「来月の支払いと入金を通帳で追いかけているけれど、このまま現金が尽きないか不安」。社員数人から十数人の会社を回す経営者や、一人で経理を担う方なら、一度はそう感じたことがあるはずです。利益は出ているはずなのに口座の残高が思うように増えず、漠然とした不安だけが残る——その原因の多くは、資金繰りを「なんとなく」で管理していることにあります。
資金繰り管理とは、資金繰り表を使って数か月先の現金残高を見通し、不足しそうな月を前もって見つけて手を打つ作業です。やることさえ分かれば、特別な知識がなくても今日から始められます。
この記事では、「資金繰り表に何を書き、どう計算し、毎月どう更新するか」を、項目と計算まで本文で最後まで説明します。残高が危ないと分かったときに打てる手、そして自力のエクセル更新がつらくなったときの自動化の選択肢まで、順番にたどれる構成です。
目次
資金繰り管理とは
資金繰り管理とは、資金繰り表を作って数か月先の現金残高を予測し、月末に手元の現金がマイナスになりそうな月を先回りで見つけて手を打つことです。日々の入出金をその都度追う作業ではなく、「この先、現金が足りなくなる月はないか」を前もって確かめ、足りなくなる前に動くための仕組みと考えると分かりやすくなります。
資金繰り表は、将来の現金の出入りを予測する社内向けの管理資料です。日本政策金融公庫も、資金繰り表を「経営の見通しを支える道具」と位置づけ、毎月の繰越金がマイナスになる月がないかを確認することを管理のゴールとしています。この「先を見て、不足を前もってつぶす」姿勢が資金繰り管理の核心です。
なぜ利益が出ていても現金が尽きるのか
帳簿上は利益が出ているのに資金が足りなくなる。この一見矛盾した状態が起こるのは、利益と現金が別物だからです。売上は商品やサービスを提供した時点で計上されますが、掛取引では入金が1〜2か月先になります。その間にも仕入代金や人件費、家賃の支払いは先に発生するため、帳簿の利益と手元の現金にズレが生まれます。
このズレが大きくなり、支払いのタイミングで現金が底をつくと、黒字でも事業が止まる「黒字倒産」につながります。売上が伸びている局面でも、入金より先に仕入や経費の支払いが膨らみ、その立替えのための資金(増加運転資金)を用意できないと、増収増益のさなかに資金が不足することがあります。利益の額だけを見ていては防げないため、現金の動きそのものを管理する必要があります。
資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い
資金繰り表と混同されやすいものに、キャッシュフロー計算書があります。両者は見る方向が逆です。資金繰り表が「これから」の現金の出入りを予測する社内向けの管理資料なのに対し、キャッシュフロー計算書は「過去」1年間の資金の流れをまとめた決算書類です。
キャッシュフロー計算書は、資金の増減を「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分けて表します。上場企業など金融商品取引法で有価証券報告書の提出が求められる会社には作成義務がありますが、中小企業に会社法上の作成義務はありません。
資金ショートを防ぐために先を見たいなら、過去を映すキャッシュフロー計算書ではなく、未来を予測する資金繰り表を自分で作るのが近道です。
資金繰り表の作り方
ここからは、資金繰り表を具体的にどう作るかを、項目と計算まで含めて説明します。大事なのは「どの欄に何を書き、どう計算するか」です。自分のエクセルにそのまま写せる形で、一つずつ見ていきましょう。
作成に必要な書類をそろえる
資金繰り表は、手元の実績データをもとに作ります。月次試算表・現金出納帳・預金出納帳(または預金通帳)があるとそろえやすく、手形取引があれば手形帳、借入があれば借入金返済明細書も用意すると返済予定を正確に反映できます。試算表をまだ作れていなくても、預金通帳と請求書・支払予定の一覧があれば始められます。
ここで押さえておきたいのが、試算表と資金繰り表で「お金の数え方」が違う点です。試算表は取引が発生した時点で売上や費用を計上する発生主義で作られ、売掛金・買掛金を含むため実際の入出金のタイミングは見えません。一方、資金繰り表は実際に現金・預金が動いた時点で記録する現金主義で作ります。
