円安やインバウンドの広がりを背景に、日本の食品を海外の消費者へ直接販売する「越境EC」に取り組む事業者が増えています。農林水産省によると、2024年の農林水産物・食品の輸出額は過去最高を更新し、海外で日本食への関心が高まっていることがうかがえます。
一方で、いざ食品を海外に売ろうとすると「どの方法で始めればよいのか」「自社の商品は海外で売れるのか」「各国の輸入規制やラベル表示は何に気をつければよいのか」といった疑問に突き当たります。食品は一般物販と違い、相手国ごとの食品衛生・検疫のルールや、賞味期限・温度管理といった物流の制約が関わるため、準備すべきことが多い分野です。
本記事では、食品を海外に売るための販売手段の違いと選び方、海外で売れやすい食品の条件、どの国・地域を狙うか、各国の輸入規制と「送れないもの」、食品ならではの物流と賞味期限管理、そして規制対応や物流を外部に任せる選択肢までを整理します。自社が越境ECに参入できるか、何から着手すべきかを判断する材料としてご活用ください。
目次
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食品の越境ECとは?市場規模と拡大の背景
食品の越境ECとは、日本の事業者が海外の消費者に向けて、インターネットを通じて食品を直接販売する取り組みを指します。現地に法人や店舗を構えなくても、オンラインで海外の購入者に商品を届けられる点が特徴です。
市場は拡大を続けています。農林水産省が公表した2024年の輸出実績では、農林水産物・食品の輸出額が過去最高を更新しました。
2024年の農林水産物・食品の輸出額は、1兆5,073億円となり、初めて1.5兆円を超えました。
出典:2024年の農林水産物・食品の輸出実績|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/250204.html)
この金額は12年連続の増加で、輸出先は米国・香港・台湾が上位を占めます。アジアを中心に、北米でも日本食への需要が根強いことが背景にあります。越境ECは、こうした海外需要に対して、実店舗の出店より小さな初期投資で参入できる手段です。
食品を海外で売る4つの販売手段と選び方
ここからは、食品を海外に売るための代表的な販売手段を整理します。販売手段は大きく4つに分かれます。海外モールへの出店(Amazon・天猫国際〈Tmall Global〉・Shopeeなど)、自社サイトの越境EC対応、購入代行・転送サービスの活用(既存サイトにタグを設置する方式など)、越境EC支援会社への委託の4つです。いずれも初期費用や手間、規制・物流対応を誰が担うかが異なります。
以下は、4つの販売手段を比べた一覧です。
| 販売手段 | 海外モールへの出店 | 自社サイトの越境EC対応 | 購入代行・転送サービスの活用 | 越境EC支援会社への委託 |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用・手数料の目安 | 出店料・月額費用+販売手数料がかかる | サイト構築・多言語化の費用+決済手数料 | 低コストで始めやすい(手数料は仕組みによる) | 見積り・成果報酬など(支援範囲による) |
| 手間・社内リソース | 出品・受注・問い合わせ対応を自社で担う | 構築・運用・海外発送の体制づくりが必要 | 小さい。既存サイトに機能を追加する形が多い | 小さい。戦略から運用まで任せられる |
| 規制・物流対応を誰が持つか | 出店者(自社)。モールの基準にも従う | 自社。設計の自由度が高い分、責任も大きい | サービス側が代行・仲介する部分が大きい | 支援会社が代行・支援する範囲が広い |
| 向いている事業者 | 集客力のある市場で自力運営したい事業者 | ブランドを自社主導で育てたい事業者 | まず小さく海外販売を試したい事業者 | ノウハウを社内に持たず本格参入したい事業者 |
※費用・手数料の目安は手段ごとの一般的な傾向です。実際の金額や対応範囲は各モール・各サービスの公式情報をご確認ください。
選び方の目安は、社内に越境ECのノウハウや人員がどれだけあるかです。自力で運用できる体制があるなら海外モール出店や自社サイトの越境対応が候補になり、少人数で小さく試したいなら購入代行・転送サービスが向きます。規制対応や多言語・物流まで含めて本格的に取り組みたいものの社内リソースが足りない場合は、越境EC支援会社への委託が現実的です。
食品は後述する輸入規制や賞味期限管理の負担が大きい分野です。どこまでを自社で担い、どこからを外部に任せるかを早い段階で見極めておくと、立ち上げがスムーズになります。
