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SIEM運用代行(マネージドSIEM)とは?自社運用との違い・選び方・費用を解説

SIEM運用代行 (マネージドSIEM)の選び方のサムネイル画像

SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)を導入したものの、24時間365日のログ監視や大量のアラートの分析に手が回らず、「入れたけれど運用しきれていない」と感じていませんか。

監視を担う専門チーム(SOC)の人材採用は難しく、日々発生するアラートの切り分けや、脅威を検知したあとの対応まで自社だけで回し続けるのは負担が大きいものです。こうした運用の負荷を外部の専門事業者に引き受けてもらう選択肢が、SIEMの監視・運用を任せる「SIEM運用代行(マネージドSIEM)」です。

この記事では、SIEM運用代行で任せられる範囲や自社運用との違い、委託先を見極める選び方、費用の考え方を整理します。おもなマネージドSIEM・マネージド検知サービスの比較表もあわせて掲載しました。自社の体制に合う運用の形を見つけるための検討材料としてご活用ください。

また、自社に合う運用の形とサービスを数問で絞り込める「30秒で終わる選定診断ツール」を、記事の中ほどにご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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SIEM運用代行(マネージドSIEM/MSS)とは

SIEM運用代行とは、SIEMのログ収集・相関分析から、アラートの切り分け、脅威を検知したあとの対応支援までを、外部のセキュリティ専門事業者に任せる形態を指します。「マネージドSIEM」や「SIEM監視サービス」と呼ばれることもあります。ここでは、SIEMそのものの役割をおさえたうえで、自社運用の負荷と、運用代行で任せられる範囲を整理します。

SIEMとは(役割・機能)

SIEM(Security Information and Event Management:セキュリティ情報・イベント管理)とは、サーバー・ネットワーク機器・端末・各種セキュリティ製品が出力するログを一か所に集約し、横断的に相関分析して、不正アクセスやマルウェア感染などの兆候を見つけ出す仕組みです。

単体の製品では気づけない攻撃も、複数のログを突き合わせることで検知できる点が特徴です。たとえば、ある端末での認証失敗の多発と、その直後の社外への大量通信を関連づけて、侵入の疑いとしてアラートを上げます。検知した事象の調査・可視化や、監査に備えた証跡の保管にも使われます。

SIEMはあくまで分析のための基盤であり、集めたログから何を検知し、上がったアラートをどう判断して対処するかは、運用する人の手に委ねられます。ここに、次に述べる自社運用の負荷が生まれます。

SIEMを自社運用で抱える負荷

SIEMを自社だけで運用しようとすると、主に3つの負荷が生じます。ここでは、運用代行が検討される背景として、それぞれを具体的に見ていきます。

1つ目は、24時間365日の監視体制です。攻撃は深夜や休日にも発生するため、本来は常時の監視が望まれますが、交代勤務のシフトを組むには複数名の担当者が要ります。兼任の担当者が日中だけ見る体制では、夜間や休日の兆候を見逃すおそれがあります。

2つ目は、分析を担う人材の確保です。SIEMが上げるアラートには、実際の脅威ではない誤検知が多く含まれます。本物の脅威かどうかを切り分ける作業(トリアージ)には、攻撃手法やログの読み解きに関する専門知識が必要で、こうしたスキルを持つ人材の採用・育成は容易ではありません。

3つ目は、大量のアラートへの対応です。監視ルールを適切に調整(チューニング)しないと、毎日大量のアラートが上がり、担当者が対応しきれなくなります。重要なアラートが埋もれて見逃される事態にもつながります。導入後にこの運用が続かず、SIEMを十分に活かせないケースは少なくありません。