試算表の数字をそのまま写すのではなく、入出金の時期の欄へ置き換えるのが勘どころです。たとえば3月に計上した売上でも、入金が5月なら5月の「売掛金回収」へ。2月に仕入れた分の支払いが4月なら4月の「買掛金支払」へ、と実際にお金が動く月に移します。
3区分で表を組む(経常収支・経常外収支・財務収支)
資金繰り表は、お金の出入りの性質で「経常収支」「経常外収支」「財務収支」の3つに分け、さらに月初の「前月繰越金」と月末の「翌月繰越金」を上下に置きます。それぞれの区分に何を入れるかを整理すると、次のようになります。
| 資金繰り表の3区分 | 前月繰越金 (A) | 経常収支(収入) | 経常収支(支出) | 経常外収支 (E) | 財務収支 (F) | 翌月繰越金 (G) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 内訳 | 月初の手元現金 | 本業の入金 | 本業の出金 | 臨時の収入・支出 | 資金調達・返済 | 月末に残る手元現金 |
| 入れる項目の例 | 前月末に残った現金・預金の残高 | 現金売上/売掛金の回収/受取手形の入金・割引 | 現金仕入/買掛金の支払/手形決済/外注加工費/人件費/諸経費 | 設備や固定資産の売却収入/設備投資などに伴う支出 | 借入による収入/短期・長期の借入金返済 | 上記を合算した結果(=翌月の前月繰越金になる) |
本業の毎月の出入りは経常収支に、設備投資や固定資産の売却のような一時的な動きは経常外収支に、借入とその返済は財務収支に振り分けます。本業の収支(経常収支)だけでは資金が回らず、借入(財務収支)で穴埋めしている状態が続いていないか——区分を分けておくと、こうした資金繰りの体質まで一目で読み取れるようになります。
月末残高の計算式
月末に手元に残る現金(翌月繰越金)は、考え方としては「前月繰越+当月の収入−当月の支出」で求められます。前の月から繰り越した現金に、その月の入金を足し、出ていくお金を引く——これを毎月つないでいくと、数か月先の残高まで見通せます。
日本政策金融公庫の資金繰り表では、3区分の集計結果を使って、翌月繰越金を次の式で算出します。
翌月繰越金 (A)+(D)+(E)+(F)=(G)
出典:資金繰り表(記入例)|日本政策金融公庫
(A)は前月繰越金、(B)は経常収支の収入計、(C)は経常収支の支出計で、その差引(B−C)が(D)経常収支の差引過不足です。(E)は経常外収支、(F)は財務収支計を表します。この翌月繰越金(G)が、翌月の前月繰越金(A)としてそのまま引き継がれます。
そして、この翌月繰越金がマイナスになる月がないかを確認することが、資金繰り管理のゴールになります。
数字を入れた記入例で確かめる
言葉だけではイメージしにくいので、2か月分の例で見てみましょう。単位は万円、マイナスは「▲」で表します。
| 記入例(単位:万円) | 前月繰越金 (A) | 経常収支 収入計 (B) | 経常収支 支出計 (C) | 経常収支 差引 (D=B−C) | 経常外収支 (E) | 財務収支 (F) | 翌月繰越金 (G=A+D+E+F) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 100 | 300 | 250 | 50 | 0 | ▲30 | 120 |
| 5月 | 120 | 280 | 320 | ▲40 | 0 | 0 | 80 |
4月は本業の収支が50万円のプラスで、借入返済30万円を差し引き、繰越金は100万円から120万円に増えました。5月は仕入や経費が先行して経常収支が40万円のマイナスになり、繰越金は120万円から80万円へ減っています。
この調子で支出が続けば翌月以降に繰越金が底をつく、と数か月前に気づけるのが資金繰り表の役割です。自社の通帳や試算表の数字を、同じように月ごとの欄へ置いていけば表は完成します。
エクセルで作る手順
ゼロから作るなら、エクセルやスプレッドシートで次の順に組み立てると迷いません。
