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給与計算の内製化とは?メリット・デメリットと向いている企業、進め方を解説

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給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)のプレビュー

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給与計算アウトソーシング比較表(2026年版)

給与計算をこれまで外部に委託してきた企業や、担当者が手作業で続けてきた企業のなかには、業務を自社で完結させる「内製化」に関心を持つところもあります。外注費の負担や、社内にノウハウが残らないことへの不安が背景にありますが、内製化には勤怠集計から社会保険料・税の控除、年末調整、毎年の法改正対応まで、幅広い実務が伴います。

本記事では、給与計算の内製化とは具体的に何をすることなのか、内製で発生する作業の全体像を整理し、内製化のメリット・デメリット、自社が内製と外注のどちらに向くかを判断するポイントを解説します。

さらに、内製と外注にかかる費用の違いを従業員規模の例で比較し、内製を選ぶ場合に負担を抑えるクラウド給与計算ソフトの活用、外注を選ぶ場合の給与計算代行サービスまで、自社の判断材料として使える形で紹介します。

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給与計算の内製化とは?外注・社労士依頼との違い

給与計算の内製化とは、従業員の給与計算から給与明細の発行、社会保険料や税の控除、年末調整までの一連の業務を、自社の担当者が社内で行うことを指します。これまで給与計算代行会社や顧問の社会保険労務士(社労士)に委託していた業務を自社に戻すことも、手作業や表計算ソフトでの運用を見直して社内で効率的に回せる体制をつくることも、どちらも内製化に含まれます。

内製化と対になるのが、業務を外部に任せる「外注(アウトソーシング)」です。委託先には、給与計算を含む経理業務を幅広く請け負う代行会社と、労働・社会保険の手続きを専門とする社労士があり、それぞれ任せられる範囲が異なります。

  • 内製:自社の担当者が給与計算を行う。社内にノウハウが残り、変更や修正に素早く対応できる一方、担当者の育成や法改正への対応を自社で負う。
  • 外注(代行会社):給与計算の実務をまとめて委託する。経理全般とあわせて任せられることが多く、繁忙期の負荷や属人化を避けられる。
  • 社労士への依頼:給与計算に加え、社会保険・労働保険の各種届出まで任せられる。届出書類の作成・提出代行は社労士の独占業務にあたる。

給与計算そのものは、社労士でなければできない業務ではありません。自社で行うことも、社労士以外の代行会社に任せることもできます。社労士に任せる必要があるのは、算定基礎届や月額変更届といった労働・社会保険の届出書類の作成・提出代行の部分です。この線引きは記事後半のよくある質問でも改めて整理します。

給与計算を内製化すると発生する作業の全体像

内製化を検討するうえで最初に押さえておきたいのが、「社内で実際に何をやることになるのか」です。給与計算は、毎月の勤怠集計から税や社会保険料の控除、年に一度の年末調整まで、複数の実務が積み重なり、しかも毎年の制度改定への対応が欠かせません。ここで挙げる作業量こそが、内製が自社で回るかを判断する材料になります。内製で発生する主な作業を順に整理します。

給与計算を内製化すると発生する作業を示した図解。毎月の作業は勤怠の集計、支給額・控除額の計算、社会保険料と所得税・住民税の控除、給与明細の発行という流れ。これに加えて年に一度の年末調整・法定調書の作成と、通年での法改正・料率改定への対応が発生する。

勤怠の集計と支給額・控除額の計算

毎月の給与計算は、勤怠データの集計から始まります。出勤日数・労働時間・残業時間・欠勤などを締め日ごとに集計し、基本給に時間外手当や各種手当を加えて総支給額を算出します。ここから社会保険料や税などを差し引いて、実際に振り込む差引支給額を求めます。雇用形態が複数ある場合や手当の種類が多い場合は、この集計と計算が複雑になります。

社会保険料・所得税・住民税の控除

総支給額からは、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料といった社会保険料と、所得税・住民税を差し引きます。これらは制度ごとに計算の仕組みや料率が定められており、内製で最も正確さが求められる部分です。

厚生年金保険料は、標準報酬月額(保険料計算の基礎となる報酬区分)に保険料率を掛けて計算し、会社と従業員が半分ずつ負担します。保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されています。

