取引先やサプライチェーンからセキュリティ対策を求められ、国(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を調べ始めたものの、公式の登録リストがどこにあり、どう見れば自社に合うサービスを選べるのか分かりにくい、と感じていませんか。専任のIT担当者がいない中小企業ほど、まず見るべき一覧の場所と読み方でつまずきがちです。
サイバーセキュリティお助け隊サービスは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が中小企業向けの対策をワンパッケージにまとめた制度で、該当するサービスは公式の一覧(リスト)で確認できます。ただし公式一覧は「事業者名と対応地域」が中心で、費用や監視の中身は各事業者のページに分かれているため、横並びで比べるには見方のコツが要ります。
本記事では、IPAが公開する2つの公式リストの場所と中身、各列の意味と自社に合うサービスの絞り込み手順、制度の中身や費用の目安、補助金・新類型までを整理します。あわせて、守りたい対象によってはお助け隊の枠にとらわれず検討できる、中小企業向けのセキュリティ対策サービスも紹介します。
目次
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公式リストはどこにある?IPAの2つの一覧の場所と中身
サイバーセキュリティお助け隊サービスの登録サービスは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のユーザー向けサイトから2つの公式リストで確認できます。補助金などで「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」と呼ばれる公式の一覧の実体がこの2つで、目的が「地域で探す」のか「中身を比べる」のかで見るリストが変わります。
サービス提供事業者一覧(対象地域から探す)
1つ目は「サービス提供事業者一覧」です。登録事業者が50音順・アルファベット順で並び、各事業者が北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の9ブロックのどこに対応しているかがチェックマークで示されています。
2026年10月時点で50社以上が掲載されており、商工会議所や地域のIT事業者から大手のシステム会社・警備会社まで顔ぶれは幅広い構成です。まず自社の所在地に対応する事業者を絞り込むのに向いています。費用や監視の種類、保険の内容はこの一覧には載っておらず、各事業者の個別ページで確認する作りです。
出典・参考資料(1件)
監視種別サービス一覧(サービスの中身を比べる)
2つ目は「監視種別サービス一覧」です。「ネットワーク監視」「端末監視」「併用」「2類」の区分ごとに表が分かれています。各表ではサービス名・提供事業者・初期費用・月額・初年度費用・監視可能端末数・保険会社・対象地域などの列で、各サービスを横並びに比較できます。
初年度費用は初期費用と12か月分の月額の合計です。費用の実額まで含めて見比べたいときは、まずこの一覧を見るのが近道です。
ただし、この一覧は費用などの欄が「準備中」になっている事業者も多く、空欄は各事業者のページで確認する必要があります。本記事でも、公表情報の揃った代表例を後述の比較で紹介しつつ、最新の実額は公式リストと各事業者ページで確かめる前提で整理します。
出典・参考資料(1件)
公式リストの見方と自社に合うサービスの絞り込み手順
公式リストにたどり着いても、列の意味と絞り込みの順番が分からないと手が止まります。ここでは各列が示す内容と、自社に合うサービスを選ぶ手順を整理します。
リストの各列は何を表しているか
監視種別サービス一覧の各列は、サービスを選ぶときの判断材料に対応しています。主な列の意味は次のとおりです。
- 提供事業者・監視製品の製造会社: サービスを提供する会社と、監視に使う機器・ソフトの製造元。問い合わせ先や製品の実績を確認する手がかりになります。
- 初期費用・月額・初年度費用: 導入時の一時費用と毎月の費用。初年度費用は初期費用に月額12か月分を足した金額で、最初の1年でかかる総額を比べられます。
- 監視可能端末数: 監視の対象にできる端末の数。社内のパソコン台数に見合うかどうかの確認に使います。
- 保険会社: 付帯する簡易サイバー保険の引受会社。補償の範囲や上限は事業者ごとに異なります。
- 対象地域: サービスを受けられる地域。駆けつけ支援を伴う場合は、自社の所在地が対応範囲に入っているかどうかの判断材料になります。
