顧問税理士に毎月1〜3万円、決算のたびにまとまった費用を払い続けるのは、売上がまだ小さい個人事業主や設立まもない小規模法人にとって決して軽い負担ではありません。会計ソフトの性能が上がった今、「ソフトさえあれば税理士はいらないのでは」と考えるのは自然な発想です。
一方で、自己流で記帳や申告を進めて間違えれば、後から加算税や延滞税といった余分な負担がのしかかります。固定費は削りたいけれど、税務でミスをして損をするのも怖い——この二つの気持ちの間で判断がつかない、というのが多くの人の本音ではないでしょうか。
本記事では、税理士が「いらないケース」と「いないと危ないケース」の線引きを、自分の状況に当てはめて判断できる形で整理します。そのうえで、会計ソフトでどこまで自力でできるのか、自己流申告のリスクはいくらなのか、税理士費用の相場はどのくらいかを示し、「全部自分で」と「顧問契約」の中間にある選択肢まで含めて、次の一歩を選べるようにします。
目次
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税理士が「いらないケース」と「いないと危ないケース」
結論から言えば、税理士が必要かどうかは事業の規模や取引の複雑さによって変わり、すべての人に税理士が必須というわけではありません。まずは、どんな状況なら会計ソフトで自力完結しやすく、どんな状況になると専門家の関与が要るのかを、両側から見比べてみましょう。

税理士がいらない(自力で回しやすい)ケース
次のような条件がそろうほど、会計ソフトを使って自分で記帳から申告まで進めやすくなります。ひとつでも当てはまれば絶対に大丈夫、という話ではなく、複数が重なるほど自力完結の現実味が増すという見方をしてください。
- 取引がシンプルで件数も多くない(売上先・仕入先が限られ、現金商売や単純な役務提供が中心)
- 売上規模がまだ小さく、消費税の納税義務が生じていない(後述する課税売上高1,000万円の基準を下回る)
- 簿記の基礎知識があり、借方・貸方や勘定科目の意味が自分で判断できる
- 日々の顧問契約までは不要で、確定申告の時期だけスポットで相談できれば足りる
とくに個人事業主で青色申告をする場合、売上や経費を入力すれば青色申告決算書と確定申告書まで自動で作成できるクラウドソフトが増えており、簿記に不慣れでも申告書の完成までたどり着きやすくなっています。取引がシンプルなうちは、この自力完結の恩恵が大きい層といえます。
税理士がいないと危ない(付けるべき)ケースと分岐点
反対に、事業が育って取引や制度対応が複雑になると、自己流のままではミスや取りこぼしのリスクが上がります。次のような分岐点にさしかかったら、税理士への依頼を前向きに検討したいタイミングです。
- 基準期間(原則として前々年・前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超え、消費税の課税事業者になった
- 個人事業から法人化した(法人税・地方税・法人住民税の均等割〔赤字でもかかる定額の住民税〕など、申告と納税の仕組みが個人より複雑になる)
- 従業員を雇い、給与計算・源泉徴収・年末調整が発生した
- 金融機関からの融資や補助金・助成金の申請で、信頼性の高い決算書や説明が求められる
なかでも消費税は分かりやすい分岐点です。国税庁は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は原則として納税義務が免除されると示しており、逆に1,000万円を超えると消費税の申告・納付という新しい実務が加わります。ただし、これは「1,000万円を超えたら即・税理士が必須」という意味ではなく、消費税の課税事業者になって経理が一段複雑になる目安の一つと捉えるのが正確です。
インボイス制度の適格請求書発行事業者として登録している場合は、売上高にかかわらず課税事業者になります。また、特定期間(前年の上半期)の課税売上高で判定が前倒しになることもあります。自社がどの区分かは個別に確認してください。
目安として、「いらないケース」の条件がおおむね当てはまるうちは会計ソフトでの自力完結を軸に考え、「いないと危ないケース」の分岐点が2つ以上重なってきたら、税理士への相談を具体的に検討する——という当てはめ方をすると、自分がどちら寄りかを判断しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:No.6501 納税義務の免除|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm)
会計ソフトでできること・できないこと
税理士なしで進められるかを判断するには、会計ソフトが肩代わりできる範囲と、人の判断が残る範囲を切り分けておく必要があります。会計ソフトは記帳の道具として非常に優秀ですが、税務の意思決定まで代わってくれるわけではありません。

