ERPの導入や刷新を決めたものの、「自社だけで要件をまとめきれるか」「どの会社に相談すれば失敗しないか」で足が止まっていませんか。基幹システムの老朽化やレガシーシステムの刷新は、多くの企業で依然として経営課題です(経済産業省が「2025年の崖」と呼んで警鐘を鳴らした問題です)。
一方で、ERP導入は業務とシステムの両面にまたがる大がかりなプロジェクトで、支援してくれる相手選びがそのまま成否を左右します。
ERPの導入を支援する会社には、経営改革から入る総合系コンサルティングファーム、特定製品に強いベンダーやSIer、中立の立場で製品選定から伴走する独立系コンサル、特定業種に精通した会社など、立ち位置の異なる相手が混在します。候補が多いうえに各社が自社の強みを前面に出すため、「自社の規模・業種・導入したい製品に、どの相手が合うのか」が見極めにくいのが実情です。
本記事では、ERP導入を支援するコンサル・導入支援会社を比較・解説します。相談先の種類・選び方・費用の決まり方・失敗しない進め方を整理しましたので、相談先を絞り込むための判断材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合う相談先のタイプを最短で把握できるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。あわせてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
ERP導入コンサル・導入支援会社とは
はじめに、ERP導入を支援する会社がどんな役割を担い、ERPベンダーやSIerとどう違うのかを整理します。相談先の全体像をつかむと、このあとの選び方や比較が理解しやすくなります。
ERP導入支援の役割と支援範囲
ERP導入コンサル・導入支援会社は、企業がERP(統合基幹業務システム)を導入・刷新する一連のプロジェクトを、業務とシステムの両面から支援する役務を提供します。単にシステムを構築するだけでなく、経営課題の整理から定着化までを見据えて伴走する点が特徴です。
支援の範囲は会社によって幅がありますが、一般的には次の工程に分かれます。上流から関わるほど、業務の見直しや製品選定そのものにまで踏み込みます。
- 構想策定:経営課題の整理、As-Is/To-Beの描画、導入目的と範囲の明確化、投資計画の立案
- 製品・ベンダー選定:要件に合うERP製品の比較、提案依頼書(RFP)の作成支援、ベンダー評価
- 要件定義・構築:業務要件の整理、設定・開発、テスト、データ移行
- 運用・定着化:稼働後の運用保守、利用者教育、業務への定着支援、PMO(プロジェクト管理支援)
どの工程をどこまで担うかは相談先によって異なります。上流の構想策定だけを支援する会社もあれば、構築・運用まで一貫して引き受ける会社もあり、自社に不足している部分を補える相手を選ぶことが出発点になります。
SIer・ERPベンダーとの違い
ERP導入の相談先は、立ち位置によって提案の中立性が変わります。違いを押さえておくと、提案を受けたときに「誰の視点からの助言か」を見分けやすくなります。
ERPベンダーは自社製品の提供者で、その製品を前提に導入を支援します。SIer(システムインテグレーター)は構築・開発の実装を主に担い、取り扱う製品の導入に強みを持ちます。いずれも実装力は高い一方で、提案は取り扱う製品に寄りやすい面があります。
これに対して独立系のERPコンサルは、特定の製品に縛られない立場から、経営課題に照らして製品選定や業務改革を提案できるのが特徴です。ただし、構築の実作業は別のベンダーが担うことも多く、「どこまで自社で実装するのか」は会社ごとに確認が必要になります。
製品が既に決まっているなら製品に強いベンダー・SIer、製品選定から迷っているなら中立的なコンサル、というように、自社の状況によって適した立ち位置は変わります。
どのERP製品にするかがまだ固まっていない場合は、相談先を決める前に製品そのものの当たりをつけておくと、要件や予算の話がスムーズに進みます。主要なERP製品を企業規模・提供形態・費用で比較した記事をあわせてご確認ください。
ERP導入にコンサル・支援会社を活用するメリットと注意点
ここでは、外部に支援を頼む価値と、頼むからこそ生じる落とし穴の両面を整理します。期待と注意点をあらかじめ把握しておくと、依頼範囲を決めやすくなります。
活用するメリット