監視種別の3タイプ(ネットワーク監視・端末監視・併用)の違い
お助け隊サービスの監視タイプは3種類に分かれます。IPAのユーザー向けサイトでは「監視タイプはネットワーク監視端末監視および両者の併用の3種類から選べます」と示されています。

- ネットワーク監視: 社内ネットワークと外部との境界にUTM(統合脅威管理)などの監視装置を置き、拠点全体の通信をまとめて監視します。端末ごとの設定が不要で、拠点を丸ごと守りたい場合に向きます。
- 端末監視: 従業員のパソコンにEDR(Endpoint Detection and Response)などの監視ソフトを入れ、端末ごとに監視します。社外に持ち出す端末やテレワーク端末も対象にできます。
- 併用: ネットワーク監視と端末監視を組み合わせ、拠点と端末の両面で守る多層防御です。
出典・参考資料(1件)
自社に合うサービスを絞り込む手順
列の意味と監視種別を押さえたら、次の順で候補を絞り込むと迷いにくくなります。

はじめに見るのは、サービス提供事業者一覧で自社の所在地に対応する事業者です。駆けつけ支援を重視する場合は、対応地域が合うかが前提条件になります。次の分かれ目は監視種別で、拠点全体をまとめて守りたいならネットワーク監視、社外に持ち出す端末まで守りたいなら端末監視が目安になります。
そのうえで、監視種別サービス一覧で初年度費用と監視可能端末数を見比べれば、自社の台数と予算に合う候補を数社に絞り込めます。契約前には、簡易サイバー保険の補償内容と、サービスに含まれる機能(相談窓口や駆けつけの範囲)を各事業者のページで確かめておくと安心です。
代表的なお助け隊サービスの費用・内容を横並びで比較
公式の監視種別サービス一覧は費用欄が「準備中」の事業者も多いため、ここでは公表情報の揃った代表的なお助け隊サービスを、監視種別の異なる3つ取り上げて横並びで整理します。拠点全体を守るネットワーク監視型と、端末ごとに守る端末監視型とで、費用の見え方が変わります。
| サービス名 | 商工会議所お助け隊サービス | PCセキュリティみまもりパック | SOMPO SHERIFF |
|---|---|---|---|
| 提供事業者 | 大阪商工会議所(再販各社) | 株式会社PFU | SOMPOリスクマネジメント株式会社 |
| 監視種別 | ネットワーク監視(UTM) | 端末監視 | 端末監視 |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 月額(税別) | 6,000円〜(会員)/7,500円〜(非会員) | 750円/台 | 500円/台 |
| 対応規模 | 約100台まで | 1台から | 1ライセンスから |
| 簡易サイバー保険 | 駆けつけ費用を補償(年2回・各15万円まで) | サイバー保険付帯(年間上限200万円) | サイバー保険付帯(引受:損害保険ジャパン) |
| 対象地域 | 全国 | 全国(一部地域を除く) | 全国 |
※各社の公式情報・IPA掲載情報をもとに作成(2026年10月時点、税別)。最新の実額は各事業者のページでご確認ください。
このように、拠点をまとめて守るネットワーク監視型は月6,000円程度から、端末ごとに守る端末監視型は1台あたり月500〜750円程度が一例です。いずれも初期費用を抑えて導入でき、駆けつけ費用や事案対応を補償するサイバー保険が付く点は共通します。月額だけでなく初期費用を含めた初年度費用でそろえると、事業者間の差を正しく比べられます。
出典・参考資料(4件)
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは?制度の中身を整理
サイバーセキュリティお助け隊サービスは、中小企業に必要なサイバー攻撃対策を安価なワンパッケージにまとめて提供することを目的とした制度です。IPAのサービス基準では、基本コンセプトが次のように定められています。
サイバーセキュリティお助け隊サービスは、中小企業等のサイバーセキュリティ対策を支援するための相談窓口、異常の監視、事案発生時の初動対応(駆付け支援等)及び簡易サイバー保険等のサービスを中小企業等に、その事業環境の実情に即した内容で、安価かつ効果的なワンパッケージにまとめて確実に提供することを基本コンセプトとする。
出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス基準に関する説明資料|IPA
4つの中身(見守り・相談窓口・駆けつけ・簡易サイバー保険)
お助け隊サービスは、基本コンセプトに挙げられた4つの支援をまとめて提供します。
