自社で開発・運用しているWebアプリケーションに「脆弱性対策はちゃんとできているか」と問われたとき、代表的な脆弱性それぞれをどう防ぐのか、すぐに答えられる状態になっているでしょうか。SQLインジェクションやクロスサイト・スクリプティング(XSS)といった名前は知っていても、「で、具体的に何をすれば防げるのか」が一つひとつ対応づいていないと、自社のコードを点検しようがありません。
この記事では、代表的なWebアプリケーションの脆弱性と、その具体的な防ぎ方を一覧で整理します。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの作り方」やOWASP Top 10をもとに、脆弱性ごとの「根本的解決」を具体的な手法まで示します。
さらに、対策を開発段階(実装)と運用段階に分けて整理し、自分のコードだけでは守りきれない範囲を補う脆弱性診断とWAFの役割も解説します。最後に、自社アプリをどこから点検すればよいかの優先順位まで示すので、読み終えたときには「何から着手すべきか」が決められるはずです。
目次
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Webアプリの脆弱性とは|なぜ生まれ、放置するとどうなるか
はじめに、対策の前提となる「脆弱性とは何か」を手短に押さえます。Webアプリケーションの脆弱性とは、設計や実装の不備によって生じる、攻撃者に悪用されうる弱点のことです。入力値の扱いや認証・権限の制御にすきがあると、本来できないはずの操作やデータの読み取りを外部から許してしまいます。
脆弱性の多くは、開発時に「利用者が想定どおりに使う」前提でコードを書き、悪意のある入力や操作を考慮しきれないことから作り込まれます。見た目が正常に動いていても内部に弱点が残っていることは珍しくなく、一度対策すれば終わりというものでもありません。
放置した場合に起きるのは、個人情報や機密情報の漏えい、データの改ざん、サイトの乗っ取り、他サイトへの攻撃の踏み台化などです。いずれも金銭的な損失だけでなく、企業の信頼を大きく損ないます。だからこそ、どの脆弱性をどう防ぐのかを具体的に把握しておくことが欠かせません。
代表的なWebアプリの脆弱性と具体的な対策【一覧表】
ここからは、この記事の中心となる「代表的な脆弱性と、その具体的な防ぎ方」を整理します。まず一覧表で脆弱性と対策の対応を示し、続けて脆弱性ごとに仕組みと対策を解説します。
対策を読むうえで、IPA「安全なウェブサイトの作り方」が示す2つの考え方を先に押さえておくと整理しやすくなります。脆弱性を作り込まない実装そのものである「根本的解決」と、攻撃を受けても被害を抑える「保険的対策」です。
本書における「根本的解決」は、「脆弱性を作り込まない実装」を実現する手法です。
出典:安全なウェブサイトの作り方 改訂第7版(脆弱性対策について)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
本書における「保険的対策」は、「攻撃による影響を軽減する対策」です。
以下の表は、各脆弱性の「根本的解決」にあたる対策を軸にまとめたものです。Content Security Policy(CSP)やCookieのHttpOnly属性のように、IPAが「保険的対策」に位置づける手段は、根本的解決を補う位置づけで併せて示します。右列には、国際的な指標であるOWASP Top 10:2025で関連するカテゴリを添えました。
| 脆弱性 | SQLインジェクション | クロスサイト・スクリプティング(XSS) | クロスサイト・リクエスト・フォージェリ(CSRF) | セッション管理の不備 | アクセス制御・認可制御の欠落 | OSコマンドインジェクション | ディレクトリトラバーサル(パス名の未チェック) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 具体的な対策(IPAの根本的解決が中心) | SQL文の組み立てを全てプレースホルダ(準備された文/静的プレースホルダ)で実装する | ウェブページに出力する全ての要素にエスケープ処理を施す(補助としてCSP・HttpOnly属性) | hiddenパラメータに秘密情報(トークン)を埋め込み、実行ページで値が正しい場合のみ処理する | セッションIDを推測困難にし、HTTPS通信のCookieにsecure属性を付ける | 認証機能を設け、権限をサーバー側で毎回確認する(IDはセッション変数から取得) | シェルを起動できる言語機能の利用を避ける | 外部パラメータでファイル名を直接指定せず、固定ディレクトリ+パス名の検証を行う |
