取引先への掛売りで発生した売掛金が、支払期日を過ぎても入金されない。そんな不安を抱える経理・財務の担当者や経営者は少なくありません。売掛金は入金されて初めて利益になるため、回収に伴うリスクを正しく把握しておくことが、資金繰りと事業の安定に直結します。
売掛金回収のリスクは、単なる「入金の遅れ」だけではありません。取引先の倒産による貸倒れ、放置による時効の消滅、そして自社の資金繰り悪化による黒字倒産まで、複数の異なるリスクが存在します。それぞれ起きることも、備え方も異なります。
本記事では、売掛金回収に伴う5つのリスクの種類と、回収できなくなったときに何が起こるか、消滅時効や貸倒損失の扱い、そして回収の進め方と未然防止の手段までを、根拠となる法令・通達とともに整理します。自社が取るべき備えを判断するための材料としてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
売掛金回収に伴う主なリスクとは?5つの種類を一覧で整理
売掛金回収のリスクは、大きく5つの種類に分けられます。まずはそれぞれ「何が起きるか」と「自社への影響」を一覧で確認し、自社がどのリスクに直面しているかを把握しましょう。主なリスクの仕組みや根拠は、後続のセクションで法令・通達とともに解説します。
| 回収遅延(入金の遅れ) | 貸倒れ(回収不能) | 時効による消滅 | 資金繰り悪化(黒字倒産) | 機会損失 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 何が起きるか | 支払期日を過ぎても入金されず、催促や再請求が必要になる | 取引先の倒産・支払い拒否・音信不通などで、売掛金を回収できなくなる | 放置している間に消滅時効が完成し、法的に請求できる権利が消える | 帳簿上は黒字でも、入金がなく手元資金が不足する | 催促・回収対応に時間と人手を取られる |
| 自社への影響 | 資金繰りの悪化、督促業務の負担増 | 売掛金が損失に転じ、貸倒損失として計上 | 回収手段を失う(原則5年・民法166条) | 支払い不能に陥り、最悪の場合は倒産や連鎖倒産 | 本来の営業・事業活動の停滞、追加のコスト発生 |
※各リスクの具体的な要件・根拠は本文の各セクションで解説します。
売掛金が回収できなくなる主な原因
売掛金が回収できなくなる背景には、いくつかの原因があります。取引先側の事情によるものと、自社側の管理の不備によるものに分けて把握しておくと、後述する未然防止の手を打ちやすくなります。
取引先側の主な原因は、資金繰りの悪化や倒産による支払い能力の低下です。これに加えて、支払い自体を後回しにする意図的な未払いや、担当者の連絡不通といったケースもあります。
自社側の原因としては、請求書の記載ミスや請求漏れ、入金確認・消込(入金と請求の照合)の遅れが挙げられます。また、取引先が「商品やサービスの内容・金額に納得していない」「相殺できる債権があると考えている」といった認識の食い違いから、支払いが止まることもあります。
取引先の支払い能力の低下は、支払期日の延期依頼、取引量の急な減少、担当者の交代や従業員の離職の増加といった変化に表れることがあります。こうした兆候を早期につかむことが、未回収を防ぐ第一歩になります。
売掛金が回収できないと何が起こるか(貸倒損失・黒字倒産・連鎖倒産)
売掛金が回収できないまま貸倒れになると、会計・税務上の処理が必要になるだけでなく、自社の資金繰りそのものを揺るがすことがあります。ここでは、回収不能が引き起こす帰結を順に整理します。
貸倒れによる損失|貸倒損失(通達に基づく3つの区分)と貸倒引当金(中小法人等に限定)
売掛金が回収不能になった場合、その金額を「貸倒損失」として損金に算入できることがあります。ただし、税務上は要件が定められており、単に支払いが遅れているというだけでは認められません。法人税基本通達は、貸倒損失を大きく3つの区分に整理しています。

1つ目は、法的に債権が切り捨てられた「法律上の貸倒れ」です(法人税基本通達9-6-1)。更生計画や再生計画の認可決定などにより切り捨てられた金額は、その事業年度に損金の額へ算入します。
9-6-1 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
出典:法人税基本通達9-6-1|国税庁
2つ目は、債務者の資産状況などから全額の回収が不可能と明らかになった「事実上の貸倒れ」です(法人税基本通達9-6-2)。この場合は、帳簿上で貸倒れとして処理(損金経理)することが要件になります。担保がある場合は、その担保を処分した後でなければ処理できません。
