原材料のロット、賞味期限や消費期限、配合(レシピ)、部分肉のような不定貫(1個ごとに重量が異なる商品)の管理は、食品を扱う現場に固有の難しさがあります。会計ソフトや汎用の販売管理では、これらを手作業やExcelで補っているうちに、棚卸や原価計算が合わなくなっていくケースは少なくありません。
加えて、HACCPに沿った衛生管理が原則としてすべての食品等事業者に求められるようになり、取引先からの監査や万一の回収に備えて、原材料から出荷までを追えるトレーサビリティの記録も欠かせません。こうした食品業特有の要件に標準で対応できるERP(会計・販売・購買・在庫・生産などの基幹業務を一つの基盤で管理するシステム)を選びたい、という需要が高まっています。
本記事では、食品業向けのERP・基幹システム17製品を、ロット・賞味期限(FEFO)・配合管理・不定貫・トレーサビリティ・HACCP対応の記録といった食品業に固有の選定観点で比較・解説します。食品メーカー・食品加工・食品卸の情報システムや生産管理、経営企画の担当者が、自社に合う製品を見極める材料としてご活用ください。
本記事では、食品の商慣習に最初から合わせて作られた「食品業に特化したERP/生産管理」と、全社の基幹業務を広く扱える「汎用ERPを食品業向けに構成するタイプ」の2つに整理して紹介します。
また、自社の生産方式や規模、重視する食品機能から合う製品を絞り込める「かんたん診断ツール」も用意しています。どこから見るか迷う場合は、こちらから試してみてください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、食品メーカー・食品加工・食品卸が扱う業務に合うERP・基幹システムに絞って比較します。ロット・賞味期限・配合・不定貫・トレーサビリティ・HACCP対応の記録といった、食品ならではの管理に標準で対応できるか、あるいは設定や拡張で対応できるかを軸にしています。
業種を問わない一般的なERPの全体像や、企業規模・提供形態・費用での選び方を広く知りたい場合は、以下の記事もあわせてご参照ください。
食品業向けERP(基幹システム)とは
食品業向けERPは、食品メーカーや食品卸が扱う販売・購買・在庫・生産・原価・会計といった基幹業務を一つの基盤でつなぎ、食品に固有のロットや期限、配合の管理まで含めて扱えるようにしたシステムです。汎用のERPや会計・販売ソフトと比べて、食品の商慣習に合わせた機能をあらかじめ備えている点が特徴です。
ここからは、食品業でERPに何が求められるのかを、製造方式の違いと必要な機能要件の2つの切り口で整理します。比較表や製品選びの土台になる部分です。
食品業はプロセス製造:離散(組立)製造との違い
製造業向けのERPを比べるとき、まず分かれ道になるのが、プロセス製造と離散(組立)製造のどちらに向いているかです。食品業の多くはプロセス製造に当たるため、この違いを押さえておくと製品選びが大きく絞り込めます。
離散製造は、部品表(BOM)をもとに個数単位で部品を組み合わせ、自動車や機械のように数えられる製品を作る方式です。一方のプロセス製造は、原材料を混ぜる・加熱する・発酵させるといった工程で素材そのものが変質し、配合表(レシピ)にもとづいて作ります。投入する比率や温度が、できあがる品質や歩留まり(原料に対する完成品の割合)を左右します。
この違いは機能にも表れます。プロセス製造では、複数の原料から複数の製品ができる連産品や、製造の過程で出る副産物の原価をどう配分するか、歩留まりの悪化をどう原価に反映するかといった、離散製造にはない計算が必要になります。食品業向けERPを名乗る製品は、こうしたプロセス製造の計算を前提に設計されていることが多く、離散製造向けの製番管理が中心の製品とは土台が異なります。

