神奈川県内で新しく取引を始める相手や、気になっている会社が反社会的勢力と関わっていないかを確かめたいとき、「反社会的勢力の企業一覧」のような、社名を照合できるリストを探す方は少なくありません。検索しても、出てくるのは「神奈川県のブラック企業一覧」ばかりで、知りたい情報にたどり着けないと感じている方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、反社会的勢力と関わる企業を網羅した公的な一覧は存在しません。公的に閲覧できるのは、各都道府県が公表する暴力団排除に関連した指名停止・排除措置の情報や、警察庁が公表する指定暴力団の一覧などに限られます。
取引先が反社会的勢力と関わっていないかを確かめるには、これらの公的情報を踏まえたうえで、個別の確認が欠かせません。公知情報(公に知られている情報。インターネットや新聞記事など)の検索や反社チェックの仕組みを使って、1社ずつ調べていくことになります。
本記事では、反社会的勢力の企業一覧が公的に存在するのかという疑問に結論から答え、検索上位に並ぶ「ブラック企業一覧」との違い、神奈川で公的に確認できる情報と相談窓口、そして取引先を実際に確認する方法までを整理します。
目次
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反社会的勢力の企業一覧は神奈川にある?
結論として、反社会的勢力と関わる企業を網羅した公的な一覧は、神奈川県分も含めて存在しません。神奈川県警や公的機関が公表しているのは、暴力団の情勢や指定暴力団の状況、暴力団排除に関連して行政が講じた措置などであり、「この企業は反社と関わりがある」と名指しした企業名の一覧ではありません。まずは、なぜ網羅的な一覧が存在しないのかを整理します。
そもそも反社会的勢力とは
政府は2007年(平成19年)6月19日の犯罪対策閣僚会議幹事会申合せとして「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を定めています。この指針では、反社会的勢力を暴力団だけに限定せず、属性と行為の両面からとらえるとしています。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省
反社会的勢力は、暴力団そのものだけでなく、暴力団関係企業や、暴力団との関係を隠して通常の事業者を装う「フロント企業(企業舎弟)」まで含む幅広い概念です。この幅広さが、一覧化を難しくする一因になっています。
なぜ網羅的な一覧が存在しないのか
反社会的勢力と関わる企業の一覧が公的に整備されていない背景には、主に3つの理由があります。
1つ目は、公的機関が把握・認定できるのは全体の一部にとどまるという点です。指定暴力団や、行政処分・公的な措置の対象になった事業者は公表されますが、それは認定や措置に至ったものだけで、関係が疑われるすべての企業を把握しているわけではありません。
2つ目は、フロント企業や名義貸し、第三者を介した関与が外形から捕捉しにくいことです。反社会的勢力は関係を隠すために通常の企業の形を取ることがあり、登記や事業実態だけでは見分けがつきません。
3つ目は、情報が特定の時点のものであり、変化を追い続けるのが難しいという点です。企業の実態や関係は時間とともに変わるため、仮に一覧を作っても、その時点のスナップショットにしかなりません。こうした理由から、公的な網羅一覧は作られておらず、取引先の確認は個別の調査で行うのが前提になっています。
検索上位の「ブラック企業一覧」とは別物
神奈川で反社会的勢力の企業一覧を探して検索すると、「神奈川県のブラック企業一覧」といったページが多く表示されます。これらは反社会的勢力の一覧ではなく、根拠も対象も別物なので注意が必要です。

検索上位に並ぶ「ブラック企業一覧」の多くは、厚生労働省が公表する「労働基準関係法令違反に係る公表事案」をもとにしています。これは、労働基準関係法令違反の疑いで送検・公表された事案や、労働局長が企業を指導して公表した事案をまとめたものです。掲載項目は企業・事業場の名称、所在地、公表日、違反法条、事案概要で、掲載期間はおおむね1年間です。
掲載されている違反は長時間労働や最低賃金・労働安全衛生に関するものが中心で、暴力団や反社会的勢力とは根拠となる法律も対象も異なります。
つまり、労働法令に違反した企業の公表と、暴力団排除条例や暴力団対策法が対象とする反社会的勢力は、まったく別の枠組みです。取引先の反社チェックを目的に調べている場合、「ブラック企業一覧」を見ても目的の情報は得られません。両者を混同しないことが、確認作業の出発点になります。
出典・参考資料(1件)
公的に確認できる情報の範囲と限界