自力での運用を考えていて、海外モールに出すか自社サイトを越境対応にするかで迷う場合は、両者の費用のかかり方や運営の自由度の違いを押さえておくと選びやすくなります。モール型と自社EC型の仕組みと費用相場、選び方は以下の記事で詳しく整理しています。
越境ECプラットフォーム比較|モール型・自社EC型の違いと費用・選び方を解説
国内市場の頭打ちを背景に、自社の商品を海外の消費者へ販売する越境ECに乗り出す事業者が増えています。いざ始めようとすると、Amazonのような海外モールに出すのか、Shopifyのような自社サイトを立てるのか、出店先となるプラットフォームの…
海外で売れやすい食品の条件と売れ筋カテゴリ
ここでは、海外で売れやすい食品の条件と、実際に輸出が伸びている品目を整理します。すべての食品が越境ECに向くわけではなく、輸送や保存のしやすさが売上を左右します。
海外へ送りやすく、売れやすいとされる食品には次のような共通点があります。
- 常温で保存・配送できる:冷蔵・冷凍が不要な食品は、送料と手続きを抑えやすく参入のハードルが低くなります。
- 賞味期限が長い:国際配送には時間がかかるため、残りの賞味期限に余裕のある食品が扱いやすくなります。
- 軽量・小型:重量や容積が小さいほど送料を抑えられ、価格競争力を保ちやすくなります。
- 日本らしさ・地域性がある:現地では手に入りにくい日本ならではの食品や地域限定品は、価格が多少高くても選ばれやすい傾向があります。
- 訪日客に人気がある:日本旅行で味わった食品は、帰国後に再購入されることがあり、越境ECのリピート需要につながります。
農林水産省の2024年の輸出統計では、品目別の輸出額はアルコール飲料(日本酒・ウイスキーなど)が約1,337億円で最も多くなっています。次いでホタテ貝が約695億円、牛肉が約648億円と続き、緑茶(約364億円)やソース混合調味料、菓子なども上位の品目です。ただしこれは大口取引を含む輸出全体の金額で、すべてが越境ECで扱いやすいとは限りません。
ただし、ホタテ貝や牛肉のような生鮮・冷蔵の品目は温度管理が必要で、水産物は後述する産地規制の対象にもなります。越境ECで取り組みやすいのは、このうち常温で日持ちし軽量な菓子・調味料・飲料・茶・酒類といった、前述の条件に合うサブセットです。
出典・参考資料(2件)
- 出典:2024年の農林水産物・食品の輸出実績|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/250204.html)
- 出典:2024年農林水産物・食品の輸出実績(品目別)|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/attach/pdf/zisseki-295.pdf)
日本の食品はどの国・地域で売れるか(狙う市場)
続いて、どの市場を狙うかを考えます。狙う市場によって、求められる輸入規制への対応や人気の商品が変わるため、早い段階で方向性を定めておくと準備が進めやすくなります。
前述のとおり日本の食品の輸出先は米国・香港・台湾が上位です。なかでもアジア太平洋地域は、日本からの距離が近く輸送期間を抑えやすいうえ、日本食への親しみが強い市場が多いことから、食品の越境ECで最初に狙いやすいエリアです。
米国は市場規模が大きい一方で、後述するFDA(米国食品医薬品局)への対応が必要になります。欧州は日本食の人気が高まっていますが、表示規則などのルールが細かく、準備に時間がかかる傾向があります。
まずは日本食への需要が見込めるアジア圏で実績を作り、体制が整ってから米国・欧州へ広げるという進め方が、負担を抑えやすい選択肢の一つです。市場ごとの最新動向や支援制度は、日本貿易振興機構(JETRO)が国・地域別に情報を公開しています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:2024年の農林水産物・食品の輸出実績|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/250204.html)
- 参考資料:農林水産物・食品の輸出(越境EC)|日本貿易振興機構(JETRO)(https://www.jetro.go.jp/industrytop/foods/crossborder_ec/)
各国の食品輸入規制・ラベル表示と「送れないもの」