食品業向けERPに必要な機能要件
食品業の現場でERPに求められる機能は、汎用の会計・販売システムにはない項目が中心になります。製品を比較する前に、次の7つの要件を押さえておくと、自社に必要な機能が見えてきます。後半の比較表では、この要件を列にして製品ごとの対応を一覧にしています。
- ロット管理・トレーサビリティ:原材料から半製品・製品まで、どのロットがどこへ流れたかを記録し、問題が起きたときに仕入れ元へさかのぼる(遡及)・出荷先を追う(追跡)ことができる機能です。
- 賞味期限・消費期限の管理(FEFO):期限の情報を在庫に持たせ、期限の近いものから先に引き当てて出荷するFEFO(First Expired, First Out)に対応します。得意先ごとの納品可能な残日数の条件を踏まえた出荷の制御も含みます。
- 配合(レシピ)管理:原料の配合表をもとに所要量を計算し、製造指示や原材料の手配につなげる機能です。レシピの改訂履歴や、代替原料への切り替えを管理できる製品もあります。
- 不定貫への対応:精肉や鮮魚、チーズのように1個ずつ重量が異なる商品を、実重量で価格計算・在庫管理する仕組みです。不定貫は法律で定義された用語ではなく、食品業の商慣習として扱われます。
- 連産品・歩留まりを踏まえた原価管理:1つの原料から複数の製品や副産物ができる場合の原価配分や、歩留まりの変動を原価に反映する計算に対応します。プロセス製造に固有の論点です。
- HACCP対応の記録・監査証跡:衛生管理の計画や実施記録、温度や検査の記録を残し、取引先監査や行政の確認に備えます。ERPはこれらの記録を仕組みとして残す手段になります。
- 生産管理(需給計画・製造指図・工程管理):需要にもとづく生産計画から、製造指図、工程の進捗、実績の収集までをつなぎ、販売・在庫・原価と連動させます。
このうちトレーサビリティは、食品の安全を支える基本的な取り組みです。農林水産省は食品トレーサビリティを次のように説明しています。
食品トレーサビリティとは、「食品の移動を把握できること」
各事業者が食品を取扱った際の記録を作成し保存しておくことで、食中毒など健康に影響を与える事故等が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ(遡及)、どこに行ったかを調べること(追跡)
出典:食品のトレーサビリティ|農林水産省
食品業全般では、入出荷の記録を作成・保存する取り組みとして推進されており、一律の法的義務ではありません。ただし牛・牛肉は牛トレーサビリティ法、米・米加工品は米トレーサビリティ法により、該当する事業者に記録や伝達が義務づけられています。自社が扱う品目が個別法の対象かどうかは、あわせて確認しておくと安心です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:食品のトレーサビリティ|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trace/index.html)
- 参考資料:牛・牛肉のトレーサビリティ|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/trace/index.html)
- 参考資料:米トレーサビリティ法について|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/beikoku/index.html)
賞味期限と消費期限は、どちらも食品表示基準(食品表示法にもとづく内閣府令)で定義されています。在庫や出荷の管理でこの2つを正しく扱うには、まず定義の違いを押さえておく必要があります。
消費期限 定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。
賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。
出典:食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第二条第一項第七号・第八号|e-Gov法令検索
FEFOは、この期限の情報を在庫の引き当てや出荷に適用する実務上の考え方です。期限の近いものから先に出すことで、販売できずに廃棄するロスを抑えます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第二条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/427M60000002010)
HACCPに沿った衛生管理は、食品衛生法の改正により、原則としてすべての食品等事業者が取り組む対象になりました。厚生労働省は次のように案内しています。
令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者の皆様にHACCPに沿った衛生管理に取り組んでいただくことになりました。
出典:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省
ここで求められるのは、衛生管理の計画を定めて実施し、記録を残すことであり、ERPの導入そのものが義務づけられているわけではありません。ただし、温度や検査の記録、衛生チェックの履歴をシステムで残せれば、取引先監査や行政の確認に備える証跡づくりの手間が軽くなります。食品業向けERPの中には、こうした記録をタブレットなどで入力し、生産や在庫の記録と一体で保存できる製品もあります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
- 参考資料:食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第五十一条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233)
食品業向けERPのタイプ
食品業向けERPは、製品の成り立ちから大きく2つのタイプに分けられます。どちらを土台に選ぶかで、導入後の使い勝手や広げ方が変わります。ここでは2つのタイプの特徴と、自社に合うのはどちらかを考える視点を整理します。