- 項目を入力する:縦に「前月繰越金・経常収支・経常外収支・財務収支・翌月繰越金」、横に「月」を並べ、各区分の収入・支出の行を作る
- レイアウトを整える:罫線や太字で区分の親子関係を見やすくする
- 計算式を入れる:翌月繰越金のセルを「=前月繰越+収入合計−支出合計」とし、翌月の前月繰越セルには前月の翌月繰越セルを参照させて、毎月の残高が自動で流れるようにする(各区分の合計はSUMでまとめる)
- 金額を入力する:直近の実績を試算表・出納帳から転記し、それ以降は過去実績や受注状況から予測額を月ごとに入れる
最初から作り込みすぎず、まずは主要な項目だけのシンプルな表で始めるのがコツです。確定した実績と、これからの予定(予測)は分けて入力しておくと、後で見返したときにどこまでが事実かが分かり、精度の検証もしやすくなります。
そのまま使える無料テンプレート
一から作るのが大変なら、日本政策金融公庫が無料で配布している資金繰り表のテンプレート(ExcelやWord)を使う方法があります。記入例もあわせて公開されているため、各欄に何を書くかを確かめながら自社の数字を入れられます。小規模事業者・個人事業主向けと中小企業向けで配布ページが分かれているので、自社に近いほうを選んでください。
出典・参考資料(2件)
作った資金繰り表を毎月どう回すか
資金繰り表は、一度作って終わりではありません。毎月更新して初めて「先を見る道具」として機能します。ここからは、どの単位で・何か月先まで・どう見直すかという、運用のリズムを整理します。

月次・週次・日次を使い分ける
資金繰り表は月単位で作るのが基本です。数か月から1年先までの大きな資金の流れを見て、計画を立てるのに向いています。一方、月内で支払いが集中して一時的に資金が不足しそうなときは、日単位で入出金を並べた「日繰り表」が役立ちます。
月次の資金繰り表が中長期の計画用、日繰り表が「今週・今月を乗り切れるか」の短期確認用、と役割で使い分けると迷いません。資金が逼迫している時期は週次や日次で細かく、落ち着いている時期は月次で、と状況に応じて粒度を変えるのが現実的です。
業種によって資金繰りの癖は変わる
どの単位で管理すべきかは、業種による資金繰りの癖にも左右されます。受注生産や掛取引が中心の業種では、材料の仕入や外注費が先に出ていき、売上の入金は納品後しばらく経ってからになるため、入金までの立替期間の資金を厚めに見ておく必要があります。
反対に、小売や飲食のような現金商売では日々現金が入るため、売上が伸びている間は資金が回りやすい一方、売上が落ちる時期に家賃や人件費などの固定費が重くのしかかります。自社がどちらのタイプかを踏まえて、注意して見る時期と項目を決めておきましょう。
何か月先まで予定を引くか
予測は、少なくとも3か月先、できれば6か月から1年先まで引いておくと安心です。先の期間ほど予測の精度は落ちますが、大きな支払いや季節的な売上の谷が近づいていることを早めに察知できれば、借入の相談や支払いの調整に動く時間を確保できます。短期だけを見ていると、資金不足に気づいたときには打てる手が限られてしまいます。
予測と実績を毎月見直す
月が終わったら、予測していた金額と実際の入出金を突き合わせましょう。ズレが出た項目は原因を確かめ、翌月以降の予測に反映すると、回を重ねるごとに精度が上がっていきます。最低でも月に1回は実績を入れて先の予測を引き直す——この更新を習慣にすることが、資金繰り表を「当たる」道具に育てるいちばんの近道です。
危険信号を早く見つける
毎月更新するいちばんの目的は、翌月繰越金がマイナスに近づく月を、何か月も前に見つけることです。残高が目に見えて減り始めた月、あるいは「月商の1〜2か月分」といった自社で決めた危険ラインを下回りそうな月が見えたら、それが行動の合図です。数か月前に気づければ、次の章で挙げるような手を落ち着いて選べます。
資金残高が「危ない」ときに打てる手
資金繰り表で「この先、現金が足りなくなりそう」と分かったら、早めに手を打ちます。打てる手は、大きく入金を早める・出金を遅らせる・外から資金を手当てする、の3方向です。加えて、税金の支払いを待ってもらう、使っていない資産を現金化するなど、時間と現金を作る手もあります。それぞれ、どう効くのかとあわせて見ていきましょう。

