受託開発や広告・制作、コンサルティングなど案件単位で動く事業では、プロジェクトごとの売上・原価・工数がExcelや部門ごとのシステムに分散し、採算がリアルタイムに見えにくくなりがちです。赤字の案件に気づいたときにはプロジェクトが終盤に差しかかっていた、という事態も起こります。
一般的な会計ソフトや汎用のERPは全社の財務を整えることは得意でも、案件単位の収支や工数を管理する機能までは標準で備えていないことがあります。そこで検討されるのが、プロジェクト(案件)単位の採算管理に強いERPです。
本記事では、案件単位で収支・工数を管理したい企業向けに、プロジェクト管理・採算管理に強いERPおすすめ9製品を比較します。製品ごとの機能や料金に加え、業種別の向き不向きと、利用者のレビューを読み解く視点、自社に合う製品を選ぶためのポイントを整理しました。導入検討の判断材料としてお役立てください。
今すぐ製品を比較したい場合は「プロジェクト管理ERPの比較表」を、自社に合う製品を手早く絞り込みたい場合は「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、受託開発・システム開発、広告・Web制作、コンサルティング、クリエイティブ、建設・工事など、案件(プロジェクト)単位で売上と原価が発生する事業を営む企業を対象に、プロジェクト単位の収支・工数・原価を管理できるERPを比較します。
案件という切り口を設けず、ERP全般を企業規模や提供形態、費用から幅広く比較したい場合は、次の記事もあわせてご覧ください。
プロジェクト管理・採算管理に強いERPとは
プロジェクト管理・採算管理に強いERPとは、会計・販売・購買といった基幹業務を統合しつつ、案件(プロジェクト)単位で売上・原価・工数を集計し、採算を管理する機能を備えたERPを指します。プロジェクト型ERPやPSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)と呼ばれることもあります。
一般的な会計との違いは「案件を軸に損益を見る」こと
一般的な財務会計は、勘定科目や部門を軸に全社の損益を集計します。これに対して案件単位で採算を見る会計は、1つのプロジェクトに紐づく売上・外注費・材料費・人件費などを集めて、その案件が黒字か赤字かを把握します。社内の作業時間を工数として記録し、人件費に換算して案件の原価に加える点が、物を仕入れて売る業態の原価管理と異なります。

こうした案件ごとの原価の集計は、個別原価計算という考え方に基づきます。個別原価計算は原価計算基準(1962年・企業会計審議会)に定められた原価計算の方法で、受注生産やプロジェクト型の事業で用いられます。複数の案件で共通して発生する間接費を一定の基準で各案件に割り振る「配賦」も、採算を正しく見るうえで欠かせない処理です。
採算管理に必要な主な機能
案件単位の採算を管理するために、プロジェクト型ERPでは次のような機能が中心になります。自社の課題に照らして、どの機能が必要かを確認しておくと製品選びが進めやすくなります。
- 案件別の収支可視化:案件ごとに売上・原価・利益を集計し、現在の採算をリアルタイムに確認する
- 予実管理・アラート:案件ごとに予算(見積・実行予算)と実績を対比し、超過しそうな案件を早めに把握する
- 工数管理:メンバーの作業時間を案件・タスク別に記録し、人件費(労務費)に換算して原価へ反映する
- 原価配賦:複数案件に共通する間接費を、工数や人数などの基準で各案件へ割り振る
- 販売・購買・会計との連携:見積から受注・請求・入金、発注・支払、会計仕訳までを案件情報と結びつけて扱う

専業の収支管理ツールとERPの違い
案件の収支や工数を管理するツールには、プロジェクト収支管理や工数管理に特化した専業ツールもあります。専業ツールは導入しやすく特定の業務に強い一方、会計・販売・購買までは自社の別システムと連携させて使う前提のものが多くみられます。
ERPは、案件採算の管理に加えて会計・販売・購買などの基幹業務を1つの基盤に統合できる点が違いです。見積から請求、会計仕訳までを案件情報と一体で扱えるため、二重入力やシステム間の突き合わせを減らせます。どこまでを1つのシステムにまとめたいかが、専業ツールとERPを分ける判断軸になります。
プロジェクトERPを導入するメリット
ここからは、プロジェクト管理・採算管理に強いERPを導入することで得られる主なメリットを整理します。
赤字プロジェクトを早い段階で察知できる
