社内のサーバーや業務端末に、見覚えのないアカウントのアクセス形跡が残っていたり、特定の端末だけ急に動作が重くなったりして、「不正アクセスを受けたかもしれない」と不安を感じていませんか。本当に侵入されたのか、それとも誤検知なのかを切り分けるには、確認すべきログを順を追って調べる必要があります。
ただし、調べ方を誤ると、侵入の痕跡そのものを消してしまうこともあります。被害の有無や範囲を正確につかむには、証拠を壊さない初動と、機器ごとに何を見ればよいかという具体的な手順が欠かせません。
本記事では、不正アクセスの疑いが生じたときに自社で確認すべきログを機器別に整理します。あわせて、証拠を壊さない初動、侵入の有無と被害範囲の判定、専門の調査会社(フォレンジック)に依頼すべき判断の目安、個人情報保護委員会への報告義務、再発防止策までを順に解説します。自力でどこまで調べられ、どこから専門家に任せるべきかを判断する材料としてご活用ください。
不正アクセスを疑ってから再発防止までは、次の流れで進めます。

目次
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侵入の有無を確かめる機器別ログ確認表
不正アクセスを疑ったとき、まず確かめたいのは「どの機器のどのログに、何の証拠が残っているか」です。侵入の痕跡はひとつの機器にまとまって残るわけではなく、端末・ネットワーク機器・認証基盤・クラウドサービスに分散して記録されます。まずは下の表で、機器カテゴリごとに確認する対象と、そこから分かることを押さえてください。
端末やサーバーを操作する前に、必ず次章「証拠を壊さないための初動」を先に確認してください。慌てて再起動・初期化・ウイルス駆除を行うと、侵入の痕跡が消え、下の表で挙げるログも調べられなくなります。
| 確認するログ | エンドポイント(PC・サーバー) | ネットワーク機器(FW・プロキシ・VPN) | 認証基盤・サーバー(AD・各種サーバー) | クラウドサービス(メール・ストレージ・SaaS) |
|---|---|---|---|---|
| 主な確認対象 | イベントログ(ログオン・プロセス起動・サービス登録)、不審なプロセス・自動起動、ウイルス対策ソフトの検知履歴 | ファイアウォール/プロキシの通信ログ、VPN・リモートアクセスの接続履歴、普段と異なる宛先・時間帯・データ量 | Active Directory の認証ログ、ログオン失敗の多発、深夜・休日の成功ログオン、管理者権限の付与履歴 | 監査ログ・サインインログ、見慣れない国・IPからのアクセス、メール転送ルールの追加、大量ダウンロード |
| 分かる可能性があること | 端末への侵入やマルウェア実行の痕跡、不正に作られたアカウント、権限昇格の形跡 | 外部からの侵入経路、外部への不審な通信(情報の持ち出しや、外部の指令サーバーと通信するC2通信の疑い)、侵入の時刻 | なりすましログインや総当たり攻撃の痕跡、アカウントを起点とした横展開(他サーバーへの侵入) | 認証情報を悪用した不正ログイン、クラウド上のデータの閲覧・持ち出し、設定改ざん |
※確認すべきログは環境によって異なります。上表は一般的な確認対象の例です。
見る順番の目安は、異常のアラートが出た機器を起点に、その通信相手(ネットワーク機器のログ)と、使われたアカウント(認証基盤のログ)へ広げていく流れです。
どの機器が起点か分からないときは、外部からの入口になりやすいクラウドのサインインログと認証基盤のログから、見慣れない国・IPや深夜の成功ログオンがないかを確認すると当たりを付けやすくなります。複数の機器のログを突き合わせることで、侵入や攻撃の影響範囲をとらえられる可能性が高まります。
上の表の「主な確認対象」は、どこを開けば手がかりが残っているかを示すものです。異常と見分ける具体的な目印(深夜の成功ログオン、見慣れない国からのアクセスなど)は次章以降で扱います。標準のログ確認は自社でも進められますが、メモリ上の揮発データの保全や消されたログの復元は、専門のツール・調査会社が必要になる領域です。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:高度サイバー攻撃への対処におけるログの活用と分析方法|JPCERT コーディネーションセンター(https://www.jpcert.or.jp/research/apt-loganalysis.html)
調査を始める前に|証拠を壊さないための初動
ログを調べ始める前に、証拠を壊さないための初動を押さえておく必要があります。慌てて端末を操作すると、侵入の痕跡を自分の手で消してしまうことがあるためです。やってはいけないことを先に確認しましょう。
- 電源を切らない・再起動しない:メモリ上で動くマルウェアの痕跡は、電源を落とすと消えてしまいます。まずは電源を入れたまま保全を検討します。
- 初期化・ファイル削除・ウイルススキャンでの駆除を急がない:復旧を優先して初期化や駆除を行うと、原因究明に必要なログや痕跡が失われます。
