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電子帳簿保存法対応の経費精算システム32選|JIIMA認証の区分と保存区分で比較

電子帳簿保存法対応の経費精算システムのサムネイル画像

領収書を電子で保存すれば紙の保管から解放されると聞いて経費精算システムを調べ始めると、どの製品にも「電子帳簿保存法対応」と書かれていて、かえって絞り込めなくなります。

同じ「対応」でも中身は同じではありません。紙の領収書をスキャンして保存できる製品と、メールやWebで受け取った領収書データを保存できる製品では、満たしている制度上の区分が違います。第三者機関の認証を受けている製品もあれば、認証は受けずに要件を満たしている製品もあり、法対応が標準機能の製品もあればオプション契約が必要な製品もあります。

この記事では、経費精算で満たすべき要件を整理したうえで、32製品について「どの保存区分に対応しているか」「JIIMA認証をどの区分で取得しているか」を横並びで整理しました。自社が満たすべき要件を先に確定させてから、それを満たせる製品を選べる構成にしています。

読み進める前に候補を絞りたい場合は、記事中盤の診断で満たしたい保存区分や企業規模などの条件から候補を確認できます。

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この記事で紹介する経費精算システムに共通する条件

ここで取り上げるのは、従業員の立替経費を申請から承認・仕訳連携まで処理でき、かつ電子帳簿保存法への対応内容を公式情報またはJIIMA認証製品一覧で確認できる経費精算システムです。

各製品について、対応する保存区分(スキャナ保存・電子取引データ保存)、JIIMA認証の取得区分と認証番号、真実性をタイムスタンプで満たすのか訂正削除の履歴で満たすのか、法対応が標準機能かオプション契約かを揃えて掲載しています。

JIIMA認証は任意の制度で、取得していないことが要件を満たせないことを意味するわけではありません。

電子帳簿保存法への対応を条件にせず、料金・機能・使いやすさといった軸も含めて経費精算システム全体から選びたい場合は、以下の記事で主要製品を横断的に比較しています。

経費精算で電子帳簿保存法の対象になる書類と保存区分

製品を比べる前に、自社が満たすべき保存区分を確定させることが出発点になります。ここが決まらないと、比較表のどの列を見ればよいかが判断できません。

電子帳簿保存法とは何を定めた法律か

電子帳簿保存法は、税法上保存が必要な帳簿や書類を紙ではなく電子データで保存するためのルールを定めた法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。

制度は3つに区分されており、それぞれ対応の要否が異なります。

税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度を電子帳簿等保存制度といい、①電子帳簿等保存【希望者のみ】②スキャナ保存【希望者のみ】③電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要】の3つの制度に区分されています。

出典:国税庁「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」(令和8年6月)|国税庁

3つのうち義務なのは③の電子取引データ保存だけで、①と②は希望する事業者が選べる制度です。「電子帳簿保存法に対応しなければならない」と聞いて紙の領収書のスキャン保存まで必須だと考える方が少なくありませんが、紙の領収書を紙のまま保管し続けること自体は現在も認められています

3つの区分を、対応の要否・経費精算での該当場面・根拠条文で並べると次のとおりです。

保存区分対応の要否経費精算での該当場面根拠条文
①電子帳簿等保存希望者のみ自社で一貫して作成した経費精算書を、そのまま電子データで保存する法第4条第1項(帳簿)
法第4条第2項(自己が一貫して作成した書類)
②スキャナ保存希望者のみ従業員が紙で受け取った領収書を電子化して保存する法第4条第3項
③電子取引データ保存法人・個人事業者は対応が必要メールやWebで受け取った領収書データを保存する法第7条

経費精算で製品選びに直結するのは②と③です。①は自社のシステムで作成した経費精算書に関わりますが、製品の比較軸にはなりません。以降で条文番号が出てきたときは、この表に戻れば何の話かを確かめられます。

立替精算で対象になる書類は領収書と経費精算書

従業員の立替経費で保存が必要になる書類は次の2種類です。

  • 領収書・レシート:従業員が店舗や取引先から受け取るもの。国税庁の書類区分では、資金の流れに直結する「重要書類」に当たります
  • 経費精算書:従業員が申請時に作成するもの。自社が一貫して電子的に作成する場合は電子帳簿等保存(法第4条第2項)の区分に当たります

国税庁の一問一答には、立替精算をそのまま扱った設例があります。

問7 従業員が立て替えた交際費等の領収書について、所要の事項を整理した精算書とともに提出させて、帳簿代用書類として使用していますが、このような帳簿代用書類は、スキャナ保存の対象とすることができますか。また、一般書類として適時入力方式の対象となりますか。
【回答】
スキャナ保存の対象とすることができますが、一般書類から除かれているため適時入力方式の対象とはなりません。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)問7|国税庁

領収書を精算書とセットで帳簿の代わりに使っている場合、スキャナ保存はできるものの、入力の期限が緩やかな「適時入力方式」は選べません。後述する入力期限が効いてくる運用になります。

紙で受け取った領収書はスキャナ保存

従業員がタクシーや飲食店で受け取った紙の領収書を電子データにして保存する場合、スキャナ保存(法第4条第3項)の要件を満たす必要があります。

読み取りに使う機器はスキャナや複合機に限られません。スマートフォンやデジタルカメラも入力装置に該当すれば「スキャナ」に含まれます(一問一答【スキャナ保存関係】問5、取扱通達4-16)。従業員が自分のスマートフォンで撮影して申請する運用は、法令上も想定された方法です。

データで受け取った領収書は電子取引データ保存

メールに添付されたPDFの領収書、Web予約サイトからダウンロードした利用明細、ECサイトの購入履歴として発行される領収書は、電子取引(法第7条)に当たります。こちらは義務です。

「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)。
なお、この「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。
(中略)このため、例えば、売上や仕入に係る注文書や請求書、領収書等のほか、仕入以外の事業上の費用(水道光熱費や旅費交通費など)に係るものについても保存範囲に含まれます。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問2|国税庁

旅費交通費が名指しで挙げられているとおり、経費精算で扱うデータの領収書はこの範囲に入ります。2024年1月以降は、これらを印刷した紙だけで保管する対応は認められません。

出張のWeb予約やECサイトでの備品購入では、領収書データをダウンロードしていない場合の扱いが問題になります。国税庁は、インターネット上で領収書データを確認できるようになった時点で取引情報の授受があったと考えられる、としています。ダウンロードしなければ保存義務が生じないというものではない、という整理です(一問一答【電子取引関係】問44)。

ECサイト上で随時確認できる状態が保たれ、かつサイト提供事業者側が真実性と検索機能の要件を満たしている場合に限って、ダウンロードして保存していなくても差し支えないという整理です(同 問45)。

紙と電子が混在する立替精算では両方の対応が必要になる

実際の立替精算では、1回の申請にタクシーの紙の領収書とWeb予約の電子領収書が同時に混ざります。電子で受け取った分は電子取引データ保存の要件を満たして保存する必要があり、紙の分をどう扱うかとは切り離して決めることになります。

ここで注意したいのが、扱いを揃えるために電子の領収書をいったん印刷し、紙の領収書とまとめてスキャンする運用です。電子取引データを出力した書面をスキャナ保存することは認められないと明記されています(一問一答【電子取引関係】問99)。

逆方向は問題ありません。電子データを要件どおり保存したうえで書面にも出力し、他の書類と一緒に整理して綴じておくことは差し支えないとされています。

真実性の確保(保存したデータが後から書き換えられていないことを担保する要件)の措置が、領収書ごとに異なることも認められています。Web予約分はシステムの訂正削除履歴で、別の経路で受け取った分はタイムスタンプで、といった運用を1社の中で併存させられます。

「電子帳簿保存法に対応している」とは何を満たすことか

ここからは、製品が「対応している」と言うときに満たしている要件の中身を、条文と国税庁の資料で確認します。要件ごとに、それを満たす機能と、比較表のどの列で確認できるかを対応させて説明します。

真実性の確保の要件と、それを満たす機能

真実性の確保とは、保存したデータが後から書き換えられていないことを担保する要件です。電子取引データ保存では、次の4つの措置のいずれかを満たせば要件を充足します。

電子的に受け取ったり送付した請求書や領収書等については、データのまま保存しなければならないこととされており(法7)、その真実性を確保する観点から、以下のいずれかの条件を満たす必要があります(規則4①)。
⑴ タイムスタンプが付与されたデータを受領(規則4①一)
⑵ 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す(規則4①二)
⑶ データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用してデータの授受及び保存を行う(規則4①三)
⑷ 訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、備え付け、運用する(規則4①四)

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問30|国税庁

これらの措置は保存義務者が任意に選べます。経費精算システムの実装に引き寄せると、⑵のタイムスタンプ自動付与か、⑶の訂正削除履歴の保持のどちらかを採る製品が大半です。⑷の事務処理規程は、システムを使わずに要件を満たす選択肢であり、システムを導入する場合でも製品によっては併せて求められます。

比較表では「タイムスタンプの扱い」列で、どの方式を採っているかを確認できます。事務処理規程が別途必要になる製品は、その旨を記載しています。

事務処理規程を選ぶ場合、規程は作成するだけでは足りません。施行規則第4条第1項第四号は、規程を定めること、規程に沿った運用を行うこと、電磁的記録の保存に併せて規程を備え付けることの3点を求めています。

国税庁は法人用・個人事業者用の規程のサンプルをWordファイルで公開しています(参考資料(各種規程等のサンプル))。ゼロから起草する必要はありません。

可視性の確保と検索要件、それを満たす機能

可視性の確保は、保存したデータを必要なときに読み出せる状態にしておく要件です。内容は3つに分かれます。

  • 見読可能装置の備付け:ディスプレイとプリンタ、操作説明書を備え、画面と書面に整然とした形式で速やかに出力できるようにしておくこと
  • システム概要書の備付け:自社開発のプログラムを使用する場合に限って必要です。市販の経費精算システムを利用する場合は求められません
  • 検索機能の確保:次の3項目を満たすこと

⑴ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
⑵ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
⑶ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問48|国税庁

検索要件はスキャナ保存と電子取引データ保存で条文を共有しており、両区分で内容は同じです。

一方、見読可能装置については両区分で扱いが分かれます。電子取引データ保存では、ディスプレイやプリンタ等の性能や設置台数等は要件とされていません(一問一答【電子取引関係】問20)。スキャナ保存では、映像面の最大径が35センチメートル(14インチ)以上のカラーディスプレイとカラープリンタの備付けが求められます(施行規則第2条第6項第4号)。