売掛金を早く回収する・入金を督促する
入金を早めれば、その分だけ手元の現金に余裕が生まれます。期日を過ぎた売掛金があれば、まず取引先に連絡して入金予定日を確認しましょう。新規の取引では、入金サイト(請求から入金までの期間)を短めに設定できないか交渉するのも有効です。入金の遅れが慢性化している取引先は、資金繰りを圧迫する原因になりやすいため、優先的に見直すのが効果的です。
入金が遅れたときの遅延損害金は、契約で利率を定めていればその利率が、定めがなければ民法の法定利率(年3%・3年ごとに見直す変動制)が基準になります。取引や契約の内容によって扱いは変わるため、督促の前に自社の契約条件を確認しておくと交渉がぶれません。
出典・参考資料(1件)
自社での督促や交渉だけでは回収が進まない取引先には、督促や回収を外部に任せる方法もあります。依頼先のタイプ別の選び方や費用相場は、以下の記事で解説しています。
支払サイトを交渉し、支払いを平準化する
出金を遅らせる・ならすことも、資金を手元に残す手段です。仕入先と支払いサイトの延長を相談できないか、大きな支払いが特定の月に集中していないかを確認しましょう。設備の購入をリースや分割に切り替えて、一度に出ていく現金を平準化する方法もあります。いずれも取引先との関係に配慮しつつ、資金繰り表で効果を試算してから動くのが安全です。
借入・融資で手当てする
自助努力で足りない分は、金融機関からの借入で手当てします。資金が必要になる何か月も前に動くことが大切で、残高が尽きる直前の相談では間に合わないこともあります。日本政策金融公庫や金融機関への融資相談では、資金繰り表そのものが有力な資料になります。
融資の相談では、いつ・いくら不足し、借りた資金をどう返していくのかを、数か月先までの資金繰り表で示せると説得力が増します。翌月繰越金の推移と、借入後に返済が無理なく回ることが一枚で伝われば、審査の担当者も検討を進めやすくなります。普段から資金繰り表を更新しておくことが、いざというときの借入をスムーズにします。
どこから借りるかを具体的に比べたいときは、以下の記事が参考になります。金利や審査の柔軟性、即日融資への対応などを基準に、法人・個人事業主向けの借入先を比較しています。
税金の猶予制度を検討する
納税の資金が一時的に重いときは、税の猶予制度も選択肢になります。制度は立場によって使えるものが異なるため、個人と法人で分けて押さえておきましょう。
個人事業主の所得税には、確定申告で納める税額の2分の1以上を法定納期限までに納めれば、残りを一定の期日まで後ろ倒しにできる「延納」があります(延納分には利子税がかかります)。また、口座引落しで納付する「振替納税」を使うと、引落日が法定納期限より後になるため、納付のタイミングが実質的に後ろにずれます。いずれも対象は個人の所得税・消費税で、法人税や法人の消費税には使えません。
法人を含め、国税を一時に納めることが難しい場合に広く使えるのが、「納税の猶予」「換価の猶予」です。要件を満たして税務署に申請すると、原則1年以内の範囲で差押えや財産の換価が猶予され、猶予期間中の延滞税が軽減または免除されます。猶予を受ける金額が100万円以下、または期間が3か月以内などの場合は、担保の提供も不要です。具体的な要件や手続きは国税庁の案内で確認してください。
出典・参考資料(3件)
遊休資産の見直し・補助金を活用する
使っていない設備や在庫、遊休不動産があれば、売却して現金化するのも一つの手です。過剰な在庫を抱えていないかを見直すと、仕入にかかる資金の圧迫もやわらぎます。設備投資やIT導入、業務の省力化には国や自治体の補助金を使える場合がありますが、公募の内容や対象は年度ごとに変わるため、利用を検討するときは各事務局の最新の公募要領で名称・対象・金額を確かめてください。
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自力の更新が限界になったら:作成・更新を自動化する選択肢
