年末調整を終えてひと息つく間もなく、翌年1月31日を期限とする「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の作成が待っています。様式そのものは手元にあっても、どの欄に何人・いくらを書けばよいかが分からず、作業が止まってしまう経理・給与担当の方は少なくありません。
本記事では、法定調書合計表の6区分それぞれの記入内容を様式に沿って整理し、提出期限・提出先・提出方法、自社に提出義務があるかどうかの判定までをまとめて解説します。
あわせて、令和9年(2027年)1月から始まるみなし提出の特例や、令和8年の書面様式の変更といった最新の制度変更が、今年の提出にどう関わるのかも取り上げます。手作業での集計・転記を減らしたい方に向けて、源泉徴収票から法定調書合計表まで自動で作成できる給与計算ソフトも紹介します。
目次
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法定調書合計表とは
法定調書合計表は、正式名称を「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」といい、源泉徴収票や支払調書といった個々の法定調書を種類ごとに集計する表紙にあたる書類です。給与や報酬などを支払い、法定調書を税務署へ提出する事業者が、各法定調書と一緒に提出します。
法定調書を税務署に提出する際は、作成した「法定調書」と「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(以下「合計表」といいます。)を併せて提出してください。
出典:令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 第1章|国税庁
合計表には、給与所得・退職所得・報酬や料金・不動産に関する3種類の支払調書という、あわせて6つの区分があります。自社が支払った内容に応じて、関係する区分の人員・支払金額・源泉徴収税額を集計して記入します。次の章から、様式の各欄に何を書くかを区分ごとに見ていきます。
法定調書合計表の書き方|6区分の記入内容
法定調書合計表は、様式上部の共通欄を埋めてから、6つの区分の明細を記入していきます。6区分の区分名と様式番号は次のとおりです。
出典:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第8章|国税庁
- 給与所得の源泉徴収票合計表(375)
- 退職所得の源泉徴収票合計表(316)
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309)
- 不動産の使用料等の支払調書合計表(313)
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表(376)
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表(314)
どの区分も、記入欄は「Ⓐ 支払の全件」と「Ⓑ そのうち税務署へ提出するもの」の二層になっています。

6区分のどこに・誰について・いくらを書くか、そのうち税務署へ提出する基準額を一覧にすると次のとおりです。自社が支払った区分の行だけを確認すれば足ります。
| 区分(様式番号) | 1 給与所得の源泉徴収票合計表(375) | 2 退職所得の源泉徴収票合計表(316) | 3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309) | 4 不動産の使用料等の支払調書合計表(313) | 5 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表(376) | 6 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表(314) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な欄(Ⓐ支払の全件/Ⓑ税務署へ提出するもの) | Ⓐ俸給、給与、賞与等の総額 Ⓑ源泉徴収票を提出するもの | Ⓐ退職手当等の総額 ⒷⒶのうち源泉徴収票を提出するもの | 所得税法第204条の報酬・料金等(1号〜8号の号別) Ⓑ支払調書を提出するもの | Ⓐ使用料等の総額 Ⓑ支払調書を提出するもの | Ⓐ譲受けの対価の総額 Ⓑ支払調書を提出するもの | Ⓐあっせん手数料の総額 Ⓑ支払調書を提出するもの |
| 誰について・いくらを書くか | Ⓐ:支払の確定した給与等の総額と実人員(丙欄適用の日雇労務者を除く)。Ⓑ:税務署へ提出する分の人員・支払金額・源泉徴収税額 | ⒶⒷとも、退職手当等の支払を受けたすべての受給者の人員・支払金額・源泉徴収税額 | すべての報酬・料金等を号別に、個人・個人以外の別で人員・支払金額・源泉徴収税額 | 支払の確定した不動産の使用料等の総額と、Ⓑの税務署提出分 | 支払の確定した譲受けの対価の総額と、Ⓑの税務署提出分 | 支払の確定したあっせん手数料の総額と、Ⓑの税務署提出分 |