検索要件には2段階の緩和があります(一問一答【電子取引関係】問48・問51)。税務職員によるダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、⑵の範囲指定と⑶の組み合わせ検索が不要になります。

これに加えて、検索機能の確保そのものが不要になる場合もあります。判定期間に係る基準期間(2課税年度前)における売上高が5,000万円以下である場合と、電子取引データを印刷した書面を日付と取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしている場合です。

緩和されるのは検索要件だけで、真実性の確保は対象外です。売上高が基準以下でも、訂正削除への措置は必要になります。

スキャナ保存に固有の要件と機能

紙の領収書をスキャナ保存する場合は、真実性・可視性に加えて読み取りと紐づけの要件が上乗せされます。経費精算で扱う領収書は重要書類に当たるため、次の内容が必要です。

  • 解像度:25.4ミリメートル当たり200ドット以上(200dpi)で読み取ること
  • 階調:赤・緑・青がそれぞれ256階調以上のカラー画像で読み取ること
  • タイムスタンプの付与:入力したことを確認できるクラウド等に保存する場合は、付与に代えられます
  • 訂正削除の事実と内容を確認できること(バージョン管理)
  • 帳簿との相互関連性の確保:領収書の画像と仕訳を、証憑IDや伝票番号で相互に確認できるようにしておくこと
  • 入力期間の制限:受領後、定められた期間内に入力すること
  • 見読可能装置の備付け:14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタ、4ポイント文字の認識

解像度と階調は、A4サイズの書類であれば約387万画素以上での読み取りが目安になります。近年のスマートフォンのカメラは十分に満たす水準ですが、撮影時の傾きや影が同等確認(画像と現物を見比べて内容が一致していることを確かめる作業)で問題になることはあります。

入力期間の実務上の上限と、期限を過ぎた場合の扱いは、製品を選んだ後の運用に直結するため電子化した領収書の実務ルールで詳しく扱います。

JIIMA認証は「どの区分で取得しているか」まで確認する

製品側が要件を満たしているかを外部から確認する手がかりが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証です。市販のソフトウェアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、満たしていると判断したものを認証する制度です。

ここで見落とされがちなのが、JIIMA認証が1種類ではないという点です。制度は5つに分かれており、それぞれ対応する条項が違います。

認証制度の名称対応する条項経費精算システムとの関係
電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証法第4条第3項紙の領収書をスキャナ保存する機能に対応
電子取引ソフト法的要件認証法第7条データで受け取った領収書の保存に対応
電子帳簿ソフト法的要件認証法第4条第1項帳簿が対象。経費精算システムでは通常対象外
電子書類ソフト法的要件認証法第4条第2項自社作成書類の控えが対象。経費精算システムでの取得例はありません
デジタルシームレスソフト法的要件認証法第8条第5項令和7年度改正で新設。施行は2027年1月1日

経費精算システムに関係するのは、上の2つです。スキャナ保存ソフト認証だけを取得している製品は紙の領収書の電子化について確認されていますが、データで受け取った領収書の保存については確認されていません。自社が満たしたい保存区分と、製品が取得している認証の区分が一致しているかを確認する必要があります。

電子取引ソフト認証には、さらに「保存方式」の区分が付されている製品があります。これは施行規則第4条第1項のどの措置に対応して認証されたかを示すもので、記号の意味は次のとおりです。

← 横にスクロールできます →
保存方式 / 内容ABC-a / C-bD-a / D-b
施行規則4条1項措置1相当措置2相当措置3相当 / 措置4相当措置3相当 / 措置4相当
説明タイムスタンプ付与後に相手方に送付する方式授受後にタイムスタンプを付与する方式訂正削除の履歴が残る方式(a=自動入力方式/b=手動入力方式)訂正削除ができない方式(a=自動入力方式/b=手動入力方式)

C-bとD-bの製品では、事務処理規程の備付けが別途必要になります。導入すればシステムだけで完結すると考えていると、規程の整備が漏れます。

この保存方式が一覧に表示されるのは令和5年度の審査基準で認証された製品で、それ以前の基準で認証された製品は表示されません。表示がないことは、方式が不明であることを意味するものではありません。

主製品から派生した製品も一覧では「-」表示になります。JIIMAの凡例は、派生製品は主製品と機能的に同等なので主製品の保存方式を参照するよう案内しており、この場合も方式が不明という意味ではありません。

認証を取得していない製品の扱いについては、JIIMA自身が次のように説明しています。

Q4:利用している会計ソフトがJIIMA認証情報リストに入っていないのですが問題ないでしょうか?
A4: JIIMA認証ソフトの利用は必須ではございません。
JIIMA認証ソフトを利用しない場合は、ソフトウェアが電子帳簿保存法に対応しているかについて御社が確認のうえご判断ください。

出典:JIIMA「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度FAQ」ソフト利用ユーザー様向けFAQ Q4|公益社団法人日本文書情報マネジメント協会

真実性の確保を事務処理規程だけで満たす設計の製品は、制度上そもそも認証の対象になりません。ソフトウェア単体の機能では要件充足を確認できないためです。認証がないことを製品の欠格として読むのは、この点で正確ではありません。

逆に、認証があれば法対応が完了するわけでもありません。国税庁は認証の位置づけについて次のように注意を促しています。

電子帳簿保存法の保存等の要件には、事務手続関係書類の備付けに関する事項等、機能に関する事項以外の要件もあり、それらを含め全ての要件を満たす必要がありますのでご注意ください。

出典:国税庁「JIIMA認証情報リスト」|国税庁

認証は製品のマニュアル等をもとに機能要件への適合を確認するもので、動作テストや品質保証を行うものではありません。初期設定のままでは機能要件を満たさない場合もあるため、導入後に設定を確認することが必要です。認証は候補を絞る手がかりとして有用ですが、それだけで判断を終えられるものではありません。

電子帳簿保存法対応の経費精算システムの選び方

要件を押さえたところで、自社の条件に照らして候補を絞る軸を整理します。

自社が満たすべき保存区分に対応しているか

最初の分岐はここです。データで受け取った領収書だけを扱うなら電子取引データ保存への対応で足ります。紙の領収書もあわせて電子化して保管スペースを減らしたいなら、スキャナ保存への対応も必要になります。

比較表では、対応する保存区分の列とJIIMA認証の区分の列を突き合わせると確認できます。「電帳法対応」とだけ書かれた製品が、実際にはスキャナ保存側しか認証を受けていないことは珍しくありません。

法対応が標準機能か、オプション・別契約扱いか

法対応の位置づけは製品によって3通りに分かれます。基本料金に含まれる標準機能の製品、タイムスタンプなどをオプション契約で追加する製品、そして同じベンダーの文書管理製品を別契約で組み合わせて初めて対応できる製品です。

3つ目の型は見積もりの前提が変わるため、比較表で確認しておく価値があります。オプション型では利用人数に応じて月額が積み上がるので、従業員数が多い企業ほど総額への影響が大きくなります。

対象書類の範囲は領収書だけか、請求書まで含むか

経費精算システムが扱うのは主に立替経費の領収書です。取引先から受け取る請求書の電子保存まで1つの仕組みでまとめたい場合は、請求書受領サービスを併せて提供しているベンダーか、統合的な支出管理製品が候補になります。

この判断を先送りすると、経費精算だけを導入した後に請求書側で別製品を追加することになり、証憑の保管場所が分散します。

請求書受領サービス側から検討する場合、郵送されてくる紙の請求書ごと受領を代行する型、自社で受け取ってAI-OCRでデータ化する型など方式が分かれ、どの型を選ぶかで経理側の作業範囲が変わります。以下の記事では、タイプ別に16製品の料金と電子帳簿保存法・インボイス制度への対応内容を比較しています。

申請する現場社員の運用に耐えるか

要件を満たすかどうかは経理部門の関心事ですが、実際に領収書を撮影して申請するのは現場の社員です。スマートフォンでの撮影が前提になる製品では、読み取り精度と差し戻しの発生頻度が運用の負荷を左右します。

確認したいのは、OCRの読み取り結果を申請者が修正できるか、撮影のガイドが表示されるか、複数枚の領収書をまとめて処理できるかといった点です。入力期限がある以上、差し戻しが増えれば期限内の処理が難しくなります。

外出の多い社員が多く、申請から承認までをスマートフォンで完結させたい場合は、その使い勝手を軸に製品を絞る方法もあります。以下の記事では、スマホでできる操作の範囲や無料枠の有無、会計ソフト連携を基準に経費精算アプリを比較しています。

会計システム連携とインボイス制度対応まで含めて解決できるか

電子帳簿保存法への対応とインボイス制度への対応は、経理の実務では同じ書類を相手にします。領収書に登録番号が記載されているかの確認や、税率区分ごとの集計を経費精算システム側で処理できると、二重チェックを避けられます。

会計システムとの連携方式も確認しておきたい点です。APIでの自動連携なのか、CSVの書き出しと取り込みなのかで、月次処理の手間が変わります。

対象書類の範囲・現場での運用のしやすさ・会計システム連携は、候補を絞った後に資料や問い合わせで確認する軸になります。

ここまでの軸を自社の条件に当てはめると候補が絞れます。下記の診断では、満たしたい保存区分や企業規模などの条件から候補を確認できます。

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【比較表】電子帳簿保存法対応の経費精算システムを保存区分・JIIMA認証で比べる

