クラウドサービスやSaaSの利用が社内に広がるにつれ、「誰が・どのシステムに・どこまでアクセスできるのか」を把握しきれなくなる企業が増えています。退職した従業員のアカウントが残っていたり、必要以上の権限が付いたままだったりする状態は、情報漏えいや内部不正の入り口になります。
こうした状況を整えるのがアクセス管理です。ただ、導入や強化を検討し始めても「アクセス管理をすると、セキュリティの面で具体的に何が良くなるのか」を一言で説明するのは意外と難しいものです。導入や運用を判断するうえで、効果をはっきり言葉にできることが欠かせません。
本記事では、アクセス管理のセキュリティ上のメリットを具体的な項目に分けて整理します。あわせて、メリットを理解するための最小限の定義、なぜ今これが重要なのかという背景、導入時の注意点、そして実際の始め方までを解説します。自社でアクセス管理を進める際の検討材料としてご活用ください。
目次
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アクセス管理のセキュリティ上のメリット
アクセス管理に取り組むと、セキュリティの面で主に5つの効果が得られます。まずは「何が防げて、何が良くなるのか」を一覧で押さえましょう。それぞれの効果が、どの仕組みによって生まれるのかもあわせて示します。
1. 情報漏えい・不正アクセスを防ぐ
アクセスできる人とできる範囲を限定すれば、外部からの不正アクセスや情報の持ち出しを受けても被害が広がりにくくなります。本人確認を多要素認証で強化し、一人ひとりに必要最小限の権限だけを与える「最小権限」の運用が、この効果を支える中心的な仕組みです。
たとえば、ある従業員の端末が乗っ取られても、その人の権限の範囲外のデータには手が届かないため、被害を一部にとどめられます。
2. 内部不正・ヒューマンエラーを抑止する
誰がどの情報にアクセスしたかが記録されていれば、不正な操作は起こしにくくなり、万一のときも早期に把握できます。権限を業務上必要な範囲にとどめ、操作ログを残して監視することで、悪意のある持ち出しだけでなく、うっかりミスによる漏えいも減らせます。
たとえば、退職を控えた従業員が大量のファイルを持ち出そうとする動きも、ログを監視していれば異常として早期に気づけます。
3. 法令・セキュリティ基準に対応できる
個人データを扱う企業には、個人情報保護法にもとづく安全管理措置の一環として、アクセス制御と本人認証が求められます。クレジットカード情報を扱うならPCI DSS、情報セキュリティの第三者認証を取得するならISMS(ISO/IEC 27001)でも、アクセス管理は共通の要件です(具体的な条文・ガイドラインは後述します)。
4. 業務効率が上がる
IDを一元管理すれば、入社・異動・退職にともなうアカウントの発行や停止を手作業でひとつずつ行う必要がなくなります。シングルサインオン(1度の認証で複数サービスを使える仕組み)やアカウントの自動発行を使うことで、担当者の手間とパスワード管理の負担を同時に軽くできます。
たとえば、入社時に必要なアカウントをまとめて発行し、退職時に一括で停止できるため、サービスごとに手作業で設定する必要がなくなります。
5. ログ監査で証跡を残し、説明責任を果たせる
アクセスの記録が残っていれば、監査や取引先への説明の場で「誰が・いつ・何に触れたか」を証拠として示せます。問題が起きていないことの証明にも、起きたときの原因追跡にも役立ち、組織としての信頼性を高めます。
たとえば、取引先から情報管理の状況を問われた際も、アクセス権の設定と操作ログを示して客観的に説明できます。
立場別に見るアクセス管理のメリット
同じアクセス管理でも、社内の立場によって響く効果は異なります。社内で共有する際は、相手の関心に合わせて効果を言い換えると伝わりやすくなります。
- 経営層:情報漏えいという経営リスクを下げ、法令・基準への対応状況を対外的に説明できる状態をつくれます。
- 情報システム部門:アカウントの発行・停止やパスワード対応といった日々の運用負荷を減らせます。
- 内部統制・監査部門:アクセスの証跡が残り、権限付与の妥当性を点検できるため、内部統制の評価や監査対応に使えます。
そもそもアクセス管理とは
アクセス管理とは、社内システムやクラウドサービスに「誰が・何に・どこまでアクセスできるか」を定め、運用し、記録する一連の取り組みを指します。メリットを正しく理解するために、まずは土台となる考え方を押さえておきましょう。
認証・認可・監査(ログ)の3要素
