受託開発やWeb制作、コンサルティングなど、案件単位で仕事を請け負うビジネスでは、月次ではなんとなく黒字でも「どの案件で儲かって、どの案件が赤字なのか」が見えにくくなりがちです。気づいたときには不採算の案件が利益を削っていた、という事態を避けたいと考える経営者や管理部門の担当者は少なくありません。
その解決の第一歩が、プロジェクト(案件)ごとに原価を集計して採算を見える化する「プロジェクト原価管理」です。ただ、いざ取り組もうとすると「具体的に何を原価として集計し、どう計算すればよいのか」でつまずくことが多いものです。
本記事では、プロジェクト原価管理とは何かという定義から、原価に含める費目の分け方、個別原価計算の具体的な手順、1案件を数字で追う計算例までを順を追って解説します。あわせて、Excel(表計算ソフト)で始める場合とシステムを導入する場合の使い分け、プロジェクト原価管理システムを選ぶときの観点も整理します。
自社の案件に当てはめながら、採算を把握する仕組みづくりを具体的に進めていきましょう。
目次
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プロジェクト原価管理とは
プロジェクト原価管理とは、案件(プロジェクト)ごとにかかった原価を集計し、案件単位で採算(利益が出ているか)を把握する管理手法です。会社全体や部門全体の損益を一定期間で見る通常の原価管理とは異なり、「この案件はいくらで受注し、いくら原価がかかり、どれだけ利益が残ったか」を1件ずつ明らかにする点に特徴があります。
この考え方は、会計の世界で「個別原価計算」と呼ばれる計算方法に基づいています。企業会計審議会が定める原価計算基準は、個別原価計算を次のように定めています。
個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。個別原価計算にあつては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。
出典:原価計算基準 三一(個別原価計算)|企業会計審議会 昭和37年11月8日中間報告(全文はウィキブックスに収録)
もともとは製造業で、1つずつ異なる製品を受注生産する場面を想定した計算方法です。受託開発・制作・コンサルティングのように「1件ずつ内容の異なる案件を個別に請け負う」ビジネスは、この「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態」と性質が重なります。そのため、1案件を1つの原価計算の単位ととらえ、個別原価計算の考え方を当てはめて採算を管理するのがプロジェクト原価管理です。
なぜ案件単位で原価を管理するのか
案件単位で原価を管理する目的は、不採算の案件を見逃さないことにあります。会社全体の月次決算が黒字でも、その中には利益率の高い案件と、赤字の案件が混ざっているのが実態です。全体の数字だけを見ていると、赤字案件が黒字案件の利益で埋め合わされ、問題が表面化しません。
案件ごとに原価と売上を突き合わせれば、どの案件・どの顧客・どの業務が利益を生み、どこで損失が出ているのかが見えます。これにより、見積りの精度向上や、採算の合わない案件の条件見直し、次回以降の単価改善といった具体的な打ち手につなげられます。プロジェクト原価管理は、こうした経営判断の土台となる数字を整える取り組みです。
プロジェクト原価の費目分類(直接費・間接費)
案件の原価を集計するには、まず「何を原価に含めるか」を整理する必要があります。原価計算基準では、原価の要素を発生の形態に応じて材料費・労務費・経費の3つに分け、さらに特定の案件に直接ひもづけられるかどうかで、直接費と間接費に分類します。
原価計算基準は、この直接費と間接費の分類を次のように定めています。
製品との関連における分類とは、製品に対する原価発生の態様、すなわち原価の発生が一定単位の製品の生成に関して直接的に認識されるかどうかの性質上の区別による分類であり、原価要素は、この分類基準によつてこれを直接費と間接費とに分類する。
出典:原価計算基準 八(製造原価要素の分類基準)|企業会計審議会 昭和37年11月8日中間報告(全文はウィキブックスに収録)
プロジェクト原価に当てはめると、直接費は特定の案件のためにかかったと特定できる費用、間接費は複数の案件に共通してかかり、特定の案件だけには紐づけられない費用です。
プロジェクト型のビジネスでは材料費の比重が小さいため、ここでは労務費・外注費・経費を中心に整理します。
| 費目 | 直接労務費 | 直接外注費 | 直接経費 | 間接労務費 | 間接経費(共通費) |
|---|---|---|---|---|---|
| 区分 | 直接費 | 直接費 | 直接費 | 間接費 | 間接費 |
| プロジェクト原価での具体例 | 案件を担当した社員の人件費(作業時間×人件費単価で算出) | その案件のために発注した外注・業務委託の費用 | 案件専用に購入した材料・交通費・サーバー利用料など | 複数案件を見る管理者・間接部門の人件費 | オフィス賃料・水道光熱費・全社共通のツール費用など |
