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ERC-721とは?仕組みとERC-20・ERC-1155との違い・発行方法をわかりやすく解説

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NFT・トークン発行・配布支援比較表(2026年版)

自社でNFT(非代替性トークン)の発行や活用を検討しはじめると、ベンダーの資料や開発会社とのやり取りで「ERC-721(イーアールシー721)」という言葉に何度も出会います。意味があいまいなままでは、どの方式が自社に合うのか、何を発注すればよいのかを判断できません。

ERC-721とは何か、ERC-20やERC-1155といった他の規格と何が違うのか、そして実際に自社でNFTを発行するにはどんな方法があるのか。これらを一度に整理するには、どこから押さえればよいのでしょうか。

本記事では、ERC-721の定義と仕組みをわかりやすく解説します。ERC-20・ERC-1155との違いを一覧表で整理し、代表的な活用例、ロイヤリティやレンタルといった最新の拡張規格、さらに自社でNFTを発行する方法までをまとめました。

NFTの発行・活用を検討するうえで、全体像を一読で掴める内容です。

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ERC-721とは?

ERC-721とは、イーサリアム(Ethereum)上でNFT(非代替性トークン=唯一無二のデジタル資産)を作るための標準規格です。1つ1つを区別して所有者を記録・移転できる最小限の機能を定めており、デジタルアートや会員証、チケットなどを「替えのきかない1点もの」としてブロックチェーン上で扱えるようにします。

ERC-721は、2018年1月24日にEthereumの改善提案(EIP-721)として提案され、現在は正式に確定した規格(ステータス: Final)です。公式の規格原文は、NFTの目的を次のように述べています。

The following standard allows for the implementation of a standard API for NFTs within smart contracts. This standard provides basic functionality to track and transfer NFTs.
(以下の標準は、スマートコントラクト内でNFTのための標準APIを実装できるようにするものである。この標準は、NFTを追跡し移転するための基本的な機能を提供する。)

出典:ERC-721: Non-Fungible Token Standard|Ethereum Improvement Proposals

ERC-721は、NFTを「追跡(誰が持っているかを記録)」し「移転(他人に渡す)」するための共通の約束ごとを定めた規格です。この「共通の約束ごと」がなぜ重要なのかは、次の章で見ていきます。

出典・参考資料(2件)

代替可能トークンとの違い=非代替性(Non-Fungible)とは

NFTの「非代替性(Non-Fungible)」は、「代替可能(Fungible)」と対比すると理解しやすくなります。たとえば1万円札は、どの1枚でも同じ価値を持ち、別の1万円札と交換しても困りません。これが「代替可能」です。暗号資産やポイントのように、数量で数えられ1単位ずつが同一のものがこれにあたります。

一方でNFTは、1つ1つが区別され、同じものが2つと存在しません。手描きの絵や直筆サイン入りの本のように、見た目が似ていても別個のものとして扱われます。公式規格も、代替可能なトークンの規格(ERC-20)ではNFTを扱えない理由を、次のように説明しています。

EIP-20 is insufficient for tracking NFTs because each asset is distinct (non-fungible) whereas each of a quantity of tokens is identical (fungible).
(各資産が別個のもの(非代替)であるのに対し、数量で数えるトークンは1つ1つが同一(代替可能)であるため、ERC-20ではNFTを追跡するには不十分である。)

出典:ERC-721: Non-Fungible Token Standard|Ethereum Improvement Proposals

そのためERC-721では、トークンを「数量」ではなく「1つずつ」識別し、それぞれの所有者を別々に記録します。この「1点ごとに区別して管理する」という発想が、ERC-721の出発点です。

そもそもNFTとは何か、なぜビジネスで注目されているのか、今後の将来性も含めて広く押さえておきたい方は、以下の記事で基礎から整理しています。

そもそも「ERC」「規格」とは?なぜ規格が必要なのか

ここでは、「ERC」とは何か、なぜ規格が必要なのかを押さえます。ERC-721の「ERC」は「Ethereum Request for Comments」の略で、Ethereumのアプリケーションが従う技術仕様のことです。新しい仕様はEIP(Ethereum Improvement Proposals=Ethereum改善提案)として提案・議論され、確定したものが実質的な標準として使われます。

