入電のピークにオペレーターの手が足りず、待ち時間が延びて放棄呼が出ています。募集をかけても応募が集まらず、採用できてもスーパーバイザーが育つ前に抜けてしまいます。通話が終わったあとの記録と要約にも1件あたり数分がかかり、次の呼を取るまでの時間が積み上がっていきます。
この状況を人の増員で解けない以上、AIにどこまで代わってもらえるのかが次の検討になります。ただ「コールセンターのAI」と一口に言っても、担う業務はまったく違います。顧客と直接話して一次対応を終わらせるもの、オペレーターの手元に回答候補を出すもの、通話後の記録を書き起こして要約するもの、蓄積した応対データからFAQを作って問い合わせ自体を減らすものまで幅があります。
任せたい業務が定まらないままサービスを比べても、機能の一覧が並ぶだけで判断がつきません。
本記事では、コールセンターの業務を4つに分けて、それぞれAIで今どこまで自動化できるのかを整理したうえで、業務別にサービス22製品を比較します。初期費用・月額の実額や、基本料以外にかかる費用、導入した企業が公表している削減値まで踏み込みました。自社のどの業務を、どのサービスに任せられるかを見極める材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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コールセンターのAI自動化とは?センター業務のどこにAIが入り始めているのか
コールセンターのAI自動化とは、顧客との応対にまつわる一連の業務を、音声認識や生成AIを使って人手を介さずに処理する仕組みを指します。対象は電話に出る場面だけではありません。オペレーターが応対している最中に回答候補を画面へ出すこと、通話が終わったあとに内容を書き起こして要約すること、蓄積した応対データを分析してFAQを整備することまでが含まれます。
実務でどこから使われ始めているかは、業界団体の調査に表れています。一般社団法人日本コンタクトセンター協会(CCAJ)は、センター運営を受託する事業者(CCAJコールセンター・エージェンシー会員)109社を対象に「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」を実施し、68社(回収率62.4%)から回答を得ました。
自社でセンターを運営する企業とは立場が異なりますが、センター運営の現場で何が起きているかを業界単位で見られる調査です。
この調査では、生成AIを「センター運営の実務で運用している」企業が33社で48.5%を占めています。PoC段階や社内検証も含めて何らかの形で活用している企業は55社にのぼります。
その55社が挙げた活用方法は、応対内容の要約が74.5%と最も多く、メール文章の作成が63.6%、FAQの自動生成が61.8%、コミュニケーターの回答支援(回答候補の提示等)が58.2%と続きます。ボイスボットによる自動化対応は49.1%でした。電話に出る部分の自動化だけが先行しているのではなく、応対後の要約とナレッジ整備のほうが先に実務へ入っている、という順序がここから読み取れます。
出典・参考資料(1件)
AIによる自動化が広がっている背景
導入の動機として最も多く挙がるのが、人が採れないことです。同じ調査では、職種ごとの過不足について次のように報告されています。
不足感(「不足している」と「やや不足している」の合計)は、「スーパーバイザー」が58社と最も多く、次いで「コミュニケーター・オペレーター」が48社となった。非公開とした2社を除いた66社の内、「スーパーバイザー」は87.9%、「コミュニケーター・オペレーター」は72.7%に不足感があった。なお、いずれの職種においても「過剰気味である」とした企業はなかった。
出典:2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査|一般社団法人日本コンタクトセンター協会
過剰と答えた企業が1社もない一方で、オペレーターを束ねるスーパーバイザーの不足感が最も強く出ています。同調査では採用活動に苦労していると答えた企業も82.1%にのぼります。応対の品質を保つ側の人材が足りないため、席数を増やして入電をさばく方針が取りにくくなっています。
その一方で、電話というチャネルから手を引く動きは見られません。同調査(回答68社)で電話業務を提供していると答えた企業の割合は95.6%で、3年間ほぼ横ばいです。対してAIボイスボットを提供している企業は2024年度の27.1%から2025年度は35.3%へ増えました。電話を扱い続けたまま、その処理の一部をAIへ移す動きが進んでいる、という構図になります。
これまでの自動化と、生成AI以降の自動化の違い
電話業務の自動化そのものは新しい話ではありません。「ご用件の方は1を押してください」と番号を押させて振り分けるプッシュ操作型の自動音声応答(IVR)は以前から使われてきましたし、応対後のシステム入力を代行するRPAも導入されてきました。
ただし、いずれも事前に決めた通りにしか動きません。プッシュ操作型IVRは用意した選択肢の中でしか用件を受け取れず、階層が深くなると顧客が途中で切ってしまいます。RPAは決まった画面に決まった値を入れる作業は代行できても、通話の中身を解釈することはできません。
音声認識と生成AIが加わって変わったのは、番号ではなく話し言葉のまま用件を受け取れるようになった点と、通話の中身を意味のある単位で扱えるようになった点です。顧客が「先週申し込んだ書類がまだ届かない」と話せば、その内容から用件を判定して該当する案内へ進められます。
通話が終われば、やり取り全体から要点だけを抜き出して応対履歴の形に整えられます。決まった手順をなぞる自動化から内容を解釈する自動化へ移ったことで、任せられる範囲が電話に出る場面の外側へ広がりました。
ここで比較の起点にしたプッシュ操作型IVRそのものの仕組み(着信から番号選択で振り分けるまでの流れや、時間外の案内・折り返し予約の使い方)は、次の記事で基礎から解説しています。自社の電話が今どう処理されているかを確かめたうえでAI化の範囲を考えたい場合は、こちらもあわせてご覧ください。
業務ごとに使われるAIの種類
コールセンターで使われるAIは、担う業務によって組み合わせが変わります。電話応対そのものを任せる場面では、顧客の発話を文字にする音声認識、その意図を判定する言語処理、返答を読み上げる音声合成の3つが対話制御と組み合わされます。オペレーターの支援では、通話を文字にしながら、社内のマニュアルやFAQを検索して回答候補を提示する仕組みが使われます。
応対後の記録では、音声認識でテキスト化したうえで生成AIが要約を作ります。分析とナレッジ整備の場面では、大量の応対テキストから話題を分類するテキストマイニングと、そこからFAQの下書きを作る生成AIが中心になります。
このほか、本人確認を声で行う声紋認証を組み合わせるセンターもあります。声から抽出した特徴情報を本人認証に使えるデータへ変換した場合、そのデータは個人識別符号にあたり、それ単体で個人情報として扱われる点には注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
コールセンター業務のどこまでAIで自動化できるか|業務別に見た自動化の到達点
ここからは、コールセンターの業務を「電話応対そのもの」「応対中のオペレーター支援」「応対後の記録・要約」「問い合わせの分析とナレッジ整備」の4つに分けて、それぞれAIが今どこまで届いているのかを見ていきます。同じ「自動化」でも、人を介さず完結できる業務と、人の作業を軽くするにとどまる業務があります。

電話応対そのもの|どこまで人を介さず終えられるか
顧客からの電話にAIが出て、用件を聞き取り、そのまま処理を終えるところまでは実用段階に入っています。代表電話にかかってきた用件を聞いて担当部署へ取り次ぐ、営業時間外の予約を受け付けて予約台帳に登録する、資料請求の宛先を聞き取って発送手配に回す、といった業務が対象です。用件の型が決まっていて、必要な情報の項目が事前に洗い出せるものほど、人を介さずに終えられます。
逆に、完結までは届かないケースもあります。契約内容によって案内が変わる問い合わせ、顧客が事情を長く説明する必要がある相談、クレームの一次受けなどは、AIが用件を聞き取って要約したうえで人へ渡す形が現実的です。この場合でも、誰が何の件でかけてきたのかを整理した状態でオペレーターにつながるため、応対時間そのものは短くなります。
本人確認を伴う手続きも、自動化の可否が分かれる領域です。契約者番号や生年月日といった、決まった項目を聞き取って照合する範囲であればAIで処理できます。一方、クレジットカード番号のように聞き間違いが直接の損害につながる情報は、音声認識ではなくプッシュ操作で受け取る設計にしているサービスもあります。
応対中のオペレーター支援|応対品質のばらつきをどこまで埋められるか
オペレーターが応対している最中に、AIが通話をリアルタイムで文字にし、その内容に合う回答候補やマニュアルの該当箇所を画面へ出す使い方です。前掲の調査(回答68社のうち生成AIを活用している55社)で回答支援を挙げた企業は58.2%と、要約に次ぐ規模で実務に入っています。
ここで自動化されるのは「探す時間」です。ベテランなら記憶から即答できる内容を、新人は資料を開いて探すところから始めるため、同じ問い合わせでも応対時間と回答内容に差が出ます。AIが該当箇所を先に出せば、この差が縮まります。応対の判断そのものはオペレーターが行うため、人を置き換えるのではなく、経験の差を埋める性質の自動化です。
届く範囲は、AIが参照できる情報の整備状況に左右されます。マニュアルやFAQが最新でなければ、提示される回答候補も古いままになります。回答候補の根拠として参照した箇所を併せて表示する仕組みを持つサービスもあり、オペレーターが提示内容の正しさを確かめてから使えるようになっています。
応対後の記録・要約|後処理(ACW)をどこまで短くできるか
通話が終わったあとの記録作成は、AIによる自動化が最も先に実務へ入っている業務です。CCAJの調査で活用方法の首位(74.5%)を占めたのが応対内容の要約でした。通話を全文書き起こし、そこから要点を抽出して応対履歴の形に整えるところまでを自動で行います。
この領域が先行しているのは、失敗したときの影響が顧客に直接及ばないためだと説明がつきます。要約が不十分でもオペレーターが直せば済み、顧客との通話中に誤った案内をしてしまう応対自動化とは、失敗したときのリスクの性質が異なります。加えて、後処理時間(ACW)は1件あたりの秒数として測れるため、効果を数値で示しやすい面もあります。
完全に人手が要らなくなるかというと、そこまでは届きません。要約が事実と合っているかの確認は残りますし、応対履歴に何を残すかはセンターごとに決まりが異なります。抽出した項目の根拠になった発話を併記して、確認の手間を減らす作りにしているサービスもあります。要約後の内容をCRMへ自動で書き戻すところまで対応していれば、転記の手間も含めて短縮できます。
問い合わせの分析とナレッジ整備|問い合わせ自体をどこまで減らせるか
4つ目は、応対そのものではなく、問い合わせが発生する手前に働きかける自動化です。蓄積した通話ログや応対履歴をAIが分類し、どんな用件がどれだけ来ているかを可視化します。そのうえで、繰り返し来ている問い合わせについてFAQの下書きを自動生成し、顧客が自分で解決できる状態を作ります。CCAJの調査ではFAQの自動生成を挙げた企業が61.8%でした。
ここでの自動化の到達点は「候補を出すところまで」です。通話ログから顧客の発言とオペレーターの発言を区別してQ&Aの形に整え、既存のFAQと重複していないかを判定し、既存カテゴリへ振り分けるところまでは自動で処理できます。ただし、公開してよい内容かの判断と最終的な文面の確定は人が行います。
効果は入電数として表れるまでに時間がかかるため、他の3つより成果が見えにくい領域です。一方で、問い合わせ自体が減れば応対・支援・後処理のすべてが軽くなるため、投資対効果としては最も大きくなりうる部分でもあります。
AIに任せる範囲と、人が担い続ける範囲|有人への切り替えと「完全無人化」の考え方
自動化の到達点が業務ごとに違う以上、どこまでをAIに渡し、どこから人が引き取るのかを先に決めておく必要があります。ここを曖昧にしたまま導入すると、AIが答えられない用件が滞留したり、顧客が同じ説明を二度させられたりします。
自動化しやすい用件・しにくい用件
判断の軸になるのは、用件がどれだけ型にはまっているか、応対の中で判断が要るか、顧客の感情に配慮する必要があるか、そして誤りが起きたときの影響がどれだけ大きいかの4点です。
| 観点 | 用件の型 | 判断の要否 | 感情への対応 | 正確性の要求 |
|---|---|---|---|---|
| 自動化しやすい用件 | 聞き取る項目が事前に決まっている(予約日時、契約者番号、送付先など) | 条件に当てはめれば答えが一つに決まる | 顧客が手続きを済ませたいだけで、情緒的なやり取りを求めていない | 聞き間違いが起きても確認で戻せる |
| 人が引き取る用件 | 何を聞けばよいかが応対しながら決まる(状況の切り分けが要る相談) | 例外的な取り扱いの可否など、裁量を伴う判断が要る | 苦情・トラブルなど、受け止め方そのものが応対の質を左右する | 誤りが金銭的な損害や契約上の不利益に直結する |
この表は、電話応対の自動化に限った話ではありません。応対中の支援でも、AIが提示した回答候補をそのまま読み上げてよい用件と、オペレーターが内容を確かめてから使うべき用件の線引きに同じ軸が使えます。
誤りが金銭的な損害に直結する業務では、そもそもAIを前提に置かない判断もあります。電話でのクレジットカード決済をIVRで受け付けている電話放送局の前田氏は、この領域で技術をどう扱うかについて次のように話しています。