プロジェクト型のビジネスでは、製造業のように材料費が大きくなることは少なく、担当者の作業時間に対応する労務費と、外部へ発注する外注費が原価の中心になります。このうち直接費は案件に直接ひもづけられますが、間接費は「どの案件にいくら負担させるか」を一定のルールで割り振る必要があります。この割り振りを配賦(はいふ)と呼び、プロジェクト原価管理の難しさの一因になります。
プロジェクト原価管理の進め方(個別原価計算の手順と予実差異分析)
ここからは、案件ごとに原価を集計する具体的な手順を解説します。原価計算基準が定める個別原価計算は、費目別→部門別→製品別の3段階で集計します。プロジェクト原価管理では、この製品別の集計を案件(プロジェクト)別に読み替え、費目別に集計し、次に部門別に振り分け、最後に案件別に集計するという流れで進めます。

①費目別に集計する
最初の段階は、一定期間に発生した原価を費目ごとに集計することです。原価計算基準は、この費目別計算を「原価計算における第一次の計算段階」と位置づけています。労務費・外注費・経費といった費目ごとに、その期間にいくら発生したかを集計します。
このうち、特定の案件に直接ひもづく直接費は、発生のつど、または定期的に整理してその案件に割り当てます。たとえば直接労務費は、担当者がその案件に費やした作業時間に人件費単価(賃率)を掛けて計算します。原価計算基準の三二も、直接労務費は「当該指図書に関する実際の作業時間又は作業量に、その賃率を乗じて計算する」と定めており、作業時間の把握がプロジェクト原価管理の出発点になります。
人件費単価(賃率)は、対象期間の人件費を就業時間で割って求めるのが基本です。たとえば、給与・賞与・法定福利費を含めた年間の人件費を、年間の就業時間で割れば、1時間あたりの単価が算出できます。担当者ごとに個別の単価を出すか、役職やグレードごとの標準的な単価を使うかは、管理の手間と精度のバランスで決めます。
②部門別に振り分ける
2段階目は、費目別に集計した原価のうち、特定の案件に直接ひもづけられない間接費を、いったん部門ごとに集計する手続きです。原価計算基準は、補助部門にかかった費用を適切な配賦基準によって各部門へ割り振り、部門ごとの原価を計算すると定めています。
ただし、部門別計算は製造業の工場を想定した手続きで、少人数の受託企業ではこの段階を簡略化したり省略したりすることも少なくありません。自社の規模や組織に応じて、どこまで細かく部門を分けるかを決めます。重要なのは、間接費を最終的に案件へ割り振る前の中間整理として、このステップがあると理解しておくことです。
③プロジェクト別に振り分ける(配賦)
最後の段階で、直接費を各案件に割り当て、間接費を配賦基準に従って各案件へ振り分け、案件ごとの総原価を確定します。原価計算基準は、間接費を原則として予定配賦率によって各案件(指図書)に配賦すると定めています。
配賦基準には、各案件に投入した直接作業時間の比率や、担当人数の比率などを使います。たとえば間接費を直接作業時間の比率で割り振る場合、作業時間の長い案件ほど間接費を多く負担します。どの基準を使うかは、間接費の性質と自社の実態に合わせて決めるもので、原価計算基準の三三も配賦基準の具体的な数値までは定めず、間接費の発生と関連のある適当な基準によるとしています。
間接費の配賦は、最初から完璧に行う必要はありません。まずは直接費(直接労務費・外注費・直接経費)だけを案件ごとに集計して案件別の粗利を把握し、運用が定着してから間接費の配賦に段階的に進める方法もあります。間接費の割合が小さいうちは、直接費ベースの採算把握でも十分な判断材料になります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:原価計算基準(企業会計審議会 昭和37年11月8日中間報告)費目別計算(九)・直接費の賦課(三二)・間接費の配賦(三三)|ウィキブックス(全文)
実行予算と実際原価を比べて予実差異を分析する
案件の原価を集計できたら、見積り段階で立てた予算(実行予算)と、実際にかかった原価(実際原価)を比べ、差異を分析します。予算より実際の原価が膨らんだ案件は、作業時間が見込みを超えたのか、外注費が増えたのか、原因を切り分けて次の打ち手を考えます。
この予実差異の分析は、案件が完了した後だけでなく、進行中にも行うことに意味があります。進行中に予算超過の兆しをつかめれば、追加の作業指示や要員配置を見直し、赤字になる前に手を打てます。完了後の差異は、次回の見積り精度を高める材料になります。
【計算例】1案件の原価を数字で追う
手順だけではイメージしにくいため、1つの受託開発案件を例に、原価を数字で追ってみます。以下の金額は説明のための仮の数値です。自社の案件に置き換えて、計算の流れをつかんでください。
前提は、受注額300万円の開発案件を1か月で進めるケースです。
- 直接労務費:エンジニア2名が合計400時間作業。平均の人件費単価を3,500円/時とすると、400時間×3,500円=1,400,000円
