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ソーシャルログインとは?サービス13選を対応SNS・料金で比較|自社開発との違いと導入手順も解説

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会員登録フォームを開いたところで離脱されてしまう、再訪してくれた人がパスワードを思い出せずにそのまま戻ってこない——こうした取りこぼしに心当たりはないでしょうか。減らす手段として検討されるのが、LINEやGoogleのアカウントでそのままログインできるソーシャルログインです。

ただし、いざ導入しようとすると決めることは少なくありません。各SNSのAPIを使って自社で作るか専用サービスを使うか、どのSNSに対応して何の会員情報を受け取るか、費用はどれくらいで、SNS側の仕様が変わったときは誰が直すのか。

この記事では、ソーシャルログインの仕組みと導入方法を整理したうえで、主要な13サービスを対応SNS・料金・実装方式で比較します。自社開発と専用サービスの違いは、作るものの中身と、SNS側の仕様変更に誰が追随するかという責任の分かれ目から扱います。

自社に合うサービスの見当を先に付けたい場合は、記事の中ほどに3つの質問で候補を絞れる診断を用意しています。

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ソーシャルログインとは?

ソーシャルログインとは、利用者がすでに持っているSNSなどのアカウントを使って、別のWebサービスに会員登録・ログインできるようにする仕組みです。利用者は新しくIDとパスワードを作る必要がなく、サービス側は登録フォームの入力項目を減らせます。

ログインの入口として使われるアカウントの提供元を、IDプロバイダと呼びます。国内では、LINE・Yahoo! JAPAN・Google・Apple・Facebook・X(旧Twitter)の6つが主要な選択肢です。

利用者がIDプロバイダで認証を済ませると、サービス側は「この人は確かに本人である」という結果と、利用者が同意した範囲の会員情報を受け取ります。パスワードそのものがサービス側に渡ることはありません。この受け渡しはOAuth 2.0とOpenID Connectという仕様の上で行われますが、その中身は後半の解説で扱います。まずは、導入手段の選択から見ていきます。

個別開発と専用サービス、どちらを選ぶか

ここからは、ソーシャルログインを実現する手段を3つに分けて、何を自社で作ることになるのか、費用がどこにかかるのか、導入後の負担を誰が負うのかを比べます。

各SNSのAPIを直接使って個別開発する場合

各IDプロバイダは、開発者向けにログイン連携の仕様とSDKを公開しています。これを使えば、外部サービスを介さずに自社でソーシャルログインを実装できます。ライセンス費用はかからず、ログイン画面のデザインも自由に設計できます。

ただし、実装するのは「ログインボタンを置く」ことだけではありません。認可コードの受け取り、IDトークンの検証、なりすましを防ぐstateやnonceの管理、受け取った情報と自社会員データベースの突き合わせ、トークンの保管と失効処理まで、認証まわりの設計と実装が必要になります。

さらに、対応するSNSを増やすほど作業は積み上がります。プロバイダごとに、必要なスコープの指定方法も、返ってくる項目も、利用開始までの手続きも異なるためです。1つ実装したから2つ目は流用できる、という性質のものではありません。

見積もりを立てるときは、1つのプロバイダにつき次の作業が発生すると考えると数えやすくなります。

  • 開発者アカウントの登録と、プロバイダごとの申請・審査への対応(提出物の準備を含む)
  • 認可リクエストの組み立てと、スコープの指定
  • IDトークンの署名・発行元の検証
  • stateとnonceによる、なりすまし・リプレイ対策
  • 受け取った識別子と自社会員データベースの突き合わせ(既存会員との紐づけを含む)
  • トークンの保管と失効処理
  • 連携が拒否・失敗したときの代替ログイン導線

このうち後半の4つは自社サービスの会員設計に依存するため、対応プロバイダを増やしても作り直しは要りません。増えるのは前半の3つと、公開後の追随です。

個別開発にかかる費用や工数の相場を示した公開データはありません。金額の目安は自社の体制で見積もるほかないため、上の一覧を要件定義の起点として使ってください。

ソーシャルログイン専用サービスを使う場合

専用サービスは、複数のIDプロバイダとの連携をあらかじめ実装した状態で提供されます。自社側の作業は、管理画面での設定と、自社サイトへのタグ設置またはSDKの組み込みが中心になります。

費用は、月額固定型で月額3万円台から、対応プロバイダやCRM連携の範囲が広がる構成で月額8万円台からというのが、公式に金額を公開しているサービスの水準です(2026年8月時点)。会員数に応じた従量課金型もあり、料金の考え方は料金体系の節で詳しく扱います。

