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SOCとCSIRTの違いとは?役割・動くタイミング・自社に必要な体制の選び方を解説

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サイバー攻撃やランサムウェアの被害が報じられる機会が増え、「自社のセキュリティ体制を見直すように」と指示を受けた情報システム・セキュリティ担当の方は少なくありません。そうして調べ始めると、ほとんどの解説で「SOC」と「CSIRT」という2つの言葉が並んで出てきます。

どちらもインシデントに備えるための仕組みですが、担う役割も、動くタイミングも、必要な人材も異なります。両者の輪郭が混ざったままだと、「自社に必要なのはどちらなのか」「両方そろえるべきなのか」を判断できません。

本記事では、SOCとCSIRTの違いを対比で整理したうえで、両者がどう連携するのか、外部委託の受け皿となるMDRとは何が違うのか、自社の規模やリソースに合わせてどう体制を組めばよいのかを順に解説します。用語の整理から、自社の体制づくりの判断までを一度に進められます。

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SOCとCSIRTの違いを結論から

先に結論をまとめると、SOCは脅威を「検知・分析」する技術部隊、CSIRTはインシデント発生後の「対応・指揮」を担う組織横断のチームです。SOCが24時間365日ネットワークやログを監視して異常の兆候を見つけ、CSIRTがその知らせを受けて初動対応から復旧、再発防止までをかじ取りする、という役割分担が基本線になります。

両者は「いつ動くか」「何をするか」「誰が担うか」で性格が分かれます。まずは次の対比表で全体像をつかんでください。

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比較項目主な目的動くタイミング主な業務必要なスキル・人材設置形態
SOC脅威の早期検知と分析平常時(24時間365日の常時監視)から検知までログ・通信の監視、アラートの分析、脅威の検知ログやマルウェアの解析、監視運用の技術力自社運用(プライベートSOC)も外部委託(SOCサービス・MDR)も一般的
CSIRT被害の最小化・復旧と再発防止インシデント発生後(有事)が中心。平時は予防・訓練も初動対応、被害調査、関係部門・経営層との調整、復旧の指揮インシデント対応に加え、法務・広報・経営を巻き込む調整力組織横断の社内チームが基本。高度な部分を外部へ委託

SOCが「監視して気づく」役割、CSIRTが「気づいた後に動かす」役割、と押さえると混同しにくくなります。ここからは、それぞれの定義を公的な整理にもとづいて確認していきます。

SOCとCSIRTとは?それぞれの役割を定義で押さえる

ここからは、SOCとCSIRTそれぞれの役割を、業界団体や公的機関の定義で裏づけながら確認します。両者はもともと公的に区分されてきた役割です。

SOCとは(監視・検知・分析を担う技術部隊)

SOC(ソック:Security Operation Center)は、ネットワークやサーバー、端末から集めたログや通信を常時監視し、サイバー攻撃の兆候を検知・分析する組織です。多くは24時間365日体制で監視を続け、アラートの中から本当に危険な事象を見極めて、インシデントの疑いがあればCSIRTなどの対応部隊へ引き継ぎます。

セキュリティ対応組織の役割を体系化した業界団体のISOG-J(日本セキュリティオペレーション事業者協議会)は、SOCを次のように位置づけています。

「運用」では、導入された仕組みの定常的な実行と維持を行う。おおむね平常時の営みがこれにあたる。インシデント検知のための分析や、セキュリティ対応システムの監視やメンテナンスなどを行う。このような分析運用を行う組織は SOC と呼ばれることが多い。

出典:セキュリティ対応組織(SOC/CSIRT)の教科書 ~X.1060 フレームワークの活用~ 第3.1版|ISOG-J(日本セキュリティオペレーション事業者協議会)

SOCの軸足は「平常時の監視・検知のための分析」にあります。警備室で監視カメラの映像を見張る警備員にたとえられることもありますが、本質は、膨大なログや通信の中から攻撃の兆候を拾い上げる分析力にあります。

CSIRTとは(発生後の対応・指揮を担う組織横断チーム)

CSIRT(シーサート:Computer Security Incident Response Team)は、インシデントが起きたときに対応をかじ取りするチームです。JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は、CSIRTを次のように定義しています。

CSIRT(シーサート: Computer Security Incident Response Team) とは、組織内の情報セキュリティ問題を専門に扱う、インシデント対応チームです。