- 直接外注費:デザインを外部へ発注し500,000円
- 直接経費:この案件専用のサーバー・交通費などで100,000円
ここまでの直接費の合計は、1,400,000円+500,000円+100,000円=2,000,000円です。次に間接費を配賦します。配賦基準を直接作業時間の比率とし、当月の全社の間接費が1,000,000円、全社の直接作業時間の合計が2,000時間だったとします。全社の間接費総額は会計データから、全社の直接作業時間は工数データから集計します。この案件が負担する間接費は次のように求められます。
1,000,000円×(400時間÷2,000時間)=200,000円
これで、この案件の総原価は、直接費2,000,000円+配賦した間接費200,000円=2,200,000円と確定します。受注額300万円に対して、利益は3,000,000円−2,200,000円=800,000円、利益率は約26.7%です。

さらに、見積り段階の実行予算で直接労務費を1,200,000円と見込んでいたとすると、実際は1,400,000円かかっており、200,000円の予算超過です。原因は作業時間が見込みを超えたことにあり、工数の管理精度や次回の見積りの妥当性を見直す手がかりになります。このように、費目の集計から配賦、予実差異までを一貫して追うことで、案件の採算と改善点が具体的に見えてきます。
業態別に見るプロジェクト原価の構造
プロジェクト原価の内訳は、同じ案件型ビジネスでも業態によって偏りが異なります。どの費目が原価の中心になるかを把握しておくと、自社に合った管理のしどころが見えてきます。
- 受託開発・システム開発:エンジニアの作業時間に対応する労務費が原価の中心になりやすい業態です。工数の把握と労務費への換算の精度が、案件採算を大きく左右します。
- Web・広告・映像制作:社内の制作工数に加え、外部のクリエイターや制作会社への外注費の比重が大きくなりやすい業態です。外注費を案件ごとに正しくひもづけることが要点になります。
- コンサルティング:コンサルタントの稼働時間に対応する労務費がほぼ全てを占めやすく、工数の管理がそのまま採算管理に直結します。
- 建設・設計・工事:労務費に加えて、資材などの材料費や協力会社への外注費、現場ごとの経費など、費目が多岐にわたりやすい業態です。費目を漏れなく案件へひもづける管理が求められます。
いずれの業態でも、費目を直接費と間接費に分け、案件ごとに集計するという基本は変わりません。ただし、どの費目に管理の重点を置くかは業態で異なるため、自社の原価構造を踏まえて仕組みを設計することが大切です。
プロジェクト原価管理が難しい理由と対処
プロジェクト原価管理は考え方こそ明快ですが、実務で続けるにはいくつかの壁があります。つまずきやすい理由と、その対処をあわせて整理します。
1つ目は、労務費が原価の大きな割合を占め、その把握が難しいことです。労務費は作業時間に単価を掛けて計算するため、誰がどの案件に何時間使ったかという工数データがなければ正確に出せません。日々の工数入力が形骸化すると、原価の精度も下がります。対処として、工数を後からまとめて思い出して入力するのではなく、日次で入力する運用を定着させることが前提になります。
2つ目は、複数の案件が同時並行で進むことです。1人の担当者が複数案件を掛け持ちすると、作業時間や経費をどの案件に割り当てるかの判断が増え、手作業では追いきれなくなります。案件ごとにコードを振り、入力時に必ず案件を指定する運用を徹底することで、集計の手間とミスを減らせます。
3つ目は、間接費の配賦基準をどう決めるかです。配賦基準に唯一の正解はなく、間接費の性質に応じて、直接作業時間の比率や担当人数の比率などから自社に合うものを選びます。基準を一度決めたら継続して同じ基準で配賦し、期をまたいで比較できるようにすることが、分析の信頼性につながります。
工数から労務費・原価へつなげる運用の設計
プロジェクト原価管理のつまずきの多くは、工数をどう原価に落とし込むかの運用設計に起因します。工数の入力から労務費への換算、案件原価への反映までを、無理なく回る形に設計しておくことが肝心です。
まず、自社での工数の取り方を決めます。担当者が毎日、案件ごとに作業時間を記録する仕組みを用意し、入力の粒度(案件単位か、作業内容まで分けるか)を業務に合わせて決めます。次に、作業時間を労務費に換算する人件費単価(賃率)を設定します。担当者ごとの単価を使うか、役職やグレードごとの標準的な単価を使うかは、管理の手間と精度のバランスで選びます。
最後に、換算した労務費と外注費・経費を案件原価として集計し、間接費を配賦するルールを固定します。ここまでを一つの流れとして設計しておけば、毎月の原価計算が定型作業になり、属人化や計算ミスを防げます。工数入力・単価設定・配賦ルールの3点を最初に決めることが、運用を続けるための土台です。
Excelとシステムの使い分け