| 関連するOWASP Top 10:2025 | A05 インジェクション | A05 インジェクション | A01 アクセス制御の不備 | A07 認証の不備 | A01 アクセス制御の不備 | A05 インジェクション | A01 アクセス制御の不備 |
対策はIPA「安全なウェブサイトの作り方」改訂第7版の各脆弱性「根本的解決」にもとづく。OWASPカテゴリは関連するものを示した参考。
出典・参考資料(2件)
ここで挙げるのは、IPAが「安全なウェブサイトの作り方」で示す脆弱性のうち、特に出現頻度が高く代表的な7つです。このほかにもクリックジャッキング、SSRF(サーバーサイド・リクエスト・フォージェリ)、安全でないデシリアライゼーション、脆弱な依存ライブラリ(ソフトウェアサプライチェーンの不備)などがあり、自社で使うフレームワークやライブラリの構成に応じて確認が必要です。
特に依存ライブラリの脆弱性は、後述の運用段階でのパッチ適用が対策の柱になります。
SQLインジェクション|プレースホルダで組み立てる
SQLインジェクションは、利用者が入力した値をそのままSQL文に連結してしまうことで、攻撃者が意図しないSQLを実行できてしまう脆弱性です。ログイン認証の回避やデータベース内の情報の抜き取り、改ざんにつながります。
根本的な対策は、SQL文を文字列連結で組み立てず、プレースホルダ(値を後から割り当てる仕組み)で実装することです。IPAは「SQL 文の組み立ては全てプレースホルダで実装する」とし、値をSQL文のコンパイル後に割り当てる静的プレースホルダ(ISO/JIS規格では準備された文=Prepared Statement)を推奨しています。
文字列連結がやむを得ない場合は、データベースエンジンのAPIでエスケープ処理を行い、リテラルを正しく構成します。
イメージをつかむために、言語に依存しない擬似コードで悪い例と良い例を並べます。
// 悪い例:入力値を文字列連結でSQLに埋め込む(インジェクションの余地)
query = "SELECT * FROM users WHERE id = '" + userId + "'";
// 良い例:プレースホルダで値を分離する(準備された文)
query = "SELECT * FROM users WHERE id = ?";
db.execute(query, [userId]);
クロスサイト・スクリプティング(XSS)|出力をエスケープする
XSSは、利用者の入力をエスケープせずにWebページへ出力してしまうことで、攻撃者が仕込んだスクリプトを他の利用者のブラウザ上で実行させる脆弱性です。Cookieの盗み取りによるなりすましや、偽の入力フォームの表示などに悪用されます。
根本的解決は、IPAが示すとおり「ウェブページに出力する全ての要素に対して、エスケープ処理を施す」ことです。あわせてHTTPレスポンスヘッダに文字コード(charset)を指定します。
これらに加える保険的対策として、CookieにHttpOnly属性を付けてスクリプトからの読み取りを防ぐ、CSP(Content Security Policy)でスクリプトの実行元を制限する、といった手段があります。CSP・HttpOnlyは被害を軽減する層であり、出力エスケープの代わりにはならない点に注意してください。
クロスサイト・リクエスト・フォージェリ(CSRF)|秘密情報を照合する
CSRFは、ログイン中の利用者に、本人の意図しないリクエスト(退会処理や設定変更など)を気づかないうちに送らせる攻撃です。利用者が罠のページを開いただけで、裏で自社サイトへの操作が実行されてしまいます。
対策は、処理を実行するページをPOSTでアクセスさせ、「hiddenパラメータ」に秘密情報(いわゆるトークン)を埋め込んで、実行ページでその値が正しい場合のみ処理する方法です。秘密情報は暗号論的擬似乱数生成器などで推測困難に生成します。
実行直前に再度パスワード入力を求める、Refererで正しいリンク元かを確認する、といった方法もIPAは挙げています。多層防御としてCookieにSameSite属性を設定する手もありますが、OWASPはSameSiteを「CSRFトークンの代替ではなく多層防御」と位置づけており、トークン照合と併用する前提で考えます。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:Session Management Cheat Sheet|OWASP(公式サイト)
