ECサイトの構築サービスを選ぶとき、「多くの事業者に使われているサービスなら安心だろう」と、シェアの高さを手がかりにしたい方は少なくありません。ところが各社がそれぞれ「シェアNo.1」を掲げており、どの数字を信じてよいのか分かりにくいのが実情です。
ECサイト構築サービスのシェアは、何を基準に測るかで順位が変わります。では、どの指標で見ると、どのサービスが多く使われているのでしょうか。そして、シェアを手がかりにしつつ、最終的には何を基準に選べばよいのでしょうか。
本記事では、ECサイト構築サービスのシェアを、導入社数・流通総額・市場調査という指標別に整理し、主要10サービスを構築方式ごとに比較・解説します。各社が公表する実績やNo.1主張の読み解き方、シェアだけで判断しないための選定軸までまとめました。自社に合うサービスを見極める材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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ECサイト構築サービスの「シェア」は測り方で順位が変わる
ECサイト構築サービスのシェアを調べると、調査やメディアによって「1位」のサービスが異なることに気づきます。これは、シェアを測る基準が一つではなく、何を・どの範囲で数えるかによって順位が変わるためです。各社が掲げる数字を正しく読み解くために、まずシェアの測り方を押さえておきます。
シェアの数え方は主に3種類
ECサイト構築サービスのシェアは、主に次の3つの基準で測られます。どの基準で見るかによって、上位に来るサービスの顔ぶれが変わります。
| シェアの測り方 | 導入社数・店舗数ベース | 流通総額(GMV)ベース | セグメント別の市場調査 |
|---|---|---|---|
| 何を数えるか | そのサービスで構築された店舗・事業者の数 | そのサービス上で取引された金額の合計 | 特定の構築方式や価格帯に絞った市場での占有率 |
| 順位に影響する要素 | 小規模な店舗を多く抱えるサービスほど数が伸びやすい | 大規模な事業者を多く抱えるサービスほど金額が大きくなる | 母集団(市場の切り方)次第で占有率が変わる |
導入社数で見れば小規模店舗を多く集めるサービスが、流通総額で見れば大規模事業者を抱えるサービスが上位に来ます。セグメント別の市場調査は、調査機関が「カスタマイズ型」「クラウド型」といった特定の構築方式に区切って占有率を算出するため、区切り方が変われば1位も変わります。
なぜ調査ごとに「No.1」が変わるのか
同じ「シェアNo.1」という表記でも、測る母集団・指標・調査主体が違えば、別々のサービスがそれぞれNo.1になり得ます。次の3点が食い違うと、順位も変わります。
- 母集団:全サービスを対象にするのか、特定の構築方式に絞った市場を対象にするのか
- 指標:導入社数で数えるのか、流通額で数えるのか
- 調査主体:独立した調査機関によるものか、各社が自社で比較した「自社調べ」か
そのため、「シェアNo.1」という表記を見たときは、どのセグメントの・どの指標の・どの調査によるNo.1なのかを確認することが欠かせません。次の章では、主要サービスが公表するNo.1主張と実績を、指標別に並べて整理します。
国内EC市場の規模とシェアを見る意味
シェアを見る前提として、市場そのものが拡大を続けている点も押さえておきます。経済産業省の調査によると、2024年の国内のBtoC-EC市場規模は26兆1,225億円で、前年から1兆2,790億円増加しました。
2024 年の 3 分野合計の国内 BtoC-EC 市場規模は、26 兆 1,225 億円となった。前年比で 1 兆 2,790 億円の増加である。
出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書|経済産業省
物販系分野の BtoC-EC 市場規模は、前年の 14 兆 6,760 億円から 5,434 億円増加し、15 兆 2,194 億円となった。増加率は 3.70%であった。EC 化率は 9.78%と前年より 0.40 ポイント増加した。
ここで示されているEC化率9.78%は、物販系分野を対象とした数値で、オンライン購入がさらに広がる余地が残っていることを示しています。
市場が拡大している局面では、現時点のシェアは「今後の成長余地」と合わせて捉える必要があります。いま小規模な事業者が多いサービスでも、成長に合わせて上位プランや別のサービスへ移行する例は珍しくありません。シェアの高さが自社の成長段階にそのまま合うとは限らない点に注意が必要です。