食品業に特化したERP/生産管理
食品や加工食品の製造・卸を対象に、最初から食品の商慣習に合わせて作られたタイプです。食品に特化したERPのほか、製造現場向けに作られた生産管理システムで食品にも使えるものも、この成り立ちに含みます。ロットや期限、配合、不定貫、連産品の原価、トレーサビリティといった機能を標準で備えていることが多く、導入時に大きな作り込みをしなくても食品業の業務に沿いやすいのが利点です。
一方で、対象とする業態や企業規模が製品ごとに分かれる傾向があります。食肉加工に強い製品、食品卸の販売管理に厚い製品、プロセス製造の配合・原価に踏み込んだ製品など、得意分野が異なるため、自社の業務に近いものを見極めることが重要になります。
汎用ERPを食品業向けに構成するタイプ
業種を問わず、会計・販売・購買・在庫・製造を一つの基盤で扱う汎用ERPを、食品業向けに設定・拡張して使うタイプです。期限やロット、配合といった食品特有の管理は、製造アプリや追加の設定で対応します。多拠点や海外展開、事業の成長に合わせて機能を広げやすく、グループ全体の基盤として選ばれることがあります。
食品特有の要件にどこまで標準で応えられるかは製品によって幅があります。食品メーカーでの導入実績を公表している製品もあれば、食品向けの機能や実績は限定的で、全社の基盤としての広さや拡張性を主な利点とする製品もあります。そのため、実際の食品製造での導入実績があるか、自社が必要とする機能を設定の範囲で賄えるかを、比較表で各製品の対応を確かめたうえで、資料請求や問い合わせで具体的に確認するとよいでしょう。
食品特化型と汎用型、どちらが自社に合うか
どちらのタイプが合うかは、食品業務の比重と、事業の広がり方で考えると判断しやすくなります。
ロットや期限、配合、不定貫といった食品の管理が業務の中心で、導入後すぐに現場で使える状態を重視するなら、食品に特化したタイプが近道になります。反対に、海外拠点やグループ会社を含めた全社の基幹業務をそろえたい、将来の事業拡大に合わせて機能を足していきたい、といった場合は、汎用ERPを食品業向けに構成するタイプが土台として適しています。
食品特有の機能をどこまで標準で必要とするか、そして基盤としてどこまで広げたいか。この2つの軸で自社の位置を確かめてから、次の選び方で候補を絞り込んでいきましょう。
食品業向けERPの選び方
ここからは、食品業向けERPを絞り込むときに確認したい観点を4つ紹介します。自社の生産方式や必要な機能、規模、費用に照らして、候補を見極める材料にしてください。
自社の生産方式・業態に対応しているか
まず押さえたいのが、製品がプロセス製造に対応しているかどうかです。前述のとおり食品業の多くはプロセス製造のため、配合表を起点に所要量や原価を計算できることが土台になります。離散製造向けの製番管理が中心の製品は、食品の配合・歩留まりの計算に合わないことがあります。
そのうえで、自社が食品メーカー(製造)なのか、食品卸(流通)なのか、あるいは両方かによっても必要な機能が変わります。製造が中心なら生産管理と原価、卸が中心なら受発注・在庫・期限管理の厚みが見るべきポイントになります。食肉のように不定貫の比重が高い業態では、不定貫への対応が選定の分かれ目になります。
必要な食品機能に標準で対応しているか
先に挙げた7つの機能要件のうち、自社の業務で欠かせないものを洗い出し、候補の製品がそれらに対応しているかどうかが確認ポイントになります。ここで見たいのは要件の意味ではなく、各機能が標準で備わっているのか、設定や追加モジュール・開発で対応するのか、という実装のかたちです。
標準で備わっていれば導入後すぐに使え、設定や拡張で対応する場合は初期の費用や期間が変わります。公式サイトで機能として明記されているか、資料や問い合わせで標準・オプションの別を確かめておくと、導入後の想定違いを防げます。特にトレーサビリティとHACCP対応の記録は、取引先監査に関わるため、どの範囲まで記録を残せるかを具体的に確認しておくと安心です。
企業規模・提供形態(クラウド/オンプレ)が合うか
製品ごとに想定する企業規模が異なるため、自社の従業員数や取引量に合うかどうかを確かめておきたいところです。数名から数十名の小規模な食品製造に向くクラウド型もあれば、中堅・大企業の多拠点運用やグループ連結を前提とした製品もあります。規模が合わないと、機能を持て余したり、逆に足りなくなったりします。
提供形態も重要です。クラウド型は初期費用を抑えて短期間で始めやすく、オンプレミス型は自社の要件に合わせた作り込みや既存システムとの連携がしやすい傾向があります。情報システム部門の体制や、既存の基幹システムとの連携方針に合うものを選ぶとよいでしょう。
導入・運用費用をどう見積もるか
食品業向けERPの料金は、公式サイトで金額を公開せず「要お問い合わせ」としている製品が多く見られます。これは、必要なモジュールや利用人数、作り込みの量によって費用が変わるためです。クラウド型では月額の利用料が示されている製品もありますが、導入支援の費用は別途見積もりとなるのが一般的です。
費用を見積もるときは、初期費用(導入支援・設定・データ移行)と、月額または年額の利用料、そして運用後の保守・サポート費用を分けて考えると見通しが立てやすくなります。食品特有の機能を標準で持つ製品と、汎用ERPを設定・拡張して対応する製品では、初期の作り込みにかかる費用の見え方が変わります。複数の製品に同じ前提で見積もりを依頼し、総額で比べると判断しやすくなります。
自社の条件に合う製品を効率よく見つけたい場合は、次の診断ツールもご活用ください。
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【比較表】食品業向けERPを機能・料金・対応業態で比較
ここからは、食品業向けERP17製品を、食品特有の機能要件と対応業態、企業規模、提供形態、料金で比較します。食品に特化したタイプから順に並べています。各製品名をクリックすると、詳しい紹介にジャンプできます。
表の記号は、◎=標準で手厚く対応、●=標準で対応、△=オプションや設定・拡張で対応(要確認を含む)、×=機能を持たない、―=公式サイトで確認できず(非対応とは限りません)を表します。各セルの補足もあわせてご確認ください。HACCP対応の記録を主な機能として掲げる製品は限られ、多くは衛生記録や帳票などで個別に対応するため、この列は「―」が多くなっています。
| サービス名 | クラウドERP GEN | アラジンオフィス | スーパーカクテルCore FOODs | Ross ERP | 生産革新 Blendjin | Hi-PerBT KIT3 | スマートF | SMILE V 2nd Edition FOODMASTER | うるとらミート | 豪商 | MACCA | Oracle NetSuite | Odoo導入・開発・業務統合支援 | SAP S/4HANA Cloud | mcframe | STRAMMIC | UM SaaS Cloud |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ・主な対応業態 | 食品特化型 食品・化粧品の製造〜卸・D2C(GEN KITCHEN) | 食品特化型(for foods) 食品の製造・卸・輸入商社 | 食品特化型 食品の製造・卸・小売 | 食品特化型 化学・食品などプロセス製造業 | 食品特化型(配合型製造) 食品・化学・医薬・化粧品の製造 | 食品特化型(テンプレート) 食品製造業(販売・生産を一元化) | 生産管理型 食品を含む製造業(必要機能を選択) | 食品特化型(販売管理) 食品卸業(製造機能なし) | 食品特化型(食肉加工特化) 食肉加工業者 | 食品特化型 食品製造業(製造・在庫・販売) | 食品特化型(HACCP対応) 食品製造業 | 汎用ERP型 多拠点・多通貨の成長・海外展開企業 | 汎用ERP型(オープンソース) 販売・在庫・会計などを一元化したい企業 | 汎用ERP型 海外拠点を含む全社基盤(プロセス製造含む幅広い業種) | 汎用ERP型(製造業特化) 中堅〜大企業の製造業(組立〜プロセス) | 汎用ERP型(製造業特化) 食品・医薬・化学のバッチ/プロセス製造+加工組立 | 汎用ERP型(Salesforce基盤) 金属加工・化学品が中心(食品実績は少数) |
