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支払督促とは?債権回収の費用・手続きの流れと使えるケース・使えないケースを解説

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に売掛金や請負代金を請求しても入金されず、電話やメールで督促しても支払いに応じてもらえない。そんなとき、訴訟まで起こすのは費用も手間も大きく、二の足を踏んでいる担当者は少なくありません。

こうした未収金の回収手段の一つが、簡易裁判所の「支払督促」です。書類審査だけで進み、相手が期間内に異議を出さなければ、最終的に強制執行まで踏み込める点が特徴です。

本記事では、支払督促がどのような手続で、自社の未収金の回収に使えるのかを、費用・手続きの流れ・必要書類・申立先から整理します。あわせて、督促異議や相手の行方不明といった「うまくいかないケース」、内容証明郵便や少額訴訟など他の回収手段との使い分けまで解説します。

読み終えたときに、支払督促を自社のケースで使うべきか、自分で申し立てるか専門家に任せるかを判断できる状態を目指します。

支払督促とは?

支払督促とは、金銭などの支払いを求める債権者の申立てに基づき、簡易裁判所の裁判所書記官が債務者に支払いを命じる略式の手続きです。訴訟のように法廷で争うのではなく、申立ての内容を書類だけで審査し、理由があると認められれば債務者に支払督促を送ります。裁判所は、その仕組みを次のように説明しています。

金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。

出典:支払督促|裁判所

大きな特徴は、債務者を審尋せず書類審査だけで発せられる点です。民事訴訟法でも「支払督促は、債務者を審尋しないで発する」(第386条第1項)と定められており、申立人は審理のために裁判所へ出向く必要がありません。手数料が通常の訴訟より抑えられることもあり、比較的少ない負担で債務名義(強制執行の根拠となる公的な文書)を得られる手段として使われています。

ただし、支払督促は「相手が異議を出さないこと」を前提に進む手続きです。債務者が異議を申し立てれば通常の訴訟に移行し、かえって時間と費用がかかる場合もあります。使いどころを見極めることが、この手続きを活かす鍵になります。

支払督促が使える債権と向くケース

ここからは、自社の未収金が支払督促の対象になるのか、どのような場面で向いているのかを確認します。あわせて、時効の完成が迫った債権で申立てが持つ効果にも触れます。

支払督促を利用できるのは、金銭や代替物、有価証券の一定の数量の給付を求める請求です。民事訴訟法第382条は、対象を次のように定めています。

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。

出典:民事訴訟法 第382条|e-Gov 法令検索

企業間取引で発生する売掛金・請負代金・貸付金の多くは、この「金銭の給付を目的とする請求」にあたります。一方で、条文のただし書が示すとおり、日本国内で公示送達によらずに書類を送達できる場合に限られる点は、後述する「向かないケース」に直結します。

支払督促が向いているのは、相手(債務者)の所在も請求金額もはっきりしていて、支払義務そのものに争いがない未収金です。契約書や請求書、納品記録などで請求内容を裏づけられ、相手が「払わない」だけの状態であれば、書類審査で進む支払督促の利点が活きます。逆に、金額や契約内容に食い違いがあり相手が争ってくることが予想される場合は、はじめから訴訟や調停を検討したほうが早いこともあります。

時効の完成猶予・更新の効果

見落とされがちですが、支払督促には債権の消滅時効を止める効果もあります。民法第147条は、時効の完成猶予・更新が生じる事由として「支払督促」を明示的に挙げています。

次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。/一 裁判上の請求 二 支払督促

出典:民法 第147条|e-Gov 法令検索

支払督促を申し立てると、その手続が続いている間は時効が完成しません。さらに、支払督促が確定判決と同一の効力を得て権利が確定すれば、時効はその時点から新たに進行を始めます(同条第2項)。更新後の期間は債権の性質によって異なるため一律ではありませんが、時効の完成が迫った債権について、回収と時効対策を同時に進められる点はメリットといえます。

支払督促にかかる費用

支払督促の費用面での利点は、「通常の訴訟より手数料が安い」とよく説明されます。ここでは、その正確な内訳を確認します。

裁判所に納める申立手数料は、①請求金額に応じた手数料の2分の1と、②郵便費用に相当する定額の合計です。民事訴訟費用等に関する法律の別表第一(支払督促の申立て)は、次のように定めています。

