出張旅費規程を新しく作る、あるいは見直すとき、最初に悩むのが「どこからを出張扱いにするか」と「交通費・宿泊費・日当をいくらに設定するか」です。
根拠のない金額を規程に書くわけにはいかず、まずは距離の線引きの目安と世間の相場を知りたいという方は多いのではないでしょうか。
本記事では、出張の距離の線引きに決まったルールがあるのか、宿泊費・日当はいくらが相場で交通費はどう扱うのか、他社は距離・役職・宿泊の有無のどれで金額を分けているかを整理します。あわせて、決めた金額や距離の基準を旅費規程に落とし込む手順と、税務上の注意点、規程の運用を効率化する出張管理システムについても解説します。
自社の実態に合った距離基準と金額を決めるための検討材料として、ぜひご活用ください。
目次
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出張はどこから?距離の線引きに決まったルールはない
ここからは、何kmから出張扱いにするのかという距離の線引きについて解説します。結論から言うと、「何km以上なら出張」という距離の基準は法律では定められておらず、各企業が旅費規程で自由に決めることになっています。
所得税の非課税となる出張旅費の範囲を定めた所得税基本通達9-3でも、金額や距離の固定的な基準は示されていません。支給額が「適正なバランス」を保ち、「同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当」かどうかで判断するとされており、距離の数値基準は企業の裁量に委ねられています(詳細は後述の税務上の注意点で解説します)。
よく使われる距離・時間の基準の例
法律上の決まりがないため、実際の旅費規程では各社がそれぞれ独自の基準を設けています。社会保険労務士や税理士の解説、各社の規程でよく見られる設定例としては、次のようなものがあります。
- 片道の移動距離で区切る例:勤務地から片道100km以上を出張とする、など
- 片道の移動時間で区切る例:片道の移動時間が90分(1時間30分)以上を出張とする、など
- 近距離を出張扱いにしない例:一定距離・時間に満たない移動は「外出」として日当を支給せず交通費実費のみとする
これらはいずれも、どれかが正解というものではなく各社の設定例です。自社の事業エリアや移動の実態に合わせて、無理のない基準を選ぶことが大切です。
公的な制度を参考にする場合も、距離の数値基準は見当たりません。国家公務員の出張を定めた国家公務員等の旅費に関する法律でも、出張は「在勤官署を離れて旅行」することと定義されているだけで、何km以上といった距離の基準は条文にありません。
かつては「在勤官署から8km以内を在勤地とする」といった距離の規定が公務員制度にありましたが、2024年(令和6年)の旅費制度改正で見直され、現行の法令には残っていません。公的な制度でも距離の数値で一律に線を引いているわけではありません。
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近距離・日帰り・宿泊の3区分で考える
距離の線引きを決めるときは、移動の実態を次の3つの区分に分けて整理すると考えやすくなります。この区分が、次章の金額設定の土台になります。
- 近距離(出張扱いにしない移動):日常的な外出に近く、交通費の実費のみを精算する。日当は支給しない運用が一般的
- 日帰り出張:当日中に帰社・帰宅できる遠方への移動。交通費実費に加えて日当を支給する例が多い
- 宿泊出張:当日中に戻れず宿泊を伴う移動。交通費・宿泊費の実費に加えて日当を支給する
距離区分ごとの交通費・宿泊費・日当の目安
ここからは、先ほどの3区分ごとに交通費・宿泊費・日当をいくらに設定するか、その目安を整理します。距離に応じて「◯km以上なら日当◯円」と金額が決まった世間共通の一覧表があるわけではなく、各社が区分と金額を組み合わせて設計します。以下は、各費目の考え方と金額の目安をまとめた表です。
| 出張区分別の費用の目安 | 近距離(出張扱いにしない) | 日帰り出張 | 宿泊出張 |
|---|---|---|---|
| 交通費 | 実費(定期区間外の分のみ) | 実費(鉄道・バス等) | 実費(鉄道・航空等) |
| 宿泊費 | なし | なし | 1泊あたり1万円前後が目安 |
| 日当の目安 | 支給しない例が多い | 約2,600円(国内平均 約2,621円) | 約2,600円(宿泊時は2,900円程度に上げる例も) |
※日当・宿泊費の金額は財務省(2023年)および産労総合研究所(2019年度)の調査結果にもとづく目安です。各金額の出所は後述の調査データの節で解説します。
交通費は実費精算が基本で、「1日いくら」という定額の相場はありません。規程で定めるのは金額より、利用できる交通手段と座席等級です。新幹線や航空機の上位クラス(グリーン車・ビジネスクラス等)を役職に応じて認めるかを決め、それ以外は実費を精算します。宿泊費と日当の相場は、次章以降で詳しく見ていきます。
