ネットワークカメラやセンサー、複合機、工場の制御機器といったIoT機器を業務に取り入れる企業が増えています。一方で、「セキュリティ対策にコストや手間をかける価値が本当にあるのか」「上司や他部署にどう説明すればよいのか」と迷ったまま、対策が後回しになっている担当者も少なくありません。
「IoTセキュリティは重要です」という言葉はよく目にします。ただ、取り組むと具体的に何を守れて、会社にとって何が得になるのかまで示されることは多くありません。得られるものがはっきりしなければ、投資の判断も社内の合意形成も進みにくいものです。
そこで本記事では、IoTセキュリティに取り組むと「守れる被害」と「得られる経営価値」が何かを対で整理し、裏返しとなるリスクと実際の被害事例、IoT機器がPCやサーバーより狙われやすい理由、そして自社が何から始めればよいかまでを順に解説します。社内で必要性を説明する材料としても使える形でまとめました。
目次
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IoTセキュリティに取り組むメリット|何を守れて、何が得られるのか
IoTセキュリティとは、ネットワークにつながる機器(ネットワークカメラ・各種センサー・複合機・工場の制御機器など)を、不正アクセスや乗っ取り、情報の盗み見から守る取り組みを指します。取り組むメリットは、突き詰めれば「防げる被害」と「その裏返しで得られる経営上の価値」の2つで説明できます。
まず、具体的に何を守れて何が得になるのかを整理すると、次のようになります。
| 守れる被害と得られる経営価値 | 機器の乗っ取り・他者攻撃への踏み台化を防ぐ | 情報・映像などプライバシー情報の漏えいを防ぐ | 通信の盗み見・改ざんを防ぐ | 機器の不正操作による物理・業務の停止を防ぐ |
|---|---|---|---|---|
| 得られる経営上の価値 | 自社の機器が知らぬ間に加害者側になり、取引停止や損害賠償に発展する事態を避けられる(事業継続・取引先の信頼維持) | 顧客情報や施設の映像が流出して信用を失う、報告や対応に追われる、といった損失を避けられる(顧客の信頼・ブランド維持) | やり取りするデータの抜き取りや書き換えを防ぎ、業務情報や取引の正確性を守れる(情報資産の保全) | 制御機器の誤作動や現場・工場の停止による売上損失や安全上の影響を避けられる(事業継続) |
守るべき被害は、業種や使う機器によって具体的に変わります。たとえば製造業なら工場の制御機器の停止、小売なら店舗カメラの映像流出、ビル管理ならスマートロックの不正解錠といった形で、自社の現場に置き換えて考えると必要性が見えやすくなります。
これらは「万一に備える保険」にとどまりません。IoTセキュリティは、事業を続けられるかどうかに関わる経営課題として位置づけられています。総務省・経済産業省がまとめた「IoTセキュリティガイドライン」も、対策を利用企業の経営課題として次のように示しています。
IoT のセキュリティ対策は、機器やシステムの開発企業のみならず、利用する企業にとっても存続にも関わる課題となっており、経営者がリスクを認識し経営者のリーダーシップで対策を推進する必要がある。
出典:IoTセキュリティガイドライン ver1.0|IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省
このように、IoTセキュリティに取り組むメリットは、「現場の手間が増えること」ではなく、事業継続・顧客や取引先からの信頼・コンプライアンス対応という、経営を支える土台を守ることにあります。投資の是非を判断する立場でも、社内に必要性を説明する立場でも、この「守れる被害とその先の経営価値」をセットで捉えると判断しやすくなります。
対策しないと何が起きるのか|IoTを狙う攻撃のリスクと実際の被害事例
メリットは、裏返せば「対策しないと失うもの」でもあります。ここからは、IoT機器を狙う攻撃にどんなものがあり、実際にどのような被害が起きてきたのかを見ていきます。
IoTを狙う主な攻撃とリスク
IoT機器に対する攻撃は、大きく4つのリスクに整理できます。1つ目は機器の乗っ取りと踏み台化です。弱い設定のまま放置された機器がマルウェアに感染し、大量の機器が束ねられて他社サイトへの大規模なDDoS攻撃(一斉にアクセスを集中させてサービスを止める攻撃)の発射台にされます。自社が被害者であると同時に、知らぬ間に加害者になる点が深刻です。
