取引先への売掛金が支払期日を過ぎても入金されないまま数か月が経つと、「このまま放置すると、いつか時効で回収できなくなるのではないか」という不安が頭をよぎります。
売掛金の消滅時効は、2020年の民法改正以降、原則として5年です。ただし、いつから数えるか(起算点)や、古い取引に適用される改正前のルール、時効の進行を止める手段までを正しく押さえておかないと、気づかないうちに回収の機会を失いかねません。
本記事では、売掛金の時効が何年か、いつから数えるか、時効を止めるにはどうすればよいか、そして時効が過ぎた後の扱いまでを、民法の条文を示しながら整理します。未回収の売掛金を回収する実務の進め方と、時効になる前に手を打つための対策もあわせて解説します。
目次
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売掛金の時効は原則5年
売掛金(取引で生じた代金の支払いを受ける権利)の消滅時効は、原則として5年です。一定期間、権利を使わずに放置すると、法律上その権利が消滅してしまう制度を消滅時効といいます。まずは、この「5年」がどこから来るのかを条文で確認します。
2020年の民法改正で職業別の短期時効が5年に統一された
2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法により、債権の消滅時効は原則5年に統一されました。改正前は、商品の売掛金は2年、工事の請負代金は3年というように、業種ごとに異なる「職業別の短期消滅時効」が定められていましたが、時効期間と起算点をシンプルに統一する趣旨からこれが廃止されました。売掛金の回収を考えるうえでは、まず「原則5年」を出発点に置いてかまいません。
「知った時から5年」と「行使できる時から10年」(実務ではほぼ5年)
民法166条1項は、債権の消滅時効を2つの起算点で定めています。1つは「権利を行使することができることを知った時から5年」(主観的起算点)、もう1つは「権利を行使することができる時から10年」(客観的起算点)です。
(債権等の消滅時効)
出典:民法第166条第1項|e-Gov 法令検索
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
売掛金の場合、取引先も自社も支払期日を把握しているのが通常なので、「知った時」と「行使できる時」は同じ時点になります。このため実務では、主観的起算点の5年で時効が完成すると考えておけば十分です。ここでは期間の長さ(5年か10年か)を押さえ、具体的にいつから数えるかは次章で確認します。
売掛金の時効はいつから数える?起算点と時効完成日の計算
ここからは、自社の売掛金がいつ時効に掛かるのかを、自分で計算できるように起算点を確認します。原則5年という期間も、どの日から数え始めるかが分からなければ完成日を特定できません。
起算点は支払期限の翌日(初日不算入)
売掛金の時効は、支払期限の翌日から数え始めます。支払期限が到来すれば代金を請求できる(権利を行使できる)状態になるためです。数え始めの日については、民法140条が「期間の初日は算入しない」と定めており、これを初日不算入といいます。支払期限当日は数えず、その翌日が起算日になります。
たとえば「2026年1月31日」が支払期限であれば、翌日の2026年2月1日から起算します。期間は起算日から5年後の応当日の前日に満了するため、時効が完成するのは支払期限のちょうど5年後にあたる2031年1月31日の経過時です。支払期限の日付にそのまま5年を足した日、と考えると分かりやすいでしょう。
出典・参考資料(1件)
支払サイト別の時効完成日の例と、期限がない場合・請負代金の考え方
自社の取引の支払条件に当てはめると、時効完成日は次のように整理できます。いずれも支払期限の翌日から5年です。
| 支払条件 | 月末締め・翌月末払い(1月納品) | 月末締め・翌々月末払い(1月納品) | 納品後○日以内など個別期日 |
|---|---|---|---|
| 支払期限の例 | 2026年2月28日 | 2026年3月31日 | 個別に定めた期日 |
| 起算日 | 2026年3月1日 | 2026年4月1日 | その翌日 |
| 時効完成の目安 | 2031年2月28日の経過時 | 2031年3月31日の経過時 | 期日の翌日から5年 |
支払期限を定めていない取引もあります。この場合、代金は原則として債権が成立した時点(取引を行った時点)から請求できるため、その時点を起算点として考えます。工事や制作などの請負代金は、民法633条が「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない」と定めており、成果物の引渡し時点が起算点の目安になります。
出典・参考資料(1件)