各社が公表する「シェア」「実績」を指標別に読む
ここからは、主要なECサイト構築サービスが公表しているシェア・実績を、指標別に整理します。各社の「No.1」は、それぞれ別のセグメント・別の指標で成り立っています。まず、各社がどのセグメントで・どの調査をもとにNo.1を掲げているかを並べます。
| 各社のシェアNo.1主張の整理 | ecbeing | EBISUMART | MakeShop | EC-CUBE |
|---|---|---|---|---|
| No.1を掲げるセグメント | ECサイト構築(カスタマイズ型・SaaS/PaaS)市場の占有率 | カスタマイズ対応可能なクラウド型EC構築サービス | 国内のEC構築SaaS業界の年間流通額 | EC構築オープンソースの国内シェア |
| 指標 | 市場占有率 | 市場占有率 | 年間流通額 | オープンソースの活用実態 |
| 調査・年数 | 富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場」ほか・第三者調査/18年連続(2008〜2025年度) | 日本ネット経済新聞 2026年6月11日号・第三者調査/9年連続 | GMOメイクショップ自社調べ(各社発表値を比較、2026年4月時点)/14年連続 | 情報処理推進機構(IPA)「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」・第三者調査 |
4社はいずれも「シェアNo.1」を掲げていますが、対象とする市場の区切り方がそれぞれ異なります。同じクラウド型のなかでも「カスタマイズ型SaaS/PaaS」と「カスタマイズ対応可能なクラウド型」のように区分が分かれ、別々の調査をもとにそれぞれのNo.1が成り立っています。どのサービスがどの区分でNo.1を掲げているかは、上の表のとおりです。
もう一つ注意したいのが、No.1の根拠が「独立した調査機関」によるものか「各社の自社調べ」によるものかという違いです。たとえば年間流通額のNo.1には、各社が自ら発表数値を比較した自社調べにもとづくものがあり、次のような注記が添えられています。
国内のEC構築SaaS業界において14年連続で年間流通額No.1(※1)を達成しました。
出典:GMOメイクショップ プレスリリース(2026年4月22日)
※1 EC構築サービス運営企業各社の発表数値より、SaaS型の数値を比較(自社調べ 2026年4月時点)
自社調べが不正確だという意味ではありませんが、第三者調査機関によるシェアと、各社が自社集計したシェアは、根拠の性質が異なります。No.1という表記を見たら、その根拠がどちらなのかまで確認しておくと、過大評価を避けられます。
次に、各社が公表している流通額・導入実績を並べます。ただし、公表されている数値は指標の定義も対象範囲も通貨も異なるため、金額の大小をそのまま比較することはできません。あくまで「どの指標で、どの規模の実績を公表しているか」を読み取る表として確認してください。
| 各社が公表する流通額・導入実績(指標別) | ecbeing | EBISUMART | MakeShop | Shopify | カラーミーショップ | メルカート | ecforce | futureshop | ショップサーブ | EC-CUBE |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 公表している実績 | 導入企業の年間EC取引額合計 1.6兆円/導入1,600サイト以上 | 利用店舗の年間流通総額 2,045億円/846サイト(2026年5月時点) | 年間流通額 3,804億円(2025年・前年比110.9%) | 世界流通総額(GMV)2,923億米ドル(2024年通期) | 総導入件数 22万件以上 | 導入実績 233社(2026年9月時点) | 導入企業数 1,500社以上(2024年10月末時点) | 現行の導入社数・流通額は公表していない | 現行の導入社数・流通額は公表していない | EC構築オープンソースで国内シェアNo.1(IPA調査)/流通額は公表していない |