| 税務署へ提出する基準(支払調書・源泉徴収票) | 年の中途で退職した人のうち30万円以下のもの以外の給与等すべて(令和8年分で給与支払報告書と同一範囲に拡大) | 令和8年分から提出省略範囲の規定が廃止され、全受給者が対象 | 区分(号)により5万円超・50万円超など(原稿料・デザイン料等=5万円超、ホステス等・診療報酬=50万円超、馬主の競馬賞金=1回75万円超) | 同一の相手への年間支払金額の合計が15万円超 | 同一の相手への年間支払金額の合計が100万円超 | 同一の相手への年間支払金額の合計が15万円超 |
記入見本や欄ごとの記載要領は、国税庁の手引き第8章と記載要領のPDFに1枚でまとまっています。仮の数字を入れた記入例も載っているため、実際に様式を埋める前に目を通しておくと確実です。
出典・参考資料(1件)
手書きで作成する場合は、機械で読み取るため黒のボールペンで記入し、金額欄に「¥」や「円」を書かない点にも注意します。
様式上部・表紙の共通欄の書き方
6区分の明細に入る前に、様式の上部にある共通欄を埋めます。ここは支払内容にかかわらず、提出する事業者が共通して記入する部分です。
提出者情報・整理番号の書き方
様式の上部には、提出者の住所・名称(氏名)・電話番号・整理番号を記入します。整理番号は、税務署から送付される書類に印字されている番号で、分からない場合は空欄でも差し支えありません。支店などが提出すべき法定調書を本店等がまとめて提出するかどうかを示す「本店一括」欄や、作成を依頼した税理士の番号を書く欄も、この共通欄にあります。
提出区分・提出媒体コードの書き方
「調書の提出区分」欄には、今回の提出が新規・追加・訂正・無効のどれにあたるかを示すコードを記入します。あわせて、法定調書の種類ごとに提出媒体を示す2桁のコードも記入します。
「調書の提出区分」欄 法定調書の提出区分を記載してください。
1 新規に法定調書を提出する場合 「1」(新規)
2 追加の法定調書を提出する場合 「2」(追加)
3 訂正分の法定調書を提出する場合 「3」(訂正)
4 無効の法定調書を提出する場合 「4」(無効)「提出媒体」欄 法定調書の種類ごとに右枠外の2桁のコード(電子=14、FD=15、MO=16、CD=17、DVD=18、書面=30、その他=99)を記載してください。
出典:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第8章|国税庁
初めて提出する通常のケースでは、提出区分は「1(新規)」です。誤りに気づいて作り直すときの「3(訂正)」「4(無効)」の使い方は、後の訂正方法の章で説明します。
法人番号・マイナンバーの記載
合計表の表紙にある「個人番号又は法人番号」欄には、提出する事業者自身の番号を記入します。法人は法人番号、個人事業主は個人番号(マイナンバー)です。ここに書くのはあくまで提出者自身の番号で、給与や報酬を支払った相手のマイナンバーは、合計表ではなく添付する個別の源泉徴収票・支払調書のほうに記載します。
出典・参考資料(1件)
給与所得の源泉徴収票合計表(375)
給与所得の区分では、「Ⓐ俸給、給与、賞与等の総額」欄に、その年に支払の確定した給与等の総額と、支払を受けた人の実人員を記入します。人員は丙欄(日雇いなど継続して雇用しない人の給与に使う源泉徴収税額表の区分)が適用される日雇労務者を含まない実人員で数えます。「左のうち、源泉徴収税額のない者」欄には、源泉徴収税額が0円だった人の数を記入します。
「Ⓑ源泉徴収票を提出するもの」欄には、Ⓐのうち税務署へ源泉徴収票を提出する分について、人員・支払金額・源泉徴収税額の合計を記入します。日雇労務者の賃金は「Ⓐのうち、丙欄適用の日雇労務者の賃金」欄にまとめます。源泉徴収票を税務署へ提出する範囲は令和8年分以降に拡大しているため、後述の提出義務の章もあわせて確認してください。
退職所得の源泉徴収票合計表(316)
退職所得の区分では、「Ⓐ退職手当等の総額」欄にその年に支払の確定した退職手当等の総額と人員を記入し、「ⒷⒶのうち、源泉徴収票を提出するもの」欄にそのうち税務署へ源泉徴収票を提出する分を記入します。令和8年分からは提出省略範囲を定める規定が廃止されており、ⒶⒷの両方の欄に、退職手当等の支払を受けるすべての受給者について記載します。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309)
この区分には、所得税法第204条に規定する報酬・料金等のすべてを、報酬の種類(1号該当から8号該当)ごとに記入します。たとえば原稿料・デザイン料は第1号、弁護士や税理士などへの報酬は第2号にあたります。各号について、個人・個人以外の別で人員・支払金額・源泉徴収税額を集計します。