会計ソフトでできること
近年のクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードとAPI連携し、明細の取り込みから仕訳の自動提案までをこなします。日々の記帳の手間を大きく減らし、集計や帳票の作成を自動化できるのが強みです。具体的には次のような作業を任せられます。
- 銀行・クレジットカード明細の自動取り込みと、仕訳の自動提案・自動仕訳
- 総勘定元帳・試算表・決算書(貸借対照表・損益計算書)などの帳票の自動作成
- インボイス制度に沿った請求書の発行・管理や、電子帳簿保存法に対応した帳簿・書類の電子保存
- 個人事業主向けソフトなら、青色申告決算書・確定申告書の作成まで
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は、本来こまかな要件の把握が必要な領域ですが、こうした制度対応は会計ソフトが標準機能として吸収してくれる部分が大きいところです。制度の細部を自分で追いきれなくても、対応済みのソフトを使うことで実務上の負担を抑えられます。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
会計ソフトではできないこと
一方で、会計ソフトはあくまで入力された情報を処理する道具であり、次のような「判断」や「対応」は人に残ります。ここを自力で担えるかどうかが、税理士の要否を分けます。
- どの経費をどう計上すれば有利か、といった節税の判断や税務上の最適化の提案
- グレーな取引の税務上の取り扱いなど、個別事情をふまえた税務相談への回答
- 税務調査が入ったときの立ち会いや、調査官への説明・折衝
- 法人税申告書のように、会計ソフト単体では作りきれない複雑な申告書の作成(後述)
会計ソフトは記録と計算を速く正確にしてくれますが、その記録が税務上正しいか、もっと有利な選び方はないか、という判断までは肩代わりしません。この境界を理解したうえで、自分がどこまで担えるかを見極めることが、税理士なしで進められるかの現実的な判断材料になります。
税理士なしで自己流申告をするリスク
税理士を付けずに自力で申告する場合、費用を抑えられる一方で、間違いに気づけなかったときのコストを自分で背負うことになります。ここでは、その代表的なリスクを「いくら・いつ」まで具体的に見ておきます。
あわせて、記帳や申告に費やす時間そのものも経営者にとってのコストです。慣れない作業に週末を費やすより、本業に時間を割いたほうが事業全体では得になる、という考え方もあります。金銭的なペナルティと時間の両面から、自己流の代償を見ておきましょう。
申告を忘れる・間違えると加算税がかかる
申告に関するペナルティには、期限までに申告しなかったときの無申告加算税と、申告したが税額を少なく申告していたときの過少申告加算税があります。いずれも、発覚のタイミングが遅くなるほど重くなるのが基本の構造です。まず無申告加算税は、納付すべき税額に対して次の割合がかかります(令和5年分以降)。
| 発覚のタイミング | 無申告加算税の割合(納付すべき税額に対して) |
|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に期限後申告 | 5% |
| 事前通知の後〜税務調査を受ける前 | 50万円までの部分10% 50万円超300万円までの部分15% 300万円超の部分25% |
| 税務調査を受けた後・税務署の決定 | 50万円までの部分15% 50万円超300万円までの部分20% 300万円超の部分30% |
※国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」に基づく(令和5年分以降)
過少申告加算税は、新たに納める税額に対して次の割合です。ここで重要なのは、税務署の調査の事前通知の前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかからないという点です。
| 修正のタイミング | 過少申告加算税の割合(新たに納める税額に対して) |
|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に修正申告 | かからない(0%) |
| 事前通知の後〜税務調査を受ける前 | 5% (当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%) |
| 税務調査を受けた後・税務署の更正 | 10% (同じく超える部分は15%) |
※国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」に基づく