- 被害の拡大を止めるときはネットワークから隔離する:被害を広げないために、電源断ではなく通信遮断・システム隔離(LANケーブルを抜く・無線を切る)で封じ込めます。
- ログは読み取り専用で確認する:前章の機器別ログを調べるときは、内容を書き換えずに閲覧・取得(コピー)する形で進めます。画面の撮影やスクリーンショットは状況の記録には役立ちますが、それだけでは証拠保全として十分ではありません。ログやディスクの原本に手を加えないまま(必要に応じて複製=イメージを取得して)確保しておくことが必要です。
電源を切ってはいけない理由は、揮発性データの保全にあります。デジタル・フォレンジック研究会の証拠保全ガイドラインは、次のように説明しています。
メモリ空間で動作する不正プログラムは、メモリの中にその挙動を示す痕跡が残っているが、電源供給を断つと記憶内容が消失してしまう(揮発性が高い)。そのため、メモリ上の情報の保全の重要性が高まってきている。
出典:証拠保全ガイドライン 第4版|特定非営利活動法人デジタル・フォレンジック研究会(PDF)
被害の封じ込めについては、JPCERT コーディネーションセンターのインシデントハンドリングマニュアルが、脅威を排除する際の措置として「通信遮断・システム隔離・マルウェアフォレンジックなどの措置を実施します」と示しています。
封じ込めを急ぐか、全体像を保全してから対処するかは、被害の広がり方や事業への影響によって変わります。ここで挙げた初動は一律の手順ではなく、自社のインシデント対応手順や、依頼するフォレンジック業者・専門家の助言にもとづいて判断してください。
出典・参考資料(2件)
侵入あり・なしと被害範囲(横展開・情報の外部送信)の判定基準
ログを確認したら、「侵入されたのか」「どこまで被害が及んだのか」を判定しましょう。ここでは、何を確認できたら何が言えるのかを整理します。
- 侵入の有無:作成した覚えのないアカウント、深夜・休日の成功ログオン、見慣れない国・IPからのアクセス、権限昇格の記録が見つかれば、侵入があった可能性が高いと判断します。ログオン失敗の多発だけなら、総当たり攻撃を受けたが侵入には至っていないケースもあります。
- 横展開(被害の広がり):侵入を受けた端末やアカウントを起点に、他のサーバーへのログオンや内部通信が発生していれば、被害が一台にとどまらず広がっている疑いがあります。
- 情報の外部送信:外部の宛先への大量の通信、見慣れないクラウドへの同期、メール転送ルールの追加などが確認できれば、情報が持ち出された可能性を検討します。
ただし、海外IPや深夜のログオンは、海外拠点・取引先・リモート勤務からのアクセスや夜間の定時バッチ処理など、平常の運用でも生じます。「海外IPだから不正」と即断せず、平常時のログ(ふだんどこから・いつアクセスがあるか)と照らし合わせて、いつもと違う点を見極めます。
逆に、これらの兆候が見当たらず、端末の重さがソフトの更新や容量不足で説明でき、見慣れないIPも正規のクラウド経由だと確認できれば、不正アクセスではなかった(誤検知)と判断できる場合もあります。ただし「痕跡が無い」ことと「ログが残っていない」ことは別なので、ログの保存状況も併せて確かめます。
これらは「可能性」の判断であり、ログが欠けていたり消されていたりすると確定できないこともあります。確定できない項目が残る場合は、次章の判断基準にもとづいて専門の調査を検討します。
侵入経路別の実被害事例|調査で何が判明したか
侵入経路にはいくつかの型があり、調査によって経路や被害範囲が後から判明する点は、実際に公表された事例からも読み取れます。代表的な3つの型を見てみましょう。
ネットワーク機器(VPN)の脆弱性を突かれた型:デジタル庁は2026年9月、ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスについて、「第三者がネットワーク接続機器(VPN)の脆弱性を利用してシステムに侵入し、不正アクセスを行っていた」と公表しました。
きっかけは「保守運用担当者のアカウントを利用してサーバ上の大量のファイルへのアクセスが行われたことを検知し、調査を開始した」ことでした。調査の結果、漏えいした可能性がある個人情報は約24.6万件にのぼるとされています。
Webアプリケーションの脆弱性を起点に横展開した型:ホワイトエッセンスでは、予約サイトのプログラムにあった脆弱性が悪用され、同サイトを起点に基幹システムへ不正アクセスされたと報じられています。約105万アカウント分の個人情報が漏えいし、外部専門機関の調査で個人情報が外部に持ち出されていたことが判明したとされ、件数や持ち出しの事実は初報ではなく後続の調査で明らかになりました。
フィッシングで認証情報を盗まれた型:日経BPは2026年10月、日本経済新聞社社員のメールアドレスに届いたフィッシングメールから認証情報を盗まれ、メールへの不正アクセスが発生したと発表しました。流出した恐れのある個人情報は26件で、大規模でなくても起こりうること、侵入経路の型はさまざまであることを示しています。