| 指標・対象範囲 | 導入企業の年間EC取引額の合計(国内) | 利用店舗の年間流通総額(国内) | 自社サービスの年間流通額(国内・自社調べ) | 世界全体の流通総額(米ドル建て) | 累計の総導入件数(国内) | 導入社数(国内) | 契約件数の総数(国内) | —(公式の現行数値なし) | —(公式の現行数値なし) | オープンソースの活用実態(IPA) |
同じ「流通」でも、集計の対象は各社で異なります。導入企業の取引額の合計、利用店舗の流通総額、自社サービスの流通額、世界全体のGMVといった具合で、通貨も国内の円建てと世界の米ドル建てが混在します。各サービスがどの指標で何を公表しているかは、上の表のとおりです。
このように指標がそろっていないため、横に並べて「どこが一番大きいか」を競わせることには意味がありません。読み取るべきは、各サービスがどの規模帯・どの領域で実績を積んでいるかです。
とはいえ、指標ごとのおおまかな傾向をつかめば、シェアを候補選びの手がかりにできます。月額制で手軽に始められるASP・SaaS型(MakeShop・futureshop・カラーミーショップ・ショップサーブ)は、導入社数ベースで小規模から中小の事業者に広く使われています。
一方、カスタマイズ性の高いクラウドEC型(ecbeing・EBISUMART・Shopify・ecforce・メルカート)は、流通総額ベースで中〜大規模の事業者に多く使われます。自社の事業規模に近い指標とサービス群から候補を絞ると、シェアを選定に活かしやすくなります。
出典・参考資料(8件)
- 出典:導入実績・シェアNo.1に関する記載|ecbeing公式サイト
- 出典:クラウド型ECで9年連続シェアNo.1に関するプレスリリース(2026年6月19日)|株式会社インターファクトリー
- 出典:14年連続 年間流通額No.1に関するプレスリリース(2026年4月22日)|GMOメイクショップ株式会社
- 出典:国内シェアNo.1 EC構築オープンソースに関するプレスリリース(2022年9月12日)|株式会社イーシーキューブ
- 出典:Form 10-K(2024年度)|Shopify Inc.
- 出典:総導入件数に関する記載|カラーミーショップ公式サイト
- 出典:導入実績に関する記載|メルカート公式サイト
- 出典:導入企業数に関する記載|ecforce公式サイト
構築方式別に見る主要サービス
シェアの上位に来るサービスは、構築方式(ECサイトをどう作るか)ごとに顔ぶれが変わります。自社が「どの方式で作るか」が決まると、候補の範囲も自然と絞られます。ここでは主要サービスを、ASP・SaaS型/クラウドEC型/オープンソース型の3つの方式に分けて紹介します。
本記事ではシェアの観点から主要サービスを3つの方式に分けて見ていきますが、モールやフルスクラッチも含めた構築方式ごとの違いや費用相場、方式の選び方の手順まで一度に見比べたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
ASP・SaaS型カートサービス
ASP・SaaS型は、事業者がサーバーやシステムを自前で用意せず、月額料金でサービスを借りてECサイトを開設する方式です。短期間・低コストで始められるため、中小規模の事業者を中心に導入社数が積み上がりやすく、導入社数ベースのシェアでは上位に並びます。ここでは、この方式の代表的なサービスを紹介します。
1. MakeShop(GMOメイクショップ株式会社)

GMOインターネットグループのGMOメイクショップ株式会社が2004年から提供する、月額制のASP型ECサイト構築プラットフォームです。ノーコードのデザインエディタやテンプレート、AIを活用した運営支援機能を備え、BtoC・BtoBの両方の販売に対応します。
有料プランはプレミアムプラン(初期費用11,000円・月額13,750円〜、いずれも税込)とエンタープライズプラン(月額55,000円〜)の2種類で、どちらも商品登録数は無制限です。複数店舗を運営する場合は、2店舗目以降の月額費用が10,000円割引されます。
海外からのアクセス時に多言語の入力フォームを表示し、提携事業者が翻訳・海外配送・問い合わせ対応まで担う越境EC機能も用意しています。日本語での運営だけで海外販売に対応できる設計です。
2. futureshop(株式会社フューチャーショップ)

2003年にASP型ショッピングカートとして始まり、約20年の運用実績を持つSaaS型ECサイト構築プラットフォームです。東証グロース市場に上場するコマースOneホールディングスの子会社、株式会社フューチャーショップが提供しています。