自分で早く気づいて直せば軽く済み、調査で見つかると重くなるという構造です。自己流で申告するなら、この違いは知っておきたいところです。
納付が遅れると延滞税もかかる
税金の納付が期限に遅れると、加算税とは別に延滞税がかかります。割合は年ごとに告示で変わり、令和8年(2026年)中の期間は次のとおりです。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.8%
- それ以降:年9.1%
延滞税は本税だけを対象に課され、加算税には課されませんが、放置するほど負担が積み上がる点は変わりません。
出典・参考資料(3件)
- 出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm)
- 出典:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm)
- 出典:No.9205 延滞税について|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm)
節税は「決算後」には作れない
見落としがちなのが、節税の多くは期中の判断で決まるという点です。使える控除や特例の選択、経費の計上の仕方などは、決算・申告の段階になってから振り返っても取り戻せないものが少なくありません。自己流で進めた結果、加算税や延滞税といったペナルティを負うだけでなく、本来使えたはずの節税策を逃していた、という取りこぼしも起こり得ます。
目先の顧問料を節約したつもりが、トータルでは損をしていないか——この視点も判断に加えておきたいところです。
税理士に頼む場合の費用相場と依頼のメリット・デメリット
「頼むといくらかかるのか」が分からないと、自力と依頼を天秤にかけられません。ここでは費用の目安と、依頼することの価値・負担を整理します。
費用相場は「何を頼むか」で変わる
税理士報酬は自由化されており、法律で定められた一律の料金表はありません。そのため金額は依頼内容・事業規模・地域・事務所の方針によって幅がありますが、依頼の型ごとに考えると見当をつけやすくなります。以下はあくまで一般的な目安で、実際の金額は各事務所への見積もりで確認してください。
- 顧問契約(記帳は自社・申告や相談を依頼):個人事業主の場合、月額の顧問料はおおむね1万〜3万円が一つの目安で、これに決算・申告時の決算料(顧問料の数か月分が目安)が加わります。売上規模が大きくなるほど顧問料も上がる傾向があります。
- 記帳代行込み:日々の記帳もまとめて任せる場合は、顧問料に記帳代行の費用(依頼する仕訳量により、年6万〜36万円程度が目安)が上乗せされます。会計ソフトで記帳を自分で行えば、この部分をまるごと抑えられます。
- スポット依頼(確定申告だけ):顧問契約を結ばず、確定申告や決算申告だけを単発で依頼する形で、記帳を自分で済ませていれば年3万〜15万円程度が目安です(売上規模や記帳代行の有無で変わります)。年間を通した関与がないぶん、顧問契約より総額を抑えやすい選び方です。
税理士に頼む=毎月の顧問契約とは限りません。頼み方を絞れば費用は抑えられます。その具体的な組み合わせは、後半の「税理士なしを実現する選択肢」で整理します。
税理士に依頼するメリット・デメリット
費用の話とあわせて、依頼することで何が得られ、何が負担になるのかも押さえておきましょう。
メリットは、申告の正確性が上がり加算税などのリスクを避けやすくなること、節税や資金繰りの相談ができること、税務調査の際に立ち会ってもらえること、そして経理から解放されて本業に集中できることです。とくに、期中から相談できる関係があれば、先ほど触れた「決算後には作れない節税」も早めに手を打てます。
デメリットは、やはり顧問料という固定費が増えることです。事業がまだ小さく取引もシンプルな段階では、支払う費用に対して得られる価値が見合わないと感じることもあります。だからこそ、自社が「いらないケース」に近いのか「いないと危ないケース」に近いのかを見極めたうえで、依頼の範囲を絞る判断が生きてきます。
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税理士なしを実現する選択肢
ここからは、実際に税理士なしで進めるための具体的な選択肢を見ていきます。ポイントは、自力で完結できる会計ソフトを選ぶことと、「全部自分」でも「顧問契約」でもない中間の手段を知っておくことです。
自力で決算・申告まで作れる会計ソフト(記帳止まりか、申告書まで作れるか)
会計ソフトを選ぶときに見落としやすいのが、「どこまで自分で作れるか」の違いです。同じクラウド会計でも、決算書までなのか、申告書まで作れるのかが分かれます。ここは個人と法人で事情が異なるため、分けて考える必要があります。