イ及びロに掲げる額の合算額/イ 請求の目的の価額に応じ、一の項イにより算出して得た額の二分の一の額/ロ 二千七百円(電子情報処理組織を使用する方法による申立てをする場合にあつては、二千五百円)

出典:民事訴訟費用等に関する法律 別表第一(一一の項)|e-Gov 法令検索

「一の項イ」が通常の訴え提起にかかる手数料(訴額に応じた額)です。支払督促ではその2分の1で済みます。「訴訟の半額」という説明はこの部分を指しています。ただし、それに加えて定額(書面申立てで2,700円、オンライン申立てで2,500円)が上乗せされる点は押さえておきましょう。つまり手数料の総額が一律に半分になるわけではありません。

また、従来は別に必要だった郵便費用は、現在は申立手数料に一本化されています。裁判所は次のように案内しています。

なお、従来必要であった郵便費用は、申立手数料に一本化されました。このため、支払督促の申立て手数料と郵便費用に相当する額(定額)を合わせた金額を納めていただきます。

出典:支払督促|裁判所

この仕組みを代表的な請求額にあてはめると、書面申立ての場合の申立手数料の目安は次のとおりです。

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50万円100万円300万円500万円
支払督促の申立手数料(書面申立て)5,200円7,700円12,700円17,700円

※請求額に応じた手数料の2分の1(別表第一 一の項イ)に定額2,700円を加えた額(2026年9月時点)。オンライン申立てなら定額が2,500円となり、上記より200円安くなります。別途、切手代などがかかる場合があります。

請求額ごとの正確な手数料は、裁判所の支払督促の案内ページからたどれる手数料の早見表でも確認できます。少額の未収金ほど手数料の負担割合は小さく、早い段階で手を打つほど費用倒れを避けやすい手続きといえます。

支払督促の手続きの流れ・必要書類・申立先

ここからは、実際に何を用意して、どこに申し立て、どのように進むのかを順に見ていきます。

申立てから強制執行までの流れ

支払督促は、申立てから強制執行まで段階を追って進みます。まず申立てがあると裁判所書記官が審査し、支払督促が発せられると債権者に発付通知、債務者に支払督促が送達されます。債務者は受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てられ、異議があれば通常訴訟に移行します。全体の流れと各段階の期限は、次の図のとおりです。

支払督促の手続きの流れを時系列で示した図。STEP1申立て、STEP2審査・発付・送達、STEP3督促異議の期間2週間(異議が出ると民訴法395条により通常訴訟へ移行)、異議がなければSTEP4仮執行宣言の申立て(送達の翌日から2週間目の翌日から30日以内、30日を過ぎると失効)、STEP5仮執行宣言付支払督促の送達後さらに2週間、STEP6確定・強制執行。申立てから強制執行まではおおむね1〜2か月が目安。

債務者が異議を出さない場合、債権者は、支払督促が送達された日の翌日から起算して2週間目の翌日から30日以内に、仮執行宣言の申立てをします。この点は民事訴訟法でも次のように定められています。

債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、電子支払督促に手続の費用額を併せて記録して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。

出典:民事訴訟法 第391条第1項|e-Gov 法令検索

条文に「電子支払督促」とあるのは、2026年(令和8年)5月21日から督促手続がオンライン化され、支払督促が電磁的記録として作成・送達されるようになったためです。仮執行宣言が付された支払督促が送達され、そこからさらに2週間の不変期間が過ぎると、債務者は異議を申し立てられなくなり(民事訴訟法第393条)、債権者は強制執行を申し立てられます。

ただし、仮執行宣言を申し立てられる時から30日以内に申立てをしないと、支払督促は効力を失う(同法第392条)ため、債権者側の期限管理も必要です。

異議が出ず送達もスムーズに進んだ場合、申立てから強制執行を申し立てられる段階まで、おおむね1〜2か月程度が一つの目安です。相手への送達の状況や書類のやり取りによって前後します。

