海外に取引先ができたとき、あるいは既存取引の審査を任されたとき、「サンクションチェックをやっておくように」と指示を受けて、この言葉を調べ始めた方は少なくありません。金融機関に限らず、海外と取引のある事業会社であれば避けて通れない確認作業です。
ただ、「制裁リストと照合する」とだけ言われても、自社が具体的にどのリストを・誰を対象に見ればよいのかは分かりにくいものです。海外のOFACや国連のリストだけでなく、日本の財務省や経済産業省が公表している実物のリストまで、どこで何を確認すればよいのでしょうか。
本記事では、サンクションチェック(制裁スクリーニング)の定義から、照合すべき制裁リストの具体名と公式の所在、外為法上の位置づけ、実際の確認手順までを整理します。手作業での照合方法と、国内の反社チェックと同じ運用で海外の制裁リストまで照合できるツールの選び方の両方を扱うので、自社に必要な進め方を判断する材料としてご活用ください。
目次
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サンクションチェック(制裁スクリーニング)とは
サンクションチェック(制裁スクリーニング)とは、取引先や関係者が各国政府・国際機関の経済制裁の対象になっていないかを、公表された制裁リストと照合して確認することです。制裁対象と知らずに取引・送金・輸出を行うと法令違反になりうるため、取引を始める前と継続中に、相手が「取引してはいけない相手」でないかを確認するものです。
照合先となる制裁リストには、海外のものと国内のものがあります。海外では米国財務省外国資産管理局(OFAC)が公表する特別指定国民(SDN)リストや、国連安全保障理事会の統合制裁リストが代表的です。国内では日本の財務省が外為法(外国為替及び外国貿易法)にもとづいて公表する「経済制裁措置及び対象者リスト」があります。いずれも各当局が実物のリストを配布しており、誰でも内容を確認できます。
サンクションチェックは「制裁スクリーニング」「制裁チェック」「サンクションスクリーニング」とも呼ばれ、いずれも同じ内容を指します。貿易・輸出管理の文脈では「取引禁止対象者審査(デナイド・パーティ・スクリーニング)」という言い方もされます。
サンクションチェックはなぜ・誰が必要か(外為法と海外取引)
日本では、経済制裁は外為法にもとづいて実施されます。財務省が所管する支払・資本取引の規制(資産凍結等)と、経済産業省が所管する輸出・技術提供の規制があり、制裁対象者との間でこれらを許可なく行うと外為法違反になります。制裁対象かどうかを知らなかったとしても、取引そのものが規制に触れうるため、事前の照合が実務上の防衛線になります。
サンクションチェックそのものを一律に義務づける条文があるわけではありません。ただ、制裁対象との無許可取引が外為法で禁じられている以上、違反を避けるには取引前の照合が事実上欠かせません。どこまで確認するかは、取引の相手国・金額・頻度といったリスクの大きさに応じて決める「リスクベース」の考え方が基本で、海外取引がごく少額・少数なら照合の負担も小さく、相手が増えるほど体制が重くなります。
対象は金融機関に限りません。海外の取引先・仕入先・送金先を持つ製造業・商社・物流・IT企業など、海外と取引のある事業会社全般が関係します。国際的にも、FATF(金融活動作業部会)の勧告をはじめ、米国OFAC・EU・英国などの制裁枠組みが各国企業に制裁の順守を求めており、グローバルに事業を展開する企業ほど照合の必要性が高まります。
外為法の具体的な根拠条文や、違反した場合の罰則は後ほど「違反するとどうなるか」で条文にもとづいて解説します。
反社チェック・KYC・AML/CFTとの違い
サンクションチェックは、反社チェックやKYC・AML/CFTと混同されがちです。いずれも取引先や顧客の確認にかかわりますが、根拠となる法令・目的・対象が異なります。自社がどれを行うべきかを判断するために、3つの違いを整理します。
- サンクションチェック(制裁スクリーニング): 根拠は外為法。海外の制裁対象(資産凍結対象者や輸出規制の懸念先)との取引・送金・輸出を防ぐことが目的で、所管は財務省・経済産業省。
- AML/CFT(マネー・ローンダリング/テロ資金供与対策)とKYC(取引時確認): 根拠は犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)。金融機関や不動産業などの「特定事業者」が、本人特定事項や取引目的、実質的支配者を確認し、疑わしい取引を届け出ることで、犯罪収益の移転とテロ資金供与を防ぐことが目的。
