毎月の給与計算が特定の担当者に集中し、その人が休むと処理が止まってしまう企業は少なくありません。社会保険料率の改定や税制改正への対応にも追われ、本来の業務に時間を割きにくくなります。こうした負担を減らすために、給与計算を社労士(社会保険労務士)や代行会社にアウトソーシングする企業が増えています。
一方で、いざ委託を検討すると「問い合わせてから、実際に毎月の給与計算が回り始めるまで何をするのか」「毎月のやりとりはどう進むのか」「社労士にはどこまで任せられるのか」が具体的に見えず、踏み出せないという声も少なくありません。
給与計算のアウトソーシングは、問い合わせから本稼働までの導入の流れと、本稼働後の毎月のやりとり(勤怠→計算→承認→振込)という2つの流れで進みます。本記事では、これらを各工程の役割と目安期間まで含めて時系列で解説し、あわせて社労士に任せられる業務の範囲と、委託後も自社に残る作業も整理します。給与計算の委託を検討する担当者が、導入の段取りをつかむ材料としてご活用ください。
目次
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給与計算アウトソーシング導入までの流れ(問い合わせ〜本稼働)
ここからは、委託先への問い合わせから毎月の給与計算が回り始めるまでの流れを解説します。社労士事務所や給与計算代行会社ごとに呼び方や区切りは多少異なりますが、複数社の公式な案内に共通する工程をたどると、おおむね次の7段階に整理できます。
- 問い合わせ・相談:従業員数や給与体系、いま抱えている課題を伝え、対応できる業務範囲を確認します。
- ヒアリング・見積もり:委託先が業務量や複雑さを確認し、対応範囲と料金を提案します。
- 契約:業務範囲・料金・個人情報の取り扱いを取り決め、委託契約と秘密保持契約を結びます。
- 必要書類・情報の提出:就業規則・賃金規程や従業員情報、過去の給与データを委託先に共有します。
- 計算ルールの設定:手当・控除・勤怠の締め日など、自社の給与計算ルールを委託先のしくみに反映します。
- テスト計算(パラレルラン):本稼働前に、委託先の計算結果と自社の計算を突き合わせ、ずれがないかを確認します。
- 本稼働:テストで問題がなければ、毎月の給与計算を委託先が担う運用に切り替わります。
各工程で自社と委託先のどちらが何を担うか、目安の期間とあわせて整理すると次のとおりです。期間は従業員数や給与体系の複雑さによって前後するため、幅のある目安として捉えてください。
| 工程 | 問い合わせ・相談 | ヒアリング・見積もり | 契約 | 必要書類・情報の提出 | 計算ルールの設定 | テスト計算 | 本稼働 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自社がやること | 課題・現状の共有 | 業務量の情報提供・内容確認 | 契約内容の確認・締結 | 規程・従業員情報・過去データの共有 | 自社ルールの説明・確認 | 自社計算との突き合わせ | 毎月の勤怠提出・承認 |
| 委託先がやること | 対応範囲の説明 | 業務設計・料金提案 | 契約・秘密保持契約の締結 | 受領・内容確認 | 給与体系・控除・勤怠ルールの設定 | 試算・差異の調整 | 毎月の計算・明細作成 |
| 目安の期間 | 即日〜数日 | 数日〜1週間 | 数日 | 1〜2週間 | 1〜3週間 | 1〜2か月(給与1〜2回分) | — |
特定の事務所の自己流ではなく、複数の委託先に共通する標準的な進め方です。テスト計算に給与1〜2回分の期間を取るのは、実際の支給データで委託先と自社の計算が一致するかを確かめ、本稼働後の差異を防ぐためです。
導入前に自社で用意しておく必要書類
委託先が給与計算のルールを設定するために、自社から次のような書類・情報を共有します。多くは日々の労務管理で使っている既存の資料で、委託のために新たなマニュアルを作成する必要はありません。
- 就業規則・賃金規程(手当や控除、締め日・支払日のルール)
- 賃金台帳や過去数か月分の給与データ
- 従業員の基本情報(氏名・入社日・扶養状況・社会保険の加入状況など)
- 勤怠データと、残業・深夜・休日などの割増ルール
- 通勤手当や各種控除の運用ルール
このうち賃金台帳は、労働基準法で作成と保存が義務づけられた法定帳簿です。使用者は賃金台帳を事業場ごとに調製し、賃金支払いの都度記入したうえで、一定期間保存する必要があります。委託後もこの義務の主体は自社にある点は、あとの「委託したあとも自社に残る作業」で改めて整理します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:労働基準法 第108条(賃金台帳)・第109条(記録の保存)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)
相談から本稼働までにかかる期間と、着手時期の逆算