健康保険料率は加入する健康保険によって異なり、協会けんぽの場合は都道府県ごとに料率が決まっています。介護保険料は、40歳から64歳までの従業員(介護保険第2号被保険者)が対象で、協会けんぽの介護保険料率は2026年度(令和8年度)で全国一律1.62%です。

出典・参考資料(2件)

雇用保険料は、従業員と会社の双方が負担しますが、折半ではありません。厚生労働省の案内では、2026年度(令和8年度)の一般の事業の料率は、従業員負担が1,000分の5、会社負担が1,000分の8.5とされています。会社負担が大きいのは、失業等給付などに加えて会社だけが負担する「雇用保険二事業」分があるためです。

これらの料率は年度ごとに改定されることがあるため、計算のたびに最新の料率を確認する必要があります。

出典・参考資料(1件)

所得税は、給与の支払者が支払いのたびに差し引いて国に納めます。国税庁は、この仕組みを次のように説明しています。

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税および復興特別所得税(中略)を差し引くことになっています。そして、差し引いた所得税および復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

出典:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

差し引く所得税額は、国税庁が毎年公表する「源泉徴収税額表」をもとに、従業員ごとの扶養親族等の数などに応じて求めます。給与計算ソフトを使う場合も、こうした税額表の内容が最新の年分に対応しているかを確認することになります。

住民税は、所得税とは別の制度で、市区町村が所管します。会社員の場合は「特別徴収」として会社が給与から天引きし、従業員に代わって市区町村へ納めるのが原則です。総務省は特別徴収を次のように説明しています。

特別徴収とは、納税義務者以外の者(給与の支払をする会社など)が、納税義務者から税金を徴収して、納税義務者の代わりに納める方法をいいます。例えば、会社員については、原則として、特別徴収税額通知が会社と会社経由で会社員に送付され、会社がその会社員の個人住民税を給与から天引きして市町村に納めることになります。

出典:個人住民税|総務省

住民税額は前年の所得をもとに市区町村が計算し、毎年6月から翌年5月まで、市区町村から届く税額通知に従って毎月天引きします。所得税のように自社で税額表から計算するのではなく、通知された金額を正しく控除する点が特徴です。

給与明細の発行

給与計算が終わったら、従業員に給与明細(支払明細書)を交付します。これは任意の作業ではなく、所得税法第231条で交付が義務づけられています。給与の支払者は、支給額などを記載した支払明細書を支払いを受ける人に交付しなければなりません。従業員の承諾を得れば、電子的な方法での交付も認められています。

出典・参考資料(1件)

年末調整と法定調書の作成

毎月の源泉徴収で差し引いた所得税の合計は、その従業員が1年間に納めるべき税額と必ずしも一致しません。この差を精算する手続きが年末調整で、国税庁は「会社など給与の支払者」が行う手続きと説明しています。内製する場合は、年末に全従業員分の控除書類を集め、過不足を精算する事務が発生します。

年末調整後は、従業員全員分の「給与所得の源泉徴収票」を作成・交付し、一定範囲は税務署へ提出します。あわせて、各従業員が住む市区町村へ給与支払報告書を提出する必要もあります。これらの法定調書の作成も、内製で担う年に一度のまとまった作業です。

出典・参考資料(2件)

法改正・料率改定への対応

社会保険料率や源泉徴収税額表は、年度ごとに改定されることがあります。たとえば協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率は毎年3月分(4月納付分)から見直され、雇用保険料率も年度ごとに案内されます。所得税の税額表も年分ごとに更新されます。

内製する場合は、こうした改定を自社で把握し、計算に反映し続ける必要があります。給与計算ソフトを使うと、この改定対応を自動で取り込める場合が多く、内製の負担を抑える手段になります。

給与計算を内製化するメリット・デメリット

ここからは、給与計算を内製化することで得られる利点と、注意すべき負担の両面を整理します。どちらも「なぜそうなるか」まで押さえておくと、自社に当てはめて判断しやすくなります。