運用代行で任せられる範囲

SIEM運用代行では、前述の負荷にあたる作業を事業者に任せられます。任せられる範囲はサービスによって幅がありますが、代表的なものは次のとおりです。

  • 監視ルールの設計・チューニング:自社の環境に合わせて検知ルールを作り込み、誤検知を減らすための調整を継続的に行います。
  • 24時間365日のログ監視:事業者のSOCが常時ログを監視し、脅威の兆候を検知します。
  • アラートの分析・トリアージ:上がったアラートを専門のアナリストが分析し、本物の脅威かどうかを切り分けて、対応が必要なものだけを報告します。
  • インシデント対応の支援:脅威を検知した際に、影響範囲の調査や初動対応の助言、端末の隔離といった封じ込めの支援を行います。どこまで実対応を代行するかはサービスごとに異なります。
  • 定期報告:検知状況や対応結果、ルールの調整内容を定期的にレポートします。

検知後の自動対応まで踏み込みたい場合は、SOAR(セキュリティの運用・対応の自動化を担う仕組み)と連携して、定型的な対応を自動化できるサービスもあります。どの作業までを任せ、どこから自社で担うかは、委託先を選ぶうえで重要な判断点になります。

マネージドSIEM・MSS・マネージド検知(MDR)の違い

SIEMの運用を外部に任せる手段には、いくつかの提供形態があります。言葉が似ていて混同しやすいため、違いを整理します。

MSS(Managed Security Service:マネージドセキュリティサービス)は、セキュリティ運用を幅広く外部に委託する総称です。SIEMの監視・分析・対応を事業者に任せきる形態がこれにあたり、SIEM運用代行の中心的な提供形態といえます。

マネージドSIEM(Managed SIEM)は、自社のSIEMを残したまま、その運用を事業者と分担する形態を指すことが多い言葉です。ログの可視性を自社に保ちながら監視・分析の負荷を任せられる点が特徴で、自社運用と全面委託の中間(ハイブリッド)に位置づけられます。

一方、MDR(Managed Detection and Response:マネージド検知・対応)は、事業者が自社の検知基盤を用いて、脅威の検知から対応までを一括で提供する形態です。SIEM製品を自社で持っていなくても監視・運用を任せられるため、SIEMの運用に手が回らない企業にとっては近い選択肢になります。

ネットワークの通信を監視するNDR(Network Detection and Response:ネットワーク検知・対応)も、監視・運用を事業者に任せられる点で同じ系統に位置づけられます。

いずれも「監視・運用を外部に任せる」という目的は共通しています。自社のSIEMを活かしたいのか、検知基盤ごと任せたいのかによって、適した形態が変わります。

検知の基盤ごと任せるMDRには、この記事で取り上げた以外にも国内で契約できるサービスが数多くあります。各社が「24時間365日」「検知から対応まで」と似た言葉を使うため、どこまで実際に手を動かすのかは見分けにくい領域です。代行範囲・課金単位・有人監視の中身まで突き合わせてMDRを比べたい場合は、以下の記事で21サービスを整理しています。

自社運用・運用代行・ハイブリッドのどれを選ぶべきか

SIEMを自社で運用するか、運用代行に任せるかは、社内の体制と求める監視レベルによって判断が分かれます。ここでは、自社運用・運用代行・両者を組み合わせたハイブリッドの3つを、観点ごとに比較します。

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自社運用・運用代行・ハイブリッドの比較24時間365日の監視体制必要な人材導入・運用開始までの期間コスト構造ログの可視性・社内ナレッジ
自社運用(SIEM)自社でSOCを構築し、交代勤務のシフトを組む必要がある専門知識を持つ分析担当者の採用・育成が前提構築・ルール整備・体制づくりに時間がかかるライセンス費に加え人件費が継続的に発生するログを自社で把握でき、運用知見も社内に蓄積する
運用代行(MSS)事業者が代行し、人材採用なしで短期に実現できる事業者のアナリストに委ねられる比較的短期間で監視を開始できる月額のサービス費用に監視・分析の人的コストが含まれる可視性や知見の蓄積は委託範囲により異なる
ハイブリッド(Managed SIEM)事業者が監視を担い、自社も運用に関与する一定の社内担当は必要だが負荷は軽減される自社SIEMを活かしつつ短期間で監視を補える自社SIEMの費用とサービス費用の両方が必要ログの透明性を保ちながら共同で運用できる

