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債権回収の方法・種類を一覧で解説|内容証明・支払督促・強制執行の使い分けと外部委託の選び方

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先への売掛金や工事代金が支払期日を過ぎても入金されず、社内で電話やメールをしても回収できない。そんなとき、まず知りたいのは「未回収のお金を取り戻す方法には、どんな種類があるのか」という選択肢の全体像ではないでしょうか。

債権回収の手段は、社内でできる催促から、内容証明郵便、裁判所を使う手続き(民事調停・支払督促・少額訴訟・通常訴訟)、そして最終的な強制執行まで段階的に分かれています。どれを選ぶかは、金額・相手の支払う意思・証拠の有無・自社にかけられる手間によって変わります。

本記事では、債権回収の方法・種類を一覧で整理し、それぞれが何をする手続きで・どんなケースに向くのかを解説します。あわせて、放置すると回収できなくなる消滅時効、やってはいけない違法な取り立て、そして自社で対応するか弁護士・司法書士・回収代行に任せるかの判断材料まで、次の一手を決められる形でまとめました。

債権回収の方法・手段の全体像

債権回収とは、契約に基づいて支払われるべき代金(売掛金・工事代金・サービス料金など)が回収できていない状態で、その支払いを実現するための一連の対応を指します。手段は大きく、社内でできる催促、書面での督促(内容証明郵便)、裁判所を使う手続き、そして強制執行の4つの段階に整理できます。

基本の流れは、まず自社で催促し、応じなければ内容証明郵便で正式に督促、それでも支払われなければ裁判所の手続き(民事調停・支払督促・少額訴訟・通常訴訟)で支払いを命じる決定を得て、最後に強制執行で相手の財産から回収する、という順序です。

ただし、相手が財産を隠すおそれがある場合は、早い段階で仮差押えを検討することもあります。まずは、どの手段が何をするもので、どんなケースに向くのかを一覧で確認しましょう。

ここまでの手段を、実際に進める段階の順で図にすると次のとおりです。

債権回収の進め方を段階順に示した図。STEP1 社内での催促(電話・メール・催告書で自社から支払いを促す)、STEP2 内容証明郵便(証拠が残る形で正式に督促)、財産隠しのおそれがあれば随時の仮差押え(民事保全、裁判確定前に相手の財産を仮に押さえる)、STEP3 裁判所の手続き(民事調停・支払督促・少額訴訟・通常訴訟で支払いを命じる決定を得る)、STEP4・最終手段の強制執行(債務名義に基づき相手の財産から回収)の順に矢印でつながる。
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債権回収の主な手段社内での催促(電話・メール・催告書)内容証明郵便仮差押え(民事保全)民事調停支払督促少額訴訟通常訴訟強制執行
どんな手続きか自社から支払いを促す。電話・メールのほか、支払期日・金額を明記した催告書を送るいつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明する書面で督促する裁判で権利が確定する前に、相手の預金・不動産などを仮に押さえ、処分を防ぐ裁判所で、調停委員を介して話し合い、合意による解決を図る書類審査で裁判所が支払いを督促。異議がなければ強制執行に進める60万円以下の金銭請求を、原則1回の期日で判決まで進める簡易な訴訟裁判所が支払義務の有無を判断し、判決を出す一般的な訴訟確定判決などの債務名義に基づき、相手の財産(預金・不動産・動産)を差し押さえて回収する
向いているケース支払いの失念や一時的な遅れ。まだ連絡が取れる相手口頭の催促に応じない相手。督促した証拠を残したいとき相手が財産を隠す・使い切るおそれがあるとき関係を保ちながら分割払いなど柔軟に解決したいとき金額や支払時期に争いがない債権60万円以下で、早期に判決を得たいとき金額が大きい・事実関係に争いがあるとき判決などを得ても任意に支払われないとき
費用・期間の目安通信費のみ。すぐに着手できる郵便の実費が中心。数日で送付できる申立費用に加え担保金(供託金)が必要。数日〜数週間申立手数料は低め。おおむね3か月以内が目安書類審査で手数料は低め。争われなければ短期間訴額に応じた手数料。原則1回の期日で判決訴額に応じた手数料と時間。数か月〜1年程度かかることも申立費用と予納金が必要。財産の特定が前提
自社対応か委託向きか自社対応自社対応・専門家いずれも専門家(弁護士)向き自社対応・専門家いずれも自社対応・専門家いずれも自社対応・専門家いずれも専門家(弁護士)向き専門家(弁護士)向き