相談から本稼働までの期間は、複数社の案内を見比べると、おおむね1〜2か月から長い場合で3〜6か月程度と幅があります。従業員数が多い、給与体系や手当が複雑、既存のデータ整備が進んでいないといった事情があるほど、長めに見ておくのが安全です。
期間の多くを占めるのが、テスト計算(パラレルラン)です。本稼働前に給与1〜2回分の試算を重ね、委託先の計算結果と自社の計算が一致するかを確かめます。この期間を省くと、本稼働後に支給額のずれが発覚して対応に追われるため、余裕を持って設けるのが一般的です。
着手時期は、切り替えたい給与支払月から逆算して決めます。たとえば4月支給分から委託したい場合、テスト期間と初期設定を見込むと、遅くとも1〜2か月前には相談を始めておくと安心です。年度替わりや賞与月など、業務が集中する時期を避けて本稼働を迎える計画も有効です。
本稼働後、毎月のやりとりの流れ(勤怠→計算→承認→振込)
ここからは、本稼働後に毎月繰り返すやりとりの流れを解説します。勤怠の締めから給与の振込までを、自社と委託先で分担して進めます。短いサイクルを毎月回すため、どの作業を自社が担い、どこを委託先に任せるかをあらかじめ決めておくことが大切です。
- 勤怠データの確定・提出(自社):締め日後に勤怠を確定し、残業や欠勤などの情報とあわせて委託先に渡します。
- 集計・給与計算(委託先):支給額と社会保険料・税などの控除を計算し、賃金台帳や給与明細のもとになるデータを作成します。
- 結果の確認・承認(自社):支給額や控除に誤りがないかを確認し、問題なければ承認します。
- 給与明細の配布・振込データの作成(委託先)/振込の実行(自社):委託先が明細の発行と振込データの作成を行い、自社が振込を実行します。
この流れを日程に落とすと、締め日・支払日との時間の関係が見えてきます。月末締め・翌月25日払いの場合の一例が次の表です。
| 時期(例:月末締め・翌月25日払い) | 月末 | 翌月1〜3営業日 | 翌月4〜7営業日 | 翌月8〜10営業日 | 翌月11〜13営業日 | 翌月14〜15営業日(支払日の数営業日前) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 作業 | 勤怠の締め | 勤怠データの確定・提出 | 集計・給与計算、賃金台帳の作成 | 計算結果の確認・承認 | 給与明細の作成・配布、振込データの作成 | 振込の実行 |
| 担当 | 自社 | 自社 | 委託先 | 自社 | 委託先 | 自社 |
ポイントは、振込期限の数営業日前に計算と確認が終わるよう逆算して、全体の日程を組むことです。勤怠の提出が遅れると後ろの工程が連鎖して遅れるため、締め日から提出までの社内ルールを固めておくと、毎月のやりとりが安定します。
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社労士に任せられる業務の範囲(社会保険・労働保険手続きと年末調整の線引き)
委託を検討する際に迷いやすいのが、「社労士にはどこまで任せられるのか」という線引きです。給与計算に付随する社会保険や税の手続きには、資格を持つ専門家でなければ代行できない業務が含まれるため、何を誰に頼むのかを整理しておく必要があります。まず、給与計算まわりで「任せられること」と「社労士だけでは完結しないこと」を対比すると次のとおりです。
| 業務 | 給与計算・賞与計算そのもの | 社会保険・労働保険の手続き代行(資格取得・喪失届、算定基礎届、労働保険の年度更新など) | 年末調整の税務書類の作成・提出、税額に関わる判断 |
|---|---|---|---|
| 任せられる相手 | 社労士・給与計算代行会社・税理士のいずれも可(資格要件なし) | 社労士(社会保険労務士法人) | 税理士(税理士法人) |
まず、給与計算そのものには資格要件がありません。社会保険労務士法は、社労士の業務として労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行や帳簿書類の作成を定めていますが、給与計算はこれらに列挙されていません。そのため、給与計算代行会社・税理士・社労士のいずれも請け負えます。
社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
出典:社会保険労務士法 第2条第1項|e-Gov法令検索
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(…)を作成すること。
一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(…)を作成すること。
一方で、社会保険・労働保険の手続き代行は、社労士でなければ報酬を得て業として行えない独占業務です。社会保険労務士法は、社労士(社会保険労務士法人)でない者が、報酬を得て前述の業務を行うことを制限しています。入社・退社に伴う社会保険の資格取得・喪失届や、労働保険の年度更新といった手続きまで任せたい場合は、社労士が関わる委託先を選ぶことになります。