「Ⓑ支払調書を提出するもの」欄には、そのうち税務署へ支払調書を提出する分を記入します。支払調書を提出する範囲は報酬の種類ごとに決まっており、たとえば外交員や原稿料などは同一人への年間支払が5万円を超えるもの、ホステス等の報酬や診療報酬は50万円を超えるものが対象です。
不動産の使用料等の支払調書合計表(313)
事務所や店舗の家賃、地代などを支払っている場合に記入する区分です。「Ⓐ使用料等の総額」欄にその年に支払の確定した不動産の使用料等の総額を記入し、Ⓑの欄に支払調書を提出する分を記入します。支払調書の提出対象は、同一の相手への年間支払金額の合計が15万円を超えるものです。
不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表(376)
土地や建物などを買い入れた対価を支払った場合の区分です。「Ⓐ譲受けの対価の総額」欄にその年に支払の確定した譲受けの対価の総額を記入します。支払調書の提出対象は、同一の相手への年間支払金額の合計が100万円を超えるものです。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表(314)
不動産の売買や貸付けのあっせんを受け、その手数料を支払った場合の区分です。「Ⓐあっせん手数料の総額」欄にその年に支払の確定したあっせん手数料の総額を記入します。支払調書の提出対象は、同一の相手への年間支払金額の合計が15万円を超えるものです。
出典・参考資料(7件)
- 出典:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第8章|国税庁
- 参考資料:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第2章(給与所得の源泉徴収票)|国税庁
- 参考資料:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第4章(報酬、料金等の支払調書)|国税庁
- 参考資料:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第5章(不動産の使用料等の支払調書)|国税庁
- 参考資料:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第6章(不動産等の譲受けの対価の支払調書)|国税庁
- 参考資料:令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 第7章(あっせん手数料の支払調書)|国税庁
- 参考資料:所得税法 第204条(報酬・料金等に係る源泉徴収)|e-Gov法令検索
提出期限・提出先・提出方法
作成した合計表は、いつまでに・どこへ・どの方法で出すのかを確認しておきます。結論は次のとおりです。
- 提出期限:翌年1月31日まで。期限が土日祝にあたる場合は翌営業日になります(令和8年分は令和9年2月1日・月曜日)
- 提出先:納税地等を所轄する税務署長
- 提出方法:e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等・書面のいずれか
提出期限は源泉徴収票の交付や給与支払報告書の提出と同じ翌年1月31日です。郵送で提出する場合は、税務署の内部事務のセンター化により、所轄税務署ではなく業務センター宛に送付する場合があります。対象となる税務署は国税庁ホームページで確認できます。
出典・参考資料(2件)
提出方法(e-Tax・書面・光ディスク・認定クラウド)
国税庁の手引きでは、法定調書の提出方法を次の4種類に分けています。
- e-Tax:国税電子申告・納税システムで作成・提出する方法。利用には、事前に所轄税務署へ開始届出書を提出して利用者識別番号を取得するなどの手続きが必要です
- 認定クラウド等:認定クラウド等の提出領域にデータを記録し、税務署長にアクセス権限を付与して提出する方法。事前に利用契約と利用開始の届出が必要です
- 光ディスク等:法定調書をCSV形式で作成し、CD・DVDなどにデータを格納して提出する方法
- 書面:法定調書を紙で作成して提出する方法
e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等の3つは、手引きでまとめて「e-Tax等」と呼ばれます。後述する電子提出の義務は、この「e-Tax等」による提出を指します。
出典・参考資料(1件)
自社に提出義務があるか(該当なし・0円でも出すか)
合計表の提出義務は、給与や報酬などを支払って源泉徴収を行った事業者にあります。給与の支払も、報酬・料金・使用料の支払も一切なく、源泉徴収義務者にあたらない場合は、合計表を提出する必要はありません。