自社運用・運用代行・ハイブリッドが向くケース

上の比較をふまえると、向いているケースは次のように整理できます。

自社運用が向くケースは、社内に専任のセキュリティチーム(SOC)があり、24時間365日の監視体制を自前で維持できる場合です。ログを自社で完全に把握し、運用知見を社内に蓄積したい企業にも適しています。

運用代行が向くケースは、専任のセキュリティ担当者がいない、または兼任の担当者しかおらず、24時間365日の監視を自社で組めない場合です。人材を採用せずに常時監視と分析を短期間で実現したい企業に適しています。

ハイブリッド(Managed SIEM)が向くケースは、SIEMを導入したものの運用のリソースが足りていない場合です。自社のSIEMとログの可視性を保ちながら、監視・分析の負荷だけを事業者と分担したい企業に向いています。後述の比較表では、各サービスの提供形態や共同運用を選べるかどうかもあわせて確認できます。

運用代行に任せるメリット

運用代行の最大のメリットは、人材を採用せずに24時間365日の監視体制を確保できる点です。専門のアナリストがアラートを切り分けるため、誤検知に振り回されず、本当に対応が必要な事象に集中できます。

監視ルールの調整も事業者が継続的に行うため、導入後にアラートが大量に出て運用が止まる、という事態を避けやすくなります。自社の担当者は、報告された重要な事象への判断と社内調整に専念できます。

運用代行の注意点・デメリット

一方で、運用代行には事前におさえておきたい注意点もあります。契約前に確認しておくことで、導入後のミスマッチを防げます。

1つは、外部への依存と社内ナレッジの蓄積です。監視・分析を任せきると、自社に運用知見が残りにくくなります。将来的に内製へ切り替える可能性があるなら、報告内容やルールの共有範囲を契約時に確認しておくとよいでしょう。

もう1つは、責任分担とデータの取り扱いです。どこまでを事業者が対応し、どこから自社が判断・実対応するのか、契約範囲と責任の切り分けを明確にする必要があります。ログには機微な情報が含まれるため、データの保管場所や取り扱いの条件もあわせて確認します。

SIEM運用代行サービスの選び方

運用代行を任せると決めたら、次は委託先を見極める番です。ここでは、選定で見落としやすい4つの軸を解説します。

対応するSIEM製品に自社の製品が含まれているか

すでにSIEMを導入している場合は、その製品に委託先が対応しているかをまず確認します。事業者によって、特定のSIEM製品を基盤にしているサービスと、製品を問わず複数のSIEMに対応するサービスがあります。

自社ですでに使っている製品があるなら、それに対応する事業者を選べば、基盤を入れ替えずに運用だけを任せられます。これから導入する場合は、事業者が提供・推奨する基盤に乗る形も選択肢になります。どちらの前提に立つサービスかを見極めることが出発点です。

自社の製品が候補の一覧に見当たらない場合は、特定の製品に縛られず複数のSIEMに対応する事業者や、要相談で対応範囲を広げられる事業者に当たるとよいでしょう。

どこまでの支援範囲を任せられるか(構築・監視・分析・対応)

サービスによって、任せられる範囲は構築支援にとどまるものから、監視・分析・インシデント対応の支援まで含むものまで幅があります。自社が何に困っているかに照らして、過不足のない範囲を選ぶことが重要です。

特に分かれ目になるのが、検知したあとの対応です。アラートの分析・報告までを担うサービスと、影響範囲の調査や端末の隔離といった初動対応の支援まで踏み込むサービスがあります。検知後の対応まで自社で担う余力があるか、そこも任せたいかで、必要な支援範囲が変わります。

24時間365日の監視体制と分析を担う人材のスキルは十分か

常時監視をうたうサービスでも、その内訳には差があります。システムによる自動のアラート通知のみが24時間365日で、専門アナリストによる分析は平日の日中に限られる場合もあります。夜間・休日にどこまでの対応を受けられるのかを、契約前に具体的に確認しましょう。

分析の質は、担当するアナリストのスキルに左右されます。SOCの運用実績や、在籍するアナリストが持つ資格・経験は、分析力を見極める手がかりになります。自社の業種特有の脅威に知見があるかも、あわせて確認したい点です。