| ロット管理・トレーサビリティ | △ロット管理に対応(トレースの明示なし) | ●食品向けパッケージで対応(標準/有償は要確認) | ●製品〜構成品の双方向トレース | ●上流・下流の双方向ロットトレース | ●製品⇄原料の双方向トレース | ●ロット単位の管理・追跡 | ●ロット管理・ロットトレース | ●自社ロット+メーカー製造番号で双方向追跡 | ●個体識別番号・ロット番号で追跡(トレサ法対応) | ●ロット別管理と双方向トレース | △生産履歴でトレース照会(ロット番号管理の仕様は要確認) | ●ロット・シリアル管理 | △Odoo在庫アプリで対応(要件に応じ構築) | △設定・構成で対応(食品特有管理は標準外) | ― | ― | ― |
| 賞味期限・期限管理(FEFO) | △消費期限管理に対応(FEFOの明示なし) | ●賞味期限アラート・1/3ルール | ●賞味・消費・有効期限で出荷管理 | △有効期限管理に対応(FEFOの明示なし) | △有効期限管理(賞味期限・FEFOの明示なし) | △賞味期限管理は食品卸向けテンプレート中心(製造向けは要確認) | ●期限管理・先入れ先出し | ●賞味期限の警告・逆転チェック・先入れ先出し支援 | △賞味期限管理の記載あり(機能仕様は要確認) | ●賞味期限による出荷制限 | ●原料〜製品の賞味期限管理(期限の短いものから消費) | ●先入れ先出し(FEFO)に対応 | ― | △設定・構成で対応 | ― | ― | ― |
| 配合・レシピ管理 | ― | △生産管理オプション(工程別レシピ) | ― | ●レシピ(配合)管理 | ◎配合表・多段階配合に対応 | ― | ― | ×販売管理系(製造機能なし) | ― | ●製品レシピ登録 | △レシピ管理(配合比率の按分は要確認) | ― | ― | △設定・構成で対応 | ― | ― | ― |
| 不定貫 | ― | △追加モジュール等で対応(要確認) | ― | ●不定貫の二重単位管理 | ― | ― | △食品向けで対応の記載(仕様は要確認) | ― | △計量器連携・量目表(不定貫の明記なし) | ●受発注〜出荷まで不定貫対応 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| 原価管理(連産品・歩留まり) | ― | △生産管理オプション(歩留・原価シミュレーション) | ●実際原価と歩留まり率を算出 | △標準・実際原価(歩留まり・副産物按分は要確認) | ― | △受注〜製造〜原価を一貫管理(歩留まりは要確認) | ●品番・ロット別の実際原価(歩留まりの明示なし) | ×販売管理系(原価機能なし) | ●加工歩留まりの把握・原価シミュレーション | ●標準・実際原価と歩留まりの比較 | ― | ― | ― | △管理会計(CO)で対応(食品特有は構成次第) | ●総合原価計算・個別原価計算に対応 | ●ABC配賦・複数原価種別で管理(歩留まりの明示なし) | ●品目別・ロット別の原価内訳(歩留まりの明示なし) |
| HACCP対応の記録 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ◎HACCPの計画・記録・衛生チェックをタブレットで管理 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| 生産管理(需給・製造指図) | △受注〜製造〜出荷を一元管理 | △生産管理オプション(所要量・製造指示) | ●生産計画・所要量・製造指示 | ●生産管理を標準装備 | ●生産計画・発注/生産指示 | ●PSI管理・製造指図書 | ●工程管理など生産管理を提供 | ×販売・購買・在庫領域のみ | △加工指示・加工実績(需給計画の記載なし) | ●製造計画・製造指示書 | ●生産計画・所要量・製造指示(複数ライン) | ●製造特化版で工程・組立・需要計画(離散/BOM中心) | △Odoo本体の製造アプリで拡張可(導入範囲は要相談) | ●生産を含む全領域を統合(食品特有は設定・構成) | ●各種生産形態に対応(需給・製番管理) | ●生産計画・MRP・製造 | ●生産計画・所要量・進捗管理 |
| 対象企業規模 | 記載なし | 記載なし | 従業員数名〜数百名規模 | 小規模〜大規模(規模に応じた構成) | 記載なし | 従業員50名以上・売上100億円以上(公式サイト未記載・第三者媒体の記載) | 中小〜中堅(導入事例) | 記載なし | 記載なし(食肉加工業者向け) | 中小・零細の食品メーカー | 10〜100名規模の中小食品製造業 | 中堅・中小〜成長企業 | 中小企業中心(公式に明記なし) | 中堅〜大企業 | 中堅〜大企業の製造業 | 記載なし | 中堅・中小企業(公式サイト未記載・第三者媒体の記載) |
| 提供形態 | クラウド | オンプレミス/クラウド(アラジンクラウド) | クラウド | 要確認 | オンプレミス(パッケージ) | オンプレミス(公式未明記) | クラウド | 要確認 | 要確認 | オンプレミス(基本)/AWS等でクラウド利用 | クラウド | クラウド | クラウド/オンプレミス/ハイブリッド | クラウド(Public/Private)・オンプレミス | クラウド(mcframe X)/オンプレミス(mcframe 7) | クラウド/オンプレミス/データセンター型 | クラウド(Salesforce基盤) |
| 料金 | 基本月額20,000円+1アカウント3,800円(税別) 公式の5アカウント料金例は44,850円(保守費相当を含むとみられる)、初期費用は要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ(事業規模・業種に応じた個別見積もり) | 要問い合わせ(同時接続ユーザー数ライセンス) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期・サポート費50万円〜+月額5万円〜 公式の目安、機能数等で変動 | 要問い合わせ | 要問い合わせ(必要機能を選んで見積もり) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(3ライセンス込みの基本構成、無料トライアルあり) | 要問い合わせ 基本ライセンス+モジュール+ユーザー数、別途初期費用 | Odooライセンス Standard月額31.10米ドル/Custom61.00米ドル(1ユーザー・年契約) 導入・保守費は要問い合わせ | 要問い合わせ(個別見積もり) FUEライセンス、30日無料トライアルあり | 要問い合わせ(個別見積もり) | 要問い合わせ | 基本パック月額35,000円+UM工程進捗・UM販売購買 各15,000円(10ID・税抜・年契約) 導入費用は個別見積もり |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
食品業向けERP17製品をタイプ別に紹介
ここからは、各製品の特徴を個別に紹介します。食品に特化したタイプと、汎用ERPを食品業向けに構成するタイプの2つに分けて取り上げます。
食品業に特化したERP/生産管理
まず、食品や加工食品の業務に合わせて作られた製品を紹介します。ロットや期限、配合、不定貫などを標準で扱える製品が中心です。
1. クラウドERP GEN(ジェン)(GEN株式会社)