反対に、年末調整のうち税務書類の作成・提出や税額に関わる判断は、税理士の独占業務です。税理士法は、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士の業務と定め、税理士(税理士法人)でない者がこれらを行うことを禁じています。社会保険労務士法も、社労士の業務には他の法律で制限された事務は含まれないと定めており、両法から、年末調整の税務部分は社労士の守備範囲外であることが確認できます。
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
出典:税理士法 第52条|e-Gov法令検索
委託先の案内に「年末調整は対応不可」とある場合と「対応可能」とある場合がありますが、これは矛盾ではありません。社労士が単独でできるのは給与計算と社会保険・労働保険の手続きまでで、年末調整の税務部分は税理士の領域です。
税理士が在籍、または連携している事務所であれば、年末調整まで一体で請けられるため「対応可能」と案内されます。委託先を選ぶときは、年末調整まで任せたいかどうかを基準に、税理士が関わる体制かを確認するとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
- 出典:社会保険労務士法 第2条(社会保険労務士の業務)・第27条(業務の制限)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000089)
- 出典:税理士法 第2条(税理士の業務)・第52条(税理士業務の制限)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000237)
社労士と税理士の違い(税務・年末調整の線引き)
給与計算の実務では、社労士と税理士の領域が隣り合います。毎月の社会保険料の控除や社会保険の手続きは社労士の領域、年末調整での所得税の精算や源泉徴収票などの税務書類は税理士の領域です。年末調整まで外部に任せたい場合は、税理士が関わる委託先を選ぶか、社労士と税理士の双方に分けて依頼する形になります。
委託したあとも自社に残る作業
給与計算を委託しても、すべてが自動で片づくわけではありません。毎月のやりとりで自社が担う作業に加え、法律上の責任が事業主に残る部分があります。委託後も自社に残る主な作業は次のとおりです。
- 勤怠データの確定と提出、締め日までの社内の取りまとめ
- 委託先が計算した支給額・控除の確認と承認
- 給与の振込の実行
- 従業員からの給与に関する問い合わせへの一次対応
- 賃金台帳の調製・保存(労働基準法上の義務の主体は事業主。実際の作成を委託先が担っても責任は自社に残る)
- 源泉徴収・年末調整・源泉徴収票の交付といった、法律上の最終責任
特に注意したいのが、源泉徴収や年末調整の法律上の責任です。所得税法は、給与の支払いをする者(事業主)に、給与から所得税を徴収して国に納付する義務を課しています。年末調整による精算や、源泉徴収票の作成・交付も、給与の支払者の義務と定められています。実際の計算や書類作成を委託先が担っても、法律上の義務を負う主体は事業主であり、最終的な責任は自社に残ります。
居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(…)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
出典:所得税法 第183条第1項|e-Gov法令検索
委託は「丸投げして楽になる」ものではなく、定型的な計算・手続きの実務を専門家に任せつつ、確認・承認と最終責任は自社が持つ、という役割分担で成り立ちます。どこまでを委託し、どこを自社に残すかを契約時に明確にしておくと、本稼働後の認識のずれを防げます。

出典・参考資料(1件)
- 出典:所得税法 第183条(源泉徴収義務)・第190条(年末調整)・第226条(源泉徴収票)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)
導入でつまずきやすいポイントと回避策
ここからは、委託に踏み出す前に知っておくと避けられる、つまずきやすいポイントを整理します。導入後に「思っていたのと違う」とならないよう、事前に確認しておきましょう。
- 勤怠ルールが整理されていない:残業や手当の計算ルールが人によって異なると、委託先が正しく計算できません。委託前に社内ルールを明文化しておくと、初期設定がスムーズです。
- 対応範囲を確認していない:社会保険の手続きや年末調整が料金に含まれるか、オプションかは委託先によって異なります。どこまでが基本料金の範囲かを見積もり段階で確認します。