アクセス管理は、次の3つの要素で成り立っています。この3つがそろって初めて、アクセスを安全に統制できます。

- 認証:アクセスしようとしている人が本人かどうかを確かめる仕組みです。IDとパスワードに加え、多要素認証などで確実性を高めます。
- 認可:本人確認ができた利用者に、どの情報・機能まで操作を許すかを決める仕組みです。業務に必要な範囲だけを許可します。
- 監査(ログ):誰が・いつ・何にアクセスしたかを記録し、後から確認できるようにする仕組みです。不正や異常の検知と証跡の保全を担います。
アクセス制御・IAM(ID管理)との違い
アクセス管理と似た言葉に「アクセス制御」と「IAM(ID管理)」があります。アクセス制御は、認可で定めたルールを実際にシステム上で適用する技術的な仕組みを指し、アクセス管理を構成する一部分にあたります。
IAM(Identity and Access Management、ID・アクセス管理)は、利用者のID情報そのものの管理と、アクセスの管理を統合してとらえる考え方です。実務ではほぼ同じ意味で使われることも多く、IDの発行から権限付与、認証、ログ管理までを一体で扱う枠組みと理解しておけば十分です。
なぜ今アクセス管理が重要なのか
アクセス管理のメリットが大きいと言える背景には、情報漏えいや内部不正の実態、働き方の変化、そして法令・基準の要求があります。ここでは、導入を判断する根拠にできる事実を出典とともに整理します。
情報漏えい・内部不正が組織の重大脅威になっている
情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、組織向けの脅威として内部不正が継続して上位に挙がっています。2025年版では、内部不正による情報漏えいが組織向け脅威の第4位に選ばれました。
[組織]向け脅威 第1位「ランサム攻撃による被害」/第4位「内部不正による情報漏えい等」/第10位「不注意による情報漏えい等」
出典:情報セキュリティ10大脅威 2025[組織]|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
漏えい事故そのものも増えています。東京商工リサーチの調査によると、2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は189件で、2012年の調査開始以降で過去最多となりました。
漏えいした個人情報は1,586万5,611人分にのぼり、原因別では「ウイルス感染・不正アクセス」が114件(構成比60.3%)と最も多くなっています。この調査は上場企業が対象のため中小・未上場企業は範囲に含まれませんが、外部からの不正アクセスが漏えいの主因であることを示しています。
外部からの攻撃も内部の不正も、結局はアクセスできる範囲を絞り、本人確認を強くすることが共通の防御策になります。アクセス管理は、この両方のリスクに同時に効く取り組みです。
クラウド・SaaSの普及で「誰が何にアクセスできるか」が崩れやすい
業務で使うクラウドサービスやSaaSが増えると、サービスごとにアカウントが分散し、管理が追いつかなくなります。入社・異動・退職のたびに複数サービスでアカウントを手作業で変更していると、設定漏れが生じやすく、退職者のアカウントや使われていない権限が放置されがちです。
情報システム部門の把握しないところで各部門が独自に契約する、いわゆるシャドーITも統制を難しくします。こうした「見えないアクセス」を可視化し、一元的に管理し直すことが、アクセス管理に取り組む現実的な動機になっています。
法令・ガイドラインが求めるアクセス管理
個人データを扱う企業は、個人情報保護法にもとづく安全管理措置を講じる義務があります。法律の条文自体は「必要かつ適切な措置」を求めるにとどまりますが、個人情報保護委員会のガイドラインが、その具体的な中身としてアクセス制御と認証を明記しています。
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)第23条は、「個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない」と定めています。この措置の具体的な内容を示すのが、次の通則ガイドライン別添です。
(1)アクセス制御
出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)別添「講ずべき安全管理措置の内容」10-6 技術的安全管理措置|個人情報保護委員会
