光回線が突然切れて、クラウド業務やWeb会議、店舗のキャッシュレス決済が一斉に止まった経験はありませんか。回線を1本だけで運用していると、その1本が障害・災害・工事で止まった瞬間に、業務の多くが同時に動かなくなります。
こうした事態に備える予備の回線が「バックアップ回線」です。ただ、予備回線といっても、光回線にモバイル回線を足すのか、別の事業者の光回線をもう1本引くのか、持ち方は複数あり、切り替わり方や費用、守れる障害の範囲も変わります。「予備を用意すればよい」と聞いても、自社は何を足せばよいのか、判断しづらいのが実情です。
本記事では、バックアップ回線の持ち方(方式)を横並びで整理し、切替方式・費用の目安・選び方・構築の流れまで解説します。あわせて、回線が止まると業種ごとにどんな業務が影響を受けるかも具体的に示します。自社に合う備え方を決める材料としてご活用ください。
目次
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バックアップ回線とは?
バックアップ回線とは、普段使っているメイン回線が切れたときに、通信を引き継ぐために用意しておく予備の回線のことです。主回線が障害で止まっても、予備回線に切り替われば業務を続けられます。回線を二重に持つこの備えは「回線の冗長化(冗長性)」とも呼ばれます。
通信事業者の用語解説でも、冗長性は耐障害性のための二重化として次のように説明されています。
冗長性とは一般に余分や重複がある状態を指すが、IT分野では耐障害性を高めるためにシステムの二重化(ミラーリング)を行い余裕を持たせた状態を示す。具体的には機材や回線などを複数用意して並列に使用したり、一部をすぐ使える状態で待機させたりすることを表す。
出典:冗長性|用語集|BizDrive(NTT東日本)
この「回線などを複数用意して、一部をすぐ使える状態で待機させる」という考え方が、まさにバックアップ回線です。待機させた予備回線を、主回線が落ちたときに使う形になります。
バックアップ回線を備える目的は、通信が止まっても重要な業務を止めない、事業継続計画(BCP)の一環にあります。地震や水害、通信事業者側の大規模障害、回線の工事など、回線が止まる原因はさまざまで、いつ起きるかは選べません。だからこそ、止まったときに切り替えられる予備を用意しておく意味があります。業種ごとにどんな業務が止まるかは、記事の後半で具体的に見ていきます。
バックアップ回線の種類と方式の違い【比較表】
バックアップ回線は、予備に何を使うかで主に5つの持ち方に分かれます。それぞれ、守れる障害の範囲・切り替わり方・今の回線を変えずに足せるかが異なります。まずは全体像を横並びで比較し、自社に合いそうな方式の当たりを付けてください。
| 方式 | 光回線+モバイル回線(LTE/5G・クラウドSIM) | 光回線+別キャリアの光回線(マルチホーミング) | SD-WAN・広域イーサネット | 衛星回線(静止軌道・低軌道など) | デュアルSIM・モバイル単体 |
|---|---|---|---|---|---|
| 守れる障害範囲 | 光回線側の障害・有線の切断に強い。モバイルの電波状況には依存する | 1社の通信網の障害にも強い。別事業者の回線で継続できる | 複数拠点のWANを冗長化。経路まで分ければ広域障害にも強い | 地上の回線とは別経路。広域災害・地上設備の障害に強い | 有線の障害に強い。簡易な予備として小規模向け |
| 切替方式 | 自動(切替装置が障害を検知して副回線へ)が一般的 | 自動(SD-WAN機能付きルーター等で切替) | 自動(構成により手動も) | 手動・自動(構成による) | 手動が中心(端末・構成による) |
| 今の回線を変えずに足せるか | ◎今の光回線はそのまま、装置を挟むだけの構成が多い | △回線をもう1本契約・敷設する | ×回線構成の見直しが必要 | △アンテナ設置など別途準備が必要 | △対応端末・SIMの準備が必要 |
| 速度・容量の傾向 | 常時の大容量通信には不向き。障害時の業務継続向け | 主回線と同等の帯域を確保しやすい | 構成次第。拠点間の帯域・品質を確保しやすい | サービスにより差が大きい | 小容量・一時的な利用向け |
| 向く規模・用途 | 単一オフィス・店舗。手早く・低コストで備えたい場合 | 通信量が多い拠点。1社障害まで備えたい場合 | 複数拠点を持つ企業。一元管理・高い可用性が必要な場合 | 地上回線が引きにくい拠点、災害対策を重視する場合 | SOHO・少人数拠点の簡易なバックアップ |