2つ目は情報やプライバシー情報の漏えいです。ネットワークカメラの映像や、機器が扱う業務データが外部から見られる状態になり、顧客や従業員のプライバシーが損なわれます。3つ目は通信の盗み見や改ざんで、暗号化されていない通信が傍受され、やり取りされるデータが抜き取られたり書き換えられたりします。
4つ目は物理的なシステムへの不正操作と業務停止です。工場の制御機器やスマートロックが不正に操作されると、製造ラインの停止や施錠・解錠の無効化など、現実世界の安全や事業継続に直結する被害につながります。これら4つのリスクは、記事冒頭のメリット表で挙げた「守れる被害」と1対1で対応します。対策とは、こうした被害を未然に防ぐ取り組みにほかなりません。
実際の被害事例
リスクは抽象論ではなく、実際に大きな被害として表れてきました。代表的な3つの事例を紹介します。
大規模ボットネット「Mirai」による踏み台化
2016年、マルウェア「Mirai」に感染したIoT機器が大量に束ねられ、世界規模のDDoS攻撃に悪用されました。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の資料によると、2016年9月にセキュリティ専門家のブログが約620Gbpsの攻撃を受けました。同月には、ホスティング事業者のOVHが14万5千台以上のIoT機器からピーク時1Tbpsを超える攻撃を観測したと報告されています。同年10月にはDNSサービス事業者が攻撃を受け、複数の有名サービスに影響が及びました。
注目すべきは感染の原因です。IPAの資料は、感染した機器の多くが「ユーザ名、パスワードが初期値のまま動作していた」ことを挙げています。出荷時のままの設定を変えていなかった機器が、踏み台として束ねられてしまったのです。これは後述する「初期設定の見直し」という基本的な対策が、そのまま被害の予防につながることを示しています。
ネットワークカメラの映像流出
ネットワークカメラの設定が適切でないと、その映像が無関係の第三者に見られてしまうことがあります。前出のIoTセキュリティガイドラインは、過去の事例として次のように記しています。
適切なセキュリティ対策を施していない世界中の Web カメラ(カフェ、店舗、モール、工場、寝室等73,000台分)の映像を供給者や利用者に無断で公開できてしまうことが明らかになった。
出典:IoTセキュリティガイドライン ver1.0|IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省
店舗や工場、さらには寝室まで、本来は限られた人だけが見るべき映像が7万台規模で公開可能な状態になっていたという事実は、カメラ1台の設定が企業や個人の信頼に直結することを示しています。
スマートロックの脆弱性による不正解錠
扉の施錠・解錠をスマートフォンで行うスマートロックも、通信の作り込みが甘いと狙われます。セキュリティ企業のF-Secureは2019年12月、あるスマートロック製品について、スマートフォンと錠の間の無線通信を傍受することで鍵を割り出し、近距離から解錠・施錠できる脆弱性を報告しました。ファームウェアの更新機能がなく修正が難しいとも指摘されています。
物理的な鍵の役割をIoT機器が担うほど、その機器の弱点はそのまま侵入経路になります。「ネットワークの先の話」ではなく、現実の出入口の安全に関わる問題だという点が、IoTセキュリティの特徴です。
出典・参考資料(1件)
なぜIoT機器はPCやサーバーより狙われやすいのか
同じネットワーク機器でも、PCやサーバーに比べてIoT機器が狙われやすいのには理由があります。IoTセキュリティガイドラインは、IoTならではの性質を次の6つに整理しています。
出典:IoTセキュリティガイドライン ver1.0|IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省
- (性質1)脅威の影響範囲・影響度合いが大きいこと
- (性質2)IoT 機器のライフサイクルが長いこと
- (性質3)IoT 機器に対する監視が行き届きにくいこと
- (性質4)IoT 機器側とネットワーク側の環境や特性の相互理解が不十分であること
- (性質5)IoT 機器の機能・性能が限られていること