- 反社チェック(反社会的勢力の排除): 暴力団など反社会的勢力との関係を遮断することが目的。これ自体を一律に義務づける単独の法律はなく、政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(2007年・犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)と、各都道府県の暴力団排除条例が実務上の根拠になります。
犯収法は、その目的として犯罪収益の移転防止とあわせて「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保」することを掲げています。制裁対象者の多くはテロ関連や大量破壊兵器の拡散に関与する個人・団体であるため、実務ではサンクションチェックがAML/CFTや反社チェックと一連の作業として行われることも少なくありません。
それでも根拠法と狙いは別物です。自社の業種が特定事業者に当たるか、海外取引があるかを踏まえて、必要な確認の範囲を見極めることが大切です。
出典・参考資料(3件)
照合すべき制裁リストの一覧(海外・国内/公式リンク付き)
サンクションチェックで照合する制裁リストは、資産凍結などの「金融制裁」の対象者リストと、輸出・技術提供を規制する「輸出管理(安全保障貿易管理)」の懸念先リストに大きく分かれます。性格が異なるため、自社の取引(送金・資本取引なのか、貨物の輸出・技術提供なのか)に応じて見るべきリストが変わります。主なリストと公式の所在を一覧にまとめました。
海外の制裁リスト(OFAC・国連・EU・英国)
海外との取引では、取引相手の国・地域に応じて次のリストを照合するのが基本です。いずれも各当局が検索ページやダウンロード版を公開しており、取引先名を直接照合できます。
| 区分 | 国・地域/機関 | 主なリスト名 | 公式ページ |
|---|---|---|---|
| 金融制裁(資産凍結) | 米国/財務省外国資産管理局(OFAC) | 特別指定国民(SDN)リスト | OFAC Sanctions List Search |
| 金融制裁(資産凍結) | 国連/安全保障理事会 | 国連安保理 統合制裁リスト | UN Security Council Consolidated List |
| 各種制裁(概観) | EU(理事会・欧州委員会) | EU制裁マップ | EU Sanctions Map |
| 金融制裁(資産凍結) | 英国/OFSI | 金融制裁 統合対象者リスト | UK OFSI Consolidated List |
なかでもOFACのSDNリストは、米ドル建ての取引や米国に関係する取引で特に重視されます。国連の統合制裁リストは加盟国共通の基礎となり、日本の制裁措置の多くも国連安保理決議を実施根拠としています。
どのリストから見るか迷う場合は、日本企業はまず次に挙げる財務省のリストを基準にし、米ドル建て取引があればOFAC、相手がEU・英国の管轄に関わるならそれぞれの統合リスト、というように取引の通貨・相手国に応じて広げると整理しやすくなります。
日本の制裁リストと外為法
日本企業がまず確認すべきなのが、財務省が公表する「経済制裁措置及び対象者リスト」です。外為法にもとづく資産凍結等の措置の対象者が、実施根拠(国連安保理決議の号数など)や対象者数とともに掲載され、ExcelおよびCSV形式でダウンロードできます。
現在実施中の外為法に基づく資産凍結等の措置(令和8年10月2日現在)
資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の団体及び個人/実施時期:令和4年3月~/対象者数:1,179個人・団体
出典:経済制裁措置及び対象者リスト|財務省(令和8年10月2日現在)
北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議に基づく資産凍結等の措置の対象となる者/実施根拠:国連安保理決議1718号ほか/対象者数:155個人・団体
タリバーン関係者等/実施根拠:国連安保理決議1267号・1333号ほか/対象者数:533個人・団体
対象者数や基準日は、国際情勢に応じて随時更新されます。実際に照合するときは、公開されている最新のリストを財務省のページから取得してください。この資産凍結等の措置は、外為法第16条(支払等の許可義務)および第21条(資本取引の許可義務)を根拠として、政令・告示で対象者を指定する仕組みになっています。