32製品について、対応する保存区分、JIIMA認証の取得区分と認証番号、真実性をどの方式で満たすか、法対応が標準機能かオプションかを整理しました。

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対応する保存区分スキャナ保存・電子取引データ保存の両方
(公式サポートが区分ごとに要件対応を明示)
スキャナ保存・電子取引データ保存の両方
(立替経費の領収書について公式が明示)
スキャナ保存に対応
電子取引データ保存はスキャナ保存の仕組みで対応できるという公式コラムの説明にとどまる
スキャナ保存に対応
電子取引データ保存への個別の対応範囲は公式サイトに記載なし
スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存に対応
電子取引データ保存に対応(電子取引はシリーズ内の別アプリ「帳簿書類管理」が担当。manage 経費単体で完結するかは公式サイトに記載なし)
スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(JIIMA認証の取得区分で確認。現行の製品ページ本文に電帳法の記載はなし)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(公式の製品ページが明記)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方スキャナ保存に対応
電子取引データ保存の満たし方は公式サイトに記載なし
スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(公式の機能ページが明記)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(電子取引データ保存は標準機能として対応と公式発表)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(電子取引データと領収書画像を一元管理と公式が説明)スキャナ保存に対応
電子取引データ保存は公式サイトに記載なし
スキャナ保存に対応
電子取引データ保存は公式サイトに記載なし
スキャナ保存に対応
電子取引データ保存は対応可否そのものが公式サイトに記載なし
電子取引データ保存に対応
スキャナ保存は公式サイトに対応の記載なし
スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(ファイルボックス機能が両用途を担う)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(両区分のJIIMA認証を持つのは同社の別サービス「invox電子帳簿保存」)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(公式ヘルプが要件ごとに対応を開示)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方(スキャナ保存はJPEG、電子取引はPDF)スキャナ保存・電子取引データ保存の両方単体では非対応(外部の電子帳簿保存システムとの連携・別契約が前提)単体では非対応(別契約・別料金の文書管理システムとの組み合わせが前提)
JIIMA認証(区分・認証番号)両区分とも未取得
(弥生で認証を持つのは別製品「スマート証憑管理」014400-00/608600-01)
スキャナ保存 000800-02(2017年2月取得・経費精算ソフトで第一号)
電子取引 600700-01(令和5年度基準、保存方式区分B・D-a/b。初回取得は2021年9月)
スキャナ保存 004100-00(令和元年度。認証台帳の製品名は旧名称「J’sNAVI NEO」を併記した表記)
電子取引 未取得
スキャナ保存 004700-00(Ver7、令和元年度)
電子取引 未取得
スキャナ保存 002500-03/002500-04
電子取引 613200-01(令和5年度、保存方式区分B・C-b)
スキャナ保存 001100-01(令和3年度)
電子取引 601900-00(令和2年度)
いずれもTOKIUM経費精算名義
スキャナ保存 020000-00
電子取引 626900-00(令和5年度、保存方式区分B)
(台帳名義「バクラク申請・経費精算」)
スキャナ保存 021100-00
電子取引 628300-00(令和5年度、保存方式区分C-b)
スキャナ保存 008900-00
電子取引 613800-00(有効期限2026年8月16日。更新状況は要確認)
スキャナ保存 007100-00
電子取引 604700-00
スキャナ保存 011900-00
電子取引 619700-00
スキャナ保存 020300-00
電子取引 627500-00(保存方式区分C-b)
スキャナ保存 020200-00
電子取引 627100-00(令和5年度、保存方式区分C-b)
スキャナ保存 005300-00(台帳名義は「manage(旧:ManageOZO3)」)
電子取引 614900-00(台帳名義は旧シリーズ名「ManageOZO3」)
(いずれもシリーズ名義で、manage 経費単体を名指しした認証ではない)
スキャナ保存 020100-00(現行名義「MAJOR FLOW 経費精算/支払依頼」、令和5年度)
電子取引 607200-00(旧名義「MAJOR FLOW Z KEIHI」、令和3年度)
スキャナ保存 018500-00
電子取引 624100-00(令和5年度、保存方式区分C-b)
スキャナ保存 016100-00
電子取引 620100-00(いずれも令和3年度)
スキャナ保存 002300-00(平成28年度基準)
電子取引 未取得
スキャナ保存 007200-01(令和5年度)
電子取引 未取得
スキャナ保存 008100-00(製品全体「TeamSpirit」名義、令和3年度)
電子取引 未取得
スキャナ保存 002400-00
電子取引 未取得
スキャナ保存 009300-01(令和5年度基準。同社名義では010800-01の登録もあり)
電子取引 未取得
スキャナ保存 006300-00(旧製品名SmartFlowを併記)/010400-00(証憑スキャナ保存プラン)
電子取引 未取得
スキャナ保存 020900-00(RDX経費名義、令和5年度)
電子取引 未取得
電子取引 612100-00(令和3年度、台帳名義「経費キャッシュレス V2.3」)
スキャナ保存 未取得
「freee支出管理」ブランド名義でスキャナ保存 009001-00/電子取引 607101-01(令和5年度。経費精算Plus単体を名指しした認証ではない)
607101-01は派生製品のため保存方式は「-」表示。主製品 freee会計 607100-01 の C-a/b・D-a/b を参照
invox経費精算としては未取得
(両区分の認証は同社の別サービス「invox電子帳簿保存」名義)
両区分とも未取得(スキャナ保存・電子取引の認証一覧に掲載なし)両区分とも未取得(認証一覧に掲載なし)Spendia本体は両区分とも未取得(認証一覧に掲載なし)両区分とも未取得(認証一覧に掲載なし)両区分とも未取得(認証一覧に掲載なし)
タイムスタンプの扱い電子取引データはタイムスタンプを付与
スキャナ保存は訂正削除履歴で代替
認証の保存方式はB(授受後にタイムスタンプを付与)とD-a/b(訂正削除ができない方式)の両方
付与のタイミングは公式サイトに記載なし
自動付与(アプリで証憑を電子化すると付与)公式サイトに記載なし自動付与(領収書のアップロード時)
保存方式にC-bを含むため事務処理規程が別途必要
タイムスタンプ機能で確保(公式は標準実装と説明)自動付与+訂正削除履歴の記録電子取引は訂正削除履歴で代替(C-b。事務処理規程の備付けが別途必要)
スキャナ保存は自動付与(2021年9月の発表)
自動付与(領収書・請求書のアップロードと同時)タイムスタンプ付与+訂正削除の記録(電子帳簿保存法オプションの契約が前提)公式サイトに記載なし自動付与(証憑保管領域にアップロードしたPDFへ)
電子取引はC-bのため事務処理規程の備付けが別途必要
訂正削除履歴で代替(C-b。事務処理規程の備付けが別途必要)オプション契約が前提(会計タイムスタンプオプション)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし(電子取引はC-b=訂正削除履歴が残る方式で、事務処理規程の備付けが別途必要)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし訂正削除履歴の確認機能で対応(タイムスタンプの自動付与ではない)公式サイトに付与の記載なし(説明はデータの改ざん制限と変更履歴の自動保存にとどまる)対応の記載あり(付与の主体・タイミングは公式サイトに記載なし)訂正削除履歴の確保で対応(公式説明)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし公式サイトに記載なしタイムスタンプは2022年1月に提供終了。訂正削除履歴(バージョン管理)で代替(事務処理規程は利用者側で整備)タイムスタンプ機能を搭載(付与方式の詳細は公式サイトに記載なし)オプション契約が前提(タイムスタンプオプション 1ユーザー月額100円・税抜)自動付与(アップロード時。対象はrakumo ケイヒからアップロードした領収書に限る)訂正削除のログ管理で代替する方式と、タイムスタンプを付与する方式の2つ(電子取引は付与しない設定に固定)連携先システムの機能(WAVE225単体では付与しない)公式サイトに記載なし
法対応の提供区分標準機能(基本料金に含む)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし料金表が請求制のため非公開標準機能(追加契約・追加費用の記載なし)料金表が請求制のため非公開公式サイトに記載なし標準機能(電子取引への対応は基本プランに含む)オプション契約(電子帳簿保存法オプション)標準機能(機能一覧に掲載、追加費用の注記なし)オプション契約(電子帳簿保存法対応パック 月額10,000円)公式サイトに標準搭載との記載なし電子取引データ保存は別アプリ「帳簿書類管理」の契約が前提(スキャナ保存の標準/オプションの別は公式サイトに記載なし)オプション契約(会計連携先のオービック公式が電帳法対応のオプションと案内)公式サイトに記載なし標準機能(公式が電帳法対応をデフォルトと記載)公式サイトに記載なし標準機能(証憑電子保存はオプション料金なしと公式明記)標準機能(追加料金は不要)標準機能(インボイス・Peppolとともに標準)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし(認証が本体と証憑スキャナ保存プランに分かれる)公式サイトに記載なし公式サイトに記載なし標準機能(基本プランに含む)公式サイトに記載なし標準機能とオプションの併用(訂正削除の記録・帳簿との相互関連性・検索機能は標準、真実性の確保はタイムスタンプオプションが前提)オプション契約(電子帳簿保存法対応オプション。rakumo ワークフローの別途契約も必要)公式サイトに記載なし(機能を絞ったクイック導入版は有償オプション)別製品の契約が前提(外部の電子帳簿保存システムとの連携)別製品の契約が前提(MOT文書管理との組み合わせ)
料金エキスパートプラン 年額252,000円〜(税抜・30ユーザー分)初期費用0円
月額2,480円〜(年払い・ひとり法人プラン)、ビジネスプランは6,480円(5名まで)
初期導入費300,000円〜
月額35,000円〜(いずれも税抜)
SaaS型 月額10,000円〜(50ライセンス、1ライセンス200円)初期費用100,000円
月額30,000円〜(いずれも税抜)
月額10,000円〜(税抜)+領収書件数に応じた従量課金初期費用0円
月額30,000円〜
1人あたり月額300円〜(税別、利用製品数と利用人数による)月額29,000円〜(50名、税別)月額1ユーザー400円(31名以上、税抜)
30名以下向けライトパックは250円〜
1ユーザー月額300円〜初期費用100,000円
基本料金 月額15,000円(1テナント)+1ユーザー200円
電帳法対応パックは月額10,000円
初期費用0円
月額6,600円(10人まで)〜66,000円(100人まで、いずれも税込)
1ユーザー月額360円(30名から)月額10,000円(50ユーザー単位、税抜。最低契約は50ユーザー)1人あたり月額660円(100人契約)/495円(500人契約)、10IDから要問い合わせ(アクティブユーザー課金制)公式に現行の料金ページなし(要問い合わせ)
2020年7月改定時の発表ではStandardが50ユーザー月額29,000円〜
初期費用0円
月額3,000円〜(10ID単位、税抜)
月額18,000円〜(50ユーザー分のライセンスを含む、税抜)要問い合わせ(利用ユーザー数に基づくライセンス課金)公式に料金ページなし(要問い合わせ・個別見積)要問い合わせ(公式サイトに料金ページなし)公式に料金ページなし(要問い合わせ)要問い合わせ年90,000円(税抜)+申請・承認したユーザーのみ月650円/ID初期費用0円
月額1,980円〜(ミニマムプラン、税抜)+アクティブユーザー1人あたり300円
1ユーザー月額400円(税抜)
最低利用料金は月額5,000円(税抜)
月額300円/ユーザー(税別、12ヶ月単位)
電帳法対応オプションは月額100円/ユーザー
要問い合わせクラウド 月額200,000円〜(300ユーザー未満)
オンプレミス 旅費・経費精算150万円+基盤ライセンス180万円(いずれも税抜)
月額3,980円(20IDまで、税抜)
1アカウントあたり199円〜
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※上記は各社の公式情報およびJIIMA認証製品一覧(2026年8月時点)にもとづきます。「公式サイトに記載なし」は公式情報で確認できなかったことを示し、未対応を意味するものではありません。最新の対応状況は各社にご確認ください。