末尾の「721」は、提案時に割り振られた通し番号です。

規格が必要な理由は、「同じルールに沿っていれば、別々に作られたサービス同士が追加開発なしで連携できる」からです。ERC-721の共通ルールに従って発行されたNFTは、そのルールに対応するウォレットやマーケットプレイス、ブロックチェーンの閲覧ツールが、中身を個別に作り込まなくてもそのまま表示・売買・移転できます。

逆に、各社がバラバラの独自仕様でNFTを作ると、そのNFTを扱うたびに専用の対応を開発しなければならず、流通もしにくくなります。規格は、こうした重複開発を避け、NFTが広く流通する土台をつくる役割を担っています。

出典・参考資料(1件)

ERC-721の仕組み

ここからは、ERC-721がどのように「1点ごとのNFT」を実現しているのか、その仕組みを順に見ていきます。大きく分けて、識別(tokenID)・所有権の操作(関数とイベント)・付随する情報(tokenURIとメタデータ)・対応規格の検出(ERC-165)の4つを押さえると全体像が掴めます。

事業担当の方は、ここでは「何が標準化されているか」という全体像を掴めれば十分です。関数名や識別子といった細かな用語は、開発会社とのやり取りで出てきたときに読み返せば問題ありません。

tokenIDによる一意の識別

ERC-721では、1つ1つのNFTに「tokenID」と呼ばれる番号が割り当てられます。この番号は技術的には256ビットの整数(uint256)です。取りうる値が事実上無限にあるため、発行するNFTごとに重複しない固有の番号を割り当てられます。Ethereum公式ドキュメントも、すべてのNFTにはtokenIDと呼ばれるuint256の変数が含まれると説明しています。

同じNFTコントラクト(NFTを発行・管理するプログラム)の中では、このtokenIDが重複しないため、1点ずつを区別できます。さらにコントラクトごとにアドレスが分かれているので、「どのコントラクトの、どのtokenIDか」という組み合わせで、そのNFTがネットワーク全体で特定されます。

所有権の照会・移転・承認(主要な関数とイベント)

ERC-721は、NFTの所有権を扱うための関数(機能の呼び出し口)を定めています。開発の詳細を知らなくても、「どんな操作が共通化されているか」を知っておくと、サービスの仕様を読むときに役立ちます。主な関数は次のとおりです。

  • balanceOf:指定したアドレスが保有するNFTの数を数える(所有数の照会)
  • ownerOf:指定したtokenIDのNFTの所有者を調べる(所有者の照会)
  • transferFrom / safeTransferFrom:NFTの所有権を別のアドレスへ移す(移転)
  • approve:特定のNFT1点について、他のアドレスに移転を委任する(単一NFTの承認)
  • setApprovalForAll:あるアドレス(運用者)に、自分の保有するNFTすべての取り扱いを委任する(全資産の承認)

これらの操作が行われると、ブロックチェーン上に「イベント」として記録が残ります。所有権の移転を知らせるTransfer、単一NFTの承認を知らせるApproval、全資産の承認を知らせるApprovalForAllの3つが定められており、外部のサービスはこの記録を追うことで保有や取引の状況を把握できます。

移転には1つ注意点があります。公式規格は、通常の移転関数(transferFrom)について「受け取り側がNFTを受け取れる状態か確認する責任は呼び出し側にあり、確認を怠るとNFTが永久に失われる可能性がある」と警告しています。

Transfer ownership of an NFT — THE CALLER IS RESPONSIBLE TO CONFIRM THAT `_to` IS CAPABLE OF RECEIVING NFTS OR ELSE THEY MAY BE PERMANENTLY LOST

出典:ERC-721: Non-Fungible Token Standard(transferFrom の注記)|Ethereum Improvement Proposals

これを防ぐために用意されているのが、安全な移転関数(safeTransferFrom)です。移転先がプログラム(コントラクト)だった場合に、そのプログラムがNFTを受け取れる仕組み(onERC721Received)を備えているかを確認し、備えていなければ移転を中断します。NFTを受け取れないプログラムに誤って送って取り出せなくなる、といった事故を避けられます。

出典・参考資料(2件)

tokenURIとメタデータ(画像はどこに保存される?)