CMS機能「commerce creator」により、サイトをパーツ単位で編集し、独自のHTML・CSSを使ったデザインカスタマイズができる点が特徴です。SaaS型でありながら、デザインの自由度を確保しやすい設計になっています。
料金は商品登録数に応じた5段階のプラン(初期費用22,000円〜・月額27,000円〜、いずれも税抜)が基本で、実店舗とECの顧客データを統合する「futureshop omni-channel」を上位プランとして用意しています。売上に対する手数料は0円です。
3. カラーミーショップ(GMOペパボ株式会社)

個人の副業ショップから法人の本格的なEC運営まで、幅広い利用者が使うASP型のネットショップ作成サービスです。GMOペパボ株式会社が2005年から運営し、総導入件数は22万件以上に達しています。
初期費用・月額費用が0円のフリープランから、決済手数料を抑えた有料プラン(レギュラー・ラージ・プレミアム)まで4段階の料金プランを用意しています。開業時の固定費をかけずに始め、売上の拡大に応じて決済手数料率の低いプランへ移行できます。
上位のプレミアムプランでは専任のECアドバイザーが付き、定期的なミーティングを受けられます。公式サイトでは、自社のサポート満足度を94.4%と公表しています。
4. ショップサーブ(株式会社Eストアー)

専任担当者による伴走支援を軸にした、有料ASP型のECサイト構築サービスです。株式会社Eストアーが1999年の創業以来提供しており、2025年7月にBASE株式会社のグループに加わりました。
300以上の標準機能、150以上のデザインテンプレート、10種類以上の決済方法を標準で備えます。全プランに担当者による電話・メールサポートが含まれ、サイト開設後の運用相談まで継続して支援を受けられる体制です。
月額費用は顧客レコード数の上限に応じた3プラン(4S:25,000円/4G:65,000円/4P:145,000円、いずれも税抜)で、別途、開通料30,000円(税抜)がかかります。受注ごとに注文処理手数料34円が発生します。
クラウドEC型(カスタマイズ対応のサービス)
クラウドEC型は、ベンダーがシステムを運用しながら、事業者ごとの要件に合わせてカスタマイズできる方式です。中〜大規模のEC事業者に向くため、流通総額ベースの実績が大きくなりやすく、各社がそれぞれ別のセグメントで「シェアNo.1」を掲げる領域でもあります。ここでは、この方式の代表的なサービスを紹介します。
1. ecbeing(株式会社ecbeing)

1999年にサービス提供を開始したecbeingは、株式会社ecbeingが運営するECサイト構築プラットフォームです。パッケージ型・フルスクラッチのカスタム型・クラウド型(SaaS)という複数の構築方式を用意し、中堅〜大手企業のBtoC・BtoB ECの構築やリニューアルを主な対象としています。
シェアの面では、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場」などの調査をもとに、ECサイト構築(カスタマイズ型・SaaS/PaaS)市場で18年連続シェアNo.1を公表しています。カスタマイズ型という特定のセグメントに区切った市場での占有率である点を押さえておくと、他社のNo.1主張と混同せずに読めます。
導入実績は1,600サイト以上で、導入企業の年間EC取引額を合計すると1.6兆円に上ります。これはecbeing1社の流通額ではなく、導入した各社のEC取引額を足し合わせた数値です。大規模ECの基幹システム連携や個別要件の作り込みに対応する点が、手軽に始められるASP型カートとの違いになります。
2. EBISUMART(株式会社インターファクトリー)

SaaS型の運用のしやすさと、ECパッケージ並みのカスタマイズ自由度の両立を掲げるのがEBISUMARTです。開発・運営は東証グロース市場に上場する株式会社インターファクトリーで、中〜大規模のBtoC・BtoB・オムニチャネルEC事業者を主な対象としています。
日本ネット経済新聞「ECソリューションマップ」の2026年6月11日号では、カスタマイズ対応可能なクラウド型EC構築サービスとして9年連続シェアNo.1と報じられています。導入実績は846サイト(2026年5月時点)、利用店舗の年間流通総額は2,045億円です。
機能面では1,018個のAPIを公開し、週次アップデートで機能追加を重ねている点が特徴です。料金は初期費用300万円〜、月額25万円程度〜が目安で、カスタマイズの内容や売上規模によって変動します。