あなたの債権は2年?5年?改正前後の時効早見表
原則5年は2020年4月1日以降に生じた債権のルールです。それより前に生じた古い売掛金には、改正前の「職業別の短期消滅時効」が適用されることがあります。どちらが適用されるかは、債権が生じた時点(原因となる取引を行った時点)が基準です。
改正法の附則は、施行日前に生じた債権の消滅時効期間について「なお従前の例による」と定めています。つまり、2020年3月31日以前に生じた債権には旧法(職業別の短期時効)が、2020年4月1日以降に生じた債権には新法(原則5年)が適用されます。
(時効に関する経過措置)
出典:民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則第10条|衆議院
第十条 施行日前に債権が生じた場合……におけるその債権の消滅時効の援用については、新法第百四十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
4 施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。
改正前後で、代表的な売掛金の時効期間は次のように異なります。旧法の職業別短期時効は現在は削除されており、下表の2年・3年・1年が適用されるのは、2020年3月31日以前に生じた債権に限られます。
| 債権の種類 | 商品・産物の売掛金(卸売・小売など) | 工事に関する請負代金 | 飲食店・宿泊などの代金 | 上記以外の一般的な債権 |
|---|---|---|---|---|
| 改正前(2020年3月31日以前に生じた債権) | 2年(旧民法173条1号・現在は削除) | 3年(旧民法170条2号・現在は削除) | 1年(旧民法174条4号・現在は削除) | 原則10年 |
| 改正後(2020年4月1日以降に生じた債権) | 原則5年 | 原則5年 | 原則5年 | 原則5年 |
2020年施行から5年以上が経過しているため、現在発生している売掛金は原則5年で判断できます。数年前から未回収のまま残っている古い債権を扱う場合にのみ、改正前のルールが関わる可能性を確認しておけば十分です。
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時効を止める方法|「完成猶予」と「更新」の違いと選び方
時効の完成が近い、あるいは回収に時間がかかりそうな場合は、時効の進行に働きかけて完成を防ぎます。その手段は「完成猶予」と「更新」の2種類に分かれ、効果が異なります。まずこの違いを押さえると、自社の状況に合う手段を選べます。
完成猶予は、一定の間だけ時効の完成を先延ばしにする効果です。更新は、それまで進行していた期間をリセットし、ゼロから数え直させる効果です。2020年の改正前は「停止」「中断」と呼ばれていましたが、現在は停止が完成猶予、中断が更新に整理されています。
両者の効果の違いを図で整理すると、次のとおりです。

完成猶予(時効の進行を一時止める)
完成猶予には、仮差押え・仮処分、協議を行う旨の合意、そして次項で述べる催告があります。仮差押え・仮処分は、財産を確保する保全手続で、その事由が終了した時から6か月を経過するまで時効は完成しません(民法149条)。ただし、これ自体には更新の効果はありません。
相手と話し合いで解決を図りたい場合は、「権利についての協議を行う旨の合意」を書面で取り交わす方法があります。
(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
出典:民法第151条|e-Gov 法令検索
第百五十一条 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
この合意は書面(または電磁的記録)で行うことが要件です。再度の合意で延長もできますが、通算で5年を超えることはできません。相手が支払いの意思を示していて、話し合いの時間を確保したいときに向いています。
催告(内容証明)は6か月・1回限り
催告は、相手に支払いを求める意思表示です。内容証明郵便で送るのが一般的で、催告した時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されます。時効の完成が目前に迫ったときに、まず時間を確保するための手段として使えます。
(催告による時効の完成猶予)
出典:民法第150条|e-Gov 法令検索
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
注意したいのは、催告で得られる猶予は6か月・1回限りだという点です。条文の2項が定めるとおり、猶予されている間に再び催告しても効力はありません。この6か月の間に、次に述べる更新の手段(裁判上の請求など)へ進む必要があります。催告は「時効の完成を止める最終手段」ではなく、「本格的な手続きに移るまでの時間稼ぎ」と位置づけるのが正確です。