案件ごとの予算と実績をシステム上で対比できるため、原価が見積を超えそうな案件を進行中に把握できます。工数や外注費が確定するたびに採算へ反映されるので、採算の悪化に気づくのが決算や月次の締め後になるという事態を避けやすくなります。対策を打つ余地が残っている段階で手を打てる点が、採算管理の大きな利点です。
入力の重複と集計の手間を減らせる
見積・受注・請求・発注・工数・会計仕訳を案件情報で結びつけて扱えるため、同じ数字を複数のシートやシステムに入力し直す作業が減ります。案件番号を軸にデータがつながることで、月末にExcelを集めて突き合わせる集計作業の負担も軽くなります。担当者が手作業の転記から解放され、確認や分析に時間を回しやすくなります。
経営判断に使えるデータが早くそろう
案件別・部門別・担当別など複数の切り口で損益を集計できるため、どの事業や案件が利益に貢献しているかを把握しやすくなります。経営ダッシュボードで現在の受注残や進行中案件の採算を確認できる製品もあり、次にどの案件へ人を配置するかといった判断の材料がそろいます。
自社に合うプロジェクトERPを診断する
製品ごとに得意な業種や、カバーする業務範囲、料金の考え方は異なります。自社の業種・規模や重視する機能を選ぶだけで、条件に合う製品を数十秒で絞り込める選定診断を用意しました。どの製品から見ればよいか迷う場合は、下記からお試しください。
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【比較表】プロジェクト管理ERPを収支・工数・会計一体性で比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、プロジェクト管理・採算管理に強いERPおすすめ9製品を一覧で比較します。比較軸は、案件別の収支管理・工数/原価管理・会計や販売購買との一体性・提供形態・対象業種・料金の目安です。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo(マルウェブ) | クラウドERP ZAC | MA-EYES | Reforma PSA | GRANDIT | プロカン | RobotERP ツバイソ | ジョブマネ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件別の収支管理(予実・リアルタイム可視化) | △アドオン(SuiteProjects)で対応 | △本体のProject/Timesheetで工数予実を管理 | ●案件別の収支・損益をリアルタイム可視化 | ●案件別の原価予算・実績をグラフで比較 | ●実行予算入力で仕掛中でも案件損益を把握 | △業種ソリューション/テンプレートの適用が前提 | ●案件別に予算・実績・原価をリアルタイム可視化 | ●PSAで案件別の予算・予測利益を多面的に把握 | △案件別の採算を可視化(予実管理は簡易) |
| 工数管理・個別原価計算(労務費配賦) | △アドオン(SuiteProjects)で対応 | △本体で工数管理(労務費配賦は要確認) | ◎工数を労務費に自動集計、直課・再配賦に対応 | ◎工数を労務費に換算、多様な配賦基準に対応 | ●工数登録を前提に労務費・共通費を配賦 | △テンプレート/アドオンで対応(パートナー提供) | ●工数×労務単価で原価換算、間接費を按分 | ●PSAで原価計算・工数/リソース管理 | △作業時間から原価を算出(配賦機能は簡易) |
| 会計・販売・購買との一体性 | ◎会計・販売・購買・在庫を単一基盤に統合 | ●販売・在庫・会計・CRM等をアプリで統合 | ●販売・購買・工数を統合(財務会計は連携) | ●販売・購買・会計・営業支援(SFA)を1つのERPに統合 | ●販売・購買・経費を一元化(会計は連携) | ◎販売・購買・会計・人事給与まで統合 | △見積・請求等は内包、会計は外部連携 | ◎会計・販売・購買・人事給与をERP本体に統合 | △見積〜請求は内包、会計・在庫は非対応(会計は連携) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド | オンプレミス/クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 主な対象業種 | 中堅〜大企業・海外拠点を持つ企業(業種横断) | 複数業務を統合したい中小企業(業種横断) | IT・広告・コンサル・士業などプロジェクト型業種 | IT開発・SES・コンサル・広告など | IT・広告・制作・コンサルなど(小〜中規模) | 卸売・製造・建設・情報サービスなど中堅〜大企業 | IT・制作・広告・建設など受託型の中小企業 | ソフト開発・コンサル・建築・広告など中堅・成長企業 | 制作・コンサル・士業など小規模事業者 |