- 異常の監視(見守り): ネットワークや端末を見守り、攻撃や異常を検知して通知します。
- 相談窓口: セキュリティの不安や事案について、電話やメールで相談できます。
- 事案発生時の初動対応(駆けつけ): 事案が起きたとき、地域のIT事業者などが初動対応を支援します(リモート対応の場合もあります)。
- 簡易サイバー保険: 事案対応にかかる費用などを補償する保険が付帯します。補償範囲や上限は事業者ごとに異なります。
出典・参考資料(1件)
IPAは「お助け隊マーク」を付与する認定制度
お助け隊サービスは、IPAが直接販売するものではありません。IPAの制度ページには、次のように示されています。
民間の事業者から提供されるサービスです。
該当するサービスに「お助け隊マーク」を付与し、普及の促進活動を行っています。
出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス制度|IPA
サービスを実際に提供するのは民間の事業者で、IPAは基準を満たしたサービスに「お助け隊マーク」を付与して普及を後押しする役割を担います。マークは、そのサービスが制度の基準を満たしていることの目印になります。
IPAのユーザー向けサイトに掲載された経済産業省の推奨コメントによれば、お助け隊サービスは全国で1万社を超える企業に導入されているとされています。
出典・参考資料(1件)
お助け隊サービスの費用の目安|1類の価格基準と2類との違い
お助け隊サービスの費用は、事業者ごとに差があるものの、制度の価格基準によって上限の目安が定められています。中小企業が導入しやすいよう、1類サービスには月額と初期費用の基準が設けられています。
1類の価格基準と、費用を比べる考え方
IPAのサービス基準では、1類サービスの月額価格について次の基準が示されています。
イ お助け隊サービスの月額価格は以下の金額を超えないこと。
出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス基準に関する説明資料|IPA
・【ネットワーク監視の場合】 月額1万円(税抜き)
・【端末監視の場合】 端末1台あたり月額2,000円(税抜き)
なお、上記の両者を併用する場合は、合計額が月額1万円(税抜き)以下と端末1台あたり月額2,000円(税抜き)以下の両方を満たすこと。
初期費用についても、ネットワーク監視は50万円(税抜き)、端末監視は端末数によらず50万円(税抜き)、両者の併用はこれらの和に相当する100万円(税抜き)を上限とする基準が示されています。これらは制度として満たすべき価格の基準であり、実際の販売価格は事業者によって異なります。費用を比べるときは、月額だけでなく初期費用を含めた初年度費用でそろえると、事業者間の差を正しく把握できます。
出典・参考資料(1件)
1類と2類の違い
お助け隊サービスには、基本となる1類に加えて2類があります。2類は、より高度な監視やコンサルティングを必要とする中規模以上の中小企業に向けて2024年に創設されました。IPAの発表では、創設の趣旨が次のように説明されています。
現行サービスをベースに監視機能の強化や定期的なコンサルティングの実施等の拡充を要件とした新たな類型(2類)を創設しました
出典:サイバーセキュリティお助け隊サービスに新たな類型(2類)を創設しました|IPA
2類は監視機能の強化や定期的なコンサルティングの実施などを要件とする一方、現行サービスの価格要件を緩和して設定されています。1類が「安価なワンパッケージ」を重視するのに対し、2類はより手厚い監視・支援を求める中規模以上の中小企業のニーズに応える位置づけです。
自社に専任担当がおらず基本の対策から始めたい場合は1類、一定の体制があり監視の強化やコンサルティングまで求める場合は2類、という見当で候補を絞ると判断しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
補助金(デジタル化・AI導入補助金)で費用を抑える
お助け隊サービスの利用料は、国の補助金の対象になる場合があります。中小企業向けの「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」には、お助け隊サービスの利用を支援する枠が設けられています。
セキュリティ対策推進枠
出典:デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)|中小企業庁・ミラサポplus
・独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料を支援します。