食品の越境ECで最大の関門が、相手国ごとの輸入規制とラベル表示です。「各国で異なる」とだけ覚えておくのではなく、主要国の制度名まで押さえておくと、どこで止まる可能性があるかを事前に見積もれます。ここからは代表的な国の制度を具体的に見ていきます。
各国で異なる輸入規制(制度名で押さえる)
ここでは、食品の輸出先として検討されることが多い米国・中国・EUを例に、押さえておきたい制度を見ていきます。各国で押さえるべき制度の違いを整理すると、次のとおりです。

米国(FDAの施設登録と事前通知)
米国向けに食品を販売する場合、FDA(米国食品医薬品局)への対応が必要です。まず、米国で消費される食品を製造・加工・包装・保管する施設は、海外(日本)の施設であってもFDAへの施設登録(Food Facility Registration)が求められ、登録は2年ごとの更新が必要です。根拠は連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)第415条です。
さらに、食品を米国に輸入する際には、到着前にFDAへ内容を知らせる「事前通知(Prior Notice)」が必要です。
この仕組みの根拠は、2002年に成立した「Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002(通称バイオテロ法)」です。同法は、米国の食品供給を脅かす事態から公衆を守るための追加措置をFDAに求めています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:Prior Notice of Imported Foods|U.S. Food and Drug Administration(https://www.fda.gov/industry/fda-import-process/prior-notice-imported-foods)
- 出典:Registration of Food Facilities|U.S. Food and Drug Administration(https://www.fda.gov/food/guidance-regulation-food-and-dietary-supplements/registration-food-facilities-and-other-submissions)
中国(GACCへの企業登録と産地の制限)
中国向けに食品を輸出する場合、海外の製造企業は中国税関総署(GACC)への登録が必要です。登録の枠組みは2022年施行の海関総署令第248号を経て、2026年6月1日施行の第280号令が現行の制度となり、推薦が必要な17分類をリスクに応じて管理する仕組みに再編されました。日本の輸出者向けには、制度変更を追跡・解説しているJETROの手引きが参照先として役立ちます。
日本産水産物をめぐっては、産地に関わる規制が近年見直されました。中国は2023年8月に日本産水産物の輸入を全面停止していましたが、2025年にこの措置が見直されています。
2023年8月24日に発表していた「日本水産物の輸入全面停止に関する公告」(税関総署公告2023年第103号)は廃止となった。
出典:中国、日本産水産物の輸入全面停止を解除|JETROビジネス短信(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/06/641d5594626feebb.html)
ただし全面的に元どおりになったわけではありません。福島・群馬・栃木・茨城・宮城・新潟・長野・埼玉・東京・千葉の10都県産の水産物は引き続き輸入が停止されており、それ以外の産地も、日本の公的機関が発行する衛生証明書などの提出と、輸出企業の中国での再登録が条件となります。「中国は日本の食品を全面的に禁輸している」という以前の理解は現状と異なるため、最新の条件を必ず確認してください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中国 食品の輸出に必要な手続き|日本貿易振興機構(JETRO)(https://www.jetro.go.jp/worldtop/asia/cn/export/foods/e-proc/)
EU・その他主要国(ラベル表示の規則)
EU(欧州連合)向けには、消費者向けの食品情報の表示を定める「食品情報規則(Regulation (EU) No 1169/2011)」への対応が必要です。同規則の第9条は、ラベルに表示すべき必須事項を定めています。
- 食品の名称/原材料のリスト
- アレルゲン(附属書IIに掲げる原材料)