一方、貨物の輸出や技術の提供は、経済産業省が所管する安全保障貿易管理の枠組みで規制されます。ここで照合するのは、資産凍結の対象者リストとは性格の異なる外国ユーザーリストです。大量破壊兵器などへの関与が懸念される外国の企業・組織を国・地域ごとに挙げたもので、随時改訂されます。
財務省のリストが支払・資本取引の相手を確認するためのものであるのに対し、外国ユーザーリストは貨物の輸出先・技術の提供先を確認するためのものです。
送金・資本取引なら財務省のリスト、貨物の輸出・技術提供なら経済産業省の外国ユーザーリストと、自社の取引の種類によって見るべきリストと窓口が変わります。
誰を・何を照合するか(取引先・実質的支配者・個人・国・PEPs)
制裁リストと照合する対象は、取引先の法人名だけではありません。制裁対象者は名義を変えたり、実質的に支配する別法人を通じて取引したりすることがあるため、次の範囲まで照合するのが実務の考え方です。
- 取引先の法人: 契約・送金・輸出の相手方となる企業そのもの。
- 実質的支配者(UBO): その法人を実質的に支配する個人や親会社。制裁対象者が支配する法人は、名義が異なっても規制の対象になりえます。
- 代表者・役員などの個人: 取引に関与する個人が制裁対象やその関係者でないか。
- 国・地域: 取引相手が制裁対象国(北朝鮮・イラン・ロシアなど)に所在しないか。
あわせて確認したいのがPEPs(政治的重要人物)です。PEPsは、外国の元首や政府・中央銀行などで重要な地位にある人物とその家族、そうした人物が実質的に支配する法人などを指し、過去にその地位にあった人物も含まれます。
贈収賄や資金洗浄のリスクが相対的に高いとされ、国際標準であるFATF勧告12でも、PEPsに対しては通常より厳格な顧客管理(EDD:Enhanced Due Diligence)が求められています。日本では、犯収法施行令において外国PEPsとの特定取引を厳格な確認の対象として定めています。
外国の元首及び外国の政府、中央銀行その他これらに類する機関において重要な地位を占める者として主務省令で定める者並びにこれらの者であった者(略)前号に掲げる者の家族(略)法人であって、前二号に掲げる者がその事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるもの
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令 第12条第3項|e-Gov法令検索
出典・参考資料(2件)
こうした実質的支配者まで遡って確認する考え方は、海外の制裁対象の照合に限らず、国内の反社チェックでも重視されています。反社会的勢力排除の実務について、弁護士の阿部由羅氏は次のように指摘しています。

制裁リストの照合でも考え方は同じで、表面的な社名の一致だけを見るのではなく、その背後にいる実質的支配者や関係者まで対象を広げて確認することが、制裁回避の抜け道をふさぐうえで重要になります。
サンクションチェックの実施方法と手順
サンクションチェックは、各当局の公式ページで手作業で照合する方法と、専用ツールで自動化する方法があります。まずは共通する実施手順を押さえたうえで、手作業の限界とツール化の判断材料を見ていきます。
実施手順の基本ステップ
- 対象情報の収集: 照合する取引先の正式名称・所在国・代表者・実質的支配者などを集めます。英字表記や旧社名も把握しておきます。
- 制裁リストとの照合: OFAC・国連・EU・英国・財務省などのリストに対して、取引先名などを照合します。
- 一致確認と偽陽性(ファルスポジティブ)の精査: 名称が似ているだけの別人・別法人(偽陽性)を除外し、真に一致するものだけを残します。
- 対応と記録: 一致が疑われる場合は取引の停止・社内エスカレーション・当局への相談などを行い、照合した事実と結果を証跡として残します。
- 継続的なモニタリング: 制裁リストは随時更新され、取引開始後に相手が制裁対象になることもあるため、取引継続中も定期的に再照合します。
手作業で照合する場合、国内の相手は財務省のリストが起点になります。財務省のページから資産凍結等対象者一覧のExcelまたはCSVをダウンロードし、表計算ソフトの検索機能で取引先や代表者の名称を探します。日本語の社名だけでなく、英語表記やアルファベットの綴りでも検索し、同じ相手が一覧に載っていないかを確認します。
海外の相手は、OFACの検索ページ(Sanctions List Search)が使いやすい入口です。検索欄に相手先の名称を英語で入力すると、一致・類似する登録者が候補として一覧表示されるので、その中に自社の取引先が含まれていないかを見ていきます。英語のサイトですが、名前を入れて候補を確認する操作が中心なので、1件ずつ試すだけなら特別な知識は要りません。