※費用・期間は一般的な目安です。実際の手数料・担保金・所要期間は請求額や裁判所・依頼先によって異なります。

裁判所を使う手続きの申立手数料は、請求額に応じた収入印紙で納めます。請求額のうち100万円までの部分は10万円ごとに1,000円が目安で、たとえば請求額60万円なら6,000円です。支払督促や民事調停の手数料はいずれもその半額程度で、たとえば請求額10万円の民事調停なら500円です。これに、相手へ書類を送る郵便切手や、強制執行の場合は予納金が加わります。

出典・参考資料(2件)

また、上記のほかに、相手が自社に対しても支払うべき債務(買掛金など)を負っている場合は、双方の債権を差し引きして帳消しにする「相殺」で回収額を実質的に減らせます。商品を販売していて代金が未払いのケースでは、契約に所有権留保の定めがあれば納品した商品を引き揚げる方法もあります。自社と相手の取引関係に応じて、これらもあわせて検討できます。

各回収手段の中身と使いどころ

ここからは、一覧で挙げた各手段について、それぞれが何をするもので、自社のケース(金額・相手の支払う意思・証拠)にどれが合うのかを掘り下げて解説します。

社内での催促(電話・メール・催告書)

回収の第一歩は、自社から支払いを促すことです。電話やメールで入金が確認できていない旨を伝え、支払いの意思と時期を確認します。単なる支払い忘れや一時的な資金繰りの遅れであれば、この段階で解決することも少なくありません。

連絡しても応じない場合は、請求金額・支払期日・振込先を明記した催告書(支払いを求める書面)を送ります。やり取りは日時と内容を記録に残し、後の手続きで証拠として使えるようにしておくことが大切です。また、相手が支払いを約束したり、一部でも入金したりすると、後述の消滅時効が振り出しに戻る(更新される)効果もあります。

内容証明郵便

内容証明郵便は、口頭やメールの催促に応じない相手に対して、正式な督促を証拠が残る形で行う手段です。郵便局の窓口のほか、インターネットで送れる電子内容証明(e内容証明)も利用できます。日本郵便が提供する制度で、その位置づけは次のように説明されています。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

出典:内容証明|日本郵便

ここで区別しておきたいのは、内容証明郵便そのものに支払いを強制する法的な力はない、という点です。証明されるのは「その内容の文書を、その日に差し出した」という事実だけです。

それでも実務で使われるのは、督促した証拠が残る、配達証明を付ければ相手に届いたことも証明できる、後述する時効の完成を6か月先延ばしにする「催告」に当たる、といった効果があるためです。差出人を弁護士にすると相手が受ける心理的な圧力は強まりますが、これは書面の法的効力が変わるのではなく、本人でも送れる書面を誰の名義で送るかという違いです。

仮差押え(民事保全)

仮差押えは、裁判で権利が確定する前に、相手の預金や不動産などを仮に押さえて処分を防ぐ手続きです。裁判には時間がかかるため、その間に相手が財産を使い切ったり名義を移したりすると、勝訴しても回収できなくなります。それを防ぐために、訴訟に入る前の段階で先手を打つのが仮差押えです。

ただし、相手の財産を先に拘束する強い手続きであるため、申立てには裁判所が定める担保金(供託金)を納める必要があります。相手の財産を特定する調査も前提となるため、実務では弁護士に依頼して進めるのが一般的です。

民事調停

民事調停は、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、裁判所で話し合いによって解決を図る手続きです。裁判所は次のように説明しています。

調停は、金銭の貸借や物の売買をめぐる紛争……等について、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。調停手続では、一般市民から選ばれた調停委員が、裁判官とともに、紛争の解決に当たっています。

出典:民事調停|裁判所

手続きが簡単で費用も低額、おおむね3か月以内での解決が見込める点がメリットです。分割払いや支払期限の延長など柔軟な合意ができるため、取引先との関係を保ちながら解決したいときに向きます。合意が成立して調停調書ができれば確定判決と同じ効力を持ち、支払われない場合は強制執行に進めます。一方で、相手が話し合いに応じない・出頭しないと不成立に終わる点は理解しておく必要があります。

支払督促

支払督促は、簡易裁判所の書記官が、書類審査だけで相手に支払いを命じる手続きです。申立ては相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に対して行います。裁判所は次のように説明しています。