出典:CSIRTマテリアル|JPCERTコーディネーションセンター

ポイントは「組織内の情報セキュリティ問題を組織全体の視点から扱う」という性格です。技術的な封じ込めだけでなく、被害範囲の調査、経営層・法務・広報との連携、顧客や監督官庁への報告といった、部門をまたぐ調整までを担います。SOCが技術の部隊であるのに対し、CSIRTは組織を動かす役割だと整理できます。

CSIRTの仕事はインシデント発生時だけではありません。業界団体ISOG-Jは、JPCERT/CCがまとめたCSIRTの活動を整理し、インシデント発生時の中心業務は1つで、平常時に行う業務のほうが多いと指摘しています。脆弱性への対応(パッチ適用など)、事象の分析、普及啓発、注意喚起、予行演習といった平時の備えがそれにあたります。

出典・参考資料(1件)

個人データの漏えいが起きた場合、個人情報取扱事業者は個人情報保護委員会への報告義務を負い、速報は「速やかに」、確報は原則30日以内(一定の場合は60日以内)と定められています。こうした報告や対外調整の指揮もCSIRTが担う領域です。

出典・参考資料(1件)

ここで触れた初動対応や報告は、実際にインシデントが起きると「何から手をつけ、どの順で進め、誰にいつまでに報告するか」が被害の大きさを左右します。CSIRTが担うこの動き方を手順として確認したい場合は、次の記事で初動からやってはいけないこと・報告義務までを整理しています。

SOCとCSIRTはどう連携するか(片方だけだと困る理由)

ここからは、SOCとCSIRTが実際のインシデント対応でどう連携するのかを見ていきます。両者は役割が分かれているからこそ、つなぎ合わせて初めて力を発揮します。

典型的な流れは次のようになります。

SOCとCSIRTの連携フローの図解。STEP1 検知(SOC)が常時監視で異常を見つけ脅威かを分析、STEP2 報告・エスカレーションでSOCからCSIRTへ事象を引き継ぎ、STEP3 対応・復旧(CSIRT)が影響範囲の調査と封じ込めを指揮して復旧を進め、STEP4 再発防止で原因を分析し監視ルールや運用を見直す。見直した内容は再びSOCの監視設計に反映され、検知から対応・復旧、再発防止が一巡してつながる。
  1. 検知(SOC):常時監視の中で不審な通信やログの異常を見つけ、脅威かどうかを分析する
  2. 報告・エスカレーション:インシデントの疑いが固まった事象をCSIRTへ引き継ぐ
  3. 対応・復旧(CSIRT):影響範囲を調査し、端末の隔離や通信遮断などの封じ込めを指揮。関係部門・経営層と連携して復旧を進める
  4. 再発防止:原因を分析し、監視ルールや運用の見直しにつなげる。ここで再びSOCの監視設計に反映される

業界団体ISOG-Jも、日本における両者の関係を次のように説明しています。

日本においては、インシデント対応の主体を CSIRT とした場合に、そのインシデントの発生を検知するためのセキュリティログ監視や、インシデント発生後の深掘分析(レスキューサービスあるいは緊急対応サービスと呼ばれる)を行う組織を SOC と呼称することが多い。

出典:セキュリティ対応組織(SOC/CSIRT)の教科書 第3.1版|ISOG-J

この連携が欠けると、どちらか一方だけでは穴が残ります。SOCだけを整えて監視を強化しても、異常を検知した後に誰が意思決定し、どの順で封じ込めるかが決まっていなければ、初動が遅れて被害が広がります。逆にCSIRTだけを置いても、攻撃の兆候を日常的に検知する監視の目がなければ、そもそもインシデントの発生に気づけません。

監視を外部に委託する場合は、この連携の設計が特に重要になります。外部のSOCは自社のシステム構成や業務の文脈を社内の担当者ほど把握しているわけではないため、検知した事象を社内のCSIRTが受け止め、自社の状況に照らして判断する体制が前提になります。どこまでを外部に任せ、どこからを社内で判断するのか、業務の線引きを契約段階で明確にしておくことが欠かせません。