ここまで、資金繰り表をエクセルで作って毎月回す方法を見てきました。ただ、口座やカードの明細を手で転記し、毎月予測を引き直す作業は、続けるほど負担になります。更新がつらくなってきたら、作成・更新を自動化できるサービスを検討する段階です。
選択肢は大きく2系統あります。1つは、普段の記帳とあわせて資金繰りまで見られる「会計ソフトの資金繰り機能」。もう1つは、資金繰りの管理に特化し、取引予定の登録や複数口座の残高予測に強い「資金繰り特化クラウド」です。
前者には会計主体のものから経理代行つき、経営支援までを含む幅があり、後者は資金繰りそのものを主役にします。どちらも銀行口座やカードの明細を自動で取り込めるため、転記の手間を減らせます。
下の比較表で「△」は、資金繰り機能が有料オプションや上位プラン、β版など条件つきで使えることを表します。記帳のついでに資金繰りも見たいなら会計ソフト系(△)、資金繰りの将来予測を日次や口座別まで本格的に見たいなら特化型(◎・●)が向きます。
主な資金繰り管理の選択肢を比較する
| サービス名 | Tenbook(テンブック) | 弥生会計 Next | freee会計 | bixid(ビサイド) | Kanaglee(カナグリー) | マイルストーン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 系統 | 会計ソフト+経理代行 (系統①) | 会計ソフト (系統①) | 会計ソフト (系統①) | 経営支援クラウド (系統②寄り) | 資金繰り特化クラウド (系統②) | 資金繰り特化クラウド (系統②) |
| 資金繰り表・将来残高予測 | △資金繰り表作成は10book有料オプション | △AI資金分析(β版)で予測・視覚化 | △資金繰りシミュレーションはアドバンス以上 | △資金繰り(資金予測)は月3,000円オプション | ◎日次・月次・口座別を自動作成(P/L連動予測) | ●支払・入金予定の登録で自動作成 |
| 明細の自動取得 | △口座・カード連携は10book有料オプション | ●2,500以上の金融機関から自動取得 | ●1,000以上の金融機関から自動取得 | △会計ソフトの仕訳データを取込(口座直接連携は不可) | ●1,000以上の金融機関から自動取得 | ×口座連携なし(予定を手動登録) |
| 料金 | 経理代行 月29,500円〜(免税)/43,500円〜(課税) 10book単体 初期25,000円・月14,800円〜 資金繰り表は月3,000円のオプション | 初期0円/月2,900〜7,000円(税抜・年契約の月換算) 年34,800〜84,000円(税抜) | 初期0円/月2,980円〜(ひとり法人・年払い、税抜) アドバンス39,780円〜(税抜)、エンタープライズは要問い合わせ | 月0円(フリー)/10,000円〜(税抜) 資金繰りは月3,000円(税抜)のオプション | 月25,000円(税抜)〜(個別見積もり) 初期費用は公式記載なし | 月1,750円(税抜。または年17,500円) 無料トライアル1ヶ月あり |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
自社に合う選択肢の選び方と主なサービス
すでに会計ソフトを使っているなら、まずはそのソフトの資金繰り機能で足りるかを確かめ、物足りなければ特化クラウドを検討する——という順で考えると無駄がありません。資金繰りの予測を日次や口座別まで細かく見たい、複数口座やグループ会社をまとめて管理したい場合は、特化クラウドが向きます。
目安としては、まず手頃に資金繰りの自動化を始めたい小規模な事業者は低価格の特化型から、会計ソフトを導入するタイミングなら資金繰り機能を持つ会計ソフトから、複数口座やグループ会社まで本格的に管理したい企業は高機能な特化型から、と当たりをつけると選びやすくなります。
ここでは、それぞれの系統の代表的なサービスを紹介します。各サービスの機能や料金は変わることがあるため、導入前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
