受託開発やコンサルティング、広告、士業といったプロジェクト(案件)単位で動く事業では、工数がそのまま人件費となり、案件ごとの採算を大きく左右します。ところが工数管理はExcelや単体のツールで回し、売上や経費は会計システムで別管理というように、現場の稼働と会計が分断されている企業は少なくありません。
この分断があると、案件ごとの原価や収支が月次の締めを待たないと見えず、赤字案件の発見が遅れます。工数を人件費に振り替えて個別原価を出す作業も手集計になりがちで、担当者しか手順を知らない状態に陥ります。こうした課題を根本から解消する手段として、工数管理を基幹業務に取り込んだERPパッケージが選ばれています。
本記事では、プロジェクト単位で工数を入力し、人件費に配賦して案件別の原価・収支(予実)まで一気通貫で扱えるERPパッケージを、会計統合の深さという軸で比較します。単体の工数管理ツールとの違いや、事業の種類ごとの向き不向き、選定の勘所まで整理しました。自社に合う製品を見極める材料としてご活用ください。
自社の課題に合う製品を手早く絞り込みたい方に向けて、かんたん選定診断もご用意しています。あわせてお役立てください。
目次
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本記事の対象範囲(プロジェクト単位で工数・案件収支を管理したい方へ)
本記事が比較するのは、工数を人件費に配賦して案件別の原価・収支まで扱えるERPパッケージです。販売・会計・購買といった基幹業務を統合しながら、プロジェクトごとの工数・原価・収支を一気通貫で管理したい企業に向けた内容です。
一方で、全社の基幹業務を統合するERP全般を広く見比べたい場合や、工数の集計だけを手軽に始めたい場合は、本記事の対象とは少しずれます。ERP全体を企業規模や提供形態から比較したい方は、ERPパッケージ全般をまとめた記事もあわせてご覧ください。
工数管理できるERPパッケージとは(単体の工数管理ツールとの違い)
工数管理できるERPパッケージとは、販売・会計・購買などの基幹業務を1つの基盤に統合したうえで、プロジェクトごとの工数入力から人件費(労務費)の配賦、案件別の個別原価・収支(予実)までを扱える統合基幹業務システムです。現場が入力した作業時間が人件費として案件に紐づき、売上や経費と同じ土台で採算が見える点に特徴があります。
ここでいう個別原価計算とは、案件(プロジェクト)という単位に直接費と間接費を集計して原価を求める考え方です。人の稼働が原価の中心となるプロジェクト事業では、工数を労務費として案件に配賦できるかどうかが、採算把握の精度を決めます。

単体の工数管理ツールとERPはどう違うか
単体の工数管理ツールは、作業時間の記録・集計や勤怠との連携、タスク・進捗の管理を得意とします。導入が手軽で現場が入力に慣れやすい反面、売上・仕入・経費といった会計データは別のシステムにあるため、工数を人件費に変換して案件別の収支を出すには、外部連携や手作業での突き合わせが必要になりがちです。
これに対してERPパッケージは、工数を会計と同じ基盤で扱います。入力された工数が労務費として案件に配賦され、売上・外注費・経費と合算されて案件別の原価や利益が自動で算出されます。基幹業務全体を1つのデータでつなぐため、月次を待たずに採算を把握しやすくなります。