セッション管理の不備|推測困難なIDとsecure属性
セッション管理の不備は、セッションID(ログイン状態を識別する値)が推測されたり盗まれたりすることで、第三者が本人になりすましてアクセスできてしまう脆弱性です。
IPAが示す根本的解決は、「セッション ID を推測が困難なものにする」こと、セッションIDをURLパラメータに格納しないこと、「HTTPS 通信で利用する Cookie には secure 属性を加える」こと、そしてログイン成功後に新しいセッションを開始することです。セッションIDは暗号論的擬似乱数生成器を用いるなどして予測困難に生成します。
アクセス制御・認可制御の欠落|サーバー側で毎回権限を確認する
アクセス制御・認可制御の欠落は、ログインしていない利用者が本来見えない画面に到達できたり、ログイン中の利用者が他人のデータを閲覧・操作できたりする脆弱性です。URLのIDを書き換えるだけで他人の情報が見えてしまう、といった形で表面化します。OWASP Top 10:2025でも最上位のA01に位置づけられています。
対策は、秘密情報の入力を必要とする認証機能を設けたうえで、認証に加えて認可制御を実装することです。IPAは、データを検索するIDがログイン中の利用者のIDと一致するかを「常に確認するよう実装する」か、IDを外部パラメータから受け取らず「セッション変数から取得する」ことを求めています。外部から渡される値を信用せず、権限をサーバー側で毎回確かめる設計にすることが要点です。
OSコマンドインジェクション|シェルを起動する機能を避ける
OSコマンドインジェクションは、外部からの入力をもとにサーバーのOSコマンドを実行してしまうことで、攻撃者にサーバー上での任意の操作を許す脆弱性です。ファイルの削除やサーバーの乗っ取りに直結する危険な弱点です。
根本的解決は、IPAが示すとおり「シェルを起動できる言語機能の利用を避ける」ことです。どうしても使う場合の保険的対策として、引数を構成する変数をすべてチェックし、あらかじめ許可した処理のみを実行するホワイトリスト方式が挙げられています。
ディレクトリトラバーサル|パス名を検証する
ディレクトリトラバーサル(パス名パラメータの未チェック)は、外部から渡されるパラメータでサーバー内のファイル名を指定できてしまうことで、本来公開していないファイルを読み取られたり書き換えられたりする脆弱性です。
対策は、「外部からのパラメータでウェブサーバ内のファイル名を直接指定する実装を避ける」こと、ファイルを開く際は固定のディレクトリを指定し、ファイル名にディレクトリ名が含まれないようにすることです。あわせて、サーバー内のファイルへのアクセス権限を正しく管理しておくと被害を抑えられます。
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脆弱性対策を開発段階と運用段階に分けて整理する
ここまでは脆弱性ごとに対策を見てきました。今度は同じ対策を「いつ・どこで手を打つか」という時間軸で捉え直します。対策は、コードを書くときに作り込む開発段階のものと、サービスを動かし続けるなかで続ける運用段階のものに分けられます。IPA「安全なウェブサイトの作り方」も、第1章で実装面の対策を、第2章で運用面の対策を扱う構成になっています。

開発段階でやるべき対策(実装・設計)
開発段階は、脆弱性を「作り込まない」ための対策が中心です。前章で見た根本的解決の多くはここに含まれます。
- 入力値の形式・長さ・範囲をサーバー側で検証する
- SQLはプレースホルダで組み立て、出力は用途に応じてエスケープする
- 認証機能を設け、権限はサーバー側で毎回確認する(認可制御)
- CookieにHttpOnly・secure属性を付け、セッションIDを推測困難にする
これらは後から付け足すより、設計・実装の段階で組み込むほうが確実で手戻りも少なくなります。IPAが配布する実装状況のチェックリストを使うと、抜け漏れを確認しやすくなります。
開発段階から作り込むという発想がなぜ欠かせないのか。開発の現場に向き合う提供側からも、同じ問題意識が語られています。

正直なところ、昔は「セキュリティは運用側が最後に何とかするもの」という前提が強かったと思います。ですが今は攻撃の手口も複雑ですし、作ったあとに1回チェックして終わり、では追いつきません。
運用段階でやるべき対策
運用段階は、公開後に安全な状態を保ち続けるための対策です。実装が正しくても、使っているソフトウェアに新たな脆弱性が見つかれば、放置すると攻撃の糸口になります。
- OS・ソフトウェア・ライブラリの脆弱性情報を継続的に入手し、パッチを適用する