資金繰りだけでなく、予算や会計も含めた財務管理の仕組みそのものを見直したい場合は、以下の記事で財務管理システムを機能・料金・タイプ別に比較しています。導入を検討する際に全体像をつかむのに役立ちます。
1. Tenbook(テンブック)|シンアカウンティングサービス株式会社

シンアカウンティングサービスが提供する Tenbook は、クラウド会計「10book」と、記帳から決算までを任せられる経理代行を組み合わせて使えるサービスです。10bookは銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるうえ、有料オプションで資金繰り表の作成にも対応しており、記帳とあわせて資金繰りまで一つの仕組みで回せます。
日々の経理そのものを外部に任せたい場合は、経理代行を使う選択肢もあります。
資金繰りが苦しくなる背景には、日々の経理や管理体制の整備が後回しになっていることも少なくありません。数多くの中小企業の経理を支援してきたシンアカウンティングサービスの上田氏は、次のように指摘します。
また、経営者の方が事業に専念するあまり管理業務が後回しになると、会社の規模が大きくなったタイミングで資金繰りが急に苦しくなったり業績が悪化したり、管理体制が追いつかずに立ち行かなくなることもあり得ます。だからこそ、早い段階で経理の土台を整える価値は大きいと思っています。
2. 弥生会計 Next|弥生株式会社

2,500以上の金融機関と連携して口座やカードの明細を自動取得できる、法人向けクラウド会計ソフトが弥生会計 Next です。記帳を自動化できるうえ、資金の動きを見る機能として、AIが資金繰りを予測して視覚的に表示する「資金分析」(β版)を備えます。手作業の記帳から乗り換えて、まず会計を効率化したい法人に向いた選択肢です。
3. freee会計|フリー株式会社

銀行・カード明細の自動取得と自動仕訳に加え、資金繰りに関する機能を持つのが freee会計です。経営レポートの「資金繰りレポート」や、予実機能での想定入出金による資金繰りシミュレーションにより、先の残高の見通しを立てられます。資金繰りシミュレーションは上位プラン(アドバンス以上)の機能のため、必要な機能が自社のプランに含まれるかを確認して選ぶことが大切です。
4. bixid(ビサイド)|株式会社YKプランニング

すでに使っている会計ソフトのデータを活かして経営管理まで広げたい中小企業に向くのが bixid です。会計ソフトの仕訳データを自動で取り込み、月次決算や予実とあわせて経営状況を可視化します。資金繰り(資金予測)は月額3,000円(税抜)のオプションとして用意されており、会計データと連動して先の残高を見通せます。
5. Kanaglee(カナグリー)|株式会社Kanaglee

「資金繰り管理クラウド」を正面から掲げるのが、中小企業向けの Kanaglee です。1,000以上の金融機関と連携して残高を自動で取り込み、日次・月次・口座別の資金繰り表を自動で作成します。口座ごとに下限残高と確認期間(0〜60日)を設定しておくと、残高が下回りそうなときにアラートメールで知らせる資金ショート検知の機能も特徴です。
料金は月額25,000円(税抜)からの個別見積りで、複数口座やグループ会社の資金繰りをまとめて管理したい企業に向きます。
6. マイルストーン|株式会社HIFAS

取引予定を登録するだけで資金繰り表が作れる、資金繰り管理特化のクラウドがマイルストーンです。支払いや入金の予定を登録していくと、日次・月次の資金繰り表が自動で作成され、簿記の知識がなくても扱いやすいのが特徴です。支払日前のリマインドで支払い漏れや資金ショートを防ぎ、外部提出用の資金繰り表も出力できます。まずは手頃に資金繰りの自動化を始めたい小規模な事業者が検討しやすい選択肢です。
よくある質問(FAQ)
Q. 資金繰り管理とは何ですか?
A. 資金繰り管理とは、資金繰り表を使って数か月先の現金残高を予測し、月末の手元資金がマイナスになりそうな月を前もって見つけて手を打つことです。日々の入出金をその都度追う作業ではなく、「この先、現金が足りなくなる月はないか」を先回りで確かめ、不足する前に動くための仕組みと考えると分かりやすくなります。