網羅的な一覧はないものの、反社会的勢力に関して公的に確認できる情報はいくつかあります。ここでは、代表的な情報源とその限界を整理します。

都道府県が公表する指名停止・排除措置の情報
都道府県は、公共工事などの契約相手方から暴力団等を排除する仕組みを設けており、該当する事業者に対して指名停止や排除の措置を講じ、その情報を公表しています。
神奈川県の場合、入札参加資格の認定を受けている業者が暴力団員等であるときなどに、「神奈川県指名停止等措置要領」に基づく指名停止の対象となります。暴力団排除に関連した指名停止等措置・排除措置が行われたときは、県のウェブサイトに「【参考】暴力団排除に関連した、指名停止等措置及び排除措置の情報」として公表されます。
ただし、指名停止はあくまで県の契約手続き上の措置であり、その理由は暴力団関係に限りません。贈賄や談合、入札妨害、事故、その他の不正行為など、反社会的勢力とは無関係の理由で指名停止になる事業者も含まれます。したがって、この情報は「反社会的勢力と関わる企業の一覧」ではなく、暴力団排除に関連して措置された分だけが、確認の手がかりになると理解しておく必要があります。
出典・参考資料(1件)
警察庁が公表する指定暴力団の一覧
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)に基づき、本拠地のある都道府県の公安委員会が暴力団を「指定暴力団」として指定します。警察庁の資料では、2026年(令和8年)6月1日現在で24団体が指定暴力団として指定されていることが示されています。六代目山口組、稲川会、住吉会などが代表例で、指定されている団体の一覧は警察庁や各都道府県警察の資料で確認できます。
ここで注意したいのは、指定されているのは暴力団という「団体」であって、その傘下にある企業や個別の企業名の一覧ではないという点です。指定暴力団の情報は、どの団体が法の対象になっているかを知る手がかりにはなりますが、取引先が反社会的勢力と関わっているかどうかを1社ずつ判定するものではありません。
出典・参考資料(1件)
神奈川の相談窓口・公的情報源
神奈川で反社会的勢力への対応に迷ったときに頼れる、県の条例と相談窓口を紹介します。公的な一覧がなくても、これらの窓口は具体的な相談に応じています。
神奈川県暴力団排除条例
神奈川県では、2010年(平成22年)12月に神奈川県暴力団排除条例が公布され、2011年(平成23年)4月1日に施行されました。暴力団排除に関する施策の総合的な推進を図り、県民が安全で安心して暮らせる社会の実現を目的とした条例です。その基本理念は、事業者や県民が暴力団とどう向き合うかを端的に示しています。
暴力団排除は、暴力団が事業活動又は県民生活に不当な影響を生じさせる存在であるという認識の下に、暴力団を「恐れない」「協力しない」「利用しない」ことを旨として、県、事業者及び県民等が相互に連携、協力して推進します。
出典:神奈川県暴力団排除条例|神奈川県警察
この基本理念は、取引先の確認を含め、事業者が反社会的勢力と関わらないための基本的な姿勢を示しています。
同条例はその後も改正されており、令和5年(2023年)の改正では、繁華街の一部を「暴力団排除特別強化地域」として、同地域内で特定の営業者が暴力団員と利益の供与などを行うことを禁止しています。
神奈川県暴力追放推進センターと相談窓口
暴力団対策法第32条の3は、公安委員会が一定の要件を満たす法人を、都道府県に1つを限って「都道府県暴力追放運動推進センター」として指定できると定めています。
神奈川県では、公益財団法人神奈川県暴力追放推進センターがこの役割を担っています。同センターは、暴力団による不当な行為の予防に関する広報、民間の暴力追放活動の支援、暴力団に関する相談、不当要求防止責任者講習などを行っています。
取引や契約の場面で暴力団・反社会的勢力の関与が疑われるときは、次の窓口に相談できます。公的な一覧で社名を照合することはできませんが、具体的なケースについて助言を受けられます。
- 公益財団法人神奈川県暴力追放推進センター:電話045-201-8930、暴力相談窓口は045-663-8930。受付は平日9時〜12時・13時〜16時(祝日を除く)。神奈川県警察本部内(横浜市中区海岸通2丁目4番)にあります。
- 神奈川県警察本部 暴力団対策課:暴力団排除や不当要求に関する相談を受け付けています。
出典・参考資料(3件)
警察に反社会的勢力かどうかを直接照会できるのか、どこまで教えてもらえるのかを知りたい場合は、企業が使える公的窓口と実務上の調べ方を整理した以下の記事が参考になります。