- 追加費用の見落とし:従業員数の増減や賞与計算、年末調整などで追加費用が発生する場合があります。費用が変動する条件を事前に把握しておきます。
- 問い合わせ方法を決めていない:従業員からの給与に関する質問に誰がどう答えるか、委託先への連絡窓口はどこかを決めておかないと、本稼働後に対応が滞ります。
- テスト期間を省いてしまう:早く切り替えたいからとテスト計算を飛ばすと、本稼働後に支給額のずれが見つかりやすくなります。給与1〜2回分の試算期間は確保しておきます。
委託先の種類と費用の目安(どこに・いくらで頼むか)
ここからは、流れを理解したうえで実際に委託先を選ぶための、委託先の種類と費用の考え方を整理します。比較軸ごとの詳しい選び方は、後述の関連記事もあわせてご確認ください。
委託先タイプ(社労士事務所/社労士法人/給与計算代行会社/税理士)の違い
給与計算の委託先は、大きく次のタイプに分けられます。それぞれ得意領域と、任せられる範囲が異なります。
- 社労士事務所・社労士法人:給与計算に加え、社会保険・労働保険の手続きまで一体で任せられます。入退社が多い企業や、労務管理ごと委託したい場合に向きます。
- 給与計算代行会社・経理アウトソーシング会社:給与計算の実務を効率的に代行します。社会保険手続きや税務は、提携する社労士・税理士と連携して対応する場合があります。
- 税理士・税理士法人:税務とあわせて給与計算や年末調整まで任せたい場合に向きます。社会保険の手続き代行は社労士の領域のため、連携体制を確認します。
自社がどこまで任せたいか——給与計算だけなのか、社会保険手続きや年末調整まで含めるのか——によって、適した委託先は変わります。前述の任せられる業務の範囲を踏まえ、必要な範囲を一体で請けられる体制かを確認するとよいでしょう。
委託にかかる費用の目安
費用は、従業員数と委託する業務範囲の広さでおおむね決まります。給与計算だけを頼むのか、社会保険手続きや年末調整まで含めるのかで、料金は大きく変わります。基本料金に従業員1人あたりの単価が加わる体系や、業務範囲に応じた月額制など、委託先によって料金のしくみも異なります。
給与計算に特化した代行であれば比較的抑えられますが、記帳や決算など経理まで含むアウトソーシングでは月額が上がります。目安として、本記事で紹介するような経理まで含むプランは月額3万円前後からで、従業員数や業務量が増えると10万円を超えることもあります(いずれも人数・業務量に応じた個別見積もり)。
自社の人数と任せたい範囲を決めたうえで、複数社から見積もりを取って比べるのが確実です。各サービスの具体的な料金や対応範囲は、次のセクションの比較表でも確認できます。
委託先ごとの費用相場や料金体系の違い、比較軸にそった選び方は、給与計算アウトソーシング全体を扱った次の記事で詳しく解説しています。複数社を費用と対応範囲で具体的に比べて委託先を絞り込みたい方は、あわせてご覧ください。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
給与計算のアウトソーシングに対応するサービス
ここからは、給与計算を含む経理・バックオフィス業務のアウトソーシングに対応するサービスを紹介します。いずれも社会保険・労働保険の手続きは連携する社労士が担う経理アウトソーシング型で、給与計算を経理業務とまとめて任せたい企業に向きます。
社会保険手続きや年末調整まで一体で委託したい場合は、前述のとおり社労士や税理士が関わる体制かを確認してください。対応範囲や料金体系はサービスごとに異なるため、自社が任せたい範囲に合うかを確認する材料としてご覧ください。
| サービス名 | Wheat Accounting | Tenbook(テンブック) | マネーフォワード おまかせ経理 |
|---|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社Wheat | シンアカウンティングサービス株式会社 | 株式会社マネーフォワード |
| 対応する主な業務 | 記帳・請求書発行・経費精算・振込・給与計算・月次決算 (賞与計算・年末調整はオプション) 税務申告は連携税理士 | 記帳・月次処理・決算書作成・税務申告(法人税ほか) (給与計算・賞与計算・年末調整はオプション) | 記帳・請求・支払・給与計算・賞与計算・月次試算表・クラウド導入支援 (税務申告は対象外) |
| 社会保険・年末調整の扱い | 社会保険・労働保険の手続きは連携社労士 年末調整はオプション対応 | 年末調整はオプション対応 社会保険手続きの代行は公式に記載なし | 年末調整・社会保険手続きは公式に記載なし(要確認) 社労士の独占業務は提携先を案内 |
| 導入期間の目安 | 約1か月のテスト運用期間を経て本稼働 | 公式に記載なし(要確認) | 相談から運用開始まで最短2か月 |