プロジェクト原価管理は、Excel(表計算ソフト)でも始められます。案件数が少なく、関わる担当者も限られる段階であれば、案件ごとのシートで工数と費用を集計するだけでも採算は把握できます。初期費用がかからず、自社の運用に合わせて自由に作れる点が利点です。
具体的には、案件コード・担当者・工数(作業時間)・人件費単価・直接労務費・外注費・直接経費・配賦した間接費・原価合計・売上・利益といった列を持つ案件一覧のシートを用意し、工数は別のシートで日々記録して集計する形が基本です。まずはこの直接費ベースの採算表から始め、必要になったら間接費の配賦列を加えていくとよいでしょう。
一方で、案件数や担当者が増えると、Excel管理には限界が見えてきます。複数のシートやファイルに情報が分散し、工数の集計や間接費の配賦に手作業が増え、入力ミスや更新漏れが起きやすくなります。関数やマクロが複雑になって特定の担当者しか保守できない、という属人化もよく起こります。
システムで自動化・可視化できること
プロジェクト原価管理システムを導入すると、Excelで手作業になっていた部分の多くを自動化できます。担当者が入力した工数を、設定した単価で労務費へ自動換算し、外注費・経費とあわせて案件原価に集計するまでを一連で処理します。間接費の配賦も、あらかじめ決めた配賦基準に従って自動で計算されます。
また、案件別の収支がリアルタイムに可視化されるため、進行中の案件の採算をその場で確認できます。予算と実績の差異も画面上で追えるので、赤字の兆候を早期に捉えやすくなります。会計システムや勤怠システムと連携できる製品を使えば、工数や仕訳のデータを二重に入力する手間も減らせます。案件数が増えて手作業の限界を感じたら、システムの導入を検討する段階といえます。
プロジェクト原価管理システムの選び方と費用の目安
プロジェクト原価管理に使えるシステムは、プロジェクト収支管理に特化したものから、基幹業務を広く統合するERP(基幹業務システム)型まで幅があります。自社に合う製品を選ぶには、まず次の3つのタイプのどれを起点にするかを決めると絞り込みやすくなります。
- 収支・原価管理特化型:案件別の収支や原価計算に機能を絞った製品。工数から労務費・原価までを素早く仕組みとして整えたい、まず採算の見える化から始めたい企業に向きます。
- 工数管理起点型:工数入力・勤怠を起点に、作業時間を労務費へ換算して案件原価につなげる製品。労務費が原価の大半を占める開発・コンサルなどで、工数管理の精度をそのまま採算管理に生かしたい企業に適しています。
- プロジェクト型ERP:販売・購買・会計まで一体で扱い、受発注から原価・収支までを一元化する製品。原価管理だけでなく基幹業務全体をまとめて効率化したい企業に向きます。
起点となるタイプを決めたうえで、次の観点を確認すると、自社に合う製品を見極めやすくなります。
- 工数管理との連携:日々の工数入力から労務費への換算まで、どこまで自動で処理できるか。勤怠システムや既存の工数管理の仕組みと連携できるか。
- 配賦の柔軟さ:間接費の配賦基準を自社の実態に合わせて設定・変更できるか。作業時間比率や人数比率など、複数の基準に対応しているか。
- 会計・基幹システムとの連携:集計した原価や仕訳を会計システムへ連携できるか。販売管理や購買管理まで一体で扱いたいかどうか。
- 業態・規模への適合:自社の業態(開発・制作・コンサル・建設など)や従業員規模に合った製品か。導入事例や対象規模の目安を確認する。
費用の目安は製品によって幅があります。中小規模向けのプロジェクト収支管理システムでは、初期費用が無料〜数十万円、月額が3万円程度から始められるものがあります。一方、原価管理を含む基幹業務を統合するERP型では、月額が十数万円規模になることや、料金を個別見積りとしている製品もあります。利用人数や必要な機能によって変わるため、候補を絞ったうえで資料請求や見積りで確認することをおすすめします。
案件の原価に売上を合わせた収支まで一元管理できるプロジェクト型のシステムを、タイプ別の違いや料金まで踏み込んで比較したい場合は、次の記事で代表的な製品を整理しています。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
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プロジェクト原価管理に役立つサービス
ここでは、案件ごとに工数・労務費・外注費・経費を積み上げ、プロジェクト別の原価や収支を管理できる代表的なサービスを紹介します。対応する業態や規模、料金の考え方はそれぞれ異なるため、自社の状況に近いものから検討してください。
| サービス名 | OBPM Neo | マネーフォワード クラウド個別原価 | プロカン | MA-EYES | クラウドERP ZAC | Reforma PSA |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 製品タイプ | プロジェクト管理統合型 (進捗・原価を一元管理) | 原価管理特化型 (個別原価計算に特化) | 収支管理特化型 (案件別の収支を可視化) | プロジェクト型ERP (販売・会計まで統合) | プロジェクト型ERP (販売・会計まで統合) | 案件管理システム (ZACを中小向けに簡素化) |