ERP導入は多くの企業にとって頻繁には経験しないプロジェクトです。外部の支援を活用する最大の利点は、導入のノウハウと客観的な視点を補える点にあります。
- 導入ノウハウの補完:数多くの導入を経験した専門家が、要件の抜け漏れや典型的な失敗パターンを事前に避ける助言をします。
- 関係者間の調整:経営層・各業務部門・情報システム部門・ベンダーの間に立ち、利害の調整やプロジェクト管理を担うことで、社内の負荷を軽減します。
- 導入リスクの低減:構想段階で目的と範囲を明確にし、製品選定の妥当性を第三者の視点で検証することで、要件の膨張や稼働後の定着不全といったリスクを抑えます。
事前に知っておきたい注意点
一方で、外部に頼ることで生じる注意点もあります。依頼の仕方を誤ると、費用に見合う効果が得られないこともあるため、あらかじめ理解しておきましょう。
- 社内にノウハウが残りにくい:すべてを任せきりにすると、プロジェクトの判断根拠や運用の勘所が社内に蓄積されず、稼働後の改善を自力で進めにくくなります。
- 費用が高額になりやすい:支援範囲が広がるほど費用はふくらみます。どこまでを外部に任せ、どこからを自社で担うかの線引きがないまま依頼すると、想定を超える支出につながります。
- 担当者の力量に左右される:会社の看板が有名でも、実際に自社を担当するコンサルタントの経験はプロジェクトごとに異なります。契約前に、担当者の実績や体制を具体的に確認することが欠かせません。
ERP導入の相談先にはどんな種類があるか
ここからは、ERP導入の相談先を種類ごとに整理します。同じ「ERP導入支援」でも、立ち位置によって得意な領域や向く企業が異なります。自社がどの種類の相手を探しているのかを見定めることが、候補の絞り込みの近道です。全体像は次のとおりで、以降で各タイプを順に解説します。

総合系コンサルティングファーム
経営戦略から業務改革、システム導入までを一気通貫で手がける大手のコンサルティングファームです。大企業や大規模グループの基幹システム刷新、グローバル展開を伴う大型プロジェクトに強みを持ちます。経営課題の上流から関わり、全社最適の視点で変革を進めたい企業に向きます。一方で、小規模な導入には費用面で見合いにくい傾向があります。
ERPベンダー・SIerの導入支援
特定のERP製品に精通し、その製品の構築・開発・運用までを担うタイプです。導入したい製品がすでに決まっている場合や、グローバル対応・大規模な実装が必要な場合に、確かな実装力を期待できます。製品に特化しているぶん、その製品の機能を引き出す設定やカスタマイズに強い反面、製品選定そのものを中立に相談する相手としては向きません。
独立系・中堅中小特化のコンサル
特定の製品ベンダーに属さず、中立の立場で製品選定や構想策定を支援する会社です。複数のERP製品を比較して自社に合うものを選びたい、製品ありきではなく経営課題から整理したい、という企業に向きます。中堅・中小企業向けに、クラウドERPやオープンソースERPの導入を手の届く規模で支援する会社もあり、大手ファームには依頼しにくい規模のプロジェクトでも相談しやすいのが利点です。
業種特化型の支援
製造業・建設業・流通業など、特定の業種の商習慣や業務プロセスに精通した支援です。業種特有の要件(原価管理・工事台帳・在庫管理など)を前提に提案できるため、汎用的な支援では拾いきれない現場のニーズに対応しやすくなります。自社の業種が明確で、業界の勘所を理解した相手に任せたい場合に向きます。
業種への精通は、上の3つの種類を横断する切り口でもあります。実際に候補を絞るときは、このあとの比較表の「対象企業規模・業種」列で各社の業種適合を確認し、自社の業種に近い実績を持つ相手を選ぶとよいでしょう。特定業種にさらに深く特化した支援を探す場合は、業種名とあわせて相談先を探すのが近道です。
自社に合うERP導入コンサル・支援会社の選び方
相談先の種類を押さえたら、次は具体的な会社をどう見極めるかです。ここでは、候補を比較するときに確認したい4つの観点を解説します。費用については次の章で詳しく扱うため、ここでは費用以外の判断軸に絞ります。
自社に近い業種・企業規模の導入実績があるか
ERP導入は業種や企業規模によって論点が大きく変わります。自社と近い業種・規模での導入実績がある会社は、要件の勘所を把握しているぶん、提案の精度が高くなります。