内製化のメリット

  • 社内にノウハウが蓄積される:給与計算や法改正対応の知識が社内に残り、担当者間で引き継げます。外注では社外に知見がたまり、委託をやめると自社に何も残らない状態になりがちです。
  • 給与情報を社外に出さずに済む:役員報酬や個々の給与、マイナンバーなどの機微な情報を社内で完結でき、外部とのデータ授受に伴う漏えいリスクを抑えられます。
  • 変更や修正に素早く対応できる:手当の追加や支給日の変更、計算ミスの修正などを、外注先とのやり取りを挟まずに社内で判断して対応できます。
  • 自社独自のルールを反映しやすい:独自の手当や就業規則に沿った計算を、委託先の仕様に縛られずに運用できます。

内製化のデメリット・課題

  • 担当者の育成に時間がかかる:社会保険・税・労働法の知識と、ソフトの操作スキルを兼ね備えた担当者が必要で、育成には時間を要します。
  • 属人化しやすく、担当者の不在で業務が止まる:給与という性質上、扱える人が限られがちで、担当者の休職・退職で計算が滞るリスクがあります。給与の支払い遅延は従業員の信頼に直結するため、複数人でのチェック体制が望まれます。
  • 法改正・料率改定への対応を自社で負う:毎年の料率改定や税額表の更新を把握し、計算に反映し続ける負担が生じます。
  • 繁忙期に負荷が集中する:年末調整や法定調書の作成など、特定の時期にまとまった事務が発生し、担当者の負担が増えます。

これらの課題は、実務では具体的な形で表れます。たとえば、給与計算を1人の担当者に任せていた会社で、その担当者が急に退職し、引き継ぎ資料も整っていなかったために月末の給与計算が間に合わず支払いが遅れる、というケースがあります。また、年度の料率改定や税額表の更新を見落として控除額を誤り、後から全従業員分をさかのぼって訂正し、再発防止の仕組みづくりにも追われる、といった負担も起こり得ます。

とくに属人化と法改正対応は、内製を続けるうえで継続的に向き合う課題です。後述するクラウド給与計算ソフトは、計算の自動化や法改正の自動反映によって、これらの負担をある程度軽減できます。

内製と外注はどちらが向く?自社で判断するチェックポイント

内製と外注のどちらを選ぶべきかは、企業の規模や体制によって変わります。まず外注で何を任せられるかを押さえたうえで、自社がどちらに向くかを判断するポイントを整理します。

外注(代行会社・社労士依頼)のメリット・デメリット

給与計算を外注すると、毎月の計算事務と法改正への対応を委託先に任せられ、担当者はほかの業務に時間を使えます。属人化を避けられ、担当者の退職があっても業務が止まりにくい点も利点です。一方で、社外とのやり取りや日程調整が必要になり、社内にノウハウが残りにくく、委託費がかかります。

委託先には、給与計算を含む経理業務を幅広く請け負う代行会社と、社労士があります。社労士に任せる利点は、給与計算に加えて社会保険・労働保険の各種届出まで一括で任せられることです。

算定基礎届や月額変更届、入退社に伴う資格の取得・喪失届などの作成・提出代行は、社会保険労務士法で社労士の独占業務と定められており、社労士(または社労士法人)でなければ報酬を得て業として行えません。給与計算だけでなくこうした手続きまで外に出したい場合は、社労士への依頼が選択肢になります。

出典・参考資料(1件)

内製が向く企業の条件

次のような企業は、内製に向いていると考えられます。

  • 給与計算を担える担当者を確保できる、または育成する余裕がある
  • 独自の手当や勤務形態が多く、自社でルールを柔軟に反映したい
  • 給与情報を社外に出さず、社内で完結させたい
  • 手当の変更や修正に、社内で素早く対応したい

外注が向く企業の条件

一方、次のような企業は外注が向いていると考えられます。

  • 管理部門の人員が限られ、給与計算に人手を割きにくい
  • 担当者が1人に偏っており、属人化や退職によるリスクを避けたい
  • 法改正や社会保険手続きへの対応を専門家に任せたい
  • 経理業務全体をまとめて委託し、コア業務に集中したい
内製と外注のどちらが自社に向くかを判断するための図解。内製が向く企業は、給与計算を担える担当者を確保・育成できる、独自の手当や勤務形態が多い、給与情報を社内で完結したい、手当の変更や修正に社内で素早く対応したい企業。外注が向く企業は、管理部門の人員が限られ人手を割きにくい、担当者が1人に偏り属人化・退職リスクを避けたい、法改正や社会保険手続きを専門家に任せたい、経理業務全体をまとめて委託したい企業。