出典・参考資料(3件)
- 出典:ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について|デジタル庁(https://www.digital.go.jp/news/2026-0911-01)
- 出典:ホワイトエッセンス、約105万アカウントの個人情報流出 8月発表の不正アクセス調査で判明|ITmedia NEWS(配信記事)
- 出典:メール不正アクセスによる個人情報の漏えいについて|株式会社日経BP(https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/100200417)
自社がどの経路から狙われやすいか、侵入の手口と弱点を体系的に押さえておきたい場合は、以下の記事で不正アクセスの原因と侵入経路を整理しています。
自力調査の限界と、調査会社(フォレンジック)への依頼
ログの確認である程度は切り分けられますが、自力では限界があります。ここからは、専門の調査会社(フォレンジック)に出すべき判断基準と、依頼する場合の費用・期間の目安、依頼時の確認点を順に見ていきます。
専門業者(フォレンジック)に出すべき判断基準
次のいずれかに当てはまる場合は、自力調査にこだわらず専門業者への依頼を検討しましょう。
- ランサムウェアなど、高度・巧妙な攻撃が疑われる
- 侵入経路や被害範囲を自社で特定できない
- 必要なログが不足・消失している可能性がある
- 監査・法務・対外説明や訴訟を見据え、客観的な調査結果が必要
フォレンジック調査を依頼するメリットは、専門のツールと知見で揮発性データを含む証拠を保全し、侵入経路・被害範囲・情報の持ち出しの有無を、報告資料として第三者に説明できる形でまとめられる点にあります。自社の調査だけでは「侵入の疑いはあるが確定できない」で止まりがちな部分を、裏づけのある結論まで進めやすくなります。
依頼する場合の費用・期間の目安
調査会社に依頼する場合の費用と期間は、調査対象の台数・侵害の深さ・求める報告の形式によって大きく変わるため、一律には言えません。目安としては、従来型の本格的なフォレンジック調査は一般に数百万円規模とされることが多く、報告書の提出までに数週間から1か月以上かかることもあります。
一方で、端末のログに絞った診断型のサービスのように、1台あたり数十万円規模、速報は1週間以内といった形で、より手軽な価格・スピードを掲げるサービスも登場しています。
いずれも事案によって変動するため、見積りは複数社に相談して比較するのが安全です。費用を抑えたい場合は、調査範囲を優先度の高い端末・期間に絞る相談も有効です。
このうち端末に絞って調べる診断型のサービスについては、何を調べて何が分かるのか、費用相場や種類ごとの選び方を以下の記事で詳しく解説しています。依頼先を具体的に検討する前の予備知識としてご覧ください。
依頼時の確認点
調査会社を選ぶときは、次の点を事前に確認しておくと、依頼後の認識のずれを防げます。
- 自社の環境(OS・クラウド・インシデントの種類)に対応できるか
- 必要なタイミングで調査に着手できるか(緊急時の初動の速さ)
- 調査範囲・報告内容・費用が見積り段階で明確か
依頼先に心当たりがない場合は、複数のフォレンジック調査会社に相見積りを取って比較するのが基本です。緊急時には公的な相談窓口も利用できます。情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口、JPCERT コーディネーションセンターなどです。
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個人情報保護委員会への報告義務と報告の進め方
調査と並行して、個人情報の漏えい(またはそのおそれ)がある場合は、個人情報保護委員会への報告義務を確認しましょう。個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)第26条第1項は、一定の重大な事態が生じたときに委員会への報告を義務づけています。報告が必要になる事態は施行規則で4類型が定められており、不正アクセスは原則として「不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等」に該当します。
報告には速報と確報の2段階があります。速報は事態を知った後「速やかに」行う必要があり、ガイドラインはその目安を「概ね3~5日以内」としています。確報の期限は原則30日以内ですが、不正アクセスなど不正の目的による行為に該当する場合は60日以内です。本記事のテーマである不正アクセスでは、確報の期限は60日以内と理解しておくのが実務上の基本です。