補助の対象になるのは、お助け隊サービスリストに掲載されたサービスの利用料です。2026年公募のセキュリティ対策推進枠では、補助額は5万円〜150万円、補助率は中小企業が2分の1以内、小規模事業者が3分の2以内と案内されています。ただし、補助率・上限額・公募の締切は年度や公募回によって変わるため、申請時は必ず最新の公募要領で確認してください。
また、この補助金を申請するには、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する「SECURITY ACTION」の宣言が必須要件となっています。IPAのページには次のように示されています。
補助金の申請には、SECURITY ACTIONの「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかを宣言していることが要件になっています。
出典:IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)とSECURITY ACTION|IPA
新類型の実証事業とSCS評価制度
お助け隊サービスには、2026年に新しい動きがあります。経済産業省とIPAは、お助け隊サービスの「新類型」の実証事業を開始すると公表しました。
(New!) 【2026年9月15日】中小企業向け「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」実証事業を開始します。
出典:サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)|経済産業省
新類型は、サプライチェーン全体のセキュリティ対策を★の数で見える化する「SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)」と連動しています。
経済産業省のページでは、新類型が「SCS評価制度の★3・★4取得を目指す中小企業に対し、現状診断から必要な対策の実施までをワンパッケージで支援するサービス」と説明されています。実証期間は令和8年(2026年)9月頃から令和9年(2027年)9月頃までの約1年間を予定しており、実証期間中はSCS評価制度の対策の範囲で無料とされています。
SCS評価制度自体は令和8年度(2026年度)末頃の施行が目標とされており、取引先ごとに異なるセキュリティ要件を共通の基準で見える化するねらいがあります。取引先からの要請に備えて対策の水準を示したい企業にとって、新類型は選択肢の一つになり得ます。公表時期・無償の範囲・スケジュールは変わる可能性があるため、参加を検討する際は経済産業省・IPAの最新情報を確認してください。
資料請求・契約までの流れ
候補を絞り込んだら、実際の申し込みに進みます。お助け隊サービスの導入は、おおむね次の流れで進みます。
まず、監視種別サービス一覧や各事業者のページで候補を絞り、資料請求や問い合わせでサービス内容・料金・含まれる機能を確認します。次に、利用規約やサービス仕様を確認したうえで申し込み、機器を使うサービスであればUTMなどの設置を行います。
設置後は自動的に見守りが始まり、異常があれば通知を受け取り、必要に応じて相談窓口や駆けつけ支援を利用します。補助金を使う場合は、先にSECURITY ACTIONを宣言し、補助金の交付決定を受けてから契約・導入する手順になるため、申し込みの前に補助金の公募スケジュールを確認しておくと安心です。
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守りたい対象で選ぶ|中小企業向けのセキュリティ対策サービス
ここからは参考として、お助け隊サービスとは別に検討できる中小企業向けのセキュリティ対策サービスを紹介します。お助け隊サービスは対策を始めるための入口として有効ですが、守りたい対象(拠点のネットワーク全体か、端末か、社外に持ち出す環境か)によっては、お助け隊の枠にこだわらず選んだ方が合うこともあります。
以下は制度の登録サービスとは限らないため、お助け隊サービスとしての登録の有無は各社の公式情報でご確認ください。
拠点のネットワーク全体を可視化したい、国産の仕組みで脆弱性診断とバックアップまで押さえたい、拠点に機器を置かず運用まで任せたい、といった狙い別に、中小企業でも導入しやすいサービスを見ていきます。
以下はご紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | Network Blackbox | KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ | SmartConnect クラウド型UTM |
