ERP(統合基幹業務システム)の市場規模を調べると、「国内1,684億円」「2,558億円」「4,201億円」と、調査会社ごとに金額が大きく異なります。稟議や提案資料に転記したいのに、どの数字を使えばよいか迷った経験はないでしょうか。
金額が割れるのは、各社が「何を」「いつ」「どの基準で」測っているかが違うためです。対象範囲(ライセンスのみか、基幹業務パッケージ全体か)や、出荷ベースか売上ベースか、集計年度の違いを押さえれば、どの数字が自社の用途に合うかを判断できます。
本記事では、矢野経済研究所・ITR・デロイト トーマツ ミック経済研究所の国内3調査を〈年度・金額・前年比・対象範囲〉つきで併記し、数字が割れる理由を定義の違いから整理します。あわせて世界市場規模・ベンダー別シェア・今後の成長率と、市場成長の背景にある2027年問題や法改正までを解説します。
目次
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国内ERP市場規模の最新実数【3調査併記】
ここでは、国内ERP市場の規模を調査会社別に示します。代表的な3社の最新実数は、次のとおりです。
| 調査会社 | 対象・金額 | 前年比 | 対象範囲(何を測った数字か) |
|---|---|---|---|
| 矢野経済研究所 (2025年9月公表) | 2024年 ERPパッケージライセンス市場 1,684億4,000万円 | +12.1% | ERPパッケージのライセンス売上(エンドユーザ渡し価格)。従来型パッケージの保守・SIは含まない |
| ITR (2026年3月公表) | 2024年度 ERP市場 2,558億円 | +18.0% | 国内54ベンダーのERP市場売上金額(パッケージ+SaaS) |
| デロイト トーマツ ミック経済研究所 (2026年5月発刊) | 2025年度 基幹業務パッケージ総市場 4,201億4,000万円 (うちERPパッケージ4,134億2,000万円) | +15.7% | 主要57社の出荷金額ベース。ERPに連結会計パッケージを含む基幹業務パッケージ全体 |
いずれの調査も市場は拡大傾向にあります。一方で、金額そのものは約1,684億円から約4,201億円まで開きがあります。これは市場が3倍に伸びたという意味ではなく、各社が測っている対象が異なるためです。次の見出しで、その理由を整理します。
出典は以下のとおりです。
出典・参考資料(3件)
- 出典:ERP市場動向に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3913)
- 出典:ITRがERP市場の提供形態別市場規模推移および予測を発表|ITR(https://www.itr.co.jp/topics/pr-20260305-1)
- 出典:基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望 2026年度版|デロイト トーマツ ミック経済研究所(https://mic-r.co.jp/mr/03810)
調査会社で市場規模が割れる理由(対象範囲・定義の違い)
同じ「ERP市場規模」でも金額が割れるのは、各調査会社が測る対象の広さと基準が異なるためです。2024〜2025年の最新値を対象範囲の狭い順に並べると、違いがはっきりします。

- 矢野経済研究所(1,684億円)=ライセンス売上のみ:ERPパッケージのライセンス売上をエンドユーザ渡し価格で算出し、従来型パッケージのコンサルティング・SI(システム構築)・保守サポートは含めません。最も狭い対象範囲です。
- ITR(2,558億円)=ERP市場の売上:国内54ベンダーのERP市場売上を、提供形態(パッケージ/SaaS)別に集計します。ライセンスに限らないため、矢野より広くなります。
- ミック経済研究所(4,201億円)=基幹業務パッケージの出荷金額:ERPパッケージに連結会計パッケージを加えた基幹業務パッケージ全体を、出荷金額ベースで算出します。最も広い対象範囲のため、金額も最大になります(ERPパッケージのみなら4,134億円)。
3調査は対象範囲だけでなく集計年度も異なります(矢野=2024年、ITR=2024年度、ミック経済研究所=2025年度)。金額を並べるときは範囲と年度の両方をそろえて見るのが正確で、「約1,684億円から約4,201億円」という幅も、単純な大小比較ではなく測り方の違いとして捉えてください。