個別開発と比べたときの本質的な違いは、初期費用よりも「その後」にあります。SNS側の仕様が変わったときに追随するのが自社の開発チームか、サービス提供元かという分かれ目です。

利用中のクラウド基盤の認証サービスを使う場合

AWS・Microsoft Azure・Google Cloudは、それぞれ顧客向けの認証・ユーザー管理サービスを提供しています。すでにそのクラウド上でサービスを動かしているなら、認証も同じ基盤に寄せて、請求と権限管理をまとめられます。

月間アクティブユーザー1万〜5万人までは無料枠が用意されており、小規模なうちは固定費なしで始められます。一方で、これらの基盤がそのまま接続できるIDプロバイダはGoogle・Facebook・Apple・Xなどが中心で、LINEやYahoo! JAPANはOpenID Connectのカスタムプロバイダとして自分で設定する形になります。

国内向けのサービスでLINEを主軸に据える場合、この設定と維持は自社の作業として残ります。

SNS側の仕様変更・提供終了に誰が追随するか

ソーシャルログインは、他社が運営するIDプロバイダの上に成り立ちます。各プロバイダは、取得できる項目や利用開始の要件をそれぞれの都合で改定します。

実際、手続きの要件はプロバイダごとにばらばらです。LINEでメールアドレスを取得するにはLINE Developersコンソールからの事前申請が要り、Yahoo! JAPANの属性取得APIは審査を経たうえで法人・個人事業主・大学・研究機関に利用者が限られます。Metaは権限を本番運用の範囲で使うためにビジネス認証を求め、Googleは機密スコープを使う場合にアプリ審査を求めます。

それぞれが独立に運用され、独立に改定されます。

この追随を自社の開発リソースで負い続けるのか、提供元に任せるのか。ここが「作るか、買うか」の判断で最も効いてきます。ライセンス費用を払わない代わりに、仕様変更のたびに開発チームの時間が取られるという構図になるためです。

判断の目安(対応SNS数・会員規模・開発リソース別)

3つの手段は、次のように整理できます。

判断の材料個別開発専用サービスクラウド基盤の認証サービス
初期費用開発工数がそのまま費用になる3万円台〜8万円台(金額を公開しているサービス。非公開のものも多い)無料枠の範囲なら発生しない
ランニング費用保守工数月額3万円台〜会員数に応じた従量課金
対応SNSを増やすときプロバイダごとに実装設定で追加できることが多い標準対応外は自分で設定
仕様変更への追随自社提供元クラウド事業者と自社で分担
向いているケース認証に詳しい開発体制があり、ログイン体験を独自に設計したい開発リソースが限られ、国内SNSに確実に対応したいすでに同じクラウド上でサービスを運用している

対応したいSNSが1つだけで、社内に認証まわりの実装経験があるなら、個別開発でも現実的です。対応SNSが3つ以上になる場合や、LINEを軸に据える場合は、専用サービスの方が総量として軽くなります。プロバイダごとの手続きと改定への追随が積み上がるためです。

対応するSNSプロバイダと取得できる会員情報

ここからは、どのSNSに対応すべきか、そしてそこから何の会員情報を受け取れるかを見ていきます。どの手段を選んでも必要になる判断材料です。

国内で実際に使われているSNSはどれか

国内の利用実態を示すデータとして、ソーシャルログイン提供事業者による導入サイトの集計があります。同社サービスを導入し、2025年12月時点でソーシャルログインを提供している354サイト(一般消費者向けのECサイトや求人サイトが中心)を対象に、2025年1月1日から12月31日までを集計したものです。

この354サイトでは、ソーシャルログインの利用回数のうち88%をLINEログインが占め、実際に利用したユーザー数で見ても87%がLINEログインでした。利用回数全体の97%はスマートフォンからで、PC・タブレットに限るとLINE・Google・Yahoo! JAPANの3つで約93%を占めています。

導入の組み合わせでは「LINEログインのみ」が174サイトで最多となり、前年比27%増と増えています。

ただし、この数字の読み方には注意が要ります。母集団は日本のECサイト全体ではなく、LINE連携を主力とする特定のベンダーの導入サイト354件です。国内全体の実勢よりLINEの比率が高く出る方向に偏りうる点を踏まえたうえで、「スマートフォン経由の利用が大半を占める」「国内向けBtoCサービスではLINEログインの利用比率が高い」という傾向として受け取るのが妥当です。

出典・参考資料(1件)