こうした担当者の退職や属人化といった人材面の不安は、経理業務を代行する事業者に寄せられる相談でも中心を占めています。

劉氏
株式会社ニット 事業責任者
劉氏
独自インタビューより

やはり人材に関わるものが多いです。担当者の退職や属人化によって、本業に集中できていない、他のコア業務に時間を割けていない、というご相談が中心です。これは2015年にサービスを始めた頃から大きくは変わっていません。

規模・担当者の有無・独自ルールの多さ・コストの許容度・対応スピードへの要求を軸に、自社がどちらに近いかを見比べると判断しやすくなります。すべてを一度に決めず、年末調整など一部の業務だけを外注し、毎月の計算は内製するといった組み合わせも選択肢になります。

内製と外注にかかる費用の違い(従業員規模別の目安)

内製と外注では、かかる費用の性質が異なります。内製は担当者の人件費が中心で、ここに給与計算ソフトの利用料や、紙で明細を配る場合の用紙・郵送などの費用が加わります。外注は、委託先に支払う月額の代行料が中心で、人数や業務量に応じて決まります。

内製の費用のうち、給与計算ソフトの利用料は小規模であれば月あたり数千円程度から利用でき、年間契約なら月1,700円程度から使える製品もあります(税抜、2026年10月時点)。見落としやすいのが担当者の人件費で、これは「給与計算に充てる時間×担当者の時間単価」でおおよそ見積もれます。

たとえば担当者の時間単価を3,000円とし、月の給与計算に10時間を充てるなら、人件費は月30,000円程度という試算になります。従業員数や雇用形態が増えて作業時間が延びれば、人件費もその分増えます。内製では、ソフト料よりもこの人件費が大きくなりやすい点に注意が必要です。

外注の代行料は、従業員規模や委託する業務の範囲で変わります。たとえばある経理代行サービスは、従業員1〜10人規模で月額30,000円〜(初年度キャンペーン価格)、10〜30人で40,000円〜、30〜100人で60,000円〜という規模別の料金を公式に示しています(2026年10月時点)。

ただし、これらは給与計算を含む経理代行全般の料金です。給与計算だけを切り出して委託する専業の代行や社労士に任せる場合は、料金体系が異なります。外注は月々の費用が比較的一定になり、担当者の採用・育成コストを抑えられる一方、委託する業務の範囲が広がるほど費用も上がります。

以下は、従業員規模ごとの内製と外注の月額費用の目安です。内製はソフト料に担当者の人件費を加えた概算、外注は経理代行全般の料金例で、自社の実際の作業時間や委託範囲に置き換えて比べる出発点としてご覧ください。

← 横にスクロールできます →
従業員規模の目安1〜10人10〜30人30〜100人
内製(ソフト料+担当者の人件費)ソフト 月数千円+人件費 月30,000円程度〜
(給与計算に月10時間の試算)
ソフト 月数千円+人件費 月50,000円程度〜
(作業時間の増加分)
ソフト 月数千円+担当者ほぼ専任分の人件費
外注(経理代行)月30,000円〜月40,000円〜月60,000円〜

※内製の人件費は「給与計算に充てる時間×担当者の時間単価(例: 3,000円)」で変わる試算値です。外注は経理代行サービスの公式料金例(経理代行全般、2026年10月時点)を規模帯の目安として記載しており、給与計算のみを委託する場合や他社では料金が異なります。

内製のソフト料と担当者の人件費、外注の代行料を同じ土俵で並べ、数年単位でどちらが自社に合うかを見積もると判断しやすくなります。各サービスの料金は、次の比較表と個別紹介でも整理します。