公式サイトの導入事例で、自社と同じ業種・規模の案件があるかを確認しましょう。実績の件数だけでなく、「どんな課題を、どの製品で、どう解決したか」まで具体的に語れる会社は、経験に裏打ちされた提案が期待できます。大企業向けの実績が豊富でも、中小企業の予算・体制に合う進め方ができるとは限らないため、規模の近さも重視するとよいでしょう。
支援範囲が自社の不足を補えるか
会社によって、担える工程は構想策定から運用定着まで幅があります。自社に不足している部分を補える範囲かどうかを確認しましょう。
たとえば、製品選定で迷っているなら上流の構想策定に強い会社、製品は決まっていて実装を任せたいなら構築・開発に強い会社が適します。稼働後に社内で運用を回す自信がなければ、定着化支援やPMOまで引き受けられるかが分かれ目になります。自社でできることと任せたいことを棚卸ししてから、支援範囲を照らし合わせると判断しやすくなります。
特定製品に縛られない中立性があるか
製品選定から相談したい場合は、提案の中立性が重要になります。特定の製品に利害がある相手だと、自社の課題より取り扱い製品に寄った提案になりがちだからです。
中立性は、次の観点から読者自身で確かめられます。第一に、提案できる製品の幅です。複数のERP製品を比較検討できる会社ほど、選択肢を狭めずに提案できます。
第二に、開発請負との関係です。構築を自社グループで請け負う会社は、その製品・体制を前提にした提案になりやすい点に注意しましょう。第三に、提案の根拠です。
「なぜその製品・その進め方なのか」を、自社の課題に即して説明できるかどうかで、課題起点か製品起点かが見分けられます。
プロジェクト体制とコミュニケーションは適切か
ERP導入は数か月から年単位の長期プロジェクトになります。契約前に、実際に自社を担当する体制とコミュニケーションの取り方を確認しておくと、稼働中のミスマッチを防げます。
看板となる会社の実績ではなく、自社を担当するコンサルタントの経験と人数、役割分担を具体的に尋ねます。自社とコンサル・ベンダーの間で「誰が何を決めるのか」が曖昧だと、意思決定が滞りプロジェクトが遅延します。定例会の頻度や報告の形式、課題が起きたときの連絡体制まで、契約前にすり合わせておくと安心です。
ERP導入コンサル・支援の費用はどう決まるか
ここでは、ERP導入コンサル・支援の費用がどのように決まるかを解説します。費用は支援範囲やプロジェクトの規模で大きく変わり、公開された統一的な相場は存在しません。金額の目安をうのみにするのではなく、「何が費用を左右するか」と「見積もりをどう評価するか」を押さえることが、社内稟議や相見積もりの判断に役立ちます。
費用を左右する主な要因
ERP導入支援の費用は、多くの場合コンサルタントの稼働量にもとづく人月単価で積み上げられます。総額は、おおむね次の要因の組み合わせで決まります。
- 支援範囲:上流の構想策定だけか、構築・運用定着まで含むかで、関わる期間と人数が変わります。
- プロジェクトの規模:対象業務の広さ、拠点数、利用者数、グローバル対応の有無が工数に直結します。
- コンサルタントのランク・体制:経験豊富な人材や大規模な体制ほど単価は高くなります。
- カスタマイズの度合い:標準機能を活かすか、独自要件に合わせて作り込むかで、要件定義・開発の工数が変わります。
ERP導入支援を手がける会社の多くは、プロジェクトの内容に応じた個別見積もりを基本としており、料金を公開していません。本記事で比較する各社も、費用は要問い合わせとしている会社が中心です。そのため、具体的な金額は各社に自社の要件を伝えて見積もりを取るのが確実です。
ここで扱ったのは支援会社に支払うコンサル・支援費用ですが、ERP製品そのものの導入費用(ライセンス・初期費用・保守費など)は製品ごとに水準が異なります。製品別の公開料金や、見積書に表れにくい追加費用の内訳、企業規模別の総額目安は次の記事で詳しく解説しているので、総コストを見積もる際にあわせてご覧ください。
見積もりの妥当性を見極める
相場が公開されていないからこそ、複数社から見積もりを取り、内容をそろえて比較することが妥当性を判断する近道になります。金額の多寡だけで選ばないための観点を押さえておきましょう。
相見積もりを取るときは、支援範囲と成果物の定義を各社でそろえましょう。「構想策定の成果物は何か」「要件定義はどこまで含むか」が会社ごとに違うと、金額だけを並べても比較になりません。見積書の内訳で、どの工程に何人月を見込んでいるかが明示されているかも確認しておきましょう。
極端に安い見積もりは支援範囲が狭い、極端に高い見積もりは想定外の作り込みを含んでいる可能性があり、内訳をたどって理由を説明できるかどうかが信頼性の判断材料になります。