SOC・CSIRT・MDRの違いを整理する

SOCとCSIRTの違いを押さえると、次に気になるのが「MDR」という言葉です。外部委託を検討すると必ず出てくる用語なので、ここで3者の関係を整理しておきます。

MDR(Managed Detection and Response)は、外部の専門事業者が脅威の検知から対応・復旧の初動までを代行するサービスです。

従来の外部委託型SOC(SOCサービス、MSS〈Managed Security Service〉とも呼ばれます)が「検知してアラートを通知するところまで」を担うのに対し、MDRは「検知した脅威への対応・復旧アクションまで」踏み込む点が特徴です。

MDRは、SOCの監視機能に、CSIRTが担うような対応の一部を加えた外部サービス、と捉えると理解しやすくなります。

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比較項目担う範囲立ち位置主な提供形態
SOC検知・分析(通知まで)監視を担う技術部隊自社運用も外部委託も一般的
CSIRT発生後の対応・指揮と組織調整組織横断で対応・指揮を担うチーム社内の組織横断チームが基本
MDR検知から対応・復旧の初動アクションまでSOCの監視に対応を加えた外部サービス外部の専門事業者によるサービス

MDRを使えばCSIRTが不要になるわけではありません。対外的な報告や経営判断、業務復旧の意思決定は自社に残るため、外部サービスを使う場合でも、その窓口となり社内の判断を担うCSIRT機能は必要になります。

同じMDRでも、通知までを担うのか封じ込めや復旧の初動まで踏み込むのか、課金の単位はどうかはサービスごとに差があります。実際のMDRサービスを代行範囲や24時間監視の中身で見比べたい場合は、次の記事で国内のサービスを比較しています。

自社に必要なのはどちら?体制パターンと選び方

ここからは、「自社はどちらを、どう用意すればよいか」を考えていきます。SOCとCSIRTは対立する選択肢ではなく、最終的には両方の機能がそろっている状態が理想です。ただし一度にすべてを整えるのは負担が大きいため、自社の状況に応じた進め方があります。

体制パターン3つ(CSIRT先行型/SOC外注型/両方構築型)

体制の整え方は、大きく次の3パターンに分かれます。

  • CSIRT先行型:まず社内にインシデント対応の責任者と連絡体制、対応手順を定めるところから始める。監視は既存のツールや最小限の運用で補い、小さく立ち上げたい企業に向く
  • SOC外注型:24時間監視の負担が大きいSOC機能を外部のSOCサービスやMDRに委託し、社内は受け取った知らせに対応するCSIRT機能に集中する。専任の監視要員を置きにくい企業に現実的な選択肢
  • 両方構築型:SOCとCSIRTを自社で構築し、連携させて運用する。扱う情報の重要度が高く、セキュリティに投資できる体力のある企業が目指す形

専任のセキュリティ担当を置けない規模であれば、まずCSIRT先行型かSOC外注型から着手し、監視は外部に任せて必要に応じて範囲を広げるのが無理のない進め方です。自社の規模・リソースと、守るべき情報の重要度を照らして、どこから始めるかを決めるとよいでしょう。

規模・リソース別:内製か外部委託かの選び方

内製と外部委託のどちらを選ぶかは、機能ごとに分けて考えると整理しやすくなります。

SOC(監視)は外部委託が現実的な場合が多いです。24時間365日の監視には交代要員が必要で、ログやマルウェアを分析できる専門人材の確保も難しいため、自社ですべてをまかなうのは中堅・中小企業には負担が大きくなります。SOCサービスやMDRを使えば、専門人材と監視の仕組みを自社で抱えずに監視体制を持てます。

一方でCSIRT(対応・指揮)は社内に機能を持つことが基本です。被害が起きたときの意思決定、業務の復旧順序の判断、経営層や取引先・監督官庁への報告は、自社の事情を理解した社内のメンバーでなければ担えません。専任チームを置けない場合でも、情報システム部門や管理部門の担当者が兼任する形で、インシデント時の責任者と連絡体制を決めておくことが出発点になります。

ただし、SOCとCSIRTの境界は組織の規模やレベルによって多様化しています。業界団体ISOG-Jも、外部SOCが対応支援まで範囲を広げたり、社内CSIRTが分析機能やプライベートSOCを持ったりと、両者の線引きが一様でなくなってきていると指摘しています。自社の体制を設計するときは、どの機能を、どこまで内製し、どこから委託するかを機能単位で切り分けて考えることが大切です。

出典・参考資料(1件)