3. Shopify(Shopify Inc.)

世界各国で展開するクラウド型(SaaS)のECプラットフォームが、Shopify Inc.の提供するShopifyです。個人事業主から大規模なグローバル企業までを対象に、BasicからPlusまでの複数プランを用意し、多言語・多通貨に標準で対応します。日本では2024年5月から日本円建ての決済に対応しました。
実績は世界全体の規模で公表されており、2024年通期の世界の流通総額(GMV)は2,923億米ドルに達しています。これは世界全体・米ドル建ての数値であり、国内の円建ての流通額とは対象範囲も通貨も異なる点に注意が必要です。
料金は初期費用がかからず、月額費用はBasicの年払いで月3,650円から、上位のGrow・Advanced・Plusへと段階的に用意されています。50以上の国・地域、130以上の通貨に対応し、Shopify Marketsで市場ごとに言語・通貨・価格を調整できるため、越境ECや海外展開を見据える事業者に適しています。
4. ecforce(株式会社SUPER STUDIO)

単品リピート通販やD2Cブランドに特化している点が、ecforceの大きな特徴です。株式会社SUPER STUDIOが自社のEC事業向けに内製したシステムを起源とし、ECサイト構築から定期購入管理、CRM、LP作成、広告効果分析までを一つのプラットフォームにまとめています。
セット販売や頒布会、定期受注管理といった、汎用のECカートにはない定期購入向けの機能を標準で備えます。クレジットカードの洗替や決済失敗時の再オーソリ自動化など、定期購入の決済継続率を高める仕組みも用意されています。
導入企業数は1,500社以上(2024年10月末時点の契約件数の総数)です。料金はスタンダードプランが初期費用148,000円・月額49,800円(月間受注2,000件まで)で、EC-CUBEやShopifyなど他社カートからの乗り換え向けに移行プランも用意されています。
5. メルカート(株式会社メルカート)

ECサイト構築パッケージ「ecbeing」で培った構築ノウハウを継承したクラウド型(SaaS)プラットフォームが、メルカートです。運営する株式会社メルカートは、2025年10月にソフトクリエイトホールディングスグループの連結子会社として独立した法人で、中堅・大手企業向けのEC構築を主な対象としています。
導入実績は233社(2026年9月時点)で、キリンやアサヒ飲料、井村屋などの企業名を公式に開示しています。
料金は3プランで、立ち上げプランが初期費用19万円・月額4.9万円、DXプランが初期費用69万円・月額19.9万円です(いずれも従量課金なし)。フルカスタマイズ型のecbeing本体が構築に半年〜1年かかるのに対し、メルカートは最短2ヶ月での立ち上げが可能と説明されています。
オープンソース型
オープンソース型は、公開されたソースコードを自社で保有し、自由にカスタマイズできる方式です。ライセンス費用がかからず、制作会社や自社の開発体制があれば独自の機能を実装できます。導入や保守を自前で担う必要がある一方、拡張の自由度が高い点が特徴です。
1. EC-CUBE(株式会社イーシーキューブ)

EC-CUBEは、2006年に公開された国内発のオープンソース型EC構築パッケージです。株式会社イーシーキューブが開発・運営し、ソースコードを無償で入手して自社サーバーやレンタルサーバー上に構築する形態を基本とします。
情報処理推進機構(IPA)の「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」では、EC構築オープンソースで国内シェアNo.1とされています。決済や集客、顧客管理などのプラグインで機能を拡張でき、ソースコードを改変して独自機能を実装できる点も、この方式ならではの特徴です。