- (性質6)開発者が想定していなかった接続が行われる可能性があること
とくに実務で効いてくるのが、寿命が長く更新が後回しになりやすい点(性質2)です。同ガイドラインは、工場の制御機器などには10年〜20年と長く使われるものが多く、導入時のセキュリティ対策が時間とともに古くなり、不十分なままネットワークにつながり続けると指摘しています。PCのように数年で入れ替わらないぶん、弱点が長く残りやすいのです。
加えて、IoT機器の多くは画面がなく人の目による監視が届きにくいこと(性質3)、センサーなどは性能に限りがあり暗号などの対策を適用しにくいこと(性質5)も重なります。管理されていない機器が勝手につながって感染していても気づきにくく、台数が多いぶん影響も広がりやすい。これが「PCと同じ感覚では守りきれない」理由です。
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自社は何から始める?IoTセキュリティ対策の進め方
ここからは、具体的に何から着手すればよいかを整理します。IoTセキュリティガイドラインは対策を「方針・分析・設計・構築/接続・運用/保守」の5つの段階(指針)で示しています。ただし、この指針は企業に一律の実施を義務づけるものではなく、自社が守るべきものとリスクの大きさに応じて取り組みを選ぶことが期待されています。背伸びせず、できるところから始めて構いません。
最初の一歩は、経営としての方針を決めること(指針1「方針」)です。セキュリティを後付けではなく最初から考える「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を土台に、誰が責任を持ち、どこまで守るかの基本方針を示します。ただし指針3「設計」は主に機器を開発・提供する側に向けた指針のため、機器を使う企業が実務で動かす観点では、分析・構築/接続・運用にあたる次の4段階に絞って整理します。

まず現状把握|IoT機器の棚卸しと見える化
最初に行うのは、自社にどんなIoT機器がいくつあり、どこにつながっているかを洗い出すことです(指針2「分析」)。何がネットワークにつながっているか分からなければ、守りようがありません。ネットワークカメラ・複合機・センサー・制御機器などを一覧にし、守るべきものと想定されるリスクを把握することから始めるのが基本です。
機器側の守り|初期設定の見直し・認証強化・ファームウェア更新
次に、機器そのものの守りを固めます。Mirai の事例が示したとおり、初期パスワードの放置は乗っ取りの入口になります。出荷時のまま使わず、推測されにくいパスワードへ変更し、不要なサービスやポートを止めることが基本です(指針4「構築・接続」の要点15・16)。
この初期パスワードの放置は、特別な環境に限った話ではありません。社内ネットワークの内部をリモートで診断している株式会社SYNCHROの北口氏は、現場で見つかる典型例として複合機を挙げています。

工場出荷時の初期パスワードのまま使われているお客様がほとんどでして、大手メーカーの初期IDパスワードはインターネットで検索すればすぐ出てきてしまいます。そのままにしておくと、万が一ウイルスが内部に入り込んだ際に、簡単に遠隔操作で乗っ取られてしまうリスクがあります。
あわせて、見つかった弱点をふさぐためのファームウェア更新も欠かせません(指針5「運用・保守」の要点17)。ただしガイドラインは、常に最新へ更新せよという趣旨ではなく、セキュリティ上重要な更新を適切に行って安全な状態を保つことを勧めています。すべてを一度に完璧にするのではなく、重要な更新を着実に回す考え方です。
とはいえ、自社の機器にどんな弱点が残っていて、どこから直せばよいかの見極めは難しいものです。IoT機器で狙われやすい脆弱性のタイプや、自社機器の危険度を確認する手順、何を優先してふさぐべきかは、次の記事で具体的に整理しています。
ネットワーク側の守り|通信の暗号化・ネットワーク分離
機器単体に加えて、通信経路の守りも重要です(指針4「構築・接続」の要点14)。同ガイドラインは、通信の暗号化について次のように示しています。
有線接続では TLS、無線接続では WPA2 等のネットワーク暗号化を適用する
出典:IoTセキュリティガイドライン ver1.0|IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省