宿泊費の「1万円前後」は、財務省の調査で上限を設けて実費を支給している企業の平均額(約11,304円)を参考にした目安です。ホテルの料金は地域や時期によって大きく変わるため、都市部と地方で上限額を分けて設定する企業も少なくありません。
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日当(出張手当)の役職別・日帰り/宿泊別の相場
ここからは、出張手当(日当)の金額相場を、役職別・日帰り/宿泊別に見ていきます。
出張手当(日当)とは
出張手当(日当)とは、出張中の食事代や諸雑費など、交通費・宿泊費の実費とは別に発生する細かな費用を補うために、1日あたり定額で支給するお金です。実費の立替・精算が不要なため、従業員・経理の双方にとって手続きが簡単になるという利点があります。
交通費や宿泊費が「かかった分を精算する実費」であるのに対し、日当は「1日いくら」と金額をあらかじめ決めて支給する点が異なります。
国内出張の日当の平均額
財務省が2023年に実施した「民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート」によると、国内出張の日当は平均2,621円でした。支給している企業の中では最も低い区分の平均が1,780円、最も高い区分の平均が3,786円で、おおむね2,000円台半ばが中心的な水準といえます。
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役職別・日帰り/宿泊別の日当
日当は役職によって金額を変える企業が多く、役職が上がるほど高く設定される傾向があります。産労総合研究所の「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」で公表されている役職別の日当は、次のとおりです(距離や時間の区分を設けない場合の金額)。
- 日帰り出張の日当:部長クラス2,666円/一般社員2,094円
- 宿泊出張の日当:部長クラス2,900円/一般社員2,355円
- 宿泊料(全地域一律の場合・日当とは別費目):部長クラス9,835円/一般社員8,605円
同じ役職でも、日帰りより宿泊出張のほうが日当をやや高く設定する例があることがわかります。宿泊を伴う出張では拘束時間が長く、諸雑費も増えるためです。自社で役職別に分ける場合は、一般社員を基準額として、役職に応じて段階的に上乗せする設計が分かりやすい方法です。
宿泊料は日当とは別の費目です。産労総合研究所の調査(全地域一律・8,605〜9,835円)と、先に挙げた財務省の実費平均(約11,304円)は調査が異なるため、金額に幅があります。
日当をいくらに設定するかは、全社員一律にするなら財務省の平均額(約2,600円)を、役職別に分けるなら産労の役職別の金額を目安にするとよいでしょう。日当の水準は年によって大きく変動するものではないため、2019年度の役職別データも当面の目安として参照できます。
出典・参考資料(1件)
ここでは距離区分の目安として日当の相場に触れましたが、国内・海外別の平均額や、金額の具体的な決め方をもう一歩掘り下げたい方は、出張手当(日当)に絞って解説した以下の記事もご参照ください。
出張手当(日当)の相場はいくら?役職別・国内/海外の平均額と決め方を解説
出張旅費規程を新しく作る、あるいは古くなった規程を見直すとき、多くの担当者が最初につまずくのが「出張手当(日当)を1日いくらに設定すればよいか」という点です。金額の根拠がないまま決めると、社内で公平性を問われたり、税務調査で妥当性を説明でき…
距離・役職・宿泊有無、他社はどの軸で分けているか
「距離に応じて日当が決まった一覧表」をイメージして検索される方は多いのですが、実際には距離だけで金額を決めている企業ばかりではありません。ここでは、他社が何を基準に日当を支給・設定しているのかを、調査データで確認します。
財務省の2023年調査では、国内出張で日当を支給する要件(どういう場合に日当を出すか)について、次のような結果が出ています。
「往復行程(距離)により判断している」が49.4%でほぼ5割に達する。次が「宿泊の有無により判断している」44.8%でほぼ4割台半ばに達する。「日当は支給しない」が11.6%と1割を超える。
出典:民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート 報告書|財務省(2023年)
この結果からわかるのは、日当を出すかどうかの判断では、移動距離を基準にする企業(約5割)と、宿泊の有無を基準にする企業(約4割半ば)が拮抗しているということです(複数回答のため合計は100%を超えます)。距離だけで一律に決まるわけではなく、宿泊の有無も同じくらい重視されています。