対象範囲が狭い順にライセンス売上<ERP市場の売上<基幹業務パッケージの出荷金額となり、この違いが金額差の主な理由です。自社で使う場合は、どの数字がどの範囲を指すのかを確認したうえで、用途に合う調査を選ぶとよいでしょう。
クラウド化やSaaSの伸びを見たいならITRの提供形態別データ、連結会計を含む基幹業務全体の規模を押さえたいならミック経済研究所、というように使い分けられます。
ERP市場の今後の予測と成長率(CAGR)
各調査会社は、ERP市場が今後も拡大すると予測しています。公表されている予測値を、調査会社と公表時期つきで見ていきます。
- 矢野経済研究所は、2025年のERPパッケージライセンス市場を前年比11.7%増の1,881億9,000万円と予測しています(2025年9月公表)。
- ITRは、2025年度のERP市場を前年度比16.7%増と見込み、2024〜2029年度のCAGR(年平均成長率)をSaaS市場が+20.0%、パッケージ市場が−0.9%と予測しています(2026年3月公表)。
- ミック経済研究所は、基幹業務パッケージ総市場が2026年度に4,844億1,000万円(前年対比114.9%)へ拡大すると見込み、2030年度までの中期予測を示しています(2026年5月発刊)。
注目すべきは、ITRのCAGR予測です。パッケージ(オンプレミス)がわずかに縮小する一方で、SaaSは年平均20.0%で伸びると見込まれています。市場全体の成長は、クラウド型・SaaS型への移行が牽引していることがわかります。
国内各社は成長率を単年の前年比で示すことが多く、国内市場全体を一つのCAGRで表した公表値は限られます。国内で確認できる予測のうち最も具体的なのはITRの提供形態別予測です(2024〜2029年度でSaaS +20.0%・パッケージ −0.9%)。全体の伸びはSaaSの高成長が牽引する構図といえます。
世界のクラウドERP市場では、Fortune Business Insightsが年平均成長率(CAGR)15.9%(2022〜2030年)を見込んでいます。ただしこれは世界・クラウドERPに限った数字で、国内市場全体の成長率とは対象範囲が異なる点に注意してください。
クラウドERPへの移行の進み方
市場成長の中心にあるのが、クラウドERPへの移行です。実数で見ると、その進み方が具体的に掴めます。
矢野経済研究所によると、2024年のERPパッケージライセンス市場におけるクラウド型利用(IaaS・PaaSとSaaSを含む)の規模は1,106億1,500万円で、市場全体の約65%を占めました。前年から約5.5ポイント増えています。このうちSaaSのみの市場は前年比36.2%増の371億8,600万円と、高い伸びを示しました。
ITRも同様の傾向を示しています。2024年度はパッケージ市場が前年度比3.5%増にとどまった一方、SaaS市場は28.2%増とより高い伸びでした。前述の予測とあわせて見ると、今後の成長はクラウド型が担う構図が明確です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:ERP市場動向に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3913)
- 出典:ITRがERP市場の提供形態別市場規模推移および予測を発表|ITR(https://www.itr.co.jp/topics/pr-20260305-1)
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世界のERP市場規模
世界のERP市場は、国内と桁も通貨も異なります。ここではドル建ての数字を、国内の円建てと混同しないように分けて示します。世界市場は国内以上に調査会社によって対象範囲が異なり、金額が大きく割れる点に注意が必要です。
- Fortune Business Insightsは、世界のクラウドERP市場を2022年に436.0億ドルと評価し、2030年までに1,401.4億ドルへ、年平均成長率(CAGR)15.9%で拡大すると予測しています(2023年11月公表)。
- ERP専門の調査会社Apps Run The Worldは、2025年のERPアプリケーション市場を前年比11%増の1,460億ドル超と公表しています。