※上記は各方式における一般的な傾向です。実際に守れる範囲・切替動作・速度は、契約する事業者や構成により異なります。
単一のオフィスや1店舗で手早く備えたいなら、まず「光回線+モバイル回線」か「別キャリアの光回線」の2方式が候補になります。SD-WAN・広域イーサネットは複数拠点向け、衛星は地上回線が引きにくい拠点向けと、規模・用途で分かれます。
それぞれの方式について、どんなときに向くか・注意したい点を補足します。
光回線+モバイル回線(LTE/5G・クラウドSIM):今使っている光回線を主回線のまま、LTEや5Gのモバイル回線を副回線にする方式です。ONU(回線終端装置)と既存ルーターの間に切替装置を挟むだけで導入できる製品が多く、既存のネットワーク設定を変えずに始められます。
複数キャリアの回線を1枚で使い分け、電波の強い回線を自動で選ぶクラウドSIMに対応した製品もあり、有線の切断に強いのが特徴です。常時の大量通信には向かず、障害時の業務継続を目的とした構成です。
光回線+別キャリアの光回線(マルチホーミング):主回線とは別の通信事業者の光回線を副回線にします。1社の通信網で障害が起きても、もう一方の事業者の回線で通信を継続できます。主回線と同等の帯域を確保しやすい一方、回線料が2本分かかり、契約・敷設の手間も増えます。
SD-WAN・広域イーサネット:複数の拠点とデータセンター・クラウドをつなぐネットワークを冗長化する方式です。複数の回線を束ねて自動で切り替えるSD-WANや、通信事業者が提供する広域イーサネットを使い、経路まで分離すれば広域の障害にも備えられます。信頼性は高い反面、費用と設計の手間は大きくなります。
衛星回線:地上の回線とは経路がまったく別になるため、広域災害や地上設備の障害に強いのが利点です。地上回線を引きにくい拠点や、災害対策を重視する場合の選択肢になります。アンテナの設置など別途の準備が必要で、サービスによって速度や費用の幅が大きい点に注意が必要です。
デュアルSIM・モバイル単体:モバイル回線だけで簡易に予備を持つ方式です。SOHOや少人数の拠点で、一時的な通信を確保したい場合に向きます。手動での切り替えが中心で、大容量の常時利用には向きません。
各方式の違いを、単一障害点(1か所の障害で全体が止まる弱点)や、通信事業者の局舎から自社までの「ラストワンマイル」区間の重なりといった観点まで踏み込んで比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
バックアップ回線の費用の目安(方式別・サービス別)
費用は方式によって桁が変わります。どこまで費用をかけられるかは、止まったときの損失と見比べて判断してください。以下は方式ごとの月額のおおまかな目安です。
- 光回線+モバイル回線:月額数千円程度〜。今の回線はそのままに装置を足すため、比較的小さな負担で始められます。料金を公開している例では、モバイル回線を副回線にするサービスで月額1,650円(セットプラン、税込)/2,200円(単体、税込)という水準があります。
- 光回線+別キャリアの光回線:月額5,000〜6,000円台〜。副回線となる光回線を1本増やすため、回線料がもう1本分かかります。法人向け光回線では、たとえば月額5,740円(税込・長期割引適用時)から提供する事業者もあり、これを2本目として持つ形になります。別途、開通時に工事費(税込で約47,520〜55,000円)がかかります。
- SD-WAN・広域イーサネット:月額1万円程度〜。拠点数や帯域、SLA(品質保証)の有無で大きく変わります。広域イーサネットのサービスでは、月額11,000円(税込)程度のエントリー向けから、品質を保証する上位プランまで幅があります。
- 衛星・デュアルSIM:サービスによる。衛星はアンテナ設置を含む初期費用と月額、デュアルSIMはモバイルの契約料が中心で、用途と規模により幅があります。
月額とは別に、初期費用(装置代・工事費・事務手数料)や最低利用期間がかかる点にも注意が必要です。たとえばモバイル回線を副回線にするあるサービスでは、初期費用33,000円(税込)、最低利用期間24か月と公開されています。
一方で、専用端末と契約が必要なサービスの中には、月額・初期費用とも「要お問い合わせ」で、見積もりを取って初めて金額が分かるものもあります。正確な費用は、候補を数社に絞ってから資料請求や見積もりで確認するのが確実です。
上記の金額は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく目安で、実際の料金はプランや構成により変わります。
出典・参考資料(3件)