さらに、前章で見たように金額そのものは役職によっても変わります。このように実務では、「距離(または宿泊の有無)で日当を出すかどうかを決め、金額は役職で分ける」といった組み合わせが一般的です。「◯km以上なら日当◯円」という単一の標準表が世の中に存在するわけではないため、自社では次の3つを組み合わせて設計することになります。

- 日当を支給する条件:距離で区切るか、宿泊の有無で区切るか(あるいは両方)
- 金額を分ける軸:役職で分けるか、全員一律にするか
- 日帰りと宿泊の差:宿泊時の日当を日帰りより高くするか
決めた距離・金額を旅費規程に落とし込む
距離の区分と金額の方針が固まったら、旅費規程に明文化します。あいまいな書き方だと、申請のたびに判断が割れて現場が混乱するため、具体的な数値と範囲を明記することが大切です。
自社規程での距離の書き方
距離を基準にする場合は、次の3点を規程で明確にしておくと、運用時の解釈のブレを防げます。
- 境界となる距離・時間:何km以上(または何分以上)を出張とするか、その数値を明記する
- 直線距離か移動距離か:地図上の直線距離で測るのか、実際の経路の移動距離で測るのかを決める(経路検索で確認できる移動距離のほうが実態に合いやすい)
- 距離を測る起点:勤務地(会社)からか、自宅からか。直行直帰の場合の扱いもあわせて定める
日当と交通費・宿泊費の書き分け
交通費・宿泊費は「実費精算」、日当は「定額支給」と、精算方法が異なります。規程では、交通費・宿泊費は実費(または上限付き実費)、日当は距離区分・役職ごとの定額というように、費目ごとに精算の方法を分けて書きます。宿泊費を定額にする場合は、地域による差を考慮して「都市部◯円、それ以外◯円」と分ける方法もあります。
旅費規程に盛り込む主な項目
旅費規程には決まった様式はありませんが、トラブルを防ぐために次の項目を盛り込んでおくのが一般的です。
- 出張の定義(距離・時間の基準、日帰り/宿泊の区分)
- 交通費の精算方法(利用できる交通手段・座席等級・実費の範囲)
- 宿泊費の上限額または定額(地域区分があれば明記)
- 日当の金額(距離区分・役職・日帰り/宿泊別)
- 申請・承認・精算の手続きと期限
距離・日当の記入例
ここまでの内容を規程に落とし込むと、たとえば次のような書き方になります。数値は本記事で示した相場をもとにした記入例なので、自社の方針や地域事情に合わせて調整してください。
- 出張の定義:勤務地から片道100km以上、または片道の移動時間が90分以上の移動を出張とする
- 日帰り・宿泊の区分:当日中に帰社・帰宅できる場合を日帰り出張、宿泊を要する場合を宿泊出張とする
- 交通費:実費を精算する。新幹線のグリーン車・航空機の上位クラスは部長以上に限り認める
- 宿泊費:1泊の上限を都市部12,000円・それ以外10,000円とし、その範囲で実費を精算する
日当は、役職と日帰り/宿泊で次のように定めると分かりやすくなります。
| 日当の記入例(役職別) | 一般社員 | 課長・部長クラス |
|---|---|---|
| 日帰り | 2,000円 | 2,600円 |
| 宿泊 | 2,400円 | 2,900円 |
※本記事で示した相場をもとにした記入例です。自社の実態に合わせて調整してください。
高すぎる日当は税務否認に注意(非課税と消費税の扱い)
日当や宿泊費の金額を決めるうえで、税務上の扱いも押さえておく必要があります。適正な範囲の出張旅費・日当は所得税が非課税となり、会社の経費(損金)にもなりますが、相場からかけ離れて高額な日当は、税務調査で否認されるリスクがあります。
所得税が非課税となる旅費の範囲について、所得税基本通達9-3は次のように定めています。
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
出典:所得税基本通達 9-3(非課税とされる旅費の範囲)|国税庁
したがって、役員だけ極端に高い、同業他社の相場から大きく外れている、といった日当は「相当」と認められず、非課税の範囲を超えた部分は給与(役員の場合は役員賞与)とみなされる可能性があります。そうなると従業員・役員には所得税・住民税が課され、役員賞与は会社の損金にも算入できません。本記事で紹介した相場を目安に、同業・同規模の水準から大きく離れない金額に収めることが、税務リスクを避けるうえで重要です。
日当の消費税の扱い
適正な範囲の出張旅費・宿泊費・日当は、消費税の計算上は「課税仕入れ」として扱えます。消費税法基本通達11-6-4は、使用人等が勤務地を離れて職務を遂行するために行う旅行に支給する出張旅費・宿泊費・日当等について、次のように定めています。
使用人等又は退職者等に出張旅費、宿泊費、日当等として支給する金品がこれに該当するのであるが、(中略)課税仕入れは、当該金品のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分に係るものに限られることに留意する。
出典:消費税法基本通達 11-6-4(通常必要であると認められる出張旅費、宿泊費、日当等)|国税庁