| 初期費用 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 150,000円〜 (税込165,000円〜) | 要お問い合わせ | 100,000円 (初期設定費用) | 0円 |
| 月額費用 | 105,000円〜 (税別、最低10ライセンス) | 要お問い合わせ (利用人数により変動) | 30,000円〜 (税込33,000円〜) | 要お問い合わせ (利用人数・機能により変動) | 要お問い合わせ (モジュール課金+保守60,000円〜/月) | 30,000円〜 (税抜、ライセンス従量制) |
| 案件別の原価計算 | ●工数入力から 案件別の採算を集計 | ◎工数→労務費按分+ 多段階配賦(基準5種) | ●工数×労務単価+ 間接費を按分 | ◎工数×単価+配賦基準を 自由設定(面積等も可) | ●工数→案件別労務費+ 共通費・販管費を配賦 | ●工数→労務費配賦+ 共通費配賦(工数登録前提) |
| 会計・ERP連携 | ●勤怠・会計システムと連携 (API・ETL) | ●クラウド会計Plus・ 勤怠4種と連携 | ●弥生・freee・勘定奉行・ MF等と連携(一部オプション) | ●会計機能を内包+ 勘定奉行クラウドと連携 | ●販売管理を内包+ 仕訳連携(勘定奉行クラウド等) | ●会計へ仕訳出力 (勘定奉行・弥生・MF) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※ 上記は2026年10月時点の各社公式サイトの公開情報をもとに作成しています。料金は各社で税込・税別の表記が異なり、利用人数や選択する機能によって変動します。「要お問い合わせ」は公式サイトで金額が公開されていないものです。最新の料金・機能・対応範囲は各社の公式情報や資料でご確認ください。
また、以下の記事では管理会計システム全般について、目的・規模別の選び方やタイプごとの違いを詳しく解説しています。原価管理に限らず、予算管理や経営分析まで含めて検討したい方は、あわせてご覧ください。
1. OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

株式会社システムインテグレータが2008年から提供してきたプロジェクト管理システムを、2021年にクラウド化したのが「OBPM Neo」です。プロジェクト管理の知識体系であるPMBOKの考え方に沿って、進捗・品質・要員・原価を一元管理します。システム開発業を中心に、製造・工事業向けのラインナップもそろえています。
原価見積・実行予算の作成や、社員ランク別の標準原価の設定、案件単位の採算照会に対応し、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント。進捗とコストを定量的に評価する手法)で予算と進捗を同時に把握できます。勤怠・会計システムと連携し、月次の仕掛原価や完成原価を会計システムへ出力する運用にも対応します。
料金は月額105,000円(税別)からで、原価管理機能を含むエディションが提供されています。進行中の案件で赤字の芽を早期に止めたい開発企業に向いた選択肢です。
2. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド個別原価は、工数入力と費用データから、労務費・外注費・経費をワンクリックで原価計算し、プロジェクト単位で採算を把握できる個別原価管理システムです。本記事で解説した費目別の集計から配賦までの流れを、そのまま製品の機能として備えています。
労務費は、勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して案件ごとの内訳を算出します。間接費は、会計システムの仕訳をもとに部門・プロジェクトへ多段階で配賦でき、配賦基準はプロジェクト工数比率・部門の従業員数比率・売上予算比率・面積比率のほか、任意のカスタム基準も設定できます。
原価の月別推移を直接費・間接費や勘定科目ごとにドリルダウンして確認でき、同社のクラウド会計Plusと連携して資産振替の仕訳を自動で起票します。IPO準備中の企業や中堅〜上場企業で、精緻な原価管理を仕組み化したい場合に適しています。料金は要お問い合わせです(2026年10月時点、公式サイトに金額の記載なし)。
3. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、案件ごとの予算・実績・原価・工数・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化するクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。IT・システム開発、イベント・映像制作、広告・PR、デザイン・Web制作、建設・工事など幅広い業種に対応し、IT・制作・建設工事の業種別ラインナップを展開しています。