料金体系と導入実績は自社に合っているか

料金は、監視対象の規模や任せる範囲によって変わります。後述する課金方式を理解したうえで、自社の環境で見積もりを取り、予算に見合うかを判断しましょう。

導入実績も判断材料になります。自社と同じ規模・業種での実績があれば、求める監視レベルに応えられる可能性が高いと考えられます。複数の委託先から見積もりと提案を取り、支援範囲と料金を見比べて選ぶとよいでしょう。

SIEM運用代行の費用の目安と課金の仕組み

SIEM運用代行の費用は、多くのサービスで公開されておらず、個別見積もりが中心です。これは、監視対象の規模や任せる範囲によって金額に幅があり、一律の価格を示しにくいためです。ここでは、見積もりを読み解くために、費用の構成と金額を左右する要素を整理します。

費用は、初期費用と月額費用で構成されるのが一般的です。初期費用には、環境の調査や監視ルールの初期設計、SIEMの構築・設定などが含まれます。月額費用には、監視・分析の人的コストや、レポート作成の費用が含まれます。また、自社のSIEMのライセンス費用は、これとは別に発生することが一般的です。

月額費用を左右する主な要素は、次のとおりです。

  • 監視対象のログ量:集約するログの量(1秒あたりのイベント数などで示されます)が多いほど、分析の負荷が上がり費用も高くなります。
  • 監視対象の範囲:監視するサーバー・機器・端末の数や種類が増えるほど費用が上がります。
  • 対応時間帯:平日日中のみか、24時間365日かで費用が変わります。
  • 任せる支援範囲:監視・報告までか、インシデント対応の支援まで含むかで費用が変わります。

課金の方式もサービスによって異なります。監視対象のログ量(1秒あたりのイベント数=EPSなどで示されます)で決まるもの、監視するデバイスや資産の数で決まるもの、対応範囲や報告会の有無で段階的なプランに分かれるものなどがあります。見積もりを依頼する際は、どの単位で課金されるのかを確認すると、サービス間で費用を比べやすくなります。

これらは見積もりの前提になる項目です。複数の事業者に同じ前提で見積もりを依頼すると、費用とサービス内容を比べやすくなります。プランが段階的に用意され、報告会の有無などで区分されているサービスもあります。

自社がどの運用の形に向いているか、どのサービスが合うかを判断しづらい場合もあります。そうしたときでも、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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【比較表】SIEM運用代行・マネージド検知サービスを比較

ここからは、おもなSIEM運用代行・マネージド検知サービスを、提供形態・対応するSIEM製品や監視対象・任せられる支援範囲・監視体制・料金体系で比較します。自社のSIEMを活かして運用を任せたいのか、検知基盤ごと監視・対応を任せたいのかを軸に見比べてください。

このうちマネージド検知(MDR・NDR)に分類されるサービスは、自社のSIEMを運用代行するのではなく、事業者の検知基盤ごと監視・対応を任せる近接の選択肢です。提供形態の列で見分けられます。