一方で、源泉徴収税額が0円でも提出が不要になるわけではありません。各法定調書を提出するかどうかは、前章で触れた支払金額の基準で判断するもので、源泉徴収税額が0円かどうかで決まるものではないためです。合計表の給与区分には源泉徴収税額が0円の人数を書く欄があり、税額が0円の人も人員に含めて記入します。
自社に関係しない区分は空欄(0)のままで構いませんが、税務署へ提出する法定調書が1つでもある限り、合計表は作成して併せて提出します。
給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出する範囲は、令和8年分以降に拡大し、給与支払報告書の提出範囲と同じ(年の中途で退職した人のうち支払金額が30万円以下のもの以外の給与等のすべて)になりました。年末調整済みで一定額を超える人だけ、といった以前の基準とは異なる点に注意が必要です。
出典・参考資料(2件)
電子提出が義務になる枚数基準(100枚・30枚)
一定の枚数以上の法定調書を提出する事業者は、書面ではなくe-Tax等(e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等)による提出が義務づけられます。枚数の数え方は、提出する年の前々年(基準年)に提出すべきであった法定調書の枚数で判定し、判定は法定調書の種類ごとに行います。
| 令和8年提出分まで(現行) | 令和9年(2027年)1月1日以後の提出分 | |
|---|---|---|
| 電子提出が義務になる枚数 | 前々年に提出すべきだった枚数が種類ごとに100枚以上 | 前々年に提出すべきだった枚数が種類ごとに30枚以上 |
| 対象となる提出手段 | e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等 | e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等 |
※枚数の判定は法定調書の種類ごとに行います(2026年10月時点の国税庁資料による)。
基準となる枚数は「超える」ではなく「以上」で判定します。令和5年度の税制改正により、令和9年(2027年)1月1日以後に提出する分からは基準が100枚以上から30枚以上へ引き下げられます。令和9年に提出する分の基準年は令和7年で、令和7年中に提出した法定調書が種類ごとに30枚以上であった場合は、令和9年の提出をe-Tax等で行う必要があります。
出典・参考資料(2件)
令和9年(2027年)のみなし提出と令和8年の様式変更
「市区町村へ給与支払報告書を出していれば、税務署への提出が一部いらなくなる」という制度変更が、令和9年1月から始まります。今年の提出にどう関わるのかを、対象となる書類の範囲とあわせて正確に押さえておきましょう。
令和9年1月以降のみなし提出の特例
令和9年1月以降は、給与支払報告書を市区町村へ提出した場合に、給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出したものとみなされます。
この特例は、令和9年1月1日以後に提出する法定調書から適用されます。令和8年分の法定調書は令和9年1月から2月1日にかけて提出するため、今年(令和8年分)の提出が、この特例の最初の対象になります。
令和9年1月以降、給与支払報告書を市区町村に提出する場合は給与所得の源泉徴収票を税務署に提出したものとみなされるため、税務署への給与所得の源泉徴収票の提出は不要です。
令和9年1月以降、源泉徴収票のみなし提出の特例により、税務署への源泉徴収票の提出は不要となりますが、受給者への交付は引き続き必要となります。
出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

ここで取り違えやすいのが、この特例の対象範囲です。みなし提出の対象は「給与所得の源泉徴収票」(と公的年金等の源泉徴収票)であって、法定調書合計表そのものや、報酬・不動産などほかの支払調書の税務署への提出が不要になるわけではありません。
合計表の記載要領でも、市区町村へ給与支払報告書を提出し、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出しない場合は「1 給与」欄の記載が不要になる、とされており、不要になるのは給与区分の税務署提出分に限られます。合計表そのものは、引き続き税務署へ提出します。
前章のとおり、給与所得の源泉徴収票は令和8年分以降に税務署への提出範囲が拡大しました。その拡大した分も、令和9年1月以降は給与支払報告書を市区町村へ提出すれば税務署への提出がみなされ、別途の提出が不要になり得ます。
また、税務署への提出が不要になっても、受給者本人への源泉徴収票の交付は、引き続きすべての受給者に対して必要です。市区町村への提出をeLTAX(地方税の電子申告システム)等で行えば、提出先への振り分けは自動で行われます。
出典・参考資料(2件)