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取引先が反社と関わっていないか確認する方法
公的な一覧がない以上、取引先が反社会的勢力と関わっていないかは、自社で確認していくことになります。実務では、大きく3つの方法が使われています。

1つ目は、自社での公知情報の確認です。インターネット検索や新聞記事データベースで、取引先の社名や代表者名と、逮捕・行政処分といった懸念につながる言葉を組み合わせて調べる方法です。費用を抑えやすい一方、同姓同名の別人や関連性の低い情報まで大量にヒットしやすく、どの情報を確認すべきかの判断に時間がかかります。
2つ目は、調査会社への依頼です。専門の調査会社に個別調査を外注する方法で、踏み込んだ調査が期待できます。ただし1件あたりの費用と時間がかかるため、確認件数が多い場合には向き不向きがあります。
3つ目は、反社チェックツールの活用です。新聞記事・ネット記事・独自の反社データベース・行政処分情報などを一つの画面でまとめて検索でき、検索結果や確認の記録を証跡として残せます。確認件数が多く、担当者ごとのやり方を揃えたい場合に適しています。
こうした手作業による確認の負担について、自社の上場準備で多数の取引先を確認した経験を持つ事業者は、次のように振り返ります。

開発の起点は、当社自身の上場準備における反社チェック業務でした。当時は新聞記事検索とWEB検索を別々に行い、多数の取引先を1社ずつ確認していたため、記事の確認や証跡保存に大きな工数がかかっていました。
フロント企業を見分ける際に注目したい点
反社会的勢力と関わる企業は通常の企業を装うことがあるため、外形だけで断定するのは困難です。それでも、確認の着眼点として挙げられるものがあります。登記情報や事業実態に不自然な点がないか、役員や株主に懸念情報や反社会的勢力との接点がないか、契約や支払いに関する要求が過度に強引・不透明でないか、といった点です。
相手方の会社名や代表者名を調べるだけでは背後の関係を見抜きにくいという点について、弁護士の阿部由羅氏は次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的な支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
これらはあくまで注意のきっかけであり、最終的な取引可否の判断は、収集した情報を踏まえて自社の基準で行う必要があります。気になる点があれば、前述の相談窓口に相談するのも有効です。
反社チェックツールで取引先を効率的に調べる
確認件数が多い場合や、確認の記録を証跡として残したい場合は、反社チェックツールが選択肢になります。以下は、取引先を調べる際に使える主なツールの比較です。表中の「PEPs」は、政治家など重要な公的地位にある人物を指します。
| サービス名 | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | RISK EYES(リスクアイズ) | RoboRoboコンプライアンスチェック |
|---|---|---|---|
| 照合できる主な情報源 | 国内約1,000媒体の新聞・雑誌・TV 行政処分・訴訟・官報情報 判定済みのリスクデータベース | WEBニュース・新聞記事(35年以上遡及) ブログ・掲示板 独自反社DB(アンチソーシャルDB)・行政処分情報 | インターネット記事・新聞記事データベース SP RISK SEARCH(反社情報約60万件) 官報破産者情報データベース |
| 海外の制裁リスト・PEPs | ●海外240以上の国・地域のPEPs・制裁情報に対応 | ●米・日の制裁リストとダウ・ジョーンズWATCH LISTに対応 | ●海外約190ヵ国のDB・ワールドチェック(LSEG)と連携 |
| 主な特徴 | 判定済みDBを参照する高速チェック(1件最短0.4秒) CSV一括検索・API/OEM連携 調査の証跡を7年間クラウド保存 | AI判定と生年・除外ワードでノイズを絞り込み 承認ワークフロー・差分検索・一括検索 検索結果と確認履歴を証跡として保存 | Excelのドラッグ&ドロップで一括登録・1クリック検索 AI注目度判定(高・中・低)と生成AIによる要約 承認・証跡の一元管理(SBI証券監修) |
| 提供会社 | KYCコンサルティング株式会社 | ソーシャルワイヤー株式会社 | オープン株式会社 |
| 初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 料金の目安 | 月額27,500円〜(ライトプラン/年間600検索) | 最低月額15,000円+1検索300円(税別) | 1件250円〜(インターネット検索・従量プランは月額最低0円) |