| 料金の目安 | 月額30,000円〜(企業規模により3プラン。最小プランは初年度価格) 初期費用は要問い合わせ | 月額29,500円〜(免税事業者)/43,500円〜(課税事業者)いずれも税別 初期費用0円 | 月額10万円〜(個別見積もり) 例: 従業員5名で月10万円/25名で月20万円(税抜) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく概要です。料金・対応範囲・提供形態(標準・オプション等)は変動するため、最新の情報は各社の公式資料・お問い合わせでご確認ください。
1. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingは、中小企業・スタートアップ向けに、記帳・経費精算・給与計算・月次決算など経理業務全般を代行する経理アウトソーシングサービスです。税務申告は税理士、社会保険・労務は社労士と連携し、バックオフィス全体をまとめて支える体制をとっています。
導入時には約1か月のテスト運用期間を設け、現状の業務をヒアリングしたうえで運用のしくみを組み立ててから本稼働に入ります。給与計算では、Excelの手作業で1週間かかっていた100名規模の業務を、プロセスの再設計により2〜3日に短縮した事例も公表されています。属人化した経理・給与業務を立て直したい企業に向いています。
本稼働前に設ける約1か月の準備期間について、同社はその狙いを次のように説明しています。導入の流れで解説した初期設定やテスト計算を、委託先がどのように進めるのかがうかがえます。

この1ヶ月は、当社にとっても一番重要なフェーズで、特に下準備の部分にしっかり時間をかけています。具体的には、お客様の業務全体をヒアリングさせていただき、現状の課題を明確にしたうえで、どのようなオペレーションに組み替えていくかを設計していきます。ポイントは、当社が一方的にオペレーションを作って渡すのではなく、運用方法をお客様ご自身にも把握していただく形で進めることです。ここが曖昧なまま本運用に入ると、現場で「なぜこうなっているのか分からない」という状態が起きやすくなります。1ヶ月をかけて課題を解消し、運用イメージをすり合わせたうえで本運用に入ることで、安定した実務運用を担うことができるのです。
2. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbookは、公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービスが提供する、クラウド会計ソフト「10book」を活用した会計・経理アウトソーシングサービスです。記帳代行から決算書作成、法人税の申告までをオンラインで完結でき、決算・税務申告まで対応する会計事務所型の委託先です。
基本の月額料金には記帳・決算・税務相談・税務申告が含まれ、給与計算・賞与計算・年末調整はオプションでの対応となります。税務とあわせて給与計算も任せたい企業や、決算・申告まで一体で委託したい中小企業に向いています。給与計算を頼む場合は、オプションの範囲と料金を見積もり時に確認するとよいでしょう。
3. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理は、クラウド会計ソフトを提供するマネーフォワードによる経理アウトソーシングサービスです。受託する業務には給与計算・賞与計算も含まれ、記帳や支払業務とあわせてバックオフィスをまとめて任せられます。
導入は、無料相談・見積もり・契約・業務設計・運用開始の流れで進み、相談から運用開始まで最短2か月が目安とされています。運用開始後に自社で行うのは、勤怠・経費の登録と承認、必要書類のアップロード、資金移動が中心と案内されており、本記事で解説した「委託後も自社に残る作業」とおおむね重なります。
年末調整や社会保険・労働保険の手続きの取り扱いは公式ページで明示されていないため、必要な場合は対応範囲を直接確認してください。
まとめ
給与計算のアウトソーシングは、問い合わせから本稼働までの導入の流れと、本稼働後の毎月のやりとりという2つの流れで成り立ちます。導入では、必要書類の共有とテスト計算に時間を取り、切り替えたい支払月から逆算して1〜2か月以上前に着手するのが安心です。毎月は、勤怠の提出から計算・確認・振込までを自社と委託先で分担し、振込期限の数営業日前に確認が終わるよう日程を組みます。
任せられる範囲は、給与計算そのものは誰でも代行でき、社会保険・労働保険の手続きは社労士、年末調整の税務部分は税理士というのが基本の線引きです。委託後も、確認・承認と、源泉徴収や年末調整の法律上の最終責任は自社に残ります。どこまでを任せ、どこを自社に残すかを契約時に決めておくことが、委託を成功させる鍵です。自社に合う委託先を探す際は、対応範囲と料金を資料で比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 給与計算のアウトソーシングとは何ですか?