前項の場合において、個人情報取扱事業者は、当該事態を知った日から三十日以内(当該事態が前条第三号に定めるものである場合にあっては、六十日以内)に、当該事態に関する前項各号に定める事項を報告しなければならない。
出典:個人情報の保護に関する法律施行規則 第8条第2項(e-Gov 法令検索)
報告様式については、政府全体のサイバー攻撃被害報告の一元化方針に沿って、2025年10月1日以降、ランサムウェア事案による個人データの漏えい等は共通様式での報告ができるようになっています。自社の事案がどの様式で報告すべきかは、個人情報保護委員会の受付ページで確認してください。
調査を外部の調査会社に委託し、その過程で個人データを渡す場合の取り扱いについては、個人情報保護法第27条が関係します。利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託することに伴う提供は、同条第5項第一号により、そもそも第三者提供には当たらないと整理されるのが一般的です(委託先の監督義務は別途生じます)。具体的な事案での当てはめは、専門家への確認をおすすめします。
出典・参考資料(3件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律 第26条・第27条|e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
- 出典:個人情報の保護に関する法律施行規則 第7条・第8条|e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/428M60020000003)
- 出典:漏えい等の対応とお役立ち資料|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/leakAction/)
再発防止に向けた恒久対策(技術・組織・人)
調査と報告が一段落したら、同じ経路で再び侵入されないための恒久対策に取り組みます。対策は技術・組織・人の3つの観点で整理すると抜け漏れが起きにくくなります。
- 技術的対策:VPN機器やサーバーの脆弱性修正(パッチ適用)、多要素認証の導入、不要なアカウント・権限の棚卸し、ログの長期保管と監視の仕組みづくり。
- 組織的対策:インシデント対応体制(連絡経路・判断者・外部委託先)の整備と、対応手順の文書化・訓練。
- 人的対策:フィッシングメールの見分け方や報告ルールなど、従業員への継続的な教育。
経営レベルでの取り組みの枠組みは、経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」が参考になります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0 実践のためのプラクティス集|情報処理推進機構(IPA)(https://www.ipa.go.jp/security/economics/csm-practice.html)
技術的対策として挙げた多要素認証やEDR、ログ監視といった仕組みを、具体的な製品で比較検討したい場合は、以下の記事で不正アクセス検知システムをタイプ別に整理しています。再発防止の手立てを選ぶ際の参考にご覧ください。
不正アクセス検知システムおすすめ18選|4タイプ別の選び方を徹底比較
ファイアウォールやWAF(Web Application Firewall:Webアプリケーション用の防御壁)で入口は固めたものの、漏えいしたIDとパスワードを使った大量ログインや、すり抜けたマルウェア(ウイルス)が社内で広がる動きまでは捉…
調査・再発防止に使えるソリューション(調べる手段)
自社のログ確認だけでは侵入の有無や被害範囲を特定しきれない場合は、専門のツールやサービスを使って「調べる」手段を補えます。ここでは、端末やネットワークの痕跡を事後に調べられるサービスを紹介します。
以下は、ご紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | CoWorker 端末侵害診断サービス | Network Blackbox |
|---|---|---|
| 調べる対象 | 端末(PC・サーバー)から専用ツールで集めたログ | ネットワークを流れる全パケット(保存・検索) |
| 調査のタイプ | 事後の端末フォレンジック診断(スポット/定期実施型) | 全パケット保存型のNDR(検知後にさかのぼって調査) |
| 主に調べられること | マルウェア・不正プログラムの痕跡、認証情報の漏えいリスク、個人クラウドへの同期、不審なUSB・ネットワーク接続、大量ダウンロードなど | 保存したパケットを検索し、通信の宛先・時系列・転送されたファイルなどを確認。ATT&CKにもとづく攻撃手口(TTP)の分析も可能 |
| 向いている場面 | 不正アクセスの疑いが生じた端末を、区切ったタイミングで調べたいとき | ネットワーク上に痕跡が残る侵入・不審通信・情報の持ち出しを、あとからさかのぼって調べたいとき |