| 無料トライアル | あり(期間・件数は要相談) | あり | あり(取引先10件まで) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※各社の公式情報にもとづく2026年9月時点の内容です。料金・機能は変更される場合があるため、詳細は各サービスの資料でご確認ください。
ツールごとの違いは上の表のとおりですが、どの観点を重視して選ぶかという判断軸そのものも変化しているという指摘があります。

興味深いのは、直近1年ほどでお客様の判断軸が変わってきていることです。以前は「とにかく安く」という企業が多かったのですが、最近ではコストよりも調査精度や、会社全体の業務フローの効率化を重視される傾向が強まっています。
RiskAnalyze(リスクアナライズ)(KYCコンサルティング株式会社)

KYCコンサルティング株式会社が提供するWEBサービス型の反社チェックツールです。個人名・企業名を入力すると、反社会的勢力とのつながり、逮捕歴、行政処分、訴訟歴などを調べ、判定済みの調査レポートを表示します。
国内約1,000媒体の新聞・雑誌・行政処分・訴訟情報などを自動で収集し、2026年5月には官報情報のデータベースも追加されました。海外についても240以上の国と地域のリスク情報やPEPs・制裁情報に対応しています。
CSVによる一括検索に対応し、調査の証跡はクラウド上に7年間自動保存されます。初期導入費用は無料で、月額27,500円からのプランが用意されています。情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001:2022を取得しています。
RISK EYES(リスクアイズ)(ソーシャルワイヤー株式会社)

ソーシャルワイヤー株式会社が運営する、公知情報を用いた反社チェック専用ツールです。法人名・人名と、逮捕などの懸念につながる言葉を組み合わせて、WEBニュース・新聞記事・ブログ・掲示板・独自の反社データベースなどを横断して検索します。制裁リストは米財務省・日本財務省・金融庁・経済産業省のリストに対応し、2026年7月にはダウ・ジョーンズ社のWATCH LISTも検索できるようになりました。
生年や住所などの補足情報や、AIによる記事の関連度・懸念度の判定でノイズを絞り込める点が特徴です。検索結果や確認履歴を証跡として残せるため、担当者が変わっても同じ基準で運用しやすくなります。初期費用は無料で、月額最低15,000円(税別)からの従量課金制です。
RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

取引先や採用候補者のコンプライアンスを自動でチェックできるクラウド型サービスで、オープン株式会社が提供しています。インターネット記事検索・新聞記事データベース・海外情報データベースを組み合わせ、生成AIによる記事の要約・解析と、記事を高・中・低の3段階に分ける注目度判定を備えています。反社情報を収録するSP RISK SEARCHや、官報破産者情報のデータベースとも連携しています。
Excelのドラッグ&ドロップで取引先を一括登録し、1クリックでまとめて検索できます。上場企業に求められるコンプライアンスチェックの要件の観点でSBI証券が監修しており、導入社数は10,000社を超えています。初期費用は無料で、実際の取引先を10件まで無料で試せるトライアルが用意されています。
ここで取り上げた3サービスのほかにも反社チェックツールは数多くあります。料金やデータソース、判定精度といった観点から自社に合うツールを選びたい方は、主要サービスを比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
反社チェックツールおすすめ16選を比較|料金・データソース・精度で失敗しない選び方
取引先や株主、採用候補の反社チェックを、担当者が新聞記事やインターネットを手作業で検索して進めていませんか。1件ずつ調べる方法は時間がかかるうえ、調べ漏れ(見落とし)と、同姓同名による誤判定(過検知)の両方が起きやすく、調査の質が担当者の経…
反社チェックを行う際の注意点
取引先の確認を進めるうえで、気をつけておきたい点が3つあります。
差別につながる情報は収集しない
調査の過程で、差別につながるおそれのある情報まで集めてしまわないよう注意が必要です。職業安定法に基づく指針では、求職者などの個人情報の取り扱いについて、原則として次の情報を収集してはならないと定めています。これは採用選考に関する枠組みですが、取引先の調査でも同じ一般原則として意識しておきたい考え方です。