| 料金の目安 | 要問い合わせ(年間ライセンス+初期費用、個別見積もり) | Odoo本体 月22〜33ドル/ユーザー(公式料金、2026年10月時点)、導入支援は個別見積もり | 初期10万円+保守6万円〜/月(ライセンス単価は要問い合わせ) | 要問い合わせ(公式非公開) | 初期0円、月額3万円(税抜)〜 | 要問い合わせ(公式非公開) | 初期15万円〜、月額3万円〜(2026年10月時点、利用人数で変動) | 要問い合わせ(公式非公開) | 初期0円、月1,000円〜(税別)/業務管理は1人月3,000円(税別) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
表の記号の見方:◎=標準機能として備える/●=標準で対応/△=アドオン・業種別ソリューション・外部システムとの連携などで対応(限定的・要確認)。
※上記は各サービスの一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
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プロジェクトERPの選び方
ここからは、プロジェクト採算に絞って自社に合う製品を見極めるためのポイントを解説します。業種への適合は次章、料金・提供形態は後半の章でも扱うため、ここでは採算管理に固有の観点を中心に整理します。
収支可視化・予実管理はどの粒度で行えるか
案件単位で採算を見たい場合、収支を「案件ごと」まで分解して集計できるかがまず出発点になります。さらに、1つの案件を工程やフェーズ、作業(タスク)単位まで分けて予算と実績を対比できると、どの工程で原価が膨らんだかを特定しやすくなります。予算超過を進行中に知らせるアラートの有無や、見積・実行予算・実績の3段階を比べられるかも、採算を早く察知するうえで効いてくる要件です。
工数と原価配賦をどこまで自動で扱えるか
人件費が原価の大半を占めるプロジェクト型の事業では、工数をどう原価に反映するかが採算の精度を左右します。入力された作業時間を単価で人件費に換算し、案件原価へ自動で反映できるか、複数案件に共通する間接費を工数や人数の基準で配賦できるかが、見極めのポイントです。工数入力がタイムシートやスマートフォンから手軽に行えるかも、現場で記録が続くかどうかに関わる実務的な判断材料です。
会計・販売・購買をどこまで一体化すべきか
採算管理だけを切り出して専用ツールで行うか、会計・販売・購買まで1つのERPにまとめるかは、自社に必要な一元化の範囲で判断します。すでに会計システムが定着していて変えたくない場合は、採算管理を担う製品が会計システムと連携できれば足ります。
一方、見積から請求・会計仕訳までを案件情報と一体で扱い二重入力をなくしたい場合は、会計・販売・購買を統合したERPが向きます。どこまでを1つのシステムに任せたいかを先に決めると、候補を絞りやすくなります。
利用者の評判・口コミから何を読み解くか
利用者のレビューは、カタログやパンフレットだけではわからない導入後の実像を知る手がかりになります。読むときは「自社と近い業種・規模の利用者か」をまず確かめることが大切です。
そのうえで、操作画面の使いやすさ、入力のしやすさ、他システムとの連携、サポートの対応、カスタマイズや保守にかかる費用といった、運用で差が出やすい点に注目すると判断に役立ちます。良い評価と気になる評価の両方に目を通し、自社にとって許容できる弱みかを見極めることが大切です。
ここまでの観点をふまえて実際に製品を絞り込むには、必要機能の洗い出しからクラウドとオンプレミスの比較、導入でつまずきやすい点までを手順立てて確認しておくと迷いにくくなります。ERP選定を8つのステップで進める流れや、導入時に避けたい失敗を整理した資料もあわせてご覧ください。
業種別に見るプロジェクトERPの向き不向き
案件単位で動く事業といっても、原価の内訳や管理したい情報は業種によって異なります。ここでは代表的な業種ごとに、プロジェクトERPに求められる特性を整理します。
IT・ソフトウェア開発