両者で金額が大きく違うのは、対象範囲(前者は「クラウドERP」に限定、後者は「ERPアプリケーション」を広く捉える)に加え、評価の基準年も2022年と2025年で異なるためです。世界市場は国内以上に調査ごとの前提差が大きいので、引用する際はどの調査会社がいつ時点で何を対象に算出したかをあわせて示してください。
国内と比べる目安として、1ドル=150円で換算すると、436.0億ドルは約6.5兆円、1,460億ドルは約21.9兆円に相当します。国内市場(1,684億〜4,201億円)とは金額の桁が異なることがわかります。為替レートや対象範囲の違いで変わるため、あくまで概算として押さえてください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:Cloud ERP Market Size to Surpass USD 140.14 Billion by 2030|Fortune Business Insights(GlobeNewswire配信)
- 出典:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast|Apps Run The World(https://www.appsruntheworld.com/top-10-erp-software-vendors)
ERPベンダー別シェア(世界・国内)
ERP市場でどのベンダーが強いのかは、世界と国内で状況が異なります。数字の出所と時点を分けて見ていきます。
世界のERPベンダーシェア(SAP・Oracle・Microsoft ほか)
Apps Run The Worldの2025年の集計では、ERPアプリケーション市場のシェアはOracleが6.7%、SAPが6.6%で、上位10社の合計でも31.9%にとどまります。特定の1社が市場を支配しているのではなく、多数のベンダーが分け合う構図です。同社は、クラウドERPを中心にOracleがSAPを抜いて首位に立ったとも報告しています。
かつてSAPが長く首位とされてきましたが、クラウド移行の進展にともない、ベンダー間の勢力図は変化しつつあります。古い時点の順位がそのまま引用されていることもあるため、出所の年次に注意してください。
国内のERPベンダーシェア
国内ベンダー別の最新シェアを百分率で示した公開データは限られており、各調査会社の有料レポートに含まれるのが実情です。そのため、ここでは公開情報から確認できる傾向を示します。
ITRによると、2024年度のERP市場でSaaSとパッケージの提供ベンダーは拮抗して見えるものの、市場シェア上位20社のうちパッケージのみを提供するベンダーはわずか2社でした。クラウド型への移行がベンダー構成にも及んでいることがうかがえます。
製品の傾向としては、大企業向けはSAPやOracleなど外資系が中心で、中堅・中小企業向けには会計・人事に強いOBCの奉行シリーズ、富士通のGLOVIA、大塚商会のSMILEシリーズなど、国内ベンダーの製品が数多く提供されています。
調査会社ごとのシェア順位や世界シェアのランキングをより詳しく確認したい場合は、以下の記事で調査別の順位を整理しています。
ERP市場が成長している理由
ここまで見てきた市場の拡大とクラウド化には、いくつかの共通した背景があります。主な成長要因を3つに分けて整理します。
2027年の崖(SAPの標準保守終了によるクラウド移行需要)
市場を押し上げている要因の一つが、いわゆる「2027年の崖」です。SAPは2020年2月の公式発表で、SAP Business Suite 7の中核アプリケーションの主力保守(mainstream maintenance)を2027年末で終了し、有償の延長保守を2030年末まで提供すると明らかにしました。後継のSAP S/4HANAについては2040年までの保守を表明しています。
SAP will provide mainstream maintenance for core applications of SAP Business Suite 7 software until the end of 2027 followed by optional extended maintenance until the end of 2030.