オープンソース版のライセンス費用は無料で、別途サーバー費用やカスタマイズ費用がかかります。このほか、サーバー構築が不要な月額課金のクラウド版「ec-cube.co」や、大規模向けの「EC-CUBE Enterprise」も用意され、用途や規模に応じて選べます。クラウド版スタンダードプランは初期費用70,000円・月額49,800円〜(税別)です。
ここまで各サービスを方式別に紹介してきましたが、自社がどの方式・どのサービスに向いているかは、事業規模や商材によって変わります。以下の選定診断ツールを使えば、いくつかの質問に答えるだけで、自社の条件に合う候補を絞り込めます。
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【比較表】構築方式別 主要サービスの比較
ここまで紹介した主要サービスを、構築方式・料金の目安・対象規模などの観点で横並びにまとめます。シェアや実績だけでなく、自社の予算や規模に合うかを確認する材料としてご覧ください。
| サービス名 | MakeShop | futureshop | カラーミーショップ | ショップサーブ | ecbeing | EBISUMART | Shopify | ecforce | メルカート | EC-CUBE |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 構築方式 | ASP・SaaS型 | ASP・SaaS型 | ASP・SaaS型 | ASP・SaaS型 | クラウドEC型 | クラウドEC型 | クラウドEC型 | クラウドEC型 | クラウドEC型 | オープンソース型 |
| 初期費用 | 11,000円(税込・プレミアムプラン) | 22,000円〜(税抜) | 0円(フリープラン) | 30,000円(税抜・開通料) | 要お問い合わせ(非公開) | 300万円〜 | 0円(セットアップ手数料なし) | 148,000円(スタンダードプラン) | 190,000円(立ち上げプラン) | 0円(OSS版・別途サーバー費用) |
| 月額費用 | 13,750円〜(税込・プレミアムプラン) | 27,000円〜(税抜・2026年8月改定) | 0円(フリープラン) | 25,000円〜(税抜・プラン4S) | 要お問い合わせ(非公開) | 25万円程度〜 | 3,650円〜(Basic・年払い) | 49,800円〜(スタンダード・受注2,000件まで) | 49,000円〜(立ち上げプラン) | 0円(OSS版)/クラウド版49,800円〜 |
| 対象事業規模 | 中小規模〜 | 中小〜中堅 | 個人〜中小 | 中小〜中堅 | 中堅〜大手 | 中〜大規模 | 個人〜大規模・グローバル | 中小〜中堅(単品通販・D2C) | 中堅〜大手 | 小規模〜大規模 |
| 代表的な実績 | EC構築SaaS業界で14年連続 年間流通額No.1(自社調べ) | 2003年提供開始、約20年の運用実績 | 総導入件数22万件以上(公式) | 1999年提供開始、創業以来の運用実績 | カスタマイズ型SaaS/PaaS市場で18年連続シェアNo.1(富士キメラ総研) | カスタマイズ対応クラウド型で9年連続シェアNo.1(日本ネット経済新聞) | 世界流通総額(GMV)2,923億米ドル(2024年通期) | 導入1,500社以上(2024年10月末時点) | 導入233社(2026年9月時点) | EC構築オープンソースで国内シェアNo.1(IPA調査) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
シェアだけで選ばない見極め方
シェアの高さは「多くの事業者に選ばれてきた」という安心材料にはなりますが、そのサービスが自社に合うかどうかは別の問題です。シェアを候補の絞り込みに使いつつ、最終的には次の4つの観点で自社との相性を確かめることをおすすめします。