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サービス名Arctic Wolf Aurora ProtectDarktraceVectra AISIEM監視サービス
(NRIセキュア)
MSS for SIEM
(クレスコ)
MSS SIEM運用サービス
(アイティーエム)
マネージドSIEMサービス
(SCSKセキュリティ/旧ネットワン)
INTELLILINK カスタムSOC
(NTTデータ先端技術)
提供形態マネージド検知・対応(MDR)マネージド検知・対応(MDR/NDR)マネージド検知・対応(MXDR/NDR)マネージドSIEM/MSSマネージドSIEM/MSSマネージドSIEM/MSSマネージドSIEM/MSS
(現在の提供はSCSKセキュリティ)
運用代行型SOC(MSS)
対応SIEM製品・監視対象自社の検知基盤
(エンドポイント中心)
自社の検知基盤
(ネットワーク・クラウド・OT・エンドポイント・SaaS)
自社の検知基盤
(ネットワーク・ID・クラウド・SaaS)
自社SIEMを監視
Splunk/Cortex XSIAM/CrowdStrike Falcon Next-Gen SIEM
自社SIEMを監視
Sumo Logic/Microsoft Sentinel/Splunk
(他は要相談)
Sumo Logic
(クラウドSIEM基盤)
非公表
(顧客環境に設置する専用SIEM)
SIEM・UEBA・EDR
(具体製品名は非公表)
任せられる支援範囲監視・トリアージ・脅威ハンティング
(マネージドプラン)
監視・調査(SOC)監視・分析
(フルマネジメント/共同運用を選択)
監視・AI一次分析・SOC分析/
監視ルール提供・チューニング
監視・分析/検知ルール作成・チューニング/
インシデント対応支援(助言)/月次レポート
監視・分析(Insight解析)/チューニング/
月次レポート・報告会
(対処の判断・実作業は利用者側)
監視・分析/ルール設計・チューニング/
月次レポート/緊急遮断(オプション)
監視・トリアージ/インシデント対応支援
(CSIRT連携・端末隔離等)/定期報告・チューニング
監視体制24時間365日
(マネージドプランのSOC監視)
24時間365日
(英・米・星の3拠点でfollow-the-sun)
24時間365日24時間365日24時間365日アラート自動連絡は24時間365日
SOC解析・チューニングは平日9〜17時
24時間365日非公表
料金・課金方式要お問い合わせ監視対象デバイス数で変動(個別見積もり)要お問い合わせSIEM製品・監視対象で変動(個別見積もり)要お問い合わせ(SIEMライセンス費は別)要お問い合わせプラン段階で変動(要お問い合わせ)非公表
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※ 上記は各社の公式サイトの公開情報をもとに作成しています(2026年10月時点)。料金・対応製品・体制は変更される場合があるため、最新情報は各サービスへお問い合わせください。

各SIEM運用代行・マネージド検知サービスの詳細

比較表で挙げたサービスについて、それぞれの特徴と任せられる範囲を紹介します。自社の環境や求める監視レベルに照らしながらご確認ください。

1. Arctic Wolf Aurora Protect(Arctic Wolf Networks, Inc.)

Arctic Wolf Aurora Protectのウェブサイト

米国のArctic Wolf Networks, Inc.が開発する「Aurora Superintelligence Platform」上で提供される、AIを用いたエンドポイント保護と、マネージド検知・対応(MDR)を軸にしたサービスです。日本市場へは2025年2月に、日本法人のアークティックウルフジャパン合同会社を通じて提供を開始しました。

マネージド型のプラン(Aurora Managed Endpoint Defense)では、Arctic WolfのSOC(セキュリティ運用センター)が、システムのオンボーディングや脅威チューニングに加え、24時間365日の監視・アラートトライアージ・脅威ハンティングまでを担います。エンドポイント保護の製品単体で導入することもできます。

料金は公式サイトで公開されておらず、デモ依頼や問い合わせによる個別対応が基本です。国内での提供はテクマトリックス株式会社などの正規代理店を通じて行われるため、対応範囲や料金は問い合わせで確認する形になります。

2. Darktrace(Darktrace Limited)

Darktraceのウェブサイト

組織固有の「正常な挙動」をAIが学習し、そこからの逸脱によって既知・未知の脅威を検知する、自己学習型AI(Self-Learning AI)を中核にしたセキュリティ基盤です。英国のDarktrace Limitedが開発しており、シグネチャに依存しないため、過去のパターンに無い新種の攻撃も捉えられる設計です。

ネットワークの挙動分析(NDR)を起点に、メール・クラウド・エンドポイントなどを横断して相関分析するActiveAI Security Platformとして提供されます。

運用を任せたい場合は、2024年6月提供開始のマネージド検知・対応サービス(Darktrace MDR)があり、英国・米国・シンガポールの3拠点による24時間365日体制(follow-the-sun)でSOC監視・調査を提供します。

料金は公開されておらず、監視対象デバイス数に応じた個別見積もりです。日本国内でのMDRの提供体制や日本語対応の範囲は公式で明示されていないため、導入時に確認するとよいでしょう。国内では販売代理店を通じた提供が中心です。

3. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AIのウェブサイト

Vectra AI Platformは、ネットワークトラフィックの挙動をAIで分析し、社内ネットワークに侵入した脅威を検知・優先順位付けするNDR(Network Detection and Response)製品です。米国のVectra AI, Inc.が開発し、国内ではマクニカ株式会社が代理店として販売・サポートを担います。

検知エンジン「Attack Signal Intelligence」が、正常な活動と悪意ある活動を自動で分類し、エンティティ単位で緊急度を付けて最重要の脅威を絞り込みます。CrowdStrikeやMicrosoft DefenderなどのEDR(端末での脅威の検知・対応を担う仕組み)、Splunk・Microsoft SentinelといったSIEMとの連携にも対応します。

運用を委ねたい場合は、フルマネジメントと共同運用(co-management)を選べるマネージド検知・対応サービス「Vectra MXDR」があり、国内ではマクニカがアナリストによる脅威分析・監視代行を提供します。料金は公式・代理店ともに非公開で、トライアル相談を含め問い合わせ窓口で確認します。

4. SIEM監視サービス(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

NRIセキュア SIEM監視サービスのウェブサイト

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が、マネージドセキュリティサービス「NeoSOC」の一つとして提供する、顧客が自社で保有するSIEMを同社のアナリストが監視するサービスです。SIEMそのものの導入・運用代行も含まれるとされています。

SIEMが出すアラートを24時間365日体制で監視し、AIによる一次分析・優先度付けと、SOCアナリストによる高度な脅威分析を組み合わせます。危険度の高いアラートはリアルタイムで報告されます。WAFやEDR、ファイアウォール向けの監視ルールが用意されており、ルールを自作していなくても利用を始められます。

対応するSIEM製品は、Splunk(Enterprise/Cloud Platform)、Palo Alto NetworksのCortex XSIAM、CrowdStrike Falcon Next-Gen SIEMで、特定の1製品に限定されません。料金は、利用するSIEM製品や監視対象の種類、設定状況によって変わる個別見積もりです。

5. マネージドセキュリティサービス for SIEM(株式会社クレスコ)

クレスコ マネージドセキュリティサービス for SIEMのウェブサイト

SIEMの運用を代行・サポートし、24時間365日リアルタイムでログを分析するサービスを、株式会社クレスコが提供しています。セキュリティアナリストの知見をもとに、検知した事象を重要度・影響度に応じて指定の連絡先へ通知します。

検知ルールの作成・チューニングの代行や月次レポートの提供に加え、インシデント発生時には影響判断やトリアージ、隔離・封じ込め方法についての助言を行います。提供内容には月あたりの上限があり、検知ルール作成は月3件、チューニングは月10件、インシデント調査・対応支援は月20件まで(超過分はベストエフォート)とされています。

対応するSIEM製品はSumo Logic・Microsoft Sentinel・Splunkで、その他は別途相談となります。連絡手段は電話・メール・チャット、対応言語は日本語と英語です。料金は公式ページに記載がなく、資料請求または問い合わせで確認する形で、SIEM製品のライセンス費用や初期設定費用は含まれません。

6. MSS SIEM運用サービス Powered by Sumo Logic(アイティーエム株式会社)

アイティーエム MSS SIEM運用サービスのウェブサイト

クラウドSIEMのSumo Logicを基盤に、アイティーエム株式会社と、Sumo Logicを国内販売する株式会社テリロジーが共同で2024年4月から提供するマネージドサービスです。両社のセキュリティアナリストが、Sumo Logicの自動相関分析で検出された事象を監視・分析します。

メニューは初期導入支援から月次運用、月次レポート、約1時間の報告会までを含みます。ここで注意したいのが対応時間帯の内訳です。24時間365日となるのはアラート発生の自動連絡(メールの自動送信と自動音声電話)のみで、SOC監視(Insight解析)・問い合わせ窓口・アラートチューニングは平日9時〜17時に限られます。

