿保存法の真実性(完全性)要件に対応します。検索性については、取引年月日・取引金額・取引先といった書類情報を入力して探せます。

紙で締結した契約書を自社でスキャンして取り込む書類インポート機能はCorporateプラン以上で利用でき、スキャンと書類情報の入力を代行する「クラウドサイン SCAN」も用意されています。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインの公式サイト

電子印鑑GMOサインは、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の2つの署名方式に対応するクラウド型の電子契約サービスです。GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供し、導入実績は350万社以上とされています。

電子帳簿保存法については、「契約印&実印プラン」で電子取引ソフト法的要件認証(JIIMA認証)を取得しています。全プランで長期署名・認定タイムスタンプを提供し、文書検索や文書情報項目から保存書類を探せます。

紙の契約書をデータ化して管理するスキャン文書管理はスタンダードプラン以上で利用でき、スキャン文書へのタイムスタンプ付与やPDF化代行にも対応します。

ここで紹介した2つの電子契約システムを、e-文書法・電子帳簿保存法の要件対応の観点で比較すると次のとおりです。

← 横にスクロールできます →
サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサイン
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
認定タイムスタンプ●全プランで総務大臣認定タイムスタンプを標準付与●全プランで長期署名・認定タイムスタンプを提供
紙文書の取り込み・スキャン対応●書類インポートはCorporateプラン以上。代行の「クラウドサイン SCAN」も提供●紙文書の電子化(スキャン文書管理)はスタンダードプラン以上。PDF化代行にも対応
検索要件への対応●取引年月日・取引金額・取引先で検索●文書検索・文書情報項目で検索
電子帳簿保存法対応認定タイムスタンプ標準付与と検索要件で対応(フリープランは一部を利用者側で対応)JIIMA認証(電子取引ソフト法的要件認証)を「契約印&実印プラン」で取得
月額費用(税抜)無料〜。Light 11,000円/Corporate 28,000円(Business・Enterpriseは要問い合わせ)無料〜。ライト 8,800円/スタンダード 24,000円(年間契約。ビジネス・エンタープライズは要問い合わせ)
送信料(税抜)220円/件(フリープランは月2件まで無料)立会人型100円/件・当事者型300円/件(お試しフリーは月5件まで無料)
無料プランフリープランあり(1ユーザー・月2件まで)お試しフリープランあり(1ユーザー・月5件まで・契約印タイプのみ)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※料金・送信料・導入社数は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく。

自社の文書量やセキュリティ要件に合うサービスを選ぶには、複数のサービスを機能や料金で比較して検討するとよいでしょう。

契約書の電子化に使う電子契約システムは、提供会社ごとに対応機能・料金・サポート体制が大きく異なります。以下の記事では、主要な電子契約システムをタイプ別に整理し、料金や選び方を比較しているので、導入を検討される方はあわせてご覧ください。

出典・参考資料(2件)

まとめ

e-文書法は、紙での保存が義務づけられていた法定文書を、電子データで保存することを認める通則法です。対象は約250本の法律に基づく法定保存文書に及び、契約書・請求書・領収書などの身近な書類も含まれます。

満たすべき要件は、e-文書法が一律に定めているのではなく、文書を所管する省令や分野ごとに異なります。よく挙げられる「見読性・完全性・機密性・検索性」は技術的な観点を整理した枠組みです。国税関係書類は真実性・可視性、医療分野は真正性・見読性・保存性というように、出所ごとに用語が異なる点を押さえておくと混乱を避けられます。

自社の文書が電子保存できると分かったら、改ざん防止や検索性といった要件をどの仕組みで満たすかを検討し、電子契約システムや文書管理システムなどの比較・資料請求に進んでください。

よくある質問(FAQ)

Q. e-文書法とは何ですか?

A. e-文書法とは、これまで紙での保存が義務づけられていた法定文書を、スキャンした画像などの電子データ(電磁的記録)で保存することを認める法律です。

正式名称は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)で、2004年に制定され2005年(平成17年)4月に施行されました。電子保存に共通する事項を定める「通則法」にあたり、保存の具体的な方法や要件はe-文書法の本体ではなく各分野の主務省令に委ねられています。