通信を暗号化すれば、盗み見や改ざんのリスクを下げられます。さらに、IoT機器を基幹システムと同じネットワークに置かず、用途ごとにネットワークを分けておくと、万一1台が感染しても被害が全体に広がりにくくなります。
運用で続ける|監視体制と定期的な見直し
対策は一度やって終わりではありません(指針5「運用・保守」)。新しい弱点は日々生まれるため、異常を早く見つける監視と、定期的な点検・見直しを続ける体制が求められます。とはいえ、専任の担当者を置けない企業では、ここが最もつまずきやすいところです。次章では、自社だけで抱えきれない部分を外部に任せる選択肢を紹介します。
自社だけで判断しづらい部分は外部の診断・製品に任せる
ここまでの対策を自社だけで判断・実行するのは、専任の担当者がいない企業ほど難しいものです。とくに「自社の機器に弱点が残っていないか」「社内ネットワークに不審な通信が紛れていないか」は、外から客観的に診てもらうほうが確実です。こうした部分は、脆弱性診断や通信分析のサービスに任せるという選択肢があります。
ここでは、IoT機器を含む社内の弱点診断や、ネットワーク内部の通信分析を依頼できるサービスを紹介します。それぞれ診断の対象や進め方が異なるため、自社の状況に合うものを選ぶ手がかりにしてください。
| サービス名 | セキュア・レントゲン | Hi AUDIT | KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ |
|---|---|---|---|
| 診断対象 | 社内ネットワークを流れる通信全体 (IT・OT環境。機器単体でなく通信を診る) | Webアプリ・IoT機器・医療機器など幅広い対象 (TECHFUND申告。主力はWeb3スマートコントラクト監査で、IoT単体特化ではない) | 社内ネットワーク内部の機器 (サーバー・ネットワーク機器・複合機・PC・OT機器など) |
| 診断方式 | 通信をフルパケットで記録し専門アナリストが分析 (ネットワークリスク診断) | ツールによる自動診断と専門家の手動診断を 組み合わせたハイブリッド診断 | 独自のステルス回線でリモートから内部診断 (アプライアンス設置+伴走) |
| 進め方・期間 | 機器を約2週間設置して通信取得→分析→ レポートと報告会(全体で最短1カ月) | 対象の規模・複雑性に応じて変動 (レポート提出後も修正完了まで並走) | 最短2週間で開始・設置10分 月次(年12回)で継続診断し毎月の相談会で伴走 |
| 費用の出し方 | 要お問い合わせ (分析手法・トラフィック量・設置台数で変動するスポット型) | 要お問い合わせ (対象・範囲に応じた個別見積もり) | 月額1台1,250円〜 (ノード数と診断頻度で変動。100ノード以下は年額90万〜150万円) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※ 料金・仕様は2026年11月時点の各社公開情報にもとづきます。最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。
1. セキュア・レントゲン(株式会社クワッドマイナージャパン)

セキュア・レントゲンは、社内ネットワークに実際に流れている通信を丸ごと記録し、専門のアナリストが分析してリスクを洗い出すネットワークリスク診断サービスです。提供元のクワッドマイナージャパンは、これを「ネットワークの人間ドック」と表現しています。自覚症状のないうちに、潜んでいる脅威や弱点を外部の目で見つけるという位置づけです。
診断は、機器を2週間ほど設置して通信を取得し、その後にアナリストが分析してレポートと報告会で結果を伝える流れが基本です。利用企業側の作業は、通信を複製して取り出すミラーリングの設定だけで、この方式のため万一障害が起きてもネットワーク本体に影響しません。
工場などのOT(制御・運用技術)環境を含めて診断でき、「何から手を付けるか」を決めるために現状を客観的に把握したい場合に向いています。料金は分析手法やトラフィック量によって変わるため、個別の見積もりとなります。
こうした客観的な診断を求める動きについて、提供元のクワッドマイナージャパンの白垣氏は次のように話しています。