検知したInsightの危険度と影響範囲を分析し、初動対応として必要な対応を連絡しますが、対処の実施判断と実作業は利用者側が行います。ログはAWS東京リージョンにAES256ビット暗号化で保管されます。料金は公式ページに記載がなく、問い合わせで確認します。

7. マネージドSIEMサービス(SCSKセキュリティ/旧ネットワンシステムズ)

ネットワンシステムズ マネージドSIEMサービスのウェブサイト

ネットワンシステムズ株式会社の「マネージドSIEMサービス」は、顧客環境に設置したSIEMで、次世代ファイアウォールのIDS/IPS(不正侵入の検知・防御)やProxyサーバーなどのログを分析し、インシデントと判定された事象への対応を支援するサービスです。

2026年4月1日以降、このサービスの提供主体はSCSKセキュリティ株式会社に移管されており、問い合わせ・提供窓口も同社が担います(契約中の顧客の契約主体は引き続きネットワンシステムズです)。

SCSK Security SOCの分析基盤の運用ノウハウをもとに、24時間365日のリアルタイム分析を行います。プランは、対象ログを限定したスタンダードと、任意ログの分析やルールチューニングを加えたアドバンスドの2系統があり、それぞれ報告会の有無を選べます。送信元IPなどを遠隔で遮断する緊急遮断などのオプションも用意されています。

対応するSIEM製品は公式ページに明示されておらず、「顧客環境に設置する専用SIEM」との記述にとどまります。料金も公開されていないため、監視対象や必要なプランに応じて問い合わせで確認します。

INTELLILINK カスタムSOCサービスのウェブサイト

株式会社NTTデータ先端技術が2025年1月に提供を開始した、SIEMやUEBA(ユーザー行動分析)を使った分析で、顧客のSOC運用の負荷を下げるサービスです。既存の監視体制に追加(アドオン)する形で導入する位置づけとされています。

メニューは3つあります。1つ目は、アナリストが検知ルールを作成し、脅威につながるアラートに絞って正誤を判定するモニタリングです。2つ目は、一次調査で完了しないアラートを顧客のCSIRT(インシデント対応を担う社内チーム)へ連携するインシデントレスポンスです。3つ目は、運用状況の定期報告と検知ルールのチューニングです。

インシデント対応では、端末隔離やユーザーヒアリングなどの支援にも対応します。

対応するSIEM・UEBA製品の具体名、24時間365日体制の有無、料金、導入事例は、いずれも公式に公表されていません。対応製品や稼働時間、費用は問い合わせで確認する必要があります。言語は日本語に加え、メールとポータルでの英語対応があります。

SIEM運用代行に関するよくある質問(FAQ)

Q. SIEM運用代行(マネージドSIEM)とは何ですか?

A. SIEM運用代行とは、SIEMのログ収集・相関分析からアラートの切り分け、脅威を検知したあとの対応支援までを、外部のセキュリティ専門事業者に任せる形態です。「マネージドSIEM」「SIEM監視サービス」と呼ばれることもあります。

SIEM自体は分析のための基盤であり、何を検知し、上がったアラートをどう判断して対処するかは運用する人に委ねられます。この運用の負荷、とりわけ24時間365日の監視やアラート対応を事業者が引き受けるのがSIEM運用代行です。

Q. SIEM運用代行では、どこまでの作業を任せられますか?

A. SIEM運用代行では、監視ルールの設計・チューニング、24時間365日のログ監視、アラートの分析・トリアージ、インシデント対応の支援、定期報告まで任せられます。ただし、検知後にどこまで実対応を代行するかはサービスごとに異なります。アラートの分析・報告までを担うものと、影響範囲の調査や端末の隔離といった初動対応の支援まで踏み込むものがあります。

検知後の自動対応まで求める場合は、SOAR(セキュリティ運用・対応の自動化)と連携して定型対応を自動化できるサービスもあります。どの作業までを任せ、どこから自社で担うかが委託先選びの重要な判断点です。