個人事業主の場合は、青色申告決算書(または収支内訳書)と確定申告書まで、ソフト内で完結して作成できるものが主流です。個人事業主向けのクラウド確定申告ソフトの多くは、売上や経費を入力するだけで白色・青色いずれの申告書類も自動作成でき、確定申告書の作成手順もガイドされます。個人の申告は、こうしたソフトで自力完結しやすい領域です。
料金面でも、こうした個人向けプランはおおむね年1万〜2万円台のものが多く、税理士に確定申告を依頼する場合と比べて費用を抑えやすいのが実情です(最新の料金や対応範囲は各社公式で確認してください)。
個人事業主向けのソフトは、製品ごとに料金や確定申告への対応範囲が異なります。自分に合う一本を、料金・青色申告65万円控除・e-Taxへの対応で見比べたいときは、以下の記事もあわせてご覧ください。
一方、法人の場合は事情が変わります。法人向けのクラウド会計ソフトは、記帳から決算書の作成までは対応します。ただし、法人税・地方税・消費税の申告書そのものをソフト単体で作りきる範囲は限られ、外部の申告ソフトとの連携や税理士に委ねるのが一般的です。「決算・申告まで自分で」と考えるとき、それが個人の確定申告書までなのか、法人の申告書までなのかで、現実的な難易度は大きく異なります。
会計ソフトで作った決算書をもとに、法人の申告書まで自力で仕上げたい場合は、会計ソフトと連携できる申告書作成ソフトを併用する手もあります。対応できる別表や会計ソフトとの連携、料金の違いは、以下の記事で比較しています。
出典・参考資料(2件)
「全部自分」でも「顧問契約」でもない中間の選択肢
税理士との関わり方は、「全部自分でやる」か「毎月の顧問契約を結ぶ」かの二択ではありません。負担と安心のバランスを取れる中間の選択肢があります。
個人事業主や取引がシンプルな段階なら、日々の記帳は会計ソフトで自分で行い、確定申告や決算のときだけ税理士にスポットで相談・依頼する形が現実的です。ソフトで作った申告書を最後に見てもらうだけでも、間違いや取りこぼしを防ぎやすくなります。
法人で、会計ソフト単体では作りきれない申告書まで任せたい場合は、記帳・決算・申告をまとめて引き受ける記帳・申告サポート一体型のサービスが選択肢になります。専門家チームが月額定額で申告書まで対応するタイプがあり、自力の限界と顧問契約の重さの間を埋めてくれます。
いずれも、固定費を抑えながら専門家のチェックを受けられる現実的な落としどころになります。
税理士なしで使える会計ソフト・サービスの対応範囲を比較
ここまでの選択肢を、記帳の自動化・決算書の作成・申告書の作成・サポート範囲といった軸で並べて比較します。自社が「どこまで自分でやり、どこから任せたいか」に照らして見比べてください。
| サービス名 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 Next | Tenbook(テンブック) |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド会計ソフト | クラウド会計ソフト | クラウド会計ソフト | 会計ソフト+記帳・決算・申告の代行 |
| 記帳の自動化 | ● | ● | ● | ● |
| 決算書の作成 | ● | ● | ● | ● |
| 個人の確定申告書 | ●個人向けプランで対応 | △別製品「クラウド確定申告」が対応 | △別製品「やよいの青色申告」が対応 | △主対象は法人(所得税申告は対応範囲) |
| 法人の申告書 | ×決算書まで(申告書は別ソフト・税理士) | ×決算書まで(申告書は別ソフト・税理士) | ×決算書まで(申告書は別ソフト・税理士) | ◎専門家が申告書まで代行 |
| 記帳・申告のサポート | ソフトで自力入力 | ソフトで自力入力 | ソフトで自力入力 | 専門家チームが代行(原則3名体制) |
| 主な対象 | 個人事業主〜法人 | ひとり法人〜中小法人 | 法人 | 中小法人(売上5億円以下が目安) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※●=ソフトが標準対応、◎=専門家が代行、△=別製品や条件つきで対応。2026年9月時点の各社公式情報に基づく目安で、プランや条件により変わります。最新の内容は各社公式でご確認ください。
ここで取り上げた4つは、税理士なしで記帳から申告まで進めやすいかという観点で選んだものです。規模やタイプを含めてクラウド会計ソフト全体を広く見比べたい場合は、以下の記事で選び方や料金とあわせて詳しく解説しています。導入を検討される方は、こちらもあわせてご覧ください。
1. freee会計(フリー株式会社)

簿記に不慣れな人でも扱いやすい設計の、フリー株式会社のクラウド会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードと連携して明細を自動で取り込み、質問に答える形で仕訳を進められるため、はじめて会計ソフトに触れる個人事業主や小規模法人でも記帳を始めやすいのが特徴です。