- 内容量/賞味期限または消費期限
- 保存条件・使用条件/事業者の名称と住所
- (該当する場合)原産地/アルコール度数/栄養成分表示
これらは現地の言語での表示が求められるため、ラベルの多言語化は越境ECの準備で避けて通れません。EU以外の国でも、表示言語や記載項目の要件はそれぞれ異なるため、仕向け国ごとに最新のルールを確認する必要があります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:Regulation (EU) No 1169/2011, Article 9(https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2011/1169/oj)
送れないもの・輸出が難しい食品
食品の中には、相手国の動物衛生・検疫の要件により輸出が難しいものがあります。特に、食肉や食肉加工品、乳製品、卵、一部の生鮮食品は、仕向け国の検疫条件を満たさないと輸出できないことが多く、国によっては個人向けの小口輸送を認めていない品目もあります。
輸出できるかどうかは「品目×仕向け国」の組み合わせで決まり、同じ商品でも送れる国と送れない国があります。取り扱う商品がどの国に送れるかは、農林水産省の輸出入・動植物検疫の情報や、相手国の当局・輸入条件で事前に確認してください。原材料に食肉や乳が含まれる加工食品も対象になり得るため、レシピ単位での確認が安全です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:動物検疫所|農林水産省(https://www.maff.go.jp/aqs/)
アレルゲン表示と宗教・文化への対応
アレルゲンの表示は、多くの国で義務づけられています。前述のEUの食品情報規則でも、附属書IIに掲げられた原材料をアレルゲンとして明示することが求められます。表示すべき品目や表記の方法は国ごとに異なるため、仕向け国の基準に合わせたラベルを用意します。
加えて、宗教や食文化への配慮も売上を左右します。イスラム圏ではハラル(イスラム法で許された食品)への対応が購入の前提になることがあり、ベジタリアンやビーガンに配慮した原材料表示が好まれる市場もあります。使用している原材料や添加物が相手国で認められているかとあわせて、ターゲット市場の食文化に合うかどうかも確認しておきましょう。
国際的な食品基準・認証(HACCP・CODEX)
各国の食品衛生のルールの土台になっているのが、国際的な食品基準です。CODEX(コーデックス委員会)は、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で設ける国際的な食品規格・ガイドラインの集まりで、各国の制度の参照元になっています。
衛生管理の手法として広く使われるHACCP(ハサップ)も、このCODEXが示す「食品衛生の一般原則」に収められています。輸出先によってはHACCPに基づく衛生管理が取引の条件になることがあるため、自社の製造工程がどの基準に対応しているかを把握しておくと、商談や審査がスムーズになります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:Codex Alimentarius|FAO/WHO(https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/)
食品ならではの物流と賞味期限管理
規制に対応できても、商品を良い状態で届けられなければ食品の越境ECは成り立ちません。ここでは、温度管理・賞味期限・通関という食品特有の物流の勘所を整理します。
常温・冷蔵・冷凍と配送方法の選び方
食品は温度帯によって配送の難易度と費用が変わります。常温で送れる商品は国際宅配便や国際郵便で扱いやすく、費用も抑えやすいのが利点です。一方、冷蔵・冷凍が必要な商品は、定温を保てる配送網や通関に時間のかからないルートが必要になり、対応できる事業者や便が限られます。まずは常温品から始め、冷蔵・冷凍品は専用の物流網を持つ事業者と組んで広げる、という段階的な進め方が現実的です。
賞味期限の残日数と在庫設計
国際配送や現地での通関には時間がかかるため、賞味期限には余裕を持たせる必要があります。モールや輸入業者によっては、入荷時点で賞味期限の一定割合以上が残っていることを条件とする場合があり、条件は販売チャネルや仕向け国ごとに異なります。利用するモール・物流事業者の受け入れ要件を事前に確認し、賞味期限の長い商品を中心に据える、現地在庫を持つ場合は回転を見込んで発注する、といった在庫設計が欠かせません。