NFTというと「画像そのものがブロックチェーンに記録されている」と思われがちですが、実際は異なります。ERC-721が任意で定める拡張では、各NFTに「tokenURI」という情報を持たせられます。これは、そのNFTを説明する情報(メタデータ)の保存場所を指し示すURI(住所のようなもの)です。

tokenURIが指す先には、通常はJSON形式のファイルが置かれ、公式規格の「ERC721 Metadata JSON Schema」ではname(名称)・description(説明)・image(画像のURI)の3つのフィールドが定義されています。画像そのものはこのimageフィールドが指すURI先にあり、ブロックチェーン上にはその「ありか」への参照が記録される形です。

公式規格は、すべてのメタデータをブロックチェーン上に直接置く案を「コストが高すぎる」として採用しませんでした。そのため、画像やメタデータの保存先は規格では特定されておらず、実務ではIPFSやArweaveといった分散型ストレージに保存することが一般的です。

ERC-721のNFTで画像が参照される流れの図解。オンチェーンにはtokenID(1点ごとの番号)と情報のありかを指すtokenURIが記録され、画像データ本体は置かれない。tokenURIが指す先にメタデータ(JSON)があり、name・description・image(画像のURI)の3項目を記述する。imageが指す先に画像ファイルがあり、IPFSやArweaveなどの分散型ストレージに保存されるのが一般的である。

また、マーケットプレイス(OpenSeaなど)では、作品の属性を表す「attributes」をメタデータに加える慣行がありますが、これはERC-721の規格自体が定めるフィールドではなく、マーケットプレイス側の事実上の取り決めです。

この仕組みを理解しておくと、「NFTを持っていても、画像の保存先が失われれば画像が表示されなくなることがある」という注意点も腑に落ちます。NFTが保証するのは「唯一無二の所有の記録」であって、「画像データそのものの永続保存」ではない、という区別が大切です。

出典・参考資料(2件)

ERC-165(インターフェース検出)と必須実装

ERC-721を正しく理解するうえで見落とされがちなのが、ERC-165という別の規格との関係です。公式規格は、ERC-721に準拠するコントラクトはERC-721とERC-165の両方を実装しなければならない、と定めています。

Every ERC-721 compliant contract must implement the `ERC721` and `ERC165` interfaces
(すべてのERC-721準拠コントラクトは、ERC721およびERC165のインターフェースを実装しなければならない。)

出典:ERC-721: Non-Fungible Token Standard(Specification)|Ethereum Improvement Proposals

ERC-165は「そのコントラクトがどの規格に対応しているか」を外部から問い合わせられるようにする仕組みです。たとえばウォレットやマーケットプレイスは、あるコントラクトに対して「ERC-721に対応していますか?」と確認(supportsInterface)し、対応していれば安心してNFTとして扱えます。

ERC-721本体の識別子は「0x80ac58cd」と決められており、この照会の土台になっています。

出典・参考資料(2件)

ERC-721とERC-20・ERC-1155の違い(比較表)

Ethereumには、ERC-721以外にも代表的なトークン規格があります。混同しやすいERC-20・ERC-1155との違いを、「代替可能か」「1コントラクトでの扱い」「主な用途」の3点で整理します。