プロバイダ別に取得できる情報の違い

ソーシャルログインで受け取れる会員情報は、プロバイダごとにはっきり違います。会員登録フォームをどこまで省略できるかは、ここで決まります。各プロバイダの公式開発者ドキュメントで公開されている内容を横並びにすると、次のようになります。

プロバイダ識別子氏名メールアドレスその他に取得できる主な項目
LINEユーザーID表示名のみ(本名ではない)事前申請が必要プロフィール画像、ステータスメッセージ
Yahoo! JAPANユーザー識別子姓名・カナ・漢字姓名取得可(スコープ設定が必要)性別、生年(4桁のみ)、住所(郵便番号・都道府県・市区町村)、表示名、プロフィール画像
Googlesub姓・名取得可プロフィール画像、ロケール
Appleユーザー識別子姓・名(初回の認可時のみ)取得可(非公開リレーの場合あり)—
Facebookid姓・名・ミドルネーム取得可(未設定なら返らない)プロフィール画像
X(旧Twitter)id表示名・ユーザー名取得可プロフィール画像、自己紹介、所在地(自由記述)

※各プロバイダの公式開発者ドキュメント(2026年8月時点)に基づく

この表から読み取れる差は3つあります。

1つ目は、住所まで受け取れるのはYahoo! JAPANだけという点です。属性取得APIでは、郵便番号・都道府県・市区町村を含む登録住所を返せます。ただし返るのは公式ドキュメントに定義された項目に限られ、番地までは含まれません。配送先として使うには自社側で追加の入力が要ります。

生年月日についても、公式ドキュメントに「ユーザーが登録している生年月日の生年のみを4桁で返却します」とあり、月日は取得できません。

2つ目は、LINEの「氏名」が本名ではないという点です。LINEログインの標準的なスコープで受け取れるプロフィール情報は、公式ドキュメントによれば「ユーザーID、表示名、プロフィール画像、およびステータスメッセージ」です。氏名・性別・誕生日・電話番号・住所を受け取るには、LINE Profile+という別枠の仕組みと所定の申請が必要になります。

国内で最も使われるプロバイダでありながら、会員フォームの省略という点では取得できる項目が限られます。

3つ目は、メールアドレスを会員の識別子として使ってはいけないという点です。これは複数のプロバイダが公式に注意しています。Googleは「emailフィールドをユーザーの一意な識別子として使わないでください。常にsubフィールドを使ってください」と明記しています。

Yahoo! JAPANも、メインに設定しているメールアドレスは一意ではなく、異なるユーザーが同一のメールアドレスを登録している場合があるため識別子には使えないとしています。LINEも、表示名・プロフィール画像・ステータスメッセージは利用者がいつでも変更できるため識別には使えず、変更できないユーザーIDを使うよう求めています。

ユーザーを識別するには、ユーザーが変更できないユーザーIDを使用してください。ユーザーは、LINEに設定した表示名、プロフィール画像、およびステータスメッセージをいつでも変更できます。これらの情報はユーザーを識別する目的では、利用できません。

「ユーザーを管理する」|LINE Developers(https://developers.line.biz/ja/docs/line-login/managing-users/)

会員データベース側で何をキーに突き合わせるかは、この時点で決めておく必要があります。メールアドレスで名寄せする設計にすると、重複アカウントの温床になります。

出典・参考資料(6件)

Apple ID 対応が必要になるケース

Appleのログインを組み込むかどうかは、提供している形態によって答えが変わります。

App Storeで配信するアプリには、App Store Reviewガイドラインの4.8が適用されます。他社のソーシャルログインを使ってアプリのプライマリアカウントを作らせている場合、次の3つを満たす別のログインサービスを同等の選択肢として併せて提供することが求められます。

データ収集をユーザーの名前とメールアドレスに限定したログインサービス
アカウント設定の一環として、ユーザーが自分のメールアドレスを非公開にできるログインサービス
ユーザーの同意なく広告目的でアプリとのインタラクションに関わるデータを収集することのないログインサービス

「App Store Reviewガイドライン」4.8 ログインサービス|Apple(最終更新日 2026年6月8日、https://developer.apple.com/jp/app-store/review/guidelines/)

条文が求めているのは、この3要件を満たすログイン手段を選べるようにすることであって、特定の名前のサービスを入れることではありません。Sign in with Appleはこの要件を満たす代表的な選択肢にあたります。

また、同ガイドラインには5つの例外が置かれています。自社独自のアカウント設定やサインインシステムのみを使っている場合、教育機関・エンタープライズ・法人向けで既存のアカウントでのサインインが必要な場合、政府や民間が運営する住基システム・電子IDで認証する場合などです。