ERP導入の進め方と失敗しないためのポイント
相談先を選ぶのと並行して、自社としてプロジェクトをどう進めるかを理解しておくと、支援会社とのやり取りがかみ合います。ここでは導入の全体像と、失敗を避けるために発注側が押さえるべき勘所を解説します。
ERP導入の基本的なステップ
ERP導入は、大きく次の4段階で進みます。どの段階から外部の支援を受けるかで、依頼する相談先の種類も変わります。

- 構想策定:導入の目的と範囲を定め、現状業務を整理し、あるべき姿と投資計画を描きます。ここが曖昧だと以降の工程がぶれます。
- 要件定義・製品選定:業務要件を具体化し、要件に合うERP製品を選定します。提案依頼書(RFP)を整えて複数ベンダーを比較します。
- 構築・テスト:製品の設定・開発、既存データの移行、動作検証を行います。業務が止まらないよう移行計画を詰めます。
- 運用・定着化:稼働後の運用保守、利用者教育、業務への定着を進めます。想定どおりに使われて初めて投資が回収に向かいます。
失敗しないための進め方
ERP導入でつまずく原因の多くは、技術そのものより進め方にあります。発注側が主体性を保つことが、失敗を避ける最大のポイントです。
第一に、提案依頼書(RFP)を整えることです。導入の目的・対象業務・要件・前提条件を文書にまとめておくと、各社の提案を同じ土俵で比較でき、認識のずれも防げます。
第二に、丸投げを避け、自社主導で進めることです。要件の優先順位や業務の変更可否は、自社にしか判断できません。支援会社に任せきりにすると、できあがったシステムが現場に合わず定着しない事態を招きます。
第三に、標準機能を活かす「Fit to Standard」の考え方です。自社の既存業務に合わせてシステムを作り込むほど、費用と期間がふくらみ、将来のバージョンアップも難しくなります。独自要件にこだわりすぎず、製品の標準機能に業務を寄せられるところは寄せる判断が、導入の成否と総コストを左右します。どこを標準に合わせ、どこを作り込むかの線引きこそ、支援会社の腕の見せどころでもあります。
自社に合うERP導入の相談先タイプ診断
ここまでの選び方を踏まえ、いくつかの質問に答えるだけで、自社に合う相談先のタイプと候補サービスの当たりをつけられる診断ツールをご用意しました。製品の決定状況や企業規模、重視する点から、適したタイプを確認してみてください。
一括ダウンロードする
【比較表】ERP導入コンサル・支援サービス比較
ここからは、主要なERP導入コンサル・支援サービスを横並びで比較します。相談先のタイプ、支援範囲、得意な製品・領域、対象となる企業規模、製品選定の中立性、料金の公開状況といった観点で整理しました。気になるサービスは、表のあとの個別紹介で詳しく確認できます。
ERP導入の相談先は、SAPやOdoo(オープンソースERP)といった特定製品に強い会社と、特定の製品に縛られず製品選定から支援する独立系コンサルに大きく分かれます。Oracle・Microsoft Dynamics・国産ERPなど、ほかの製品の導入を考えている場合は、製品を問わず中立に選定を支援する独立系コンサルか、その製品に対応するベンダー・SIerが相談先の候補になります。
| サービス名 | Odoo導入・開発・業務統合支援(マルウェブ) | ERP・SAP導入支援コンサルティング(アビームコンサルティング) | ERP導入支援・コンサルティング(NTTデータGSL) | SAP ERP導入支援サービス(アイ・ピー・エス) | ERP導入支援サービス(アイネス) | ERP導入支援コンサルティング(タナベコンサルティング) | ERP・基幹システム導入支援コンサルティング(船井総合研究所) | 基幹システム(ERP)コンサルティング(コネクタブルー) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 相談先タイプ | OSS ERP(Odoo)導入パートナー | 総合系コンサルティングファーム(SAP大手) | SAP専門会社(NTTデータ100%出資) | SAP専業SIer(プラチナパートナー) | SIer(フルスコープ、東証プライム上場) | 独立系経営コンサル(上流特化) | 独立系経営コンサル(構想策定・中立) | 独立系コンサル(構想策定・PMO) |