利益が出ていても入金と支払いのタイミングのズレで現金は尽きるため、利益の額とは別に、現金の動きそのものを管理する必要があります。
Q. 資金繰り表と資金計画(事業計画)はどう違うのですか?
A. 資金繰り表と資金計画の違いは、資金繰り表が実際の現金の入出金を時期ごとに予測する「お金の出入りの表」なのに対し、資金計画(事業計画)は売上や利益の見通しを描く「もうけの計画」である点です。資金計画は売上・費用を計上時点でとらえる発生主義の利益がベースで、入出金の時期までは示しません。
一方、資金繰り表は実際に現金が動く時点でとらえる現金主義で「いつ・いくら現金が動くか」を追うため、黒字でも現金が尽きる資金ショートはこちらでしか見つけられません。資金計画で立てた目標を、現金の時間軸に落とし込んで検証するのが資金繰り表、と位置づけると整理しやすくなります。
Q. 資金繰り管理に簿記や会計の専門知識は必要ですか?
A. 資金繰り管理に高度な簿記や会計の専門知識は必要ありません。資金繰り表は「前月繰越+当月の収入−当月の支出=翌月繰越」という足し算・引き算が基本で、通帳や出納帳の数字を区分ごとに並べれば作れます。必要なのは専門知識よりも、毎月数字を更新して先を見る習慣です。
ただし、試算表の数字をそのまま転記するのではなく、発生主義(売上・費用の計上時点)から現金主義(実際に入出金する時点)へ組み替える点だけは押さえておくと、予測の精度が上がります。
Q. 資金繰り表を作るのに会計ソフトは必須ですか?
A. 資金繰り表は会計ソフトがなくても、エクセルや無料のテンプレートで作れます。作成に必要なのは月次試算表・現金出納帳・預金出納帳(または預金通帳)の3点で、手形取引や借入があれば手形帳・借入金返済明細書もそろえると返済予定を正確に反映できます。日本政策金融公庫が記入例つきの無料テンプレート(Excel/Word)を配布しているため、まずはこれに自社の数字を入れるところから始められます。
口座やカードの明細を手で転記する作業がつらくなってきたら、明細を自動取得できるクラウド会計ソフトや資金繰り管理クラウドを検討する段階です。
Q. 資金繰り管理はどの単位(月次・週次・日次)で行えばよいですか?
A. 資金繰り管理は月単位で作るのが基本で、資金が逼迫している時期は週次・日次を併用します。月次の資金繰り表は数か月から1年先までの大きな資金の流れを見て計画を立てるのに向き、月内で支払いが集中して一時的に資金が不足しそうなときは、日単位で入出金を並べた「日繰り表」が役立ちます。
落ち着いている時期は月次、資金が厳しい時期は週次・日次、と状況に応じて粒度を変えるのが現実的です。
Q. 資金繰り表の毎月の更新を楽にするにはどうすればよいですか?
A. 毎月の更新を楽にするには、口座・カード明細を自動で取り込めるクラウド会計ソフトや資金繰り管理クラウドを使うのが近道です。エクセルは手軽に始められる反面、明細の手入力と予測の引き直しが毎月発生し、続けるほど負担になります。自動取得に対応したサービスなら転記の手間を大きく減らせ、更新が滞りにくくなります。
エクセルを続ける場合も、確定した実績とこれからの予測を分けて入力し、翌月繰越が自動で次月の前月繰越へ流れる計算式を組んでおくと、更新の手間と入力ミスを減らせます。
Q. 資金繰りが悪化してショートしそうなとき、まず何をすればよいですか?
A. 資金がショートしそうなときにまず取り組むのは、入金を早める・出金を遅らせる・外部から資金を手当てする、の3方向で打てる手を洗い出すことです。具体的には、期日を過ぎた売掛金の回収や入金予定日の確認、仕入先との支払サイト延長の相談、日本政策金融公庫や金融機関への借入相談などがあります。
借入は残高が尽きる直前では間に合わないことがあるため、資金繰り表で不足が見えた時点での早めの相談が肝心です。納税の資金が重い場合は、税の猶予制度も選択肢になります。