更新(経過期間をゼロに戻す)
更新は、それまで進行した期間をリセットする、より強い効果です。代表的な手段は、裁判上の請求(訴訟)・支払督促・強制執行・承認です。裁判上の請求や支払督促は、手続き中は完成が猶予され、確定判決などで権利が確定した時から新たに時効が進行します。
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
出典:民法第147条|e-Gov 法令検索
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する……までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法……による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
もっとも手軽な更新手段が「承認」です。承認とは、相手が債務の存在を認める行為で、売掛金の一部を支払う、残高確認書に署名・押印する、支払いの猶予を申し出るといった行為が該当します。承認があると、その時から時効が新たに進行を始めます(民法152条)。相手が債務を認めている段階であれば、書面で残高を確認しておくだけでも時効対策になります。
出典・参考資料(1件)
時効を止める手段の比較(費用・手続き・向いている状況)
ここまでの手段を、費用の目安・手続きの負担・向いている状況で一覧にすると次のとおりです。収入印紙などの具体的な金額は、請求額や申立方法(書面・電子)によって変わるため、正確な額は裁判所の手数料額早見表でご確認ください。
| 時効を止める手段 | 催告(内容証明郵便) | 協議を行う旨の合意(書面) | 仮差押え・仮処分 | 承認(一部弁済・残高確認書など) | 支払督促 | 少額訴訟 | 民事調停 | 通常訴訟 | 強制執行 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 効果 | 完成猶予(6か月・1回限り) | 完成猶予(最長1年・通算5年まで) | 完成猶予(6か月) | 更新(期間がリセット) | 完成猶予+更新(確定した場合) | 完成猶予+更新 | 完成猶予+更新(成立した場合) | 完成猶予+更新(確定判決で権利確定) | 更新 |
| 費用の目安 | 内容証明の郵便料(1,500円程度〜) | 実質的な費用なし(書面の作成のみ) | 申立手数料+担保金(請求額などに応じて必要) | 実質的な費用なし | 収入印紙(訴え提起より低額)+郵便料 | 収入印紙(通常の訴え提起と同額)+郵便料 | 収入印紙(訴訟より低額)+郵便料 | 収入印紙(請求額に応じて増加)+郵便料 | 申立手数料・執行費用(別途) |
| 手続きの負担 | 書面を送るのみ | 合意書の取り交わし | 裁判所へ保全の申立て | 相手の署名・入金など | 簡易裁判所へ書面申立て(書類審査のみ) | 原則1回の審理(60万円以下・年10回まで) | 調停委員を交えた話し合い | 期日への出頭・主張立証 | 債務名義(確定判決など)が必要 |
| 向いている状況 | 時効完成が目前で、まず時間を確保したい | 相手が支払意思を示し、話し合いの時間がほしい | 相手が財産を隠すおそれがあり、先に確保したい | 相手が債務を認めている | 相手が争う姿勢を見せず、早く債務名義を得たい(異議が出れば通常訴訟へ移行) | 60万円以下で、1回の審理で早期に解決したい | 関係を保ちながら話し合いで解決したい | 金額が大きい、または争いがある | 判決などを得ても支払われないとき |
※収入印紙の額は請求額と申立方法(書面・電子)により異なります。具体額は裁判所の手数料額早見表でご確認ください。
出典・参考資料(3件)
時効が過ぎたら本当に回収できない?援用と時効成立後の扱い
時効期間が過ぎても、それだけで売掛金が自動的に消えるわけではありません。ここでは、時効が完成した後の扱いと、経理・税務上の落とし所を確認します。
援用がなければ時効は確定しない(民法145条)
時効期間が経過しても、相手(債務者)が「時効の利益を受ける」という意思表示(援用)をしなければ、時効の効果は確定しません。逆にいえば、時効期間が過ぎていても、相手が援用しないうちに支払いを受けたり、相手が債務を承認したりすれば、回収の余地は残ります。
(時効の援用)
出典:民法第145条|e-Gov 法令検索
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