32製品を、比較表のJIIMA認証欄と保存区分欄から5つの群に分けると次のようになります。

電子帳簿保存法に対応した経費精算システム32選

ここからは各製品について、提供元と位置づけ、電子帳簿保存法への対応の中身、料金と連携先を紹介します。

単体では対応せず別製品との契約が前提になる製品もあります。「電帳法対応」の表示だけを見て選ぶと、契約の段になって別契約が要ると分かることがあります。

1. 弥生経費 Next(弥生株式会社)

弥生経費 Nextのウェブサイト

弥生会計 Next の経費精算機能として2025年1月に提供が始まったクラウドサービスです。領収書をスマートフォンで撮影するとAIが勘定科目を提案し、交通系ICカードの読み取りによる交通費申請にも対応します。

公式サポートは、スキャナ保存と電子取引データ保存の両区分について要件ごとの対応を説明しています。スキャナ保存では受領後7日以内の入力期間、解像度200dpi以上、訂正削除履歴の管理、証憑IDによる帳簿との相互関連性の確保が実装されています。

真実性の確保は、スキャナ保存が訂正削除履歴による代替、電子取引データが授受から2か月とおおむね7営業日以内のタイムスタンプ付与と、区分によって方式が分かれます。JIIMA認証は両区分とも取得しておらず、弥生で認証を持つのは別製品のスマート証憑管理(014400-00/608600-01)です。

電帳法のチェック機能は基本料金に含まれる標準機能で、追加費用はかかりません。証憑を長期に一元管理する場合は弥生会計 Next 契約者向けの弥生証憑 Next との連携が前提になることがあり、経費精算だけを使うエキスパートプランは年額252,000円(税抜・30ユーザー分)からです。

2. マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド経費のウェブサイト

領収書のスマホ撮影による読み取りに加え、交通系ICカードやコーポレートカード、旅行予約サイトなど2,300以上のサービスからの明細自動取り込みを備えます(2024年2月自社調べ)。承認済みの経費は会計ソフトへ仕訳として連携できます。

立替経費の領収書について、スキャナ保存と電子取引データ保存の両区分に対応します。JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証は2017年2月3日に経費精算ソフトとして第一号で取得しており、現行の登録は000800-02(令和5年度基準)です。

電子取引ソフト法的要件認証は2021年9月29日の取得で、現行の登録は600700-01(令和5年度基準、保存方式区分B・D-a/b)です。枝番はいずれも更新後の登録を示すため、初回の取得日と現行の認証番号は分けて確認します。

一方、タイムスタンプをどのタイミングで付与するか、電帳法対応が基本料金に含まれるか申し込みが必要かは公式サイトで明示されていません。料金は年払いの場合、ひとり法人プランが月あたり2,480円、5名まで使えるビジネスプランが6,480円で、初期費用は0円です。

3. ビズバンスJTB経費精算(株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ)

ビズバンスJTB経費精算(Bizvance)のウェブサイト

出張手配を本業とするJTBグループの株式会社JTBビジネストラベルソリューションズが提供しています。日常の交通費・交際費の精算に加えて国内・海外出張の申請から予約・精算までを扱い、出張予約データの自動連携には別途「ビズバンスJTB出張予約」の契約が必要です。

公式の電帳法対応ページは、スマートフォンアプリで証憑を電子化するとタイムスタンプも自動で付与されると説明しています。JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証も認証番号004100-00で取得済みです(令和元年度基準、有効期限2029年1月8日。認証台帳の製品名は旧名称の「J’sNAVI NEO」を併記した表記)。

電子取引ソフト法的要件認証はJIIMAの一覧に掲載がなく、電子取引データ保存はスキャナ保存の要件を満たすシステムで対応できるという公式コラムの説明にとどまります。電帳法対応機能が標準かオプションかも公式には示されていません。料金は初期導入費30万円から、月額利用料3万5千円から(いずれも税抜)です。

4. Traveler’sWAN(株式会社日立システムズ)

Traveler'sWANのウェブサイト

SaaS型・オンプレミス型・プライベートクラウド型の3つから提供形態を選べる総合経費管理システムです。国内・海外の出張手配から旅費精算、実費のみの近隣交通費精算までを1つのシステムで扱い、導入実績は約900社・125万ユーザー(2025年9月時点)と公表されています。

電子帳簿保存法への対応は、スキャナ保存の区分にとどまります。JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を認証番号004700-00で取得しており(Ver7、有効期限2029年4月2日)、日立システムズは令和3年4月2日の取得と説明しています。電子取引ソフト法的要件認証はJIIMAの一覧に掲載がなく、電子取引データ保存への個別の対応範囲も公式サイトに記載がありません。

料金はSaaS型で50ライセンス月額10,000円から(1ライセンス200円)です。タイムスタンプを自動付与するのか訂正削除履歴で代替するのかは公式サイトに記載がないため、見積もりでは真実性を満たす方式と、それが標準搭載かオプションかを合わせて聞くことになります。

5. 楽楽精算(株式会社ラクス)

楽楽精算のウェブサイト

累計導入社数20,000社以上(2025年9月時点)を公表するクラウド経費精算システムです。経費精算に加えて請求書の支払処理や汎用のワークフローも扱えるため、経費まわりの申請・承認業務を1つのサービスに集約できます。

電子帳簿保存法はスキャナ保存・電子取引データ保存の両区分に対応し、JIIMA認証をスキャナ保存002500-03・002500-04、電子取引613200-01で取得しています。真実性の確保について、公式FAQは領収書のアップロード時にタイムスタンプが付与されると説明しています。

料金は初期費用100,000円、月額30,000円から(いずれも税抜)で、利用従業員数とオプションの内容に応じて変動します。段階別の金額は公開されておらず、料金表は請求制です。

6. TOKIUM経費精算(株式会社TOKIUM)

TOKIUM経費精算のウェブサイト

領収書のデータ入力と原本の回収をTOKIUM側が引き受ける構成が特徴です。利用者はスマートフォンで撮影して申請し、原本は回収用ポストに投函します。撮影画像はAI-OCRの読み取り後に2名のオペレーターが目視で確認し、同社は99%以上の精度を訴求しています(回収用ポストは月額3,000円)。

スキャナ保存・電子取引データ保存の両区分について、TOKIUM経費精算単体の名義でJIIMA認証を取得しています(スキャナ保存001100-01・令和3年度基準、電子取引601900-00・令和2年度基準)。同社のTOKIUMインボイス、TOKIUM電子帳簿保存はそれぞれ別番号の認証です。

真実性はタイムスタンプ機能で確保し、公式は標準実装と説明しています。料金ページにも追加契約・追加費用を求める記述はありません。基本利用料は月額1万円から(税抜)で、アカウント数は無制限、領収書の件数に応じた従量課金という設計です。

7. バクラク経費精算(株式会社LayerX)

バクラク経費精算のウェブサイト

領収書を撮影するとAIが金額・日付・勘定科目を読み取り、過去の仕訳を学習して入力を補完します。申請内容から規定違反を指摘する機能や、二重申請の検知も備えています。

スキャナ保存・電子取引データ保存の両区分に対応し、真実性はタイムスタンプの自動付与と訂正削除履歴の記録で確保します。電帳法の要件を満たさないファイルにはアラートを表示し、申請そのものをブロックする設定も選べます。

JIIMA認証は認証台帳上「バクラク申請・経費精算」の名義で、スキャナ保存020000-00、電子取引626900-00をいずれも令和5年度基準で取得しています。料金は初期費用が無料、月額30,000円からですが、料金表が請求制のため電帳法対応に追加費用が伴うかは公式ページからは判断できません。

8. ジンジャー経費(jinjer株式会社)

ジンジャー経費のウェブサイト

勤怠・給与・人事労務と共通の従業員台帳を使う統合人事システム「ジンジャー」の経費精算モジュールです。経費だけを単独で導入することも、他のモジュールと組み合わせることもでき、料金は利用製品数と利用人数で決まります(1人あたり月額300円から、税別)。

電子取引データ保存の真実性は、C-b(訂正削除の履歴が残るシステムを利用する方式)で満たします。この区分では、利用企業側で訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付けが必要になります。スキャナ保存のタイムスタンプは、2021年9月の発表で自動付与と説明されています。

JIIMA認証はスキャナ保存021100-00、電子取引628300-00をいずれも令和5年度基準で取得しています。ただしこの認証はJIIMA公式の認証製品一覧で確認できるもので、jinjerの製品ページ側に認証への言及はなく、法対応が標準機能かオプション契約かも公式サイトに記載がありません。

9. ハーモス経費(株式会社ビズリーチ)

ハーモス経費(HRMOS経費)のウェブサイト

「eKeihi」の名称で20年以上提供されてきた経費精算システムを、2022年11月に株式会社ビズリーチが「HRMOS経費」としてブランドを刷新したものです。開発元だったイージーソフト株式会社は2025年8月1日付でビズリーチに吸収合併され、現在の提供主体はビズリーチになっています。

公式の機能ページはスキャナ保存・電子取引のどちらにも対応すると記載し、領収書・請求書のアップロードと同時にタイムスタンプを付与する仕組みを説明しています。電子取引への対応は基本プランに含まれ、オプション料金の設定はありません。月額は50名で29,000円(税別)からです。

JIIMA認証はスキャナ保存が008900-00(有効期限2028年7月22日)、電子取引が613800-00です。ただし電子取引側は有効期限が2026年8月16日に設定されており、更新後の状況は公式とJIIMAの一覧で確認が必要です。電子取引側の一覧では、提供会社欄が旧社名のイージーソフト株式会社のまま残っています。