金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。

出典:支払督促|裁判所

相手方を裁判所に呼ばず書類審査のみで進むため、手続きが早く手数料も通常訴訟より抑えられます。ただし、相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てると、通常訴訟に移行します。移行先は請求額に応じて簡易裁判所(140万円以下)または地方裁判所(140万円超)です。相手が争ってこない見込みの、金額や支払時期に争いのない債権に向いた手続きといえます。

少額訴訟

少額訴訟は、比較的少額の金銭請求を、迅速に解決するための簡易な訴訟手続きです。裁判所は次のように説明しています。

民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。

出典:少額訴訟|裁判所

原則として最初の期日で審理を終え、その日のうちに判決が出ます。分割払いや遅延損害金の免除を内容とする判決が出ることもあります。同じ簡易裁判所で1人が利用できるのは年10回までという制限があり、相手が申し出れば通常訴訟に移ることもあります。60万円以下の債権を、時間をかけずに解決したい場合の選択肢です。

通常訴訟

通常訴訟は、裁判所が双方の主張と証拠を審理し、支払義務の有無を判決で判断する一般的な手続きです。金額が大きい場合や、契約内容・支払いの有無そのものに争いがある場合に用います。60万円を超える請求や、少額訴訟・支払督促で相手が争ってきたケースはこの手続きになります。

審理には数か月から1年程度かかることもあり、訴額に応じた手数料も必要です。手間と時間はかかりますが、勝訴して判決が確定すれば、次の強制執行に進むための債務名義(強制執行の根拠となる文書)が得られます。事実関係が複雑なケースでは、弁護士に依頼して進めるのが現実的です。

強制執行

強制執行は、判決などを得ても相手が任意に支払わないときに、相手の財産から強制的に回収する最終手段です。ここで押さえておきたいのは、いきなり差押えができるわけではなく、その前提として「債務名義」が必要になる点です。民事執行法は次のように定めています。

強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。一 確定判決 二 仮執行の宣言を付した判決 …… 四 仮執行の宣言を付した支払督促 …… 五 金銭の一定の額の支払……について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され、又は記録されているもの(以下「執行証書」という。)

出典:民事執行法 第22条|e-Gov 法令

具体的には、確定判決・仮執行宣言付きの支払督促・公正証書(執行証書)・調停調書などがあって初めて強制執行に進めます。差し押さえる財産は、預金や売掛金などの債権執行、土地・建物の不動産執行、自動車・商品などの動産執行に分かれ、いずれも同じ債務名義を前提とします。実際に回収するには相手の財産を特定する必要があり、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を使って調査することが回収の成否を左右します。

債権の消滅時効と、時効を止める方法

債権回収でどの手段を選ぶにしても、必ず意識しておきたいのが消滅時効です。一定期間、権利を行使しないまま放置すると、法律上、債権そのものが消滅して回収できなくなります。放置がもたらす最大のリスクがこれです。民法は次のように定めています。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条|e-Gov 法令

売掛金や工事代金のような取引債権は、支払期日に権利を行使できると分かっているのが通常なので、実務上は「支払期日から5年」で時効消滅すると整理されます。このルールは、2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法によるものです。

改正前は、商取引の債権は5年、職業ごとに1〜3年といった短い時効が併存していましたが、現在は原則5年に一本化されています。ただし、2020年4月1日より前に発生した債権には改正前の時効が適用されるため、古い未収債権を扱う場合は注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

時効の完成が迫っているときは、進行を止める手立てがあります。代表的なものは次のとおりです。

  • 催告(内容証明などによる督促):催告があった時から6か月を経過するまで、時効の完成が猶予されます(民法150条)。ただし猶予されるだけで、確定的に止めるには次の裁判上の請求などが必要です。
  • 協議を行う旨の書面合意:話し合いを続ける旨を書面で合意すると、原則1年間、時効の完成が猶予されます(民法151条)。
  • 裁判上の請求・支払督促・民事調停など:これらの手続きを取ると時効の完成が猶予され、判決などで権利が確定すると時効が更新され、新たに進行が始まります(民法147条)。
  • 債務者による承認:相手が債務を認めると(一部弁済や支払猶予の申し出、残高確認書への署名など)、時効はその時から新たに進行を始めます(民法152条)。
出典・参考資料(3件)

また、支払いが遅れた期間については遅延損害金を請求できます。契約で利率を定めていない場合は法定利率が適用され、その利率は2026年時点で年3%です(民法404条。3年ごとに見直され、2029年3月末までは年3%で据え置かれることが確定しています)。契約書で遅延損害金の利率を定めていれば、その約定利率が優先されます。