名寄せ・表記ゆれ・偽陽性への対応
手作業での照合で特に難しいのが、名称の表記ゆれ(名寄せ)です。外国人名や外国法人名は、日本語・英語・現地語の間で複数の表記が生じます。たとえば「Mohamed」と「Muhammad」、「金正恩」と「Kim Jong Un」のように、同じ人物でも綴りや読みが揺れるため、完全一致の検索だけでは取りこぼす恐れがあります。
このため、照合では完全一致に加えて、綴りの揺れを吸収するファジーマッチングや、発音が近い名前を拾う音声一致などの方式が使われます。ただし照合の網を広げるほど、似ているだけの無関係な相手(偽陽性)が増えるため、ヒットした候補を人の目で精査する作業が欠かせません。
精査では、リストに併記された生年月日・国籍・所在地・住所などの付随情報を、自社が把握している取引先の情報と突き合わせ、同じ名前の別人・別法人かどうかを見極めることが重要です。
こうした名寄せの精査や、随時更新されるリストへの追従は、照合する取引先が数百件を超えるあたりから手作業では負担が重くなります。件数が増えて継続的な再照合が必要になった段階が、照合を自動化する専用ツールの導入を検討する目安です。
違反するとどうなるか(資産凍結・送金/輸出規制違反の罰則)
制裁対象者との取引を見逃した場合、外為法違反として罰則の対象になりえます。どの行為にどの罰則が定められているかを、条文にもとづいて整理します。
- 資産凍結(支払・資本取引)に関する違反: 外為法第70条により、3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科。違反対象物の価格の3倍が100万円を超えるときは、罰金はその価格の3倍以下となります。
- 輸出・技術提供(役務取引)に関する違反: 外為法第69条の7により、7年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、またはその併科。核兵器等の関連では同条第2項で10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金に加重されます。
- 法人に対する罰則(両罰規定): 外為法第72条により、従業者らが違反した場合、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。輸出等の違反では法人に最大10億円以下の罰金が定められています。
罰則の重さに加えて、制裁違反は取引停止や信用の失墜、海外の取引先・金融機関からの取引打ち切りといった事業上の影響にも直結します。「知らなかった」では済まされないため、照合の体制を整えておくことが実務上の備えになります。
なお、現行の外為法では、刑の種類が「懲役」ではなく「拘禁刑」と定められています(2025年施行の刑法改正で懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されたことによるものです)。古い解説では「懲役」と書かれていることがありますが、現行条文は拘禁刑です。
出典・参考資料(1件)
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制裁リスト照合に対応できるツールと選び方
取引先が増え、海外取引や継続的な再照合が必要になると、公式ページでの手作業の照合には限界が出てきます。そこで、国内の反社チェックと同じ運用のなかで、海外の制裁リストやPEPsまで照合できるツールの利用が選択肢になります。ここでは選び方の軸を整理したうえで、制裁リスト照合に対応したサービスを比較します。
ツールを選ぶときに確認したい軸
制裁リスト照合に使うツールは、国内の反社チェック(新聞記事・反社情報の照合)を主目的とするものが多く、海外の制裁リスト対応の範囲や深さに差があります。次の軸で自社の必要と照らし合わせると選びやすくなります。
- 照合できる制裁リストの範囲: 海外のどのリスト(OFAC・国連・EU・英国など)と国内の財務省リストに対応しているか。PEPsやネガティブ報道まで同時に照合できるか。
- 国内の反社チェックと一体で運用できるか: 新聞記事・反社情報の照合と、海外制裁リストの照合を、同じ画面・同じ運用で行えるか。別ツールに分かれると運用負担が増えます。
- 名寄せ・偽陽性への対応と自動化: 表記ゆれを吸収する照合や、AIによるノイズ除外・結果の要約など、精査の手間を減らす機能があるか。
- 継続モニタリングと証跡: 登録した取引先を定期的に自動で再照合できるか。照合の記録を証跡として残せるか。