単体ツールとERP、どちらを選ぶべきか
工数の見える化そのものが目的で、会計や請求はすでに別のシステムで足りているなら、単体の工数管理ツールで十分なことが多いです。導入のハードルが低く、現場の入力定着を優先できます。
一方、案件別の収支や個別原価を正確に・継続的に把握したい、販売や会計と工数を分断したくない、という場合はERPパッケージが向きます。とくに赤字案件の早期発見や、工数集計の属人化の解消を狙うなら、会計まで統合する構成が効いてきます。自社が「工数を見たい」のか「案件の採算を会計として管理したい」のかで、まず方向性を見極めるとよいでしょう。
基幹業務全体までは統合せず、案件別の収支・原価の管理から始めたいなら、ERPに限らないプロジェクト収支管理システムという選択肢もあります。製品のタイプや料金、案件別原価の作り方まで知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
工数・案件収支をERPで管理するメリット
ここからは、工数を会計と分断せずERPに統合することで得られる価値を3つの観点から整理します。
案件別採算をリアルタイムに可視化できる
工数・売上・外注費・経費が同じ基盤に集まるため、案件ごとの原価と利益を月次の締めを待たずに確認できます。進行中の案件でも、計画した工数と実績の差や、残り予算に対する消化状況を追えるようになります。
赤字案件を早期に発見できる
採算が見えるのが締め後だと、問題の案件に気づいたときには手を打てないことがあります。工数が人件費として即座に案件に反映される仕組みなら、想定を超える稼働や原価超過を早い段階で検知し、増員の抑制や追加請求の交渉といった対応につなげられます。
工数から人件費配賦までの属人化を解消できる
工数を人件費に振り替えて案件に配賦する作業は、基準単価の設定や間接費の配賦ルールが絡み、手集計だと担当者に依存しがちです。ERPで配賦ルールを定義しておけば、入力された工数から労務費が自動で案件に配賦され、計算の再現性が保たれます。担当者が変わっても同じ基準で原価を出せる点は、稟議や監査の説明材料としても役立ちます。
工数管理できるERPパッケージのタイプ(プロジェクト事業の種類・統合範囲別)
工数管理に対応するERPパッケージは、「どんなプロジェクト事業に向けて設計されているか」「基幹業務をどこまで統合するか」で大きく2つのタイプに分かれます。自社がどちらに当てはまるかを見極めると、候補を絞り込みやすくなります。
受託・プロジェクト型ビジネスに特化したERP
受託開発・制作・コンサル・広告など、案件単位で稼ぐ事業に照準を合わせたタイプです。工数入力から人件費配賦、案件別の原価・収支(予実)までを標準機能として備え、販売・購買・経費・勤怠工数を束ねて案件採算を一気通貫で扱えます。プロジェクト事業に必要な機能が最初からそろっている点が強みです。
基幹業務を統合しプロジェクト会計で工数・収支を扱う汎用ERP
販売・会計・購買など全社の基幹業務を統合する汎用ERPで、プロジェクト管理や原価管理のモジュールを使って案件別の工数・収支を扱うタイプです。プロジェクト事業以外の業務も含めて全社で統合したい、あるいは将来の事業拡大や海外展開まで見据えたい中堅〜大企業に向きます。
それぞれのタイプに該当する主なサービスを、統合範囲とあわせて整理します。
| タイプ | 向いている事業 | 統合範囲の特徴 | 該当する主なサービス |
|---|---|---|---|
| 受託・プロジェクト型ビジネスに特化したERP | 受託開発・制作・コンサル・広告・士業など案件単位で稼ぐ事業 | 販売・購買・工数・経費を束ね、案件別の原価・収支を標準で一気通貫 | クラウドERP ZAC/Reforma PSA/MA-EYES/freee統合型ERP/SmileWorks ほか |
| 基幹業務を統合しプロジェクト会計で工数・収支を扱う汎用ERP | 基幹業務全体を統合しつつ案件管理も必要な中堅〜大企業 | 全社の会計・販売・購買を統合し、プロジェクト/原価モジュールで案件収支を管理 | Oracle NetSuite/Odoo/Microsoft Dynamics 365/GRANDIT/Biz∫ ほか |
自社に合うタイプを診断する
事業の種類や重視したい機能、企業規模から、自社に合うERPパッケージの候補を絞り込めます。いくつかの質問に答えるだけで、適したサービスの方向性を確認できます。
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工数管理できるERPパッケージ比較表(会計統合の深度を軸に)
ここからは、工数管理に対応したERPパッケージを、会計統合の深さを軸に比較します。工数の入力・集計の仕方、工数から人件費(労務費)への配賦、案件別の原価計算、案件別の収支・予実、そして自前の会計を持つか外部の会計と連携するかという統合範囲を、タイプ別に並べました。
受託・プロジェクト型ビジネスに特化したERPの比較
| サービス名 | クラウドERP ZAC | Reforma PSA | MA-EYES | freee統合型ERP | SmileWorks | プロカン | RobotERP ツバイソ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態・対象規模 | クラウド(SaaS)/従業員50名以上が目安 | クラウド(SaaS)/従業員50名以下が目安 | クラウド(SaaS/一括)/中小〜大(一括版は100名以上目安) | クラウド(SaaS)/従業員2名〜数百名の中小・成長企業 | クラウド(統合ERP)/小規模から段階導入 | クラウド(収支管理システム)/中小企業中心 | クラウド(SaaS)/中堅・成長企業 |
| 工数入力・集計 | 案件・作業項目を指定して工数入力。打刻システムとAPI/CSV連携 | プロジェクト・作業内容ごとに工数入力(勤怠機能・日報登録) | 勤怠と一緒に入力/工数のみ入力/ファイル一括取込の3方式 | 工数の時間入力(時間単価を設定) | 稼働報告機能で案件別の稼働時間を入力(標準) | Googleカレンダー連携で工数入力を支援 | PSAモジュールで案件に紐付けた工数・リソース管理 |
| 工数→人件費の配賦 | ●直課+間接費を部門配下の案件へ再配賦 | ●労務費配賦計算(工数登録が前提) | ●基準時間単価×作業時間。間接費は面積・机数まで設定可 | ●時間単価で工数コストを算出 | △配賦機能オプション(月5,000円・税別)が必要 | ●工数×労務単価で人件費を原価換算 | △原価計算・工数管理に対応(配賦の仕組みは要確認) |
| 案件別の原価計算 | ●プロジェクト・案件単位の個別原価 | ●案件ごとに外注費・労務費を自動計算 | ●プロジェクト・製品・ジョブ単位 | ●案件別の売上・原価分析 | ●売上・仕入・工数・経費を案件単位で集約 | ●案件別に予算・実績・原価を一元管理 | ●PSAで案件別の原価計算 |
| 案件別の収支・予実 | ●予定・実績労務費と進捗率を可視化 | ●実行予算を入力し予実対比 | ●月別原価の予実対比・着地予測 | ●プロジェクト単位の予実管理 | ●予算入力と実績対比を標準提供 | ●予算実績対比表でリアルタイム可視化 | ●案件別の予算管理・予測利益測定 |
| 会計統合 | 外部会計と連携(仕訳インポート) | 外部会計と連携(仕訳データ出力) | 自前の会計機能+会計ソフト連携(勘定奉行等) | 自前の会計(freee会計を基盤に統合) | 自前の会計(会計ワークス)+他社会計ソフト連携 | 外部会計と連携(弥生・freee・奉行・マネフォ) | 自前の会計(ERPモジュールに決算会計) |
| 料金の目安 | 初期10万円+モジュール×ライセンス課金+保守6万円〜/月(単価は要問い合わせ) | 初期0円/月額30,000円(税抜)〜 | 要問い合わせ(30日間無料トライアルあり) | 数十万〜数百万円(個別見積もり) | 初期0円〜/月額5,000円(税別)〜(モジュール追加式) | 初期100,000円(税込110,000円)〜/月額20,000円(税込22,000円)〜 | 要問い合わせ(無料トライアルあり) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※各社の公式情報をもとにした傾向です。●は標準対応、△は構成・導入形態により対応範囲が異なる項目を表します。最新の仕様・料金は各社の資料でご確認ください。