出典:SAP Extends Its Innovation Commitment for SAP S/4HANA, Provides Clarity and Choice on SAP Business Suite 7|SAP(news.sap.com)
標準保守の期限を見据え、既存ERPからS/4HANAをはじめとするクラウドERPへ移行する動きが、市場の需要を支えています。ただし延長保守が2030年末まで用意されているため、「2027年ですべてが止まる」わけではない点は正しく理解しておきたいところです。
DX推進による基幹システムの刷新
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も、ERP投資を後押ししています。老朽化・複雑化した既存システムを刷新し、会計・人事・販売・生産などのデータを統合基盤に集約する動きが広がっています。前述のクラウド型の高い伸びは、こうした刷新需要がクラウドERPへ向かっていることの表れといえます。
こうした刷新需要が中小企業の現場でどのような相談として現れているかは、クラウドERP「Odoo」の導入を支援する株式会社マルウェブへの取材からもうかがえます。
一番多いのは、販売管理、在庫管理、会計がそれぞれの部門で分断されているので一元化したい、というご相談です。(中略)次に多いのが、Excelやメール、手書き、あるいは古いシステムで運用していて担当者の負担が大きいので、もう少し便利にしたいというご要望です。
法改正対応(電子帳簿保存法・インボイス制度)
相次ぐ法改正への対応も、基幹システム刷新のきっかけになっています。インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年10月1日に開始され、複数税率に対応した正確な消費税処理が求められるようになりました。
また、電子帳簿保存法では、電子取引データの電磁的記録による保存が義務づけられています。
電子取引を行った場合には、電子取引により授受した取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的記録により保存しなければなりません(法7)。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】|国税庁(国税庁PDF)
こうした制度対応を機に、会計・基幹システムをクラウドERPへ切り替える企業が増えています。法令対応のアップデートがベンダー側で継続的に提供される点も、クラウド型が選ばれる理由の一つです。
法改正への継続対応がクラウドERPの価値につながる流れは、今に始まったものではありません。財務会計システムを手がけるピー・シー・エー株式会社は、クラウド提供を始めた背景を次のように説明しています。

1994年には他社に先駆けてWindows対応の「PCA会計」を発売しました。その後、「法改正のたびにソフトを買い替える負担をなくしたい」という思いから、まだクラウドという言葉が一般的でなかった2008年に、業界に先んじてPCAクラウドの提供を開始しています。
出典・参考資料(2件)
市場を牽引するクラウドERPと主要製品
市場規模と成長の背景を押さえたら、次は自社に合うERPの検討です。ここでは、クラウドERPへの移行が進むなかで代表的に名前の挙がる製品を、グローバル大手から国内向けまで数件紹介します。製品ごとに対象企業規模や提供形態が異なるため、まずは比較表で全体像を掴んでください。
| サービス名 | Odoo導入・開発・業務統合支援 | SAP S/4HANA Cloud | OBIC7 | SuperStream-NX | クラウドERP ZAC |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス (Odoo Online・Odoo.sh・自社運用から選択) | クラウド/オンプレミス (Public・Private Edition) | クラウド(プライベート型)/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド |
| 対象企業規模 | 中小企業を中心 | 中堅〜大企業 | 中堅〜大企業 | 中堅〜大企業・上場企業 | ベンチャー〜大企業(プロジェクト型業種) |
| 主な特徴 | オープンソースERP。販売・会計など80以上のアプリを必要な分だけ段階導入できる | 世界で広く使われる統合ERP。既存のSAP ERPからの移行先として採用が進む | 国産の統合基幹業務システム。会計一体型で、導入から保守まで自社一貫で支援 | 会計・人事給与に強い国産基盤。日本基準とIFRSに対応し、電子帳簿保存法のJIIMA認証も取得 | プロジェクト型ビジネスに特化。案件別の収支・工数・原価をリアルタイムに一元管理 |
| 料金目安 | 要問い合わせ(個別見積もり) | 要問い合わせ(個別見積もり) | 要問い合わせ(個別見積もり) | 要問い合わせ(個別見積もり) | 初期設定10万円 (月額はモジュール課金、要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
ここで挙げたのは代表的な数製品です。企業規模・提供形態・費用といった観点で主要なERPを一覧で比べ、自社に合う製品を選びたい場合は、以下の記事でくわしく解説しています。導入を検討される方はあわせてご覧ください。
Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

オープンソースERP「Odoo」の導入から運用定着までを一貫支援するサービスです。Odooはベルギーのオドゥー社が開発するオープンソースERPで、販売・購買・在庫・会計・CRM・ECなど80以上のアプリが相互に連携します。無償のCommunity版と有償サブスクリプションのEnterprise相当を選べるオープンコアモデルが特徴です。
株式会社マルウェブは導入パートナーとして、要件定義・カスタマイズ・外部システム連携・データ移行・運用支援を手がけます。日本とベトナムのハイブリッド開発体制で、海外製ERPを日本の商習慣に合わせて調整するノウハウを強みに掲げています。スモールスタートでクラウドERPを導入したい企業にとって、選択肢の一つになります。
SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン株式会社)

世界で広く導入されるSAPのクラウドERPです。会計・調達・製造・販売・人事といった基幹業務を単一の基盤に統合し、大企業からグローバル展開する企業まで幅広く対応します。前述の「2027年の崖」を背景に、従来のSAP ERP(ECC)からの移行先として採用が進んでいます。
クラウド提供により、法令対応や機能のアップデートが継続的に反映される点も特徴です。グローバル標準の業務プロセスを取り込みたい企業や、海外拠点を含めて基幹システムを統一したい企業に向いています。
OBIC7(株式会社オービック)

国内で長年の実績を持つ統合基幹業務システムです。会計・人事給与・販売・生産など、企業の基幹業務を統合的に扱います。提供元の株式会社オービックは、公式サイトで250業種・29,000社を超える導入実績を掲げており、国内中堅・大企業を中心に広く使われてきました。
システム構築から運用・保守までを自社で一貫して手がける体制を特徴とし、業種ごとの業務要件に合わせた導入を支援します。国内の商習慣に根ざした基幹システムを求める企業にとって、有力な候補となります。
SuperStream-NX(キヤノンITソリューションズ株式会社)

会計と人事給与を中心に据えた基幹業務ソリューションです。公式サイトでは11,000社以上の導入実績を掲げ、上場企業から中堅企業まで幅広く採用されています。日本の会計基準とIFRS(国際財務報告基準)の双方に対応し、電子帳簿保存法に関するJIIMA認証(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会の認証)も取得しています。
オンプレミスからクラウドまで利用形態を選べる柔軟さがあり、既存の業務システムと組み合わせて会計・人事基盤を整えたい企業に適しています。2026年には固定資産管理向けの新リース会計基準対応オプションも提供が始まっています。
クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

プロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERPです。案件ごとの収支・工数・原価を一元管理できる点が特徴で、IT・広告・コンサルティングなど、プロジェクト単位で採算を管理する業種に向いています。提供元の株式会社オロは、公式サイトで1,100社を超える導入実績を掲げています。
販売・購買・勤怠・会計といった業務をクラウド上で連携させ、プロジェクトの状況をリアルタイムに把握できます。汎用的な基幹システムでは管理しづらい、プロジェクト採算の見える化を重視する企業に適した選択肢です。
まとめ
ERPの市場規模は、国内で約1,684億円から約4,201億円まで調査会社によって幅がありますが、その違いは対象範囲(ライセンス売上・ERP市場売上・基幹業務パッケージの出荷金額)の差によるものです。数字を使うときは、いつの・どの調査会社の・何を含む数字かをあわせて確認することが欠かせません。
市場全体は、クラウド型・SaaS型への移行を軸に拡大が続く見通しです。2027年の崖やDX推進、法改正対応といった需要が、その流れを後押ししています。市場の動きを踏まえて自社の基幹システムを検討する際は、製品ごとの対象規模や提供形態を比べながら、資料で詳細を確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ERP(統合基幹業務システム)とは何ですか?
A. ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会計・人事・販売・生産・在庫といった企業の基幹業務を一つの統合基盤で管理する仕組み、およびそのソフトウェアです。各業務のデータを分断せずに集約することで、経営状況をリアルタイムに把握し、全社的な意思決定や内部統制に役立てられます。近年はクラウド(SaaS)型での提供が広がっており、市場成長の中心になっています。
Q. 国内のERP市場規模はどのくらいですか?
A. 国内のERP市場規模は、直近で約1,684億円から約4,201億円と調査会社によって幅があります。
矢野経済研究所は2024年のERPパッケージライセンス市場を1,684億4,000万円(前年比12.1%増)、ITRは2024年度のERP市場を2,558億円(前年度比18.0%増)、デロイト トーマツ ミック経済研究所は2025年度の基幹業務パッケージ総市場を4,201億4,000万円(前年対比115.7%)と公表しています。