SOC・CSIRT立ち上げの勘どころ

体制の方向性が見えたら、立ち上げの進め方を押さえておきましょう。詳細な手順書ではなく、つまずきやすい勘どころを確認します。

  • 目的と対象範囲を決める:何を守るための体制か(顧客情報、基幹システム、全社の端末など)を絞り、経営層の理解を得る。ここが曖昧なまま進めると対象が際限なく広がり、頓挫しやすい
  • 現状を把握する:守るべき情報資産とIT環境を洗い出し、どこに監視と対応の穴があるかを確認する
  • 体制・役割・ルールを設計する:インシデント時の責任者、連絡経路、対応手順を文書化する。内製と委託の切り分けもここで決める。夜間・休日の連絡経路を決め落とすと、いざという時に動けない
  • 人材とツールを用意する:監視の仕組みや検知のツールを導入し、不足する機能は外部サービスで補う
  • 訓練して見直す:机上訓練などで対応手順を試し、運用しながら継続的に改善する。作って終わりにすると形骸化するため、定期的に手順を回して見直す

CSIRTの構築手順をより詳しく確認したい場合は、日本シーサート協議会(NCA)が公開している「CSIRTスタータキット」が参考になります。立ち上げのステップが体系的に整理されています。

出典・参考資料(1件)

外注時の費用感

外部委託を検討するうえで気になるのが費用です。ここでは、料金の考え方の目安を整理します。

SOC監視やMDRのサービスは、監視対象の範囲(端末数・サーバー・ネットワーク・クラウドなど)と、どこまで対応を任せるかによって費用が変わり、月額制が一般的です。監視だけを担うSOCサービスよりも、対応・復旧の初動まで含むMDRのほうが費用は高くなる傾向があります。多くは個別見積もりで、自社の環境を伝えて見積もりを取る形が基本です。

一方、スポットで実施する調査型のサービスは、料金の目安が公開されていることもあります。費用は監視・対応の範囲で大きく変わるため、具体的な金額は各サービスの個別紹介や資料で確認してください。

体制を用意する手段

最後に、SOC・CSIRTの体制を実際に用意するための手段を、以下で順に紹介します。先に触れたとおり、監視は外部委託が現実的な場面が多くあります。

ここで取り上げるのは、外部のマネージド監視(SOC/MDR)、自社のネットワークに検知を置くNDR(通信を監視して脅威を検知する仕組み)、CSIRTの初動で侵害の痕跡を調べる端末診断です。監視を外部に任せられるサービスをより多く見比べたい場合は、先ほどのMDR比較の記事も参考になります。各サービスは資料請求またはサービス詳細ページで機能や料金を確認できます。

なお、ここで取り上げるのは数ある手段の一部です。端末・ネットワーク・ID・データ・監視運用と、守る対象ごとにどんなソリューションがあるのかを俯瞰してから選びたい場合は、社内セキュリティ全体を対象別に整理した次の記事が見取り図になります。

ここで取り上げる4つの手段を、担う役割・調べる対象・提供形態・料金で一覧にすると次のとおりです。

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サービス名Network BlackboxCoWorker 端末侵害診断サービスDarktraceVectra AI
担う役割SOCの検知を自社に設置(NDR)
保存通信の遡及調査にも対応
CSIRTの初動調査を外部委託
(侵害・持ち出しの痕跡を事後調査)
外部委託のSOC/MDR監視(NDR中心)外部委託のSOC/MDR監視(NDR中心)
検知・調査の対象ネットワーク上の通信
(フルパケットを保存)
端末(PC)から収集したログネットワーク(主)
メール・クラウド・エンドポイント等も横断
ネットワーク(主)
クラウド・ID・Microsoft 365・IoT/OT等も横断
検知・調査の方式シグネチャ+ユーザー行為ベースの検出(BAD)+コンテンツ分析AI(Blue Agent)解析+専門家レビュー自己学習型AIによる異常検知AI行動分析(150以上のAIモデル)
提供形態自社環境に設置して常時収集・検知
(ミラーリング方式で導入)
スポット/定期で実施する調査
(退職時・疑い発生時・年1〜2回)
常時監視
24時間365日のSOC/MDRあり
常時監視
MXDR(マネージド検知・対応)あり
料金要問い合わせ1台あたりの単価制
(台数に応じた割引あり)
要問い合わせ(個別見積もり)要問い合わせ(個別見積もり)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※上記は2026年11月時点の各社公式情報にもとづく整理です。担う役割・対象・提供形態・料金は変動するため、導入時に各社の最新の公式情報・資料でご確認ください。料金が非公開のサービスは「要問い合わせ」と記載しています。