基幹業務を統合しプロジェクト会計で工数・収支を扱う汎用ERPの比較
汎用ERPは、プロジェクトごとの工数・原価・収支を専用モジュールやアドオンで扱います。そのため工数入力や人件費配賦の作り込みは製品や導入構成によって幅があります。下表で「△」としたのは、本体標準の範囲外か、別モジュール・アドオン・外部ツール連携で実現する項目です。自社の使い方で標準対応かどうかは、各製品の資料で確認してください。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo | Microsoft Dynamics 365 Business Central | GRANDIT | Biz∫(ビズインテグラル) | マネーフォワード クラウドERP | Microsoft Dynamics 365 Finance | PROACTIVE | Plaza-i(統合ERP) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態・対象規模 | クラウド(SaaS)/中堅〜大企業・海外展開企業 | クラウド(Odoo Online/Odoo.sh)/オンプレ/中小企業中心 | クラウド(オンプレ版も)/小中規模企業 | クラウド/ライセンス(国産ERP)/中堅〜大企業 | オンプレ/クラウド/ハイブリッド/大手企業中心(年商500億円以上) | クラウド(SaaS)/IPO準備・中堅〜上場企業 | クラウド(SaaS・Azure)/大企業・エンタープライズ | SaaS/オンプレ/IaaS/年商100億円以上の中堅〜大企業 | クラウド/オンプレ両対応/中堅・中小(海外進出・外資系も) |
| 工数入力・集計 | SuiteProjects(アドオン)のタイムシートで作業時間を記録 | タイムシートアプリで計画工数と実績工数を比較(アプリ追加) | プロジェクト管理機能のタイムシートで工数入力 | プロジェクト原価はパートナー提供アドオン(本体標準の工数入力は要確認) | IT業向けテンプレートで案件別予算管理(工数入力は要確認) | 個別原価モジュールで案件別原価(工数入力機能は要確認) | Project Operations等との組み合わせで対応 | 管理会計で部門・プロジェクト別に管理(工数入力機能は要確認) | PRJモジュールで案件単位の採算管理(工数入力の詳細は要確認) |
| 工数→人件費の配賦 | ●総勘定元帳に転記し直接費・間接費を案件予算に配賦 | △請求可能時間を案件・タスク別に把握(人件費配賦は要確認) | ●高度な原価計算(公式表記) | △パートナー提供のアドオンで対応 | △管理会計で多段階の間接費配賦に対応 | △個別原価モジュールで対応(配賦の詳細は要確認) | △Project Operations等と組み合わせて対応 | △管理会計で部門・プロジェクト別の予算・予実を管理 | △PRJモジュールで採算管理(配賦の詳細は要確認) |
| 案件別の原価計算 | ●プロジェクト会計(アドオン)で実績コストを集計 | △プロジェクト単位で管理(原価計算の詳細は要確認) | ●プロジェクト単位の原価計算 | △プロジェクト原価管理テンプレート(アドオン) | ●会計モジュールにプロジェクト原価管理 | ●個別原価モジュールで案件別原価 | ●多次元会計でプロジェクト軸の原価を分析 | △プロジェクト別の管理会計(案件原価の詳細は要確認) | △PRJで案件・プロジェクト単位の採算管理(個別原価計算の明記なし) |
| 案件別の収支・予実 | ●収益・コスト予算でマージンを予測し実績と比較 | △計画工数と実績工数の比較 | ●予算の編成・修正でプロジェクト収益性を管理 | △プロジェクト別収支・工事進行基準(アドオン) | ●予実管理・IT業向けテンプレートで案件別予算 | △案件別原価に対応(予実対比は要確認) | ●予算計画・予実管理 | ●セグメント・プロジェクト別の予実をリアルタイム把握 | △案件別採算管理(予実対比は要確認) |
| 会計統合 | 自前の会計(統合ERPの中核) | 自前の会計(会計アプリを追加して統合) | 自前の会計(日本対応はパートナー提供のローカライズ) | 自前の会計(会計モジュールを含む統合ERP) | 自前の会計(Biz∫会計を中核とする統合ERP) | 自前の会計(会計Plusを中核に統合) | 自前の会計(財務会計モジュール・多次元会計を標準) | 自前の会計(会計モジュールを含む統合ERP) | 自前の会計(GLS一般会計。多通貨・連結を標準) |
| 料金の目安 | 年間ライセンス(コア+モジュール+ユーザー数)+初期費用。要問い合わせ | Odoo本体 スタンダード22ドル/カスタム33ドル(ユーザー・月、割引後)+導入支援は個別見積もり | Essentials 月額11,994円/Premium 16,491円(ユーザー・年払い・税別) | 要お問い合わせ(公式非公開・パートナー経由) | 要お問い合わせ(公式非公開・パートナー経由) | 要お問い合わせ(導入支援費用が発生。最短1か月で導入) | 月額210米ドル〜/ユーザー(グローバル価格、日本はパートナー見積もり) | 初期費用の目安2,000万円〜/月額は基本料金+ユーザー数従量(公式非公開) | 個別見積もり(公式非公開) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※各社の公式情報をもとにした傾向です。●は標準対応、△は構成・導入形態により対応範囲が異なる項目を表します。最新の仕様・料金は各社の資料でご確認ください。
各サービスの特徴
比較表で取り上げた各サービスの特徴を、工数・原価・収支の扱いを中心に紹介します。
受託・プロジェクト型ビジネスに特化したERP
案件単位の工数・原価・収支を標準機能として備える、プロジェクト事業向けのERPです。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACは、東証プライム市場に上場する株式会社オロが提供する、IT・広告・コンサルティング・士業など案件単位で業務が進む業種に特化した統合型クラウドERPです。販売・購買・勤怠工数・経費・管理会計を一元化し、案件別の収支をリアルタイムに可視化します。
担当者が案件と作業項目を指定して工数を入力すると、登録した工数は自動的に案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定した案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。
料金は機能(モジュール)×ライセンス数の課金に、保守費(月額6万円から)を加えた構成で、各モジュールの単価は製品資料での開示となります。従業員50名以上を目安に、上場準備の内部統制や決算早期化まで含めて基幹業務を統合したい企業に向きます。
2. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAは、ZACと同じ株式会社オロが提供するクラウド型ERPで、ZACの機能のうち案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品です。IT業・広告業・制作業・コンサルティング業など、案件単位で業務が進む企業を対象とします。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに工数を入力すると、労務費配賦計算で案件原価に反映され、共通費の配賦にも対応します。実行予算(利益計画)を入力しておけば、仕掛中の案件でも予定と実績の労務費を対比しながら案件別の損益を把握できます。
初期費用は0円、月額は30,000円(税抜)からで、販売管理・購買管理・勤怠・経費といった機能別ライセンスを利用人数に応じて組み合わせます。導入期間は1〜2か月程度が目安とされ、従業員50名以下の規模から始めたい企業に向きます。
3. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