いずれの調査でも市場は拡大傾向にあり、金額差は各社が測る対象範囲の違いによるものです。
Q. なぜ調査会社によってERP市場規模の金額が違うのですか?
A. 金額が割れる主な理由は、各調査会社が測る対象範囲の広さが異なるためです。
矢野経済研究所はERPパッケージのライセンス売上のみ、ITRはパッケージとSaaSを含むERP市場の売上、ミック経済研究所は連結会計パッケージも加えた基幹業務パッケージの出荷金額を対象としています。対象が広いほど金額は大きくなるため、ライセンス売上<ERP市場の売上<基幹業務パッケージの出荷金額の順で数字が開きます。
市場が数倍に伸びたわけではなく、測っている範囲が違うという点を押さえておくことが大切です。
Q. 稟議・提案資料にはどの調査会社のERP市場規模を使えばよいですか?
A. 用途に合う対象範囲の数字を、出所(調査会社名・年度・何を含む数字か)とセットで引用するのが基本です。
クラウド化やSaaSの伸びを示したいならITRの提供形態別データ、連結会計を含む基幹業務全体の規模を押さえたいならミック経済研究所、ERPパッケージライセンスに絞った数字なら矢野経済研究所、というように使い分けられます。単一の数字を出所なしで断定すると、他の資料と突き合わせた際に整合しなくなるため注意してください。
Q. ERP市場の今後の成長率(CAGR)はどのくらいですか?
A. ITRは2024〜2029年度の年平均成長率(CAGR)を、SaaS市場で+20.0%、パッケージ市場で−0.9%と予測しています(2026年3月公表)。市場全体の成長はクラウド型・SaaS型が牽引する構図です。
矢野経済研究所も2025年のERPパッケージライセンス市場を前年比11.7%増の1,881億9,000万円、ミック経済研究所も基幹業務パッケージ総市場が2026年度に4,844億1,000万円へ拡大すると見込んでいます。
Q. クラウドERPは国内ERP市場でどのくらいの割合を占めていますか?
A. 矢野経済研究所によると、2024年のERPパッケージライセンス市場でクラウド型利用(IaaS・PaaS・SaaSを含む)が占める割合は約65%でした。前年から約5.5ポイント増え、このうちSaaSのみの市場は前年比36.2%増の371億8,600万円と高い伸びを示しました。
ITRの調査でも2024年度はSaaS市場が前年度比28.2%増とパッケージ(3.5%増)を上回っており、クラウド化が市場全体を押し上げています。
Q. 世界のERP市場規模とシェア上位のベンダーはどこですか?
A. 世界市場も対象範囲によって金額が割れ、Fortune Business InsightsはクラウドERP市場を2022年に436.0億ドル、Apps Run The WorldはERPアプリケーション市場を2025年に1,460億ドル超と公表しています。
シェアはApps Run The Worldの2025年集計でOracleが6.7%、SAPが6.6%、上位10社の合計でも31.9%にとどまり、特定の1社が支配するのではなく多数のベンダーが分け合う構図です。クラウドERPではOracleがSAPを抜いて首位に立ったと同社は報告しています。
Q. ERP市場が拡大している理由は何ですか?
A. 主な理由は、DX推進による基幹システムの刷新、2027年の崖によるクラウド移行需要、そして法改正への対応の3つです。
老朽化・複雑化した既存システムをクラウドERPへ刷新する動きに加え、インボイス制度(2023年10月開始)や電子帳簿保存法による電子取引データの電子保存義務への対応が、会計・基幹システムの入れ替えを後押ししています。法令対応のアップデートがベンダー側で継続的に提供される点も、クラウド型が選ばれる理由の一つです。
Q. 2027年の崖とは何ですか?
A. 2027年の崖とは、SAPの主力ERP「SAP Business Suite 7」の主力保守(mainstream maintenance)が2027年末で終了する問題を指します。SAPは2020年2月の公式発表で、有償の延長保守を2030年末まで提供し、後継のSAP S/4HANAは2040年まで保守すると表明しています。
標準保守の期限を見据えて既存ERPからクラウドERPへ移行する動きが市場の需要を支えていますが、延長保守が2030年末まで用意されているため「2027年にすべてが止まる」わけではありません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