受託開発やシステム開発では、原価の多くがエンジニアの人件費です。工数を案件・工程別に正確に記録し、人件費へ換算して原価に反映できることが重要になります。請負と準委任(SES)で収益の立て方が異なるため、契約形態に応じた売上計上や、進行中案件の採算をリアルタイムに把握できる仕組みが向いています。
広告・制作
広告代理店やWeb・映像制作では、外注費や媒体費が原価に大きく影響します。1案件に多数の発注が紐づくため、発注・支払を案件ごとに管理し、社内工数と外注費を合わせて採算を見られることが求められます。案件数が多く回転が速い現場では、見積から請求までを素早く回せる操作性も選定の決め手になります。
コンサルティング
コンサルティングやプロフェッショナルサービスでは、コンサルタントの稼働時間がそのまま収益と原価に直結します。メンバー別・案件別の稼働状況と、請求できる時間(稼働率)を把握できることが採算管理の中心になります。複数の案件を並行して担当するため、1人の工数を複数案件へ正しく割り振れる仕組みが向いています。
クリエイティブ・コンテンツ
デザインやコンテンツ制作では、小〜中規模の案件を数多く抱えることが多く、1件あたりの管理の手間をいかに抑えるかが課題になります。案件の採算を手軽に登録・確認でき、見積から請求までを少ない工数で回せる製品が向いています。小規模な体制でも無理なく運用を続けられるかどうかが、定着を左右します。
建設・工事
建設・工事業では、工事ごとに実行予算を組み、材料費・労務費・外注費・経費を工事原価として集計します。工期が複数会計期間にまたがることが多く、進捗に応じて収益を計上する会計処理が関わります。
かつての工事進行基準の考え方は、現在は収益認識基準(企業会計基準第29号。2021年4月1日以後開始する事業年度から原則適用)に取り込まれており、工事の進捗度に応じた収益認識が求められます。工事台帳や実行予算管理、進捗に応じた収益計上に対応できる製品が向いています。
自社の業種で具体的にどの製品が候補になるかは、本記事の比較表と選定診断で確認できます。業種・規模・重視する機能を選ぶと、条件に合う製品が絞り込まれます。
料金の目安と提供形態(クラウド/オンプレミス)
プロジェクトERPの料金は、提供形態と利用規模によって幅があります。大きくは、インターネット経由で利用するクラウド型と、自社のサーバーに構築するオンプレミス型に分かれます。
クラウド型は、利用ユーザー数や使う機能に応じた月額(または年額)課金が中心で、初期費用を抑えて始めやすいのが特徴です。オンプレミス型や大規模な導入では、ライセンスや構築・カスタマイズの費用として初期に数百万円規模がかかることもあります。いずれも自社の業務に合わせた設定・移行の費用が別途必要になるのが一般的です。
多くの製品は料金を個別見積もりとしているため、正確な費用は各社への問い合わせで確認します。各製品の提供形態と料金の目安は、前述の比較表および各サービスの紹介もあわせてご確認ください。
導入前に押さえる注意点・デメリット
プロジェクトERPは採算管理に効果が大きい一方で、導入にあたって押さえておきたい注意点もあります。あらかじめ把握しておくと、導入後の想定外を減らせます。
初期設定と社内教育に工数がかかる
案件の採算を正しく集計するには、原価の集計単位や配賦の基準、工数の入力ルールを自社の業務に合わせて設計する必要があります。導入初期にはこの設定と、現場が工数を入力する運用を定着させるための教育に一定の工数がかかります。小さく始めて段階的に広げると、現場の負担を抑えやすくなります。
既存システムとの連携を確認する
すでに使っている会計システムや勤怠・給与システムと連携させたい場合は、連携の方式(API連携やデータの取り込み)と対象範囲の事前確認が欠かせません。連携が難しいと二重入力が残り、導入効果が薄れます。どのデータを、どの頻度で、どちら向きにやり取りするかを整理してから製品を比べると、連携でつまずきにくくなります。
入力が続く運用ルールを決める
採算の精度は、工数や原価のデータが現場で正しく入力され続けるかに依存します。入力が滞ると採算が実態とずれ、せっかくの機能が活きません。誰が・いつ・どの単位で入力するかのルールを決め、入力の手間が小さい製品を選ぶことが、運用を続けるうえで重要です。保守・バージョンアップにかかる費用や体制も、長く使う前提で確認しておきます。
プロジェクト管理ERPおすすめ9選の特徴と向き不向き