したがって、時効期間が過ぎていることに気づいても、すぐにあきらめる必要はありません。相手に連絡を取り、支払いや債務の承認を得られれば回収できる場合があります。ただし、相手が援用の意思を示した後は、原則として請求は認められなくなります。
回収できない売掛金の貸倒れの税務処理
回収の見込みがなくなった売掛金は、一定の要件を満たせば貸倒損失として損金に算入できます。国税庁は、貸倒損失として処理できる場合を次の3つに整理しています(実務ではそれぞれ「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」と呼ばれます)。
出典:No.5320 貸倒損失として処理できる場合|国税庁
- 金銭債権が切り捨てられた場合(会社更生法・民事再生法などの規定による切捨て、債権者集会の協議決定等による切捨て、債務超過が相当期間継続し弁済を受けられない場合に書面で明らかにした債務免除額)
- 金銭債権の全額が回収不能となった場合(債務者の資産状況・支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合。ただし担保物があるときは処分後)
- 一定期間取引停止後弁済がない場合等(取引停止時等から1年以上経過などの事実が発生した売掛債権について、備忘価額を控除した残額を損金経理できる)
時効で消滅した売掛金についても、これらの要件(全額が回収できないことが明らかである、など)に当てはまるかを個別に判断して処理することになります。要件の当てはめや処理時期は税務上の判断を伴うため、実際の計上にあたっては顧問税理士に確認することをおすすめします。
貸倒損失として処理できる3つの要件や、貸倒れが招く黒字倒産・税負担のリスクとその防ぎ方をより詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。
時効による経営上のリスク(放置と属人化)
売掛金を時効で失うことは、本来受け取れるはずだった売上をそのまま損失に変えてしまう事態です。「督促しづらい」「担当者任せで管理が見えない」といった理由で放置が続くと、気づかないうちに時効が完成しかねません。誰がいつどの取引先に督促したかを組織として把握できる状態にしておくことが、時効リスクを抑える前提になります。
未回収の売掛金を回収する実務フロー
ここからは、未入金が発生したときに、今日から何を・どの順で進めるかを整理します。各手段の費用や向き不向きは前章の比較表を参照してください。

初動|社内確認と取引先への連絡(請求書の状態で分岐)
まず、未入金が請求書の出し忘れや送付漏れによるものでないかを社内で確認することが第一歩です。請求書を発行していなかった場合は、自己判断で動かず、上司に報告したうえで速やかに発行・送付するのが基本です。すでに送付済みであれば、取引先に連絡して入金予定を確かめましょう。この段階で督促の記録(連絡日時・相手・内容)を残しておくと、後の手続きで役立ちます。
法的手段へ進む順序(内容証明→支払督促・少額訴訟・民事調停→強制執行)
連絡しても入金がない場合は、内容証明郵便による催告で時効の完成を止めつつ、支払いを正式に求めます。それでも解決しなければ、状況に応じて支払督促・少額訴訟・民事調停へ進みます。どの手段が自社の状況に向くか(費用・審理回数・相手が争ったときの流れ)は、前章の比較表で確認してください。なお、相手が支払督促に異議を申し立てた場合は、通常訴訟へ移行します。
判決や和解などで権利が確定しても支払われない場合は、強制執行によって相手の財産から回収する方法があります。相手が財産を隠すおそれがあるときは、訴訟の前に仮差押えで財産を確保しておくことも可能です。
出典・参考資料(2件)
初動の社内確認から法的手段、回収できないときの対処までを一つの流れとして通してつかみたい方は、売掛金回収の進め方を体系的にまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。
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未回収を繰り返さないための対策とサービス活用
時効を防ぐうえで実務の中心になるのは、督促を切らさず、その記録を残し続けることです。承認や催告で時効を止めるにも、いつ・誰に・どんな督促をしたかが記録として残っていることが前提になります。ここでは、督促や回収の負担を減らし、未回収の再発を防ぐための手段を紹介します。
手段は大きく2つの方向があります。1つは督促そのものを自動化し、履歴を一元管理して抜け漏れを防ぐこと。もう1つは、請求から回収までを外部に委託し、未回収リスク自体を軽減することです。
督促を自動化するといっても、案内の仕方ひとつでトラブルにつながりやすいのが督促業務です。督促・入金案内の自動化に取り組む電話放送局株式会社の前田氏は、その難しさについて次のように話します。