| 調査対象外・注意点 | 常駐してリアルタイムに侵入を遮断するタイプではない(タイミングを区切って実施) | 端末上だけで完結する操作やクラウドへの不正ログインなど、通信に現れない事象は対象外(EDR・IDaaSと併用) |
| 対応環境・導入形態 | Windows・Mac/最大100台まで一括診断。ツール実行→ZIP送信の遠隔診断 | ミラーリング方式で導入するアプライアンス。EDR・SIEMとSyslog(CEF)/REST APIで連携 |
| 報告・納期 | 速報は1週間以内、最終レポートと報告会は1か月以内 | 要問い合わせ(公式に納期の記載なし) |
| 料金 | 初期費用200,000円+診断費用500,000円/台(税別)。事例掲載を条件とするトライアル価格200,000円/台も | 要問い合わせ(公式・代理店とも非公開) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※料金・仕様は各社公式情報・カタログ掲載情報による(2026年10月時点)。
1. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスは、対象のPCから専用ツールでログを集め、自社開発AI「Blue Agent」とセキュリティ専門家が事後に解析する、スポット/定期実施型の端末フォレンジック診断です。
常駐のエージェントで侵入を遮断するタイプではなく、「すでに侵害や情報の持ち出しが起きていないか」を区切ったタイミングで調べる位置づけです。不正アクセスの疑いが生じた端末を、あらためて調べたい場面に向きます。
マルウェア感染や不正プログラムの痕跡、認証情報の漏えいリスク、個人クラウドへの同期、不審なUSB・ネットワーク接続、退職直前の大量ダウンロードなどを検出し、リスクの優先度を付けたレポートと報告会を提供します。対応OSはWindowsとMacで、最大100台までの一括診断に対応。報告は速報が1週間以内、最終レポートと報告会が1か月以内という二段階です。
料金は公式・カタログの情報(2026年10月時点)によると、初期費用200,000円(ヒアリング・導入稼働費)に加え、診断費用が1台あたり500,000円(税別)です。導入事例としての掲載を条件としたトライアル価格(1台あたり200,000円・税別)も用意されています。複数台の診断にはボリュームディスカウントが設定されています。
2. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

ネットワークを流れる全パケットを収集・保存し、検知した後からさかのぼって検索・分析できるのが Network Blackbox です。NDR(Network Detection and Response)に分類される製品で、ネットワーク上に痕跡が残る侵入や不審な通信、情報の持ち出しの調査に対応領域を持ちます。
公式が掲げる機能のうち、調査(フォレンジック)に関わるのは、PSA(Packet Search Acceleration)によるパケット検索と、DCS(Deep Content Search)によるコンテンツの検索・復元です。保存したトラフィックから通信の宛先・時系列・転送されたファイルなどを確認でき、MITRE ATT&CK(攻撃の手口を体系化した知識ベース)にもとづく攻撃手口の分析も備えます。
ミラーリング方式で導入するため、ネットワークへの影響を抑えやすいのも特長です。EDR(端末を監視して脅威を検知・対応する仕組み)やSIEM(各種ログを集約して相関分析する仕組み)とは、Syslog(CEF)やREST API経由で連携します。
一方で、端末上だけで完結する操作やクラウドへの不正ログインなど、ネットワークの通信に現れない事象は対象外です。これらはEDRやIDaaS(クラウドのID認証を統合管理する仕組み)との組み合わせが前提になります。保存できる期間は搭載するストレージの容量によって変わり、料金は公式・代理店とも非公開で個別見積りです。
まとめ
不正アクセスを疑ったら、まずは証拠を壊さない初動(電源を切らない・初期化しない・必要なら通信遮断で隔離)を守ったうえで、端末・ネットワーク機器・認証基盤・クラウドのログを機器別に確認し、侵入の有無と被害範囲を切り分けます。自力で経路や範囲を特定しきれない、ログが足りない、対外説明に耐える結果が必要、といった場合は専門の調査会社(フォレンジック)への依頼を検討します。
あわせて、個人情報の漏えい(またはそのおそれ)があれば、個人情報保護委員会への報告義務(不正アクセスの確報は60日以内)を確認し、同じ経路で再び侵入されないよう技術・組織・人の対策で再発を防ぎます。自社のログ確認を補う手段として、端末を調べる診断サービスやネットワークの通信を調べるNDRも選択肢になります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 不正アクセスの調査とは何ですか?