ここからは、プロジェクト管理・採算管理に強いERPおすすめ9製品について、対応範囲や特徴、どんな企業に向くかを紹介します。紹介の順番は優劣の順位ではありません。自社に合う製品は比較表と診断ツールで確認してください。
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuiteは、会計・販売・在庫・CRMを単一のクラウド基盤に統合した統合型ERPです。公式サイトによると200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応します(2026年10月時点の公式情報)。
案件単位の採算管理は、アドオンモジュール「SuiteProjects」が担います。タイム・アンド・マテリアルや固定価格など複数のプロジェクト形態に対応し、予算・見積・実績コスト・請求マイルストーンを監視して、収益とコストの予算からマージンを予測できます。タイムシートに記録した作業時間はプロジェクトやタスクへ割り当てられ、総勘定元帳へ転記されて会計処理に反映されます。
公式サイトでは、オンプレミスからの刷新や事業成長に伴う業務標準化、M&A後のグループ統合を導入のきっかけとして挙げており、中堅〜大企業や海外拠点を持つ企業、IPO準備企業を主な対象としています。プロジェクト管理は標準機能ではなくアドオンモジュールでの提供で、料金は利用規模に応じた個別見積もりのため、案件採算の対応範囲と費用は問い合わせでの確認が必要です。
2. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

オープンソースERP「Odoo」の導入から運用定着までを、株式会社マルウェブが支援するサービスです。Odooはベルギーのオドゥー社が開発し、販売・在庫・会計・CRM・プロジェクトなどの機能をアプリ単位で選んで追加できます。
案件採算に関わる工数の管理は、Odooのプロジェクトアプリやタイムシート機能が担います。Odoo公式によると、計画工数と実績工数を比較でき、請求可能な時間をメンバー・案件・タスク別に把握できます。マルウェブが対応アプリとして挙げるのは販売・在庫・会計・CRM・プロジェクト・Webサイトで、タイムシートを含む支援範囲は資料請求や相談で確認する形になります。
Odoo本体のライセンスはアプリ数ではなく利用人数で決まり、公式料金ではスタンダードが1ユーザー月22ドル、カスタムが33ドルです(初回ユーザーへの12か月割引を適用した後の価格、2026年10月時点)。マルウェブの導入支援費用は要件に応じた個別見積もりです。
要件定義から研修・運用後の保守までを一貫して支援する体制で、複数の業務システムをOdooに統合したい中小企業や、日本の商習慣に合わせた調整を求める企業に向きます。
どの業務範囲から導入を始め、どこまでを一つのシステムに統合するかの考え方について、マルウェブの若林氏は次のように述べています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。たとえば「まずは販売と在庫と会計だけでスタートしましょう」という形で始めて、使い方に慣れてきたら会計やCRMを段階的に追加していく、といった進め方をご提案することもあります。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

IT・広告・コンサルティングなど案件単位で業務が進む業種に向けて、株式会社オロが提供する統合型クラウドERPです。プロジェクト別の収支管理を軸に、販売・購買・勤怠や工数・経費・管理会計を一つの基盤にまとめます。
案件ごとに外注費・仕入・労務費を紐付けて集計し、個別原価計算を自動化します。担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数は案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。共通費や販売費・一般管理費も、配賦基準に基づいて自動で割り振られます。
プロジェクト単位で予定・実績の労務費や作業時間、進捗率を同じ画面で確認できます。導入実績は公式サイトで1,100社を超え、業種別では広告・PR・制作業が最も多く、次いでIT・システム業、士業・コンサルティング業と続きます(公式発表、2024年時点の内訳)。初期費用は10万円、保守は月6万円からで、モジュール別ライセンスの単価は問い合わせで確認します。
4. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