システム開発・SES・受託開発・コンサルティングなど、人件費が主なコストとなるプロジェクト型ビジネスに向けて、株式会社ビーブレイクシステムズが開発したクラウド型の統合基幹業務システムがMA-EYES(エムエーアイズ)です。工数・原価・売上を案件単位で一元管理します。
工数は、勤怠と一緒に入力する方法・工数のみを入力する方法・ファイルで一括取り込みする方法から選べます。入力した作業時間にマスタの基準時間単価(個人別またはジョブグレード別)を掛けて労務費を算出し、案件原価に反映します。標準のプロジェクト単位に加え、製品やジョブなど別の単位での原価管理にも対応します。
間接費の配賦基準は、工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった会計以外の情報も設定できます。提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類で、料金は利用人数と利用機能に応じた個別見積もりとなります。
4. freee統合型ERP(freee株式会社)

freee統合型ERPは、クラウド会計 freeeで知られるfreee株式会社が2023年8月に提供を開始した、中小・成長企業向けのクラウドERPです。会計・請求・工数管理・案件管理・経費・給与・人事労務を1つのプラットフォームに統合します。
IT・コンサルティング・広告代理店など、無形商材を扱うサービス業を主な対象とし、工数の時間入力と時間単価による原価の算出、案件別の売上・原価分析ができます。すでにクラウド会計 freeeを使う企業が、基幹業務まで対象を広げる移行先としても想定されています。
対象は従業員2名から数百名規模の中小・成長企業で、導入費用は数十万〜数百万円の個別見積もりです。一方で、在庫・製造・物流をともなう有形商材のビジネスや、多通貨・多言語が必要な海外拠点の統合には向きません。
5. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

株式会社スマイルワークスが提供するSmileWorks(スマイルワークス)は、販売・仕入・在庫・財務会計・給与計算・経費精算・勤怠・ワークフローを1つにまとめた中小企業向けの統合型クラウドERPです。プロジェクト別収支管理を主軸に据えています。
売上・仕入・経費・社内工数を案件ごとに集約し、予算の入力と実績との対比、関連帳票の出力までを標準機能として利用できます。ただし稼働報告で入力した工数を人件費として案件別に自動配賦するには、給与計算モジュールの契約と配賦機能オプション(月額5,000円・税別)の追加が必要です。
料金は販売管理に絞った月額5,000円(税別)のプランから、初期費用30,000円・月額10,000円(税別、最初の機能モジュール)の標準プランまで用意され、必要な機能をモジュール単位で追加していく構成です。小さく始めて段階的に広げたい企業に向きます。
6. プロカン(株式会社PROCAN)