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トークン規格ERC-20ERC-721ERC-1155
代替可能か代替可能(Fungible)
各トークンが同一で数量で扱う
非代替(Non-Fungible)
1点ずつ区別し別々に所有を記録
代替可能・非代替の両方を扱える
1コントラクトでの扱い1種類のトークンを1コントラクトで発行1コレクションを1コントラクトで発行し、tokenIDごとに一意のNFT1コントラクトで複数のトークンタイプをまとめて管理
主な用途暗号資産・ユーティリティトークン・ポイント等アート・会員証・チケット・証明書など唯一無二の資産ゲーム内アイテムなど、代替可能・非代替を混在管理したい用途

各規格の公式仕様(EIP-20/EIP-721/EIP-1155)をもとに作成

ERC-20は、1種類ごとに専用のコントラクトを用意して、同一のトークンを数量で扱う規格です。これに対してERC-721は、1つのコレクションを1コントラクトで発行し、その中のtokenIDごとに1点もののNFTを区別します。

ERC-1155は、1つのコントラクトの中で複数のトークンタイプを扱え、代替可能なトークンと非代替なトークンを混在させられる規格です。たとえば1つのゲームの中で、共通通貨のような代替可能なトークンと、1点ものの限定アイテムのような非代替トークンを、同じ仕組みでまとめて扱えます。

「1点ものを明確に扱いたいならERC-721」「多種類のアイテムをまとめて管理したいならERC-1155」が、使い分けの出発点になります。

出典・参考資料(3件)

ERC-721の活用例

ERC-721は、「1点ごとに所有を記録できる」という性質を活かして、さまざまな分野で使われています。身近な例を挙げます。

  • デジタルアート・コレクティブル:唯一無二の作品として発行・売買する。繁殖できるデジタルの猫を集めるゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」は、ERC-721の代表的な初期事例です
  • ゲーム内アイテム:キャラクターやカードなどを、プレイヤーが所有・取引できる資産として扱う(Gods Unchained のトレーディングカードなど)
  • 会員証・会員権:保有していることを入会・特典の条件にする、デジタル会員証としての利用
  • チケット:イベントの入場券を1枚ずつ発行し、本人確認や転売対策に活用する
  • デジタル証明・ドメイン:イベント参加証(POAP)や、人間が読みやすいブロックチェーンのアドレス名を管理するEthereum Name Service(ENS)など、「証明」や「権利」の記録として使う

Ethereum公式ドキュメントも、人気のNFTとしてCryptoKitties・ENS・POAP・Gods Unchained・Bored Ape Yacht Club などを挙げています。自社のサービスに「1点ずつ区別して所有を記録したい対象」があれば、ERC-721の活用を検討する余地があります。

出典・参考資料(1件)

NFTが実際のビジネスでどのように使われているか、業種別のより具体的な事例を知りたい方は、以下の記事で活用例をまとめています。

ERC-721の主要な拡張規格

ERC-721は基本的な規格であり、その上に「できること」を広げる拡張規格が提案されています。ビジネスでの活用を考えるうえで押さえておきたい代表的な4つを紹介します。

  • ERC-2981(ロイヤリティ、ステータス Final):NFTが二次流通(転売)されるたびに、クリエイターや権利者へ支払うべきロイヤリティ額を提示するための規格です。マーケットプレイスは「royaltyInfo()」で支払先と金額を参照できます。ただし支払い自体は任意で、通知・支払いの実装方法までは定めない最小限の仕組みである点に注意が必要です
  • ERC-4907(レンタル、ステータス Final):NFTに「所有者(owner)」とは別に「利用者(user)」という役割と、その自動失効期限(expires)を追加する規格です。利用者はNFTを使えますが移転はできないため、期間限定の貸し出し(レンタル)を実現できます
  • ERC-6551(トークンバウンドアカウント、ステータス Review):NFT自身がアカウントを持ち、他の資産を保有したりアプリと対話したりできるようにする提案です。既存のERC-721を変更せずに後付けできる点が特徴です。この規格は現時点で確定(Final)ではなく、レビュー段階(Review)にあります
  • ERC-5192(譲渡不可トークン=SBT、ステータス Final):アカウントに紐づき、他人に譲渡できないNFT(Soulbound Token)を作るための最小限の規格です。「locked()」がtrueの場合、ERC-721の移転系の関数は必ず失敗します。資格証明や本人限定の会員証など、「譲渡させたくない」用途に向きます