日々の工数登録を起点に、人件費・外注費・経費を案件原価へ集約するクラウド型ERPです。株式会社ビーブレイクシステムズが提供し、システム開発・SES・コンサルティング向けの「V ver.」と、広告業界向けの「A ver.」の2系統があります。
工数はマスタに設定した基準時間の単価と作業時間を掛けて労務費に換算し、プロジェクト原価へ反映します。勤怠と工数の入力が連動するため、二重入力を避けられます。月別に原価の予算と実績をグラフで比較でき、着地予測から締め後の赤字を防ぐ使い方も想定されています。
原価の集計単位は標準のプロジェクトのほか、製品やジョブにも変更できます。配賦基準には工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった情報も設定できます。人件費が主な原価となるIT・コンサル・人材派遣などに向く一方、在庫・生産管理が中心の製造・小売は想定の対象外とされています。料金は提供形態により異なり、問い合わせでの確認が必要です。
公式の導入事例では、営業事務の作業量を3分の1に減らし、経理の月次締めを5日から4日へ短縮した企業も紹介されています。
5. Reforma PSA(株式会社オロ)

株式会社オロが、クラウドERP「ZAC」の機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けに絞り込んでパッケージ化した製品です。販売・購買・勤怠や工数・経費を一元化し、プロジェクト別の予実と損益を可視化します。
実行予算(利益計画)を入力すると案件別の原価を自動で計算し、仕掛かり中でも案件損益を把握できます。工数登録を前提に労務費を案件へ配賦し、共通費の配賦にも対応します。プロジェクト別に予定工数と実績を対比して、労務費の上振れを早めに捉えられます。
初期費用は0円、月額は3万円(税抜)からで、販売管理や勤怠管理などの機能を利用人数分だけ選んで契約します。導入期間は1〜2か月が目安です。従業員50名程度までを目安に、これから人数が増える企業や部門単位での導入に向き、より機能の幅が広いZACとは規模や必要な機能で使い分けます。
公式の導入事例では、以前のシステムよりコストを10分の1以下に抑えつつ、経営数値のレポートを月次から日次へ早めた企業も紹介されています。
6. GRANDIT(インフォコム株式会社)

国内のパートナー企業が連携して開発・提供する国産の統合型ERPで、インフォコム株式会社が製品の開発・保守を担います。販売・調達在庫・製造、経理・資産・経費、債権債務、人事・給与などのモジュールを備え、新版は「コンポーザブルERP GRANDIT V4」です。導入実績は公式サイトで1,500社以上とされています。
案件・プロジェクト単位の採算管理は、本体の標準機能ではなく、業種別ソリューションやパートナー提供のアドオン・テンプレートの適用が前提です。設備工事業向けソリューションでは、工事別の実行予算管理や、総予定原価に対する実績原価の進捗率で売上を計上する工事進行基準に対応します。インフォコム提供の「プロジェクト原価管理テンプレート」は、案件別の収支と個別原価の進捗を可視化します。
導入・カスタマイズ・保守は国内70社以上のプライムパートナー経由で行う体制で、料金は公式サイトに記載がなく問い合わせでの確認となります。公式の導入例では、年商180億円・従業員250名規模の設備工事会社が、プロジェクト採算の可視化と工事進行基準の自動計算で月次決算の負荷を軽減したと紹介されています。業種に合わせた作り込みを求める中堅〜大企業に向きます。
7. プロカン(株式会社PROCAN)

案件ごとに予算・実績・工数・原価・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化するクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。株式会社PROCANが提供し、「プロカンIT」「プロカン制作」「プロカン建設工事」と業種別に3つの系統を用意しています。
案件単位で予算計画から実績までを一元管理し、工数に労務単価を掛けて人件費を原価に換算して、外注費や間接費と合わせた案件ごとの粗利を見える化します。予算実績対比表では昨年との比較も確認できます。Googleカレンダーと連携して工数入力を補助し、見積から請求・稟議承認までを一つの入力データで処理できます。