- 出典:USEN DUAL CONNECT 料金プラン|株式会社USEN NETWORKS(https://usen-networks.ne.jp/udc/)
- 出典:ビジネスコミュファ|中部テレコミュニケーション株式会社(https://www.ctc.jp/commufa/hikari/internet/)
- 出典:EtherLINK ad|中部テレコミュニケーション株式会社(https://www.ctc.jp/service/network/etherlink_ad/)
バックアップ回線の選び方チェックリスト
自社に合うバックアップ回線は、次の観点を順に確認すると絞り込めます。いずれも、実際の運用でつまずきやすいポイントです。
主回線と障害の原因が重なっていないか
最も大切な観点です。予備回線を用意しても、主回線と同じ通信事業者・同じ経路を通っていると、1つの原因で両方が同時に止まってしまいます。別の事業者の回線を選ぶ、有線とは別系統のモバイル回線を副回線にするなど、主回線と障害の原因が分かれる組み合わせを選ぶことが、冗長化の前提になります。契約を2本に増やすだけでなく、その2本が物理的に別の道を通っているかまで意識してください。
切り替えは自動か、手動でよいか
店舗のレジや予約システム、Web会議など、数分の停止も避けたい業務には、障害を検知して自動で副回線へ切り替わる構成が向いています。あわせて、復旧後に主回線へ自動で戻るか(自動切り戻し)も確認するとよいでしょう。短時間の停止を許容できる業務なら、予備のモバイルルーターを障害時に手動でつなぎ替える簡易な構成でも運用でき、固定費を抑えられます。
どれくらいの停止までなら許容できるか、必要な帯域はどれくらいか
許容できる停止時間が短いほど、自動切替や高い可用性を備えた構成が必要になり、費用も上がります。また、副回線で何をどこまで動かすかによって必要な帯域(通信速度)が変わります。障害時に止めたくない業務だけに絞れば、モバイル回線の副回線でも十分なことが多く、全業務を同じ速度で維持したい場合は光回線の冗長化が候補になります。
切り替えの瞬間には数秒程度の通信断が生じ、進行中のWeb会議・通話・VPN接続は再接続が必要になることもあるため、その影響も踏まえて選ぶとよいでしょう。
停電時の電源まで備えるか
回線を二重にしても、停電でルーターや切替装置の電源が落ちれば通信は止まります。災害時の備えとして考えるなら、回線の冗長化とあわせて、無停電電源装置(UPS)や蓄電池など電源のバックアップも検討対象になります。回線サービスの中には、停電対策の電源をあわせて提案しているものもあります。
導入後の運用・監視を誰が担うか
バックアップ回線は「導入して終わり」ではありません。いざというときに正しく切り替わるよう、定期的に切替テストを行い、回線の状態を監視しておく必要があります。
情報システムの担当者が限られる企業では、回線の状態を常時監視して障害時にメールで通知してくれる仕組みや、保守を事業者に任せられるサービスを選ぶと、運用の負担を抑えられます。導入後の監視・保守を自社で担えるか、事業者のサポートに任せたいかも、サービス選びの判断材料になります。
回線や機器の停止を自社で検知して通知する仕組みを整えたい場合は、監視方式・通知手段・停止時の自動復旧といった観点で監視ツールを選ぶ考え方をまとめた以下の記事も参考になります。
バックアップ回線の構築・導入の流れ(工事要否)
導入の手間は方式で大きく変わります。工事が要るか、既存の回線やネットワーク設定をそのまま使えるかを、方式ごとに押さえておきましょう。
工事不要で始められる型(光回線+モバイル回線):副回線がモバイル回線のため、新たに回線を引く工事は不要です。既存の設定を変えずに装置を挟む構成が多く、機器が届けば即日〜数日で使い始められます。情報システムの担当者が限られる企業でも導入しやすい方式です。
回線の増設が要る型(別キャリアの光回線):副回線の光回線を新たに契約・敷設するため、申し込みから開通まで数週間程度を見込みます。開通後は、2本を自動で切り替えるルーターで冗長構成を組みます。
設計から事業者に相談する型(SD-WAN・広域イーサネット):複数拠点のネットワークを冗長化する場合は、拠点構成や必要な帯域・品質に合わせた設計が必要です。広域イーサネットや閉域網、SD-WANを提供する通信事業者に相談すると、自社の構成に合った冗長化を設計してもらえます。導入後の監視・保守まで任せられるサービスもあります。
気になる方式のサービス資料は、まとめて取り寄せて費用や仕様を見比べられます。