これらの拡張を知っておくと、「ロイヤリティを自動で受け取りたい」「期間限定で貸し出したい」「本人限定の証明にしたい」といった要件が、ERC-721をベースに実現できることが見えてきます。

出典・参考資料(4件)

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自社でERC-721のNFTを発行するには

ERC-721の全体像が掴めると、次に気になるのは「では、実際に自社でNFTを発行するにはどうすればよいか」でしょう。発行の方法は、大きく2つに分けられます。

どちらを選ぶかは、社内に開発体制があるか、どこまで作り込みたいか、いつまでに必要かで変わります。費用や期間も方法によって幅があります。

自前開発では、スマートコントラクトの開発・監査・運用にかかる工数(人件費)が費用の中心になります。発行支援サービスは初期費用・月額・従量などサービスごとに料金体系が異なり、要問い合わせのものも多いため、具体的な費用と期間は各社の資料や見積もりで確認するのが確実です。

自社でERC-721のNFTを発行する2つの方法を比較した図解。1つは自前でスマートコントラクトを書く方法で、OpenZeppelinなど監査済みライブラリを使い自社または開発会社で開発し_safeMintなどで発行する。自由度が高い一方、開発・テスト・セキュリティ対策の知識が必要。もう1つは発行・配布を支援するサービスを使う方法で、スマートコントラクト開発を自社で抱えずに発行・配布でき、技術者が社内にいない企業でも検討しやすい。提供形態はノーコード型から伴走支援型まで幅がある。

自前でスマートコントラクトを書く方法

1つは、自社(または開発会社)でスマートコントラクトを開発する方法です。ゼロから書くのではなく、監査済みのライブラリを使うのが一般的で、代表的なものにOpenZeppelinがあります。NFTを新規に生成する処理(_mint/_safeMint)やメタデータの管理(ERC721URIStorage)があらかじめ用意されており、これらを組み合わせて発行できます。

OpenZeppelinのドキュメントは、生成処理について「_mintの利用は推奨されず、可能な限り_safeMintを使うこと」と案内しています。_safeMintは、受け取り側がNFTを受け取れるかを確認してから発行するため、先に触れた「送付ミスでNFTが失われる」事故を避けられます。自由度は高い一方で、スマートコントラクトの開発・テスト・セキュリティ対策の知識が必要になります。

出典・参考資料(1件)

発行・配布を支援するサービスを使う方法

もう1つは、NFTの発行・配布を支援するサービスを利用する方法です。スマートコントラクトの開発を自社で抱えずに、ERC-721のNFTを発行・配布できるため、技術者が社内にいない企業でも検討しやすい選択肢です。提供形態は、管理画面から自分で操作するものから、企画から運用までを伴走支援するものまで幅があります。

サービスを選ぶときは、管理画面から自分で運用するノーコード型か・企画から伴走する開発支援型か、対応するブロックチェーン、汎用の発行か訪問証明やSBTなど特定用途向けか、といった観点が目安になります。以下では、こうした観点の異なる代表例として、ERC-721のNFT発行に対応する2社を紹介します。

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サービス名NFT INFINITYCommun(コミュン)
対応ERC規格ERC-721 / ERC-1155 / ERC-20ERC-721 / ERC-5192
(譲渡不可のSBT)
対応ブロックチェーンEthereum・Polygon等の
パブリックチェーン/
プライベートチェーンにも対応
非公開
(パブリックチェーンで発行)
利用形態伴走型の開発支援
(独自マーケットプレイス構築)
ノーコード運用
(ICカード・二次元コードを設置するだけ)
主な用途・特徴自社ブランドの独自NFT
マーケットプレイス構築。
カスタマイズの自由度が高い
訪問証明・会員証などの
SBT配布。個人情報入力や
ウォレット作成が不要
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