この分野に関しては、AIでまかないやすい領域ではないと考えてはいますが、柔軟性よりも確実性が求められる分野です。カード番号を確実に受け取って処理するということが最も重要なので、「先進的な技術を導入して今後は」、という話ではなく、社会背景や法改正に則って仕様変更や機能追加を着実に行っていくことが大切だと考えています。
有人への切り替え条件と、応対の責任をどこに置くか
切り替えの条件は、あらかじめ具体的に決めておきます。よく使われるのは、同じ質問を規定回数繰り返しても用件を判定できなかったとき、顧客が「担当者に代わってほしい」と要求したとき、あらかじめ登録した用件(解約・苦情など)に該当したとき、といった条件です。条件に触れた時点で、それまでのやり取りの内容を引き継いだうえでオペレーターへつなぎます。
切り替え先が用意できない時間帯をどうするかも決めておく必要があります。営業時間外はAIで受け付けたうえで折り返しの約束をする、緊急性の高い用件だけ担当者の携帯へ転送する、といった設計になります。
人がどこで判断を挟むかについては、AIを業務で使う事業者向けの公的な指針が考え方を示しています。経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン」は、AIの出力結果が公平性を欠くことがないよう、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討すべきとしています。
同時に、その人間の判断が自動化バイアス(AIの出力を無批判に受け入れてしまう傾向)に左右されないような対策も講じるべきだとしています。AIが出した回答をオペレーターが確認する運用にするなら、確認が形骸化しない仕組みまで含めて設計する必要があります。
応対の結果に対する責任は、AIに任せた範囲であってもセンターを運営する側に残ります。どの用件を誰が引き取るかを決めておくことが、そのまま責任の所在を決めることになります。
出典・参考資料(1件)
「完全無人化」を目標に置くべきか
入電のすべてをAIで処理し、オペレーターを置かない状態を目標にするセンターは多くありません。前述のとおり、裁量を伴う判断や感情への対応が必要な用件は残りますし、AIが答えられなかった用件を人が引き取る経路がなければ、顧客はそのまま離れてしまいます。
実際に検討すべきなのは、無人化の割合ではなく役割分担の設計です。定型的な用件をAIに寄せた結果として、オペレーターが判断の要る用件に集中できる状態を作れているか。後処理や資料探しに取られていた時間が、応対そのものに戻っているか。この観点で見れば、AIが処理できた用件が一部にとどまっても、残りの応対の質が上がっていれば導入の目的は果たせています。
コールセンターのAI導入事例|自動化した業務と、削減できた数値
ここからは、実際に導入した企業が公表している数値を、自動化した業務ごとに見ていきます。効果の出方は入電の構成やセンターの規模によって変わるため、自社の状況に近い事例を手がかりにしてください。
電話応対の自動化で有人対応の呼を減らした事例
SBI生命保険は、保険料控除証明書の再発行など書類請求の手続きを、AIによる電話自動応答と業務システムの自動処理を組み合わせて完結させる仕組みを導入しました。同社の事例では、再発行手続きの処理時間を約70%短縮し、年間約300時間(2人月相当)を削減したこと、再発行に関する苦情・不満がゼロになったことが公表されています。
SBI証券でも同様に、書類請求の受け付けをAIによる電話自動応答へ移しています。従来のIVRで20%ほどだった完了率が導入後は平均69%へ改善し、1対応あたり約48%のコスト削減になったことが公表されています。完了率とは、AIが受けた呼のうち人へつながずに手続きまで終えられた割合を指します。
書類請求のように聞き取る項目が定まっている用件では、7割近くが人を介さず終わる水準に達しています。
応対中の支援で応対品質と管理業務の負荷を改善した事例
ヤマトコンタクトサービスは、全通話をリアルタイムで文字にして応対を支援する仕組みを導入し、音声認識率90%、顧客の声(VOC)の取得率130%超、応対品質スコアの平均10%向上という数値を公表しています。応対中の支援は削減時間で表しにくい領域ですが、品質スコアという形で効果を測っている例です。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、スーパーバイザーが行っていた応対品質のモニタリング業務にAIの自動採点を組み込みました。1件あたり少なくとも30分を要していた作業が短縮され、月15時間程度かかっていたカリブレーション作業はゼロになり、3か月で3人分以上の工数削減効果を見込むとしています。
スーパーバイザーの不足感が最も強い職種であることを踏まえると、応対そのものではなく管理業務側の負荷を下げる使い方も選択肢になります。
応対後の要約・記録で後処理時間を削った事例
JVCケンウッド・サービスは、通話の文字起こしと、そのログからのナレッジ生成を組み合わせて運用し、導入から3か月で後処理時間(ACW)を約6割削減したと公表しています。これは応対後の要約と、そこから作ったナレッジをオペレーターが参照する仕組みを併せて使った結果である点に注意が必要です。要約だけを入れた場合の効果とは切り分けて読む必要があります。
約40人規模のコールセンターを運営するドアーズでは、通話の自動文字起こしと要約、その結果の顧客管理システムへの自動連携により、管理業務にかけていた時間を1時間から約10分へ短縮しています。ただしこれは架電業務が中心のセンターの事例で、あわせて公表されているのは架電数が1.5倍以上になったという効果です。受電中心のセンターでは、短縮分は次の呼を取るまでの時間に振り向けられることになります。
分析とナレッジ整備で問い合わせを減らし、品質の見える範囲を広げた事例
LIXILは、顧客が自分で答えにたどり着けるFAQの整備によって、電話での問い合わせを5〜7%削減しています。東北電力では入電量が約20%減少しました。SBIいきいき少額短期保険では、平均応対時間(AHT)が25%短縮されています。いずれも応対そのものを自動化したのではなく、問い合わせが発生する手前に働きかけた結果です。
コクヨグループのカウネットでは、それまで抽出したサンプルに限られていた応対品質のチェックを、月間約1万件の全通話をAIで自動解析・スコアリングする体制へ移しました。問い合わせが急増した際にはエラー箇所を即日特定して翌日にFAQを改善し、電話問い合わせを200件から50件へ減らした例も公表されています。
出典・参考資料(4件)
コールセンター自動化サービスの4つのタイプ|自動化したい業務から候補を絞る
ここまで見てきた4つの業務区分は、そのままサービスの選び分けに使えます。どのタイプを見るべきかを決める手がかりは、自社の入電の内訳です。用件の種類ごとに、件数と1件あたりの所要時間、そして通話後の記録にかかっている時間を並べると、時間を最も食っている業務が見えます(この棚卸しの進め方は後半の運用設計で詳しく扱います)。
以下では、タイプごとに候補として並ぶ製品の数と性格、費用の桁、単独で効くのか他のタイプと組み合わせる前提なのかを示します。本記事で比較する22製品の内訳は、電話応対11・応対中の支援4・記録と要約4・分析とナレッジ整備3です。
電話応対そのものを自動化するタイプ
AIが顧客と直接会話し、一次受け・予約受付・本人確認などを人を介さず完了させるタイプです。音声認識で発話を文字にし、意図を判定して、音声合成で応答するという流れを対話制御で組み立てます。あらかじめ用意した手順に沿って進める作りと、生成AIで柔軟に応答する作りを組み合わせられる製品もあります。
入電のピークをさばききれない、営業時間外の取りこぼしが多い、といった課題を抱えるセンターに向いています。効果が有人対応の呼数として直接表れるため、投資判断もしやすいタイプです。
本記事の22製品のうち11製品がこのタイプで、候補が最も多く絞り込みが要ります。着眼点は3つです。番号を押させるのではなく自由に話してもらう必要があるか、今の電話番号とPBXを残したいか、そして料金が公開されているか。費用の桁もこのタイプだけ幅が大きく、月額数千円台から、初期構築費が数百万円・月額が数十万円という規模まで開きます。
単独で導入して効果が出る一方、通話内容の記録は別途必要になることが多く、記録・要約タイプと組み合わせるセンターもあります。
このタイプの製品は「ボイスボット」と呼ばれることが多く、話し言葉のまま用件を受け取れる点でプッシュ操作型IVRと分かれます。どちらの方式で受けるかは、用件の数と分岐の深さ、シナリオを誰が保守するかで決まります。仕組みの違いと製品ごとの料金の実額を突き合わせて検討したい場合は、次の記事で28製品を比較しています。
応対中のオペレーターを支援するタイプ
通話をリアルタイムで文字にしながら、社内のマニュアル・FAQ・過去の応対履歴を検索して回答候補を画面に出すタイプです。参照する範囲を自社の資料に限定したうえで、回答の根拠になった箇所を併せて示す作りにすることで、誤った回答が出にくいようにしています。
ベテランと新人で応対内容や所要時間に差が出ている、教育に時間を割けない、というセンターに向いています。
該当は4製品ですが、性格が分かれます。通話中の回答提示を標準で備えるものと、電話・メール・チャットをまとめて扱う顧客対応基盤にAIの支援機能が乗っているものがあり、後者は通話中の提示が上位プランのオプションだったり、支援の中心が終話後の要約と返信文案だったりします。
料金は1席(1ID)あたりの月額課金が中心で、席数を掛けた金額が月額になります。すでに顧客対応基盤を使っているなら、その製品のAI機能から検討するのが早道です。
応対後の記録・要約を自動化するタイプ
通話を全文テキスト化し、生成AIが要約と応対記録を作るタイプです。要約の結果を顧客管理システムへ自動で書き戻すところまで対応していれば、転記の手間もあわせて減らせます。応対品質の自動採点や感情の分析を備え、スーパーバイザーのモニタリング業務を軽くする製品もあります。
応対後の入力と要約に稼働を取られている、応対履歴の書き方にばらつきがある、というセンターに向いています。1件あたりの後処理秒数として効果を測りやすいタイプです。
該当は4製品で、料金は1席あたりの月額課金が中心のため、席数から月額を見積もりやすいのが特徴です。小さく試したい場合の入口にもなりやすく、無料トライアルや数席からの契約に対応する製品があります。次のタイプ(分析とナレッジ整備)は通話がテキストになっていることが前提になるため、両方を検討している場合はこのタイプから入る順序が自然です。
問い合わせの分析とナレッジ整備を自動化するタイプ
蓄積した通話ログや応対履歴を分類・分析し、そこからFAQやナレッジの下書きを自動生成するタイプです。顧客の発言とオペレーターの発言を区別してQ&Aの形に整える、既存のFAQと重複していないか判定する、といった処理まで自動化されています。
同じ問い合わせが繰り返し来ている、顧客が自分で解決できる割合を上げたい、というセンターに向いています。効果が表れるまでには時間がかかりますが、問い合わせ自体が減れば他の業務すべてが軽くなります。
該当は3製品と最も少なく、いずれもコールセンター専用に作られた製品ではありません。FAQ検索やVoC分析の基盤に、通話ログを扱う機能が備わっているという成り立ちです。そのため通話がテキスト化されていることが前提になり、記録・要約タイプと組み合わせて使う構成が中心になります。料金はいずれも個別見積もりです。
コールセンターAI自動化の費用|業務別の相場とサービス別の実額
費用は、自動化する業務によって桁が変わります。まず全体の見取り図をつかんでから、個別の実額を見ていきます。
自動化する業務別の費用レンジ
本記事で料金を公開している製品を見ると、1席(1ID)あたりで課金される支援・要約系は月額数千円台からの単価で、席数を掛けた金額が月額になります。一方、電話応対そのものを自動化する場合は、音声認識と音声合成を通話のたびに動かすため、通話量に応じた従量課金が加わります。大量の入電を前提にした構成では、初期構築費が数百万円、月額が数十万円という規模の公開価格もあります。
この差は、処理する対象の違いから来ています。要約や回答支援は、すでに通っている通話に対して後から、あるいは並行して処理を加えるものです。対して電話応対の自動化は、電話回線そのものを引き受けて顧客と会話するため、回線と音声処理の費用が積み上がります。
逆に言えば、用件の振り分けや時間外の案内だけが目的で、番号選択で用が足りるのであれば、音声認識を伴わないIVRのほうが費用は小さく収まります。AIを使わない構成も含めて電話の受け方を見比べたい場合は、IVRの製品別の費用と選び方をまとめた次の記事が判断材料になります。
サービス別の初期費用・月額
センター向けの製品は個別見積もりとしている例が多く、本記事の22製品のうち、初期費用または月額を公式に公開しているのは8製品です。実額が確認できたものと、公開されていないものを一覧にしました。
| サービス名 | DHK CANVAS | PKSHA VoiceAgent | commubo | LINE WORKS AiCall | AI Messenger Voicebot | AIコンシェルジュ | VoiceMall | IVRy(アイブリー) | MOBI VOICE | AI電話自動応答サービス | COTOHA Voice DX Premium | Zendesk(Zendesk Talk) | MooA | Service Cloud | Re:lation | MiiTel Phone | PKSHA Speech Insight | AmiVoice Communication Suite | Comdesk Lead | PKSHA Knowledge Stream | Helpfeel | Flyle |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自動化する業務 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 電話応対 | 応対中の支援 | 応対中の支援 | 応対中の支援 | 応対中の支援 | 応対後の記録・要約 | 応対後の記録・要約 | 応対後の記録・要約 | 応対後の記録・要約 | 分析・ナレッジ整備 | 分析・ナレッジ整備 | 分析・ナレッジ整備 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 500万円〜 (VOICEIVR) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 30万円〜 (ボイスボット構成は200万円〜) | 0円 | 要問い合わせ | 26万円〜 (エンタープライズは120万円〜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 50万円〜 (VOICEIVR) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 14万円〜 (ボイスボット構成は50万円〜) | 3,980円〜(税抜) | 要問い合わせ | 5万円〜 (エンタープライズは25万円〜) | 要問い合わせ | 55米ドル〜/1エージェント (年払い・Suite Team)+通話の従量課金 | 要問い合わせ | 3,000円〜/1ユーザー (電話機能は+6,000円) | 18,000円〜+1ユーザー3,000円〜 (クラウド電話) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (席数に応じたID課金・最低10席) | 要問い合わせ | 6,000円〜/1ID | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 料金の公開状況 | 非公開 (1コール単位の件課金) | 非公開 | 非公開 (従量課金制) | 一部公開 (本体は非公開) | 非公開 | 非公開 | 公開 (公式サイトに費用例) | 一部公開 (AI Contact Centerは非公開) | 非公開 | 公開 | 非公開 | 公開 (Suiteのプラン料金) | 非公開 | 公開 (エディション別) | 一部公開 (本体プランは非公開) | 非公開 | 非公開 | 非公開 | 一部公開 (初期費用は非公開) | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
※2026年8月13日時点で各社が公式サイトに公表している情報にもとづきます。税表記は各社の記載に従い、公式に金額の記載がない項目は「要問い合わせ」としています。
自社の席数に置き換えて見積もる
公開されている価格から自社の月額を出すには、課金の単位を確かめるところから始めます。1席(1ID)あたりの月額課金なら、単価に稼働する席数を掛けた額が基本の月額です。通話量に応じた従量課金なら、月間の入電件数と平均通話時間から処理量を見積もり、単価を掛けます。
両方を組み合わせた料金体系もあるため、見積もりを依頼するときは席数と月間入電件数、平均通話時間の3つを先に伝えると、実態に近い金額が返ってきます。
費用に見合うかを判断する際は、削減できる時間を人件費に換算して突き合わせます。後処理を1件あたり何秒短縮できるかに月間の処理件数を掛ければ、月あたりの削減時間が出ます。これを1人あたりの月間稼働時間で割ると、何人分の稼働に相当するかが分かります。応対の自動化であれば、人を介さず完了した呼の数に1件あたりの平均応対時間を掛けて、同じように換算できます。
削減できる割合は導入する業務と用件の構成によって変わります。本記事の事例の数値をそのまま当てはめず、自社の実測値で計算してください。
基本料以外にかかる費用
月額の表示価格だけで見積もると、実際の請求額と食い違います。見落としやすいのは次の費目です。