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業種・業務別に見る「回線が止まると何が起きるか」
バックアップ回線にどこまで費用をかけるかは、回線が止まったときに自社の業務がどれだけ止まるかで決まります。業種・業務別に、回線断がもたらす影響を見ておきましょう。
- 小売・飲食(POSレジ・キャッシュレス決済):回線が止まるとクレジットカードやQRコード決済の処理ができず、会計が滞ります。レジが使えなければ営業そのものに影響し、機会損失や顧客対応の負担につながります。
- クリニック・医療(電子カルテ・オンライン資格確認):電子カルテやオンライン資格確認が使えないと、診療や受付が止まります。患者対応に直結するため、短時間の停止も避けたい業務です。
- EC・Webサイト運営:サイトや受注システムがつながらないと、注文の受付・問い合わせ対応が止まり、売上に直接影響します。
- オフィス全般(クラウド業務・Web会議・VPN):クラウドの業務システムやメール、Web会議、拠点間のVPNが使えず、業務が広く停止します。復旧までの間、ほとんどの業務が連鎖的に止まります。
こうした業務停止への備えは、事業継続計画(BCP)の一部として位置づけられます。内閣府はBCPを次のように定義しています。
大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。
出典:事業継続ガイドライン|内閣府(防災担当)令和5年3月
もっとも、BCPの策定状況は業種によって差があります。内閣府の令和7年度の調査では、BCP策定率は大企業が75.8%、中堅企業が54.8%でした。業種別に見ると、金融・保険業が82.2%と高い一方、小売業47.9%、宿泊業・飲食サービス業41.0%など、決済や店舗運営に関わる業種では策定が途上の企業も少なくありません。
回線が止まると会計や受付が直接止まる業種ほど、通信の備えを見直す意味は大きいといえます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:令和7年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(概要)|内閣府(防災計画担当)令和8年3月(https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/r7_gaiyou.pdf)
回線を自動で切り替えるサービス
ここからは、今の光回線を変えずに導入しやすい「光回線+モバイル回線」型のサービスを紹介します。いずれも、主回線が止まったときに副回線のモバイル回線へ切り替えて通信を継続する仕組みです。
この仕組みが働くときの流れは、次のとおりです。

別の事業者の光回線をもう1本引く方式や、広域イーサネット・SD-WANで複数拠点を冗長化する方式を検討する場合は、利用中の通信事業者や広域ネットワークを提供する事業者に相談すると、自社の構成に合った設計をしてもらえます。
まず、紹介するサービスの要点を横並びで整理します。
| サービス名 | DualLink Guard | USEN DUAL CONNECT | T-Switch |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | 専用端末(購入)+ サービス契約 | ハイブリッドLTEルーター + 月額オプション | 専用装置(レンタル/購入) |
| 副回線 | モバイル回線(LTE・クラウドSIM) | モバイル回線(LTE) | モバイル回線(LTE・クラウドSIM) |
| 対応キャリア | ドコモ・au・ソフトバンク (電波の強い回線を自動選択) | 要お問い合わせ | 国内4キャリア (電波状況に応じ自動選択) |
| 切替方式 | 自動 (復旧時は光回線へ自動で切り戻し) | 自動 (切断を検知してLTEへ切替) | 自動 (復旧時は自動で切り戻し) |
| 障害時の通知 | メール通知 (故障時・復旧時) | 要お問い合わせ | お知らせメール (切替時) |
| 月額費用 | 要お問い合わせ | セット月1,650円 単体月2,200円 | 要お問い合わせ |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 33,000円 | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※金額はすべて税込。USEN DUAL CONNECTの料金は2026年10月時点の公式情報、DualLink GuardとT-Switchの費用は要お問い合わせです。対応キャリアや通知など公式に明記のない項目は「要お問い合わせ」としています。実際の仕様・料金はプランや構成により異なります。