自動記帳から決算書の作成までを一貫して行え、改正電子帳簿保存法には全プランが対応(JIIMA認証取得)、インボイス制度にも対応しています。個人向けプランでは確定申告書の作成にも対応しており、自力で申告まで進めたい個人事業主の候補になります。料金やプランごとの対応範囲は変わることがあるため、最新の内容は公式情報や資料で確認してください。
2. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトで、ひとり法人から中小企業まで利用されています。金融機関やカードとの自動連携で明細を取り込み、仕訳の自動化と決算書の作成まで対応します。給与や請求書など同社の他サービスと連携させ、バックオフィス全体をクラウドで組み立てやすい点も特徴です。
個人事業主の確定申告は、法人向けの会計とは別系統のマネーフォワード クラウド確定申告が担い、こちらは確定申告書類まで自動で作成できます。法人は決算書の作成まで、個人は申告書まで、という対応範囲の違いを理解して使い分けるとよいでしょう。詳細な料金・機能は公式資料で確認できます。
3. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

会計ソフトの老舗である弥生株式会社が提供する、法人向けのクラウド会計サービスです。明細の自動取り込みから帳簿づけ、決算書の作成までを行えます。電子帳簿保存法では、優良な電子帳簿の要件を満たすソフトとしてJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けている点も、記録の信頼性を重視する法人には確認しておきたいポイントです。
対応範囲としては法人の決算書作成までが中心で、法人税などの申告書は外部の申告ソフトとの連携や税理士に委ねる構成が一般的です。個人事業主の確定申告は、姉妹製品のやよいの青色申告 オンラインが担当します。決算書までを自社で整え、申告は必要に応じて専門家と分担したい法人に向いた選択肢です。
4. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbookは、会計ソフト単体ではなく、記帳から申告までを人が一体で支える経理・申告のアウトソーシングサービスです。シンアカウンティングサービス株式会社が提供し、日々の記帳や決算書の作成にとどまらず、法人税・所得税・消費税の申告書の作成までを月額定額の範囲で任せられます。
記帳から申告までを一体で委託する形が、実際にどんな判断軸で選ばれているのかについて、提供元のシンアカウンティングサービスはMCB FinTechカタログの取材で次のように説明しています。
比較検討の中で決め手になりやすいのは、経理だけで終わらず、決算書・申告書の作成や経営会議の資料作成まで含めて一貫して委託できる点だと思っています。最後まで責任範囲がつながっていることは、判断材料として分かりやすいはずです。
公認会計士・税理士を含むチームが対応するため、「自力の会計ソフトでは申告書まで作りきれないが、毎月の顧問契約は重い」という法人の中間ニーズに直接応えられます。全部自分でやるのは不安だと感じた読者にとって、次の一歩として現実的な受け皿になる選択肢です。料金や対応範囲の詳細は資料で確認できます。
まとめ
会計ソフトの性能が上がった今、取引がシンプルで売上規模も小さいうちは、税理士を付けずに会計ソフトで記帳から申告まで進めることは十分に現実的です。とくに個人事業主の確定申告は、ソフトで自力完結しやすい領域といえます。
一方で、課税売上高1,000万円超・法人化・従業員の雇用といった分岐点にさしかかると、実務は一段複雑になります。自己流申告のミスは加算税・延滞税として跳ね返り、期中にしか打てない節税策を逃す取りこぼしも起こり得ます。「全部自分」か「顧問契約」かの二択で迷ったら、日々の記帳はソフト、申告だけスポット依頼や、記帳・申告サポート一体型といった中間の選択肢も含めて検討してみてください。
自社の状況に合う会計ソフトやサービスを、資料で見比べるところから始めるのがおすすめです。
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よくある質問(FAQ)
Q. 会計ソフトだけで確定申告・決算まで終わらせられますか?(個人と法人の違い)
A. 会計ソフトだけで申告まで終わらせられるかは、個人事業主か法人かで大きく変わります。個人事業主なら、青色申告決算書や収支内訳書から確定申告書まで会計ソフト内で作成でき、自力で完結しやすいのに対し、法人は決算書の作成まではソフトでできても、法人税・地方税・消費税の申告書はソフト単体では作りきれず、外部の申告ソフトや税理士に委ねるのが一般的です。