担当者及び取り扱う個人情報データベース等の範囲を限定するために、適切なアクセス制御を行わなければならない。
(2)アクセス者の識別と認証
個人データを取り扱う情報システムを使用する従業者が正当なアクセス権を有する者であることを、識別した結果に基づき認証しなければならない。
このほか、クレジットカード会員データを保存・処理・伝送する事業者には、国際的なセキュリティ基準であるPCI DSSが適用され、アクセスを業務上の必要性に応じて制限することと、利用者の識別・認証が求められます。すべての企業に一律に及ぶ基準ではありませんが、カード情報を扱う場合は確認が必要です。
また、情報セキュリティマネジメントの第三者認証であるISMS(ISO/IEC 27001)でも、アクセス制御は管理策の一つとして位置づけられています。ISMSは法令ではなく任意の認証制度です。
出典・参考資料(3件)
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アクセス管理のデメリット・注意点
アクセス管理には多くのメリットがある一方で、運用面での注意点もあります。導入前に把握しておくと、つまずきを避けられます。
管理が複雑化し、運用の負荷が増える
利用するシステムや従業員が増えるほど、誰にどの権限を与えるかの設計と維持は複雑になります。権限の棚卸しや定期的な見直しを手作業で続けると、情報システム部門の負担が重くなりがちです。
設定ミスで正当なアクセスまで塞いでしまう
アクセス制限を厳しくしすぎると、業務に必要な操作までブロックしてしまい、現場の作業が止まることがあります。制限のルールを設定した後は、正当な利用者が支障なく使えるかを確認する運用が欠かせません。
これらの注意点は、権限を必要最小限にとどめ、定期的に見直し、できる範囲を自動化することで抑えられます。具体的な進め方は、次の「アクセス管理の始め方」で解説します。
アクセス管理の始め方(メリットを実際に得る手順)
アクセス管理のメリットは、正しい手順で運用して初めて得られます。ここでは、どこから手を付ければよいかを4つのステップで整理します。

STEP1. 権限の棚卸し・可視化(誰が何にアクセスできるか)
最初に行うべきは、現在どの従業員がどのシステム・情報にアクセスできるのかの洗い出しです。使われていないアカウント、退職者・異動者のまま残ったアカウント、業務に不要な権限がないかの確認が欠かせません。この可視化が、以降のすべての改善の出発点になります。
STEP2. 最小権限の原則を適用する
棚卸しの結果をもとに、一人ひとりへ業務上必要な最小限の権限だけを与えることが基本です。IPAの「組織における内部不正防止ガイドライン」も、権限を必要最小限にとどめることを求めています。
重要情報へのアクセス権限を付与すべき者を必要最小限とします。また、アクセス権限を持つ者に付与する権限を必要最小限とし、権限を付与する期間も必要な時期に限って行うこととします。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン 第5版|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
STEP3. 定期的な権限見直しと退職者・異動者アカウントの削除
権限は一度設定して終わりではありません。異動や退職にあわせて不要になったアカウントと権限は、速やかに削除する運用が必要です。同じくIPAのガイドラインは、異動・退職で不要になったIDとアクセス権を「ただちに削除」することを求めています。
…利用者 ID 及びアクセス権の登録・変更・削除等の設定について手順を定めて運用しなければならない。また、異動又は退職により不要となった利用者 ID 及びアクセス権は、ただちに削除しなければならない。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン 第5版 4-2-2 アクセス権指定|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
STEP4. アクセスログの監視・監査を設計する
誰が・いつ・何にアクセスしたかのログを記録し、定期的に確認する仕組みを整えることが求められます。異常なアクセスを早期に検知でき、問題が起きたときの原因追跡や、監査への証跡としても機能します。
メリットと実装手段の対応づけ
ここまでの手順と、冒頭に挙げたメリットは次のように対応しています。どの効果を優先したいかによって、先に着手する仕組みを選べます。