9-6-2 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
出典:法人税基本通達9-6-2|国税庁
3つ目は、取引を停止してから一定期間が過ぎた「形式上の貸倒れ」です(法人税基本通達9-6-3)。売掛債権について、取引停止後1年以上が経過した場合などに、売掛債権の額から備忘価額(通常1円)を控除した残額を貸倒れとして損金経理できます。全額を落とすのではなく、1円を帳簿に残す点が特徴です。
9-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
出典:法人税基本通達9-6-3|国税庁
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
なお、貸倒れが確定する前の段階でも、回収できない見込みのある債権について「貸倒引当金」を計上できる場合があります。ただし、貸倒引当金の損金算入は、資本金1億円以下の普通法人などの中小法人等に限定されており、大法人は原則として利用できません(法人税法52条)。貸倒引当金は損失が確定する前の見込み計上である点で、確定後の貸倒損失とは別のものとして区別しておきましょう。
貸倒損失として処理できる場合の考え方は、国税庁のタックスアンサーでも3つの区分に沿って整理されています。
資金繰りの悪化から黒字倒産・連鎖倒産への連鎖
売掛金の未回収は、税務処理だけの問題では終わりません。売上が立って帳簿上は利益が出ていても、代金が入金されなければ手元の現金は増えず、仕入れ代金や人件費などの支払いは待ってくれません。入金と支払いのタイミングがずれた状態が積み重なると、利益が出ているのに資金が尽きて支払い不能に陥る黒字倒産につながります。
特に、特定の取引先に売上の多くを依存している場合、その取引先の倒産は自社の資金繰りに直接響きます。取引先の倒産が引き金となって自社まで資金繰りに行き詰まる事態は連鎖倒産と呼ばれます。こうした事態に備える制度として、中小企業向けの経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)も設けられています。1件の未回収が事業全体を揺るがしかねない点が、売掛金回収リスクの重さにつながります。
また、未回収が生じると、督促や回収の対応そのものに時間と人手を取られます。本来の営業や事業活動に割くべきリソースが割かれる機会損失も、売掛金回収リスクの一つとして見落とせません。
貸倒損失として処理できる要件の考え方や、黒字倒産に陥らないための備えは、以下の記事で具体的に掘り下げています。貸倒れと資金繰りの両面から対策を整理したい方の参考になります。
一括ダウンロードする
売掛金の消滅時効|放置すると請求権が消える(民法166条)
回収できない売掛金を放置していると、やがて「消滅時効」により請求できる権利そのものが消えてしまいます。民法は、権利を行使できると知った時から5年間行使しないと、債権が時効によって消滅すると定めています。
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
出典:民法 第百六十六条|e-Gov法令検索
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
売掛金は、支払期日が来れば請求できると分かっている債権です。そのため実務上は、支払期日の翌日から起算した原則5年(1号の主観的起算点)が問題になります。
この時効期間は、2020年4月1日に施行された改正民法によって原則5年に一本化されました。改正前は、商取引の債権が5年、業種によっては1〜3年といった短い時効期間が定められていましたが、これらは廃止されています。ただし、2020年4月1日より前に発生した売掛金は改正前の時効期間による点に注意が必要です。
時効の更新・完成猶予(時効を止める方法)
時効の完成が近づいている場合でも、一定の手続きを取れば時効の進行をリセットしたり、一時的に止めたりできます。改正民法では、これを「更新」(従来の中断に相当)と「完成猶予」と呼びます。
まず、内容証明郵便などによる「催告」を行うと、その時から6か月を経過するまでは時効が完成しません(民法150条)。ただし、催告だけでは時効は止まらず、6か月以内に裁判上の請求や支払督促などの手続きを取る必要があります。再度の催告を重ねても、完成猶予の効力は延長されません。