申立てに必要な書類

申立ては、支払督促申立書を作成・提出して行います。申立書には、支払いを命じる旨のほか、請求の趣旨および原因、当事者や法定代理人を記載する必要があります(民事訴訟法第387条)。請求の内容や当事者を特定できるよう、契約書・請求書・納品書などの資料をもとに作成します。

企業間取引の典型例では、申立書に加えて、当事者が法人であれば代表者の資格を証明する書類(登記事項証明書など)を用意します。契約書や請求書といった請求の裏づけ資料も、申立書の記載を組み立てる際に手元に揃えておくとよいでしょう。

具体的に必要となる添付書類は、申立先の簡易裁判所や請求内容によって異なります。各簡易裁判所に定型の書式が用意されているため、申立て前に裁判所の案内や書式を確認しておくと確実です。

どこの簡易裁判所に申し立てるか

支払督促の申立先は、原則として債務者(相手方)の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官です。民事訴訟法第383条第1項は次のように定めています。

支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。

出典:民事訴訟法 第383条第1項|e-Gov 法令検索

自社の所在地ではなく相手の住所地が基準になる点に注意が必要です。相手が遠方の場合、後述の督促異議で訴訟に移行すると、その地の裁判所で対応することになります。また、複数の債務者に対してまとめて申し立てることは、原則としてできません。

裁判所によれば、関連裁判籍(民事訴訟法第7条)に基づく申立先は認められません。共同訴訟の要件(同法第38条前段)を満たしても、それぞれの債務者の申立先が共通でなければ、併合して申し立てられないとされています。相手ごとに申立先が分かれる点は、複数の未収先をまとめて処理したい場合の制約になります。

オンライン申立てと令和8年5月以降の申立方法変更

2026年(令和8年)5月21日以降は、申立ての方法が広がりました。裁判所は次のように案内しています。

令和8年5月21日以降は、書面及び督促手続オンラインシステムによる申立てに加え、mints を利用してオンライン提出することができるようになりました(電子申立て)。なお、弁護士等の訴訟代理人には、電子申立てが義務付けられています。

出典:支払督促|裁判所

従来からの書面申立てと督促手続オンラインシステムに加え、民事裁判書類電子提出システム(mints)による電子申立てが利用できます。弁護士などの訴訟代理人には電子申立てが義務づけられています。自社で申し立てる場合の具体的な手順や書式は、裁判所の案内ページから確認できます。

支払督促が向かないケースと使う前に知っておきたい注意点

支払督促は万能ではありません。使う前に、うまく進まない典型的なケースと確定後の効力の限界を理解しておくことが、費用や時間の空振りを防ぎます。まずは、手続きの段階ごとに起こりうる3つの落とし穴を整理します。

1. 督促異議が出ると通常訴訟に移行する

最も起こりやすいのが、債務者による督促異議です。適法な督促異議があると、支払督促の手続きは終了し、通常の訴訟に移行します。民事訴訟法第395条は次のように定めています。

適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。

出典:民事訴訟法 第395条|e-Gov 法令検索

移行先は請求金額に応じて簡易裁判所または地方裁判所となり、原則として法廷での審理が始まります。異議は理由の有無を問わず出せるため、相手が支払いを渋って形式的に異議を出すだけでも訴訟に移ってしまいます。相手が争ってくる見込みが高い債権では、支払督促を経ることで結果的に手間が増える場合がある点に注意が必要です。

2. 行方不明の相手には使えない

支払督促は、書類が相手に送達されて初めて効力が生じます。そして、相手の所在が分からない場合に使う「公示送達」は、支払督促では認められていません(民事訴訟法第382条ただし書)。

相手の住所・居所・営業所などが不明で送達できないときは、裁判所書記官から債権者に通知があります。通知を受けた日から2か月以内に別の送達場所を申し出ないと、申立てを取り下げたものとみなされます(同法第388条第3項)。