各社の公式サイトをもとに作成(2026年10月時点)

1. NFT INFINITY(株式会社OCT-PATH)

NFT INFINITYの公式サイト

NFT INFINITYは、自社ブランドの独自NFTマーケットプレイスを構築したい企業向けに、株式会社OCT-PATHが提供する開発支援型のサービスです。パッケージを活用することで、短期間・低コストでNFTマーケットプレイスの運営会社として市場に参入できる点を掲げています。

対応規格はERC-20・ERC-721・ERC-1155で、1点もののNFT(ERC-721)と複数種類を1つのコントラクトで管理するNFT(ERC-1155)の双方を発行できます。対応ブロックチェーンはEthereumやPolygonなどのパブリックチェーンに加え、プライベートチェーンにも対応可能とされています。

要件定義・UI/UX設計・ブランディング・スマートコントラクト開発・リリース後の保守運用までをOCT-PATHが一貫して伴走する形で、自社の用途に合わせたカスタマイズができます。

自分で管理画面を操作するノーコード型のSaaSではなく、開発を伴走支援するサービスである点は、検討時に押さえておきたいポイントです。独自のマーケットプレイスをしっかり作り込みたい企業に向いています。

2. Commun(コミュン/合同会社bel)

Communの公式サイト

観光地やイベント、店舗などへの「訪問した事実」をデジタルで証明したい——そうした用途に特化したプラットフォームがCommun(コミュン)です。合同会社bel(九州NFTラボ)が提供し、ICカードや二次元コードを使って、訪問証明をNFTとして配布・認証します。

発行するNFTは、規格としてERC-721/ERC-5192を採用した「SBT(Soulbound Token=譲渡できないNFT)」です。本人の記録として残り、他人へ譲り渡せない仕組みのため、「訪れた本人であること」を技術的に担保できます。会員証やデジタル証明のように、第三者に移転させたくない用途と相性が良い発行手段です。

運用面では、発行する側(自治体・イベント主催者など)は届いたICカードや二次元コードを設置するだけで始められ、ブロックチェーンの知識や暗号資産の準備は不要とされています。受け取る側もアプリを入れるだけで、ウォレット作成や個人情報の入力なしにNFTを保存・閲覧できます。訪問証明や会員証といった、特定用途のSBT発行を手軽に始めたい場合の選択肢です。

ここで紹介した以外にも、NFTの発行・配布を支援するサービスは数多くあります。対応チェーンや料金、ノーコードで発行できるかといった観点から幅広く比較検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

ERC-721は、イーサリアム上でNFT(唯一無二のデジタル資産)を作るための標準規格です。tokenIDで1点ずつを区別し、所有権の照会・移転・承認を共通のルールで扱えるため、対応するウォレットやマーケットプレイスがそのままNFTを扱えます。

代替可能なERC-20や、多種類をまとめて扱うERC-1155との違いを押さえ、ロイヤリティ(ERC-2981)やレンタル(ERC-4907)、譲渡不可のSBT(ERC-5192)といった拡張まで知っておくと、自社のユースケースにERC-721が合うかを判断しやすくなります。実際に発行するには、自前でスマートコントラクトを開発する方法と、発行・配布を支援するサービスを使う方法があります。

自社の体制や目的に合わせて、まずは資料で具体的な進め方を確認してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. ERC-721とは何ですか?