電話応対を自動化する場合は、初期構築費とシナリオ作成費が別建てになることがあります。どんな用件をどう聞き取り、どの条件で人へつなぐかという設計を、ベンダーに依頼するか自社で作るかで金額が変わります。運用開始後も、通話1分あたりまたは1コールあたりの従量課金が発生する契約が一般的です。
要約・分析系では、処理する音声の量やテキストの量に応じた課金が加わることがあります。加えて、応対品質の自動採点や感情分析といった機能がオプション扱いになっている製品もあります。既存の電話交換機(PBX)や顧客管理システムと接続する場合の連携費用も、初回の見積もりに含まれているかを確認しておく必要があります。
無料トライアル・小規模から試せる範囲
費用の規模に見合う効果が出るかを事前に確かめたい場合、席数を絞って試せる製品から始める方法があります。通話の文字起こしと要約であれば、1IDあたりの月額課金で、数席分から契約できる製品があります。1週間程度の無料トライアルを用意している製品もあり、実際の通話で音声認識の精度を確かめてから判断できます。
一方、電話応対そのものの自動化は、回線の切り替えとシナリオ設計が必要になるため、無料で試せる範囲は限られます。この場合は、まず入電の多い1つの用件に絞って導入し、完了率を見てから対象を広げる進め方が現実的です。
コールセンター自動化サービスの選び方|自社の業務と既存環境に載るかを見る
候補が絞れたら、次の6つの観点で横並びに比較すると要件に合う製品を絞り込みやすくなります。順序は「任せたい業務に届くか」から始まり、既存環境に載るか、品質を担保できるか、導入後を回せるか、と進みます。
自動化したい業務に機能が届いているか
自社が減らしたい工数がどこにあるかと、その製品が担う業務の範囲を突き合わせます。ここで見落としやすいのが、複数の業務にまたがる製品の扱いです。通話の文字起こしを持つ製品は要約もできることが多く、応対中の支援と応対後の要約を1製品で兼ねられる場合があります。逆に、応対の自動化と記録・分析は別製品になるのが一般的です。
受電だけでなく発信も自動化したい場合は、その対応可否も併せて確認しておくことが重要です。督促やリマインドの架電を自動化できる製品と、受電専用の製品があります。
既存のPBX・CTI・CRMと連携できるか
すでに電話交換機(PBX)やCTI、顧客管理システムを使っている場合、それらを入れ替えずに載せられるかどうかが導入可否を分けます。特定のクラウド電話基盤とのみ組み合わせられる製品と、複数のPBXに接続実績がある製品では、入れ替えが必要な範囲が変わります。
要約や分析の結果を顧客管理システムへ書き戻す場合は、その連携方式(API連携か、ファイル連携か)と、対応している顧客管理システムの種類が確認のポイントになります。連携が用意されていなければ、要約の結果を人が転記することになり、削減できるはずの工数が残ります。
音声認識の精度と、自社の用語への対応
音声認識の精度は、一般的な会話の認識率だけでは判断できません。実際の応対では、自社の商品名・型番・専門用語・略称が頻繁に出てきます。これらを辞書に登録して認識精度を上げられるか、登録作業を自社で行えるかが確認のポイントです。
顧客側の話し方も精度に影響します。年齢層の高い顧客が多い、方言のある地域からの入電が中心、といった条件がある場合は、トライアルで実際の通話を通して確かめるのが確実です。
AIが参照するナレッジの範囲と、誤回答をどう抑えるか
生成AIを使う以上、事実と異なる内容を出力する可能性は残ります。「AI事業者ガイドライン」でも、社内文書などを検索して回答の材料にする仕組み(検索拡張生成)の活用により、事実と異なる出力の抑制や、出力過程・根拠の透明性向上が期待されているとされています。
選定時に確認するのは、AIが参照する範囲を自社の資料に限定できるか、回答の根拠になった箇所を示せるか、答えられない場合に無理に回答せず人へ渡す設計になっているかの3点です。オペレーター支援であれば根拠の提示があれば確認できますが、顧客と直接話す応対自動化では、誤った案内がそのまま顧客に届くため、回答範囲の制限がより重要になります。
出典・参考資料(1件)
通話録音・音声データがどこに保存され、誰が扱うか
通話内容から特定の個人を識別できる場合、その通話は個人情報にあたります。AIサービスへ通話を通す構成を検討するとき、まず判断すべきは「そもそも個人データを提供したことになるのか」です。個人情報保護委員会は、クラウドサービスの利用について次のように整理しています。
当該クラウドサービス提供事業者が、当該個人データを取り扱わないこととなっている場合には、当該個人情報取扱事業者は個人データを提供したことにはならないため、「本人の同意」を得る必要はありません。
当該クラウドサービス提供事業者が、当該個人データを取り扱わないこととなっている場合とは、契約条項によって当該外部事業者がサーバに保存された個人データを取り扱わない旨が定められており、適切にアクセス制御を行っている場合等が考えられます。
出典:FAQ(第三者提供)Q7-53|個人情報保護委員会
契約でサービス提供者側が通話データを取り扱わないと定められ、アクセス制御が適切に行われていれば、第三者提供にも委託にもあたらず、委託先の監督義務も課されません。ただしこれは何もしなくてよいという意味ではなく、同委員会は、この場合でも利用する事業者が自ら果たすべき安全管理措置を講じる必要があるとしています。
反対に、サービス提供者が精度改善のために通話データを扱う構成であれば、委託として扱い、委託先の監督が必要になります。契約条項でどちらの構成かを確認するのが確実です。
保存先が海外にある場合も確認が要ります。海外のサーバに保存する場合、そのサーバを運営する事業者がデータを取り扱わないこととなっていれば外国にある第三者への提供にはあたりません。ただし外国で個人データを取り扱うことになるため、その国の個人情報保護制度を把握したうえで安全管理のために必要かつ適切な措置を講じる必要があるとされています。
音声認識や生成AIの処理を海外リージョンで行うサービスもあるため、処理と保存がどこで行われるかの確認が欠かせません。
導入後の運用を誰が担うか
導入して終わりにならないのが、この領域の特徴です。応対の自動化ならシナリオの追加と修正、支援や分析ならナレッジの更新が続きます。この作業を自社で行うのか、ベンダーの支援に含まれるのかで、必要な体制が変わります。
月額に運用チューニングを含む契約もあれば、初期設定のみ支援して以降は自社運用とする契約もあります。センター側に専任者を置けない場合は、支援の範囲が広い契約を選ぶか、管理画面から自社で編集できる作りの製品を選ぶことになります。
ここまでの6つの観点で自社の要件が固まったら、どの製品が候補になるかを絞り込みます。自動化したい業務と既存環境、導入の進め方の3問に答えると候補が表示される選定診断を用意しました。
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【比較表】コールセンター自動化サービスのおすすめ比較22選
ここからは、自動化したい業務から候補を絞り込めるよう、主要なコールセンター自動化サービス22製品を4つのタイプ別に分類してご紹介します。
【タイプ別比較表】電話応対そのものを自動化するタイプ
顧客と直接会話して一次対応を完結させる製品群です。入電そのものを減らしたいセンターは、このタイプから候補を絞ります。
| サービス名 | DHK CANVAS | PKSHA VoiceAgent | commubo | LINE WORKS AiCall | AI Messenger Voicebot | AIコンシェルジュ | VoiceMall | IVRy(アイブリー) | MOBI VOICE | AI電話自動応答サービス | COTOHA Voice DX Premium |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド (自社通信基盤のIVR・ボイスボット) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド (既存PBXの前段に配置) | クラウド(SaaS) | クラウド(個別構築型) | クラウド/オンプレミス | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | 用途別パッケージ (代表電話・予約受付・注文受付) | クラウド(SaaS) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 500万円〜 (VOICEIVR。本体は要問い合わせ) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 30万円〜 (ボイスボット構成は200万円〜) | 0円 | 要問い合わせ | 26万円〜 (エンタープライズは120万円〜) | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ (1コール単位の件課金) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (従量課金制) | 50万円〜 (VOICEIVR。通話量による従量課金なし) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (稼働レポート・チューニング込み) | 14万円〜 (ボイスボット構成は50万円〜) | 3,980円〜(税抜) (AI Contact Centerは要問い合わせ) | 要問い合わせ | 5万円〜 (エンタープライズは25万円〜) | 要問い合わせ |
| 既存システム連携(PBX・CTI・CRM) | API連携(連携先の製品名は非公開) 既存の0120・0800・0570番号を利用可 | Avaya・BIZTEL・CT-e1/SaaS・GENESYS CRM・API連携 | BIZTEL・Genesys Cloud・Zoom Phone・CT-e1/SaaS・Twilio ほか 契約中の電話番号を利用可 | PBX・CTI連携 既存の0120番号を利用可 | 公式に記載なし | PBX・CTI連携 データベース・API連携(連携先の製品名は非公開) | 外部転送・クラウドPBX連携 SMS・FAX連携 | 予約台帳連携 Slack・LINE・Teams・メールへの通知 | PBX・CTI連携、CRM連携 RPA・API連携 | API連携(連携先の製品名は非公開) Slack・Teamsへの通知 | RPA・API連携で顧客システムと接続 フリーダイヤル・ナビダイヤルを利用可 |
| 無料トライアル | ●期間・条件は要問い合わせ | 公式に記載なし | △トライアル運用あり(無料か有料かは非公表) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ●無料プランあり(月30着電まで) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ●利用可(条件は要問い合わせ) |
| 自由発話への対応 | ●シナリオ型と生成AI型を併用 | ●生成AIによるマルチターン対話 | ●連続した会話に対応(生成AIとRAG) | ●ボタン操作なしで用件を聞き取り | ●割り込み発話・発話誘導に対応 | ●業務ごとに専用辞書・認識エンジンを設計 | △オプションの音声認識連携で自由発話に対応 | ●AI音声対話・音声認識による自動応答 | ●自由な言い回しの発話にも対応 | ●定型的な会話業務をAIが一次対応 | ●対話型AIエンジンCOTOHAで応対 |
| 有人オペレーターへの転送 | ●指定条件で指定番号へ転送 | ●対話内容を引き継いで転送 | ●未解決時にオペレーターへ連携 | ●やり取りの内容を引き継いで接続 | ●AIで対応が難しい場合に接続 | ●応対履歴を引き継いで転送 | ●外部転送・オペレーター接続 | △スタンダード以上のプランで対応 | ●折り返し予約の受付も可能 | ●担当者を個別に指定して転送 | ●複雑な問い合わせは有人へ引き継ぎ |
| 発信(アウトバウンド)への対応 | ●応答した分のみ課金 | ●リストへの一斉発信 | ●督促・アンケートの一斉架電 | 公式に記載なし | ●架電業務の自動化に対応 | ●再配達受付・督促などのオートコール | ●アウトバウンド型の構成あり | △スタンダード以上のプランで対応 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ●SMS送信・アウトバウンドコール |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月13日時点で各社が公式サイトに公表している情報にもとづきます。公式サイトで確認できなかった項目は「公式に記載なし」と表記しています。
1. DHK CANVAS(株式会社電話放送局)