出典・参考資料(2件)
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やってはいけない取り立て(違法な督促)

回収を急ぐあまり行き過ぎた取り立てをすると、かえって自社が法的な責任を問われるおそれがあります。督促そのものは正当な権利行使ですが、方法によっては脅迫罪・強要罪などに問われかねません。事業者間の取引でも、次のような行為は避ける必要があります。

  • 「支払わなければどうなるか分かっているな」といった、危害を加えるかのような言動で支払いを迫る
  • 深夜・早朝など常識に反する時間帯に、繰り返し電話や訪問を行う
  • 取引先の従業員や家族など、支払義務のない第三者に債務の存在を告げて支払いを求める
  • 相手の事業所に居座る、大声で騒ぐなど、業務を妨害する形で圧力をかける

回収したい気持ちが強いほど、督促は感情的になりがちです。しかし、正当な範囲を超えた取り立ては、回収できないばかりか損害賠償や刑事責任につながることもあります。督促はあくまで冷静に、記録を残しながら行い、相手が応じないときは感情的な取り立てに走らず、内容証明や裁判所の手続きといった正規の手段に切り替えるのが確実です。

危害を加える旨を告げて相手を脅す行為は脅迫罪、それによって義務のないことを行わせれば強要罪に当たり得ます。事業者間のやり取りでも同じで、督促の方法が行き過ぎていないかは常に意識しておく必要があります。

出典・参考資料(2件)

自分で対応するか、外部に任せるか(依頼先の選び方)

ここまで見てきた手段は、自社で進められるものと、専門家の力を借りるべきものが混在しています。どこまで自社で対応し、どこから外部に任せるかを、いくつかの基準で整理しておきましょう。

自社でやるか任せるかの判断軸

判断のよりどころになるのは、主に次の4点です。金額が小さいほど、費用をかけて外部に依頼すると回収額より費用が上回る「費用倒れ」になりやすく、自社対応や少額訴訟が現実的になります。

相手にまだ支払う意思がある・連絡が取れる場合は、督促の工夫や話し合い(民事調停)で解決できる余地があります。契約書・請求書・やり取りの記録といった証拠がそろっているほど、支払督促や訴訟を有利に進められます。そして、督促に割ける社内の人手やノウハウが乏しいなら、督促や回収の代行を検討する価値があります。

  • 金額:少額なら自社対応・少額訴訟、大きいほど専門家の関与を検討
  • 相手の支払う意思:意思があるなら督促・調停、争う姿勢なら訴訟
  • 証拠の有無:契約書・請求書・やり取りの記録がそろっているか
  • 社内の人手・ノウハウ:督促に手が回らないなら代行の活用を検討

これらを組み合わせると、自社のケースに応じた進め方の目安が立てられます。代表的なパターンは次のとおりです。

  • 相手と連絡は取れて証拠もそろっており、金額が60万円以下 → まず内容証明で督促し、応じなければ支払督促か少額訴訟で判決を得る
  • 金額が大きい、または相手が支払い義務そのものを争ってくる → 弁護士に相談し、財産隠しのおそれがあれば仮差押えを検討したうえで通常訴訟に進む
  • 少額の未回収が多数あり、社内の督促に手が回っていない → 督促の自動化や回収代行を使って督促を回しつつ、回収できないものを個別に法的手続きへ

依頼先の種類とできること・制約

外部に任せる場合、依頼先ごとにできることの範囲と制約が異なります。誤解しやすいのが、テレビCMなどでも見かける「サービサー(債権回収会社)」です。サービサーは、法務大臣の許可を受けた株式会社だけが営める債権回収の専門業者ですが、扱える債権は法律で限定されています。

債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない。

出典:債権管理回収業に関する特別措置法 第3条|e-Gov 法令

サービサーが業として回収できるのは、同法が定める「特定金銭債権」に限られます。これは金融機関の貸付債権やリース料債権、クレジット債権などが対象で、一般の事業者間の売掛金や工事代金は原則として含まれません。そのため、通常の売掛金の回収をサービサーに委託することは基本的にできない点に注意が必要です。各依頼先の位置づけを整理すると、次のようになります。