| 支援範囲 | 要件定義〜カスタマイズ開発〜外部連携〜データ移行〜運用定着(構築まで一貫) | 構想策定〜システム開発〜運用・保守(一貫) | 構想策定〜導入〜周辺システム連携〜運用保守 | 構想立案〜導入プロジェクト推進〜稼働後の保守・運用 | 構想コンサル〜要件定義〜構築〜本番稼働〜運用保守 | 構想整理〜IT投資計画〜RFI作成〜ベンダー評価(選定後PMOは追加可) | 目的・現状整理〜ベンダー選定〜導入・運用(伴走・PMO) | 業務改革・構想策定〜要件定義準備〜発注者側PMO支援 |
| 得意ERP製品・領域 | オープンソースERP「Odoo」(販売・在庫・会計・CRM・EC連携) | SAP(S/4HANA・Cloud ERP)、会計・サプライチェーン・製造業 | SAP S/4HANA Cloud(Private/Public)、認定テンプレート「GBMT」 | SAP S/4HANA Cloud(Public/Private) | SAP向けマスタ管理「Aerps MASTER Ace」+中小向けOSS「Aerps One」 | 製品選定前の上流工程(As-Is/To-Be・IT投資計画) | 製品中立のERP・基幹システム選定(Fit to Standard) | 中立的な製品評価(SAP/Oracle/Dynamics等)、経営KPI・ROIC設計 |
| 対象企業規模・業種 | 中小企業中心(業種不問。複数システム統合・EC連携) | 大企業・大規模グループ中心(グローバル展開・業界別専任) | 製造業・卸売業(大手〜中堅)、グローバル基幹統合 | 従業員30人未満〜1,500人以上まで、製造業・商社中心 | 流通業・製造業(中堅〜大手)、中堅中小は低コストOSSで対応 | 売上100億円未満〜300億円以上(3プラン)、中堅〜大企業 | 中堅・中小の製造業中心 | 製造×サービス混在型(BtoB)中心 |
| 製品中立性 | ×Odoo特化(Odoo Learning Partner) | ×SAP中心 | ×SAP特化 | ×SAP特化 | △SAP向けツール+自社OSS(iDempiere基盤) | △上流・ベンダー選定に特化(中立の明示なし) | ●独立系・中立を明示 | ●独立系・中立を明示 |
| 料金 | 導入支援は要問い合わせ (Odoo本体ライセンスは2026年10月時点で月22〜33ドル/ユーザー) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
ERP導入コンサル・支援サービスの個別紹介
比較表で取り上げた各サービスについて、概要・特徴・どんな企業に向くかを個別に紹介します。掲載順は各社の優劣を示すものではありません。自社の状況に照らして、相談先の候補を絞り込む参考にしてください。
1. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

オープンソースERP「Odoo」の導入を、要件定義から運用定着まで支援するサービスです。Odooは販売・会計・在庫・CRMなど80以上のアプリを必要な分だけ追加して使うクラウドERPで、提供元の株式会社マルウェブが、企業の業務や商習慣に合わせてこれを構築します。
支援範囲は、要件定義・Fit&Gap分析、カスタマイズ開発、外部システム連携、データ移行、運用定着、公開後の運用支援の6工程にわたります。日本とベトナムの拠点による開発体制をとり、販売・在庫からのスモールスタートなど段階的な導入にも対応します。
導入期間は標準機能中心で2〜3ヶ月、カスタマイズや外部連携を含む場合は3〜6ヶ月が目安です。複数の業務システムをOdooに統合したい企業や、ECと基幹システムの連携を実現したい企業に適した選択肢です。
販売・在庫からのスモールスタートと全社一括の導入を、同社はどう使い分けているのか。提供元であるマルウェブの若林氏は、取材で次のように語っています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。
2. ERP・SAP導入支援コンサルティング(アビームコンサルティング株式会社)

SAPを中心としたERP導入を、構想策定からシステム開発、運用・保守まで一貫して手がける総合系コンサルティングファームです。業界ごとの専任コンサルタントと、プロセス・テクノロジーの専任コンサルタントが組んで支援にあたります。