GEN株式会社が開発する、ノーコード型のクラウドERPです。業種別に9つのラインナップを用意しており、食品・化粧品を扱う企業向けには「GEN KITCHEN」があります。
GEN KITCHENは消費期限管理とロット管理を備え、受注から製造、在庫、出荷、販売委託、請求・入金までを一つの流れで扱います。卸売(B2B)と直販(D2C)が混在する業態に対応し、帳票編集や掛け率設定、画面の追加などをプログラミングなしで設定できます。
料金は基本料金が月額20,000円(税別)、これにGEN KITCHENでは1アカウントあたり月額3,800円(税別)が加わる体系です。公式サイトには5アカウント契約の料金例として月額44,850円(税別)が示されており、基本料金とアカウント単価の単純合計より高いため、保守・サポート費相当が含まれるとみられます(内訳は公式サイトに明示されていません)。初期費用は要問い合わせです。
2. アラジンオフィス(株式会社アイル)

株式会社アイルが提供する、販売・在庫・購買管理を中核とした統合型の業務パッケージです。業種・業態ごとの商習慣に合わせた特化パッケージを用意しており、食品業向けには「アラジンオフィス for foods」があります。
食品業向けのパッケージでは、ロットNo.単位の在庫管理、前回より古い賞味期限の入力を知らせるアラート、取引先ごとの納入可能な残日数(1/3ルール等)の設定、トレースフォワード・トレースバックの照会に対応します。バラ・ボール・ケースといった荷姿別の単価・在庫管理も扱え、工程別のレシピ登録や生産計画を含む生産管理はオプションです。
提供形態はオンプレミスのパッケージと、クラウドの「アラジンクラウド」から選べます。導入実績は6,000社以上、ユーザーリピート率は98.4%(2026年7月末時点)と公式サイトに記載されています。料金は要問い合わせです。
3. スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行ITソリューションズ)

食品業の商習慣に合わせたクラウド型のERPパッケージで、内田洋行グループの株式会社内田洋行ITソリューションズが提供しています。販売(在庫)・生産・原価の3つの基本モジュールで構成され、モジュール単位での段階的な導入ができます。
賞味期限・消費期限・有効期限に応じた在庫管理と、得意先ごとの取引条件に沿った出荷を支えるロット出荷支援の機能を備えます。製品・半製品から構成品をたどるトレースバック・トレースフォワードにも対応します。原価では、工場・ライン・製品ごとに原材料費を積み上げ、実際原価と歩留まり率を算出できます。
従業員数名から数百名規模の食品製造・卸・小売を対象としています。料金は事業規模や業種に応じた個別見積もりです。
4. Ross ERP(株式会社日立システムズ)

開発元のApteanが提供し、日本では株式会社日立システムズが販売・導入支援を担う、化学や食品などプロセス製造業向けのERPパッケージです。生産・在庫・原価管理の機能を標準装備したオールインワン構成と説明されています。
レシピ(配合)による原材料の調合と製造工程の管理に対応し、品目ごとに数量と重量など複数の単位での受払や、比重・濃度による自動換算を扱えます。原材料の購買から製品出荷まで各ロットを上流・下流の双方向で追跡でき、ロット単位で消費期限や品質検査結果、顧客別の規格値を照会できます。
原価管理は標準原価と実際原価の両方に対応し、原価シミュレーションも行えます。導入実績は公式のFAQに世界2,500社以上・国内100社以上(2016年7月時点)と記載されています。料金はライセンスが同時接続ユーザー数にもとづく体系で、金額は要問い合わせです。
5. 生産革新 Blendjin(ブレンドじん)(株式会社大塚商会)

株式会社大塚商会が販売する、配合を中心とした製造業向けの生産管理システムです。基幹業務システム「SMILE V 2nd Edition」上で提供され、乳製品・調味料・飲料などの食品製造のほか、化学・医薬品・化粧品も対象としています。
配合表(レシピ)をもとに原材料の発注指示と生産指示を行い、中間品や共通材料を段階的に扱う多段階配合に対応します。「製品→原料」「原料→製品」の双方向でロットをたどるトレース機能や、原料・半製品・受注品のロットNoごとの有効期限管理も備えます。計量・配合ミスの防止では、トレーサビリティシステム「Trace eye」と連携します。
販売管理を標準で備え、検査仕様書や試験結果表といった品質関連の帳票も発行できます。料金は公式ページに記載がなく、問い合わせによる個別見積もりです。
6. Hi-PerBT KIT3(株式会社日立ソリューションズ西日本)