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内製を選ぶなら:クラウド給与計算ソフトを使った進め方

内製を選んだ場合でも、すべてを手作業で行う必要はありません。クラウド給与計算ソフトを使うと、内製の負担となりやすい部分を軽減しながら社内で業務を回せます。

クラウド給与計算ソフトで内製の負担を下げる

クラウド給与計算ソフトの多くは、勤怠データや従業員情報をもとに支給額・控除額・社会保険料・所得税を自動で計算します。これにより、料率や税額表を手作業で適用する負担が減り、計算ミスも起こりにくくなります。さらに、社会保険料率や源泉徴収税額表の改定にソフト側が対応するため、内製の課題である法改正への追従を、自社だけで抱え込まずに済みます。

給与明細のWeb配信や年末調整の電子化に対応するソフトも多く、紙での配布や回収の手間を減らせます。勤怠管理や労務管理の機能と連携できる製品を選べば、勤怠の集計から給与計算までを一つの流れで処理できます。

内製を始める手順

内製に使うソフトは、料金だけでなく、自社の給与体系に必要な機能がそろっているかで選びます。具体的には、独自の手当や複数の雇用形態に対応できるか、勤怠管理や会計ソフトと連携できるか、社会保険料率や税額表の改定に自動対応するか、導入時の設定や操作のサポートがあるかが主な判断軸です。製品ごとの機能・料金の比べ方は、後述の給与計算ソフトの比較記事も参考になります。

導入は、一度にすべてを切り替えるより段階的に進めると安全です。まず数週間かけて自社の給与体系・手当・勤務形態を整理し、必要な機能を満たすソフトを選定します。次に、従業員情報や料率、就業規則に沿った計算ルールをソフトへ登録していきます。

続いて数か月は並行検証の期間を置き、従来の計算結果(外注先や手作業の結果)と突き合わせて差異がないかを確かめます。検証で問題がなくなったら、本番運用への切り替えに進みます。

並行して、担当者が操作と制度の知識を身につけ、複数人でチェックできる体制を整えると、属人化のリスクを抑えられます。

内製・外注それぞれの選択肢となるサービス

ここからは、内製を選ぶ場合に活用できるクラウド給与計算ソフトと、外注を選ぶ場合の給与計算代行・経理アウトソーシングを紹介します。まずは、料金や対応範囲を一覧で比較します。

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サービス名弥生給与 NextWheat AccountingTenbook(テンブック)マネーフォワード おまかせ経理
区分内製向け外注向け外注向け外注向け
提供形態クラウド給与計算ソフト経理アウトソーシング(代行)経理・税務アウトソーシング(代行)経理アウトソーシング(代行)
初期費用0円要問い合わせ0円要問い合わせ
月額費用の目安1,700円〜7,000円
(税抜・年契約時の月あたり)
30,000円〜(スモール、初年度キャンペーン価格)
40,000円〜(スタンダード)
60,000円〜(アドバンス)
29,500円〜(免税事業者)
43,500円〜(課税事業者)
※税別
個別見積もり
(従業員5名で月額10万円の一例)
対応範囲給与・賞与計算、給与明細、年末調整、法定調書を自社で操作
(年末調整・法定調書はベーシックライト以上)
記帳・請求書・支払・給与計算・月次決算など経理全般(賞与計算・年末調整はオプション)記帳・月次・決算書作成・税務申告まで(給与計算・賞与計算・年末調整はオプション)記帳・請求書・支払・入金消込・給与・賞与計算・月次試算表(決算・税務申告は範囲外)
社会保険の手続き△書類作成に対応(ベーシックライト以上)△連携社労士が対応×記載なし×記載なし
対象規模の目安中小企業(20名前後を目安に案内)年商数千万〜100億円(従業員1〜100人)売上5億円以下が目安中小企業(導入事例は1〜50名規模)
無料トライアル・相談最大2か月の無料体験無料相談あり
(約1か月のテスト運用)
無料相談あり無料相談あり
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

内製を選ぶなら:クラウド給与計算ソフト

自社で給与計算を行う場合に、計算や法改正対応の負担を抑えられるクラウド給与計算ソフトです。

1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextの公式サイト

会計ソフトで知られる弥生株式会社が提供するクラウド給与サービスです。給与・賞与の計算、給与明細のWeb配信、年末調整、法定調書の作成に対応し、プランに応じて勤怠管理(弥生勤怠 Next)や労務管理(弥生労務 Next)の機能も組み合わせられます。