初期費用は15万円から、月額は3万円から(2026年10月時点)で、利用人数に応じて変わります。会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が業種別ページで案内されています。IT・制作・建設など受託型ビジネスの中小企業を主な対象としており、公式の導入事例では経理負担が半分になった企業や、見積・請求のリソースを3割減らした企業が紹介されています。
8. RobotERP ツバイソ(ツバイソ株式会社)

会計や販売を担うERPを中核に、案件管理のPSAなど5つのクラウドサービスで構成する、中堅・成長企業向けのプラットフォームです。ツバイソ株式会社が提供し、正式名称は「RobotERP ツバイソ」です。各サービスはREST APIで連携し、単独から始めて段階的に広げられます。
案件採算は「PSA」モジュールが担い、顧客・案件に紐付けて、見積から受注・納品・請求までの売上プロセスと、発注・検収・原価までの調達プロセスを一元管理します。案件別の予算管理と実績・予測利益の測定に対応し、部門別・プロジェクト別・サービスライン別の損益を多面的に把握できます。対象業種にはソフトウェア開発やコンサルティング、広告代理、建築などが挙げられています。
料金は公式サイトで公開されておらず、資料請求や問い合わせでの個別見積もりとなります。無料トライアルは用意されています。会計・販売・購買・人事給与のERP本体を起点に、必要な範囲を足しながら拡張したい中堅・成長企業に向く構成で、一括導入を前提としない点が特徴です。
9. ジョブマネ(株式会社サウスエージェンシー)

個人事業主から従業員30名程度までの中小企業や部門での利用を想定した、グループウェアと基幹業務を1つにまとめたクラウドツールです。株式会社サウスエージェンシーが提供し、1ユーザーから始められます。
案件ごとに仕入・外注費・作業工数・売上・経費を紐付けて採算を可視化し、入力した作業時間をもとに原価を計算して円グラフで確認できます。見積書を作ると納品書・受領書・請求書まで続けて作成でき、過去の見積をテンプレートとして再利用できます。会計機能は持たず会計ソフトとの連携を前提とする構成で、在庫管理機能はありません。
初期費用は無料で、グループウェアプランは1〜100人で月額1,000円(税別)、案件・工数・原価などの業務管理を加えるビジネスプランは1人あたり月額3,000円(税別)です。30日間の無料トライアルがあります。制作業・コンサルティング・設計事務所・士業など、案件単位で進む小規模な受託業務の採算管理に向きます。
まとめ
案件単位で収支・工数を管理したい事業では、全社の財務を整える一般的なERPだけでは採算が見えにくく、プロジェクト(案件)単位で売上・原価・工数を集計できるERPが力を発揮します。製品を選ぶ際は、収支可視化と予実管理の粒度、工数と原価配賦をどこまで自動で扱えるか、会計・販売・購買をどこまで一体化したいか、そして自社と近い利用者の評判を手がかりにするとよいでしょう。
業種によって原価の内訳や求める機能は異なります。本記事の比較表と診断ツール、各製品の紹介を参考に、自社の業種・規模と課題に合う製品を見つけてください。気になる製品があれば、資料を取り寄せて機能と費用を具体的に確認することをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. プロジェクト会計とは何ですか?
A. プロジェクト会計とは、案件(プロジェクト)単位で売上・原価・工数を集計し、その案件が黒字か赤字かを管理する会計の考え方です。
勘定科目や部門を軸に全社の損益を見る一般的な財務会計と異なり、1つの案件に紐づく外注費・材料費・人件費などを集めて採算を把握します。社内の作業時間を工数として記録し、人件費に換算して案件原価へ加える点が特徴で、受注生産やプロジェクト型の事業で用いられる個別原価計算の考え方に基づきます。
Q. プロジェクト管理に強いERPは、一般的なERPや会計ソフトと何が違いますか?
A. 一般的なERPや会計ソフトが全社の財務を勘定科目・部門で集計するのに対し、プロジェクト管理に強いERPは案件(プロジェクト)単位で売上・原価・工数を集計し、案件ごとの採算をリアルタイムに把握できる点が違います。
全社の財務会計や在庫・生産管理を主目的とする汎用的なERPは、案件単位の収支や工数を管理する機能を標準では備えていないことがあります。案件を軸に損益を見たい受託・プロジェクト型の事業では、案件採算に対応したERPが適しています。