一方、支払督促や裁判上の請求で権利が確定した場合や、取引先が債務を承認した場合(残高確認書への署名、一部弁済など)には、時効が更新され、そこから新たに進行を始めます(民法147条・152条)。
売掛金を回収する手順(社内督促から法的手続まで)
売掛金が支払われないときは、いきなり法的手続きに進むのではなく、段階を踏んで対応するのが基本です。相手の対応や遅延の程度に応じて、社内での督促から法的手続きへと進めます。

1. 社内での督促・取引停止・相殺の確認
まずは入金状況を確認し、単純な入金忘れや行き違いでないかを確かめたうえで、電話やメールで支払いを促します。同時に、支払いが確認できるまでは追加の出荷や取引を一旦停止し、損失の拡大を防ぎます。取引先に対して自社が支払うべき買掛金など、相殺できる債権があれば相殺を検討します。契約書に「期限の利益喪失条項」があるかどうかも確認しておきましょう。
2. 内容証明郵便による催告
電話やメールでの督促に応じない場合は、内容証明郵便で支払いを求める催告書を送付します。内容証明郵便は、いつ・どのような内容の書面を送ったかを郵便局が証明する制度で、後に裁判へ発展したときの証拠になります。前述のとおり、催告には6か月の完成猶予の効力があるため、時効が迫っている場合の時間稼ぎにも使えます。ただし催告だけでは時効は更新されないため、次の法的手続きにつなげる前提で送付します。
3. 支払督促・少額訴訟(金額要件60万円以下)
書面での催告にも応じない場合は、裁判所を利用した手続きに進みます。支払督促は、債権者の申立てにより、簡易裁判所の裁判所書記官が相手方に支払いを命じる手続きです(民事訴訟法382条)。書類審査だけで進むため、通常の訴訟より短期間・低コストで手続きできます。相手から異議が出なければ、仮執行宣言を経て強制執行の根拠(債務名義)になります。
少額訴訟は、請求額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる手続きで、原則として1回の審理で判決が下ります(民事訴訟法368条)。通常訴訟より短期間で結論が出るのが特長です。ただし、同じ簡易裁判所で同一の年に利用できる回数は年10回までに制限されています(60万円以下の要件は民事訴訟法368条1項、回数の上限は民事訴訟規則223条によります)。
出典・参考資料(2件)
4. 仮差押え・強制執行
相手が財産を処分してしまうおそれがあるときは、判決を待つ間に相手の財産(預金・不動産など)を仮に押さえる仮差押えという保全手続きがあります。仮差押命令は、金銭の支払いを目的とする債権について、強制執行ができなくなるおそれがあるときなどに発せられます(民事保全法20条)。
最終的に相手の財産を差し押さえて回収する強制執行には、「債務名義」と呼ばれる公的な根拠が必要です(民事執行法22条)。債務名義には、訴訟の確定判決、仮執行宣言を付した支払督促、そして強制執行に応じる旨を記載した公正証書(執行証書)などが含まれます。支払督促や訴訟、公正証書がなぜ回収に役立つかといえば、これらが債務名義となって初めて相手の財産を差し押さえられるからです。
売掛金の未回収リスクへの備え・未然防止
回収に手間と時間をかけないためには、未回収を未然に防ぐ備えが重要です。備えの手段は、大きく「与信管理」「売掛保証」「ファクタリング」「請求代行・督促自動化」に分けられます。それぞれ備えられるリスクやコストの考え方が異なるため、自社の課題に合わせて選びます。
未然防止手段の比較(与信管理・売掛保証・ファクタリング・請求代行)
以下は、売掛金の未回収リスクに備える主な手段を比較した表です。どのリスクに・どこまで・どの程度のコストで備えられるかを整理しています。
| 与信管理 | 売掛保証 | ファクタリング | 請求代行・督促自動化 | |
|---|---|---|---|---|
| 主に備えるリスク | 貸倒れ・回収遅延(未然) | 貸倒れ(リスクの移転) | 資金繰り悪化・貸倒れ | 回収遅延(未然防止〜初期督促) |
| できること | 取引前後に相手の信用力を調べ、取引条件や与信限度額を設定する | 取引先が支払えないとき、保証会社が代位弁済する | 売掛債権を売却して早期に資金化する(保証型は回収保証も) | 請求書発行から入金消込・督促までを巻き取り、多チャネルで催促する |
| コスト・負担の目安 | 自社運用は低コスト。調査会社を使うと費用が発生 | 保証料(保証枠・与信状況に応じて変動) | 手数料(2社間は高め、3社間は低めの傾向) | サービス利用料(月額・従量など) |