案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化する、プロジェクト型ビジネス向けのクラウド型収支管理システムです。提供元は株式会社PROCANで、IT・システム開発向け、制作・広告向け、建設・工事向けの3ラインナップを業種別に用意しています。
Googleカレンダーに登録した日時・作業内容と連携して工数入力を支援し、工数に労務単価を掛けて人件費を原価に換算します。見積・請求・発注・経費精算・稟議承認までを1つの入力データから続けて処理でき、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードといった会計ソフトとの連携にも対応します。
料金は初期費用100,000円(税込110,000円)から、月額20,000円(税込22,000円)からで、利用人数に応じて変動します。IT導入補助金の対象サービスとして案内されており、中小企業を主な対象としています。
7. RobotERP ツバイソ(ツバイソ株式会社)

ツバイソ株式会社が提供するRobotERP ツバイソは、会計・販売・購買・資産・人事給与を扱うERPを中核に、案件管理を担うPSAなど5つのクラウドサービスをREST APIで連携させる、中堅・成長企業向けのクラウドERPです。各サービスは単独でも導入できます。
案件管理は「PSA」モジュールが担い、案件別の予算管理と実績・予測利益の測定、原価計算、工数・リソース管理に対応します。ソフトウェア開発・システムインテグレータ・コンサルティング・広告代理・受注生産など、案件単位で業務が進む業種を対象としています。
必要なモジュールから始めて段階的に統合範囲を広げられるため、SAPやOracleのような一括導入を前提としません。料金は公式サイトで公開されておらず、資料請求・問い合わせによる個別見積もりとなります。無料トライアルも用意されています。
基幹業務を統合しプロジェクト会計で工数・収支を扱う汎用ERP
全社の基幹業務を統合しながら、プロジェクト・原価モジュールで案件別の工数・収支を扱える汎用ERPです。
8. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

日本オラクル株式会社が提供する、会計・販売・購買・在庫・CRMをクラウド上の単一基盤に統合したERPです。公式サイトでは世界200か国以上で利用され、導入社数は44,000社以上とされています(公式、2026年10月時点)。
工数・案件収支は、アドオンのプロフェッショナルサービス管理モジュール「SuiteProjects」で扱います。タイムシートに記録した作業時間は総勘定元帳に転記されて自動で会計処理され、購買発注を案件に紐づけて直接費・間接費を案件予算に配賦できます。
プロジェクト会計では、労働ベースなど複数のルールで収益を認識し、予算と実績を比較しながら案件ごとの収益性を把握できます。全社の基幹業務と同じ基盤で案件採算を扱える点が特徴で、海外拠点を含む連結・多通貨での経営管理を求める中堅〜大企業に向きます。
現場の稼働と会計が分断されるという課題は、ERPが統合基盤を志向する出発点でもあります。この設計思想が生まれた背景を、日本オラクルの担当者は次のように説明しています。
会計は会計のシステム、在庫は在庫のシステム、というように業務ごとにシステムが分かれていると、データが分断されてしまって、経営者が全体を見ようとしてもなかなか正確な数字がつかめません。そこで、あらゆる業務を一つの基盤で一元管理して、経営者がどこからでもリアルタイムにデータを確認できるようにしたい、という発想からクラウドERPという形にたどり着きました。
9. Odoo(導入・運用支援: 株式会社マルウェブ)

Odooは、販売・会計・在庫・製造・CRMなど80以上のアプリから必要なものだけを選んで組み合わせるベルギー発のオープンソースERPで、株式会社マルウェブがその導入・運用を支援します。
プロジェクト管理やタイムシートのアプリを加えると、計画工数と実績工数を比較し、請求可能な時間をメンバー・案件・タスク別に把握できます。アプリをいくつ追加してもライセンス料はユーザー数課金のままで、必要な領域から段階的に広げられます。
マルウェブは要件定義からカスタマイズ開発、データ移行、運用定着までを一貫して支援します。Odoo本体のライセンスは2026年10月時点でスタンダード22ドル/カスタム33ドル(ユーザー・月、初回12か月の割引適用後)で、導入支援費用は別途個別見積もりです。
どこまでの業務をいつ統合するかは、導入の負荷と費用を左右します。導入範囲の見極め方について、導入を支援するマルウェブの担当者は次のように話しています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。たとえば「まずは販売と在庫と会計だけでスタートしましょう」という形で始めて、使い方に慣れてきたら会計やCRMを段階的に追加していく、といった進め方をご提案することもあります。
10. Microsoft Dynamics 365 Business Central(日本マイクロソフト株式会社)

小中規模企業向けのERPとして日本マイクロソフト株式会社が提供する製品で、財務・販売・購買・在庫・プロジェクト・製造を1つの製品で扱います。公式サイトでは、2026年10月時点で55,000社に利用されているとされています。
プロジェクト管理機能では、タイムシートと原価計算、予算の編成・修正を通じて案件の収益性を管理できます。財務や販売と同じ製品内で工数と原価を扱えるため、案件採算を会計と分けずに追えます。
料金はEssentialsが月額11,994円、Premiumが16,491円(いずれもユーザー単位・年払い・税別、2026年9月時点)です。日本の会計・税制への対応や日本語画面はパートナー提供のローカライズによるため、導入時に対応範囲を確認しておくと安心です。
11. GRANDIT(インフォコム株式会社)