- 不要なサービスやアカウントを停止・削除する
- 通信を常時SSL化(HTTPS化)し、盗聴・改ざんを防ぐ
- アクセス権限を必要最小限にし、ログを記録して異常を検知できるようにする
このうちパッチ適用や不要なアカウントの削除、通信の暗号化はIPAが運用面の対策として挙げています。権限の最小化やログの監視は一般的な運用実務として、継続的に回していく対策です。
自力で守りきれない範囲は脆弱性診断とWAFで補う
ここまでの対策を実装・運用しても、「見落としがないか」「既存のアプリ全体に穴が残っていないか」までは自力で確認しきれません。ここからは、それを補う脆弱性診断とWAFの役割と使い分けを見ていきます。この2つは「どちらか」ではなく、役割の違う補完関係にあります。

脆弱性診断とは|何を見て、いつ実施するか
脆弱性診断は、自社のWebアプリに弱点が残っていないかを、攻撃者の視点で検査して洗い出す取り組みです。見つかった弱点を直すための「穴の発見」が役割です。
診断の進め方は、サービスによってツールによる自動診断、専門のエンジニアによる手動診断、両者を組み合わせる形に分かれます。自動診断は広い範囲を短時間・低コストで繰り返し検査できる一方、手動診断は認可の不備など仕様の理解を要する弱点に強みがあります。自社の規模や対象の重要度に応じて選ぶとよいでしょう。
実施するタイミングは、新しいサービス・機能のリリース前、定期的な点検(年1回以上が目安)、取引先や監査からの要求時が中心です。攻撃側も手法を更新し続けるため、一度の診断で終わらせず、継続的に実施する考え方が主流になっています。
なぜ一度きりではなく継続的な診断が必要とされるのか。その背景について、脆弱性診断を手がける現場からは次のような指摘があります。

一方で、攻撃者側もAIを活用するようになり、新しく、しかもスピード感の早い攻撃が増えてきています。これまでは年に1回、あるいはサービスをリリースした直後にだけ脆弱性診断を行うという企業が多かったのですが、AIの発達によって攻撃側のスピードが上がっている以上、定期的に診断をしないと危険だという状況になってきました。
WAFの役割と脆弱性診断との使い分け
WAF(Web Application Firewall)は、実装面の対策とは別に、攻撃からWebアプリを守る運用面の仕組みです。IPAは次のように説明しています。
WAF は、ウェブアプリケーションを含むウェブサイトと利用者の間で交わされる HTTP(HTTPS 通信を含む)を検査し、攻撃等の不正な通信を自動的に遮断するソフトウェア、もしくはハードウェアです。
出典:安全なウェブサイトの作り方 改訂第7版 2.6 WAFによるウェブアプリケーションの保護|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
役割の違いを整理すると、脆弱性診断は「穴を見つけて直す」ための取り組み、WAFは「攻撃の通信が届くのを防ぐ」ための防御層です。診断で弱点をつぶしても未知の脆弱性や修正までの時間差は残るため、その間の攻撃を遮断するWAFが補完になります。逆に、WAFだけでは根本の弱点は残るので、診断と組み合わせて使うのが基本です。
この後で紹介するのは脆弱性診断サービスです。WAFを導入する場合は、自社の通信量や運用体制に合うクラウド型・アプライアンス型などを比較して選びます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:安全なウェブサイトの作り方 改訂第7版(2.6 WAFによるウェブアプリケーションの保護)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(PDF)
スマホアプリやSPA(単一ページで画面を切り替えるWebアプリ)の普及で、機能をAPIとして外部公開する場面が増えています。画面を操作して検査する従来のWebアプリ診断では、利用者本人以外のデータを操作できる認可の欠陥などAPI固有の弱点を拾いきれないことがあり、APIを公開している場合は別途の確認が必要です。
まず何から着手すべきか|優先順位と自社アプリ点検チェックリスト
サービスを比べる前に、ここまでの対策を自社でどこから手を付けるか、優先順位の付け方を整理します。すべてを一度に完璧にしようとすると動けなくなるので、影響の大きい箇所から段階的に進めるのが現実的です。
着手の優先順位は、被害が大きく攻撃者に狙われやすい機能から考えます。ログイン・会員登録・決済など、個人情報や金銭を扱う機能を最初に点検し、そこから公開範囲の広い画面へ広げると効率的です。