出典:職業安定法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号)第五|大阪府掲載
- (イ)人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
- (ロ)思想及び信条
- (ハ)労働組合への加入状況
同姓同名の扱いは慎重に
公知情報の検索では、調査対象と同姓同名の別人の情報がヒットすることがあります。氏名だけで該当者と判断すると、無関係な相手を反社会的勢力と誤認しかねません。生年や住所などの補足情報を使って絞り込み、検出された情報が本当に調査対象のものかを確認することが重要です。
新規取引時だけでなく定期的に確認する
取引先の状況は時間とともに変わります。新規取引の開始時に確認して終わりにするのではなく、既存の取引先についても定期的に再確認することで、取引開始後に生じた懸念にも気づきやすくなります。前回の確認以降に追加された情報だけを調べる差分確認の仕組みを使うと、再確認の負担を抑えられます。
まとめ
反社会的勢力と関わる企業を網羅した公的な一覧は、神奈川県分も含めて存在しません。公的に確認できるのは、都道府県が公表する暴力団排除に関連した指名停止・排除措置の情報や、警察庁が公表する指定暴力団の一覧などに限られ、いずれも取引先を1社ずつ反社かどうか判定するものではありません。また、検索上位に並ぶ「ブラック企業一覧」は労働基準関係法令違反の公表事案に基づくもので、反社会的勢力の一覧とは別物です。
取引先が反社会的勢力と関わっていないかを確かめるには、公知情報の検索、調査会社への依頼、反社チェックツールの活用といった方法を、確認件数や体制に応じて使い分けることになります。差別につながる情報を集めない、同姓同名を慎重に扱う、定期的に確認する、といった点にも注意しながら、自社に合った確認の仕組みを整えていきましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 反社チェックとは何ですか?
A. 反社チェックとは、取引先や関係者が反社会的勢力と関わっていないかを、インターネット・新聞記事などの公知情報や反社データベースと照合して確認する作業です。反社会的勢力と関わる企業を網羅した公的な一覧は存在しないため、取引を始める前に1社ずつ確認し、その結果を記録として残しておくのが実務の基本になります。
Q. 反社チェックは法律で義務付けられていますか?
A. 反社チェックそのものを一律に義務付ける法律はありませんが、各都道府県の暴力団排除条例は事業者に対して暴力団を「利用しない」「協力しない」ことを求めており、取引先の確認はその実践として位置づけられます。神奈川県暴力団排除条例も、県・事業者・県民が連携して暴力団排除を進めることを基本理念としています。
上場企業やその取引先など、より厳格な確認体制が求められる場面もあるため、自社の業種や取引規模に応じて確認の仕組みを整えておくと安心です。
Q. 反社チェックにはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 反社チェックの費用は確認方法によって大きく異なり、自社でのインターネット・新聞記事検索は費用を抑えやすい一方、調査会社への個別依頼は1件あたりの費用が高く、反社チェックツールは月額制が中心です。本記事で紹介したツールには月額15,000円台から利用できるものもあり、確認件数や頻度、証跡を残す必要があるかどうかに応じて、自社に合った方法を選ぶのが現実的です。
Q. 反社チェックの結果はどのように記録・保管すればよいですか?
A. 取引ごとに、検索した条件・日時・結果(該当なしを含む)を証跡として残しておくのが実務の基本です。法律で一律の保管期間が定められているわけではありませんが、上場準備や監査で確認の証跡を求められることがあります。反社チェックツールには検索履歴や判定結果を自動で保存できるものもあり、記録の管理に役立ちます。
Q. 取引先が反社会的勢力と関わっていると分かったらどうすればよいですか?
A. 自社だけで判断・対応せず、神奈川県暴力追放推進センターや神奈川県警察、弁護士などの専門機関に相談することが基本です。神奈川県暴力団排除条例は、暴力団を「恐れない」「協力しない」「利用しない」ことを基本理念としており、不当な要求に応じないことが重要です。確認の段階で判断に迷う場合も、これらの窓口で具体的なケースについて助言を受けられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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