業種別のテンプレートをもとに自社の業務へ合わせていく「イージーオーダー」方式の基幹業務パッケージです。株式会社日立ソリューションズ西日本が提供し、販売管理と生産管理を一元化するもので、食品製造業向けのテンプレートを用意しています。
食品製造業向けテンプレートは、生産・販売・在庫の情報を一元管理し、需給を調整するPSI(生産・販売・在庫)管理を扱います。ロット単位での管理・追跡、所要量計算にもとづく発注候補の自動生成、製造指図書の出力に対応し、入荷検査や棚卸はハンディターミナル・タブレットから入力できます。料金は公式サイトに記載がなく、要問い合わせです。
7. スマートF(SmartF)(株式会社ネクスタ)

150以上の機能から必要なものだけを選び、1機能・1部署からでも始められるクラウド型の生産管理システムです。株式会社ネクスタが提供し、食品製造業向けの導入事例も公開しています。
在庫管理では、ロット管理とバーコードによるロットトレース、期限管理、先入れ先出しに対応します。品番・ロットごとに実際原価を見える化し、標準原価との予実管理も行えます。入出庫や棚卸、検品はハンディ端末やスマートフォンから記録します。
公式サイトの食品向けページには、初期・サポート費用が50万円から、月額使用料が5万円からという目安が示されています(いずれも機能数やライセンス数で変動)。導入支援付きのトライアルも用意されています。
8. SMILE V 2nd Edition FOODMASTER(株式会社大塚商会)

食品卸業に向けた販売管理システムで、株式会社OSKが開発し、株式会社大塚商会が販売しています。基幹業務システム「SMILE 販売」をベースに、食品の商習慣への対応や、トレーサビリティに必要な機能を加えた構成です。
賞味期限は商品ごとの有効日数で管理し、売上処理時に期限が近い・過ぎている商品を警告するほか、前回出荷より古い賞味期限のロットを防ぐ逆転チェックや、先入れ先出しを支える有効期限確認リストを備えます。仕入時には自社ロットを自動採番し、メーカーの製造番号をサブロットとして記録することで、メーカー方向・得意先方向の双方向にロットをたどれます。
バラ・ボール・ケースなど最大4種類の荷姿を管理でき、荷姿別・得意先別・数量別の単価設定にも対応します。生産管理は含まない販売・購買・在庫領域の製品で、料金は要問い合わせです。
9. うるとらミート(株式会社オプティマ)

食肉加工業者に向けた業務システムで、株式会社オプティマが提供しています。仕入から加工、在庫、出荷、売上、請求、支払までを扱い、枝肉の仕入管理や加工指示・加工実績の入力に対応します。
計量器と連携して計量実績を取り込み、1頭・1ロット単位の量目表を作成できます。トレーサビリティでは個体識別番号やロット番号による照会・台帳の出力に対応し、牛トレーサビリティ法(トレサ法)への対応をうたっています。ハンディターミナルのバーコード読み取りによる入出荷・棚卸も行えます。
枝肉の解体照会や解体表で加工の歩留まりを把握でき、評価単価を入力して原価をシミュレーションする機能も備えます。料金は要問い合わせで、必要な機能を選んで見積もる方式です。
10. 豪商(ごうしょう)(株式会社プラネックス)

全国の食品企業およそ5,000社へのアンケートをもとに開発された、食品業向けの製造・在庫・販売管理パッケージです。株式会社プラネックスが開発・提供し、標準機能にオプションやカスタマイズを組み合わせて導入します。
ロットNo.に仕入日・仕入先・賞味期限・産地を紐づけて倉庫別・ロット別に在庫を管理し、製品ロットから原材料ロットへさかのぼるトレースと、その逆方向のトレースに対応します。前回出荷より新しい賞味期限のロットだけを出す、といった賞味期限による出荷制限も設定できます。精肉などで必要になる不定貫にも対応し、数量と重量の両面で在庫を把握します。
製品レシピをもとにした標準原価と実際原価・歩留まりの比較や、弥生会計・勘定奉行などへの仕訳連携も行えます。提供形態はオンプレミスが基本で、AWSなどと組み合わせたクラウド利用にも対応します。導入実績は公式サイトで470社以上と示されています。
11. MACCA(マッカ)(株式会社ミュートネット)

HACCPに対応した食品製造業向けの生産管理システムです。株式会社ミュートネットが提供し、HACCPの運用に必要な計画・記録・確認・保存を軸に、受注・在庫・出荷から製造指示、従業員の衛生チェック記録までを扱います。
受注や在庫から生産計画を作成し、所要量の算出と在庫の引き当て、複数ラインへの製造指示、製造日報の出力に対応します。原料・半製品・製品の賞味期限を管理し、期限の短いものから使えるようにします。製造現場での衛生チェックはタブレットから入力でき、紙の記録をなくせます。
ブラウザで使うクラウド型で、主に10〜100名規模の中小食品製造業を対象としています。PCまたはタブレット3ライセンス分を含む基本構成で、料金は要問い合わせ、一定期間の無料トライアルも用意されています。
汎用ERPを食品業向けに構成するタイプ
続いて、全社の基幹業務を広く扱う汎用ERPのうち、食品業で使える製品を紹介します。食品メーカーでの導入実績を公表している製品もあれば、食品向けの機能や実績は限定的でも、多拠点・海外・成長に対応する全社基盤としての広さを利点とする製品もあります。食品特有の管理をどこまで標準で満たせるかは、比較表で各製品の対応をあわせてご確認ください。
12. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuiteは、財務会計・販売・購買・在庫・製造を一つのクラウド基盤に統合した統合基幹業務システムで、日本オラクル株式会社が国内の提供を担います。27言語・190以上の通貨に対応し、世界200か国以上・44,000社以上(2026年10月時点)で利用されています。
食品業で使う場合は、在庫のロット・シリアル管理が期限の近いものから引き当てる先入れ先出し(FEFO)に対応します。日本向けには製造業に特化した「SuiteSuccess Manufacturing Edition」も用意され、多階層の部品表にもとづく工程・組立管理や、日本の請求・税務・商習慣に合わせた機能を備えます。
料金は公式には公開されておらず、基本ライセンス・利用モジュール・ユーザー数の組み合わせに応じた個別見積もりで、導入時には別途初期費用がかかります。多拠点・多通貨での一元管理を見据える成長企業や海外展開企業に向く構成です。
13. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