1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxのウェブサイト

Network Blackboxは、ネットワークを流れる通信(パケット)を収集・保存して脅威を可視化するNDR(Network Detection and Response)製品です。SOCが担うネットワーク側の検知を自社に持たせたいときの選択肢になります。

シグネチャによる既知の攻撃の検知に加え、ユーザー行為の記録にもとづく検出やデータ内容の分析を併用し、外部からの侵入・内部の不審な通信・データの持ち出しといった、通信に痕跡が残る脅威を捉えます。

保存した通信を後からさかのぼって調べられるため、インシデント発生後に「いつ・どこへ・何が送られたか」を追う調査(フォレンジック)にも対応します。EDR(端末側で脅威を検知する仕組み)やSIEM(各種ログを集約して分析する仕組み)とはSyslogやREST APIで連携する設計で、既存のセキュリティ基盤を置き換えるのではなく補完する位置づけです。

2. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスのウェブサイト

CoWorker株式会社の端末侵害診断サービスは、対象のパソコンからログを収集し、自社開発のAIとセキュリティ専門家が「すでに侵害や情報の持ち出しが起きていないか」を事後に調べる診断サービスです。CSIRTが初動で行う侵害の有無の確認を、外部の専門家に委ねられる手段といえます。退職者のPCからの情報持ち出しの確認や、在籍社員の端末の定期的なチェックに使われます。

常時監視を続けるタイプの製品ではなく、退職時やインシデントの疑いが生じたとき、年1〜2回の棚卸しといったタイミングを区切って実施します。脆弱性が公表されたときに自社端末の侵害の有無を手早く確かめたい、といった場面でも活用されています。

料金は1台あたりの単価制です。2026年11月時点では、事例掲載を条件とするトライアル価格が1台20万円、通常価格が1台50万円(いずれも税別)で、診断する台数が増えるほど1台あたりの単価が下がります。

こうした事後の侵害調査を「どのタイミングで、どの頻度で行うか」について、提供元のCoWorker株式会社は、業界の変化を踏まえて次のように話しています。

一ノ瀬氏
CoWorker株式会社 Sales Manager
一ノ瀬氏
独自インタビューより

従来のフォレンジックは、何か大きな問題が起きてから重い腰を上げて対応するというイメージが強かったのですが、問題がまだ小さいうちに、より簡易でスピーディーに診断できるものが必要だと考えました。あわせて、攻撃者側もAIを使ってランサムウェアを高速化させていますので、年に1回ではなく、より定期的な診断が不可欠になってきているという背景もあります。

3. Darktrace(ダークトレース・ジャパン株式会社)

Darktraceのウェブサイト

組織ごとの「正常な挙動」をAIが学習し、そこからの逸脱で脅威を見つけるのがDarktraceです。自己学習型のAIを中核とするセキュリティプラットフォームで、既知・未知を問わず脅威を検知します。シグネチャに依存しないため、ランサムウェアや組織内部での不審な横移動(ラテラルムーブメント)といった、既知のパターンに当てはまらない脅威も捉えやすい設計です。

ネットワークを起点に、メール・クラウド・エンドポイントなどを横断して相関分析でき、検知からAIによる調査、自律的な封じ込めまでを一つのプラットフォームで扱えます。24時間体制のグローバルSOCによる支援やマネージドサービスも提供されており、監視を外部に任せたい場合の選択肢になります。

4. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AIのウェブサイト

Vectra AIは、ネットワークの挙動をAIで分析し、社内に侵入した高度な脅威を検知・優先順位付けするNDR製品です。シグネチャ照合ではなく振る舞いの分析を軸とし、オンプレミスのネットワークに加え、マルチクラウドやID基盤、Microsoft 365までを対象範囲に含みます。

検知エンジンが膨大なアラートを「いま対応すべき事象」へ絞り込むため、SOCが向き合うアラート過多の負担を抑えやすい点が特徴です。CrowdStrikeやMicrosoft DefenderなどのEDR、SplunkやSentinelなどのSIEMと連携でき、既存のセキュリティ基盤に組み込んで使えます。日本国内ではマクニカが販売窓口を担っています。