Q. 納税の資金が足りないとき、税金の支払いを待ってもらう制度はありますか?
A. 国税を一時に納めることが難しいときは、要件を満たして税務署に申請すると、原則1年以内の範囲で差押えや換価が猶予される「納税の猶予」「換価の猶予」があります。猶予期間中は延滞税が軽減または免除され、猶予を受ける金額が100万円以下、または期間が3か月以内などの場合は担保の提供も不要です。
個人事業主の所得税には、法定納期限までに税額の2分の1以上を納めれば残りを一定の期日まで後ろ倒しにできる「延納」や、口座引落しの引落日が法定納期限より後になる「振替納税」もあります。具体的な要件や手続きは国税庁の案内で確認してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 既存のExcelの資金繰り表から資金繰り管理ツールへ移行できますか?
A. 多くの資金繰り管理クラウドや会計ソフトは、銀行口座・カードの明細を自動で取り込めるため、Excelの数字を手作業で移し替えなくても資金繰り表を作り始められます。会計ソフトを使っていれば、その仕訳データを取り込んで資金繰り表を自動で生成できるサービスもあります。
ただし、過去の実績をどこまで引き継げるか、取引予定の登録方法や初期設定の手順はサービスごとに異なるため、移行のしやすさは導入前に各社の公式情報で確認してください。
Q. 資金繰り管理クラウドの費用はどのくらいかかりますか?
A. 資金繰り管理の費用は、会計ソフトに付随する機能なら月数千円程度のオプションや上位プランで使える一方、資金繰りに特化したクラウドは月数千円から数万円台までと幅があります。たとえば会計データと連動する資金予測を月数千円のオプションで提供するサービスもあれば、複数口座やグループ会社をまとめて管理できる特化型では月数万円からの個別見積りとなるものもあります。
自社に必要な機能がどのプランに含まれるかを含め、料金は変わることがあるため、導入前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
Q. 資金繰り管理ツールは複数の銀行口座やグループ会社に対応できますか?
A. 資金繰りに特化したクラウドの多くは、複数の銀行口座をまとめて取り込み、グループ会社の資金繰りも一元管理できます。多数の金融機関と連携して口座残高を自動で取得し、口座別・日次の資金繰り表まで細かく見られるものもあります。
口座数が多い、あるいはグループ全体の資金を横断して把握したい場合は、こうした特化クラウドが向きます。対応できる金融機関の範囲や口座数はサービスによって異なるため、導入前に確認してください。
Q. 会計ソフトの資金繰り機能と資金繰り特化クラウドは、どちらを選べばよいですか?
A. すでに会計ソフトを使っているなら、まずはそのソフトの資金繰り機能で足りるかを確かめ、物足りなければ資金繰り特化クラウドを検討するのが無駄のない順序です。記帳とあわせて資金繰りまで一つの仕組みで回したい場合は会計ソフトの資金繰り機能が向きます。
資金繰りの予測を日次や口座別まで細かく見たい、複数口座やグループ会社をまとめて管理したい場合は特化クラウドが向きます。自社の使い方に照らして、必要な機能が含まれるプランを選んでください。
まとめ
資金繰り管理は、資金繰り表で数か月先の現金残高を見通し、月末繰越がマイナスになる月を先回りでつぶす作業です。まずは3区分(経常収支・経常外収支・財務収支)と前月繰越・翌月繰越で表を組み、公庫の無料テンプレートも使いながら、自社の数字を数か月先まで埋めてみましょう。
作った表は毎月更新し、繰越金が危険ラインに近づく月を早めに見つけます。危ないと分かったら、入金を早める・出金を遅らせる・借入や税の猶予で資金を手当てする、と打てる手を選びましょう。自力の更新がつらくなったら、明細を自動取得できる会計ソフトの資金繰り機能や資金繰り特化クラウドに切り替えるのが次の一歩です。まずは今月分から、資金繰り表に自社の数字を入れてみてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