10. BIZUTTO経費(アルプス システム インテグレーション株式会社)

BIZUTTO経費のウェブサイト

アルプスアルパイングループのアルプス システム インテグレーション株式会社が提供するクラウド型の経費精算システムです。交通費・出張・経費の精算と事前申請、支払申請を扱い、クレジットカードや電子マネーの決済データの取り込みにも対応します。

保存区分はスキャナ保存と電子取引データ保存の両方で、いずれも2022年(令和4年)1月1日施行の改正電子帳簿保存法に準拠すると公式の機能ページに明記されています。JIIMA認証はスキャナ保存007100-00、電子取引604700-00を取得済みです(有効期限は2028年5月29日と同年6月22日)。

真実性は保存ファイルへのタイムスタンプ付与と、申請に添付したファイルの訂正削除の記録によって確保します。ただしこれらの機能は「電子帳簿保存法オプション」の契約が前提で、標準機能ではありません。月額は31名以上で1ユーザー400円(税抜)、30名以下向けのライトパックは250円からです。

11. 経費の獅子(エス・エー・エス株式会社)

経費の獅子のウェブサイト

交通費精算では駅すぱあとの経路探索と連携し、運賃の反映と定期区間の控除を自動で行います。提供元はエス・エー・エス株式会社で、公式サイトでは1ユーザー月額300円からという価格を示しています(税区分の記載はありません)。無料トライアルは最長2ヶ月です。

電子帳簿保存法はスキャナ保存・電子取引データ保存の両区分に対応し、JIIMA認証もスキャナ保存011900-00(有効期限2029年3月3日)と電子取引619700-00(同2027年5月27日)の2件を取得しています。電帳法対応は公式トップの機能一覧に他の機能と並べて掲載されており、追加費用の注記はありません

一方で、タイムスタンプを誰がいつ付与するのか、訂正削除の履歴をどのように保持するのかについては、公式サイトにもプレスリリースにも説明が見当たりません。公開情報から言えるのは、両区分の認証があることと、対応が追加費用なしで使えることの2点です。

12. STAFee(新日本コンピュータマネジメント株式会社)

STAFeeのウェブサイト

経費精算・申請の機能に、汎用ワークフローと電子帳簿保存の機能を組み合わせたクラウドサービスです。新日本コンピュータマネジメント株式会社が2021年4月に提供を開始しました。

真実性の確保では、証憑保管領域にアップロードしたPDFへ総務大臣認定タイムスタンプが自動で付与されます。JIIMA認証は2025年12月取得のスキャナ保存020300-00と、2026年1月取得の電子取引627500-00で、いずれもSTAFee単体を対象としています。

ただし電子取引側の認証区分はC-bで、訂正削除の履歴が残る方式に加えて事務処理規程の備付けが必要です。電子帳簿保存の機能自体も月額10,000円の「電子帳簿保存法対応パック」というオプション扱いで、基本料金15,000円(1テナント)とユーザー料金200円には含まれません。

13. PCA Hub 経費精算(ピー・シー・エー株式会社)

PCA Hub 経費精算のウェブサイト

会計ソフトを手がけるピー・シー・エー株式会社の「PCA Hub」シリーズに属する経費精算サービスです。承認済みの経費データをPCA財務会計シリーズへ直接取り込めるほか、他社の会計システムとはCSVで連携します。

料金は人数区分のプラン制で、10人までが月額6,600円、100人までが月額66,000円(いずれも税込)、初期費用は0円です。ただし、電帳法対応を標準搭載と明記した公式サイトの記述はありません。

JIIMA認証は2025年12月に、スキャナ保存020200-00と電子取引627100-00を製品自体(v1.0.0)で取得しています。電子取引側の保存方式の区分はC-bで、タイムスタンプの付与を必須としない代わりに事務処理規程の備付けが求められます

14. manage 経費(株式会社COEL)

ManageOZO3 経費(現: manage 経費)のウェブサイト

「ManageOZO3 経費」として提供されてきた製品で、2024年4月のブランド変更により現在の名称は「manage 経費」、提供会社も株式会社ITCSから株式会社COELに変わりました。経費精算・勤怠管理・ワークフローなどをアプリ単位で選んで導入する構成をとります。利用は30名からで、月額は1ユーザー360円です。

スキャナ保存への対応は経費申請の製品ページに明記されており、JIIMA認証はスキャナ保存005300-00(有効期限2027年10月18日)と電子取引614900-00(同2026年10月18日)を取得しています。

JIIMA一覧上の製品名は、スキャナ保存側が現行ブランドを反映した「manage(旧:ManageOZO3)」、電子取引側は旧称の「ManageOZO3」のままです(メーカー欄は両一覧とも株式会社COELに更新済み)。

電子取引データ保存を担うのはシリーズ内の別アプリ「帳簿書類管理」で、日付・取引先・金額に勘定科目を加えた組み合わせ検索と、訂正・削除の履歴の保持に対応します。タイムスタンプの付与は会計タイムスタンプオプションという別建ての機能で、manage 経費単体で電子取引の要件まで完結できるかは公式に示されていません。

15. MAJOR FLOW 経費精算/支払依頼(旧 MAJOR FLOW Z KEIHI)(パナソニック デジタル株式会社)

MAJOR FLOW 経費精算/支払依頼(旧 MAJOR FLOW Z KEIHI)のウェブサイト

立替経費の精算に加えて、請求書の支払依頼や振替伝票による仕訳の修正までを標準機能で扱います。パナソニック デジタル株式会社のワークフロー製品群「MAJOR FLOW」の一員で、旧称は「MAJOR FLOW Z KEIHI」です。

JIIMA認証は区分ごとに名義が分かれています。スキャナ保存は現行名義で020100-00(令和5年度基準、有効期限2028年12月1日)、電子取引は旧名義の「MAJOR FLOW Z KEIHI/MAJOR FLOW Z CLOUD 経費精算」で607200-00(同2028年10月5日)を取得しています。

一方、現行の経費精算の製品ページ本文には電子帳簿保存法やタイムスタンプについての記載がありません。会計連携先である株式会社オービックの公式ページに「電子帳簿保存法対応のオプションをご用意」との記載があり、標準機能ではなくオプションとして案内されています。料金は50ユーザー単位で月額10,000円(税抜)、最低契約は50ユーザーです。

16. クロノス経費精算(クロノス株式会社)

クロノス経費精算のウェブサイト

勤怠管理システムを主力とするクロノス株式会社が、2024年10月に提供を開始した経費精算システムです。社員マスターを同社の勤怠管理製品から取り込んだり、事前申請を勤怠側のワークフローと連携させたりする使い方を想定した設計になっています。

保存区分については、公式の製品ページにスキャナ保存制度と電子取引制度のどちらにも対応すると明記されています。JIIMA認証もスキャナ保存018500-00(有効期限2027年10月15日)と電子取引624100-00(同2028年1月23日)の両区分で取得済みです。

電子取引側の認証区分はC-bで、訂正削除の履歴が残る方式である一方、事務処理規程の備付けが別途必要になります。タイムスタンプの付与方式について公式の説明はありません。料金は100人契約で1人あたり月額660円、500人で495円、契約は10IDからです。

17. SAPPHIRE 経費精算(Miletos株式会社)

SAPPHIRE 経費精算のウェブサイト

クレジットカードの決済データや移動履歴、領収書の撮影画像からAIが経費申請データを組み立てる、Miletos株式会社の経費精算ソリューションです。勤怠データや入退館記録と突き合わせた不備・不正の検知も備え、花王グループでは国内全グループ企業3万人超に導入され、年間約32,000時間の業務削減を見込むと公表されています。

電子帳簿保存法については、スキャナ保存(認証番号016100-00)と電子取引データ保存(620100-00)の両区分でJIIMA認証を取得しています。いずれも令和3年度の審査基準によるものです。公式サイトは電帳法対応とインボイス対応をデフォルトと記載しており、オプション契約なしで使える標準機能にあたります。

一方で、真実性をタイムスタンプの自動付与で満たすのか訂正削除の履歴で満たすのかという方式は公開されていません。料金は、実際に精算した従業員だけを数えるアクティブユーザー課金制です。

18. Concur Expense(株式会社コンカー)

Concur Expenseのウェブサイト

SAPグループの株式会社コンカーが国内で提供する出張・経費管理クラウドで、経費精算のExpense、出張管理のTravel、請求書管理のInvoiceからなる製品群の中核にあたります。ITRの調査では、国内経費精算市場のベンダー別売上金額シェアで2014年度から12年連続の首位、2025年度は42.8%と公表されています。

対応している保存区分は、紙の領収書のスキャナ保存だけです。JIIMA認証の番号は002300-00、審査基準は平成28年度のもので(有効期限2027年7月18日)、電子取引ソフト法的要件認証は取得していません。タイムスタンプの付与方式についても公式サイトに記載がありません。

日本の実務向けには、Suica・PASMO・nimocaの利用履歴の取り込みや、駅すぱあとと連携した経路・運賃の自動取得を備えます。公式サイトに現行の料金表はなく、公表されている直近の料金発表は2020年7月改定時のもので、Standardが50ユーザーで月額29,000円からとされています。

19. 経費BANK(SBIビジネス・ソリューションズ株式会社)

経費BANKのウェブサイト

10ID単位・初期費用0円で契約でき、月額3,000円(税抜)から使える価格帯を打ち出すクラウド型の経費精算システムです。提供元はSBIグループのSBIビジネス・ソリューションズ株式会社で、累計導入社数は2025年4月に2,000社を超えたと発表されています。

公式の機能ページは、改正電帳法のスキャナ保存と電子取引データ保存の両方が可能だと明記しています。JIIMA認証があるのはスキャナ保存側のみで、認証番号は007200-01(令和5年度、有効期限2028年5月29日)です。真実性の確保はタイムスタンプの自動付与ではなく、訂正削除履歴の確認機能で満たす方式をとっています。

証憑電子保存は標準機能で、オプション料金はかからないと公式に明記されています。ただし添付ファイル容量は基本料金に10GB分が含まれる形で、超える場合は10GB単位・月額1,000円(税抜)の追加オプションが必要です。

20. TeamSpirit経費(株式会社チームスピリット)

TeamSpirit経費のウェブサイト

勤怠管理・工数管理・電子稟議と同じ基盤上で動く経費精算モジュールで、経費単体でも契約できます。株式会社チームスピリットが提供し、シリーズ全体の契約社数は2,200社以上、利用者数は70万人(いずれも2026年2月末時点の有償契約)と公表されています。