対象とするSAP製品はS/4HANAやSAP Cloud ERPなどで、SAPからはSAP Partner Awards 2026の3部門をはじめ、継続して表彰を受けています。導入事例はINPEX、LIXIL、みずほフィナンシャルグループなど大企業・大規模グループが中心です。
海外拠点を含むグローバルな基幹システム刷新にも対応します。大規模なグループ経営やグローバル展開を伴うSAP導入を、上流から一貫して任せたい大企業に向いた選択肢です。料金は非公開で、個別見積もりとなります。
3. ERP導入支援・コンサルティング(株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ)

株式会社NTTデータが全額出資し、グループのSAP事業を集約する目的で2012年に設立されたSAP専門会社です。SAP S/4HANA Cloud(プライベート型・パブリック型)を中心に、構想策定から導入、周辺システムとの連携、運用保守までを提供します。
対象業種として製造業・卸売業を掲げ、プロジェクト経験をもとにしたSAP認定テンプレート「GBMT」を持ちます。会計基盤の刷新事例では、パーソルホールディングスのグループ30社で、SAP S/4HANA Cloud Public Editionを28社、決算管理のBlackLineを13社に導入しています。
製造業・卸売業で、SAPを用いたグローバルな基幹システム統合を検討している企業にとって有力な相談先です。料金は非公開で、見積もりは問い合わせを通じて確認できます。
4. SAP ERP導入支援サービス(株式会社アイ・ピー・エス)

1997年からSAP ERPの導入・保守を専業で手がけるシステムインテグレーターで、SAP社の国内最上位認定「プラチナパートナー」(国内10社程度)を取得しています。SAP S/4HANA Cloudのパブリック型・プライベート型に対応します。
創業以来29年間で180社超の導入を支援し、海外はのべ100拠点以上に及びます。海外子会社への展開は、70社以上のパートナーが約100カ国をカバーする「UNITED VARS」に日本代表として参画して支援します。実績の重心は製造業・商社です。
従業員30人未満の小規模プロジェクトから、従業員1,500人以上・グローバル15拠点規模の大企業まで対応します。SAPに絞って導入から運用まで任せたい製造業・商社に適しています。導入期間は要件により1〜2年が目安です。
5. ERP導入支援サービス(株式会社アイネス)

東証プライムに上場するシステムインテグレーターで、ERP導入支援では、構想段階のコンサルティングから要件定義、構築、本番稼働、稼働後の運用保守までを自社のコンサルタントが一貫して担います。
対応は2系統あります。SAP ERP/S/4HANA環境向けには、マスターデータ管理ツール「Aerps MASTER Ace」で運用フェーズの業務を支援します。中堅・中小企業向けには、オープンソースERP「iDempiere」を基盤とした「Aerps One」を、ライセンス費用ゼロ・ノンプログラミングのカスタマイズで提供します。
対応業種として流通業・製造業を例示しています。代理店を介さず構想から運用保守までを一社に任せたい企業や、ライセンス費用を抑えてERPを導入したい中堅・中小企業なら有力な候補になります。
6. ERP導入支援コンサルティング(株式会社タナベコンサルティング)

経営コンサルティングを手がけるタナベコンサルティンググループのサービスで、システム選定前の上流工程を担います。業務課題をヒアリングで可視化し、As-Is/To-Beのシステム鳥瞰図の作成から、IT投資計画の策定、RFI(情報提供依頼書)の作成、ベンダー評価までを支援します。
対象企業は売上規模に応じて3つのプランに分かれ、売上100億円までのミニマムプラン、100〜300億円のスタンダードプラン、300億円以上のプレミアムプランが用意されています。システム選定後も、開発ベンダーと発注企業の間に立つPMO型の伴走支援を追加できます。
製品選定や投資計画の整理といった構想段階から相談したい中堅〜大企業に向く相談先です。料金は非公開で、個別見積もりとなります。
7. ERP・基幹システム導入支援コンサルティング(株式会社船井総合研究所)

銀行や会計事務所などの出資母体を持たない独立系のコンサルティング会社として、特定ベンダーに偏らない立場からERP・基幹システムの選定を支援します。目的・現状の整理、ベンダー選定、導入・運用の3フェーズを、支援先のプロジェクトチームの一員として伴走します。