通関と必要書類
食品の輸出では、インボイス(送り状)やパッキングリストに加え、商品や仕向け国によって成分表、製造工程の説明、衛生証明書、原産地証明書などの提出が求められます。書類に不備があると通関で止まり、賞味期限を圧迫する原因になります。必要書類は「品目×仕向け国」で変わるため、取引のある物流事業者や通関業者、JETROなどに早めに相談し、商品ごとに必要な書類を洗い出しておくと安心です。
相手国の規制だけでなく、日本側の対応も忘れないようにします。品目によっては国内でも手続きや証明書の取得が必要になる場合があるため、何から着手すべきか分からないときは、JETROや各地の輸出支援窓口に相談すると、自社の品目に必要な準備を整理できます。
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自社対応か委託か——越境EC支援サービスという選択肢
ここまで見てきたとおり、食品の越境ECは、販売手段の選定に加えて各国の規制対応・ラベルの多言語化・温度帯別の物流・通関と、準備すべきことが広範にわたります。これらをすべて自社だけで担うのは負担が大きいため、サイト運営や物流、現地対応などを引き受ける越境EC支援サービスを活用する選択肢があります。
ただし任せられる範囲はサービスごとに異なり、戦略から物流まで一気通貫で担うものもあれば、特定の国やチャネルに特化したものもあります。
自社に不足しているのが「人手」なのか「現地の規制・物流のノウハウ」なのかを見極め、足りない部分を委託すると、立ち上げの失敗を避けやすくなります。
ここでは、食品の越境ECで活用できる代表的なサービスを紹介します。
WeChatミニプログラムFor中国越境EC(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブの「WeChatミニプログラムFor中国越境EC」は、中国市場に絞って販路を作りたい事業者向けのサービスです。中国で広く使われるメッセージアプリWeChat上に、アプリのインストール不要で使えるミニプログラムとして越境ECの店舗を構築し、出店・決済・配送の仕組みをまとめて用意できます。
中国の消費者が普段使うアプリの中で購入まで完結させられるため、集客から決済までの導線を一つにまとめられる点が特徴です。食品を扱う店舗の構築事例もあり、中国向けのチャネルを手早く持ちたい場合の選択肢になります。支援の中心はWeChat上の店舗構築・決済・配送連携で、食品の輸出手続きや中国側の輸入規制対応は含まれないため、その部分は自社または別の専門家で手当てする前提で検討してください。
GMOグローバルEC(GMOグローバルEC株式会社)

戦略立案からサイト構築・多言語対応・集客・物流までを一気通貫で任せたい事業者には、GMOグローバルEC株式会社の越境EC支援があります。越境EC支援を手がけ、農林水産省や自治体の輸出支援とも連携してきた会社です。
自社の物流サービスでは、冷凍・冷蔵品を含む国際配送や通関に対応しており、温度管理が必要な食品も扱える点が、食品を扱う事業者に適しています。はちみつメーカーの山田養蜂場など、食品分野での支援実績もあります。「何から手をつければよいかわからない」という段階から相談したい場合に適しています。
エフカフェ(株式会社エフカフェ)

中国の大手モール「天猫国際」などへの出店・運営代行を手がけるのが、株式会社エフカフェです。中国市場に本格的に参入したい事業者に向けて、現地での販売に必要な税関登録や物流の手配まで支援します。
物流では、保税区を使う方式と日本の倉庫から直送する方式の両方に対応しており、商材や販売計画に合わせて使い分けられます。ヤクルト本社など、食品・飲料分野での支援実績もあり、中国向けに運営まで任せたい場合の選択肢になります。
WorldShopping BIZ(株式会社ジグザグ)

まず小さく海外販売を試したい事業者には、株式会社ジグザグの「WorldShopping BIZ」が入り口として使いやすいサービスです。既存の自社ECサイトにタグを設置するだけで、海外の消費者が購入できるようにする購入代行型の仕組みで、サイトを作り直さずに越境対応を始められます。
海外発送や現地決済はサービス側が仲介するため、少ない手間と低コストで海外販売を始められる点が特徴です。食品に特化したサービスではないため、まずは常温で送れる商品で海外需要を確かめ、本格展開では食品の物流に強いサービスと組み合わせる、という使い方が向いています。