- リスクの高い機能(ログイン・決済・会員登録など)を洗い出す
- 各脆弱性の「根本的解決」が実装できているかを、前半の一覧表で確認する
- 下の点検チェックリストで、機能ごとに対応済み・未対応・対応不要を記録する
- 自力で確認しきれない範囲は脆弱性診断で洗い出し、見つかった弱点を直す
- 修正までの時間差や未知の攻撃に備え、必要に応じてWAFで防御層を足す
下の表は、前半の一覧表で挙げた脆弱性を自社アプリで点検するための簡易チェックリストです。ログイン・決済などの機能ごとに、各脆弱性の対策が「対応済/未対応/対応不要」のどれかを記録すると、未対応の穴が一目で分かります。
| 脆弱性 | SQLインジェクション | クロスサイト・スクリプティング(XSS) | クロスサイト・リクエスト・フォージェリ(CSRF) | セッション管理の不備 | アクセス制御・認可制御の欠落 | OSコマンドインジェクション | ディレクトリトラバーサル | 運用(パッチ・権限) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 点検ポイント | SQL文をプレースホルダで組み立てているか | 出力する全要素をエスケープしているか | 重要な処理で秘密情報(トークン)を照合しているか | セッションIDが推測困難で、Cookieにsecure属性があるか | 権限をサーバー側で毎回確認しているか | シェルを起動する言語機能を避けているか | ファイル名を外部パラメータで直接指定していないか | OS・ライブラリのパッチ適用、不要アカウント削除、権限の最小化を続けているか |
| 対応状況 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 | 対応済/未対応/対応不要 |
より網羅的に点検したい場合は、IPA「安全なウェブサイトの作り方」改訂第7版の巻末にある実装状況チェックリストが使えます。根本的解決にあたる項目を優先して対応すると、限られた工数でも効果の高いところから固められます。
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【比較表】脆弱性診断サービスのスポット比較
自力で守りきれない範囲を補う脆弱性診断サービスのうち、Webアプリの診断に対応する主なサービスを横並びで比較します。診断方法や対象範囲、提供形態を見比べて、自社に合うタイプを絞り込んでください。
| サービス名 | CoWorker 脆弱性診断サービス | Aikido Security | AeyeScan(エーアイスキャン) | VAddy(バディ) | Securify(セキュリファイ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 診断方法 | 委託型(AI解析+専門家が確認) | ツール型SaaS(自動スキャン) | ツール型SaaS(自動スキャン) | ツール型SaaS(自動スキャン) | ツール型SaaS(自動スキャン) |
| 診断対象 | ソースコード・設計書/Webアプリ・API | ソースコード・依存ライブラリ/クラウド設定/Webアプリ | Webアプリ・SPA/API(オプション)/Androidアプリ | Webアプリ/APIサーバー(REST API) | Webアプリ・SPA/API/外部公開資産(ASM) |
| 提供形態 | 診断を都度依頼(スポット・定期) | SaaSを継続利用(年額サブスク) | SaaSを継続利用(定額制) | SaaSを継続利用(月額・1ヶ月〜) | SaaSを継続利用(年間契約) |
| 料金の目安 | ソースコードAI診断15万円〜/動的診断を含むプラン50万円〜 (MCB FinTechカタログ掲載情報) | 月額5万円台〜 (年額3,780ドル〜・利用者10人まで) | 個別見積もり(用途・サイト数に応じる) | 初期費用0円・月額19,800円〜 (Advanced 99,800円、税別) | 月額5万円〜(脆弱性診断STARTER、1 IP/FQDN) |
| 無料トライアル | × | ●(無料プランあり) | ●(2サイト) | ●(1週間) | ●(最短即日) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
料金・仕様は2026年11月時点。最新の内容は各社公式情報をご確認ください。