つまり、相手が夜逃げ・所在不明になっている債権では、支払督促は前に進みません。この場合は、公示送達が使える通常訴訟など、別の手段を検討することになります。

3. 相手の財産が分からないと差押えが空振りする

支払督促が確定すると、確定判決と同一の効力を持ち、強制執行の根拠となります。民事訴訟法第396条は次のように定めています。

仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。

出典:民事訴訟法 第396条|e-Gov 法令検索

ただし、強制執行で実際に回収するには、差し押さえる相手の財産(預貯金口座・売掛金・不動産など)を債権者側が特定する必要があります。相手の財産が分からなければ、支払督促が確定しても差押えは空振りに終わります。回収の見込みは、支払督促そのものよりも、相手にどれだけ財産があり、それを把握できるかに左右される点は理解しておきましょう。

確定しても既判力はなく、後から争われる余地がある

支払督促の確定が持つ「確定判決と同一の効力」は、強制執行を可能にする効力(執行力)を指します。通常訴訟の確定判決と異なり、支払督促には既判力(後から同じ争点を蒸し返せなくする効力)は生じないと解されています。

そのため債務者は、請求異議の訴え(民事執行法第35条)によって、支払督促の確定前に生じていた事由でも争える余地があります。相手が本格的に争う姿勢を見せている場合は、この違いも踏まえて手段を選ぶ必要があります。

出典・参考資料(1件)

他の債権回収手段との使い分け

債権回収の手段は支払督促だけではありません。相手の反応や請求金額、争いの有無に応じて、内容証明郵便から訴訟、専門家への委託まで選択肢があります。主な手段の特徴を整理します。

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内容証明郵便による督促支払督促少額訴訟民事調停通常訴訟弁護士・回収代行への委託
向いている場面まず任意の支払いを促したい初期段階相手・金額が明確で、争いがない未収金60万円以下の金銭請求を早く解決したい場合話し合いで分割払いなどの合意を目指したい場合金額が大きい、または相手が争ってくる場合自社で対応する余力がない、督促を専門家に任せたい場合
主な特徴支払いを書面で正式に求め、時効の完成猶予(催告)にもなる。強制力はない書類審査のみで進み、確定すれば強制執行が可能。異議が出ると訴訟に移行原則1回の期日で結審する簡易な訴訟。60万円を超える請求には使えない調停委員を交えた話し合い。合意できれば調停調書に基づき強制執行が可能証拠に基づき権利を確定できる。行方不明の相手にも公示送達で対応できる督促から法的手続きまで代行を依頼できる。費用・報酬が発生する
費用・手間の目安小さい小〜中中中大中〜大

※各手段の一般的な特徴を整理したものです。実際の適否は請求金額や相手の状況により異なります。

このうち少額訴訟は、請求金額が少額の場合に支払督促と並んで検討されます。民事訴訟法第368条第1項は「訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴え」について少額訴訟を求められると定めており、原則として最初の期日で審理を終える(同法第370条第1項)簡易な手続きです。

相手が争ってくる可能性があるなら、異議で訴訟に移る支払督促よりも、初めから少額訴訟や通常訴訟で判断を得たほうが早い場合もあります。

支払督促は「相手が争わない」前提で費用と手間を抑えられる手段であり、争いがある債権や相手が行方不明の債権では他の手段が適します。自社の未収金がどの状況にあるかを見極めて選ぶことが大切です。

これらの手段は、実際にはどの順番で試し、相手が応じないときにどう次の一手へ進めるかが回収の成否を分けます。以下の記事では、入金遅延に気づいた直後の初動対応から、内容証明・支払督促・少額訴訟といった法的手段の使い分け、時効や回収できなかったときの対処までを一連の流れとして整理しています。目の前の未収金がどの段階にあるか迷ったときにご覧ください。

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自分で申し立てるか、専門家に任せるか|督促・回収を仕組み化する方法

支払督促は、書式が定型化されているため自社で申し立てることも可能です。一方で、督促異議による訴訟移行や、相手の財産の把握、時効の管理まで含めると、弁護士や回収代行サービスに任せる選択肢も現実的です。どこまで自社で対応し、どこから外部に委ねるかは、未収金の金額と社内のリソース次第です。

弁護士や回収代行に依頼する場合は着手金や成功報酬が発生し、費用は事務所やサービスによって異なります。回収できる見込み額と費用が見合うか(費用倒れにならないか)も、依頼を検討するうえでの判断材料になります。