実際に「今すでに社内にランサムウェアが存在している可能性がないか、それを見てほしい」という緊急のチェックとしてご依頼いただいたこともあります。そのときは幸い問題ありませんでしたが、もし侵入されていたら、重大な被害につながりかねないリスクが見つかりました。既存の防御を過信せず、一度客観的に診断したいというニーズが確実に増えていると感じます。
2. Hi AUDIT(株式会社TECHFUND)

Hi AUDITは、株式会社TECHFUNDが提供するセキュリティ診断サービスです。Webサービスやアプリケーションに加え、IoT機器や医療機器といったハードウェアのセキュリティ上の弱点を洗い出す診断にも対応するとしています(TECHFUNDの説明)。ただし同社の主力はWeb3のスマートコントラクト監査で、IoT機器の単体診断に特化したサービスではない点は押さえておきましょう。
ツールによる自動診断と専門家による手動診断を組み合わせ、弱点を見つけて終わりにせず修正まで並走する点を特徴に挙げています。
見つかった問題について、「悪用されると何が起きるか」という攻撃シナリオと事業への影響まで整理して説明する方針をとっており、何から直すべきか分かりにくいという課題に応えようとしています。IoT機器だけでなくWebアプリなど複数の対象をまとめて外部の専門家に見てもらいたい場合の選択肢です。料金は対象や範囲に応じた個別見積もりです。
3. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

社内ネットワークの内部を、現地に出向かずリモートから月次で診断できるのがKATABAMI(株式会社SYNCHROが提供する国産のセキュリティ対策パッケージ)です。独自のステルス回線技術を使い、サーバー・ネットワーク機器・複合機・PC・OT機器などを対象にします。従来は専門家が現地へ出向く必要があり年1回程度が一般的だった内部診断を、場所や立ち会いの手間をかけずに継続できる点が特徴です。
診断では、複合機が初期パスワードのまま使われている、管理者権限に簡単にログインできてしまうといった具体的な弱点を洗い出し、直し方まで説明して自社で対応できるよう伴走します。
脆弱性診断(予防)に加え、隔離経路へのバックアップ(復旧)とサイバー保険(補償)を束ねている点も、専任のセキュリティ人材を置けない企業にとって検討しやすい設計です。最短2週間・設置10分で始められ、料金は1台あたり月額1,250円からとされています。
また、IoT機器の診断に限らず、社内のセキュリティを「何を守るか」の対象別に見渡したうえで、自社に合うタイプや代表的なサービスを比べたい場合は、次のまとめ記事が全体像をつかむ手がかりになります。
まとめ
IoTセキュリティに取り組むメリットは、乗っ取りや情報漏えいといった被害を防ぎ、事業継続・信頼・コンプライアンス対応という経営の土台を守れる点にあります。本記事で見た被害事例が示すとおり、弱い設定の放置はそのまま大きな損失につながります。
まずは自社のIoT機器を棚卸しし、初期設定の見直しや通信の暗号化といった基本から着手するのが第一歩です。そのうえで、自社だけでは判断しづらい弱点の洗い出しは、外部の診断サービスに任せるのが近道になります。各サービスの資料を取り寄せ、自社の機器や環境に合う選択肢を比べるところから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. IoTセキュリティとは何ですか?
A. IoTセキュリティとは、ネットワークにつながる機器(ネットワークカメラ・センサー・複合機・工場の制御機器など)を、不正アクセスや乗っ取り、情報の盗み見から守る取り組みです。パソコンやサーバーだけでなく、業務で使うあらゆる「つながる機器」を保護の対象に含める点が特徴で、機器そのものの設定・通信経路・運用体制の3方向から守ります。
Q. IoTセキュリティに取り組むメリットは何ですか?
A. IoTセキュリティに取り組むメリットは、機器の乗っ取り・踏み台化・情報漏えい・物理的な被害を防ぎ、その裏返しとして事業継続・顧客や取引先からの信頼・コンプライアンス対応という経営の土台を守れることです。
単なる「万一の保険」ではなく、総務省・経済産業省のIoTセキュリティガイドラインでも企業の存続に関わる経営課題と位置づけられています。社内で必要性を説明するときは、「守れる被害」と「その先の経営価値」をセットで示すと伝わりやすくなります。