入電した用件をAIが判断し、よくある質問にはAIが答え、定型の手続きはシナリオで処理し、クレームなど重要な案件はオペレーターへ回すという振り分けを、一つの窓口の中で組み立てられます。提供元の株式会社電話放送局はIVRのクラウドサービスを主力事業とし、約7,000回線の通信基盤を自社で運用したうえで、最大300chを超える同時着信に対応します。
課金は通話時間ではなく1コール単位の件課金です。架電の場合は応答した分だけが対象になるため、対話が長引いても従量分が伸びにくくなっています。日本予防医薬では年間7万件の解約電話のうち40.9%が完全自動で完結し、解約受付の工数を年間3,800時間削減したと公表されています。
既存の0120・0800・0570番号はキャリアサービス経由でそのまま利用でき、番号を変えずに移行できます。コールフローはGUIのドラッグ&ドロップで編集でき、専任のカスタマーサクセスが契約期間中は無償で構築と修正を代行します。料金は公開されていないため、初期費用と月額は問い合わせが必要です。
2. PKSHA VoiceAgent(株式会社PKSHA Technology)

入電を最適な窓口へ振り分けるAI-IVRプランと、注文受付のような定型業務をその場で完結させる自動応答プランの2種類が用意されています。PKSHA Communicationカンパニーが手がける製品で、氏名・住所・電話番号・日時といった、センターで頻繁に聞き取る項目に絞った日本語の音声認識補正を備えます。
三井住友海上火災保険では、2023年度の年間着信110万件のうち15万件をボイスボットが処理しました。導入当初は約30%だった完結率を、聞き取り項目の見直しと有人対応へ分岐させる位置の調整によって60%まで引き上げています。
接続できるPBX・CTIとしてAvaya、BIZTEL、CT-e1/SaaS、GENESYSを公式に挙げており、既存のセンター基盤を残したまま前段に置く構成が取れます。料金は初期費用・月額とも公開されておらず、企業規模やコール量に応じた個別見積もりとなります。
3. commubo(株式会社ソフトフロントジャパン)