システムの標準機能に業務を合わせるFit to Standardを基本方針とし、大規模なカスタマイズを前提としない導入を進めます。公式サイトに掲載された支援事例では、食品加工業での棚卸時間50%削減や、鋳造・機械加工業での月300万円のコストダウンが挙げられています。
支援事例は中堅・中小の製造業が中心です。製品選定から中立的に相談したい企業や、カスタマイズを抑えて基幹システムを刷新したい中堅・中小の製造業を検討する企業に合います。
8. 基幹システム(ERP)コンサルティング(株式会社コネクタブルー)

2022年に設立された独立系のコンサルティングファームで、ERPコンサルティングを提供領域の1つとしています。特定のERPベンダーとの提携を持たない中立的な立場から、業務改革とFit to Standardによる導入を「両輪の改革」と位置づけ、構想策定から伴走します。
支援は、業務改革とシステム構想策定、標準機能を活かした業務改革とデータ利活用、発注者の立場でプロジェクトを統制するPMO支援の3領域にわたります。経営管理とオペレーションのKPI整理やROICツリーの設計といった経営指標の管理を扱います。
製造とサービスが混在するハイブリッド型のビジネスを主な対象としています。製造・サービス双方の業務が絡む基幹システムの構想づくりや、発注者側のPMOを外部に委ねたい企業に適した相談先です。
出典・参考資料(8件)
まとめ
ERP導入の相談先は、経営改革から入る総合系コンサルティングファーム、特定製品に強いベンダー・SIer、中立の立場で伴走する独立系コンサル、業種特化型など、立ち位置によって得意領域が異なります。自社に合う相手を選ぶには、まず自社がどの種類の支援を必要としているかを見定めることが出発点になります。
そのうえで、自社に近い業種・規模の実績、支援範囲、製品選定の中立性、担当体制を確認し、支援範囲と成果物をそろえた相見積もりで費用の妥当性を判断します。導入そのものは、提案依頼書(RFP)の整備と自社主導の姿勢、標準機能を活かすFit to Standardの考え方が、失敗を避ける鍵になります。まずは候補を数社に絞り、自社の要件を伝えて提案と見積もりを比べるところから始めてみてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. ERPコンサルティング(ERP導入コンサル)とは何ですか?
A. ERPコンサルティングとは、企業がERP(統合基幹業務システム)を導入・刷新する一連のプロジェクトを、業務とシステムの両面から支援する役務です。システムの構築だけでなく、経営課題の整理や導入目的の明確化といった上流から、製品選定、要件定義、稼働後の定着化までを見据えて伴走する点が、単なるシステム開発との違いです。
Q. ERP導入コンサルは、システムベンダーやSIerに直接依頼するのと何が違いますか?
A. ERP導入コンサルとベンダー・SIerの違いは、提案の立ち位置と中立性にあります。ERPベンダーやSIerは自社が扱う製品の構築・実装に強みを持つ一方、提案は取り扱う製品に寄りやすい傾向があります。これに対し独立系のERPコンサルは、特定製品に縛られず経営課題に照らして製品選定や業務改革を提案できます。
ただし構築の実作業は別のベンダーが担うことも多いため、どこまでを自社で実装するかは会社ごとに確認が必要です。
Q. 中小企業でもERP導入コンサルは必要ですか?
A. 中小企業でも、社内にERP導入の経験者がいない場合は、外部の支援を活用する価値があります。ERP導入は頻繁に経験するプロジェクトではなく、要件の抜け漏れや典型的な失敗を自社だけで避けるのは容易ではないためです。一方で、支援範囲が広がるほど費用はふくらみます。
中堅・中小企業向けにクラウドERPやオープンソースERPの導入を手の届く規模で支援する会社もあるため、自社の予算・体制に合う相手を選ぶとよいでしょう。
Q. ERP製品がまだ決まっていない場合、製品特化型と中立型のどちらのコンサルを選ぶべきですか?
A. 導入するERP製品がまだ決まっていないなら、特定製品に縛られない中立型のコンサルが向いています。複数の製品を比較して、自社の課題に合うものを選べるためです。逆に、SAPなど導入する製品がすでに決まっている場合は、その製品に精通した製品特化型のベンダー・SIerのほうが、機能を引き出す設定や実装で確かな力を期待できます。製品選定の段階にいるのか、実装の段階にいるのかで、適した相手は変わります。