見積書・請求書・発注書などの帳票作成からデジタル稟議・承認までを1つの入力で連続して処理でき、Googleカレンダー連携による工数入力の支援機能も備えます。
料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用人数に応じて変動します(2026年10月時点の公式料金ページ)。IT導入補助金の対象で、中小〜中堅規模の企業を主な対象としています。帳票業務と収支管理をまとめて効率化したい企業に向いています。
4. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

株式会社ビーブレイクシステムズが、システム開発・SES(受託常駐)・受託開発・コンサルティングといったプロジェクト型ビジネス向けに開発したクラウド型ERPが「MA-EYES(エムエーアイズ)」です。プロジェクト管理・工数/勤怠管理・購買/経費管理・販売管理・会計を統合し、工数と原価をリアルタイムに集約してプロジェクト単位の損益を管理します。
労務費は、担当者ごとに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛けて算出し、間接費は工数・人数・売上高などの基準に加え、面積といった基準も自由に設定して配賦できます。月別に原価の予算と実績をグラフで比較でき、工事進行基準にも対応します。
導入形態は、利用人数と機能で料金が変わるSaaS版と、人数によらず定額の一括版などから選べ、30日間の無料トライアルも用意されています。料金は要お問い合わせです。部門別・案件別・顧客別など、見たい切り口で損益を分析したい企業に適しています。
5. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

株式会社オロが提供するクラウドERP ZACは、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化しています。プロジェクト別の収支管理を軸に、販売管理・購買管理・工数管理・経費管理・管理会計を一元化し、案件損益をリアルタイムに可視化します。広告・制作業やIT・システム業、士業・コンサルティング業などを主な対象としています。
工数管理では、担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数が、自動的に案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定した案件に直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、共通費や販売費・一般管理費の配賦にも対応します。プロジェクト単位で予定・実績の労務費や作業時間、進捗率を同一画面で確認でき、着地予測もできます。
料金は初期設定費用10万円、保守費用が月額6万円からで、機能とライセンス数に応じた課金です。従業員50名以上を目安とする中堅企業の受け皿となる製品です。
6. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAは、クラウドERP ZACと同じ株式会社オロが提供する、中小・成長企業向けの案件管理システムです。ZACの機能のうち、案件型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化しており、低コストかつ短期間で導入できる点を特徴としています。
実行予算の入力と案件別原価の自動計算により、仕掛かり中の案件でも損益をタイムリーに把握できます。工数登録を前提とした労務費配賦・共通費配賦に対応し、見積・受発注・請求や購買・勤怠・経費の管理も一体で扱えます。
料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からで、利用機能と人数に応じて変動します。導入期間の目安は1〜2か月です。従業員50名までを目安とする、ZACでは規模が大きすぎると感じる企業の選択肢になります。
まとめ
プロジェクト原価管理とは、案件ごとに原価を集計して採算を見える化し、不採算の案件を見逃さないための管理手法です。原価を直接費と間接費に分け、費目別・部門別・案件別の順に集計し、間接費を配賦してプロジェクト別の総原価を確定します。労務費は作業時間に単価を掛けて求めるため、工数の把握が出発点になります。
案件数や担当者が増えてExcelでの管理に限界を感じたら、工数から原価への換算や間接費の配賦を自動化できるシステムの導入が有効です。工数連携・配賦の柔軟さ・会計システムとの連携・業態や規模への適合を観点に、自社に合う製品を比較検討してください。まずは候補の資料を取り寄せ、自社の案件に当てはめて検討を進めましょう。
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プロジェクト原価管理に関するよくある質問(FAQ)