事業規模・成長目標に合うか
シェア上位のサービスでも、得意とする事業規模は異なります。導入社数ベースで上位のサービスは小規模な店舗が多く、流通総額ベースで上位のサービスは中〜大規模の事業者が多い傾向があります。
現在の売上規模だけでなく、数年後に目指す規模まで見据えて、その規模帯で実績のあるサービスを選ぶと、成長に伴う乗り換えの手間を減らせます。月商が大きく伸びる計画があるなら、上位プランや大規模向けの構築方式に対応できるかを事前に確認しておきましょう。
取り扱う商材・業態との相性
単品の定期購入(サブスクリプション)を主力にするのか、多品種の商品を扱うのか、BtoB取引を含むのかによって、必要な機能は変わります。定期購入やリピート通販に強いサービス、多店舗・多ブランド展開に強いサービスなど、商材や販売形態に応じた得意領域があります。シェアの数字だけでなく、同じ商材・業態での導入事例があるかを確認すると、自社の運用に合うかを判断しやすくなります。
とくに単品の定期購入やリピート通販を主力にする場合は、解約導線の設計や継続課金、特定商取引法への対応など、通常の物販とは異なる比較軸が加わります。こうした定期通販に特化したカートを詳しく比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
将来の拡張性・カスタマイズ性
事業の成長に伴い、基幹システムや物流、外部のマーケティングツールとの連携が必要になる場面が増えます。ASP・SaaS型は手軽に始められる反面、独自の機能追加には制約があることが多く、クラウドEC型やオープンソース型はカスタマイズの自由度が高い分、開発や運用の体制が求められます。将来どこまで独自の要件が出てきそうかを見積もり、API連携や機能追加の柔軟性がそれに見合うかを確認することが重要です。
カスタマイズ性の高い方式を活かせるのは、導入時にすべてを作り込むのではなく、事業計画に合わせて優先順位をつけ、公開後も継続して機能を追加・改善していける企業です。自社にその体制を用意できるかも、方式選びの判断材料になります。
サポート・運用体制
ECサイトは開設して終わりではなく、日々の運用や、トラブル時の対応が事業の継続に直結します。自社に専任の運用担当や開発者がいるかどうかで、必要なサポートの手厚さは変わります。電話やチャットでの問い合わせ対応の時間帯、構築や運用を代行してもらえる支援メニューの有無、オープンソース型であれば保守を担える制作会社を確保できるかまで含めて、自社の体制で無理なく運用できるかを確かめておきましょう。
まとめ
ECサイト構築サービスの「シェア」は、導入社数・流通総額・市場調査という測り方で順位が変わり、統一された1つのランキングはありません。各社が掲げる「シェアNo.1」も、対象とする市場や、第三者調査か自社調べかで意味が異なります。数字を鵜呑みにせず、どのセグメント・どの指標・どの調査によるものかを確かめることが、シェアを正しく読み解く出発点です。
そのうえで、シェアは候補を絞り込む手がかりとして使い、最終的には事業規模・商材・拡張性・サポート体制という4つの観点で自社との相性を確かめることが、後悔しないサービス選びにつながります。気になるサービスが見つかったら、資料を取り寄せて料金や機能の詳細を比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ECサイト構築サービスのシェアとは何ですか?
A. ECサイト構築サービスのシェアとは、特定のサービスがECサイト構築市場でどれだけ使われているかを示す占有率のことです。
測り方は「導入社数・店舗数ベース」「流通総額(GMV)ベース」「セグメント別の市場調査」の主に3種類があり、どの基準で数えるかによって上位に来るサービスの顔ぶれが変わります。統一された1つの指標があるわけではありません。