- 提供形態: 自社で照合するSaaS型か、調査を代行してもらう調査型か。海外対応は代行寄りのサービスもあります。
制裁リスト照合に対応したサービスの比較
海外の制裁リスト・PEPsの照合に対応しているサービスを比較します。各サービスの対応リストや提供形態は、下表と各サービスの紹介をあわせてご確認ください。
| サービス名 | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | RISK EYES(リスクアイズ) | RoboRoboコンプライアンスチェック | 日経リスク&コンプライアンス | Sansan リスクチェック | SP RISK SEARCH | JCIS WEB DB Ver.3 | DQ反社チェック |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | SaaS(クラウド型) | SaaS(クラウド型) | SaaS(クラウド型) | SaaS+調査代行(マネージドサービス) | SaaS(Sansanのオプション機能) | SaaS(会員制) | SaaS(DB照合型) | ツール+調査代行(ハイブリッド) |
| 海外制裁リスト・PEPs対応 | ●海外制裁・PEPs(国内PEPsも対応/240超の国・地域) | ●米・日の制裁リスト+ダウ・ジョーンズWATCH LIST | ●海外情報DB(約190ヵ国・約540万件)+LSEG World-Check 連携 | ●各国制裁リスト・OFAC・PEPs(ダウ・ジョーンズ/200超の国・地域) | ●各国制裁リスト(World-Check/LSEG連携) | ●海外制裁リスト・PEPsリスト(海外コンプラチェック) | ●海外リスク情報・PEPs 140万件超(ARI社提携) | ●制裁リスト・PEPsリスト(海外調査) |
| 国内反社チェックと一体運用 | ●国内約1,000媒体+官報データベース | ●新聞・WEB・独自反社DB等を横断検索 | ●ネット・新聞・SP RISK SEARCH・官報と連携 | ●日経テレコン(50紙以上)・行政処分情報 | ●新聞記事・公知情報(KYCC連携) | ●独自DB・新聞記事・ネット風評を同時検索 | ●全国紙・地方紙・行政処分・独自調査DB | ●新聞・WEB+専門調査員の目視 |
| 継続モニタリング・自動再照合 | ●取引先管理・リスク監視の自動化 | ●リスクアラート(日次監視)・差分検索 | 記載なし | △TPRMで一元管理(自動再照合の明記なし) | ●一括再チェック(最新DBに再照合) | 記載なし | △再検索1年無料(自動通知の明記なし) | ●リスクアラート(riskey) |
| 料金 | 月額27,500円〜 (初期費用無料) | 月額15,000円〜+検索300円/件 (初期費用無料・税別) | 1件250円〜(従量・税抜) (初期費用無料) | 要問い合わせ (ID利用料+従量・年契約) | 要問い合わせ (Sansanのオプション費用) | 要問い合わせ (会員制・個別見積もり) | 要問い合わせ (初期費用不要・海外検索は1件500円〜) | 1件500円〜(従量・税別) (初期費用無料) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
●=対応/△=一部・限定的に対応/記載なし=公式情報で確認できず。料金・対応範囲は変動するため、導入時に各社公式の最新情報をご確認ください(2026年10月時点)。
ここで取り上げたのは、いずれも国内の反社チェックを主目的としながら、海外の制裁リスト照合にも対応したツールです。制裁リスト対応にとどまらず、料金体系やデータソースの幅、AIによる判定精度まで含めて反社チェックツール全体を比較したい場合は、以下の記事もあわせてご確認ください。
反社チェックツールおすすめ16選を比較|料金・データソース・精度で失敗しない選び方
取引先や株主、採用候補の反社チェックを、担当者が新聞記事やインターネットを手作業で検索して進めていませんか。1件ずつ調べる方法は時間がかかるうえ、調べ漏れ(見落とし)と、同姓同名による誤判定(過検知)の両方が起きやすく、調査の質が担当者の経…
1. RiskAnalyze(リスクアナライズ)(KYCコンサルティング株式会社)

個人名・法人名を入力すると、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴などを調べ、判定済みの調査レポートを最短0.4秒で表示する、KYCコンサルティング株式会社のWEBサービス型コンプライアンス・反社チェックツールです。CSVによる一括検索は1,000件を約1分で処理し、調査の証跡はクラウド上に7年間自動保存されます。