|---|---|---|---|
| 守る対象・監視範囲 | ネットワーク全体の通信 (全パケットを収集し検知・調査) | 社内ネットワーク内部の端末・機器 (脆弱性を月次診断+隔離バックアップ) | 拠点ネットワークの出入口 (FW+IPS+Webフィルタで監視・遮断) |
| 提供形態 | アプライアンス等は公表なし (ミラーリング方式で導入) | 予防・復旧・補償の統合パッケージ (脆弱性診断+バックアップ+サイバー保険) | クラウド型UTM (データセンター集約型。拠点に機器を置かない) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 110,000円〜(税別) |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 1台1,250円/月〜 | 38,500円〜(税別。帯域別プラン) |
| 運用代行・サポート | 製品標準の運用代行は公表なし (導入・運用支援は販売代理店経由) | 月次の診断報告と相談会で対策を伴走 (対策実装は原則自社主体、別料金で委託可) | 設定〜運用をセキュリティ専門部隊が担当 (基本の設定変更は月5回まで無料) |
| 特徴 | フルパケットキャプチャで通信を遡って調査(フォレンジック)。EDR・SIEMと連携 | 国産技術。内部からの脆弱性診断とランサム対策の隔離バックアップを一体提供 | 拠点に機器を置かずクラウドで統合防御。FortiGate/FortiAnalyzer基盤 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxは、ネットワークを流れる通信そのものをとらえて脅威を検知・調査するNDR(Network Detection and Response)ソリューションです。
公式ページでは「次世代ネットワーク検出および応答(NDR)ソリューション」と位置づけられ、フルパケットキャプチャを基盤に、外部からの侵入・内部の不審な通信・情報の持ち出しといった、ネットワーク上に痕跡が残る事象の検知と事後調査に対応します。
シグネチャベースの検知に加え、ユーザーの行為パターンをもとにした検出やコンテンツ分析による脅威検知を組み合わせる点が特徴です。EDRやSIEM(機器のログを集約して分析する仕組み)とは置き換えではなく連携して使う設計で、端末監視だけでは見えないネットワーク全体の動きを押さえたい企業に向きます。
お助け隊サービスの手軽なネットワーク監視から一歩進み、通信を遡って原因を調べるフォレンジックまで踏み込みたい場合の選択肢です。料金は公式に公開されておらず、導入規模に応じた見積もりとなります。
2. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

国産のセキュリティ技術をもとに、脆弱性診断とバックアップをまとめて提供するのが、株式会社SYNCHROのKATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージです。IPv6アドレスと暗号化技術を組み合わせた独自の通信経路を使い、従来は専門家が現地に出向いて行っていたネットワーク内部の脆弱性診断を、リモートで継続的に実施できる点が特徴です。
サーバーやネットワーク機器、複合機など、社内のあらゆる端末とつながる機器の脆弱性を外部から診断できるため、立ち会いの工数を抑えながら診断の頻度を上げられます。ランサムウェア対策として、書き換えできない形で保管するバックアップも組み合わせられます。予防(脆弱性診断)と復旧(バックアップ)を国産の仕組みでまとめて押さえたい中小企業に向く選択肢です。
では、実際にネットワーク内部を診断するとどのような問題が見つかるのでしょうか。株式会社SYNCHROの北口氏は、複合機やコピー機の例を次のように挙げています。

工場出荷時の初期パスワードのまま使われているお客様がほとんどでして、大手メーカーの初期IDパスワードはインターネットで検索すればすぐ出てきてしまいます。そのままにしておくと、万が一ウイルスが内部に入り込んだ際に、簡単に遠隔操作で乗っ取られてしまうリスクがあります。それから、ネットワーク機器やサーバーの管理者権限の問題もあります。一般ユーザー権限と管理者権限を分けて使うことはご存じの通りですが、実際に管理者権限でログインを試してみると、簡単に入れてしまうケースもあります。
3. SmartConnect クラウド型UTM(NTTスマートコネクト株式会社)