こちらは、ベルギーのOdoo S.A.が開発するオープンソースERP「Odoo」の導入を支援するサービスで、Odoo Learning Partnerの株式会社マルウェブが提供します。Odooは販売・在庫・会計・CRMなど80種類以上のアプリから、自社で使うものだけを選んで組み合わせる仕組みです。
マルウェブは、要件定義とフィット&ギャップ分析から、カスタマイズ開発、外部システム連携、データ移行、研修、保守までを一貫して支援します。食品業では、同社の公式サイトが食品製造の株式会社湖池屋をOdooの導入事例として紹介しており、販売・購買・在庫・製造・会計の各プロセスをOdooで統合したと説明しています。
Odooのライセンスは、年間契約でStandardが1ユーザー月額31.10米ドル、Customが同61.00米ドル(2026年10月時点)で、使うアプリの数にかかわらずユーザー数で料金が決まります。これに加えてマルウェブの導入・カスタマイズ・保守の費用がかかり、金額は要問い合わせです。
14. SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン株式会社)

SAP S/4HANA Cloudは、ドイツのSAP SEが開発し、日本ではSAPジャパン株式会社が提供する統合基幹業務システムのクラウド版です。SAP HANAというインメモリデータベースを基盤に、財務会計・調達・在庫・生産・販売・人事までを単一のデータ基盤で扱います。
提供形態は、標準機能に業務を合わせて短期間で導入するPublic Editionと、独自のカスタマイズや既存SAPからの移行に向くPrivate Editionに分かれます。食品のようなプロセス製造を含む幅広い業種で使われ、ロットや期限といった食品特有の管理は設定や構成で対応する形になります。
料金は公式の定価表が公開されておらず、規模やモジュール構成に応じた個別見積もりが前提です。多通貨・多言語に対応するため、海外拠点を含めた全社の基幹基盤をそろえたい企業に向きます。30日間の無料トライアルも用意されています。
15. mcframe(ビジネスエンジニアリング株式会社)

mcframeは、ビジネスエンジニアリング株式会社が開発・販売する国産の製造業向け基幹業務パッケージです。単一の製品ではなく、生産・販売・在庫を統合する「mcframe 7」、クラウド型の「mcframe X」、海外現地法人向けの「mcframe GA」などからなる製品ファミリーとして展開されています。
組立加工からプロセス製造まで業種を問わず対応し、食品のようなプロセス製造では、連続生産向けの総合原価計算と個別受注生産向けの個別原価計算の両方を扱えます。標準原価・実際原価に加え、予算原価のシミュレーションにも対応します。
料金は公式サイトに価格表がなく、導入形態やモジュール、ユーザー数に応じた個別見積もりです。累計導入社数の最新値は公式に公開されていませんが、過去のプレスリリースでは2022年時点でグループ会社を含めて700社を超えると示されていました。
16. STRAMMIC(ストラミック)(株式会社アミック)

STRAMMICは、株式会社アミックが開発・販売する製造業向けの基幹業務システムで、食品・医薬品・化学品を中心としたバッチ・プロセス製造と、加工組立型の製造の両方を対象としています。販売物流・生産・調達・原価の4つのモジュールで構成され、単体でも組み合わせても導入できます。
原価管理では、活動基準原価計算(ABC)にもとづく配賦基準を自社で設定でき、複数の原価種別を並行して管理・比較できます。食品業では、友桝飲料・丸美屋食品工業・ハーゲンダッツジャパンなどの導入が公式サイトで公表されています。
提供形態は、AWSやAzureなどに構築するクラウドのほか、オンプレミス、データセンター型から選べます。料金は公式サイトに記載がなく、資料請求や問い合わせによる個別見積もりが前提です。
17. UM SaaS Cloud(株式会社シナプスイノベーション)