まとめ

SOCとCSIRTは、SOCが「脅威を検知・分析する技術部隊」、CSIRTが「発生後の対応・指揮を担う組織横断チーム」という役割の違いがあります。SOCが24時間体制で監視して異常に気づき、CSIRTがその知らせを受けて対応をかじ取りする、という連携で初めてインシデント対応が機能します。片方だけでは、気づけない、あるいは気づいても動けないという穴が残ります。

自社の体制は、CSIRT先行型・SOC外注型・両方構築型のいずれかから、規模とリソースに合わせて始めるのが現実的です。監視は外部のSOCサービスやMDRに委託し、対応・指揮を担うCSIRT機能は社内に持つ、という切り分けが一つの基本形になります。まずは監視・検知や侵害の調査を支えるサービスの資料を取り寄せ、支援範囲と料金を比較するところから検討を進めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. SOCとCSIRTの違いは何ですか?

A. SOCとCSIRTの違いは、SOCが脅威を「検知・分析」する技術部隊であるのに対し、CSIRTはインシデント発生後の「対応・指揮」を担う組織横断のチームである点にあります。SOCが24時間365日の監視で異常の兆候に気づき、CSIRTがその知らせを受けて初動対応から復旧・再発防止までをかじ取りします。動くタイミング、主な業務、必要な人材のいずれも異なる役割です。

Q. SOCとCSIRTは、どちらか片方だけで足りますか?

A. SOCとCSIRTは、どちらか片方だけでは守りに穴が残るため、最終的には両方の機能がそろっている状態が理想です。SOCだけでは異常を検知しても誰がどう対応するかが決まらず初動が遅れ、CSIRTだけでは攻撃の兆候を日常的に検知する監視の目がなく、そもそもインシデントの発生に気づけません。ただし両方を一度に自社で抱える必要はなく、機能ごとに内製と外部委託を切り分けられます。

Q. SOCとCSIRTは、どちらから始めるべきですか?

A. SOCとCSIRTは、インシデント対応の責任者と連絡体制を定めるCSIRT機能の整備か、24時間監視を担うSOC機能の外部委託から着手するのが現実的です。監視要員を置きにくい中堅・中小企業では、SOC(監視)を外部のSOCサービスやMDRに任せ、CSIRT機能を社内に持つ切り分けが基本形です。守るべき情報の重要度とリソースに照らして決めてください。

Q. 中小企業にもSOCやCSIRTは必要ですか?

A. 中小企業でも、顧客情報や取引データを扱う以上、SOC(監視・検知)とCSIRT(対応・指揮)の機能そのものは必要です。ただし、専任部署や24時間体制をすべて自前で用意する必要はありません。監視は外部のSOCサービスやMDRに委託し、インシデント発生時の責任者と連絡体制だけでも社内で決めておく、という最小限の形から始められます。

Q. SOCやCSIRTの構築・外部委託にはどのくらいの費用がかかりますか?

A. SOCやCSIRTの費用は、外部委託するSOC監視やMDRのサービスでは監視・対応の範囲に応じた月額制が一般的で、多くは個別見積もりとなります。監視だけを担うSOCサービスよりも、対応・復旧の初動まで含むMDRのほうが高くなる傾向があります。費用は監視対象や対応範囲で大きく変わるため、金額は各サービスの資料で確認し、複数を比較して検討してください。

Q. SOCやCSIRTの運用に、専門の資格を持った人材は必須ですか?

A. SOCやCSIRTの運用に、法律上の必須資格はなく、専門人材を自社に抱えなくても外部サービスの活用で体制を持てます。SOCの監視にはログやマルウェアの解析スキルが求められますが、SOCサービスやMDRに委託すれば、こうした専門人材と監視の仕組みを自社でそろえる必要はありません。社内のCSIRT機能は、情報システム部門や管理部門の担当者が兼任する形から始められます。

Q. MDRを導入すればCSIRTは不要になりますか?

A. MDRを導入しても、CSIRT機能が不要になるわけではありません。MDRは脅威の検知から対応・復旧の初動までを外部の事業者が代行しますが、対外的な報告や経営判断、業務復旧の意思決定は自社に残ります。MDRの窓口となって社内の判断を担うCSIRT機能は、外部サービスを使う場合でも必要になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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