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。
回収業務そのものを専門の業者に任せる回収代行も有力な選択肢です。以下の記事では、売掛金回収代行サービスを依頼先タイプ別に比較し、選び方や費用相場、督促の自動化までを詳しく解説しています。委託先を幅広く見比べて検討したい方は、あわせてご覧ください。
以下は、ご紹介するサービスの比較表です。
| 督促自動化・回収代行サービスの比較 | 請求まるなげロボ | 債権回収ロボ |
|---|---|---|
| 提供形態 | 請求業務の代行+売掛金保証 | 督促・回収業務の自動化(SaaS) |
| 売掛金保証 | ●与信通過した適格債権に限り100%保証 | ×保証なし(督促の自動化に特化) |
| 与信審査の代行 | ●3営業日以内 | ×(対象外) |
| 督促チャネル | メール・電話 | メール・SMS オートコール(自動音声)・郵送 |
| 弁護士法人による督促 | ●未入金時に対応 | ×自動リマインドが中心 |
| 対応債権・対象 | 法人(BtoB取引の売掛金) | BtoB売掛金・BtoC消費者債権など 幅広い債権に対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 料金体系 | 月額利用料+手数料1.0%〜(個別算出) | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、企業間取引の請求業務を丸ごと引き受ける代行サービスです。与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までをまとめて任せられます。特徴は、同社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権について、売掛金を100%保証する点にあります。回収できるかどうかにかかわらず、指定の営業日に入金される仕組みのため、未回収リスクそのものを移転できます。
督促は同社の担当窓口によるメール・電話に加え、弁護士法人による対応まで含まれます。与信審査は3営業日以内で、手数料は1.0%からとされています(具体額は取引内容により個別算出)。100%保証の対象は与信を通過した適格債権に限られるため、与信を通過しなかった取引先の請求業務も同じプラットフォーム上で自社管理でき、両者を一元的に扱える点も実務的です。
債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

未入金の督促・債権回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送を組み合わせた督促シナリオを設計し、自動で実行します。債務者の属性や債権額に応じて督促の流れを分岐でき、督促状況や受信・返信の履歴を一元管理できるため、「いつ・誰に・どんな督促をしたか」を組織として把握できます。
時効対策の観点では、督促を切らさず記録を蓄積できることが、承認の取り付けや催告の証跡づくりの土台になります。郵送の督促状も、テンプレートを登録すれば印刷・封入・投函まで自動化できます。料金は要問い合わせで、既存の請求管理システムとAPI連携するオプションも用意されています。
まとめ
売掛金の消滅時効は、2020年の民法改正以降、原則5年です。起算点は支払期限の翌日で、初日は数えません。古い債権には改正前の職業別短期時効(商品代金2年など)が残ることがあるため、債権が生じた時点で新旧どちらのルールかを確認します。
時効の完成が近いときは、完成猶予(催告・協議合意・仮差押え)と更新(裁判上の請求・支払督促・承認)を状況に応じて使い分けます。催告は6か月・1回限りである点に注意し、その間に更新の手段へ進むことが重要です。時効期間が過ぎても、相手の援用がなければ確定しないため、あきらめずに連絡を取る余地もあります。
未回収を繰り返さないためには、督促を切らさず記録を残す運用が欠かせません。督促の自動化や、請求から回収までの外部委託も選択肢になります。自社の状況に合ったサービスの資料を取り寄せ、具体的な検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 売掛金の消滅時効とは何ですか?
A. 売掛金の消滅時効とは、代金を請求できる状態になってから一定期間、権利を行使しないまま放置すると、法律上その売掛金を回収する権利が消滅してしまう制度です。現行の民法では、売掛金の消滅時効は原則5年とされています(民法166条1項)。
ただし、時効期間が過ぎても売掛金が自動的に消えるわけではありません。相手(債務者)が「時効の利益を受ける」という意思表示(援用)をして初めて、時効の効果が確定します。
出典・参考資料(1件)