UM SaaS Cloudは、株式会社シナプスイノベーションが提供する、Salesforceを基盤とした製造業向けのクラウドERPです。見積から受発注、生産計画、在庫、原価までを業務領域ごとのモジュールで選んで導入でき、個別受注から見込み生産まで、組み立て・加工・プロセスの各生産形態に対応します。
食品特有のロット管理やトレーサビリティ、賞味期限、配合(レシピ)の管理については公式サイトに記載がなく、必要な場合は標準機能かアドオンかを個別に確認する必要があります。食品製造の導入事例としては一蘭が公表され、実在庫の精度が99.9%を超えたと同社の事例ページに記載されています。
料金は公式サイトで公開されており、UM基本パック(Business Edition)が月額35,000円、業務モジュールのUM工程進捗とUM販売購買が各月額15,000円(いずれも10IDあたり・税抜・年間契約)です。導入費用は個別見積もりとなります。
まとめ
食品業向けERPを選ぶときは、まず自社がプロセス製造に当たることを前提に、ロット・賞味期限(FEFO)・配合・不定貫・連産品の原価・トレーサビリティ・HACCP対応の記録という食品特有の要件を、どこまで標準で必要とするかを整理することが出発点になります。
そのうえで、食品に特化したタイプと、汎用ERPを食品業向けに構成するタイプのどちらが自社の業務と事業の広がりに合うかを見極め、生産方式・必要な機能・企業規模・費用の観点で候補を絞り込みましょう。気になる製品が定まったら、標準対応かオプションかといった実装の範囲や費用を、資料請求や問い合わせで具体的に確かめてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 食品業向けERPとは何ですか?
A. 食品業向けERPとは、販売・購買・在庫・生産・原価・会計といった基幹業務を一つの基盤でつなぎ、ロット・賞味期限(期限)・配合(レシピ)といった食品固有の管理まで標準で扱えるようにしたシステムです。汎用のERPや会計・販売ソフトと異なり、食品の商慣習に合わせた機能をあらかじめ備えている点が特徴で、食品メーカーや食品加工・食品卸の基幹システムとして使われます。
Q. 食品業向けERPは原材料から出荷までロットを追跡できますか?
A. 食品業向けERPの多くは、原材料・半製品・製品のロットをひも付けて記録し、仕入れ元へさかのぼる遡及と出荷先を追う追跡の双方向トレースに対応しています。ただし追跡できる範囲や粒度は製品によって異なり、製造を含めて一気通貫で追えるものもあれば、販売・在庫の範囲にとどまるものもあります。本記事の比較表で製品ごとの対応を確認し、自社の遡及・追跡の要件に合うかを見極めてください。
Q. 食品業向けERPの導入は、HACCP対応のために法的に義務づけられていますか?
A. 食品業向けERPの導入そのものは、法的に義務づけられているわけではありません。HACCPに沿った衛生管理は、食品衛生法の改正により令和3年6月から原則としてすべての食品等事業者が取り組む対象となりましたが、求められるのは衛生管理の計画・実施と記録の保存であり、特定のシステムの導入ではありません。
ただし温度や検査、衛生チェックの記録をERPで残せれば、取引先監査や行政の確認に備える証跡づくりの手間を軽くできます。
Q. 食品業向けERPは中小規模の食品製造でも導入できますか?
A. 食品業向けERPには、数名〜数十名規模の食品製造に向くクラウド型の製品があり、中小規模でも導入できます。必要な機能だけを選んで小さく始められる製品や、HACCP対応の記録を軸にした製品もあります。一方で、中堅・大企業の多拠点運用やグループ連結を前提とした製品は機能を持て余すことがあるため、自社の規模に想定が合う製品を選ぶことが大切です。
Q. 食品卸(製造を行わない)でも使える食品業向けERPはありますか?
A. 食品卸向けに、製造機能を持たず販売・購買・在庫とロット・賞味期限の管理に絞った製品があります。自社ロットと仕入れ先のメーカー製造番号をひも付けた追跡や、賞味期限の警告・逆転チェック・先入れ先出しの支援など、流通で必要になる機能を備えています。製造も行う場合は生産管理や原価管理まで扱える製品が候補になるため、自社の業務範囲に合わせて選ぶとよいでしょう。
Q. 食品業向けERPは導入後に自社の業務に合わせてカスタマイズできますか?
A. 食品業向けERPは、設定変更やオプションの追加、アドオン開発によって、自社の業務に合わせて調整できる製品が多くあります。オープンソースの汎用ERPのように柔軟に作り込めるものもあれば、食品特化型のパッケージのように標準機能を中心に設定の範囲で合わせるものもあります。
カスタマイズの自由度が高いほど初期の費用や期間が増える傾向があるため、どこまで標準で賄えるかを資料請求や問い合わせで確かめておくと安心です。
Q. 食品業向けERPの費用相場はどのくらいですか?
A. 食品業向けERPは、必要なモジュールや利用人数、作り込みの量で費用が変わるため、公式サイトで金額を公開せず「要お問い合わせ」としている製品が多いのが実情です。クラウド型では月額数万円から利用料を示す製品もありますが、導入支援の費用は別途見積もりとなるのが一般的です。
初期費用(導入支援・設定・データ移行)、月額または年額の利用料、運用後の保守・サポート費用を分けて、複数の製品に同じ前提で見積もりを依頼すると比べやすくなります。
Q. 食品業向けERPの導入から運用開始まではどのくらいかかりますか?
A. 食品業向けERPの導入期間は、製品のタイプと作り込みの量によって幅があり、一概には決まりません。食品特有の機能を標準で備えたクラウド型は比較的短い期間で始めやすく、汎用ERPを食品業向けに設定・拡張する場合や、多拠点・大規模での導入では、要件定義や開発・データ移行に時間がかかりやすくなります。具体的な期間は、対象範囲とカスタマイズの程度を前提に、各社へ確認することをおすすめします。
Q. 食品業向けERPのサポート体制はどう見極めればよいですか?
A. サポート体制は、導入支援の範囲、運用開始後の保守・問い合わせ対応、そして自社と同じ業態・規模での食品業の導入実績を確認すると見極めやすくなります。
食品特有の運用(期限・ロット・配合・原価)に踏み込んだ支援ができるか、トラブル時の連絡窓口や対応時間はどうかも、資料請求や問い合わせの段階で具体的に聞いておくとよいでしょう。導入実績や事例が公表されている製品は、同様の課題への対応経験を判断する材料になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