| 未回収の保証 | なし(自社で判断・管理) | あり(代位弁済) | 買取型は原則なし/保証型はあり | 保証付きプランなら一部あり |
※上記は各手段の一般的な特徴の傾向です。実際の保証範囲・料金体系は各サービスの提供内容をご確認ください。
これらの手段のうち、貸倒れのリスクそのものを移したい場合は売掛保証や保証型ファクタリング、資金化を急ぎたい場合はファクタリングが選択肢になります(それぞれの詳細は上記のリンク先で解説しています)。
一方で、日々の請求業務の負担を減らしながら回収遅延を未然に防ぎたい場合に向くのが、請求代行・督促自動化のサービスです。請求書の発行から入金確認、未入金者への督促までを自動化でき、メール・SMS・電話(オートコール)など複数のチャネルで催促できるものもあります。ここからは、この請求代行・督促自動化にあたる主なサービスを紹介します。
督促や回収そのものを外部に任せたい場合は、回収代行サービスを利用する選択肢もあります。以下の記事では、依頼先のタイプ別の選び方や費用相場、督促自動化の仕組みまで詳しく比較しています。回収体制の全体を検討したい方はあわせてご覧ください。
以下は、ここで紹介する請求代行・督促自動化サービスの比較表です。役割・督促チャネル・未回収保証の有無を整理しています。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | 請求管理ロボ | オーロラSMS by メディアSMS | DHKクラウドオートコール | 債権回収ロボ |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社メディア4u | 株式会社電話放送局 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
| 主な役割 | 保証付き請求代行(与信〜請求・回収・消込・督促を代行) | 請求管理・自動消込(未入金の早期検知) | SMS督促・入金案内(一斉配信) | オートコール督促(自動音声で一斉架電) | 多チャネル督促の自動化(回収業務の標準化) |
| 督促チャネル | メール・電話(弁護士法人対応を含む) | メール(電話・SMS・オートコールは債権回収ロボ連携) | SMS | 電話(オートコール)・SMS | メール・SMS・オートコール(IVR)・郵送 |
| 未回収保証 | ●与信通過・適格債権を100%保証 | × | × | × | × |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 50,000円〜 | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | ミーティングを予約する |
請求まるなげロボ

取引先の与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促までを株式会社ROBOT PAYMENTが代行するサービスです。同社(株式会社ROBOT PAYMENT)の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権については、回収の成否にかかわらず売掛金を100%保証します。未回収リスクそのものを提供元に移せる点が、請求・督促を支援する他のサービスとの違いです。
与信審査は契約前に3営業日内で実施され、与信を通過しなかった取引先の分も、請求書の発行・送付や入金消込を同一プラットフォーム上で自社管理できます。ただし保証の対象は与信通過分に限られるため、与信を通過しなかった取引先の未回収は自社の負担として残る点は押さえておく必要があります。
督促はメール・電話に加え、弁護士法人による対応まで代行範囲に含みます。料金は月額利用料と手数料1.0%〜(取引する商材や金額に応じて個別に算出)で構成され、初期費用や保証料の扱いは見積もりで確認する形です。新規取引先の与信をアウトソースしつつ、貸倒れによる損失を避けたい企業に向いています。
出典・参考資料(1件)
請求管理ロボ

請求書の発行・送付から集金、入金消込、未入金者への催促までをクラウド上で自動化する請求管理・債権管理システムです。金融機関の入金情報を取得して請求と入金を自動で照合(自動消込)し、未入金の案件を早い段階で可視化できるため、入金の遅れに気づかず放置してしまう事態を防ぎやすくなります。
未入金の取引先へは、支払期日の前後に日数を設定して催促メールを自動送信できます。電話・SMS・オートコールを含む多チャネルの督促は同社の「債権回収ロボ」との連携で対応する構成のため、本サービス単体での督促はメールが中心になります。売掛金の未回収保証は付きません。