拠点ごとにUTM機器を置く従来方式に代えて、データセンターに集約したUTM基盤で各拠点の通信をまとめて守るのが、NTTスマートコネクトのSmartConnect クラウド型UTMです。基盤にはFortinet社のFortiGateとFortiAnalyzerを採用しています。
ファイアウォール・IPS(不正侵入防御)・Webフィルタリングを1つの基盤に統合し、機器の調達・設置・保守が不要な点が特徴です。設定から運用までをセキュリティ専門部隊が担う運用代行込みのため、専任のセキュリティ担当者を置けない企業や、複数拠点のセキュリティ設定を一元管理したい企業に向きます。
お助け隊サービスで多いUTM設置型のネットワーク監視を、機器を持たずクラウドで実現したい場合の選択肢です。料金は帯域別のプランで提供され、詳細は見積もりで確認します。
ここで挙げた3サービスのほかにも、社内のセキュリティは端末・ネットワーク・ID・データ・監視運用と、守る対象ごとに適したソリューションが分かれています。お助け隊サービスの枠にとらわれず、守りたい対象別に代表的なサービスのタイプと選び方を横並びで比較検討したい方は、次の記事をご覧ください。
社内セキュリティソリューション比較|守る対象別のタイプ・代表サービスと選び方
社内のセキュリティを強化したいものの、端末の保護から不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで課題が広く、何から手をつければよいか判断がつかないという声は少なくありません。テレワークやクラウド利用が定着し、社外に持ち出される端末やIDが増えたこ…
まとめ
サイバーセキュリティお助け隊サービスの登録サービスは、IPAの「サービス提供事業者一覧」(地域から探す)と「監視種別サービス一覧」(中身を比べる)の2つの公式リストで確認できます。自社に合うサービスを選ぶときは、次の順で絞り込むと迷いにくくなります。
- 地域で絞る: サービス提供事業者一覧で、自社の所在地に対応する事業者を確認する。
- 監視種別を決める: 拠点全体を守るネットワーク監視か、持ち出し端末も守る端末監視かを選ぶ。
- 費用を比べる: 監視種別サービス一覧で初年度費用と対応端末数をそろえて見比べる。
- 中身を確認する: 契約前に簡易サイバー保険の補償と含まれる機能を各事業者ページで確認する。補助金を使うならSECURITY ACTIONの宣言と公募スケジュールも押さえる。
お助け隊サービスは中小企業が対策を始めるための入口として有効ですが、守りたい対象によっては、ネットワーク全体の可視化や国産の脆弱性診断、クラウド型UTMなど、枠にとらわれない選択肢も検討できます。自社の課題に合うサービスを見極める材料として、各サービスの資料をあわせて確認してみてください。
お助け隊サービスの導入と並行して、限られた予算のなかで中小企業が何から対策に着手すべきかを優先順位と費用感から整理しておきたい方は、次の記事が参考になります。
中小企業のセキュリティ対策は何から始める?優先順位と費用感つきでやるべきことを解説
取引先からセキュリティ対策状況の確認を求められたり、同業他社の被害をニュースで見た社長から「うちは大丈夫なのか」と指示が飛んできたりして、何から手を付ければよいのか分からず困っていませんか。セキュリティが大切なことは分かっていても、専任の担…
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よくある質問(FAQ)
Q. サイバーセキュリティお助け隊サービスとは何ですか?
A. サイバーセキュリティお助け隊サービスは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が認定する、中小企業向けのサイバー攻撃対策をワンパッケージにまとめたサービス制度です。異常の監視(見守り)・相談窓口・事案発生時の駆けつけ支援・簡易サイバー保険を安価にまとめて提供する仕組みで、基準を満たしたサービスにIPAが「お助け隊マーク」を付与します。サービスを実際に提供するのは民間の事業者です。
Q. サイバーセキュリティお助け隊サービスのサービスリストはどこで見られますか?
A. サイバーセキュリティお助け隊サービスの公式リストは、IPAのユーザー向けサイトにある「サービス提供事業者一覧」(対象地域から探す)と「監視種別サービス一覧」(費用や監視の中身を比べる)の2つで確認できます。自社の所在地で使える事業者を絞りたいときは事業者一覧を、費用や監視種別まで見比べたいときは監視種別サービス一覧を見るのが近道です。
出典・参考資料(2件)