海外対応では、240以上の国・地域のリスク情報を収録し、海外のPEPs(政治的重要人物)や制裁(Sanction)情報まで照合できます。2026年4月には国内PEPsの照合にも対応しました。国内は約1,000媒体を1時間おきに自動収集し、官報情報データベースも備えるため、国内の反社チェックと海外のPEPs・制裁情報の確認を同じツールで進められます。
料金はライトプランが月額27,500円(年間600検索)、スタンダードプランが月額50,000円(年間1,200検索)で、それ以上はプロフェッショナルプランの個別見積もりです。初期費用・アカウント追加・API利用料は無料で、税区分は公式に記載がないため導入時の確認が必要です。
2. RISK EYES(リスクアイズ)(ソーシャルワイヤー株式会社)

東京証券取引所グロース市場に上場するソーシャルワイヤー株式会社が、自社の上場準備で生じた反社チェック業務の負担を解消するために開発したツールです。法人名・人名とネガティブワードを組み合わせ、WEBニュース・新聞記事・ブログ・掲示板・独自の反社データベースなどを1画面で横断検索し、AIが確認すべき記事を絞り込みます。
海外の制裁リストにも対応しており、米国財務省・日本の財務省・金融庁・経済産業省が公表する制裁リストを照合対象に含みます。2026年7月にはダウ・ジョーンズ社のWATCH LISTを検索できる機能が加わり、海外取引先のスクリーニング範囲が広がりました。
料金は初期費用が無料で、月間の最低利用料金が15,000円(税別)、検索単価は1媒体あたり300円です。無料トライアルがあり、登録した取引先を日次で監視するリスクアラートなどのオプションも用意されています。
3. RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

RPA事業を母体とするオープン株式会社が提供する、取引先や採用候補者のコンプライアンスを自動でチェックするクラウド型ツールです。Excelのドラッグ&ドロップで取引先を一括登録して1クリックで検索でき、生成AIが記事を要約し、注目度を高・中・低の3段階で自動分類します。SBI証券が上場企業向けの要件の観点で監修しています。
海外対応では、約190ヵ国・約540万件の法人・個人データベースで海外の取引先を照合できます。さらにLSEG社の「World-Check」やエス・ピー・ネットワークの反社データベース「SP RISK SEARCH」、官報破産者情報データベースと連携し、国内外のリスク情報を1つのプラットフォームで確認できます。
料金は初期費用が無料で、月額固定費のかからない従量プランと、月額最低5,000円からのミニマムプランなどを用意しています。インターネット検索は1件250円から、新聞検索を加えると1件350円から利用でき(いずれも税抜)、実際の取引先を10件まで無料で試せます。
4. 日経リスク&コンプライアンス(株式会社日本経済新聞社)

新聞記事データベース「日経テレコン」を基盤に、株式会社日本経済新聞社が提供するスクリーニングソリューションです。1975年以降蓄積された国内記事データと、50紙以上の新聞・業界紙、行政処分情報、Web上の風評情報を横断して、取引先のネガティブニュースを検索します。
海外対応は、ダウ・ジョーンズ社が提供する400万件以上のグローバルウォッチリストを用います。200以上の国・地域、60以上の言語をカバーし、PEPs(政治的重要人物)や各国の制裁リスト、OFAC(米財務省外国資産管理局)対象企業5万4千社以上と照合できます。ウォッチリストは24時間365日更新されます。
料金は公開されておらず、月額のID利用料と「検索単価×検索件数」を組み合わせた従量併用型で、契約は1年単位です。契約時にID利用料の12か月分のデポジットが必要で、審査のうえ無料トライアルも利用できます。
5. Sansan リスクチェック(Sansan株式会社)

名刺管理・営業DXサービス「Sansan」のオプション機能として提供されるリスクチェックです。Sansanに蓄積した名刺・取引先の企業情報を外部のリスク情報データベースと自動照合し、反社会的勢力との関係・マネーロンダリング・テロ資金供与などの取引リスクを検知します。名刺交換前のメール署名や、取引のない企業のキーワード検索にも対応します。