令和8年8月の書面様式変更
書面で税務署へ提出する場合の様式にも変更がありました。古い様式のまま提出して差し戻されることのないよう、最新の様式を使いましょう。
令和8年8月に税務署提出用の法定調書の書面様式が変わりました。今後、書面で税務署に提出する場合は、本ページに掲載している最新の【税務署提出用】様式をご使用ください。
出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁
変更の対象は税務署提出用の様式で、受給者交付用の様式は変更されていません。受給者へ渡す分は従来どおりの様式で作成できます。書面で税務署へ提出する際は、最新の【税務署提出用】様式を国税庁ホームページから入手して使うようにします。
出典・参考資料(1件)
未提出の罰則と誤りの訂正方法
提出しなかった場合のリスクと、間違えたときの直し方を押さえておくと、安心して提出まで進められます。それぞれ分けて見ていきます。
未提出・期限後提出の罰則
法定調書に関する罰則は、所得税法第242条に定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
出典:所得税法 第242条|e-Gov法令検索
この罰則の対象になるのは、支払調書(第225条第1項)や源泉徴収票(第226条第1項から第3項)などの各法定調書を、提出期限までに税務署長へ提出しなかった場合、または偽りの記載・記録をして提出した場合です。
提出期限を過ぎただけで直ちに罰則が科されるわけではなく、未提出や虚偽記載が罰則の要件になります。条文が列挙しているのは個々の法定調書で、法定調書合計表そのものは列挙の対象には含まれていません。いずれにしても、期限内に正しく提出することが基本です。
出典・参考資料(1件)
誤りに気づいたときの訂正方法
提出後に誤りが見つかった場合は、先に提出した内容を無効にする分と、正しい内容の分をセットで作成して再提出します。書面で訂正する場合は、まず先に提出した法定調書と同じ内容で無効分を作り、その合計表の「調書の提出区分」欄に4(無効)を記入します。続いて正しい内容の法定調書を作り、その合計表の提出区分欄に3(訂正)を記入します。
訂正の場合、合計表には無効分・訂正分それぞれの該当箇所だけを記入して提出します。提出漏れがあって追加するときは、追加分の合計表を作成し、提出区分欄に「2(追加)」を記入して、追加箇所のみを記載します。e-Taxや光ディスクで提出した場合の訂正手順は、手引き第9章に別に示されています。
出典・参考資料(1件)
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源泉徴収票から合計表まで自動化できる給与計算ソフト
法定調書合計表は、源泉徴収票や支払調書を種類ごとに集計する作業が中心です。件数が多いほど手作業での集計・転記はミスが起きやすく、年末調整の直後という繁忙期の負担にもなります。給与計算ソフトを使えば、給与計算・年末調整のデータから源泉徴収票や給与支払報告書を作り、合計表の作成や電子申告までをつなげられます。
以下は、ここで紹介する給与計算ソフトの比較表です。法定調書合計表の作成や電子申告への対応を見比べる際の目安としてご活用ください。
| サービス名 | 弥生給与 Next | マネーフォワード クラウド給与 | 給与奉行クラウド | freee人事労務 |
|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 弥生株式会社 | 株式会社マネーフォワード | 株式会社オービックビジネスコンサルタント | フリー株式会社 |
| 法定調書合計表の作成 | ●本体で作成(ベーシックライト以上) | △クラウド年末調整との連携で作成 | △本体は帳票出力まで。自動作成は法定調書奉行iクラウド | △freee申告との連携で作成(内容作成は本体) |
| 源泉徴収票・給与支払報告書 | ●ベーシックライト以上で作成 | ●クラウド年末調整で作成 | ●本体で帳票出力 | ●本体で内容作成 |
| 電子申告(e-Tax・eLTAX) | △電子申告データ(PCdesk用)を出力 | △シリーズ製品・連携で対応 | △法定調書奉行iクラウドで対応 | △freee申告と連携して対応 |
| 料金 | 初期費用0円 月1,700〜7,000円(税抜) | 初期費用0円 月2,480円〜(税抜・年払い) | 初期費用0円〜7万円(初年度・プランにより) 月5,500円〜 | 初期費用0円 月2,000円〜(5名分・年払い) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※△は、本体のみでは対応できず、同一シリーズの別製品や外部連携で対応することを表します。電子申告の最新の対応状況・対応プランは、各サービスの公式情報でご確認ください。