3サービスのうち料金を公開しているのはUSEN DUAL CONNECT(月1,650〜2,200円・税込)で、これが光回線+モバイル回線型の費用の目安になります。DualLink GuardとT-Switchは要お問い合わせですが、同じ型のため、見積もりでこの水準と照らして確認するとよいでしょう。
1. DualLink Guard(株式会社フーバーブレイン)

DualLink Guardは、光回線の故障やプロバイダ側の通信障害を検知すると、端末内蔵のモバイル回線へ自動で切り替えるWAN回線バックアップシステムです。ONUと既存ルーターの間に専用端末を挟むブリッジ接続で導入でき、既存ルーターの設定を変える必要がありません。
副回線にはクラウドSIMに対応したモバイル回線を使い、ドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアから電波の強い回線を自動で選びます。主回線の通信状態を24時間365日監視し、障害を検知するとモバイル回線へ自動で切り替え、光回線が復旧すると自動で元に戻ります。光回線の故障時・復旧時には、登録したアドレスへメールで通知します。
店舗のPOSレジ、オフィスのクラウドツール、クリニックのオンライン資格確認など、通信が止まると困る現場での利用を想定したサービスです。音声回線のバックアップには対応しておらず、料金は端末代・月額とも要お問い合わせとなっています。
2. USEN DUAL CONNECT(株式会社USEN NETWORKS)

株式会社USEN NETWORKSが提供するUSEN DUAL CONNECTは、光回線の通信切断を自動で検知してLTE回線へ切り替える法人向けの回線冗長化サービスです。専用のハイブリッドLTEルーターを使い、有線の障害時にモバイル回線で通信を継続します。
料金は、USEN光 plusなどとのセットプランで月額1,650円、単体プランで月額2,200円(いずれも税込・2026年10月時点の公式情報)と公開されており、バックアップ回線の費用感をつかみやすいサービスです。初期費用は33,000円(税込)で、別途、現場調査費が任意で発生します。最低利用期間は24か月です。
バックアップ以外の用途で1GBを超えた場合は550円/GB(税込)の通信料がかかり、1日1GBを超えるような大容量通信は対象外とされています。常時の大量通信ではなく、障害時のバックアップ用途に向いた設計です。
3. T-Switch(テルウェル西日本株式会社)

光回線が切れたときにモバイル回線へ自動で切り替えるBCPソリューションが、テルウェル西日本(NTT西日本グループ)のT-Switchです。専用装置とクラウドSIMを組み合わせ、光回線が復旧すると自動で切り戻し、切替の際にはお知らせメールが届きます。
副回線のクラウドSIMは国内4キャリアに対応し、電波状況に応じて回線を自動で選びます。料金プランは、契約期間付きで月100GB分の通信を含むレンタルと、装置を買い取り月3GB分を含む購入の2種類が用意されており、具体的な金額は要お問い合わせです。
公式サイトでは、オフィス・電子カルテ・キャッシュレス決済など幅広い業種での利用シーンが挙げられ、停電時の電源対策とあわせた提案もされています。
ここで紹介した3サービスは「光回線+モバイル回線」型に絞ったものです。別事業者の光回線や広域イーサネットも含め、回線冗長化サービスを幅広く比較して自社に合うものを選びたい方は、おすすめ10選を比較した以下のまとめ記事もご覧ください。
まとめ
バックアップ回線には、光回線にモバイル回線を足す方式、別の事業者の光回線をもう1本引く方式、SD-WAN・広域イーサネットで複数拠点を冗長化する方式などがあり、守れる障害範囲・切り替わり方・費用はそれぞれ異なります。
今の回線を変えずに手早く・低コストで備えたいなら光回線+モバイル回線、1社の通信障害や広域災害まで想定するなら別事業者の回線や経路分離、というように、自社が守りたい範囲と予算から選ぶのが基本です。
その際、予備回線を用意するだけで安心せず、主回線と障害の原因が重なっていないか、いざというときに正しく切り替わるかまで確認すると、より確実な備えになります。自社の業務が止まったときの損失と照らし合わせ、過不足のない方式とサービスを選んでください。
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よくある質問(FAQ)