Q. SIEMは自社運用と運用代行のどちらを選ぶべきですか?

A. SIEM運用を自社と外部のどちらに置くかは、社内に24時間365日の監視体制を自前で維持できる専任のセキュリティチーム(SOC)がいるかどうかで分かれます。専任チームがあり、ログを自社で完全に把握して運用知見を社内に蓄積したいなら自社運用が向きます。専任担当がいない・兼任の担当しかおらず常時監視を組めないなら、人材を採用せずに監視・分析を短期間で実現できる運用代行が向きます。

SIEMを導入したものの運用リソースが足りていない場合は、自社のSIEMとログの可視性を保ちながら監視・分析の負荷だけを事業者と分担するハイブリッド(Managed SIEM)という選択肢もあります。

Q. SIEM運用代行の費用相場はどのくらいですか?

A. SIEM運用代行の費用は、多くのサービスで公開されておらず個別見積もりが中心で、初期費用と月額費用で構成されるのが一般的です。初期費用には環境の調査や監視ルールの初期設計、SIEMの構築・設定が、月額費用には監視・分析の人的コストやレポート作成の費用が含まれます。

月額を左右する主な要素は、監視対象のログ量、監視するサーバー・機器・端末の範囲、対応時間帯(平日日中のみか24時間365日か)、任せる支援範囲です。自社のSIEMのライセンス費用は別途発生することが一般的なため、同じ前提で複数の事業者に見積もりを依頼し、費用とサービス内容を比べるとよいでしょう。

Q. マネージドSIEMとMDRは何が違いますか?

A. 両者の違いは、マネージドSIEMが自社のSIEMを活かして監視・分析を任せる形態なのに対し、MDR(マネージド検知・対応)は事業者の検知基盤を用いて検知から対応までを一括で提供する形態である点です。

MDRはSIEM製品を自社で持っていなくても監視・運用を任せられるため、SIEMの運用に手が回らない企業には近い選択肢になります。自社のSIEMとログの可視性を残したいのか、検知基盤ごと任せたいのかによって、適した形態が変わります。

Q. 自社が使っているSIEM製品に対応した委託先はどう選べばよいですか?

A. すでにSIEMを導入している場合は、その製品に委託先が対応しているかをまず確認することが出発点です。事業者には、特定のSIEM製品を基盤にするサービスと、製品を問わず複数のSIEMに対応するサービスがあります。

すでに使っている製品があるなら、それに対応する事業者を選べば、基盤を入れ替えずに運用だけを任せられます。これから導入する場合は、事業者が提供・推奨する基盤に乗る形も選択肢になるため、どちらの前提に立つサービスかを見極めましょう。

Q. 「24時間365日監視」とうたうサービスで確認すべき点は何ですか?

A. 確認すべきは、24時間365日が「システムによる自動のアラート通知」までなのか、「専門アナリストによる分析・対応」まで含むのか、という内訳です。常時監視をうたっていても、自動のアラート通知のみが24時間365日で、SOCによる分析やルールのチューニングは平日の日中に限られる場合があります。

夜間・休日にどこまでの対応を受けられるのかを、契約前に具体的に確認しましょう。あわせて、分析を担うアナリストの実績・資格や、自社の業種特有の脅威への知見も確認したい点です。

まとめ

SIEM運用代行は、SIEMの監視・分析・対応といった運用の負荷を外部の専門事業者に任せる手段です。24時間365日の監視体制を人材採用なしで確保でき、誤検知に振り回されずに重要な事象へ集中できる点が利点です。

委託先を選ぶ際は、対応するSIEM製品・任せられる支援範囲・監視体制の内訳・料金体系と実績の4つを軸に見極めることが重要です。自社のSIEMを活かすのか、検知基盤ごと任せるのかによって、マネージドSIEMとマネージド検知のどちらが合うかも変わります。複数の事業者から見積もりと提案を取り、自社の体制と予算に見合う運用の形を選びましょう。

SIEMによる監視・運用は、社内セキュリティ対策全体の一領域です。端末やID、データの保護まで含めて自社に必要な対策を見渡したい場合は、守る対象別に社内セキュリティソリューションを整理した以下の記事もあわせてご覧ください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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