ここで挙げたのはWebアプリ診断に対応する主なサービスを絞ったスポット比較です。診断方法(手動・ツール・ハイブリッド)や費用相場、選び方まで含めて脆弱性診断サービスを広く見比べて選びたい場合は、以下の記事が役立ちます。
脆弱性診断サービスおすすめ比較|診断方法・費用相場・選び方を解説【無料ツールあり】
Webサービスや社内システムの脆弱性診断を検討する際、「専門家による手動診断とツールによる自動診断のどちらが自社に必要なのか」「費用が数十万円から数百万円までと幅が広く、妥当な予算が読めない」といった壁に突き当たる担当者は少なくありません。…
Webアプリの脆弱性診断に対応する主なサービス
ここからは、比較表で挙げた各サービスの特徴を紹介します。委託して診断してもらうタイプ、開発に組み込むツール型など、提供形態の違いに注目して読み進めてください。
1. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 脆弱性診断サービスは、自社開発のAI「Red Agent」による自動解析と、社内のセキュリティ専門家による最終確認を組み合わせた診断サービスです。診断会社が自社製の診断システムを持つ例は多くなく、AIで素早く洗い出した結果を専門家が承認するフローに特徴があります。
診断メニューは、ソースコードや設計書を解析する「ソースコードAI診断」、稼働中のWebアプリ・APIを対象とする「動的脆弱性診断」、実際の攻撃を想定する「実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト)」の3つです。料金はソースコードAI診断が15万円から、動的診断を含むプランが50万円からで、プラン表はMCB FinTechカタログ掲載情報にもとづきます。
2. Aikido Security(株式会社AndGo)

開発の現場に組み込んで使いたい場合に向くのが、オールインワン型の脆弱性診断SaaS「Aikido Security」です。ソースコード(SAST・依存ライブラリのSCA)、クラウド設定(CSPM)、稼働中のWebアプリ(DAST)などを1つの管理画面でまとめて検査できます。
検出アラートはSlackやJiraなどと連携して通知でき、誤検知を自動で絞り込む設計です。無料のDeveloperプランから試せるため、まず自社のコードやクラウド設定をスキャンしてみる使い方もできます。日本語での販売・問い合わせは提供会社の株式会社AndGoが窓口となります。
3. AeyeScan(株式会社エーアイセキュリティラボ)

ブラウザからログインするだけで使えるクラウド型のWebアプリ脆弱性診断ツールが、AeyeScanです。AIがサイト内を巡回して診断シナリオを自動生成し、画面遷移図まで自動で作るため、専門知識がなくても自動診断を社内で実施できる点を訴求しています。
診断対象はWebアプリやSPA、オプションでAPIやAndroidアプリにも対応します。診断の基準はOWASP Top 10やIPA「安全なウェブサイトの作り方」に準拠。料金は用途やサイト数に応じた個別見積もりで、無料トライアル(2サイト)から始められます。外注の単発診断に頼らず、診断を内製化したい企業に向いた選択肢です。
4. VAddy(株式会社ビットフォレスト)

VAddyは、開発パイプラインに組み込んで継続的に回せるクラウド型の脆弱性診断ツール(DAST)です。WebAPIやコマンドラインツール、cronと連携して、リリース前や夜間に繰り返し自動スキャンを実行できます。
診断対象はWebアプリケーションに加え、REST APIやJSON形式のAPIサーバーにも対応します。初期費用は0円で、月額19,800円のProfessionalから、IPA「安全なウェブサイトの作り方」チェックリストに標準対応するAdvanced(月額99,800円、いずれも税別)まで、診断項目数に応じたプランがあります。スキャン回数は無制限で、1週間の無料トライアルも用意されています。
5. Securify(株式会社スリーシェイク)

攻撃対象領域管理(ASM)と脆弱性診断を同じサービス内で扱えるクラウド型SaaSが、Securifyです。Webアプリ・APIを対象に、画面遷移の巡回・疑似攻撃・応答検証を自動で実行し、診断の日時や頻度をスケジュール設定できます。
API経由で診断を実行する機能があり、CI/CD(コードの変更を自動でビルド・テスト・反映する開発の仕組み)のパイプラインに組み込んで、デプロイ後に自動診断を開始する運用も可能です。脆弱性診断はSTARTERが月額5万円から(1 IP/FQDN・診断回数無制限)で、無料トライアルから試せます。外部に公開している資産の把握(ASM)まで合わせて管理したい企業に向いています。