1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextは、弥生株式会社が提供するクラウド型の給与サービスです。給与・賞与計算や年末調整に加え、ベーシックライト以上のプランで源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表の作成と、電子申告データ(eLTAXの専用ソフトPCdesk用)の出力まで本体で対応しています。別製品を追加せず、合計表の作成までを1つのサービスで完結できる点が特徴です。
初期費用は0円で、料金は年契約の月あたりでエントリー1,700円からベーシックプラス7,000円まで(いずれも税抜)の段階的なプラン設計です。初回申込時には、ベーシックプラス相当の機能を最大2か月間試せる無料体験も用意されています。源泉徴収税額表の改正にも自動で対応するため、法令改正のたびに設定を見直す手間がかかりません。
2. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

給与・賞与計算から給与明細のWeb発行、住民税情報のeLTAX連携までをカバーするのが、株式会社マネーフォワードのマネーフォワード クラウド給与です。法定調書合計表は、クラウド給与と同じシリーズの「クラウド年末調整」を組み合わせて作成します。給与所得の区分は年末調整の登録内容から自動で反映され、残りの区分は手入力で仕上げ、PDF出力までできます。
会計・勤怠・人事などのシリーズ製品とデータ連携できる設計で、勤怠から給与、会計までの転記を減らせます。料金は初期費用0円、ひとり法人プランで月額2,480円から(年払い時の月あたり・税抜)です。電子申告機能については提供状況の案内が更新されており、2026年分(翌年1月提出分)で電子申告が使えるかは公式情報での確認をおすすめします。
3. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドは、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供するクラウド型の給与計算システムです。従業員規模に応じた5段階のプランがあり、本体では年末調整の計算・源泉徴収票の作成に加え、法定調書合計表資料や給与支払報告書(総括表)の帳票出力に対応します。
法定調書合計表の自動作成と税務署への電子申告までを行う場合は、同じ奉行クラウドシリーズの「法定調書奉行iクラウド」を組み合わせる構成になります。本体で支払データを管理し、シリーズ製品で合計表の作成・電子申告まで進められるため、奉行シリーズで経理業務を統一している企業に向いています。料金は、20名までのプランで月額5,500円からです。
4. freee人事労務(フリー株式会社)

勤怠管理・給与計算・年末調整・社会保険手続きを1つに集約するクラウドソフトが、フリー株式会社のfreee人事労務です。公式の機能一覧には、源泉徴収票(提出が必要なものを判別して印刷)、給与支払報告書(総括表・個人別明細書・送付ラベル)、法定調書合計表(給与所得の源泉徴収票合計表)の内容作成が挙げられています。
法定調書合計表の電子申告(e-Tax)や給与支払報告書の提出(eLTAX)は、同じfreeeシリーズの「freee申告」と連携して行う案内がされています。freee人事労務で給与・年末調整のデータを扱い、freee申告で合計表の作成・申告まで進める構成です。
料金は初期費用0円、5名分で月額2,000円から(ミニマムプラン・年払い、6名目以降は1名ごとに加算)です。freee申告の契約や料金の要否、e-TaxやeLTAXに対応するプランの下限は公式の最新情報での確認をおすすめします。
ここで取り上げた4製品のほかにも、法定調書合計表や年末調整に対応した給与計算ソフトは数多くあります。対応帳票や料金、従業員規模ごとの選び方まで見比べて自社に合う1台を選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
法定調書合計表は、給与所得・退職所得・報酬や料金・不動産に関する3種類の支払調書という6区分を集計する書類です。各区分の欄に人員・支払金額・源泉徴収税額を記入し、翌年1月31日までに所轄税務署へ、e-Tax・書面・光ディスク・認定クラウドのいずれかで提出します。
今年の提出では、電子提出が義務になる枚数基準や、令和9年1月から始まるみなし提出の特例、令和8年の書面様式の変更にも注意が必要です。みなし提出で税務署への提出が不要になるのは給与所得の源泉徴収票に限られ、受給者への交付は引き続き必要になる点を取り違えないようにしましょう。集計や転記の負担が大きいと感じたら、源泉徴収票から合計表までをつなげて作成できる給与計算ソフトの導入も検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 法定調書合計表とは何ですか?