照合先には、LSEG(旧Refinitiv)が提供する制裁・テロ資金供与対策向けのデータベース「World-Check」と、KYCコンサルティングの新聞記事・公知情報が使われます。2022年の機能拡充で各国の制裁リストがスクリーニング対象に加わり、海外取引先のリスク確認にも対応しています。
Sansan本体のオプションとして提供されるため、料金は要問い合わせです。2019年の発表時には本体の月額利用料金の20%程度が追加費用になると案内されていましたが、現在の料金ページでは金額が公開されていないため、導入時の確認が必要です。
6. SP RISK SEARCH(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

企業危機管理の専門会社である株式会社エス・ピー・ネットワークが運営する、会員制の反社チェックシステムです。1つのキーワードで、同社の独自データベース・新聞記事検索・インターネット風評検索の3つの結果を同時に取得し、統一フォーマットのレポートにまとめられます。独自データベースは約60万件の反社情報を収録しています。
2021年9月に追加された「海外コンプライアンスチェック」では、企業名・個人名による海外のリスク照合に対応します。海外の制裁リストやPEPsリストを照合対象とし、AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)や贈賄リスク対策に使えます。スイスのinfo4c AGなどと連携したセルフサービス型で、結果をリアルタイムに確認できます。
会員制のため、初期費用・月額費用はいずれも個別見積もりで、公開されていません。料金や導入条件は問い合わせのうえ確認する形になります。
7. JCIS WEB DB Ver.3(日本信用情報サービス株式会社)

自社で構築したリスク情報データベースへの照合で確認する、DB照合型の反社チェックシステムです。日本信用情報サービス株式会社が提供し、法人名・個人名を入力すると、全国紙・地方紙の記事情報・行政処分情報・独自調査情報などを収めたデータベースと照合してヒットの有無を一覧表示します。CSVによる一括検索は最大5,000件まで対応します。
海外対応は、シンガポールのARI社と提携した海外リスク情報検索を備え、約500万件の海外リスク情報と140万件超のPEPsデータに国籍指定で照会できます。海外検索は1件あたりの従量制で、基本利用料金500円・詳細情報検索1,500円(いずれも税込)です。
国内の反社チェックは初期費用が不要で、年間のID利用料と検索件数に応じた従量料金で構成されます。具体的な検索単価は利用規模に応じた見積もりとなり、一度検索した対象は1年以内であれば無料で再検索できます。
8. DQ反社チェック(株式会社ディークエストホールディングス)

Webのセルフチェックツールと、専門調査員による調査代行を組み合わせたハイブリッド型の反社・コンプライアンスチェックサービスです。株式会社ディークエストホールディングスのグループが提供し、1件単位の即時チェックから、500件以上の取引先の一斉スクリーニング、聞き取りを含む深度の高い調査までを選べます。
海外調査のプランでは、海外の制裁リストやPEPsリストに加え、現地メディアや判例まで調べられ、世界調査業協会のネットワークを使って反社関連・犯罪関与・訴訟歴を確認します。システムによる自動検索だけでなく、20年以上の調査実績を持つ専門調査員の目視チェックを併用する点が特徴です。
料金は初期費用のかからない完全従量制が中心で、一括調査は1件500円から、複数のリスクを調べるリスク検索は1件2,500円から利用できます(いずれも税別)。海外調査の単価は公式ページで表記に差があるため、導入時に確認が必要です。
まとめ
サンクションチェックは、取引先が各国の経済制裁の対象でないかを制裁リストと照合する確認作業です。日本企業であれば、外為法にもとづく財務省の「経済制裁措置及び対象者リスト」を軸に、米ドル建て取引や相手国に応じてOFAC・国連・EU・英国のリストへ広げるのが出発点になります。
自社の取引が送金・資本取引なのか、貨物の輸出・技術提供なのかによって、見るべきリストと窓口が変わる点もあわせて押さえておきたいところです。
まずは公式ページで自社の取引先名を照合してみて、表記ゆれの精査や継続的な再照合に負担を感じたら、国内の反社チェックと一体で海外制裁リストまで照合できるツールの導入を検討しましょう。各サービスの対応リストや機能は、下記から資料をまとめて取り寄せて比較してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. サンクションチェックとは何ですか?