Q. ECサイト構築サービスのシェア1位はどこですか?
A. ECサイト構築サービスのシェア1位は、測り方によって変わり、すべての指標で共通する1位は存在しません。
測り方によって順位が変わるため、各社がそれぞれ別のセグメント・指標・調査をもとに「シェアNo.1」を公表しています。カスタマイズ対応のクラウドEC市場、EC構築オープンソース、EC構築SaaSの年間流通額など、対象とする市場が違えば、それぞれでNo.1が成り立ちます。どのサービスがどのセグメントでNo.1かは、本文の比較表で調査主体とあわせて確認できます。
「シェアNo.1」という表記を見たときは、どのセグメントの・どの指標の・どの調査によるNo.1なのかを確認することが欠かせません。
Q. 「シェアNo.1」をうたうECサイト構築サービスが複数あるのはなぜですか?
A. 複数のサービスがNo.1を名乗れるのは、各社が対象とする市場(母集団)・指標・調査主体がそれぞれ異なるためです。
全サービスを対象にするか特定の構築方式に絞るか(母集団)、導入社数で数えるか流通額で数えるか(指標)、独立した調査機関によるものか各社の自社調べか(調査主体)——この3点が食い違えば、別々のサービスがそれぞれNo.1になり得ます。特に、第三者の調査機関によるシェアと各社が自社集計したシェアは根拠の性質が異なるため、区別して読むと過大評価を避けられます。
Q. ECサイト構築サービスのシェアはどの指標で見るべきですか?
A. ECサイト構築サービスのシェアは、自社の事業規模に近いサービス群が上位に来る指標で見るのが有効です。
小規模な店舗が中心であれば導入社数・店舗数ベースのシェアが、中〜大規模のECであれば流通総額(GMV)ベースやセグメント別の市場調査が、自社に近い顔ぶれを映します。現在の規模だけでなく数年後に目指す規模まで見据えて指標を選ぶと、候補の絞り込みに役立ちます。
Q. シェアが高いECサイト構築サービスを選べば安心ですか?
A. シェアの高さは安心材料の一つになりますが、シェアが高いサービスが自社に最適とは限りません。
導入社数で上位のサービスは小規模店舗が、流通総額で上位のサービスは中〜大規模事業者が多いなど、得意とする規模帯は異なります。シェアは候補を絞り込む手がかりとして使い、最終的には事業規模・商材との相性・将来の拡張性・サポート体制という4つの観点で、自社に合うかを確かめることをおすすめします。
Q. ECサイト構築サービスのシェアのデータはどこで確認できますか?
A. ECサイト構築サービスのシェアや実績のデータは、各社の公式サイト・プレスリリースのほか、富士キメラ総研などの独立調査機関、経済産業省の市場調査、日本ネット経済新聞などの業界紙で確認できます。
各社が公表する数値は指標の定義も対象範囲も通貨も異なるため、金額の大小をそのまま比較するのではなく、調査主体・調査年・集計方法まで合わせて確認すると、数字に振り回されずに読み解けます。
Q. 国内のECサイト構築市場の規模はどのくらいですか?
A. 経済産業省の調査によると、2024年の国内のBtoC-EC市場規模は26兆1,225億円で、前年から1兆2,790億円増加しました。
うち物販系分野は15兆2,194億円で、EC化率は9.78%です。市場は拡大が続いているため、現時点のシェアは「今後の成長余地」と合わせて捉える必要があります。いま小規模な事業者が多いサービスでも、成長に合わせて上位プランや別のサービスへ移行する例は珍しくありません。
Q. ECサイト構築サービスの乗り換えは難しいですか?
A. ECサイト構築サービスの乗り換えは、商品・顧客・受注データの移行やデザインの再構築に手間がかかるため、一定の負担を伴います。
サービスによっては他社カートからの移行を支援するプランを用意している場合もありますが、乗り換えのコストを避けるには、最初の選定時に数年後の事業規模や必要になる機能まで見据えておくことが重要です。シェアの高さだけでなく、自社の成長段階に合うかを確認しておくと、後の乗り換えの手間を減らせます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。