- 情報漏えい・不正アクセスの防止:多要素認証による認証強化と、最小権限によるアクセス範囲の限定
- 内部不正・ヒューマンエラーの抑止:権限の棚卸しと最小化、アクセスログの監視
- 業務効率の向上:IDの一元管理とシングルサインオン、アカウント発行・削除の自動化
- 証跡の保全・説明責任:アクセスログの記録と監査の設計
- 法令・基準への対応:最小権限・本人認証・ログ監査の運用が、個人情報保護法やISMSが求めるアクセス制御・認証の要件を満たす
これらの仕組みを手作業ですべて運用するのは大きな負担です。次章では、認証・アクセス制限・ID管理やアカウントの棚卸しをまとめて担うサービスを紹介します。
アクセス管理を支える仕組み・サービス
アクセス管理のメリットを効率よく得るには、認証・アクセス制限・ID管理を一元的に担うサービスの活用が現実的です。ここでは、代表的な2つのサービスを取り上げ、それぞれがどのメリットに効くかを紹介します。IDaaS(クラウド型のID基盤)の料金は製品や機能によって幅がありますが、本記事で取り上げる2サービスでは1ユーザーあたり月額300〜600円程度です(次の比較表を参照)。
以下はご紹介するサービスの比較表です。2つは役割が異なり、ID基盤とSaaS管理ツールを組み合わせて使う前提のサービスです。
| サービス名 | CloudGate UNO | マネーフォワード Admina |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド型ID基盤(IDaaS) | SaaS管理ツール(SaaS可視化・IT資産管理) |
| 主な機能 | シングルサインオン 多要素認証・パスワードレス認証 アクセス制限(IP・デバイス・時間帯ほか) ID管理(プロビジョニング) | SaaSアカウントの可視化・棚卸し IDライフサイクル管理 シャドーIT検知 IT資産管理(デバイス台帳) |
| 対応する主なメリット | 情報漏えい・不正アクセスの防止 最小権限によるアクセス範囲の限定 業務効率の向上 | 退職者アカウント放置の防止 権限・アカウントの棚卸し シャドーITの可視化 |
| 料金(月額) | 400円〜600円/ユーザー(税抜) ※別途初期費用あり | 50ID以下:無料 51ID以上:1IDあたり300円 |
| 無料トライアル | 30日間 | 14日間 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOは、シングルサインオン・多要素認証・アクセス制限・ID管理をひとつにまとめたクラウド型のID基盤(IDaaS)です。株式会社インターナショナルシステムリサーチが100%自社開発しており、認証からアクセスの制御までを同じ管理画面で扱えます。
認証面では、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証を全プラン・全ユーザーで制限なく利用できます。パスワードに頼らない認証はフィッシング攻撃に強く、情報漏えい・不正アクセスの防止に直結します。アクセス制限はIPアドレス・デバイス証明書・国や地域・時間帯・ブラウザといった複数の軸で設定でき、利用できる環境を細かく絞り込めます。
アカウントの作成・更新・削除を自動化するID管理機能も備え、入退社にともなう権限の付与・停止の手間を減らせます。料金はStandard Plusが1ユーザーあたり月額400円から(税抜)で、30日間の無料体験も用意されています。ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークを取得している点も、信頼性の判断材料になります(2026年11月時点の公式情報による)。
認証方式の切り替えが運用負荷にどれだけ効くかについて、同社は取材で具体的な事例を挙げています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。
2. マネーフォワード Admina(マネーフォワードi株式会社)

マネーフォワードi株式会社が提供するマネーフォワード Adminaは、社内で使われているSaaSのアカウントを可視化し、棚卸しと管理を効率化するSaaS管理ツールです。「誰が・どのSaaSを使っているか」を一覧化し、情報システム部門が把握できていなかったシャドーITの検知にも対応します。