A. 給与計算のアウトソーシングとは、毎月の給与計算や社会保険・税の控除計算、給与明細の作成といった実務を、社労士事務所や給与計算代行会社などの外部の専門家に委託することです。問い合わせから本稼働までの導入と、本稼働後の毎月のやりとりという2つの流れで進みます。担当者への業務集中の解消や、法改正対応の負担軽減を目的に利用されます。
Q. 給与計算のアウトソーシングは導入まで最短でどのくらいかかりますか?
A. 給与計算のアウトソーシングの導入期間は、おおむね1〜2か月、給与体系や規程が複雑な場合は3〜6か月程度が目安です。期間の多くはテスト計算(パラレルラン)に充てます。給与1〜2回分の試算で委託先と自社の計算が一致するかを確かめるため、切り替えたい支払月から逆算して早めに着手すると安心です。
Q. 給与計算のアウトソーシングで、いま使っている給与ソフトや勤怠システムはそのまま使えますか?
A. 給与計算のアウトソーシングで現行のソフトを使い続けられるかは委託先によって異なり、現行ソフトを活かす方法と、委託先のしくみで処理する方法のどちらもあり得ます。主要なクラウドの給与・勤怠サービスであれば継続して使える余地が大きい一方、委託先が指定するソフトに合わせたほうが費用を抑えられる場合もあります。現在の利用環境を伝え、どちらが自社に適するかを見積もり段階で相談するとよいでしょう。
Q. 給与計算だけをアウトソーシングすることはできますか?
A. 給与計算だけを委託することも可能です。多くの委託先が、社会保険手続きや年末調整を含めず、給与計算のみの依頼を受け付けています。ただし、社会保険・労働保険の手続きや年末調整まで任せたい場合は、それらに対応できる委託先かどうかを確認する必要があります。自社がどこまで任せたいかを決めてから委託先を選ぶと、過不足のない契約になります。
Q. 給与計算を社労士にアウトソーシングすると、年末調整も頼めますか?
A. 給与計算を社労士に委託する場合、年末調整のうち税務書類の作成・提出や税額に関わる判断は税理士の独占業務にあたり、社労士だけでは完結しません。給与計算と社会保険・労働保険の手続きは社労士に任せられますが、年末調整の税務部分は税理士の領域です。税理士が在籍・連携する委託先なら年末調整まで一体で請け負えるため、任せたい場合は税理士が関わる体制かを確認してください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:社会保険労務士法 第2条(社会保険労務士の業務)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000089)
- 出典:税理士法 第2条(税理士の業務)・第52条(税理士業務の制限)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000237)
Q. 給与計算をアウトソーシングすると、従業員からの問い合わせ対応は誰がしますか?
A. 給与計算をアウトソーシングした場合、従業員からの給与に関する問い合わせは、基本的に自社が一次対応を担います。計算根拠の確認など専門的な内容は、委託先に確認したうえで回答する形が一般的です。従業員数が多く問い合わせが多い企業では、従業員向けのヘルプデスクをオプションで提供する委託先を選ぶと、対応の負担を軽減できます。
Q. 給与計算のアウトソーシング契約で、契約書に必ず盛り込むべき項目は何ですか?
A. 給与計算のアウトソーシング契約では、業務範囲、情報の受け渡しスケジュール、セキュリティと守秘義務、契約終了時のデータ返却の4点を必ず明確にしておきます。特に「どこまでを委託し、どこを自社に残すか」という業務範囲と、従業員数の増減や賞与計算・年末調整などで追加費用が発生する条件をあいまいにしないことが、本稼働後の認識のずれを防ぎます。
Q. 給与計算をアウトソーシングしても、最終的な責任は自社に残りますか?
A. 残ります。源泉徴収や年末調整、源泉徴収票の作成・交付は、所得税法上、給与の支払者である事業主の義務と定められているためです。実際の計算や書類作成を委託先が担っても、法律上の義務を負う主体は事業主です。毎月の計算結果の確認・承認や、源泉徴収・年末調整の最終的な責任は自社に残ると理解し、どこまでを委託しどこを自社に残すかを契約時に整理しておきましょう。
出典・参考資料(1件)
- 出典:所得税法 第183条(源泉徴収義務)・第190条(年末調整)・第226条(源泉徴収票)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)
Q. 給与計算のアウトソーシングで、役員報酬の変更や手当の追加などはどう反映しますか?
A. 給与計算のアウトソーシングでは、役員報酬の変更や手当の追加といった変更を、委託先への連絡方法と締め切りをあらかじめ決め、記録が残る形で伝えるのが基本です。専用フォームやチャット、共有シートなど、変更内容を後から追えるしくみを固定しておくと、伝え漏れによる計算ミスを防げます。毎月の勤怠データの提出とあわせて、変更通知のルールを社内で共有しておきましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