  • 弁護士:交渉・内容証明から訴訟・強制執行まで、金額を問わず代理できる。一般の売掛金回収を外部に任せる場合の中心的な依頼先
  • 認定司法書士:法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所が扱う140万円以下の請求について代理・和解・支払督促などができる(140万円は簡易裁判所の事物管轄の上限)。それを超える金額や、控訴・強制執行の段階は原則として弁護士の領分
  • サービサー(債権回収会社):金融・リース・クレジット系の特定金銭債権が対象。一般の売掛金回収には原則として利用できない
  • 督促・回収の代行サービス:支払案内や督促の連絡(電話・SMS・メール・郵送)を代行・自動化するタイプと、請求から回収まで引き受けて未回収分を保証するタイプがある

督促・回収の代行がサービサーと異なるのは、担うのが督促の事務や請求業務であって、債権そのものを買い取って回収するわけではない点です。弁護士でなければできない法的な取り立ての段階は提携する弁護士法人が対応し、未回収分を保証するタイプは与信審査を通じてリスクを引き受けます。そのため、サービサーが扱えない一般の売掛金でも利用できます。

出典・参考資料(2件)

委託先ごとの費用の目安

弁護士に依頼した場合の費用は、相談料・着手金・報酬金・実費で構成されるのが一般的です。かつては日本弁護士連合会(日弁連)が報酬基準を定めていましたが、2004年に廃止され、現在は各弁護士・事務所が自由に料金を設定しています。

そのため一律の相場はありませんが、多くの事務所が旧基準を参考に「着手金+回収額に応じた報酬金」という形をとっています。金額が小さい債権では費用倒れになりやすいため、依頼前に見積もりを取り、回収見込み額と費用を比べて判断することが欠かせません。

督促・回収の代行サービスの費用は、月額料金や送信件数に応じた従量課金、回収額に対する手数料率など、サービスによって体系が異なります。少額・多数の債権をまとめて督促したい場合や、社内の督促工数を減らしたい場合は、こうしたサービスの料金体系と自社の状況を照らして選ぶとよいでしょう。具体的な費用は各サービスの資料で確認できます。

督促・回収を効率化する方法(督促の自動化・回収代行)

回収手段のうち、社内で繰り返す督促の連絡は、専用のサービスで効率化・自動化できます。督促に手が回らない、回収を専門に任せたいという場合の選択肢です。ここでは、督促を電話・SMS・メール・郵送で自動化するサービスと、請求から回収まで代行するサービスを紹介します。

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サービス名DHKクラウドオートコールオーロラSMS by メディアSMS請求まるなげロボ債権回収ロボ
提供会社株式会社電話放送局株式会社メディア4u株式会社ROBOT PAYMENT株式会社ROBOT PAYMENT
タイプ督促連絡の自動化
(オートコールIVR)
督促連絡の到達手段
(SMS配信)
請求〜回収の代行
(売掛金保証つき)
督促・回収業務の自動化
(多チャネル督促)
主な督促・回収の手段電話(自動音声)
SMS・メール
SMSメール・電話
弁護士法人による対応
メール・SMS
オートコール・郵送
売掛金の保証××●100%保証(適格・与信通過債権)×
料金の目安初期50,000円〜/月額50,000円〜
(月1,000件まで、以降は従量)
初期0円・月額基本料0円
(送信単価は要問い合わせ)
月額利用料+手数料1.0%〜
(初期費用は要問い合わせ)
要問い合わせ
(料金は公式非開示)
向いているケース督促の電話連絡を自動化し
担当者の負担を減らしたい
電話がつながらない相手に
SMSで督促を届けたい
与信〜回収まで任せ
貸し倒れリスクを移したい
督促業務をチャネルごとに
自動化して効率化したい
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

ここで取り上げたのは代表的な4サービスです。依頼先タイプ別の選び方や費用相場、督促の自動化まで含めて、売掛金回収代行サービスをより広く比較検討したい場合は、以下の記事で主要サービスを一覧で比較しています。回収の外部委託やサービス導入を具体的に進めたい方は、あわせてご覧ください。

DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールのサービス紹介ページ

DHKクラウドオートコールは、株式会社電話放送局が提供する自動架電(オートコール)IVRサービスです。あらかじめ設定した音声案内でこちらから自動的に電話をかけ、入金案内や督促の連絡を人手をかけずに行えます。1時間に5,000件以上の架電に対応し、プッシュ操作による応答、音声認識、SMS・メールの送信、オペレーターへの転送まで組み合わせられます。