音声伝送やIP電話の技術を手がけてきたソフトフロントグループが自社開発した音声認識エンジンを使い、一問一答ではなく連続した会話で用件を聞き取ります。2025年11月のver.4では、発話内容から入電の理由を特定して窓口へ振り分ける機能と、社内資料を読み込ませて複雑な問い合わせに答える機能が加わりました。
接続できるCTI・PBXの製品名が公式に一覧で公開されており、BIZTEL、Genesys Cloud、Zoom Phone、CT-e1/SaaS、Twilioなどとの連携実績を確認できます。契約中の電話番号をそのまま使う構成、オペレーターへの転送、督促やアンケートの一斉架電にも対応します。
料金は待機時間に費用がかからない従量課金制で、利用するインスタンス数と稼働時間帯に応じた個別見積もりとなり、単価は公開されていません。公式サイトでは導入400社以上・業務完了率94.5%を公表しており、MonotaROでは問い合わせへの回答までの時間が約5割短くなったとしています。
4. LINE WORKS AiCall(LINE WORKS株式会社)

顧客が自由に話した内容をAIが聞き取り、AIで完結できる用件と有人対応が必要な用件に仕分けます。既存の0120番号やPBXは入れ替えずに残し、その前段にAiCallを置く構成が公式に案内されています。
一次対応に特化したパッケージ版のVOICEIVRは、構築費用500万円から・月額50万円からと金額が公開されています(問い合わせ内容数や電話環境により変動)。本体・VOICEIVRとも通話量に応じた従量課金がなく、入電が増えても月額は変わりません。繁忙期の呼量が読みにくいセンターでは、費用の見通しを立てやすい方式です。
クレディセゾンでは、オペレーターへの着信件数が前年比で約30%減り、6階層になっていたIVRの階層構造も解消しています。ヤマト運輸の集荷依頼受付では、月100万件の対応とAI完了率80%を公表しています。発信業務への対応は、公式ページでは明記されていません。
5. AI Messenger Voicebot(株式会社AI Shift)

株式会社AI Shiftが2016年から提供してきた「AI Messenger」シリーズの電話向け製品で、2025年12月に「AI Worker VoiceAgent」へ名称が変わりました。予約・注文の受付、問い合わせ対応、契約内容の変更など、窓口で繰り返し発生する用件の自動化を対象としています。
顧客の発話中にAI側から応答を差し込む割り込み発話や、黙ってしまった相手に話しかけて発話を促す機能を備えます。公式のABテストでは、質問後に沈黙した利用者に絞って調べたところ切断数が75%改善したと公表されています(2023年2月から3月にかけて、金融業の利用企業で実施)。
焼肉きんぐでは全国230店舗の電話窓口に導入し、月間約15万件の電話対応を自動化しています。神戸市税務部の試験導入では自動回答率65%以上を記録し、年間約40万件の問い合わせのうち定型的な用件の70%以上を自動対応する目標で本格導入に移りました。料金は公開されていないため、問い合わせが必要です。
6. AIコンシェルジュ(株式会社TACT)

2016年9月の提供開始以来、電話窓口の定型的な問い合わせを引き受けてきたボイスボットです。業種・業務ごとに専用の辞書と認識エンジン、対話フローを設計する個別構築型で、電話番号や生年月日による本人確認、復唱確認、SMS・メール送信までを一連の応対の中で扱えます。
2024年1月に加わった「AIコンシェルジュ with MediaVoice」では、AIが聞き取った応対履歴とヒアリング内容を、オペレーターが使うシステムへそのまま引き継げます。月額には稼働レポートと改善提案、精度チューニングが含まれ、追加費用はかからないと公式に記載されています。
ニッセンでは返品受付の70%以上を自動化し、生活協同組合コープこうべでは完了率が35%改善しています。クラウドサービスの情報セキュリティ規格ISO/IEC 27017の認証を、本サービスの企画・設計・開発・運用・保守を範囲として2022年1月に取得しています。料金はコールフローと対応内容によって変わるため公開されておらず、問い合わせが必要です。
7. VoiceMall(NTTテクノクロス株式会社)

必要な機能だけを組み合わせ、1ヶ月単位で使えるクラウド型のIVRです。音声認識・音声合成にSMSやFAXの連携を加え、あふれ呼や時間外呼を受けてコールバック予約を取る、応対後に顧客満足度調査を流すといった構成を用途ごとに組めます。基盤にはNTTドコモビジネス(旧エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ)のクラウドIVRを用いています。
公式サイトに費用例が掲載されており、初期費用と月額の目安を事前に把握できます。インバウンドはベストエフォート型が初期費用30万円から・月額26万円から、ギャランティ型が初期費用30万円から・月額14万円からです。発話で用件を聞き取るボイスボット構成にすると、初期費用200万円から・月額50万円からとなります(いずれも税別・下限の目安)。
同時着信は最大92chまたは184chに対応し、公式サイトには約300サービスの導入実績が示されています。オプションのVoice AI Proxyを使うと、音声認識5サービスと音声合成3サービスを統一されたAPIで切り替えられます。
8. IVRy(アイブリー)(株式会社IVRy)

2026年3月に提供が始まった上位製品「アイブリー AI Contact Center」は、大規模なコンタクトセンターや、店舗と集約型センターを併せて運営する事業者を対象としています。通話データを解析するIVRy AnalyticsやIVRy Data Hubと連携し、要件定義からAIシナリオの設計までを専任チームが支援します。
小規模な拠点で使う基本プランは初期費用0円・月額3,980円(税抜)からで、AI音声対話や音声認識Q&A、文字起こしとAI要約は全プランに標準搭載されています。ただし電話の発信・転送とチャットツール連携はスタンダード以上のプランが必要で、下位プランでは利用できません。
累計アカウント数は60,000件を超え(2026年4月末時点)、累計の発着信は1億件に達しています。電話自動応答サービスの開発・提供と運用を認証範囲とするISO/IEC 27001を2024年8月に取得しています。AI Contact Centerの料金は公開されておらず、見積もりが必要です。
9. MOBI VOICE(モビルス株式会社)

シナリオの作成と編集を管理画面上のノーコード操作で完結でき、変更をその場で反映できます。提供元のモビルス株式会社はチャットボットや有人チャットのオペレーター支援を含む複数のプロダクトを展開しており、本サービスはそのうち電話チャネルを担います。
人名や専門用語の読みを管理画面から登録できる音声認識辞書がオプションで用意され、商品名や手続き名がセンター固有になりやすい窓口でも認識の精度を調整できます。全通話を録音してテキスト化したうえで、その内容を人が確認・修正する運用を組み合わせています。
横浜銀行では、住宅ローンの年末残高証明書など一部の証明書発行申請で自動受付の完了率が約9割に達し、放棄呼がゼロになったと公表されています。電話応対と郵送作業を合わせた削減見込みは年間約445時間です。料金は公式に金額が示されておらず、利用する機能やシステム連携の有無で変わるため問い合わせが必要です。
10. AI電話自動応答サービス(キューアンドエー株式会社)

全国8拠点でコンタクトセンターを運営するキューアンドエー株式会社が、グループのディー・キュービック株式会社と共同で提供するボイスボットです。自社センターでの運用を経て、代表電話の応対・予約受付・注文受付という3つの用途のパッケージとして2021年から外販しています。
初期費用と月額が公式に示されており、スタンダードが初期26万円から・月額5万円から、エンタープライズが初期120万円から・月額25万円からです。通話料などの従量課金の単価は公開されていないため、呼量を前提にした試算には問い合わせが必要になります。
通話内容はリアルタイムでテキスト表示され、応答内容は利用企業側で確認・修正できます。着信転送は担当者を個別に指定でき、メールやSMSのほかSlack・Teamsへの通知にも対応します。発信業務への対応は公式ページに記載がありません。
11. COTOHA Voice DX Premium(NTTドコモビジネス株式会社)

NTTドコモビジネス株式会社(2025年7月にエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社から社名変更)が提供する、コンタクトセンター向けのAI自動音声応対サービスです。対話型AIエンジンのCOTOHAにRPA・API連携を組み合わせ、受付の聞き取りから通話後の事務処理・システム投入までを続けて自動化します。
音声認識エンジンを複数用意した冗長構成をとり、一方に障害が起きても応対を継続できる設計です。利用中のフリーダイヤルやナビダイヤルの番号はそのまま活用でき、SMS送信とアウトバウンドコールにも対応します。対応言語は日本語のみです。
東京電力エナジーパートナーの試験導入では月間約2.5万件の問い合わせを処理し、1席1時間あたりの対応件数がオペレーターのみの約3件から約6件に増えました。料金は公開されておらず要件ごとの見積もりとなりますが、トライアル利用は可能と案内されています。
電話応対の自動化に絞って候補をさらに広げたい場合は、受電(一次受け・取り次ぎ)、予約や手続きまで完結させるもの、発信(督促・アンケート)と、担う役割ごとに32製品を比較した記事があります。自社の入電がどの役割に当たるかが決まっていれば、そちらのほうが候補を絞りやすいはずです。
【タイプ別比較表】応対中のオペレーターを支援するタイプ
通話中に回答候補やナレッジを提示して、応対品質のばらつきを抑える製品群です。ベテランと新人の差を埋めたいセンターに向きます。
| サービス名 | Zendesk(Zendesk Talk) | MooA | Service Cloud | Re:lation |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(SaaS) Talk単体では販売なし | クラウド(SaaS) 既存の電話・チャットに重ねて利用 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 55米ドル〜/1エージェント (年払い・Suite Team)+通話の従量課金 | 要問い合わせ | 3,000円〜/1ユーザー(Starter Suite) 電話機能は+6,000円/1ユーザー | 要問い合わせ (クラウド電話は基本料18,000円〜+1ユーザー3,000円〜) |
| 既存システム連携(PBX・CTI・CRM) | 自社の電話基盤で提供(VoIP・PSTN・SIP-IN対応) 外部PBX・CRM連携は公式に記載なし | CRM連携(SalesforceやFastHelp5への直接入力) PBX連携・モビシリーズ製品との連携 | パートナーの電話サービス・Genesys・CT-e1/SaaS Salesforceの顧客管理基盤と統合 | CTIベンダー各社(連携先の発表ベース) 楽天市場・Yahoo!ショッピング・LINEなどの窓口 |
| 無料トライアル | ●14日間(Suite Professionalの全機能) | 公式に記載なし | ●Starter Suite〜Unlimitedで利用可 | ●無料プランあり(1名まで) |
| 応対中の回答提示 | ●エージェント Copilot がリアルタイムに回答を提案 | ●通話を文字起こししながら回答案を提示 | △会話サマリー・返信文案はEnterprise以上のオプション | △メール・チャットの返信文案。通話中の回答提示は公式に記載なし |
| 参照するナレッジの範囲 | 公式に記載なし | 自社の社内ナレッジ(RAG方式で検索) | 自社のナレッジベースと会話データ | 自社のマニュアルと過去の対応履歴 |
| 対応チャネル | 電話・メール・チャット・SNS | 電話・有人チャット・チャットボット | 電話・チャット・メール (ケース管理と統合) | メール・LINE・チャット・SMS・電話 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月13日時点で各社が公式サイトに公表している情報にもとづきます。公式サイトで確認できなかった項目は「公式に記載なし」と表記しています。
12. Zendesk(Zendesk Talk)(Zendesk, Inc.)