Q. IoTセキュリティは従来のITセキュリティ(PC・サーバーの対策)と何が違うのですか?
A. IoTセキュリティは、台数が多く画面のない機器が対象で人の目が届きにくいうえ、10〜20年と寿命が長く更新が後回しになりやすい点が、PC・サーバー中心の従来対策と大きく異なります。IoTセキュリティガイドラインは、こうしたIoT特有の性質から導入時のまま古い設定が残りやすいと指摘しており、PCと同じ感覚のウイルス対策だけでは守りきれません。
Q. 社内ネットワークのセキュリティ対策をしていれば、IoTセキュリティは別に必要ないのではないですか?
A. 社内ネットワーク全体の対策をしていても、IoT機器そのものの設定(初期パスワードの放置など)に弱点があれば、そこが侵入や乗っ取りの入口になるため、IoTセキュリティは別に必要です。実際に大規模な被害を出したMiraiは、初期設定のまま使われていた機器が原因でした。ネットワーク側の守りと機器側の守りは役割が異なり、どちらか一方では不十分です。
Q. IoTセキュリティ対策は何から始めればよいですか?
A. IoTセキュリティ対策は、まず自社にどんなIoT機器がいくつあり、どこにつながっているかを洗い出す「棚卸し」から始めるのが基本です。何がつながっているか分からなければ守りようがないため、機器を一覧化して守るべきものとリスクを把握し、そのうえで初期パスワードの変更・通信の暗号化・ネットワーク分離・更新管理へと進めます。完璧を目指さず、できるところから着手して構いません。
Q. IoTセキュリティ対策でやりがちな失敗はありますか?
A. IoTセキュリティで最も多い失敗は、機器を出荷時の初期パスワード・初期設定のまま使い続けてしまうことです。大きな被害を出したMiraiも、ユーザー名やパスワードが初期値のまま動いていた機器が踏み台にされました。ほかにも、不要なポートやサービスを開けたまま放置する、ファームウェアの更新を行わない、といった基本の抜けが被害につながりやすい点に注意が必要です。
Q. IoTセキュリティ対策にはどれくらいの費用がかかりますか?
A. IoTセキュリティの費用は、初期設定の見直しのように社内で無料でできるものから、外部の診断・製品を使う場合の有償サービスまで幅があります。たとえば本記事で紹介した内部診断サービスには1台あたり月額1,250円からのものもありますが、診断の対象範囲やトラフィック量によって個別見積もりになるケースが多いため、まずは資料を取り寄せて自社の規模に合う費用感を確認するのが確実です。
Q. 中小企業でもIoTセキュリティ対策は必要ですか?
A. 中小企業でもIoTセキュリティ対策は必要で、むしろ専任の担当者を置けない企業ほど機器が初期設定のまま放置されやすく、狙われるリスクが高まります。攻撃者は企業の規模を選ばず、弱い設定の機器を自動的に探して踏み台にします。大企業かどうかに関わらず、ネットワークカメラやセンサーなどを業務で使っているなら対象になると考えるのが安全です。
Q. IoTセキュリティの専任担当者がいなくても対策できますか?
A. 専任担当者がいなくても、自社だけでは判断しづらい「弱点が残っていないか」「不審な通信がないか」といった部分を、外部の脆弱性診断や通信分析サービスに任せることで対策を進められます。基本的な初期設定の見直しは社内で行い、客観的な診断や継続的な監視は外部に委ねるという役割分担にすると、少人数の体制でも無理なく運用できます。
Q. IoTセキュリティ対策は法律で義務づけられていますか?
A. IoTセキュリティ対策は、一律に法律で義務づけられているわけではなく、総務省・経済産業省のIoTセキュリティガイドラインも、自社が守るべきものとリスクの大きさに応じて取り組みを選ぶことを期待する「推奨」の位置づけです。ただし、取引先や公的ガイドラインが期待する水準を満たすことは取引継続や説明責任の材料になるため、義務でなくても取り組む経営上の意味は大きいといえます。
Q. とくに狙われやすいIoT機器はありますか?
A. とくに狙われやすいのは、ネットワークカメラや複合機、工場の制御機器、スマートロックなど、初期設定のまま使われていたり、長期間更新されずにネットワークにつながり続けている機器です。過去にはネットワークカメラの映像が約7万台規模で第三者に見られる状態になった事例や、スマートロックの通信を傍受して解錠できる脆弱性の報告もあり、身近な機器ほど設定の甘さがそのまま被害につながります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