この通達でも「通常必要であると認められる部分」に限ると定められており、その範囲は所得税基本通達9-3の例によって判定するとされています。非課税・課税仕入れのどちらの扱いも、「相場に照らして相当な金額か」という同じ考え方で判断される点を押さえておきましょう。
決めた旅費規程を確実に運用する方法
距離の基準や日当の金額を規程で決めても、申請・予約・精算の現場でそのルールが守られなければ意味がありません。「規程の上限を超えたホテルが予約されていた」「出張費の全体像が月末まで把握できない」といった悩みは、出張の予約と管理を一元化する出張管理システムで解決できます。
出張管理システムには、旅費規程で定めた座席等級や宿泊費の上限を予約の段階で適用し、ルールに沿った予約だけを通す機能や、承認された出張のみ予約できるワークフロー、会社への費用の一括請求などが備わっています。規程を「決めただけ」で終わらせず、予約・精算の段階で確実に守らせたい場合に有効です。
| 出張管理システムの主な機能比較 | ピカパカ出張DX | エルクトラベル出張手配プラス |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド型(セルフ予約)+有人手配 | クラウド型+手配代行(オペレーター) |
| 旅費上限設定 | ●役職別の座席グレード・上限額を設定 | ●ホテル予約の上限金額を設定 |
| 承認ワークフロー | ●承認済みの出張のみ予約可能 | ●出張申請・承認を標準搭載 |
| 会社一括請求 | ●付帯サービスの一部は立替精算 | ●会社一括・部署ごとに請求可能 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 無料 |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 無料 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
以下では、旅費規程の運用を効率化できる出張管理システムを具体的に紹介します。
1. ピカパカ出張DX(株式会社ピカパカ)

株式会社ピカパカが提供するクラウド型の出張管理サービスです。出張の申請・予約・精算をシステム上で一元管理し、総務・経理が出張のたびに個別対応していた手間を減らせます。
役職に応じた座席グレードや上限額を設定できる旅費上限設定機能を備えており、本記事で解説した「役職別の金額設定」をそのままシステムに反映できます。承認された出張のみ予約できるワークフローや、旅費規程を社内に周知する掲示板機能もあり、規程の形骸化を防ぎながら運用できます。費用は会社への一括請求にまとめられるため、立替・精算の負担も軽減されます。
出張費を把握できていないという課題は、出張管理システムの導入相談の現場でも多く挙がります。同サービスを提供する株式会社ピカパカの勝間氏は、寄せられる相談について次のように述べています。
最も多いのは、「出張管理が属人化している」「立替精算の負担が大きい」「出張コストを把握できていない」という課題です。近年では、出張費の高騰を背景に、出張コストの見える化や統制強化を目的として導入を検討される企業も増えています。
2. エルクトラベル出張手配プラス(株式会社エルク)

株式会社エルクが運営する、法人向けのクラウド型出張手配・管理サービスです。航空券やホテルの手配を代行してもらいながら、出張の申請・承認・精算もまとめて管理できます。
ホテル予約では上限金額を設定でき、規程に沿わない予約を抑止できます。出張の申請・承認を標準機能として備え、費用は会社へ一括請求されるため、総務が規程の運用を手放しやすい点が特徴です。公式では、従業員数5名以下の企業からプライム市場上場企業までを対象として案内しています。
ここで取り上げた2サービスのほかにも出張管理システムは数多くあります。料金やタイプ別の選び方を含めて幅広く比較し、自社に合うものを検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
出張の距離の線引きに法律上の決まりはなく、各企業が旅費規程で基準を定めます。よく使われる距離の例(片道100kmや移動90分など)を参考にしつつ、近距離・日帰り・宿泊の3区分で交通費・宿泊費・日当を設計するのが基本です。日当は国内平均で2,621円前後、役職によって金額を変える企業が多く、距離だけでなく宿泊の有無も支給の判断材料として重視されています。
金額を決める際は、同業・同規模の相場から大きく外れないことが、税務上のリスクを避けるポイントです。相場を目安に自社の基準を決めたら旅費規程に明文化し、予約・精算の現場で確実に守られる仕組みを整えることで、出張費の管理負担を減らせます。まずは自社の出張の実態に合った距離基準と金額を決め、旅費規程の整備を進めてください。
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出張費の相場・旅費規程に関するよくある質問(FAQ)