Zendesk Talk は、メール・チャット・電話・SNSの問い合わせを1つの管理画面で扱う Zendesk Suite の音声チャネル機能です。着信・発信、通話録音、留守番電話、IVR、着信の振り分けを、チケット管理と同じ画面で操作できます。ただしTalk は単体では販売されず、Zendesk Suite(または Support と Talk アドオン)の契約が前提になります。
応対中の支援にあたるのが、エージェント Copilot によるリアルタイムの回答提案です。通話の文字起こしと要約もAIが処理し、品質保証機能では全通話を対象にした自動スコアリングを行えます。着信の振り分けでは、IVRメニューによる分岐に加えて、問い合わせの意図・感情・言語から担当者を選ぶAIルーティングも使えます。
費用は Suite のプラン料金に、電話番号と通話分の従量課金が加わる形です。年払いなら1エージェント月額55米ドルの Suite Team から音声機能を使え、公式ヘルプ記載の従量課金は電話番号が月額1米ドル、インバウンド通話が1分0.016米ドルとなっています。日本の電話番号の料金は同ページに記載がないため、14日間の無料トライアルで使用感を確かめつつ、見積もり時に確認しておくのが確実です。
13. MooA(モビルス株式会社)

東京証券取引所グロース市場に上場するモビルス株式会社が、コンタクトセンター向けSaaS「モビシリーズ」の一環として提供するオペレーション支援AIです。MooA 自体は電話に自動応答するIVR・ボイスボットの機能を持たず、既存の電話・チャットボット・ボイスボットの上に重ねる形で、応対中の回答支援と応対後の記録・要約を担います。
応対中の支援は「MooA CommNavi」が担います。通話の開始と同時に音声を文字起こしし、AIが話者と文脈を判別したうえで、生成AIによる回答案をオペレーターの画面へ提示します。社内ナレッジを検索して回答を作る「MooA KnowledgeBase」はRAG(検索拡張生成)方式で、2026年5月には顧客の不満の兆候を検知して管理者のフォローにつなげるリアルタイムモニタリングも加わりました。
終話後は、用件の意図抽出と要約、QAドラフトの作成、顧客の声の抽出までを自動処理し、応対ログから新しいFAQ候補を作って既存ナレッジと突き合わせます。導入したクオリカ株式会社は、終話後の応対記録業務の40%削減を目標に掲げ、文字起こしと要約を Salesforce や FastHelp5 へ直接入力する運用を想定しています。料金は初期費用・月額とも公式には公開されていません。
14. Service Cloud(株式会社セールスフォース・ジャパン)

問い合わせ・ケース管理からナレッジ管理、コンタクトセンターの運営までを、Salesforce の顧客管理(CRM)基盤の上でまとめて扱います。国内提供は株式会社セールスフォース・ジャパンが担い、料金はエディション制で、Starter Suite が1ユーザー月額3,000円、Agentforce のフル機能を備える Agentforce 1 Service が66,000円です(いずれも税別)。
応対中の支援にあたるのは、やり取りの概要を自動生成する会話サマリーや、ナレッジをもとに返信文案を作る機能です。これらは Enterprise(1ユーザー月額21,000円)以上のエディションで購入するオプションとして整理されており、下位のエディションには含まれません。問い合わせ内容を自動で振り分ける Einstein ケース分類は、Enterprise 以上に標準搭載されます。
電話チャネルは Service Cloud Voice が受け持ち、追加料金は1ユーザー月額6,000円です。ただし国内で購入できるのはパートナーの電話サービスと接続する方式で、Amazon Connect を使う統合プランは日本の対象外とされています。
2026年8月7日には音声AIエージェント Agentforce Voice の日本語版が一般提供を開始し、Genesys やコムデザインの CT-e1/SaaS と連携して既存の電話基盤に追加できます(料金は公式に非公開)。
15. Re:lation(株式会社インゲージ)

メール・LINE・チャット・SMS・電話といった問い合わせ窓口を1つの画面に集約し、複数の担当者で対応状況を共有しながらさばく使い方を想定しています。開発・提供は株式会社インゲージで、導入社数は6,000社以上(トライアル利用を含む、2025年12月時点)と公表されています。
電話を使う場合は「Re:lationクラウド電話」を追加します。電話機やPBX(構内交換機)の設置工事なしに発着信でき、用件に応じて担当者へ自動で振り分けるIVRはベーシックコース以上で使えます。通話内容を終話後に要約するAI議事録と、通話中のモニタリングはアドバンスドコースの機能で、録音と文字起こしは自動で行われます。
メールやチャットの応対には、返信文案の作成、文章の校正、過去のやり取りの要約を行うAIパッケージが従量課金のオプションとして用意されています。
クラウド電話の費用は基本料金が月額18,000円から(税別、ユーザー数とストレージで変動)で、これに1ユーザーあたりベーシックコース3,000円、アドバンスドコース5,000円と通話料が加わります。本体プランの月額は公式に金額が示されていないため、総額は問い合わせで確認することになります。
【タイプ別比較表】応対後の記録・要約を自動化するタイプ
通話をテキスト化して要約・記録まで自動生成し、後処理の時間を削る製品群です。応対後の入力に稼働を取られているセンターに向きます。
| サービス名 | MiiTel Phone | PKSHA Speech Insight | AmiVoice Communication Suite | Comdesk Lead |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(IP電話・工事不要) | クラウド(SaaS) PCへのアプリ導入のみで開始 | クラウド (要約の生成AIはローカルLLMも選択可) | クラウド(CTI) IP回線・携帯電話回線に対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ (1IDから契約可) | 要問い合わせ (席数に応じたID課金・最低10席) | 要問い合わせ | 6,000円〜/1ID (1IDから契約可) |
| 既存システム連携(PBX・CTI・CRM) | Salesforce・HubSpot・kintone・Zoho CRM・FastHelp5 ほか Slack連携 | Salesforce・FastHelp5との接続実績 API連携 | Genesys・NEC・富士通などのIP-PBX API・CTI連携でCRMと接続 | Salesforce・HubSpot・kintone・Zoho・Zapier |
| 無料トライアル | 公式に記載なし | 公式に記載なし | △少数席のPoC・録音データでの検証に対応 | ●1週間(5営業日) |
| リアルタイム文字起こし | △自動で全文を文字起こし(リアルタイム表示は公式に記載なし) | ●通話をリアルタイムにテキスト化 | ●全通話をリアルタイムにテキスト化 | △通話を自動で文字起こし(リアルタイム表示は公式に記載なし) |
| 自動要約 | ●生成AIによる議事録の作成 | ●固定型・カスタマイズ型を選択 | ●要約と顧客情報の自動抽出 | ●文章形式・箇条書き形式を選択 |
| 応対品質の評価 | ●トーク解析・感情認識・キーワード検知 | ●リアルタイムモニタリング・感情分析 | ●応対品質の自動採点・感情解析 | △モニタリング・ウィスパリング(自動採点は公式に記載なし) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月13日時点で各社が公式サイトに公表している情報にもとづきます。公式サイトで確認できなかった項目は「公式に記載なし」と表記しています。
16. MiiTel Phone(株式会社RevComm)

通話の自動録音と全文の文字起こしを標準で備えたクラウド型のIP電話サービスです。株式会社RevCommが提供しており、専用の電話機や回線工事は不要で、PCとスマートフォンから1IDで使い始められます。
書き起こしたテキストは、話す比率や話速を可視化するトーク解析、感情認識、キーワードの自動検知に使われ、生成AIによる議事録の作成にも対応します。入電時に音声ガイダンスで担当へ振り分けるIVRやオートコール、SMS送信も同じサービス上で扱えます。
Salesforce・HubSpot・kintone・Zoho CRMなどと連携でき、応対の記録を既存の顧客管理側に残す運用に組み込めます。導入実績はMiiTelシリーズ全体で3,000社・累計ユーザー11万人(2025年5月時点)と公表されています。ただし月額と初期費用は公式サイトに明示がなく、金額は問い合わせでの確認が必要です。
17. PKSHA Speech Insight(株式会社PKSHA Technology)

東京証券取引所プライム市場に上場する株式会社PKSHA Technologyが提供する、コンタクトセンター向けの音声認識・通話分析サービスです。独自開発の音響モデルと言語モデルを組み合わせ、応対中の会話をリアルタイムでテキスト化します。
テキスト化した通話からは、記載項目が決まっている固定型の要約と、自社の様式に合わせるカスタマイズ型の要約を自動生成でき、後処理にあてる時間を短くする用途を想定しています。2026年には、要約した項目の根拠になった発話を併記するリファレンス抽出機能が加わりました。なお、自動発信の機能は公式の製品ページに記載がありません。
JR東日本のJRE POINTコールセンターでは、1日1,000件を超える受電を対象に属性要約のオプションを試験導入したうえで本導入に移ったことが公表されています。導入時はPCへのアプリケーションのインストールのみでシステム開発を伴わず、最短1週間から利用を始められるとしています。契約は最低10席からで、初期費用と席数に応じた月額のID課金という構成ですが、金額は公開されていません。
18. AmiVoice Communication Suite(株式会社アドバンスト・メディア)

音声認識エンジンAmiVoiceを開発する株式会社アドバンスト・メディアの、コンタクトセンター向け製品です。全通話をリアルタイムにテキスト化し、生成AIによる要約の作成、応対品質の自動採点、感情の解析までを扱います。公式サイトでは導入実績600社・90,000ライセンス以上と公表されています。
要約や顧客情報の抽出に使う生成AIは、自社環境に置くローカルLLMとクラウド型のどちらかを、セキュリティ要件に応じて選べます。通話中の不適切な発言を検知して対応指針を表示する通話フィルタなど、カスタマーハラスメント対策の機能もパッケージとして用意されています。
公式の導入事例では、ヤマトコンタクトサービス株式会社が辞書登録などのチューニングを経て認識率90%に達し、VOC取得率130%超、応対品質のスコア平均10%向上を挙げています。パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社は、モニタリング業務について3か月で3人分以上の工数削減効果を見込むとしています。料金は非公開ですが、少数席でのPoCや録音済みの音声データを預けての検証に対応します。
19. Comdesk Lead(株式会社Widsley)