さらに、支払督促のような法的手続きに進む前に、督促そのものを仕組み化・代行して回収率を高める方法もあります。未払いになった債権への督促を多チャネルで自動化したり、請求から回収・督促までを代行(未回収リスクの移転を含む)したりするサービスです。

ここでは、そうした「法的手続きの前段」で使えるサービスを紹介します。いずれも支払督促の手続き自体を代行するものではなく、その前段の督促・回収業務を効率化・代行する位置づけである点にご留意ください。

もっとも、督促の連絡を自動化するといっても、案内の仕方によってはかえって相手とのトラブルにつながることもあります。督促・入金案内へのオートコール(自動音声による架電)活用に取り組む事業者は、自動化にあたって留意すべき点を次のように述べています。

前田氏
電話放送局株式会社 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。

まずは、ご紹介するサービスの比較表です。

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サービス名請求まるなげロボ債権回収ロボ
提供会社株式会社ROBOT PAYMENT株式会社ROBOT PAYMENT
役割請求〜回収の代行+売掛保証督促業務の自動化(SaaS)
督促チャネルメール・電話・
弁護士法人による対応
メール・SMS・
オートコール(IVR)・郵送
売掛金保証●与信通過した適格債権を100%保証×
初期費用要問い合わせ要問い合わせ
月額・手数料月額利用料+手数料1.0%〜要問い合わせ
対象法人間取引(BtoB)督促業務全般(BtoB・BtoC)
詳細情報公式資料を見るミーティングを予約する

請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボの公式サイト

請求まるなげロボは、企業間取引の請求業務をまるごと引き受ける請求代行サービスです。与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、そして督促までを株式会社ROBOT PAYMENTが代行します。売掛金の回収サイクルに特化している点が、記帳や決算まで請け負う総合的な経理代行との違いです。

特徴は、自社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した取引先について、売掛金の入金を100%保証する点です。取引先からの入金を待たずに、毎月5営業日までに依頼した請求分は当月末に支払われる運用のため、資金繰りの見通しも立てやすくなります。

督促は、担当窓口からのメール・電話に加え、弁護士法人による対応まで含まれます。未払いが発生したときに専門家の督促まで任せられる体制は、支払督促のような法的手続きに進む前の、督促・回収の前段を担う選択肢になります。

ただし、保証の対象は与信を通過した適格債権に限られます。与信を通過しなかった取引先については保証されず、請求書の発行・送付や入金管理を同じ画面で自社管理する形になります。手数料は1.0%〜(請求内容により個別に算定)で、月額利用料と合わせて発生します。「未回収をすべて防げる」わけではなく、あくまで与信を通した取引の回収リスクを移せるサービスとして理解しておきましょう。

債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボの公式サイト

債権回収ロボは、未入金の督促業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送の4つのチャネルを組み合わせ、債務者の属性や債権額に応じた督促シナリオを設計して自動で実行します。属人化しやすく心理的な負担も大きい電話や郵送の督促を標準化し、督促の状況や返信履歴を一元管理できます。

決済手段や過去の支払い履歴に基づいて催促のタイミングを決める仕組みを備え、この技術で特許を出願しています。対象とする債権に限定はなく、公式の導入事例では、自社リース・割賦の債権や決済代行事業者の加盟店向け未収金といった企業間取引の回収に加え、個人向けサブスクリプションの月額利用料回収でも使われています。請求管理システムと連携させれば、未収債権を自動で抽出して督促シナリオを回すこともできます。

支払いに応じてもらえない段階で法的手続きに進む前に、多様なチャネルで粘り強く督促して回収率を高めたい企業に向いています。料金は要見積もりで、導入時に個別に確認する形です。

ここで取り上げたのは2サービスですが、督促の自動化から請求・回収の代行まで、未収金対策に使えるサービスは数多くあります。以下の記事では、依頼先のタイプ別の選び方や費用相場、督促の自動化まで含めて幅広く比較しています。回収体制そのものの見直しを検討する際の参考にご覧ください。

まとめ

支払督促は、書類審査だけで進み、通常の訴訟より手数料を抑えて債務名義を得られる、債権回収の有力な手段です。相手も金額も明確で、支払義務に争いのない未収金であれば、費用と手間を抑えて強制執行までの道筋をつけられます。時効の完成を止める効果もあります。