スキャナ保存では画像の画素数など法的要件の自動チェックを備え、JIIMA認証も取得しています。ただし認証番号008100-00は経費モジュール単体ではなく、製品全体のTeamSpirit名義での登録です(令和3年度、有効期限2028年6月19日)。電子取引データ保存は認証こそないものの、2022年(令和4年)1月1日施行の改正法に標準機能として対応済みと公式に発表されています。

真実性の確保についての公式の説明は、データの改ざん制限と変更履歴の自動保存にとどまり、タイムスタンプの付与方式までは公開されていません。電帳法対応に追加料金は不要で、経費単体の料金は50ユーザー分のライセンスを含む月額18,000円(税抜)からです。

21. Ci*X Expense(株式会社電通総研)

Ci*X Expense(サイクロス エクスペンス)のウェブサイト

グループ経営向けの会計・経費ソリューション群Ci*Xに含まれる経費精算製品で、提供元は株式会社電通総研です。複数のグループ会社でマスタや承認ワークフローを共有する運用を前提に設計され、オンプレミス型とAWS東京リージョン上のクラウド型(Ci*X PAS)から選べます。

電帳法対応はインボイス・Peppolとともに標準機能で、電子取引データと領収書画像を一元管理できると公式が説明しています。ただしJIIMA認証はスキャナ保存の002400-00のみで(有効期限2027年7月18日)、電子取引ソフト法的要件認証の登録はありません。タイムスタンプに対応するという記載はあるものの、付与の主体やタイミングは公開されていません。

料金は申請件数に応じた従量課金ではなく、利用ユーザー数に基づくライセンス課金で、金額は問い合わせが必要です。導入事例では、関西ペイントが年間約55,000枚の伝票をほぼ不要にして経費精算の工数を約7割削減、NOKが約90,000枚のペーパーレス化を実現したと公表されています。

22. WiMS/SaaS経費精算システム(株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー)

WiMS/SaaS経費精算システムのウェブサイト

大企業やグループ企業の複雑な承認フローに合わせることを前提に設計されたクラウド型の経費精算システムです。株式会社ソリューション・アンド・テクノロジーが人事・会計のクラウド群WiMS/SaaSの会計領域モジュールとして提供し、多段階承認や条件分岐、グループ会社をまたぐ承認に対応します。

電子帳簿保存法では、令和5年度基準でJIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証を取得しています(認証番号009300-01。同社名義では010800-01の登録もあります)。真実性の確保は訂正削除履歴の確保として説明され、検索機能と添付ファイルのプレビュー表示にも対応します。一方で電子取引側の認証はありません

AI-OCRによる領収書の読み取りはインボイス制度の事業者登録番号にも対応し、導入時は専任SEが運用設計から関わります。公式サイトに料金ページはなく、初期費用・月額とも要件ヒアリングによる個別見積です。

23. Jugaad経費精算(VeBuIn株式会社)

Jugaad経費精算のウェブサイト

ノーコードで申請フォームと承認ルートを組めるワークフローを土台に、経費精算をカバーするクラウドサービスです。VeBuIn株式会社が提供し、2024年6月にSmartFlowから現在の名称へ変更されました。領収書や請求書をスマートフォンで撮影すると、AI-OCRが取引年月日・金額・取引先・適格請求書発行事業者の登録番号を読み取ります。

証憑の保存はスキャナ保存の区分でカバーし、JIIMAの認証は2件に分かれています。製品本体の006300-00(旧製品名SmartFlowを併記、有効期限2028年3月15日)と、証憑スキャナ保存プランの010400-00(同2028年10月24日)で、いずれも令和3年度基準です。電子取引ソフト法的要件認証の登録はありません。

認証が本体と証憑スキャナ保存プランに分かれているため、スキャナ保存の機能が基本契約に含まれるのか別プランなのかは、見積時に確認しておきたい点です。タイムスタンプの付与方式についても、公式サイトに説明がありません。

24. RDX経費(ラディックス株式会社)

ラディックスの製品紹介ページに掲載されたRDX経費(経費精算)の紹介ブロック

勤怠・給与などをそろえるRDXシリーズの一製品として、ラディックス株式会社が提供するクラウド型の経費精算システムです。領収書を撮影するとAIが内容を自動入力し、インボイスの登録番号はAPI連携で判定します。社内規程違反の自動チェックや銀行連携、ICカードの利用履歴からの明細作成にも対応します。

スキャナ保存については、JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証をRDX経費名義で取得しています(認証番号020900-00、令和5年度基準、有効期限2029年4月23日)。一方で電子取引データ保存は認証の登録がなく、対応可否そのものが公式に示されていません。タイムスタンプの付与方式や、法対応が標準機能かオプションかも公開されていません。

製品単独の紹介ページは公開されておらず、公式に確認できるのはシリーズ共通の製品紹介ページとアプリの説明にとどまります。料金ページもないため、他社と横並びで比べられるのは、スキャナ保存の認証を製品名義で持っているという点までです。

25. 経費キャッシュレス(株式会社さくらケーシーエス)

経費キャッシュレスのウェブサイト

株式会社さくらケーシーエスはSMBCグループのシステム会社で、経費キャッシュレスは従業員の立替経費の精算と、請求書にもとづく経費支払いに特化したシステムです。オンプレミスとクラウドのどちらの形態でも導入できます。

電子取引データ保存については、JIIMAの電子取引ソフト法的要件認証を取得しています(認証番号612100-00、令和3年度基準、認証台帳上の製品名「経費キャッシュレス V2.3」、有効期限2029年5月29日)。一方でスキャナ保存はJIIMAの認証一覧に掲載がなく、公式サイトにもスキャナ保存への対応を明言する記述は見当たりません

領収書OCRは手書きや複数税率が混在する領収書にも対応します。電子取引データ保存はJIIMA認証で裏づけられている一方、このOCRがスキャナ保存の要件を満たす形で運用できるか、タイムスタンプの付与方式、法対応が標準機能かオプションか、料金は公式サイトに記載がありません。

26. freee支出管理 経費精算Plus(フリー株式会社)

freee経費精算(freee支出管理 経費精算Plus)のウェブサイト

利用中の会計ソフトを変えずに経費精算だけを導入できると公式が案内するプランです。基本料金は年払いで年90,000円(税抜)、これに当月に申請または承認を行ったユーザーだけが対象となる月650円/IDの従量課金が加わります。

証憑の保存は「ファイルボックス」機能が担い、公式ヘルプは対象製品として経費精算Plus・Fullを明記しています。紙の証憑を撮影してアップロードする用途と、電子で受け取った証憑データを保存する用途の両方を、同じ基盤で扱う設計です。

JIIMA認証は「freee支出管理」ブランド名義でスキャナ保存009001-00・電子取引607101-01(いずれも令和5年度基準)として登録されており、経費精算Plus単体を名指しした認証ではありません。電帳法対応の機能自体は基本プランに含まれ、追加契約の案内はありません。

真実性はタイムスタンプではなく訂正削除履歴で満たします。タイムスタンプの付与機能は2022年1月17日に提供を終了し、現在はバージョン管理によって変更・削除の記録を残す方式です。訂正削除の防止に関する事務処理規程は、利用者側で整備する必要があります。

27. invox経費精算(株式会社invox)

invox経費精算のウェブサイト

請求書受領や文書管理を手がけるinvoxシリーズに、2024年8月に加わった経費精算サービスです。初期費用は0円で、月額基本料金1,980円(税抜)に、その月に精算を行ったアクティブユーザー1人あたり300円(税抜)が加算されます。

電子帳簿保存法はスキャナ保存制度と電子取引情報の保存の両方に対応し、タイムスタンプ機能を備えます。ただしJIIMA認証を両区分で取得しているのは同社の別サービス「invox電子帳簿保存」であり、invox経費精算そのものの認証ではありません

領収書のデータ化にはアクティブユーザー数×30件/月まで無料枠があり、超過分は30件ごとに1ユーザー分として計算されます。法対応の機能が標準搭載かオプションかを区分した説明は、公式サイトに記載がありません。

28. ジョブカン経費精算(株式会社DONUTS)

ジョブカン経費精算のウェブサイト

勤怠管理や給与計算と同じ基盤で提供されるジョブカンシリーズの経費精算で、社内稟議・申請管理のワークフローと一体の製品として販売されています。料金は1ユーザー月額400円(税抜)、最低利用料金は月額5,000円(税抜)です。

公式ヘルプが電子帳簿保存法の要件を1件ずつ表で開示しており、訂正削除の記録・帳簿との相互関連性・検索機能は標準機能で満たすと説明されています。一方でJIIMA認証はスキャナ保存・電子取引のどちらの認証一覧にも掲載がなく、未取得です

確認しておきたいのは真実性の確保です。スキャナ保存のタイムスタンプ要件と電子取引の真実性確保要件は、いずれも1ユーザー月額100円(税抜)のタイムスタンプオプションへの加入が前提と案内されています。オプションなしで代替できるという説明はありません。

29. rakumo ケイヒ(rakumo株式会社)

rakumo ケイヒのウェブサイト

Google WorkspaceやMicrosoft 365のユーザー管理・認証をそのまま使う設計で、スケジューラーに登録した外出予定から交通費を自動計算します。料金は単体で月額300円/ユーザー(税別)、契約は12ヶ月単位です。

法対応は月額100円/ユーザー(税別)の電子帳簿保存法対応オプションで提供され、利用にはrakumo ワークフローの別途契約も必要です。区分としては、紙の領収書のスキャナ保存(JPEG)と、電子取引の領収書ファイルの保存(PDF)の両方に対応します。

真実性は、書類をアップロードした際にタイムスタンプが自動で付与される方式で満たし、経費担当者による一括検証もできます。ただし対象はrakumo ケイヒからアップロードした領収書に限られ、ワークフローに添付した見積書などは要件を満たさないとサポートFAQが案内しています。JIIMA認証は両一覧とも掲載がありません。

30. Spendia(TISI株式会社)

Spendiaのウェブサイト

大手企業の規程や承認ルートにノーコードで合わせる「Fit to Company」を掲げるクラウド型で、SAP S/4HANAなど基幹システムのフロントとして使う想定の製品です。提供元は2026年7月に株式会社インテックを吸収合併し、TISI株式会社へ商号を変更しています。