架電を中心とする業務向けのコールシステム(CTI)で、IP回線に加えて携帯電話回線からも発信できます。携帯回線はかけ放題による定額利用も選べます。株式会社Widsleyが提供しており、国内900社以上・25,000ID以上での利用を公表しています。
通話は回線を問わず自動で文字起こしされ、ChatGPTとの連携によってワンクリックで文章形式か箇条書き形式の要約を作成できます。要約と録音データ、通話時間などの記録はSalesforce・kintone・HubSpotといったCRMへ自動で連携され、オートコールや再コールの機能も備えます。
月額6,000円〜/IDで1IDから契約でき、1週間(5営業日)の無料トライアルもあります。公式の導入事例では、株式会社ドアーズが管理業務の時間を1時間から約10分へ減らし架電数が1.5倍以上に増えたこと、株式会社トリニアスで接続率が10〜15%から20〜23%へ上がったことが報告されています。
【タイプ別比較表】問い合わせの分析とナレッジ整備を自動化するタイプ
応対データを分析してFAQ・ナレッジを整え、問い合わせ自体を減らす製品群です。同じ問い合わせが繰り返し来ているセンターに向きます。
| サービス名 | PKSHA Knowledge Stream | Helpfeel | Flyle |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 既存システム連携(PBX・CTI・CRM) | PKSHA Speech Insight・PKSHA FAQと連携 PBX・CRM連携は公式に記載なし | 公式に記載なし | API連携(連携先の製品名は非公開) |
| 無料トライアル | 公式に記載なし (無料相談会の申込導線あり) | 公式に記載なし (30分の無料相談あり) | 公式に記載なし |
| 通話ログの取り込み | ●コールログからQAを生成(2025年6月提供開始) | 公式に記載なし (対象はメール・チャット履歴・PDF) | ●全通話をAIが解析・スコアリング |
| FAQ・ナレッジの自動生成 | ●重複検知と既存カテゴリへの自動分類 | ●生成AIがタイトルと本文を作成 | 公式に記載なし |
| VoC分析 | 公式に記載なし | ●有料オプション | ●通話・アンケート・SNSを横断して分類 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月13日時点で各社が公式サイトに公表している情報にもとづきます。公式サイトで確認できなかった項目は「公式に記載なし」と表記しています。
20. PKSHA Knowledge Stream(株式会社PKSHA Technology)

株式会社PKSHA Technologyが提供する、マニュアルや約款などのドキュメントと問い合わせログからQA(FAQ)を自動生成するサービスです。2025年6月19日には通話ログを起点にFAQを生成する「コールログ to QA」の提供が始まり、コンタクトセンターに溜まった会話をそのままナレッジの材料にできるようになりました。
生成の仕組みでは、顧客の発言をQ、オペレーターの発言をAとして区別し、誤った回答が生成されないようアルゴリズムを最適化したとしています。生成されたQAは既存FAQとの重複が自動で検知され、既存のカテゴリ構造に合わせて分類されます。入力したデータをAIモデルの学習に利用しないことも公式に明記されています。
導入事例では、JVCケンウッド・サービス株式会社が通話の文字起こしを担うPKSHA Speech Insightと本サービスを併せて導入し、3ヶ月でACW(後処理時間)を約6割削減したと発表されています。この数値は2製品を併用した結果として公表されたものです。料金は非公開で、製品資料の請求か問い合わせで確認します。
21. Helpfeel(株式会社Helpfeel)

検索型のFAQシステムを軸に、顧客の自己解決を増やすことで入電を減らす側から電話業務に関わるサービスです。特許を取得した意図予測検索により、顧客が曖昧な言葉で検索しても該当するFAQへたどり着けるようにしています。ただし電話の自動応答そのものは提供していません。
FAQの下書きは生成AIが作ります。問い合わせメールやチャットの履歴、PDFを取り込んでタイトルと本文まで自動生成する機能を導入企業へ無償提供しており、18ページのPDFから145件のFAQ記事を生成した実証例を株式会社Helpfeelが公表しています。問い合わせログを自動で分類してFAQが不足している論点を検出するHelpfeel Analyticsも、2025年8月に発表されました。
電話業務への効果として公表されているのは、LIXILの電話問い合わせ5〜7%削減、東北電力の入電量約20%削減、SBIいきいき少額短期保険の応対時間(AHT)25%削減です。料金は公開されておらず、構築するFAQのボリュームなどに応じた個別見積もりとなります。
22. Flyle(株式会社フライル)

株式会社フライルのFlyleは、通話ログに加えてアンケートやSNSの投稿も含めた顧客の声を横断して読み取るプラットフォームで、コールセンター専用に設計された製品ではありません。生成AIが数十万件規模のデータを文脈で分類し、部門ごとに作ったダッシュボードで扱えるようにします。
コールセンターでの使われ方は、カウネットの事例が具体的です。同社では月間約1万件の全通話をAIが自動で解析・スコアリングする体制へ移り、従来は専門の評価担当者が数%を抽出して行っていたモニタリングを、全件の品質管理へ切り替えたとしています。
スコアリングの対象は、言葉遣いや課題解決までの速さ、顧客の感情の変化のほか、共感の表明や傾聴の姿勢といった定性的な項目にも及びます。同じ事例では、問い合わせが急増した際にエラーの発生箇所を特定して翌日にFAQを改善し、200件以上あった電話が50件ほどに減ったことも公表されています。料金は非公開で、問い合わせでの確認が必要です。
コールセンターをAIで自動化するメリット
ここまでの内容を、導入によって得られる効果として4つに整理します。
入電と一次対応が減り、オペレーターの稼働を空けられる
用件の型が決まっている問い合わせをAIが引き受けることで、オペレーターが応対する呼の数そのものが減ります。前述のSBI証券の事例では、AIが受けた呼のうち約70%が人を介さずに完了しています。空いた稼働は、判断の要る用件や、これまで待たせていた呼の応対に回せます。
応対品質のばらつきが抑えられ、新人の立ち上がりが早くなる
応対中にAIが回答候補を提示すれば、経験の浅いオペレーターでも必要な情報にすぐたどり着けます。資料を探す時間が縮まる分、応対時間のばらつきも小さくなります。スーパーバイザーの不足感が最も強い状況では、教育に割ける時間が限られるため、この効果は運営の安定に直接効きます。
後処理(ACW)が短縮され、1件あたりの処理時間が下がる
通話後の記録作成が自動化されると、次の呼を取るまでの時間が短くなります。要約の結果を顧客管理システムへ自動で書き戻せれば、転記の工数も併せて消えます。前述のドアーズの事例では、管理業務にかけていた時間が8割減り、その分が架電数の増加につながっています。
時間外・繁忙時間帯の取りこぼしを防げる
営業時間外にかかってきた電話や、席が埋まっているときにあふれた呼を、AIが受け付けて用件を記録します。折り返しの約束まで済ませられれば、顧客はかけ直す必要がなくなり、センター側も用件がわかった状態から対応を始められます。人員を増やさずに受付可能な時間帯を広げられる点が、増員と異なる部分です。
コールセンターのAI自動化で押さえておく注意点
期待どおりの効果を得るには、次の4点を導入前に織り込んでおく必要があります。
音声認識と生成AIの精度には限界がある
音声認識は、周囲の雑音、話す速さ、方言、専門用語によって精度が落ちます。生成AIについても、参照できる情報の中に答えがない場合に、それらしい内容を作ってしまうことがあります。
抑え方としては、自社の用語を辞書に登録して認識精度を上げること、AIが参照する範囲を自社の資料に限定すること、答えられない場合は人へ渡す条件を設けることが基本になります。導入直後から高い精度が出るわけではなく、運用しながら調整していく前提で計画を立てます。
機械対応に抵抗を感じる顧客がいる
顧客層によっては、AIが応対することそのものが不満につながります。特に、すでに困っている状態でかけてきた顧客に対して、機械が先に応じる設計は反発を招きやすくなります。
入り口の設計で緩和できます。用件を選ぶ段階でオペレーターにつながる経路を明示しておく、苦情や解約に該当する用件は最初から人へ回す、AIが応対することを冒頭で伝える、といった方法があります。自社の顧客層と用件の構成に応じて、どこまでAIに前に出させるかが決まります。
顧客に機械を操作してもらうか、人が代わりに受け止めるかという線引きは、電話でカード情報を受け付ける場面でも起きています。電話放送局の前田氏は、顧客自身がプッシュ操作で入力する直接入力方式と、オペレーターが代わりに入力する代理入力方式の使い分けについて、次のように話しています。