とくに強みを発揮するのが、アカウントのライフサイクル管理です。従業員情報と連携してアカウントの発行から削除までを一貫して扱い、退職済みアカウントをアラートで示したうえで削除できます。退職者のアカウント放置という、情報漏えいにつながりやすい状態を防ぐのに役立ちます。
料金は50ID以下なら全機能を無料で利用でき、51ID以上は1IDあたり月額300円です。全企業を対象に2週間の無料トライアルも用意されています。セキュリティ内部統制の外部監査基準であるSOC 2 Type 2の報告書も受領しています(2026年11月時点の公式情報による)。
シングルサインオンや多要素認証そのものは提供しないため、ID基盤と組み合わせて使うと、アクセス管理をより広くカバーできます。
ここで取り上げたのは代表的な2サービスで、IDaaS(クラウド型のID基盤)には提供元や対応する認証方式・料金体系の異なる選択肢が数多くあります。自社に合うものを選ぶには、複数のサービスを機能・料金・選び方の観点で見比べるのが近道です。主要なIDaaSの比較や選定のポイント、導入事例は次の記事で詳しく解説しています。
まとめ
アクセス管理に取り組むメリットは、情報漏えい・不正アクセスの防止、内部不正・ヒューマンエラーの抑止、法令・基準への対応、業務効率の向上、そしてログ監査による説明責任の5つに整理できます。いずれも、認証の強化・最小権限・権限の棚卸し・ログ監視といった具体的な仕組みによって実現します。
まずは権限の棚卸しと可視化から始め、最小権限の適用、退職者アカウントの削除、ログ監視へと進めるのが基本の流れです。手作業での運用に限界を感じたら、認証やアクセス制限、アカウント管理を一元化するサービスの活用を検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. アクセス管理とアクセス制御の違いは何ですか?
A. アクセス管理が「誰が・何に・どこまでアクセスできるか」を定めて運用・記録する取り組み全体を指すのに対し、アクセス制御はそのルールをシステム上で実際に適用する技術的な仕組みを指します。
アクセス管理は認証・認可・監査(ログ)の3要素で成り立っており、アクセス制御はこのうち「認可」で定めたルールを執行する部分にあたります。アクセス制御はアクセス管理を構成する一要素だと理解すると整理しやすくなります。
Q. アクセス管理とIAM(ID管理)は何が違いますか?
A. アクセス管理とIAM(Identity and Access Management、ID・アクセス管理)は実務上ほぼ同じ意味で使われ、IAMは利用者のID情報そのものの管理とアクセスの管理を統合してとらえる枠組みです。
IDの発行から権限付与、認証、アクセスのログ管理までを一体で扱う考え方で、本記事で解説してきたアクセス管理とほぼ重なるものと理解すれば十分です。厳密に使い分ける場面は多くありません。
Q. 中小企業でもアクセス管理は必要ですか?
A. 中小企業でもアクセス管理は必要です。退職者アカウントの放置や過剰な権限の付与は、企業規模に関係なく情報漏えいや内部不正の入り口になります。個人データを扱う企業は規模を問わず個人情報保護法の安全管理措置の対象となる点も変わりません。大がかりなシステムをすぐ導入する必要はなく、まずは「誰がどのシステムにアクセスできるか」の棚卸しから小さく始められます。
Q. 特権アクセス管理(PAM)とは何ですか?
A. 特権アクセス管理(PAM)とは、システム管理者など特に強い権限を持つ「特権アカウント」に絞って、アクセスを管理・監視する取り組みです。特権アカウントは不正に使われたときの被害が大きいため、最小権限の徹底、必要な時期に限った一時的な権限付与、操作ログの重点的な監視などを適用します。アクセス管理全体の考え方を、リスクの高い特権アカウントに集中して適用した分野だと捉えると分かりやすくなります。
Q. アクセス管理は何から始めればよいですか?
A. アクセス管理は、まず「誰がどのシステム・情報にアクセスできるか」を洗い出す権限の棚卸しと可視化から始めるのが基本です。使われていないアカウントや退職者・異動者のまま残ったアカウント、業務に不要な権限を把握することが、以降のすべての改善の出発点になります。
そのうえで、最小権限の適用、不要アカウントの削除、アクセスログの監視へと進めます。手作業での運用に限界を感じたら、認証やアクセス制限、アカウント管理を一元化するIDaaSやSaaSアカウント管理ツールの活用を検討してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