ここで紹介したツール型のサービスは、外注の単発診断に頼らず診断を社内で回す使い方もできます。どの診断項目なら内製化・自動化でき、どこは専門家の手動診断が要るのかは、次の記事で診断項目別に整理しています。
まとめ
Webアプリの脆弱性対策は、代表的な脆弱性それぞれの「根本的解決」を具体的な手法まで押さえることから始まります。SQLインジェクションならプレースホルダ、XSSなら出力エスケープ、アクセス制御の欠落ならサーバー側での権限確認、といった対応を、設計・実装の段階で作り込むのが基本です。
そのうえで、運用段階ではパッチ適用や権限の最小化を続け、自力で守りきれない範囲は脆弱性診断とWAFで補います。診断で穴を見つけて直し、WAFで攻撃の到達を防ぐという役割分担を理解しておくと、自社に必要な手段を選びやすくなります。
まずは本記事の一覧表とIPAのチェックリストで自社アプリを点検し、リスクの高い機能から着手してみてください。診断サービスの比較から始めたい場合は、各サービスの資料を取り寄せて検討を進めるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. Webアプリケーションの脆弱性対策とは何ですか?
A. Webアプリケーションの脆弱性対策とは、設計や実装の不備によって生じる「攻撃者に悪用されうる弱点」をなくし、攻撃を受けても被害を抑えるための取り組みです。IPA「安全なウェブサイトの作り方」は、脆弱性を作り込まない実装である「根本的解決」と、攻撃による影響を軽減する「保険的対策」の2つに整理しています。
具体的には、SQLインジェクションならプレースホルダでのSQL組み立て、XSSなら出力のエスケープ処理といった脆弱性ごとの防ぎ方を、開発段階(実装)と運用段階の両面で講じます。
Q. Webアプリの脆弱性対策はまず何から始めるべきですか?
A. Webアプリの脆弱性対策は、ログイン・決済・会員登録など、個人情報や金銭を扱うリスクの高い機能の点検から始めるのが効率的です。これらの機能について各脆弱性の「根本的解決」が実装できているかを確認し、IPAの実装状況チェックリストで対応済み・未対応を記録します。
そのうえで、自力で確認しきれない範囲は脆弱性診断で洗い出し、修正までの時間差や未知の攻撃に備えてWAFで防御層を足す、という順序で広げていくとよいでしょう。
Q. Webアプリの脆弱性対策には、脆弱性診断とWAFのどちらが必要ですか?
A. 脆弱性診断とWAFは、どちらか一方を選ぶものではなく、役割の違う補完関係にあります。脆弱性診断は自社アプリに残る弱点を攻撃者の視点で洗い出して直すための「穴の発見」、WAFは攻撃の通信が届くのを自動で遮断する「防御層」です。診断で弱点をつぶしても未知の脆弱性や修正までの時間差は残るため、その間の攻撃をWAFで防ぐという形で、両者を組み合わせて使うのが基本です。
Q. Webアプリの脆弱性診断はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. Webアプリの脆弱性診断は、新しいサービス・機能のリリース前と、年1回以上の定期的な点検を目安に、継続して実施するのが一般的です。これに加えて、取引先や監査から求められたタイミングでも実施します。攻撃側の手法は更新され続けるため、一度の診断で終わらせず、繰り返し行う考え方が主流になっています。
Q. Webアプリから個人情報が漏えいした場合、企業はどんな報告義務を負いますか?
A. 個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合、企業は個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が原則として義務づけられています(個人情報保護法第26条)。委員会への報告は、速やかに行う「速報」と、一定期間内に詳細を報告する「確報」の2段階で求められます。こうした事後対応の負担や信頼の失墜を避けるためにも、漏えいにつながる脆弱性を事前につぶしておくことが重要です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:個人データの漏えい等が発生した場合の対応について|個人情報保護委員会(公式サイト)
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出典・参考資料(3件)

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