国内のIT各社が参加するコンソーシアム方式で開発された国産の統合型ERPで、開発・保守をインフォコム株式会社が担います。販売・調達在庫・製造、経理・資産・経費、債権債務、人事・給与などのモジュールを備えます。
案件別の収支・原価は、プロジェクト原価管理テンプレートでプロジェクト別の収支と個別原価の進捗を可視化できます。ただしこのテンプレートはパートナー提供のアドオンで本体の標準機能ではなく、導入にはパートナー経由の契約が必要です。
導入実績は公式サイト(2026年10月時点)で1,500社以上とされ、国内70社以上のパートナーが業種別のカスタマイズと導入を手がけます。料金は公開されておらず、個別の問い合わせになります。
12. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

ワークフロー基盤「intra-mart」を土台にした国産ERPパッケージで、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが企画・開発・販売します。会計・販売購買・人事給与を、必要なモジュールから段階的に導入できます。
会計モジュールにプロジェクト原価管理を備え、管理会計では多段階の間接費配賦や予実管理に対応します。IT業向けテンプレートではプロジェクト別の予算管理が加わり(2024年8月提供開始)、案件単位の収支を扱えます。
主な対象は年商500億円以上の大手企業で、サブスクリプション型の「Biz∫Optima」により中堅企業にも広げています。採用実績は2,000社を突破しています(2025年12月時点、公式)。料金は要問い合わせです。
13. マネーフォワード クラウドERP(株式会社マネーフォワード)

会計・請求・経費・債権債務・人事労務・勤怠・給与の各モジュールを必要な分だけ組み合わせるクラウドERPで、株式会社マネーフォワードが提供します。1つのモジュールから始め、事業の成長に合わせて構成を変えられます。
会計系には連結会計・固定資産とともに個別原価のモジュールがあり、案件別の原価をバックオフィス業務と同じ基盤で扱えます。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、JIIMA認証を取得しています。
IPO準備から上場企業までを主な対象とし、最短1か月での導入を掲げています(公式)。料金は利用人数やプランで変わり、金額は問い合わせが必要です。
14. Microsoft Dynamics 365 Finance(日本マイクロソフト株式会社)

日本マイクロソフト株式会社が提供する、大企業向けクラウドERPの財務会計を担うモジュールです。旧Dynamics AXの後継で、Supply Chain ManagementやProject Operationsと組み合わせて基幹業務全体を統合します。
会社・部門・プロジェクト・製品など複数の軸で会計データを分析する多次元会計を標準で備え、プロジェクト単位の原価・収支も同じ軸で捉えられます。51か国のローカライゼーションと67言語に対応し、多国籍企業のグローバル基盤を想定しています。
ライセンスはグローバル価格で月額210米ドル/ユーザーからで、日本での導入はパートナー経由の見積もりになります。欧米の業務プロセスを標準とするため、日本特有の会計・承認フローは追加のカスタマイズで対応する点に留意が必要です。
15. PROACTIVE(SCSK株式会社)

SCSK株式会社が1993年から提供する国産の統合型ERPで、会計・人事給与・販売管理・生産管理を1系統でカバーします。2024年に生成AI支援機能を中核に据えた現行版へ刷新されました。
管理会計では、部門・プロジェクト・勘定科目に加えてセグメント別の予算管理ができ、予算と実績の対比をリアルタイムに把握できます。取り扱い製品別や地域別など通常の組織と異なる軸の仮想組織も作成でき、案件や切り口ごとの採算を追えます。
対象は年商100億円以上の中堅〜大企業と公式に示されており、初期費用の目安は2,000万円からとされています(公式FAQ)。SaaS・オンプレミス・IaaSを業務領域ごとに組み合わせるハイブリッド導入にも対応します。
16. Plaza-i(統合ERP)(株式会社ビジネス・アソシエイツ)