A. サンクションチェックとは、取引先や関係者が各国政府・国際機関の経済制裁の対象になっていないかを、公表された制裁リストと照合して確認する作業です。「制裁スクリーニング」「制裁チェック」とも呼ばれ、米国OFACのSDN(特別指定国民)リストや国連安保理の統合制裁リスト、日本の財務省が外為法にもとづいて公表する対象者リストなどと、取引先名を突き合わせます。
制裁対象と知らずに取引・送金・輸出を行うと法令違反になりうるため、取引を始める前と継続中の双方で行うのが基本です。
Q. サンクションチェックと反社チェックはどう違いますか?
A. サンクションチェックは外為法を根拠に海外の経済制裁対象との取引を防ぐもので、反社チェックは暴力団など反社会的勢力との関係を遮断するものです。見る相手(制裁対象者か反社会的勢力か)も、照合先(海外の制裁リストか国内の反社情報・報道か)も異なります。
海外取引のある事業会社では国内の反社チェックに加えてサンクションチェックが必要になる場面が多く、両方を同じ画面・同じ運用でカバーできるツールもあります。
Q. サンクションチェックは無料でできますか?
A. 財務省やOFACなどの公式サイトで制裁リストが無料公開されており、取引先名の照合自体は手作業で無料で行えます。ただし、外国名の表記ゆれ(名寄せ)の精査や、取引先が数百件を超える場合の処理、随時行われるリスト更新への継続的な追従には手作業では限界があります。件数や継続監視の負担が増えた段階で、照合を自動化する専用ツールの利用が選択肢になります。
Q. 金融機関でなくてもサンクションチェックは必要ですか?
A. 海外に取引先・仕入先・送金先を持つ事業会社であれば、業種を問わずサンクションチェックが必要です。外為法にもとづく資産凍結や輸出管理の規制は金融機関に限らず適用され、製造業・商社・物流・IT企業なども対象になります。許可なく制裁対象と取引・送金・輸出を行うと、相手が制裁対象だと知らなかった場合でも規制に触れうるため、海外取引がある時点で照合の体制が求められます。
Q. 制裁対象と知らずに取引した場合も罰せられますか?
A. 外為法の規制は、制裁対象だと知らなかったとしても取引そのものが規制に触れうるため、事前の照合を怠ると違反に問われる可能性があります。資産凍結に関わる支払・資本取引の違反は外為法第70条、輸出・技術提供の違反は第69条の7に罰則が定められ、違反した従業者だけでなく法人にも罰金が科される両罰規定(第72条)も設けられています。
「知らなかった」で免れられるとは限らないため、取引前の照合と記録が実務上の防衛線になります。
出典・参考資料(1件)
Q. サンクションチェックは一度実施すれば十分ですか?
A. 一度だけでは不十分で、取引の継続中も定期的に再照合する必要があります。制裁リストは国際情勢に応じて随時更新され、取引を始めた時点では対象でなかった相手が、後から制裁対象に加わることもあるためです。登録した取引先を定期的に自動で再照合(継続モニタリング)できる仕組みを整えておくと、リスト更新への追従と照合の証跡の確保がしやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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