Q. バックアップ回線とは何ですか?
A. バックアップ回線とは、普段使っているメイン回線が切れたときに、通信を引き継ぐために用意しておく予備の回線のことです。主回線が障害・災害・工事で止まっても、予備回線に切り替われば業務を続けられます。回線を二重に持つこの備えは「回線の冗長化」とも呼ばれます。
Q. バックアップ回線の導入に回線工事は必要ですか?
A. バックアップ回線は、方式によっては回線工事なしで導入できます。光回線にモバイル回線を足す方式なら、今の光回線はそのままに、ONUと既存ルーターの間に切替装置を挟むだけで始められる製品が多く、新たに回線を引く工事は要りません。一方、別の事業者の光回線をもう1本引く方式では、副回線の契約と敷設の工事が必要になります。
Q. バックアップ回線は固定回線より遅くなりますか?
A. バックアップ回線が固定回線より遅くなるかは、副回線に何を使うかによって変わり、一概には言えません。モバイル回線を副回線にした場合は、電波状況や混雑、端末性能によって固定回線より速度が落ちることがあります。別の事業者の光回線を副回線にすれば、主回線と同等の帯域を確保しやすくなります。
バックアップ回線は常時の大容量通信ではなく、障害時に業務を止めないことを目的とした構成が多い点も踏まえて選ぶのが基本です。
Q. バックアップ回線はモバイル回線だけで業務に足りますか?
A. バックアップ回線にモバイル回線だけで足りるかは、障害時に止めたくない業務をどこまで動かすかで決まります。決済やレジ、受発注など「止まると困る業務」に絞れば、モバイル回線の副回線でも十分なことが多くあります。一方、全業務を主回線と同じ速度で維持したい場合や、大容量の常時通信が必要な場合は、別の事業者の光回線を副回線にする方式が向きます。
Q. バックアップ回線は主回線と同じ事業者で用意してもよいですか?
A. バックアップ回線を主回線と同じ事業者・同じ経路で用意すると、1つの原因で両方が同時に止まるおそれがあるため避けるのが基本です。別の事業者の回線を選ぶ、有線とは別系統のモバイル回線を副回線にするなど、主回線と障害の原因が分かれる組み合わせにすることが冗長化の前提になります。契約を2本に増やすだけでなく、その2本が物理的に別の経路を通っているかまで確認してください。
Q. バックアップ回線に切り替わるとき通信は途切れますか?
A. バックアップ回線へ切り替わる瞬間には、数秒程度の通信断が生じるのが一般的です。多くのサービスは障害を検知すると自動で副回線へ切り替えますが、進行中のWeb会議や通話、VPN接続は再接続が必要になることがあります。数分の停止も避けたい業務には、自動で切り替わる構成と、復旧後に主回線へ自動で戻る自動切り戻しを備えたサービスが向いています。
Q. バックアップ回線は中小企業や1店舗でも導入できますか?
A. バックアップ回線は、中小企業や1店舗の事業者でも導入できます。今の光回線を変えずにモバイル回線を副回線として足すだけの小規模向けサービスが増えており、月額数千円程度から始められるものもあります。情報システムの担当者が限られる場合は、回線の状態を監視して障害時にメールで通知する仕組みや、保守を事業者に任せられるサービスを選ぶと、運用の負担を抑えられます。
Q. バックアップ回線の費用はどれくらいかかりますか?
A. バックアップ回線の費用は方式によって幅があります。光回線にモバイル回線を足す方式なら月額数千円程度から、別の事業者の光回線をもう1本引く方式では月数千円〜数万円程度、SD-WAN・広域イーサネットでは月額1万円程度からが目安です。月額とは別に、装置代・工事費などの初期費用や最低利用期間がかかる場合があります。正確な金額は、候補を数社に絞ってから資料請求や見積もりで確認するのが確実です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