電子帳簿保存法はスキャナ保存・電子取引データ保存の両方に対応し、真実性の確保には2つの方式があります。訂正削除のログ管理によってタイムスタンプの付与に代える方式と、従来型のタイムスタンプを付与する方式です(電子取引は付与しない設定に固定)。検索は取引年月日・取引金額・取引先の3項目に対応します。

Spendia本体はJIIMA認証を取得していません(スキャナ保存・電子取引の両一覧で確認)。通常版で法対応が標準機能かオプションかは公式に明記がなく、機能を絞った「クイック導入版」については有償オプションと案内されています。

31. WAVE225 旅費・経費精算/稟議(株式会社NTTデータ ウェーブ)

WAVE225(ウェーブ225)旅費・経費精算/稟議のウェブサイト

ワークフロー基盤intra-mart Accel Platform上に構築されたパッケージで、ソースコードが公開されており社内規程に合わせた改修ができます。料金はクラウドが月額200,000円(300ユーザー未満)から、オンプレミスは旅費・経費精算150万円に基盤ライセンス180万円が別途必要です(いずれも税抜)。

電子帳簿保存法については、公式サイトが「電子帳簿保存対応は、電子帳簿保存システムと連携することにより実現可能です」と明記しており、WAVE225単体では要件を満たしません。外部の電子帳簿保存システム(ClimberCloudなど)との連携と別契約が前提になります。

WAVE225自体はJIIMA認証の両一覧に掲載がなく、タイムスタンプの付与も連携先の機能です。どの保存区分までカバーされるかは連携先の製品しだいで、WAVE225の料金表に連携先の利用料は含まれません。

32. MOT経費精算(株式会社バルテック)

MOT経費精算(旧ハイ!経費)のウェブサイト

クラウドPBX「MOT/TEL」などを展開する株式会社バルテックの経費精算システムで、交通費・出張費・交際費の申請から承認、会計ソフト連携までを扱います。料金は20IDまで月額3,980円(税抜)、1アカウントあたり199円からです。

公式ページは電子帳簿保存法対応を機能として挙げつつ、その表記に※を付し「※他サービスとの組み合わせで利用できる機能」と注記しています。別契約・別料金の文書管理システムと組み合わせて初めて対応する構成で、MOT経費精算の契約だけでは保存要件を満たせません

JIIMA認証はスキャナ保存・電子取引の両一覧とも掲載がなく、未取得です。対応する区分はスキャナ保存が中心とみられますが、電子取引データ保存への対応可否とタイムスタンプの付与方式は公式サイトに記載がありません。文書管理システムとの組み合わせが前提になるため、見積もりは2製品分で見ることになります。

電子化した領収書の実務ルール(入力期限・原本の廃棄・保存期間)

製品を絞り込んだ後に直面するのが、電子化した領収書をどう扱ってよいかという運用上の可否です。3点に分けて確認します。

電子化の入力期限はいつまでか

スキャナ保存では、領収書を受け取ってから入力するまでの期限が定められています。上限は次のとおりです。

最長では、国税関係書類の受領等から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)問23|国税庁

この上限には条件があります。「2か月とおおむね7営業日」を使えるのは、業務処理サイクル後に速やかに入力する方式を選び、かつ書類の受領から入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限られます。規程がなければ、受領後おおむね7営業日以内という短い期限だけが適用されます

「2か月」と「おおむね7営業日」は出所が異なります。7営業日は取扱通達4-17が示す「速やかに」の解釈で、2か月は同4-18が示す業務処理サイクルの上限です。国税庁の解説には、4月21日に受領した書類なら業務処理サイクルの最長2か月は6月20日で、そのおおむね7営業日後までに入力すればよい、という具体例があります。

期限を過ぎた場合の扱いも決まっています。入力期間を経過した書類についても他の要件に沿って入力したうえで、その書類を紙のまま保存することになります。電子化はできるものの、紙の保管からは解放されません。

スキャナ保存した領収書の原本は廃棄してよいか

紙の保管スペースを減らせるかどうかは、原本を廃棄できるかにかかっています。結論は次のとおりです。

令和4年1月1日以後に保存を行う国税関係書類については、以下(※)の場合を除いて、スキャナで読み取り、最低限の同等確認(電磁的記録の記録事項と書面の記載事項とを比較し、同等であることを確認(折れ曲がり等がないかも含みます。)することをいいます。以下同じです。)を行った後であれば、即時に廃棄して差し支えありません。
(※) 入力期間を経過した場合(【問30】のようなケースを除きます。)には、電磁的記録と合わせて国税関係書類の書面(紙)を保存する必要があります。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)問3|国税庁

スキャンして同等確認を済ませれば、原本はその場で廃棄できます。以前は定期的な検査が終わるまで原本を保管する必要がありましたが、令和3年度の税制改正で適正事務処理要件が廃止され、その制約はなくなりました。

同等確認は、画像と現物を見比べて内容が一致していること、折れ曲がりなどで欠けている部分がないことを確かめる作業です。申請者本人が行うか経理が行うかは運用で決めることになります。

電子化した書類の保存期間

電子化しても保存期間は変わりません。各税法で定められた期間、そのまま保存する必要があります。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。

出典:国税庁 タックスアンサー No.5930「帳簿書類等の保存期間」[令和7年4月1日現在法令等]|国税庁

青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた場合は10年間になります。システムを選ぶ際は、契約期間中のデータ保存容量と、解約後にデータをどう引き継げるかを確認しておくと安全です。

いつまでに、どの手段で対応すべきか(2024年1月の義務化と猶予措置)

電子取引データ保存には猶予措置があり、これを使って紙の運用を続けている企業があります。導入時期を判断するために、猶予措置の現在の位置づけを確認します。

2022年から2024年の改正で緩和された要件

要件は改正のたびに緩和されてきました。以前に検討して断念した企業ほど、当時の前提が変わっている可能性があります。

2022年1月施行の令和3年度改正では、税務署長の事前承認制度が廃止され、スキャナ読み取り時の自署が不要になりました(国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」)。相互けん制や定期的な検査を求めていた適正事務処理要件も廃止され、これが原本を即時廃棄できるようになった直接の理由です。検索要件の記録項目も、日付・金額・取引先の3項目に限定されました。

2024年1月施行の令和5年度改正では、スキャナ保存について解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要になり、入力者等情報の確認要件も廃止されました(国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました」)。帳簿との相互関連性が必要な書類も重要書類に限定されています。

ここで取り違えやすいのが解像度の扱いです。不要になったのは解像度に関する「情報の保存」であって、200dpi以上で読み取るという要件自体は残っています

電子取引側では、検索機能が不要になる対象者の範囲が売上高1,000万円以下から5,000万円以下へ拡大されました。

猶予措置はどう位置づけられているか

まず区別しておきたいのが、2023年12月末で終わった宥恕措置と、2024年1月以降の猶予措置です。宥恕措置では出力した書面だけを保存する対応が認められていましたが、猶予措置ではデータそのものの保存が必要になります。書面の提示に加えて、電子データも保存して提示できるようにしておかなければなりません。

猶予措置の根拠は電子帳簿保存法施行規則第4条第3項です。所轄税務署長が「相当の理由」があると認め、かつ電子データと出力書面の提示・提出の求めに応じられるようにしている場合、保存時に満たすべき要件によらずデータを保存できます。取扱通達7-12は「相当の理由」の例として、システムや社内のワークフローの整備が間に合わない場合を挙げています。

読者の関心が最も高い「いつまで使えるのか」については、次のように説明されています。

取扱通達7-12に記載されたような事情が継続している限り、「要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由がある」と認められ、保存時に満たすべき要件にかかわらず電子データの保存をすることが認められます。
ただし、保存時に満たすべき要件に従って保存するためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等といった事情が解消された後に行う電子取引データの保存については、「要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由がある」とは認められませんので、事情が解消された後に行う電子取引については、保存時に満たすべき要件に従った電子データの保存ができるよう準備していただく必要があります。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問94|国税庁

猶予措置に終期の日付は定められていません。使えなくなるのは、システムやワークフローの整備が整った時点です。いつまで凌げるかは制度側の期限ではなく、自社の準備状況で決まります。

資金繰りや人手不足といった理由がなく、整備が整っているのに要件どおり保存していない場合は、猶予措置の適用を受けられません。適用にあたって税務署への事前申請は不要です。いったん原則どおり対応できるようになった後で、システム更改などによって要件を満たせなくなった場合も対象外とされており、後戻りの手段としては使えません。

猶予措置があるのは電子取引データ保存だけです。スキャナ保存にこの措置はありません。紙の領収書の電子化を検討している場合、猶予措置は判断材料になりません。

対応しないまま放置した場合のリスク

要件を満たさずに放置した場合にどうなるかについても、国税庁は明確に説明しています。

したがって、災害その他やむを得ない事情又は税務署長が相当の理由があると認める事由がなく、その電磁的記録が保存時に満たすべき要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。
なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうかを検討した上、その適用を判断しています。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問98|国税庁

取消の対象になり得る一方で、直ちに取り消されるものではないとも示されています。取引が正しく記帳されて申告に反映されており、取引情報の内容が他の資料から確認できる場合には、それ以外の事由がない限り直ちに承認が取り消されることはない、という整理です。

重加算税の加重措置は、隠蔽や仮装の事実が電磁的記録に記録されていた場合の措置であり、要件の不備そのものに科されるものではありません。

経費精算システムで電子帳簿保存法に対応するメリット

要件は事務処理規程を整備して人手の運用で満たすこともできます。それでもシステムを選ぶ理由は、要件充足を仕組みで担保できる点にあります。

事務処理規程による対応では、規程どおりに運用されているかが担当者の手作業に依存します。訂正や削除の記録を人が残す運用は、繁忙期に崩れやすいものです。訂正削除の履歴が自動で残るシステムであれば、運用が乱れても記録は残ります。

紙の回収と保管の負担も変わります。月末に領収書を回収して台紙に貼り、ファイリングして保管し、税務調査で必要になれば該当月のファイルを探すことになります。この一連の作業が、申請時の撮影と検索機能に置き換わります。原本を即時に廃棄できるため、保管スペースも不要になります。

入力期限の管理も、システム側で申請から承認までの日数を可視化できれば、期限超過による紙の保存を避けやすくなります。

紙運用から電子保存へ切り替えるときの進め方と注意点

導入を決めた後、どの順序で進め、どこでつまずきやすいかを整理します。

切り替えの手順(誰が・いつ・何を決めるか)