以下は、ご紹介した越境EC支援サービスの比較表です。
| サービス名 | WeChatミニプログラム For中国越境EC | GMOグローバルEC | エフカフェ (F-CAFE) | WorldShopping BIZ |
|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ | GMOグローバルEC株式会社 | 株式会社エフカフェ | 株式会社ジグザグ |
| 支援範囲(任せられること) | WeChatミニプログラム上の店舗構築・出店、WeChatPay決済、国際物流パートナー連携までを委託 (食品の輸出手続き・中国の輸入規制対応は公式に記載なし) | 戦略立案から海外モール出品代行・自社EC構築(Magento・Shopify)・越境物流・集客までを一気通貫で委託 | 中国モールへの出店・運営代行。税関登録・物流設計・広告運用・現地CSまでを日本語ワンストップで委託 | 既存ECにタグ1行を追加し、海外購入者向けの購入代行・国際配送・多言語決済・CSを委託(購入代行型) |
| 対応市場・地域 | 中国(WeChat) | 米国・欧州・アジアなど (eBay等の海外モール・自社EC・中国モール向け配送) | 中国 (天猫国際・JD国際・小紅書・抖音) | 228の国と地域 |
| 食品の取扱・物流対応 | 国際物流パートナー連携(倉庫保管型/注文都度発送型)。食品の販売事例あり(「富士山優品直購」) 温度帯対応は公式に記載なし | 物流サービスj-Logiが冷凍・冷蔵品の国際配送・通関に対応。はちみつメーカー山田養蜂場などの支援実績 | 保税区モデルと日本倉庫からの越境直送の両方に対応。ヤクルト本社など食品・飲料の支援実績 | 国際配送・通関を代行。食品特有の温度帯対応や食品の支援実績は公式に記載なし |
| 料金体系(目安) | 初期555,000円/月額500,000円(公式は要問い合わせ) 15日間の無料トライアルあり | makeshop連携なら初期・月額0円 直接契約は月額33,000円〜 構築・物流は要問い合わせ | 市場調査200,000円〜 初期費用2,500,000円〜 月額は要問い合わせ | 初期33,000円/月額5,500円 事業者の売上手数料なし (購入代行手数料10%は海外購入者が負担) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・支援範囲は各社公式情報等による(2026年10月時点)。最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。
ここで取り上げたのは、食品を扱える代表的なサービスの一部です。越境EC代行には、サイト構築に強いタイプ、集客から運営まで任せられるタイプ、特定の国や商材に特化したタイプなどがあり、支援範囲や費用相場にも幅があります。食品に限らず越境EC代行全体を見比べて委託先を選びたい方は、以下の記事で各社の違いと費用相場、選び方を詳しく解説しています。
越境EC代行おすすめ19選|構築・運営代行・特化型の違いと費用相場・選び方
海外の消費者に自社商品を売りたい。そう考えて情報を集め始めると、越境ECには多言語対応や海外決済、国際配送、関税や現地の商習慣といった、国内ECにはない壁がいくつも立ちはだかることに気づきます。これらを自社だけで乗り越えるのは負担が大きく、…
まとめ
食品の越境ECは、拡大する海外需要に小さな初期投資で参入できる手段ですが、一般物販とは異なり、相手国の輸入規制やラベル表示、賞味期限・温度管理といった食品ならではの関門があります。
進め方を整理すると、次のようになります。
- 販売手段を選ぶ:社内のノウハウと人員に合わせて、海外モール出店・自社サイトの越境対応・購入代行・委託から選ぶ。
- 売れる商品・市場を見極める:常温で日持ちし日本らしさのある商品を軸に、まずはアジア圏から狙う。
- 規制と物流に備える:仕向け国ごとの輸入規制・表示・検疫を制度名まで確認し、温度帯と賞味期限に合った物流を組む。
- 足りない部分は委託する:規制対応や物流のノウハウが社内に無ければ、越境EC支援サービスの活用を検討する。
自社の商品と体制に合った手段を選び、準備すべき点を一つずつ押さえていけば、食品の越境ECは着実に進められます。本記事を、参入の判断と最初の一歩の検討材料としてお役立てください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 食品の越境ECとは何ですか?