勤怠データや従業員情報から社会保険料・所得税を自動計算し、2026年(令和8年)分の源泉徴収税額表の改正にも対応済みです。料金は初期費用0円で、年間契約の場合に月あたり1,700円(税抜、エントリープラン)から利用でき、給与計算・年末調整・勤怠管理まで自社で行うベーシックライトは月あたり3,000円(税抜)です。

最大2か月の無料体験も用意されています(2026年10月時点)。内製に切り替えて計算を自動化したい企業に向いています。

ここでは内製向けのクラウド給与計算ソフトとして弥生給与 Nextを取り上げましたが、勤怠連携の範囲や料金体系の異なる製品がほかにも複数あります。自社の給与体系に合う一台を機能・料金で比べて選びたい場合は、次の記事が参考になります。

外注を選ぶなら:給与計算代行・経理アウトソーシング

給与計算を含む経理業務をまとめて委託したい場合に検討できる代行サービスです。給与計算だけでなく記帳や支払業務まで任せられるものもあります。給与計算だけを切り出して委託したい場合は、給与計算専業の代行や社労士も選択肢になり、より多くの委託先を比べたいときはこの節の末尾で紹介する比較記事が参考になります。

2. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingの公式サイト

株式会社Wheatが提供する経理アウトソーシングで、給与計算を標準の業務として自社で対応します。クラウド会計にもオンプレミス型の会計ソフトにも対応し、記帳から支払処理まで幅広く委託できる点が特徴です。社会保険・労働保険の手続きの代理申請は、連携する社労士が担う体制をとっています。

料金はスモールプランで月額30,000円から(年商数千万〜1億円、従業員1〜10人が目安。初年度キャンペーン価格)で、規模に応じてスタンダード(月額40,000円〜)、アドバンス(月額60,000円〜)が用意されています。属人化を避けつつ経理全体を外部に任せたい企業に適した選択肢です。

給与計算を含めた業務を外部に委託した場合の効果について、同社は次のような事例を挙げています。

佃誠吾氏
株式会社Wheat 代表取締役
佃誠吾氏
独自インタビューより

業務効率化の事例としては、従業員100名規模のお客様で、Excelを用いた手作業で、完了までに1週間を要していた給与計算業務の事例です。システムの最適化と人員配置の再設計を徹底した結果、2〜3日での完了を実現。コスト・工数ともに50%以上の削減に繋がりました。

3. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbookの公式サイト

公認会計士が主導するシンアカウンティングサービス株式会社のクラウド型経理代行サービスです。記帳から決算書の作成、法人税・消費税などの税務申告書の作成までを月額料金に含み、経理と税務をまとめて委託できます。給与計算・賞与計算・年末調整はオプションとして追加する形です。

料金は初期費用0円で、免税事業者は月額29,500円から、課税事業者は月額43,500円から(いずれも税別、2026年10月時点)。売上5億円以下の企業が想定規模の目安です。給与計算にとどまらず経理・税務まで一括で委託したい中小企業に適しています。

4. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理の公式サイト

株式会社マネーフォワードが提供する経理代行サービスで、実務はグループ会社の株式会社キャシュモが担います。記帳代行や月末の支払・給与の支払、請求書発行、入金消込に加え、給与計算・賞与計算まで幅広く委託できます。利用にあたってはマネーフォワード クラウドへの切り替えが前提となります。

料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりで、公式サイトには従業員5名程度の企業で月額10万円という料金例が示されています(標準プランではなく一例。2026年10月時点)。申し込みから運用開始までは最短2か月が目安です。会計ソフトと一体で経理業務全体を委託したい企業の選択肢になります。ただし、決算申告などの税務業務は本サービスの範囲外です。

ここでは給与計算を任せられる代行サービスを3社紹介しましたが、業務範囲や料金体系、従業員規模ごとの選び方まで含めてより多くのサービスを比較検討したい場合は、次の記事で詳しく解説しています。外注を軸に検討する方はあわせてご覧ください。

まとめ

給与計算の内製化とは、勤怠集計から社会保険料・税の控除、給与明細の発行、年末調整・法定調書の作成までを自社で行うことです。社内にノウハウが残り、変更に素早く対応できる一方、担当者の育成や属人化、毎年の法改正への対応といった負担を自社で負うことになります。