  1. 対象範囲を決める:電子取引データ保存だけを対象にするか、紙の領収書のスキャナ保存まで含めるかを経理部門で確定します
  2. 真実性を満たす方式を選ぶ:タイムスタンプで満たすのか、訂正削除の履歴で満たすのか、事務処理規程を併用するのかを製品の仕様と合わせて決めます
  3. 入力期限の運用を決める:業務処理サイクル後の入力方式を使う場合は、受領から入力までの事務処理の規程を先に整備します
  4. 申請者向けのルールを周知する:撮影の方法、原本の扱い、提出期限を現場に伝えます
  5. 会計システムとの連携を設定する:仕訳連携と証憑の紐づけを確認し、帳簿との相互関連性が保たれる状態にします

順序で重要なのは3番目です。規程がないまま業務処理サイクル後の入力方式を前提に運用を組むと、実際に適用されるのはおおむね7営業日以内という短い期限になります。

スキャン精度と差し戻しの発生

導入後に想定より負荷が増えるのが、画像の品質を理由とした差し戻しです。感熱紙のレシートは印字が薄くなりやすく、折り目や影が入ると同等確認で問題になります。

差し戻しが増えると入力期限に対する余裕がなくなるため、申請時点で画像の品質を判定できる製品か、OCRの読み取り結果を申請者が確認・修正できる製品を選んでおくと、経理側の確認工数を抑えられます。

社内ルール・事務処理規程の整備

事務処理規程が必要になるのは2つの場面です。真実性の確保を規程で満たす場合と、入力期限に業務処理サイクル後の方式を使う場合です。前者は訂正削除の防止に関する規程、後者は受領から入力までの事務処理に関する規程で、目的が異なります。

作るのは経理部門ですが、着手の時期を決めるのは製品選定の段階です。JIIMA認証の保存方式がC-bまたはD-bの製品を選んだ場合、システムを導入しても規程の整備は残るため、稼働の直前に着手すると運用開始が規程待ちになります。

選定と並行して、規程を書く担当と提出期限を決めておくと手戻りが起きません。国税庁のサンプルを自社の体制に合わせて調整する進め方であれば、日数はそれほどかかりません。

導入コストとセキュリティ

費用は月額のライセンス料だけで決まりません。初期費用、法対応のオプション料金、タイムスタンプの従量課金、保存容量の追加費用が積み上がります。従業員数が多いほどオプション型の影響が大きくなるため、見積もりは自社の人数で試算するのが確実です。

セキュリティ面では、領収書の画像に取引先名や金額が含まれることから、アクセス権限の設定と操作ログの取得ができるかは確認しておきたい点です。解約時にデータをどの形式で持ち出せるかも、保存期間が7年から10年に及ぶことを考えると確認が必要です。

まとめ

電子帳簿保存法への対応で最初に決めるのは、自社が満たすべき保存区分です。データで受け取った領収書の保存は義務ですが、紙の領収書のスキャナ保存は希望する企業が選ぶ制度で、両者は必要な要件が異なります。

製品側の「電帳法対応」という表示は、どの区分に対応しているかまでは示しません。JIIMA認証をどの区分で取得しているか、真実性をタイムスタンプで満たすのか訂正削除の履歴で満たすのか、法対応が標準機能かオプションかを確認して初めて、自社の要件と突き合わせられます。認証がないことは要件を満たせないことを意味せず、認証があることで法対応が完了するわけでもありません。

紙と電子の両区分を満たす必要があるなら、両区分の認証が確認できる15製品が出発点になります。ただし認証がブランド名義のものや、電子取引をシリーズ内の別アプリが担うもの、旧名義のまま登録されているものが含まれるため、名義と対象製品まで確かめてください。電子取引データ保存だけでよいなら、認証はなくとも公式が対応を説明している製品まで候補が広がります。

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よくある質問(FAQ)

Q. 経費精算システムの「電子帳簿保存法対応」とは何を指しますか?

A. 経費精算システムの「電子帳簿保存法対応」とは、領収書などの証憑を電子帳簿保存法の保存要件を満たす形で保存できることを指し、対応している保存区分は製品ごとに異なります

経費精算で関係する保存区分は、紙で受け取った領収書を電子化して保存するスキャナ保存(法第4条第3項)と、メールやWebで受け取った領収書データを保存する電子取引データ保存(法第7条)の2つです。同じ「電帳法対応」という表示でも片方の区分にしか対応していない製品があるため、自社が満たすべき区分と製品の対応範囲が一致しているかを確認する必要があります。

Q. 経費精算で電子帳簿保存法に対応する場合、紙の領収書は紙のまま保管し続けてもよいですか?

A. 紙で受け取った領収書は、現在も紙のまま保管し続けて差し支えありません。紙の領収書を電子化して保存するスキャナ保存は、希望する事業者が選ぶ制度だからです。

一方で、メールやWeb予約サイトなどデータで受け取った領収書は、法人・個人事業者ともに電子データのまま保存する必要があります。印刷した紙だけを保管する対応は2024年1月以降認められません。紙と電子が混在する立替精算では、この2つを分けて考えることになります。

  • 出典:国税庁「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」(令和8年6月)|国税庁

Q. 電子取引データ保存の猶予措置は、いつまで使えますか?

A. 猶予措置に終期の日付は定められていませんが、システムや社内のワークフローの整備が整った時点で使えなくなります

整備が間に合わないといった事情が継続している限りは保存要件によらずデータを保存できますが、事情が解消した後に行う電子取引には要件どおりの保存が求められます。猶予措置でも電子データそのものの保存は必要で、出力した書面だけを保存する対応は認められません(2023年12月末で終わった宥恕措置との違いはこの点です)。

いったん原則どおり対応できるようになった後に要件を満たせなくなった場合も対象外とされているため、後戻りの手段としては使えません。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問94|国税庁

Q. JIIMA認証を取得していない経費精算システムは、電子帳簿保存法に対応できないのですか?

A. JIIMA認証を取得していない経費精算システムでも、要件を満たしていれば電子帳簿保存法に対応できます。JIIMAは認証ソフトの利用が必須ではないと明示しており、認証ソフトを使わない場合は電子帳簿保存法に対応しているかを利用企業が確認して判断することになります。

とくに、真実性の確保を事務処理規程の備付けだけで満たす設計の製品は、ソフトウェア単体の機能では要件充足を確認できないため、制度上そもそも認証の対象になりません。認証の有無は候補を絞る手がかりとして有用ですが、未取得を「対応していない」と読み替えないようにします。

Q. 経費精算システムにタイムスタンプ機能がなくても、電子帳簿保存法に対応できますか?

A. タイムスタンプ機能がなくても、訂正削除の履歴が残るシステムを利用する方法や、訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ける方法で真実性の確保の要件を満たせます。電子取引データ保存で認められる措置は施行規則第4条第1項の4つで、どれを選ぶかは保存義務者が任意に決められるためです。

スキャナ保存でも、訂正・削除の事実と内容を確認できるクラウド等に入力期間内に保存したことを確認できる場合は、タイムスタンプの付与に代えられます。ただし、電子取引ソフト認証の保存方式がC-bまたはD-bの製品では、利用する企業側で事務処理規程の備付けが別途必要になります。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問30・問32|国税庁

Q. 電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入すれば、法対応は完了しますか?

A. 経費精算システムを導入しても、それだけで法対応が完了するわけではありません。国税庁は、電子帳簿保存法の保存等の要件には事務手続関係書類の備付けに関する事項など機能に関する事項以外の要件もあり、それらを含めすべての要件を満たす必要があると注意を促しています。

実務で残るのは、事務処理規程の整備、入力期限に間に合う申請・承認の運用、帳簿との相互関連性を保つ設定です。認証を受けたソフトでも、初期設定が機能要件を満たしていない場合や設定変更によって満たさなくなる場合があるため、導入後に設定を確認することも必要になります。

  • 出典:国税庁「JIIMA認証情報リスト」|国税庁

Q. 経費精算の領収書は、スマートフォンで撮影した画像でもスキャナ保存の要件を満たせますか?

A. スマートフォンで撮影した画像でも、読み取りの要件を満たせばスキャナ保存として認められます。国税庁は、スマートフォンやデジタルカメラも入力装置に該当すれば法令上の「スキャナ」に含まれると説明しています。

必要なのは、25.4ミリメートル当たり200ドット以上の解像度と、赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー画像での読み取りです。A4サイズの書類なら約387万画素以上が目安になり、近年のスマートフォンのカメラはこの水準を満たします。実務で問題になるのは画素数よりも、傾き・影・折り目によって同等確認ができず差し戻しになる場面です。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)問5・問26|国税庁

Q. 経費精算システムで領収書をスキャナ保存するとき、受け取った本人の自署は必要ですか?

A. 自署は不要です。2022年1月施行の令和3年度改正で、受領者等がスキャナで読み取る際の国税関係書類への自署が不要とされました。

同じ改正で税務署長の事前承認制度と適正事務処理要件も廃止されています。以前に検討して見送った企業ほど、当時の前提が変わっている可能性があります。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」(令和3年5月・令和3年12月改訂)|国税庁

Q. 収入印紙を貼った領収書をスキャナ保存した場合、原本は廃棄してよいですか?

A. 収入印紙が貼られた領収書も、スキャンして同等確認を行った後であれば原本を廃棄して差し支えありません

ただし、印紙税の過誤納還付を申請する場合には原本の提示が必要になります。誤って多く貼った、あるいは課税文書に当たらない書類に貼ったといった還付の可能性がある領収書は、還付手続きが済むまで原本を残しておく運用にします。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(令和8年7月)問3|国税庁

Q. ETCの利用証明書をダウンロードしていない場合も、電子取引データ保存の対象になりますか?

A. ETCの利用証明書は、自社が受領していないものまで保存義務の対象になるわけではありません。国税庁は、納税者が受領していない利用証明書についてまで保存義務の対象とはならないとしています。

ただし、これを「ダウンロードしなければ保存しなくてよい」と一般化はできません。Web予約サイトやECサイトのように領収書データがすでに提供されている場合は、その内容をインターネット上で確認できるようになった時点で取引情報の授受があったと考えられます。

ダウンロードせずに済むのは、サイト上で随時確認でき、かつサイト提供事業者側が真実性と検索機能の要件を満たしている場合に限られます。保存期間の満了前に確認できなくなるなら、その前にダウンロードして保存する必要があります。

  • 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問44・問45・問46|国税庁

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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