A. 法定調書合計表は、源泉徴収票や支払調書といった個々の法定調書を種類ごとに集計し、各法定調書と一緒に税務署へ提出する表紙にあたる書類です。正式名称は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」といいます。給与所得・退職所得・報酬や料金・不動産に関する3種類の支払調書という、あわせて6つの区分からなり、自社が支払った内容に応じて関係する区分の人員・支払金額・源泉徴収税額を集計して記入します。
Q. 法定調書合計表の提出期限と提出先はどこですか?
A. 法定調書合計表の提出期限は翌年1月31日まで(期限が土日祝にあたる場合は翌営業日)、提出先は納税地等を所轄する税務署長です。源泉徴収票の交付や給与支払報告書の提出と同じ期限になります。令和8年分は、1月31日が休日にあたるため令和9年2月1日(月曜日)が期限です。
郵送で提出する場合は、税務署の内部事務のセンター化により、所轄税務署ではなく業務センター宛に送付する場合があるため、対象かどうかを国税庁ホームページで確認しておくと確実です。
Q. 法定調書合計表は、源泉徴収税額が0円や該当なしでも提出が必要ですか?
A. 法定調書合計表は、源泉徴収税額が0円でも、税務署へ提出する法定調書が1つでもあれば提出が必要です。各法定調書を提出するかどうかは支払金額の基準で判断するもので、源泉徴収税額が0円かどうかで決まるものではありません。
給与の支払も報酬・料金・使用料の支払も一切なく、源泉徴収義務者にあたらない場合は提出不要ですが、自社に関係しない区分を空欄(0)のままにして、提出すべき区分だけを記入して出す、という扱いになります。
Q. 法定調書合計表の表紙にマイナンバー(個人番号・法人番号)は必要ですか?
A. 法定調書合計表の表紙には、提出する事業者自身の法人番号(個人事業主は個人番号)を記載します。給与や報酬を支払った相手のマイナンバーは、合計表ではなく、添付する個別の源泉徴収票・支払調書のほうに記載します。合計表の表紙に書くのはあくまで提出者自身の番号である点を取り違えないようにしましょう。
Q. 法定調書合計表は何枚から電子申告(e-Tax等)が義務になりますか?
A. 法定調書合計表(および各法定調書)は、前々年に提出すべきであった枚数が種類ごとに100枚以上だと、e-Tax等(e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等)での提出が義務になります。令和5年度の税制改正により、令和9年(2027年)1月1日以後に提出する分からは、この基準が30枚以上へ引き下げられます。基準は「超える」ではなく「以上」で、判定は法定調書の種類ごとに行います。
Q. 令和9年1月からのみなし提出の特例で、法定調書合計表の提出はどう変わりますか?
A. みなし提出の特例で税務署への提出が不要になるのは、「給与所得の源泉徴収票」に限られ、法定調書合計表そのものやほかの支払調書の税務署への提出は引き続き必要です。
令和9年1月以降は、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、給与所得の源泉徴収票を税務署へ提出したものとみなされます。ただし対象は給与所得の源泉徴収票(と公的年金等の源泉徴収票)であり、合計表は引き続き作成・提出します。また、税務署への提出が不要になっても、受給者本人への源泉徴収票の交付は、引き続きすべての受給者に対して必要です。
Q. 法定調書合計表を提出しないと罰則はありますか?
A. 法定調書を期限までに提出しなかったり偽りの記載をして提出したりした場合は、所得税法第242条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処される可能性があります。提出期限を過ぎると直ちに罰則が科されるのではなく、未提出や虚偽記載が罰則の要件です。
条文が列挙しているのは支払調書や源泉徴収票といった個々の法定調書で、法定調書合計表そのものは列挙の対象に含まれていませんが、いずれにしても期限内に正しく提出することが基本です。
Q. 法定調書合計表の提出後に誤りに気づいたら、どう訂正しますか?
A. 法定調書合計表の誤りは、先に提出した分を「4(無効)」、正しい内容の分を「3(訂正)」として作り直し、セットで再提出します。
書面の場合は、先の提出と同じ内容の無効分の合計表の「調書の提出区分」欄に「4(無効)」を、正しい内容の訂正分の提出区分欄に「3(訂正)」を記入し、それぞれ該当箇所だけを記載します。提出漏れを追加するときは「2(追加)」です。e-Taxや光ディスクで提出した場合の訂正手順は、国税庁の手引き第9章に別に示されています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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