A. 食品の越境ECとは、日本の事業者がインターネットを通じて海外の消費者に食品を直接販売する取り組みです。現地に法人や店舗を構えなくても、オンラインで海外の購入者に商品を届けられます。一般の物販と違い、相手国ごとの食品衛生・検疫のルールや、賞味期限・温度管理といった物流の制約が関わる点が、食品ならではの特徴です。
Q. 食品の越境ECは個人や小規模な事業者でも始められますか?
A. 食品の越境ECは、個人や小規模な事業者でも始められます。既存の自社ECサイトにタグを設置して海外販売に対応する購入代行型の仕組みなど、初期費用を抑えて小さく試せる手段があるためです。ただし食品は相手国の輸入規制やラベル表示、賞味期限の管理が関わるため、まずは常温で日持ちする商品を少量から試し、需要を確かめながら体制を広げると無理がありません。
Q. 食品の越境ECの費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は選ぶ販売手段によって大きく異なり、購入代行・転送サービスは低コストで始められる一方、海外モール出店や支援会社への委託はその分の費用がかかります。
モールの出店料・月額費用や販売手数料、自社サイトの構築・多言語化の費用、決済手数料に加え、食品では国際送料や規制対応(ラベルの多言語化・各種証明書の取得)のコストも見込む必要があります。
本記事で紹介した越境EC支援サービスでも、月額数千円程度から始められるものから、初期・月額とも数十万円規模のものまで幅があります。商品単価に対して送料の割合が大きくなりやすいため、価格設定とあわせて早めに試算しておくと安心です。
Q. 食品の越境ECで海外に送れない食品にはどんなものがありますか?
A. 食肉・食肉加工品、乳製品、卵、一部の生鮮食品は、相手国の動物衛生・検疫の条件を満たせず送れないことが多い食品です。送れるかどうかは「品目×仕向け国」の組み合わせで決まり、同じ商品でも送れる国と送れない国があります。
原材料に食肉や乳が含まれる加工食品も対象になり得るため、取り扱う商品がどの国に送れるかは、農林水産省の動物検疫・植物検疫の情報や相手国の輸入条件で、レシピ単位で事前に確認してください。
Q. 食品の越境ECでは賞味期限はどのくらい残っている必要がありますか?
A. 全チャネル共通のルールはありませんが、モールや輸入業者が入荷時点で賞味期限の一定割合以上を残すよう求めることが多く、賞味期限の長い商品ほど扱いやすくなります。国際配送や現地での通関には時間がかかり、残日数を消費するためです。
受け入れの条件は販売チャネルや仕向け国ごとに異なるので事前に確認し、賞味期限に余裕のある商品を中心に据える、現地に在庫を置く場合は回転を見込んで発注する、といった在庫設計で売れ残りを防ぎます。
Q. 冷凍食品や冷蔵食品も越境ECで販売できますか?
A. 冷凍食品や冷蔵食品も越境ECで販売できますが、定温を保てる配送網と通関の速いルートが必要になり、対応できる事業者や便は常温品より限られます。その分、送料や温度管理の負担も大きくなります。まずは常温で送れる商品から始め、冷凍・冷蔵品は温度管理に対応した物流網を持つ事業者や越境EC支援会社と組んで広げる、という段階的な進め方が現実的です。
Q. 中国に食品を売るには今どんな手続きが必要ですか?
A. 中国向けに食品を輸出するには、海外の製造企業が中国税関総署(GACC)に登録するのが基本で、水産物など産地に関わる規制がある品目は追加の条件を満たす必要があります。
日本産水産物は2023年8月の輸入全面停止措置が2025年に見直されましたが、福島・宮城など10都県産は引き続き輸入が停止され、それ以外の産地も衛生証明書の提出と中国での再登録が条件です(各国の規制の詳細は前述のとおりです)。制度は変更が続いているため、JETROなどで最新の条件を必ず確認してください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中国、日本産水産物の輸入全面停止を解除|JETROビジネス短信(https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/06/641d5594626feebb.html)
- 参考資料:中国 食品の輸出に必要な手続き|日本貿易振興機構(JETRO)(https://www.jetro.go.jp/worldtop/asia/cn/export/foods/e-proc/)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