A. 不正アクセスの調査とは、端末・ネットワーク機器・認証基盤・クラウドに残るログや痕跡を突き合わせ、侵入の有無・侵入経路・被害範囲(情報の持ち出しや他システムへの広がり)を事実にもとづいて特定する作業です。自社のログ確認で切り分ける方法と、専門の調査会社によるフォレンジック調査があり、対外説明や法令上の報告に耐える客観的な結論が必要なほど後者の比重が高まります。
Q. 不正アクセスの調査では、過去どのくらいさかのぼって調べられますか?
A. 不正アクセスの調査でさかのぼれる期間は、各機器やサービスに残っているログの保存期間が上限になります。侵入が数か月前から続いていても、ログが上書きや自動削除で消えていれば、その時期の痕跡までは追えません。侵入の疑いに気づいた時点で、関係する機器のログ保存設定(保存期間・容量による上書きの有無)を確認し、該当期間のログを読み取り専用で確保しておくことが調査の前提になります。
Q. EDRやNDRなどのセキュリティ製品を導入していなくても、後から不正アクセスを調査できますか?
A. 専用の監視製品を導入していなくても、OSのイベントログや通信機器・クラウドの標準ログが残っていれば、後から侵入の痕跡を調べられます。ただし調査できる範囲は、残っているログの範囲に左右されます。記録が乏しい場合は、対象端末から専用ツールでログを集めて事後に解析する診断型のフォレンジックサービスや、導入後の通信を記録してさかのぼれるNDRで不足を補う方法があります。
Q. 不正アクセスで個人情報が漏えいした場合、本人(顧客)への通知も必要ですか?
A. 個人情報保護委員会への報告に加えて、原則として本人への通知も必要です。個人情報保護法第26条第2項は、同条第1項の報告対象となる漏えい等が生じたとき、本人に対しても事態を通知するよう義務づけています。本人への通知が困難な場合は、事案の公表など本人の権利利益を保護するための代替措置を講じます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律 第26条|e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
Q. 不正アクセスの被害は、警察にも届け出る必要がありますか?
A. 警察への届け出は法律上の義務ではありませんが、不正アクセス行為は犯罪にあたるため、被害届の提出や相談が推奨されます。他人のIDやパスワードを悪用するなどの不正アクセス行為は「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」で禁じられ、罰則の対象です。被害の拡大防止や捜査のため、都道府県警のサイバー犯罪相談窓口への相談を検討します。前章の証拠保全を済ませてから相談すると、痕跡を保ったまま引き継げます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセス行為の禁止等に関する法律|e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000128)
Q. 社員による内部不正(情報の持ち出し)も、同じように調査できますか?
A. 社員による情報の持ち出しも、端末やクラウドに残る操作ログを調べることで、外部からの不正アクセスと同様に調査できます。個人クラウドへの同期、不審なUSB接続、退職直前の大量ダウンロードなどが手がかりになります。一方で、正規のアカウントによる正規の操作として記録されるため外部からの侵入より痕跡が紛れやすく、対象期間・対象者を絞って端末のログを精査する診断型の調査が向く場面があります。
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松嶋真倫
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