内製と外注のどちらが向くかは、規模・担当者の有無・独自ルールの多さ・コストの許容度・対応スピードへの要求で判断できます。内製を選ぶなら、計算や法改正対応を自動化できるクラウド給与計算ソフトが負担を抑える助けになり、外注を選ぶなら、経理全体をまとめて任せられる代行サービスが選択肢になります。自社の状況に合わせて、まずは各サービスの資料で料金や対応範囲を比べてみてください。

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給与計算の内製化に関するよくある質問(FAQ)

Q. 給与計算は社会保険労務士(社労士)でないとできないのですか?

A. 給与計算そのものは社労士の独占業務ではなく、自社で内製しても、社労士以外の代行会社に任せても問題ありません。社会保険労務士法が社労士(または社労士法人)の独占業務と定めているのは、算定基礎届・月額変更届や入退社に伴う資格の取得・喪失届などの作成です。その提出代行・事務代理も独占業務に含まれます(同法第2条・第27条)。

したがって、毎月の給与計算や給与明細の発行、年末調整の計算事務は社内でも代行会社でも行えます。一方で、これに付随して発生する社会保険・労働保険の届出まで報酬を得て代わりに行えるのは社労士に限られるため、給与計算だけでなくこうした手続きまで外に出したい場合は、社労士への依頼が選択肢になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 給与計算の内製化は、従業員が何人くらいから得になりますか?

A. 給与計算の内製化に、従業員数だけで一律に引ける損得の分岐点はありません。内製と外注のどちらが得かは、人数よりも「給与計算を担える担当者を確保・育成できるか」「手当や勤務形態が複雑か」「法改正対応や属人化のリスクをどこまで自社で負えるか」で決まります。

本記事の費用の比較でも触れたとおり、外注費は従業員数だけでなく委託する業務の範囲によって変わり、内製の費用は給与計算ソフトの利用料と担当者の人件費が中心になります。目安として、管理部門に給与計算の担当者を置ける体制があり、独自の手当やルールを柔軟に反映したい企業は内製が向きます。

逆に、担当者が1人に偏って属人化を避けたい企業や、法改正・社会保険手続きへの対応を専門家に任せたい企業は外注が向きます。人数の多寡だけで決めず、自社の体制とコストを数年単位で見積もって判断してください。

Q. クラウド給与計算ソフトを導入すれば、給与計算の内製はソフトだけで完結しますか?

A. クラウド給与計算ソフトを使えば、支給額・控除額や社会保険料・所得税の計算、給与明細の発行、年末調整、法改正への対応といった毎月・毎年の計算事務の多くは社内で完結できます。料率や税額表の改定をソフト側が自動で取り込むため、内製の負担となりやすい法改正への追従も自社だけで抱え込まずに済みます。

ただし、算定基礎届や入退社時の社会保険・労働保険の届出といった手続きは、ソフトで書類を作成できても、報酬を得て代わりに提出・申請まで行えるのは社労士に限られます(前問を参照)。こうした手続きまで外部に任せたい場合は、ソフトによる内製と社労士への依頼を組み合わせる形になります。また、ソフトを導入しても、自社の給与体系に沿った初期設定や、制度知識を持つ担当者によるチェック体制は引き続き必要です。

Q. 外注していた給与計算を内製に切り替える(または内製から外注に戻す)には、どう進めればよいですか?

A. 給与計算の委託先を切り替えるときは、一度にすべてを移さず、数か月かけて並行運用しながら段階的に進めるのが安全です。給与の支払いは遅延や誤りが従業員の信頼に直結するため、新しい体制の計算結果を従来の結果と突き合わせて検証する期間を設けることが重要です。

外注から内製へ移す場合の具体的な手順(ソフトの選び方・設定・並行検証・本番運用)は、記事内の「内製を選ぶなら:クラウド給与計算ソフトを使った進め方」で解説しています。

逆に内製から外注へ移す場合は、就業規則や手当のルール、過去の計算データを委託先に引き継ぎ、最初の数か月はテスト運用で計算結果をすり合わせます。年末調整など一部の業務だけを先に切り替え、ほかは従来どおり続ける段階的な移行も選択肢になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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