Q. 売掛金の時効は何年ですか?
A. 売掛金の時効は、2020年4月1日以降に生じた債権であれば原則5年です。2020年の民法改正で、それまで業種ごとに定められていた職業別の短期消滅時効(商品代金2年など)が廃止され、原則5年に統一されました。
正確には、民法166条1項が「権利を行使できることを知った時から5年」(主観的起算点)と「権利を行使できる時から10年」(客観的起算点)の2つを定めています。売掛金は取引先も自社も支払期日を把握しているのが通常のため、実務では5年で時効が完成すると考えておけば十分です。
出典・参考資料(1件)
Q. 売掛金の時効はいつから数え始めますか?
A. 売掛金の時効は、支払期限の翌日から数え始めます。支払期限が到来すれば代金を請求できる(権利を行使できる)状態になるためです。民法140条が「期間の初日は算入しない」(初日不算入)と定めているため、支払期限当日は数えず、その翌日が起算日になります。
たとえば支払期限が2026年1月31日であれば、翌日の2026年2月1日から起算し、5年後の2031年1月31日の経過をもって時効が完成します。支払期限を定めていない取引では、原則として取引を行った時点が起算点になります。
出典・参考資料(1件)
Q. 数年前の古い売掛金の時効は2年ですか、5年ですか?
A. 古い売掛金の時効は、その債権が生じた時点が2020年3月31日以前なら改正前の職業別短期時効(商品代金2年・工事の請負代金3年など)、2020年4月1日以降なら原則5年です。改正法の附則が「施行日前に生じた債権の時効期間はなお従前の例による」と定めているためです。
2020年の施行からすでに5年以上が経過しているため、現在発生している売掛金は原則5年で判断できます。改正前のルールが関わるのは、数年前から未回収のまま残っている古い債権に限られます。
Q. 売掛金の時効を止める方法はありますか?
A. 売掛金の時効を止める方法は、時効の完成を先延ばしにする「完成猶予」と、経過した期間をゼロに戻す「更新」の2種類があります。通常の口頭・メールでの請求だけでは時効は止まりません。
完成猶予には、内容証明郵便による催告(民法150条)や協議を行う旨の書面合意(同151条)があります。更新には、裁判上の請求・支払督促・少額訴訟・民事調停や、相手が債務を認める承認(一部弁済・残高確認書への署名など。同147条・152条)があります。とくに催告による猶予は6か月・1回限りで、繰り返しても延長されないため、その間に裁判上の請求などの更新手段へ進む必要があります。
出典・参考資料(1件)
Q. 時効の援用とは何ですか?
A. 時効の援用とは、時効によって利益を受ける相手(債務者)が「時効の利益を受ける」という意思表示をすることで、これがあって初めて時効の効果が確定します。民法145条は、当事者が援用しなければ裁判所は時効による裁判をすることができない、と定めています。
つまり、時効期間が経過しただけでは売掛金は消えず、相手が援用の意思を示すまでは回収の余地が残っています。逆に、相手が援用した後は原則として請求が認められなくなります。
出典・参考資料(1件)
Q. 売掛金の時効が過ぎたら、もう回収できませんか?
A. 売掛金の時効期間が過ぎても、相手が援用しないうちであれば、支払いを受けたり債務の承認を得たりして回収できる余地が残っています。時効期間の経過だけで売掛金が自動的に消滅するわけではないためです。
したがって、時効期間が過ぎていることに気づいても、すぐにあきらめる必要はありません。相手に連絡を取り、支払いや残高の確認(承認)を得られれば回収できる場合があります。ただし、相手が援用の意思を示した後は請求が認められなくなるため、援用される前に動くことが重要です。回収の見込みがなくなった売掛金は、一定の要件を満たせば貸倒損失として損金に算入できます(処理の可否は税理士に確認してください)。
Q. 請求書の出し忘れに気づいたら、どう対応すればよいですか?
A. 請求書の出し忘れに気づいたときは、自己判断で処理せず、まず上司に報告したうえで、速やかに発行・送付するのが基本です。取引先には丁寧にお詫びをし、送付が漏れていただけなら再送付、発行自体を忘れていたなら新規に発行します。
注意したいのは、請求書を後から送っても、それだけで時効の起算点が先延ばしになったり時効が止まったりするわけではない点です。時効は支払期限の翌日から進行するため、出し忘れが長期間続いていた場合は、時効の残り期間を確認し、必要なら催告や承認の取り付けなどの時効を止める手を検討します。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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