API連携で既存システムに自動架電機能を組み込めるほか、顧客管理システムとの連携やDB連携にも対応します。

料金は初期費用・月額費用がいずれも50,000円からで、月額には月間1,000件までの応答が含まれます。1,001件目以降は固定電話1件21円・携帯電話1件32円の従量課金です(別途、通話料などがかかる場合があります)。督促の電話連絡を自動化して、督促担当の負担を減らしたい企業に向いています。

もっとも、督促の連絡は自動化すれば済むというものではなく、案内の仕方しだいでトラブルにもなり得ます。同社の前田氏は、督促架電を設計するうえでの注意点を次のように話しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。

オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMS by メディアSMSのサービス紹介ページ

株式会社メディア4uが運営する法人向けSMS配信サービスが、オーロラSMS(メディアSMS)です。相手の携帯電話番号に直接メッセージを届けられるため、電話がつながらない・メールが開封されない相手にも、支払案内や督促の連絡を届けやすいのが特徴です。国内の携帯電話4キャリアと直接接続する設計で、検証試験にもとづく到達率は99.9%(受信拒否・圏外・電源オフを除く)とされています。

導入社数は7,500件を超え(2026年6月末時点、自治体を含む)、督促の連絡以外にも支払期日のリマインドや各種通知に使えます。督促を電話中心で行っていて連絡がつきにくい場合に、SMSを組み合わせて到達率を高める手段として活用できます。

請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボのサービス紹介ページ

督促だけでなく請求から回収までをまとめて外部に委ねたい場合の選択肢が、株式会社ROBOT PAYMENTの請求まるなげロボです。企業間取引の請求業務に特化し、与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までを代行します。自社の審査で与信を通過した適格債権については、売掛金を100%保証する点が特徴です。

未入金があった場合の督促は、メールや電話に加え、弁護士法人による対応まで同社が担います。回収できなかったリスクをサービス側に移せるため、督促の手間だけでなく貸し倒れの不安そのものを減らしたい企業に適しています。

債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのサービス紹介ページ

債権回収ロボは、同じ株式会社ROBOT PAYMENTが2026年3月に提供を開始した、未入金の督促・回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)に加え、2026年9月からは郵送も加えた4つのチャネルを組み合わせ、債務者の属性に応じた督促シナリオを自動で実行します。督促の状況や返信履歴は一元管理でき、どの相手にどの督促を行ったかを追いやすくなっています。

単独でも利用できるほか、同社の請求管理システムと連携させれば、請求から督促・回収までを一つの流れで管理できます。回収そのものを丸ごと任せる請求まるなげロボに対し、こちらは自社の督促業務をチャネルごとに自動化して効率を高めたい場合に向く、という違いがあります。

こうしたサービスを使わず、自社でSMSによる督促を行う場合は、送ってよい時間帯や文面に守るべきルールがあり、外すとかえってトラブルを招きます。適法なSMS督促の具体的なやり方やそのまま使える例文は、以下の記事で解説しています。

未回収を繰り返さないための予防

回収の手間を減らす最も確実な方法は、そもそも未回収を発生させないことです。今回の債権を回収したら、同じトラブルを繰り返さないために、取引の入り口と管理の仕組みを見直しておきましょう。

取引を始める前には、相手の支払い能力を確認する与信管理が有効です。決算情報や信用調査を参考に、取引先ごとに与信限度額を設けておくと、大口の焦げ付きを防げます。

契約書には、支払期日・遅延損害金・期限の利益喪失(分割払いが1回でも滞ったら残額を一括請求できる定め)・連帯保証などの条項を盛り込んでおくと、いざというときの回収がしやすくなります。公正証書で契約しておけば、支払われないときに裁判を経ずに強制執行へ進める点も、予防の観点で有効です。

日々の請求・入金管理では、入金予定と実績を突き合わせ、遅延をすぐ検知できる体制を整えることが重要です。取引先が増えて手作業での管理が難しくなってきたら、請求・入金管理や督促を自動化するサービスの導入も、未回収を防ぐ仕組みとして検討できます。

まとめ

債権回収の方法は、社内での催促から内容証明郵便、民事調停・支払督促・少額訴訟・通常訴訟といった裁判所の手続き、そして強制執行まで段階的に分かれています。どれを選ぶかは、金額・相手の支払う意思・証拠の有無・自社の人手によって決まります。少額なら自社対応や少額訴訟、争いがあり金額が大きければ弁護士への依頼と訴訟、という使い分けが基本です。