Q. プロジェクト管理ERPは専業の収支管理ツールとどちらを選べばよいですか?
A. プロジェクト管理ERPと専業の収支管理ツールは、会計・販売・購買まで1つの基盤にまとめたいならERP、採算管理だけを手早く始めたいなら専業ツールが向きます。
専業ツールは導入しやすく特定の業務に強い一方、会計・販売・購買は自社の別システムと連携させて使う前提のものが多くみられます。ERPは案件採算の管理に加えて基幹業務を統合でき、見積から請求・会計仕訳までを案件情報と一体で扱えるため二重入力を減らせます。どこまでを1つのシステムにまとめたいかが選定の判断軸になります。
Q. プロジェクトERPはクラウド型とオンプレミス型のどちらを選べばよいですか?
A. プロジェクトERPのクラウド型とオンプレミス型は、初期費用を抑えて早く始めたいならクラウド型、自社の業務に合わせた作り込みを重視するならオンプレミス型が向きます。
クラウド型はインターネット経由で利用し、ユーザー数や使う機能に応じた月額(年額)課金が中心で、初期費用を抑えて始めやすいのが特徴です。オンプレミス型は自社のサーバーに構築し、カスタマイズの自由度が高い一方、ライセンスや構築の費用が初期にかかります。既存システムとの連携やカスタマイズの要件、運用体制を踏まえて判断するとよいでしょう。
Q. プロジェクトERPの料金の目安はどのくらいですか?
A. プロジェクトERPの料金は提供形態と利用規模で幅がありますが、クラウド型は月額数万円程度から、オンプレミス型や大規模な導入ではライセンス・構築費として初期に数百万円規模がかかることもあります。
クラウド型は利用ユーザー数や使う機能に応じた月額(年額)課金が中心で、小規模なら月額数万円から始められる製品もあります。いずれも自社の業務に合わせた設定・移行の費用が別途必要になるのが一般的です。多くの製品は料金を個別見積もりとしているため、正確な費用は各社への資料請求や問い合わせで確認してください。
Q. プロジェクトERPは中小企業や個人事業主でも導入できますか?
A. プロジェクトERPは、1ユーザーや数十名規模から始められる中小企業・個人事業主向けの製品もあり、自社の規模に合わせて選べます。
個人事業主や従業員30名程度までを想定した製品や、従業員50名程度までを目安に部門単位で導入できる製品があり、これから人数が増える企業にも対応します。一方で、中堅〜大企業や海外拠点を持つ企業向けに、会計・販売・購買まで広くカバーする製品もあります。自社の規模と必要な機能の幅に合わせて候補を絞り込むとよいでしょう。
Q. プロジェクトERPは既存の会計ソフトと連携できますか?
A. プロジェクトERPは、弥生会計・freee・マネーフォワードなどの会計ソフトと連携できる製品があり、会計機能を持たず連携を前提とする製品もあります。
すでに定着している会計システムを変えたくない場合は、採算管理を担う製品がその会計ソフトと連携できれば足ります。連携の方式(API連携やデータの取り込み)と対象範囲、どのデータをどの頻度でやり取りするかを事前に確認しておくと、導入後に二重入力が残るのを防げます。
Q. プロジェクトERPは建設業の工事進行基準にも対応できますか?
A. 建設・工事業向けの製品や業種別ソリューションには、工事ごとの実行予算管理と、進捗度に応じた収益計上に対応できるものがあります。
かつての工事進行基準の考え方は、現在は収益認識基準(企業会計基準第29号。2021年4月1日以後開始する事業年度から原則適用)に取り込まれており、工事の進捗度に応じた収益認識が求められます。工事台帳や実行予算管理、進捗に応じた収益計上に対応しているかは、業種別ソリューションの有無とあわせて各製品に確認してください。
Q. プロジェクトERPの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. プロジェクトERPの導入期間は、クラウド型で標準的な設定なら1〜数か月、オンプレミス型や大規模・カスタマイズを伴う導入では半年以上かかることもあります。
小規模向けの製品では1〜2か月を目安とするものもあります。期間は、原価の集計単位や配賦の基準、工数の入力ルールをどこまで自社の業務に合わせて設計するか、既存システムと連携するかによって変わります。小さく始めて段階的に広げると、現場の負担を抑えつつ定着させやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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