一方で、督促異議が出れば通常訴訟に移行し、相手が行方不明では手続きが進まず、相手の財産が分からなければ差押えは空振りに終わります。相手が争ってくる見込みや、金額の大きさによっては、少額訴訟や通常訴訟、専門家への委託のほうが適する場面もあります。自社の未収金がどの状況にあるかを見極めて、手段を選ぶことが回収への近道です。

また、法的手続きに至る前の日々の督促・回収を仕組み化すれば、未回収そのものを減らせます。督促の自動化や、与信から回収・保証までの代行といったサービスも、回収体制を見直す選択肢として検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 支払督促とは何ですか?

A. 支払督促とは、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てに基づいて債務者に金銭の支払いを命じる略式の手続きです。訴訟のように法廷で争うのではなく書類審査だけで進み、相手が受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言を経て強制執行まで踏み込めます。売掛金・請負代金・貸付金など、金銭その他の代替物・有価証券の一定の数量の給付を求める請求に利用できます(民事訴訟法第382条)。

出典・参考資料(2件)

Q. 支払督促は自分で(弁護士に依頼せず)申し立てられますか?

A. 支払督促は、弁護士に依頼せず債権者が自分で申し立てることも可能です。各簡易裁判所に定型の申立書式が用意されており、支払いを命じる旨のほか請求の趣旨・原因や当事者を記載して提出します(民事訴訟法第387条)。

ただし、相手から異議が出て通常訴訟に移行した場合の対応や、差押えの前提となる相手の財産の把握、時効の管理まで含めると、弁護士や回収代行に任せる選択肢も現実的です。未収金の金額と社内で割けるリソースを踏まえて判断してください。

出典・参考資料(2件)

Q. 相手が支払督促を無視するとどうなりますか?

A. 相手が支払督促を無視して2週間以内に異議を出さない場合、債権者は仮執行宣言を申し立てられ、最終的に相手の財産へ強制執行できます。支払督促の送達から2週間以内に督促異議がなければ、債権者の申立てにより裁判所書記官が仮執行宣言を付し(民事訴訟法第391条第1項)、これが確定すると支払督促は確定判決と同一の効力を持ちます(同法第396条)。

相手が無視しても手続きが前に進む点が支払督促の強みです。ただし実際に回収するには、差し押さえる相手の財産(預貯金・売掛金・不動産など)を債権者側で特定する必要があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 支払督促に相手が異議を申し立てたらどうなりますか?

A. 相手が適法な督促異議を申し立てると、支払督促の手続きは終了し、自動的に通常の訴訟へ移行します(民事訴訟法第395条)。移行先は請求金額に応じて簡易裁判所または地方裁判所となり、原則として法廷での審理が始まります。

異議は理由の有無を問わず出せるため、相手が支払いを渋って形式的に異議を出すだけでも訴訟に移ってしまいます。相手が争ってくる見込みが高い債権では、支払督促を経ることでかえって時間がかかる場合がある点に注意してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 支払督促と少額訴訟はどちらを選べばよいですか?

A. おおまかには、相手が支払いを争わない見込みなら支払督促、金額が60万円以下で確実に判決を得たいなら少額訴訟が向きます。少額訴訟は請求額が60万円以下の金銭支払いに限られ(民事訴訟法第368条第1項)、原則として最初の期日で審理を終える簡易な手続きです。

支払督促は請求額の上限がなく書類審査だけで進みますが、相手が異議を出すと通常訴訟に移行します。相手が争ってくる可能性があるなら、異議で振り出しに戻る支払督促よりも、初めから少額訴訟や通常訴訟で判断を得たほうが早いこともあります。

出典・参考資料(1件)

Q. 支払督促で債権の時効を止められますか?

A. 支払督促には、申立てによって債権の消滅時効の完成を猶予し、確定すれば時効を更新(新たに進行を開始)させる効果があります。民法第147条は、時効の完成猶予・更新が生じる事由として「支払督促」を明示的に挙げています。時効の完成が迫った未収金では、回収と時効対策を同時に進められる点がメリットです。ただし更新後の新たな時効期間は債権の性質によって異なるため、一律ではありません。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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