Q. 出張手当(日当)とは何ですか?
A. 出張手当(日当)とは、出張中の食事代や諸雑費など、交通費・宿泊費の実費とは別にかかる細かな費用を補うために、1日あたり定額で支給するお金です。実費のように領収書をもとに精算するのではなく金額を定額で決めておくため、従業員の立替や経理の精算処理が軽くなる点が実務上の利点です。
Q. 出張は何kmから出張扱いにするのが一般的ですか?
A. 出張扱いにする距離は法律で定められておらず、各企業が旅費規程で自由に決めます。よく使われる設定例として、勤務地から片道100km以上、あるいは片道の移動時間が90分以上を出張とするものがありますが、どれかが正解というわけではありません。自社の事業エリアや移動の実態に合わせて、近距離(出張扱いにしない)・日帰り出張・宿泊出張の3区分で線引きを決めるのが基本です。
Q. 会社は従業員に日当(出張手当)を必ず支給しなければなりませんか?
A. 日当(出張手当)の支給は法律上の義務ではなく、支給するかどうかや金額は各企業が任意で決められます。実際、財務省の2023年の調査でも「日当は支給しない」と回答した企業が11.6%ありました。一方で、移動にかかる交通費や宿泊費など業務上必要な実費は、会社が負担するのが一般的です。日当を支給する場合は、どういう場合にいくら支給するのかを旅費規程で明確に定めておくと、運用時のトラブルを防げます。
Q. 出張の日当の相場はいくらですか?
A. 国内出張の日当は平均2,621円で、おおむね2,000円台半ばが中心的な水準です(財務省の2023年調査)。役職によって金額を変える企業が多く、産労総合研究所の調査では、日帰りで部長クラス2,666円・一般社員2,094円、宿泊で部長クラス2,900円・一般社員2,355円が目安とされています。自社で決める際は、この相場から大きく外れない金額にすると、税務上も安全です。
Q. 交通費や宿泊費を支給していれば、日当は別に払わなくてよいですか?
A. 交通費・宿泊費と日当は役割が異なるため、実費を精算していても日当は別に支給するのが一般的です。交通費(移動の実費)や宿泊費(宿泊の実費)が「かかった分を精算するお金」であるのに対し、日当は食事代や諸雑費などを補う定額の手当だからです。
ただし日当の支給自体は任意のため、交通費・宿泊費の実費のみを支給し日当を設けない運用も可能です。いずれの場合も、費目ごとに精算の方法(実費か定額か)を規程で分けて定めておきましょう。
Q. 日帰り出張と宿泊出張で日当は変えるべきですか?
A. 変えるかどうかは任意ですが、宿泊出張の日当を日帰りよりやや高く設定する企業が多くみられます。宿泊を伴う出張は拘束時間が長く、諸雑費も増えるためです。産労総合研究所の調査でも、一般社員で日帰り2,094円・宿泊2,355円と差がありました。
財務省の2023年調査でも、日当を支給する要件を「宿泊の有無」で判断する企業が44.8%と、「往復行程(距離)」で判断する企業(49.4%)に迫る割合を占めています。宿泊の有無は日当設計で重視される軸の一つといえます。
Q. 出張の日当に税金はかかりますか?
A. 適正な範囲の日当は所得税が非課税となり、会社の経費(損金)にもなります。ただし、相場からかけ離れて高額な日当は、所得税基本通達9-3が定める「同業種・同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当」という基準を超えると判断されることがあります。
その場合、非課税の範囲を超えた部分は給与(役員の場合は役員賞与)とみなされ、課税される可能性があります。本記事で紹介した相場を目安に、同業・同規模の水準から大きく離れない金額に収めることが大切です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