銀行振込・バーチャル口座・クレジットカード・口座振替・コンビニ決済の入金を一括管理でき、会計ソフト(PCA会計・勘定奉行・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計)とも連携します。公式サイトでは導入企業1,000社以上と記載されています。請求から入金消込までの手作業を減らし、未入金を早期に検知して回収遅延を防ぎたい企業に適しています。
出典・参考資料(1件)
オーロラSMS by メディアSMS

未入金者への督促や入金案内を、携帯電話番号あてのSMSで届けられる法人向けSMS配信サービスです。株式会社メディア4uが提供しており、郵送物や電話がつながりにくい相手にも、携帯電話番号あてに直接届くSMSを支払いのリマインド手段として使えます。
国内4キャリア(NTTドコモ・KDDI au・ソフトバンク・楽天モバイル)との直接接続による設計で、公式は受信拒否・圏外・電源オフを除く検証試験で到達率99.9%としています。デロイト トーマツ ミック経済研究所のリポートでは、国内法人向けSMS配信数で5年連続(2021〜2025年度)シェア1位と記載されています。
初期費用と月額基本料は0円で、送信が成功した分だけの従量課金です。1通あたりの単価は問い合わせで提示される形で、最大2か月の無料トライアルも用意されています。多数の未収先へSMSで一斉に支払いを案内・督促したい企業の初期督促チャネルとして活用できます。
出典・参考資料(1件)
DHKクラウドオートコール

あらかじめ用意した発信リストに対してシステムが自動で一斉架電し、自動音声で入金案内や支払い督促を行うクラウド型のオートコール(自動架電)サービスです。株式会社電話放送局が提供し、オペレーターによる手動の督促架電を無人化できます。
1時間あたり5,000件以上の自動架電に対応し、在宅率の高い時間帯へまとめて発信できます。クレジットカードや後払い決済の未収督促での導入事例があり、後払い決済のAGミライバライでは、債権数が150%に増える中で架電数を50%削減し、接続した顧客の約70%がIVRで完結したと公表されています。債権管理システムとのAPI連携やSMS送信も組み合わせられます。
料金は初期費用・月額費用とも50,000円〜(月間1,000件までの応答を含む)で、1,001件目以降は固定電話21円/件・携帯電話32円/件の従量課金です。応答があった分だけに課金され、不応答分には課金されないため、全件に費用がかかる郵送督促と比べてコストを抑えやすい設計です。
出典・参考資料(1件)
債権回収ロボ

未入金の督促から回収までを自動化するSaaSで、株式会社ROBOT PAYMENTが2026年3月に提供を開始しました。メール・SMS・オートコール(IVR)に加え、2026年9月には郵送を加えた4つのチャネルを組み合わせ、督促のシナリオを自動で実行します。
債務者の属性や債権額に応じて督促シナリオを設計でき、督促の状況や受信・返信の履歴を一元管理できます。決済手段や過去の支払い履歴からリマインドの最適なタイミングを導く技術で、特許出願(特願2026-037336)も行っています。属人化しやすく心理的な負担も大きい電話・郵送の督促を標準化できる点が特徴です。
単独でも利用でき、同社の「請求管理ロボ」とはオプションの自動連携コネクターでつなぐことで、請求から督促・回収までを一元管理できます。複数チャネルの督促をまとめて自動化し、回収業務の属人化を解消したい企業に向いています。料金は要見積のため、詳細はミーティングで確認する形です。
出典・参考資料(1件)
まとめ
売掛金回収のリスクは、回収遅延・貸倒れ・時効消滅・資金繰り悪化(黒字倒産)・機会損失の5つに整理できます。特に、放置による時効の消滅(原則5年・民法166条)や、回収不能時の貸倒損失の税務処理(法人税基本通達9-6-1〜9-6-3)は、根拠となる法令・通達を押さえておくことで、社内や税務での判断がしやすくなります。
回収できないときは、社内での督促から内容証明郵便、支払督促・少額訴訟、仮差押え・強制執行へと段階を踏んで対応します。そして何より、未回収を未然に防ぐことが最も負担の少ない対策です。与信管理・売掛保証・ファクタリング・請求代行といった手段を、自社の課題やコストに照らして選び、売掛金回収リスクへの備えを進めてください。
一括ダウンロードする
売掛金回収のリスクに関するよくある質問(FAQ)