Q. ERP導入コンサル・支援の費用はどのくらいかかりますか?
A. ERP導入コンサル・支援の費用は、支援範囲・プロジェクトの規模・コンサルタントのランク・カスタマイズの度合いによって大きく変わり、公開された統一的な相場はありません。多くの会社が、プロジェクトの内容に応じた個別見積もりを基本としており、料金を公開していないのが実情です。
金額の目安をうのみにせず、支援範囲と成果物の定義をそろえた相見積もりを複数社から取り、内訳をたどって妥当性を判断するのが確実です。
Q. ERP導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. ERP導入の期間は、規模やカスタマイズの度合いによって、数ヶ月から1年以上まで幅があります。標準機能を中心にした小規模な導入なら数ヶ月で収まることもありますが、拠点数や利用者が多く、独自要件の作り込みやグローバル対応を伴う大規模なプロジェクトでは1年以上かかることもあります。導入範囲を欲張りすぎず、優先順位をつけて進めることが、期間と費用を抑える鍵になります。
Q. ERP導入プロジェクトが失敗する主な原因は何ですか?
A. ERP導入の失敗は、技術そのものより進め方に原因があることが多く、特に導入目的の曖昧さと、できあがったシステムが現場に定着しないことが典型です。構想段階で目的と範囲が定まっていないと以降の工程がぶれ、要件が膨張します。また、支援会社に任せきりにすると現場の業務に合わないシステムができ、稼働後に使われない事態を招きます。
発注側が主体性を保ち、標準機能を活かす判断をすることが、失敗の回避につながります。
Q. ERP導入コンサルに丸投げせず、自社主導で進めるにはどうすればよいですか?
A. 丸投げを避けるには、要件の優先順位や業務の変更可否といった、自社にしか判断できない事柄を自社で決める姿勢を保つことが重要です。具体的には、導入の目的・対象業務・要件を提案依頼書(RFP)として文書にまとめ、各社の提案を同じ土俵で比較します。支援会社には専門知識や関係者間の調整役を期待しつつ、最終的な意思決定は自社が握ることで、現場に合わないシステムができるのを防げます。
Q. RFP(提案依頼書)とは何ですか。なぜ必要なのですか?
A. RFP(提案依頼書)とは、導入の目的・対象業務・要件・前提条件をまとめ、支援会社やベンダーに提案を依頼するための文書です。RFPを整えておくと、各社の提案や見積もりを同じ条件で比較でき、認識のずれも防げます。相見積もりの精度を高め、発注側が主導権を保つための土台になるため、会社選定の前に用意しておくことが望まれます。
Q. ERP導入コンサルに依頼すると、どんな成果物が得られますか?
A. ERP導入コンサルの成果物は、依頼する工程によって異なり、上流では現状業務の整理やあるべき姿(To-Be)、投資計画、提案依頼書(RFP・RFI)などが中心になります。構築フェーズでは設定・開発やデータ移行、稼働後は運用保守や定着化支援が成果物です。システム選定後に、開発ベンダーと発注企業の間に立つPMO(プロジェクト管理支援)を担える会社もあります。
依頼前に、どの工程でどんな成果物が得られるかを確認しておくとよいでしょう。
Q. ERP導入でよく聞く「Fit to Standard」とは何ですか?
A. Fit to Standardとは、自社の既存業務に合わせてシステムを作り込むのではなく、ERP製品の標準機能に業務のほうを寄せていく導入の考え方です。カスタマイズを抑えることで費用と期間を抑えられ、将来のバージョンアップもしやすくなります。独自要件にこだわりすぎず、どこを標準に合わせ、どこを作り込むかの線引きが、導入の成否と総コストを左右します。
Q. ERP導入コンサルの実績や中立性は、依頼前にどう確認すればよいですか?
A. 実績は、公式サイトの導入事例で自社と近い業種・企業規模の案件があるか、そして「どんな課題を、どの製品で、どう解決したか」まで具体的に語れるかで確認します。中立性は、提案できる製品の幅、構築を自社グループで請け負うかどうか、そして「なぜその製品・その進め方なのか」を自社の課題に即して説明できるかで見分けられます。
あわせて、看板企業の実績ではなく、実際に自社を担当するコンサルタントの経験と体制まで尋ねておくと、依頼後のミスマッチを防げます。
ERP導入支援サービスの資料をチェック
MCB FinTechカタログでは、ERPの導入支援に関わる掲載サービスの最新資料を無料で請求できます。支援範囲や対応製品、得意領域を見比べて、自社に合う相談先の検討にお役立てください。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