Q. サイバーセキュリティお助け隊サービスはIPAが直接提供しているのですか?
A. いいえ、サービスを実際に提供するのは民間の事業者で、IPAは基準を満たしたサービスに「お助け隊マーク」を付与して認定・普及を後押しする役割です。そのため、申し込みや契約、料金の問い合わせは、公式リストに掲載された各事業者に対して行います。IPAのマークは、そのサービスが制度の基準を満たしていることの目印になります。
出典・参考資料(1件)
Q. サイバーセキュリティお助け隊サービスの費用はいくらかかりますか?
A. サイバーセキュリティお助け隊サービスの費用は事業者ごとに異なりますが、基本となる1類には「ネットワーク監視は月額1万円(税抜き)以下」「端末監視は1台あたり月額2,000円(税抜き)以下」という制度上の価格基準が定められています。
初期費用にも上限の基準があり、実際の販売価格はこの基準の範囲で事業者ごとに決まります。費用を比べるときは、初期費用に月額12か月分を足した初年度費用でそろえると、事業者間の差を正しく把握できます。
出典・参考資料(1件)
Q. お助け隊サービスの1類と2類はどちらを選べばよいですか?
A. 専任担当がおらず基本の対策から始めたい中小企業は1類、監視機能の強化や定期的なコンサルティングまで求める中規模以上の中小企業は2類が向いています。
1類は安価なワンパッケージを重視した基本の類型で、2類は価格要件を緩和しつつ監視機能の強化や定期コンサルの実施を要件とした上位の類型として2024年に創設されました。まずは自社の体制と求める監視の水準で見当をつけ、候補を絞ると判断しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
Q. 専任のIT担当者がいない会社でもお助け隊サービスを使えますか?
A. はい、お助け隊サービスは専任のIT担当者がいない中小企業を主な対象に設計されています。異常の監視・困ったときの相談窓口・事案発生時の駆けつけ支援がパッケージに含まれ、監視や初動対応を事業者に任せられるため、社内に運用体制がなくても導入できます。何から手を付けるか分からない段階の企業が、まとめて対策を始めるための入口として使えます。
Q. お助け隊サービスを使うにはUTMやEDRを別途用意する必要がありますか?
A. いいえ、多くのお助け隊サービスではUTMやEDRなどの監視の仕組みがサービスに含まれており、別途買いそろえる必要はありません。ネットワーク監視型ではUTM機器をレンタルで設置する形が多く、端末監視型では従業員のパソコンに監視ソフトを導入します。どの仕組みが含まれ、どこまで機器のレンタルや設置支援が付くかは監視種別や事業者によって異なるため、契約前に各事業者のページで確認してください。
Q. お助け隊サービスを導入すればサイバー攻撃を完全に防げますか?
A. いいえ、お助け隊サービスを導入しても、サイバー攻撃を完全に防げるわけではありません。お助け隊サービスは異常の早期検知と、事案発生時の初動対応・被害の軽減に重きを置いた仕組みで、攻撃を100%遮断するものではありません。従業員への注意喚起、パスワードの適切な管理、ソフトの更新といった基本的な対策とあわせて運用することで、はじめて効果を発揮します。
Q. お助け隊サービスの費用に補助金は使えますか?
A. はい、お助け隊サービスの利用料は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」のセキュリティ対策推進枠の対象になり得ます。
補助の対象は、IPAが公表するお助け隊サービスリストに掲載されたサービスの利用料で、申請には情報セキュリティ対策の自己宣言「SECURITY ACTION」(★一つ星または★★二つ星)が必須要件です。補助額・補助率・公募の締切は年度や公募回によって変わるため、申請時は必ず最新の公募要領で確認してください。
出典・参考資料(2件)
Q. お助け隊サービス以外に中小企業が導入できるセキュリティ対策はありますか?
A. はい、守りたい対象によっては、お助け隊サービスの枠にとらわれず中小企業でも導入できる監視・検知サービスがあります。たとえば、ネットワーク全体の通信を可視化して脅威を調べるNDR、国産技術でリモートの脆弱性診断とバックアップをまとめて行うパッケージ、拠点に機器を置かず運用まで任せられるクラウド型UTMなどです。
お助け隊サービスの手軽さを入口にしつつ、自社が守りたい対象(拠点ネットワーク・端末・社外持ち出し)に合わせて、あわせて検討するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