Q. プロジェクト原価管理とは何ですか?
A. プロジェクト原価管理とは、案件(プロジェクト)ごとに原価を集計し、案件単位で採算が取れているかを把握する管理手法です。会社全体や一定期間でまとめて損益を見る通常の原価管理と違い、「どの案件で利益が出て、どの案件が赤字か」を1件ずつ明らかにする点に特徴があります。会計でいう個別原価計算の考え方を、受託開発・制作・コンサルティングなどの案件型ビジネスに当てはめたものです。
Q. プロジェクト原価管理では何を原価に含めますか?
A. プロジェクト原価には、特定の案件に直接ひもづく直接費(直接労務費・直接外注費・直接経費)と、複数案件に共通してかかる間接費(間接労務費・共通費)を含めます。プロジェクト型ビジネスでは、製造業のように材料費が大きくなることは少なく、担当者の作業時間に対応する労務費と、外部に発注する外注費が原価の中心になりやすいのが特徴です。
間接費は特定の案件に直接は紐づけられないため、配賦というルールで各案件へ割り振ります。
Q. プロジェクト原価管理の間接費の配賦はどう決めればよいですか?
A. 間接費の配賦基準に唯一の正解はなく、直接作業時間の比率や担当人数の比率など、間接費の性質と自社の実態に合うものを選んで決めます。たとえば作業時間比率で割り振れば、作業時間の長い案件ほど多くの間接費を負担します。一度決めた基準は継続して同じ基準で使い、期をまたいで比較できるようにすることが、予実差異の分析の信頼性につながります。
Q. プロジェクト原価管理で工数の把握が重要なのはなぜですか?
A. プロジェクト原価では労務費が原価の大きな割合を占め、その労務費が作業時間(工数)に人件費単価を掛けて計算されるため、工数の把握が原価精度の出発点になるからです。誰がどの案件に何時間使ったかというデータがなければ、労務費を正しく算出できません。工数を後からまとめて思い出して入力すると精度が落ちるため、日々、案件を指定して工数を入力する運用を定着させることが前提になります。
Q. プロジェクト原価管理はExcelでもできますか?
A. プロジェクト原価管理は、案件数と担当者が限られる段階であればExcel(表計算ソフト)でも始められます。案件ごとのシートで工数と費用を集計すれば、初期費用をかけずに採算を把握できます。ただし案件数や担当者が増えると、情報が複数ファイルに分散し、工数の集計や間接費の配賦に手作業が増え、関数やマクロの属人化も起きやすくなります。この限界を感じた段階が、システム導入を検討するタイミングです。
Q. プロジェクト原価管理をシステムで行うメリットは何ですか?
A. システムを使う最大のメリットは、工数から労務費への換算や間接費の配賦といった複雑な原価計算を自動化し、案件別の収支をリアルタイムに可視化できることです。進行中の案件でも採算や予実差異をその場で確認でき、赤字の兆候を早期に捉えられます。会計システムや勤怠システムと連携できる製品なら、工数や仕訳データの二重入力の手間も減り、管理の属人化を防ぐことにもつながります。
Q. プロジェクト原価管理システムの費用の目安はどのくらいですか?
A. プロジェクト原価管理システムの費用は製品の方式によって幅があり、中小規模向けのプロジェクト収支管理システムでは初期費用が無料〜数十万円・月額3万円程度から、原価管理を含む統合型のERPでは月額十数万円規模や個別見積りとなるのが目安です。利用人数や必要な機能によって変わるため、候補を絞ったうえで、資料請求や見積りで実際の金額を確認することをおすすめします。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