公認会計士が1987年に設立した株式会社ビジネス・アソシエイツが自社開発・直販する、中堅・中小企業向けの統合ERPパッケージです。販売・物流在庫・購買・会計・固定資産など11のモジュールを単一データベースで組み合わせます。
プロジェクト管理モジュール(PRJ)では、案件・プロジェクト単位のトータルな採算管理ができます。多通貨・バイリンガル切替・在外子会社連結を標準搭載しており、複数調達先からの多通貨調達と別通貨販売を為替予約と連動させた案件別採算にも対応します。
販売管理だけ、固定資産管理だけといったモジュール単体での導入にも対応し、既存システムを残したまま段階的に置き換えられます。導入実績は700社以上・延べ4,600システム以上とされます(2026年5月、公式)。料金は個別見積もりです。
失敗しないERPパッケージの選び方
ここからは、工数管理できるERPパッケージを選ぶときの観点を整理します。比較表の各軸と対応させているので、表と読み合わせると自社の要件に当てはめやすくなります。
工数入力・集計はしやすいか
工数は現場が毎日入力して初めて正確な原価になります。カレンダーや予定からの取り込み、スマートフォン入力、日報からの自動補完など、入力の負担を下げる仕組みがあるかを見ておきたいところです。入力が定着しなければ、どれだけ高機能でも案件採算は正確になりません。現場の職種や働き方に合った入力方式を選べるかが、運用の成否を分けます。
人件費(労務費)の配賦はどこまで自動化できるか
工数を案件の原価に反映するには、作業時間に単価を掛けて労務費を算出し、案件へ配賦する必要があります。基準単価を社員ごと・職種ごとに設定できるか、間接費を工数や売上などの基準で配賦できるかが見極めのポイントです。配賦ルールをシステム側で定義できれば、手集計の属人化を避けられ、計算の再現性も保てます。
案件別の原価・収支(予実/個別原価)をどこまで自動で出せるか
選定の核心は、工数・売上・経費から案件別の個別原価と収支がどこまで自動で出るかです。予算と実績の対比(予実管理)をリアルタイムに追えるか、進行中の案件の着地見込みを把握できるかも確かめたい点です。手元での再集計が前提の製品と、入力データから自動で採算が出る製品では、運用後の手間が大きく変わります。
既存の会計・販売システムと連携できるか
ERPが自前の会計機能を持つか、既存の会計ソフトと連携して使うかで、導入の進め方が変わります。すでに使っている会計・販売システムを残すなら、仕訳や売上データの連携方式(API・CSV連携など)を確認しておくとよいでしょう。会計まで一本化したい場合は、自前会計を持つ製品のほうが運用はシンプルになります。
導入・運用の負荷に見合うか
機能が豊富なERPほど、初期設定や運用の負荷も大きくなりがちです。配賦ルールの設計やマスタ整備、現場への入力定着まで含めて、自社の体制で運用しきれるかを見極めておきたいところです。中小規模なら設定済みのテンプレートがある製品、全社展開なら拡張性と導入支援の手厚さを重視するなど、規模と体制に見合った製品を選ぶことが大切です。
ここで挙げた観点を自社の要件に当てはめたら、次は実際にどう選び進めるかです。ERP導入を判断する着眼点や優先する機能の整理、クラウドとオンプレミスの違い、選定の手順と避けたい失敗までを一通り確認しておくと、製品選びの道筋を描きやすくなります。
事業種別ごとの向き不向き
同じプロジェクト事業でも、業種によって重視すべき機能は変わります。自社の事業に近いケースから、必要な機能の当たりを付けてください。
受託開発・システム開発では、工程ごとの工数とエンジニア単価の管理、進行中案件の原価の着地見込み、請負・準委任といった契約形態ごとの収益認識への対応が効いてきます。工数入力の負担軽減と、案件別の予実をリアルタイムに追える仕組みが重要です。
コンサルティング・広告・制作では、複数の案件を同時並行で回すため、担当者ごとの稼働配分と案件横断の採算把握が鍵になります。外注費や経費を案件に紐づけ、粗利を素早く確認できるかを見ます。
士業・サービス業では、顧問契約のような継続取引と、スポット案件の両方を扱うことが多く、期間契約の売上計上と案件単位の工数・収支を同じ基盤で管理できると運用が楽になります。個別受注型の製造・建設では、材料費・外注費と工数(労務費)を合わせた製造指図・工事単位の個別原価計算が求められ、原価管理の深さが選定の軸になります。
自社の事業に合う具体的な製品は、比較表や診断で確認してください。
費用相場(料金体系とコストの考え方)
工数管理できるERPパッケージの料金は、課金の仕方によって見積もりの考え方が変わります。代表的なのは、利用するユーザー数に応じて課金する方式と、使う業務モジュールを組み合わせて課金する方式です。
金額の水準は製品によって幅があります。本記事の掲載製品で公開されている料金を目安にすると、受託・プロジェクト型に特化したクラウドERPは月額数万円前後から始められます(販売管理だけなら月額5,000円台のプランや、月額30,000円前後で始められる製品もあります)。
一方、全社の基幹業務を統合する汎用ERPや大企業向け製品は、初期費用が数千万円規模になるものもあります。小規模から段階的に始めるか、全社で一気に統合するかで、必要な費用の桁が変わると考えておくとよいでしょう。
ユーザー課金型は、工数を入力する現場のメンバーを含めると対象人数が増えやすいため、全社で使う場合の総額を早めに試算しておくと安心です。モジュール課金型は、会計・販売・プロジェクト管理など必要な機能だけを選べる反面、案件収支に必要なモジュールの組み合わせによって金額が変わります。
加えて、初期費用(導入・初期設定)、オプション機能(人件費の案件別配賦などを別料金とする製品もあります)、導入支援やカスタマイズの費用も総額に含めて比較することが大切です。月額の表示価格だけで判断せず、自社の人数と必要な機能で見積もった総額で比べると、実態に近いコスト感をつかめます。各製品の具体的な料金は資料請求で確認してください。
導入・運用でつまずかないための注意点
工数管理できるERPは、導入すれば自動で案件採算が見えるわけではありません。運用が回って初めて価値が出ます。つまずきやすい点を押さえておきましょう。