Q. e-文書法で満たすべき要件は結局いくつですか?

A. e-文書法の要件は「3つ」「4つ」と情報源によって割れて見えますが、これはe-文書法の本体が要件そのものを定めておらず、文書を所管する省令や分野ごとに求められる要件が異なるためです。

一般的な技術的観点では「見読性・完全性・機密性・検索性」の4つが挙げられます。ただし、国税関係書類のスキャナ保存では「真実性の確保・可視性の確保」、医療分野では「真正性・見読性・保存性」というように、出所ごとに用語も数も異なります。自社の文書にどの要件が必要かは、その文書を所管する省令や電子帳簿保存法・各分野のガイドラインで確認するのが確実です。

Q. e-文書法で機密性は必須の要件ですか?

A. 機密性は、e-文書法の電子保存で法的根拠のある保存要件として定められているわけではありません。

機密性(許可された人だけが記録にアクセスできる状態に保つこと)は情報セキュリティの考え方に由来する観点で、4要件の一つに挙げられることは多いものです。しかし、厚生労働省のガイドラインも機密性を電子保存の要件とは区別し、情報セキュリティの要素として説明しています。同様に、完全性や検索性もすべての文書に一律で課されるわけではなく、文書の重要度や性格に応じて求められます。

Q. 自社の契約書・請求書・領収書はe-文書法で電子保存できますか?

A. 契約書・請求書・領収書・見積書・帳簿などの身近な書類は、e-文書法で電子保存が認められる対象に含まれます。e-文書法が電子保存を認めるのは約250本の法律で保存が義務づけられた法定保存文書で、これらの書類もその範囲に入ります。

ただし、免許証・許可証や、緊急時に即座に確認する必要がある書類など、紙そのものの現物性が重視される文書は対象外です。また、税務に関わる書類(国税関係書類)を電子化する場合は、e-文書法に加えて電子帳簿保存法の要件もあわせて確認する必要があります。

Q. e-文書法での電子保存にタイムスタンプは必要ですか?

A. タイムスタンプが一律に必須というわけではなく、文書の区分によって必要性が変わります。タイムスタンプは完全性(改ざん防止)を満たす技術で、国税関係書類のスキャナ保存では真実性を確保する代表的な手段です。ただし、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用や改ざん防止の事務処理規程を備えるといった方法でも代替できます。

一般の文書では法律上一律に必須とはされず、文書の重要度や改ざん防止の必要性に応じて使うかを判断します。また、電子保存に使うタイムスタンプは、2021年(令和3年)4月から総務大臣が認定した事業者が発行するものを用います。

Q. e-文書法と電子帳簿保存法は何が違いますか?

A. e-文書法は幅広い法定保存文書を対象にする「通則法」で、電子帳簿保存法は国税分野に特化した「特別法」という関係にあります。

e-文書法が約250本の法律に基づく法定保存文書全般を対象とし管轄も各省庁にまたがるのに対し、電子帳簿保存法は国税関係帳簿書類(帳簿・請求書・領収書など)を対象とし、財務省・国税庁が管轄します。税務に関わる書類を電子化する場合は、e-文書法だけでなく電子帳簿保存法の要件もあわせて満たす必要があります。

Q. e-文書法の要件を満たさなかった場合、罰則はありますか?

A. e-文書法(通則法)そのものには、電子保存の要件を満たさなかったことに対する直接の罰則は定められていません。ただし、要件を満たさない電子データは法律上の正式な保存とは認められず、紙での保存義務が残ります。

そのため、「罰則がない=守らなくてよい」ということではありません。要件を満たして初めて紙の保存に代えられる位置づけであり、要件を満たさないまま紙の原本を廃棄すれば、その文書の保存を定めた個別の法律(税法など)の側で保存義務違反に問われるおそれがあります。自社の文書にどの要件が必要かを確認したうえで電子化を進めることが大切です。

Q. e-文書法に対応して文書を電子化するには何から始めればよいですか?

A. まず、改ざんを防ぐ完全性(認定タイムスタンプなど)や、必要な書類を探し出せる検索性といった要件を、どの仕組みで満たすかを決めることが出発点になります。契約書であれば電子契約システム、税務書類であればスキャナ保存に対応した仕組み、幅広い法定文書であれば文書管理システムが候補になります。自社の文書量やセキュリティ要件に合うサービスを、機能や料金で複数比較して検討するとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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