Q. 売掛金の時効は何年ですか?
A. 売掛金の消滅時効は、債権者が権利を行使できると知った時(通常は支払期日の翌日)から原則5年です(民法166条1項1号)。2020年4月1日に施行された改正民法によって、原則5年に一本化されました。
ただし、2020年4月1日より前に発生した売掛金は改正前の時効期間(商取引の債権は5年、業種によっては1〜3年など)によります。時効の完成が近づいた売掛金の進行を止める方法は、本文「時効の更新・完成猶予(時効を止める方法)」で解説しています。
Q. 回収できない売掛金は、いつ貸倒損失として損金に算入できますか?
A. 売掛金を貸倒損失として損金にできるのは、法人税基本通達が定める「法律上の貸倒れ」(9-6-1)・「事実上の貸倒れ」(9-6-2)・「形式上の貸倒れ」(9-6-3)のいずれかの要件を満たした場合に限られ、単に支払いが遅れているだけでは認められません。
たとえば形式上の貸倒れは、取引先との取引停止後1年以上が経過した売掛債権について、備忘価額(通常1円)を残した残額を損金経理したときに認められます。どの区分に当たるか、必要な証拠書類は個別の事情で判断が分かれるため、実際の処理は顧問税理士に確認することをおすすめします。
Q. 売掛金を貸倒損失として処理するときの仕訳はどうなりますか?
A. 貸倒引当金を設定していない場合、借方に「貸倒損失」、貸方に「売掛金」を計上して売掛金を消し込むのが基本的な仕訳です。貸倒引当金を設定している売掛金であれば、まず引当金を取り崩し(借方「貸倒引当金」/貸方「売掛金」)、引当金で足りない分を貸倒損失として計上します。
ただし、その貸倒れを税務上の損金にできるかは、前問の法人税基本通達9-6-1〜9-6-3の要件を満たすかで決まり、会計上の処理と税務上の損金算入は必ずしも一致しません。具体的な勘定科目や消費税の扱いは個別性が高いため、税理士に相談することをおすすめします。
Q. 少額訴訟で回収できる売掛金はいくらまでですか?
A. 少額訴訟を利用できるのは、訴額が60万円以下の金銭の支払いを求める場合です(民事訴訟法368条1項)。原則として1回の審理で判決が出る簡易・迅速な手続きですが、同じ簡易裁判所で同一の年に利用できるのは10回まで(民事訴訟規則223条)に制限されています。60万円を超える売掛金は、通常訴訟や支払督促(民事訴訟法382条)など他の手続きで回収します。
Q. 売掛金の未回収リスクは、事前に防ぐことはできますか?
A. 売掛金の未回収リスクは、取引前後の与信管理に加え、売掛保証・ファクタリング・請求代行(督促自動化)といった外部の手段で軽減・移転できます。与信管理は取引先の信用力を見極めて与信限度額を設ける自社の取り組み、売掛保証や保証型ファクタリングは取引先が支払えないときに保証会社が代位弁済する仕組みです。
請求代行は、請求から入金消込・督促までを巻き取って回収遅延を未然に防ぐサービスです。どのリスクに・どこまで・どの程度のコストで備えるかは手段ごとに異なるため、本文「未然防止手段の比較」を参考に、自社の課題に合わせて選んでください。
売掛金回収・未回収対策サービスの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、請求代行・督促自動化・売掛保証など売掛金の未回収対策に役立つサービスの最新資料を無料で一括請求できます。料金体系・対応チャネル・保証範囲・サポート体制をまとめて比較できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