「決算・申告まで自分で」と考えるときは、それが個人の確定申告書までなのか、法人の申告書までなのかで現実的な難易度が変わる点を押さえておきましょう。
Q. 消費税の申告も会計ソフトでできますか?
A. 消費税の集計や申告に対応する会計ソフトもありますが、そもそも消費税を申告・納付する義務があるのは課税事業者に限られます。国税庁は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除されると示しており、この基準を超えた場合や、インボイス制度の適格請求書発行事業者として登録している場合に消費税の申告が必要になります。
課税事業者になった場合でも、簡易課税(みなし仕入率で計算する簡便な方式)と本則課税(実際の仕入れにかかった消費税で計算する方式)のどちらが有利かといった判断はソフトでは代われず人に残るため、迷うときは専門家に相談すると安心です。
Q. 無料の会計ソフトでも税理士なしで確定申告まで対応できますか?
A. 無料の会計ソフトや無料プランは、確定申告書の作成やサポートの範囲が制限されることが多く、申告まで自力で完結したい場合は有料プランが必要になるケースが一般的です。無料でも記帳や帳簿づけはできても、青色申告決算書・確定申告書の作成、電子申告(e-Tax)連携、サポートといった機能は有料プランに限られることがあります。
コストを抑えたい気持ちはあっても、申告直前に必要な機能が使えないと分かると困るため、無料の範囲でどこまでできるかを事前に確認しておきましょう。
Q. 税理士なしで自分で申告すると、税務調査で不利になりますか?
A. 税理士なしで申告したこと自体が税務調査の対象になったり、直ちに不利になったりするわけではありません。ただし、税務調査が入った場合の立ち会いや調査官への説明・折衝は、税理士に依頼していなければ自分で対応することになります。
会計ソフトは記帳と計算を助けてくれますが、調査対応までは肩代わりしないため、日頃から帳簿や領収書などの根拠資料を整理・保存し、申告内容を自分で説明できる状態にしておくことが大切です。
Q. 日々の記帳は会計ソフトで自分で行い、確定申告や決算だけ税理士に頼むことはできますか?
A. できます。日々の記帳はクラウド会計ソフトで自分で行い、確定申告や決算のときだけ税理士にスポットで依頼する形は、費用を抑えつつ専門家のチェックを受けられる現実的な選択肢です。税理士に頼む=毎月の顧問契約という思い込みを外すと、「全部自分で」と「顧問契約」の中間に、申告だけのスポット依頼や記帳・申告サポート一体型サービスといった選び方があることが見えてきます。
年間を通した関与がないぶん、顧問契約より総額を抑えやすいのも利点です。
Q. 最初は税理士なしで始めて、事業が大きくなってから税理士に頼むこともできますか?
A. できます。取引がシンプルなうちは税理士なしで会計ソフトを使い、課税売上高が1,000万円を超えた・法人化した・従業員を雇ったといった分岐点にさしかかってから税理士に依頼する進め方は十分に現実的です。むしろ、こうした節目は経理や申告が一段複雑になるタイミングなので、そこを目安に依頼を検討するのは合理的です。
ただし、節税策の多くは期中の判断で決まり決算後には作れないため、「そろそろかな」と感じたら早めに相談しておくと選択肢を逃しにくくなります。
Q. 税理士と一度顧問契約したら、解約できないのですか?
A. 顧問契約は一度結んだら解約できないものではなく、多くは契約書で定められた予告期間(1〜3か月程度が一般的)を置けば解約できます。「試しに頼んで合わなければ続けにくい」という不安から依頼をためらう必要はありませんが、解約の条件や予告期間は事務所ごとに異なるため、契約前に契約書で確認しておくと安心です。まずは確定申告だけのスポット依頼から始めて相性を見る、という進め方もあります。
Q. 自分で確定申告して間違えたときは、後から直せますか?加算税はどうなりますか?
A. 自分で申告した内容に誤りがあっても、後から修正申告で直すことができ、税務署の調査の事前通知より前に自主的に修正すれば、過少申告加算税はかからないとされています。国税庁の示すところでは、誤りに早く自分で気づいて直すほど負担は軽く、税務調査で指摘されてから直すと加算税が重くなる構造です。
ただし、納付が遅れた分には別途延滞税がかかる場合があるため、間違いに気づいたらできるだけ早く修正・納付するのが得策です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