いずれの場合も、放置すれば原則5年で時効消滅する点、行き過ぎた取り立ては違法になり得る点は共通の注意事項です。また、社内で繰り返す督促の連絡は、電話・SMS・郵送を自動化するサービスや、回収まで代行するサービスで効率化できます。自社の状況に合った手段を選び、必要に応じて専門家やサービスの力を借りて、確実な回収につなげてください。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
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よくある質問(FAQ)

Q. 債権回収とは何ですか?

A. 債権回収とは、契約に基づいて支払われるべき代金(売掛金・工事代金・サービス料金など)が支払われないときに、その支払いを実現するための一連の対応です。社内での催促、内容証明郵便による督促、裁判所の手続き(民事調停・支払督促・少額訴訟・通常訴訟)、そして最終手段の強制執行まで、段階的な手段に分かれます。どれを選ぶかは、金額・相手の支払う意思・証拠の有無・自社にかけられる手間によって変わります。

Q. 債権回収に時効はありますか?

A. 債権回収には時効があり、売掛金や工事代金などの取引債権は、原則として支払期日から5年で時効により消滅します。民法では「権利を行使できると知った時から5年」「行使できる時から10年」のいずれか早い方で債権が消滅すると定められており、取引債権は支払期日に権利を行使できると分かっているのが通常なので、実務上は「支払期日から5年」で整理されます。

時効の完成が迫っているときは、内容証明による催告(6か月の完成猶予)や、裁判上の請求、相手による債務の承認などで進行を止められます。

出典・参考資料(1件)

Q. 内容証明郵便を送れば、相手に支払いを強制できますか?

A. 内容証明郵便そのものに、支払いを強制する法的な力はありません。内容証明で証明されるのは「いつ・誰が・誰あてに・どんな内容の文書を差し出したか」という事実だけです。

それでも実務で使われるのは、督促した証拠が残る、配達証明を付ければ相手に届いたことも証明できる、時効の完成を6か月先延ばしにする「催告」に当たる、といった効果があるためです。実際に支払わせる強制力は、最終的に裁判所の手続きと強制執行によって得られます。

出典・参考資料(2件)

Q. 債権回収では、少額訴訟と支払督促のどちらを選べばよいですか?

A. 少額訴訟は60万円以下の請求を原則1回の審理で早く判決まで進めたいとき、支払督促は金額の大小を問わず相手が金額や支払時期を争ってこない見込みのときに向きます。支払督促は相手を裁判所に呼ばず書類審査だけで進むため手続きが早い一方、相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てると通常訴訟に移行します。

相手が争ってくる可能性が高いなら、はじめから通常訴訟を検討したほうが結果的に早いこともあります。

出典・参考資料(2件)

Q. 一般の売掛金の回収を、サービサー(債権回収会社)に委託できますか?

A. 一般の事業者間の売掛金や工事代金は、原則としてサービサー(債権回収会社)に回収を委託できません。サービサーが業として回収できるのは、法律で定められた「特定金銭債権」(金融機関の貸付債権、リース料債権、クレジット債権など)に限られるためです。通常の売掛金の回収を外部に任せる場合の中心的な依頼先は弁護士で、繰り返す督促の連絡そのものは、督促・回収の代行サービスで効率化・自動化できます。

出典・参考資料(2件)

Q. 債権回収は自社で行うべきですか、外部に委託すべきですか?

A. 自社で行うか外部に委託するかは、金額・相手の支払う意思・証拠の有無・社内の人手の4点で判断します。金額が小さければ、費用をかけて依頼すると回収額を費用が上回る「費用倒れ」になりやすいため、自社対応や少額訴訟が現実的です。

金額が大きい・相手が争ってくる場合は、弁護士への依頼と訴訟が向きます。140万円以下の請求であれば、認定司法書士も簡易裁判所での代理・和解・支払督促などを担えます。繰り返す督促の連絡そのものは、電話・SMS・メール・郵送を自動化する督促代行サービスで社内の負担を減らせます。

出典・参考資料(2件)

Q. 支払いが遅れた分について、遅延損害金はどれくらい請求できますか?

A. 契約で利率を定めていない場合は、法定利率の年3%(2026年時点)で遅延損害金を請求できます。法定利率は3年ごとに見直されますが、2029年3月末までは年3%で据え置かれることが確定しています。契約書で遅延損害金の利率を定めていれば、その約定利率が優先されます。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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