A. ERC-721とは、イーサリアム(Ethereum)上でNFT(非代替性トークン=唯一無二のデジタル資産)を作るための標準規格です。1つ1つのトークンをtokenIDで区別し、所有者の記録・移転・承認を共通のルールで扱えるようにします。2018年1月24日にEthereumの改善提案(EIP-721)として提案され、現在は正式に確定した規格(ステータス: Final)です。

この共通ルールに沿って発行されたNFTは、対応するウォレットやマーケットプレイスが追加開発なしでそのまま扱えます。

Q. ERC-721とERC-1155は、どちらを選べばよいですか?

A. ERC-721とERC-1155の使い分けは、「1点ものを明確に扱いたいならERC-721」「多種類のアイテムをまとめて管理したいならERC-1155」が出発点になります。ERC-721は1つのコレクションを1コントラクトで発行し、tokenIDごとに1点もののNFTを区別するため、アート・会員証・チケット・証明書のように「替えのきかない1点」を扱う用途に向きます。

一方でERC-1155は、1つのコントラクトの中で代替可能なトークンと非代替なトークンを混在して管理でき、ゲーム内アイテムのように多数のトークンタイプを効率よく発行したい用途に向きます。

Q. ERC-721のNFTは、画像が改ざんされたり消えたりしないのですか?

A. ERC-721が保証するのは「誰がそのNFTを持っているか」という所有の記録であって、画像データそのものの永続保存ではありません。所有の記録はブロックチェーン上に残り書き換えは困難ですが、画像の多くはブロックチェーンの外に保存され、各NFTが持つtokenURI(メタデータの保存場所を指すURI)経由で参照されます。

そのため、画像の保存先が失われれば、NFTを持っていても画像が表示されなくなることがあります。NFTは「唯一無二の所有の記録」であって「画像データの永続保存」ではない、という区別を押さえておくことが大切です。

Q. ERC-721のNFTのメタデータや画像は、どこに保存すべきですか?

A. ERC-721の規格は保存先を指定しておらず、実務ではIPFSやArweaveといった分散型ストレージに保存するのが一般的です。EIP-721は、メタデータをすべてブロックチェーン上に直接置く案を「コストが高すぎる」として採用しなかったため、画像やメタデータ本体はチェーンの外に置き、tokenURIでその保存先を参照する形が広く使われています。

IPFSは内容から導いたアドレスで参照するため差し替えに気づきやすく、Arweaveは長期保存を前提とする点で、画像が消えるリスクを抑える選択肢として選ばれます。ただしこれらは規格の要件ではなく実務上の慣行であり、用途や予算に応じて選ぶものです。

Q. ERC-721のNFTを発行・移転するとき、ガス代はどれくらいかかりますか?レイヤー2(L2)は使えますか?

A. ERC-721の発行や移転にかかるガス代(手数料)は、ネットワークの混雑状況や利用するブロックチェーンによって大きく変動し、固定額ではありません。イーサリアムのメインネットは、混雑時に手数料が高くなりやすい傾向があります。Polygonなどのサイドチェーンやレイヤー2は手数料を抑えやすく、コストを重視する場合の選択肢になります。

ERC-721は多くのEVM互換チェーンで利用でき、用途やコストに応じて発行先のチェーンを選べます。具体的な費用感は、利用するチェーンと発行・配布の方法(自前開発か支援サービスか)によって変わるため、見積もり時に確認することをおすすめします。

Q. 自社でERC-721のNFTを発行するには、何から始めればよいですか?

A. 自社でERC-721のNFTを発行する方法は、大きく「自前(または開発会社)でスマートコントラクトを開発する」方法と、「NFTの発行・配布を支援するサービスを利用する」方法の2つに分かれます。前者はOpenZeppelinなどの監査済みライブラリを使って発行でき自由度が高い一方、スマートコントラクトの開発・テスト・セキュリティ対策の知識が必要です。

後者は発行・配布を支援するサービスを使うことで、技術者が社内にいなくてもERC-721のNFTを発行・配布できます。まずは「どんな用途で・どのくらいの規模で・どの程度カスタマイズしたいか」を整理し、自社の体制に合う方法を選ぶとよいでしょう。発行支援サービスは提供形態や対応規格に幅があるため、複数の資料を見比べて検討することをおすすめします。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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