最も多いのは工数入力の定着です。現場の入力が滞ると原価が不正確になり、採算の数字が信用されなくなります。入力の負担を下げる仕組みと、入力の意義を現場に共有する運用の両輪が欠かせません。
次に配賦ルールの設計です。基準単価や間接費の配賦方法を決めずに走り出すと、出てきた原価の根拠が説明できなくなります。導入時に経理と現場で配賦の考え方をすり合わせておくことが、後々の信頼性につながります。
さらに既存システムとの連携も確認が要ります。会計や販売を既存のまま残す場合、データ連携の方式や締めのタイミングの整合を事前に設計しておかないと、二重入力や数字のずれが生じます。導入後に案件別採算が本当に見える状態になるかは、これらの運用設計にかかっています。
まとめ
プロジェクト事業で案件ごとの採算を正確に把握するには、工数を単体ツールで集計するだけでなく、人件費に配賦して会計と同じ基盤で案件別の原価・収支を扱えるERPパッケージが有効です。
まず、受託・プロジェクト型に特化したERPと、基幹業務を統合する汎用ERPのどちらが合うかを見極めます。そのうえで、工数入力のしやすさ・配賦の自動化・案件別収支の自動化・既存システムとの連携・運用負荷という5つの観点で比較していきましょう。
気になる製品が見つかったら、資料を取り寄せて機能と料金を具体的に比較してください。複数サービスの資料をまとめて請求できます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 工数管理できるERPパッケージとは何ですか?
A. 工数管理できるERPパッケージとは、販売・会計・購買などの基幹業務を1つの基盤に統合したうえで、プロジェクトごとの工数入力から人件費への配賦、案件別の原価・収支(予実)までを扱える統合基幹業務システムです。現場が入力した作業時間が人件費として案件に紐づき、売上や経費と同じ土台で採算を把握できる点が、工数の集計だけを行う単体ツールとの違いです。
Q. 工数管理できるERPパッケージと単体の工数管理ツールは何が違いますか?
A. 両者の違いは、工数を会計と同じ基盤で扱い、人件費に配賦して案件別の原価・収支まで自動で出せるかどうかです。単体の工数管理ツールは作業時間の記録・集計や勤怠連携を得意とする一方、売上・経費は別システムにあるため、案件別の収支を出すには手作業での突き合わせが必要になりがちです。
会計まで統合したERPなら、入力した工数が労務費として案件に配賦され、売上・外注費と合算して採算が自動で算出されます。工数を「見える化」したいだけか、案件の採算を「会計として管理」したいかで選び分けるとよいでしょう。
Q. 案件ごとの収支や採算管理をERPパッケージで行えますか?
A. 案件(プロジェクト)単位の収支・採算管理は、工数管理に対応したERPパッケージで行えます。工数を人件費に配賦し、売上・外注費・経費と合算して案件ごとの個別原価と利益を算出できます。予算と実績を対比する予実管理に対応する製品なら、進行中の案件でも着地見込みを追え、赤字案件を締め前に発見できます。
Q. 工数管理できるERPパッケージは自前の会計機能を持ちますか、既存の会計ソフトと連携しますか?
A. 工数管理できるERPパッケージは、自前の会計機能まで備えるタイプと、既存の会計ソフトとAPIやCSVで連携するタイプに分かれます。会計まで一本化したい場合は自前会計を持つERPのほうが運用はシンプルになり、すでに使っている会計・販売システムを残したい場合は連携方式と対応ソフトを確認するとよいでしょう。弥生会計・freee・マネーフォワードなど主要な会計ソフトとの連携に対応する製品もあります。
Q. 工数から人件費への配賦はどこまで自動でできますか?
A. 基準単価と配賦ルールをあらかじめ設定しておけば、入力された工数から労務費が自動で案件に配賦されます。社員ごと・職種ごとの基準単価の設定や、工数・人数・売上などを基準にした間接費の配賦に対応する製品が多く、手集計の属人化を避けて計算の再現性を保てます。ただし製品によっては人件費の案件別配賦をオプション機能としている場合があるため、標準で使えるかを確認しておくと安心です。
Q. 勤怠管理と工数管理はどう違いますか?
A. 勤怠管理は「いつ働いたか(出退勤・労働時間)」を記録するのに対し、工数管理は「何にどれだけ時間を使ったか(案件・作業別の時間)」を記録します。勤怠は労務管理や給与計算の土台となり、工数は案件別の原価・採算を把握する土台となります。両者を連携できるERPなら、出退勤の打刻と案件別の工数入力を一度の入力で済ませられる製品もあります。
Q. 工数入力の現場の作業負担はどのくらいですか?
A. 工数入力の負担は、入力を支援する仕組みがあるかどうかで大きく変わります。カレンダーの予定からの取り込み、スマートフォン入力、日報からの自動補完などに対応する製品を選べば、日々の入力負担を抑えられます。工数は現場が毎日入力して初めて正確な原価になるため、自社の職種や働き方に合った入力方式を選べるかが、運用定着の鍵になります。
Q. 中小企業でも工数管理できるERPパッケージを導入できますか?
A. 従業員数名規模の中小企業から導入できる製品もあり、企業規模に応じて選択肢があります。必要な業務モジュールだけを選んで小さく始め、事業の成長に合わせて段階的に広げられるクラウド型の製品が増えています。一方、全社の基幹業務を統合しグローバル展開まで見据える汎用ERPは中堅〜大企業向けのものが多いため、自社の規模と体制に見合った製品を選ぶことが大切です。
Q. 工数管理できるERPパッケージの費用はどのくらいかかりますか?
A. 工数管理できるERPパッケージの費用は、利用人数に応じるユーザー課金型と、使う業務モジュールを組み合わせるモジュール課金型が中心で、月額数万円から始められる製品もあれば、大企業向けに初期費用が数千万円規模になる製品もあります。
月額の表示価格だけでなく、初期費用・オプション機能(人件費の案件別配賦を別料金とする製品もあります)・導入支援やカスタマイズの費用も含め、自社の人数と必要な機能で見積もった総額で比較することが大切です。具体的な金額は資料請求で確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