企業の業態やお客様の層によって最適な入力方法は変わってきます。当社としては、導入時のヒアリングで顧客属性を確認したうえで、どちらの方式が適しているかをご提案しています。セキュリティの観点からは直接入力が理想ですが、現実の運用を考えると柔軟な対応が必要な場面もあります。
導入・運用にコストと工数がかかる
費用の項で触れたとおり、月額のほかに初期構築費やシナリオ作成費がかかります。金額以上に見落とされやすいのが、自社側の工数です。どの用件を自動化するかを決めるための入電分析、AIに参照させる資料の整備、テスト通話での確認と修正には、センター側の担当者の時間が必要になります。
この工数を見込まずに始めると、設定が中途半端なまま運用に入り、精度が上がらないという結果になります。導入の可否を検討する段階で、誰が何時間を割けるのかまで含めた見積もりが必要になります。
通話データの取り扱いとセキュリティ
通話録音そのものについては、相手に伝える義務まではありません。個人情報保護委員会は次のように示しています。
通話内容から特定の個人を識別することが可能な場合には個人情報に該当します。個人情報に該当する場合、個人情報取扱事業者は、個人情報保護法上、利用目的を通知又は公表する義務を負いますが、録音していることについて伝える義務までは負いません。
出典:FAQ(個人情報)Q1-10|個人情報保護委員会
録音の告知義務がないことと、何も伝えなくてよいことは別です。利用目的を通知または公表する義務は残ります(個人情報保護法21条1項)。通話をAIで要約したり、応対品質の評価やVoC分析に使ったりする場合は、その利用目的をどこまで具体的に書くかが問題になります。
ガイドラインは、本人から得た情報から本人に関する行動・関心等の情報を分析する場合、どのような取扱いが行われているかを本人が予測・想定できる程度に利用目的を特定しなければならないとしています。「サービス向上のため」といった書き方では足りない可能性があるため、既存の利用目的の記載を見直しておく必要があります。
出典・参考資料(1件)
導入の進め方と、定着させるための運用設計
導入したものの使われないまま終わる、という結果を避けるには、対象業務の決め方から効果の測り方までを最初に設計しておく必要があります。
現状の入電を棚卸しして、自動化する業務を決める
最初に行うのは、今どんな用件がどれだけ来ているかの把握です。用件の内訳、件数、1件あたりの所要時間を並べると、自動化する価値の大きい業務が見えてきます。件数が多く所要時間が短い定型的な用件は応対自動化の対象になり、件数は少なくても記録に時間がかかっている用件は要約の対象になります。
この棚卸し自体を、通話の文字起こしと分析で行う方法もあります。応対履歴が手入力の場合、記録の粒度がばらついていて集計に使えないことがあるためです。
小さく始めて広げる
最初から全用件を対象にすると、シナリオの設計もナレッジの整備も終わらないまま運用開始を迎えます。入電の多い1つの用件、あるいは1つの業務区分に絞って始め、そこで精度と効果を確かめてから対象を広げるほうが確実です。
広げる判断の材料は、AIが人を介さず完了できた割合、誤って人へ回した件数、顧客からの苦情の有無です。最初の用件でこれらが安定してから次に進みます。
ナレッジ・FAQを整備してAIが参照できる状態にする
回答支援でも応対自動化でも、AIが出せる回答の質は参照できる資料の質に規定されます。マニュアルが古いまま、FAQの内容が実際の運用と食い違ったままでは、AIを入れても正しい回答は出てきません。
この整備を人手だけで行うと着手できないまま止まりがちなため、応対ログからFAQの下書きを自動生成する仕組みを併せて使う方法があります。前述のJVCケンウッド・サービスの事例は、要約とナレッジ生成を組み合わせた結果として後処理時間の削減につながったものです。
シナリオとナレッジを誰がどの頻度で見直すか
運用開始後に必ず発生するのが、AIが答えられなかった用件への対応です。答えられなかった通話のログを定期的に確認し、想定していなかった言い回しをシナリオに追加する、不足していた情報をナレッジに足す、という作業を回します。
誰がこの作業を担うのかは、導入前に決めておきたい点です。センター側に担当者を置くのか、ベンダーの支援に含めるのか。頻度も、稼働直後は週次、安定後は月次といった形で決めておくと、見直しが後回しになりません。
効果を社内で示すためのKPIの当て方
投資の継続や対象拡大を社内で通すには、効果を数値で示す必要があります。動く指標は、自動化した業務によって変わります。
| 自動化した業務 | 電話応対そのもの | 応対中のオペレーター支援 | 応対後の記録・要約 | 問い合わせの分析とナレッジ整備 |
|---|---|---|---|---|
| 主に動く指標 | 応答率、放棄呼率、AIによる完了率、時間外の受付件数 | 平均応対時間(AHT)、一次解決率、応対品質スコア、新人の独り立ちまでの期間 | 後処理時間(ACW)、1件あたりの総処理時間、応対履歴の記載品質 | 入電件数、自己解決率、FAQの閲覧数と解決率 |
導入前の数値を取っておかないと、効果の比較ができません。特に後処理時間や一次解決率は、日常的に計測していないセンターもあります。導入を決めた段階で、比較の基準にする期間と指標を先に決めておくと、後から効果を示せます。
まとめ
コールセンターのAI自動化は、電話に出る場面だけの話ではありません。応対そのもの、応対中の支援、応対後の記録・要約、問い合わせの分析とナレッジ整備という4つの業務があり、それぞれ自動化の到達点も、費用の桁も、効果が表れる指標も異なります。
入電のピークをさばききれず時間外の取りこぼしが多いなら電話応対そのものを自動化するタイプを、ベテランと新人の応対差が大きいなら応対中のオペレーターを支援するタイプを、応対後の入力に稼働を取られているなら記録・要約を自動化するタイプを、同じ問い合わせが繰り返し来ているなら分析とナレッジ整備を自動化するタイプを、それぞれ起点に候補を絞るのが近道です。
いずれのタイプでも、導入して終わりにはなりません。AIが答えられなかった用件を拾って設定に反映する作業と、その効果を測る指標の設計まで含めて、体制を組めるかどうかが定着を分けます。比較表と選定診断で候補を絞り込んだうえで、各社の資料で自社の入電量に合う料金体系かを確かめてください。
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コールセンターのAI自動化に関するよくある質問(FAQ)
Q. コールセンターのAI自動化とは何ですか?
A. コールセンターのAI自動化とは、音声認識や生成AIを使って、電話応対そのもの・応対中のオペレーター支援・応対後の記録や要約・問い合わせの分析とナレッジ整備という4つの業務を、人手を介さずに処理する仕組みです。AIが電話に出る場面だけを指す言葉ではありません。
4つの業務で自動化の到達点は異なります。用件の型が決まっている応対は人を介さず完結できる一方、裁量を伴う判断や感情への配慮が必要な用件は人が引き取る前提になります。実務では、顧客と直接話す部分よりも、応対後の要約や回答支援のほうが先に使われ始めています。
Q. 席数の少ない小規模なコールセンターでも、AIによる自動化は導入できますか?
A. 導入できます。効果の大きさを決めるのは席数ではなく、入電の量と、用件がどれだけ型にはまっているかです。通話の文字起こしと要約であれば1IDあたりの月額課金で数席分から契約できる製品があり、席数が少ないセンターでも始められます。
一方、電話応対そのものの自動化は回線の切り替えとシナリオ設計が必要になるため、対象にする用件の入電が一定量ないと初期の投資を回収しにくくなります。判断の材料になるのは、同じ用件がどれだけ繰り返し来ているかです。用件の内訳と件数を先に数えたうえで、どの業務から手をつけるかを決めてください。
Q. コールセンターのAI自動化は、導入までにどれくらいの期間がかかりますか?
A. 期間は自動化する業務で変わり、応対後の要約や回答支援に比べて、電話応対そのものの自動化のほうが長くかかります。前者は今ある通話に処理を加える形で設定の範囲が狭いのに対し、後者は電話回線の切り替え、聞き取る項目とシナリオの設計、テスト通話での確認までが必要になるためです。
期間が延びる要因は、ベンダー側の作業よりも自社側の準備にあることが多くなります。AIに参照させるマニュアルやFAQの整備、入電の棚卸し、テスト通話の確認には、センター側の担当者の時間が要ります。見積もりの段階で、どこまでをベンダーが代行し、自社では誰が何時間を割く必要があるのかまで確認しておくと、スケジュールが崩れにくくなります。
Q. コールセンターのAI自動化にかかる費用は、どのように見積もればよいですか?
A. 自動化したい業務を1つに絞ったうえで、入電の実績と既存環境を伝えて個別見積もりを取るのが確実です。センター向けの製品は料金を公開せず個別見積もりとしている例が多く、公開されている価格帯だけでは自社の金額を判断できないためです。
見積もりの依頼時に伝えると精度が上がるのは、自動化したい用件の種類、月間の入電件数と時間帯の偏り、対応させたい時間帯、席数、現在使っている電話交換機(PBX)・CTI・顧客管理システムです。提示された金額については、初期構築費・シナリオ作成費・通話量に応じた従量課金・既存システムとの連携費用が含まれているかを、内訳で確認してください。
Q. コールセンターにAIを導入すると、オペレーターの仕事はなくなりますか?
A. なくなりません。AIが引き受けるのは型の決まった用件と記録作業が中心で、裁量を伴う判断や感情への配慮が必要な応対は人が担い続けます。コールセンターを運営する企業では人材の不足感が強く、AIは人員を減らすためというより、埋まらない席の穴を補う位置づけで導入されているのが実情です。
変わるのは仕事の中身です。オペレーターは定型対応より判断の要る応対に時間を使うようになり、スーパーバイザーは全通話の自動採点によってモニタリングの負荷が下がります。現場に説明するときは「人員削減」ではなく「後処理や資料探しに取られていた時間を応対そのものに戻す」という形で目的を共有すると、運用の定着に必要な協力を得やすくなります。
Q. 既存のIVRやPBXを入れ替えないと、コールセンターのAI自動化は始められませんか?
A. 入れ替えは必須ではありません。既存の電話番号やPBXを残したまま、その前段にAIを置く構成が一般的です。プッシュ操作型のIVRについても全面的に置き換える必要はなく、番号の選択で足りる用件はそのまま残し、顧客が自由に話す必要のある用件だけをAIへ渡す形が取れます。
ただし、接続できるPBX・CTIの範囲は製品によって差があり、特定のクラウド電話基盤との組み合わせを前提にした製品もあります。要約や分析を自動化する場合は、通話録音をどの方式で取り込むか、要約の結果を顧客管理システムへ書き戻せるかまでが確認対象になります。現在使っている設備の製品名を伝えたうえで、接続実績を確かめてください。
Q. コールセンターのAI自動化で、通話データをサービス提供者が取り扱う場合は何を確認すればよいですか?
A. その構成は個人データの取扱いの委託にあたるため、委託先の監督(個人情報保護法25条)として、委託先の選定・契約・取扱状況の把握までを自社で行う必要があります。
個人情報保護委員会のガイドラインは監督の内容として「適切な委託先の選定」「委託契約の締結」「委託先における個人データ取扱状況の把握」の3点を挙げています。選定にあたっては、自社に求められる安全管理措置と同等の措置が確実に実施されることをあらかじめ確認しなければならないとしています。
見落としやすいのが再委託です。AIサービス側が外部の音声認識エンジンや生成AIの基盤を利用している場合、その利用が再委託にあたることがあります。ガイドラインは、再委託する相手方・業務内容・個人データの取扱方法等について「委託先から事前報告を受け又は承認を行うこと」等により確認することが望ましいとしています。
前述のとおり、契約条項でサービス提供者が通話データを取り扱わないと定められている構成では委託にあたりませんが、その場合も自社が講じるべき安全管理措置は残ります。
Q. コールセンターのAI自動化と、電話対応の外部委託(電話代行・BPO)はどちらを選ぶべきですか?
A. 分かれ目は用件の型で、聞き取る項目が決まっている用件はAIによる自動化が、状況の切り分けや裁量を伴う応対は人が受ける外部委託が向きます。両者は排他の関係ではなく、AIが一次受けして、判定できなかった用件だけを委託先のオペレーターへ渡す構成も取れます。
費用の増え方にも違いがあります。外部委託は応対する件数や席数に比例して費用が伸びるのに対し、AIによる自動化は初期構築費と月額が中心で、入電が増えても同じ割合では増えません(通話量に応じた従量課金がある製品では一部が入電量と連動します)。入電が季節や時間帯で大きく振れるセンターほど、AI側に寄せたときの費用の読みやすさが効いてきます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