そして重要なのは適用範囲です。このガイドラインはApp Storeの審査基準であり、Webサイトのみで提供している会員サービスには及びません。ECサイトや会員制Webサービスだけを運営していて、iOSアプリを配信していないのであれば、この規定を理由にAppleのログインを入れる必要はありません。とはいえ、iPhoneの利用者が多い読者層を抱えているなら、選択肢として用意する価値は別途あります。

Appleのログインを実装する場合は、利用者が本物のメールアドレスではなく、@privaterelay.appleid.comまたは@icloud.comで終わる非公開のリレーアドレスを選べる点を織り込んでおく必要があります。リレーアドレス宛のメールには1日100通という上限があり、メール配信を前提にした施策では制約になります。

リレーアドレスかどうかはIDトークンのis_private_emailで判別できます。

ソーシャルログインサービスでできること(主な機能)

専用サービスを使う場合、何が備わるのかを機能単位で整理します。

ログイン・会員登録まわりの基本機能

複数のIDプロバイダとの連携があらかじめ実装されており、管理画面で使うプロバイダを選んで有効にできます。ログインボタンの設置は、自社サイトへのタグ設置か、提供されるSDKの組み込みで行います。

受け取った会員情報を登録フォームに自動で流し込むフォームアシスト機能を備えるものもあります。氏名やメールアドレスの入力欄があらかじめ埋まった状態になるため、入力の手間と打ち間違いが減ります。

会員データの取得・統合と同意管理

複数のプロバイダから受け取った情報を、自社の会員IDに紐づけて1人の会員として管理します。同じ人が別々のSNSでログインしたときに同一人物として扱えるかどうかは、この機能の設計に依存します。

取得する情報の範囲について利用者から同意を得て、その記録を残す仕組みを持つものもあります。会員数が大きくなるほど、同意の取得状況を後から確認できることの価値が上がります。

CRM・マーケティング施策との連携

ログイン時にLINE公式アカウントの友だち追加まで済ませたり、自社の会員IDとLINEアカウントを紐づけて個別にメッセージを配信したりする機能です。国内向けサービスでは、この領域の作り込みがサービス間の差になりやすい部分です。

取得した属性データを、既存のCRMやマーケティングオートメーションツールへ連携する機能を備えるものもあります。

セキュリティ・認証強化

多要素認証、リスクの高いログインを検知して追加の確認を求めるリスクベース認証、パスキーによるパスワードレス認証などです。ソーシャルログインだけに頼らず、認証手段を複数持たせたい場合に関わってきます。

ソーシャルログインサービスの3つのタイプ

ソーシャルログインサービスは、何のために使うかで大きく3つに分かれます。自社がどれに当てはまるかを見極めると、候補をしぼり込みやすくなります。

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特徴向いている企業詳細
国内SNS連携と、その先の顧客データ活用まで任せたい企業向け国内SNSへの対応を提供元に任せられるタイプ。友だち追加・メッセージ配信・顧客データ連携まで一体で扱えるものと、ログインと会員情報の受け渡しに絞ったものがある開発リソースが限られ、LINEを軸に会員接点を作りたいBtoC事業者比較表を見る
認証基盤を自社サービスに合わせて作り込みたい企業向け多要素認証や認証フローのカスタマイズ、API・SDKでの実装自由度を備え、ログイン体験と権限設計を自社要件に合わせられる認証まわりの開発体制があり、既存の会員基盤に組み込みたい事業者比較表を見る
利用中のクラウド基盤に揃えたい企業向けAWS・Azure・Google Cloudが提供する認証サービス。すでに使っているクラウドに認証と請求をまとめられる特定のクラウド上でサービスを運用しており、認証も同じ基盤に寄せたい事業者比較表を見る

国内SNS連携と、その先の顧客データ活用まで任せたい企業向け

LINEやYahoo! JAPANといった国内のIDプロバイダへの対応を、提供元に任せられるタイプです。申請の要件や仕様の改定に自社で追随しなくてよいぶん、開発リソースが限られていても導入できます。

特徴は、ログインを入口にした顧客データの活用まで守備範囲に入ることです。LINE公式アカウントの友だち追加、会員IDとの紐づけ、セグメントを切ったメッセージ配信、同意管理といった機能が、ログイン機能と地続きで提供されます。

「まずは会員登録の離脱を減らしたいだけで、配信まではまだ考えていない」という場合も、国内向けのBtoCサービスであればこのタイプが基本の選択肢になります。LINEやYahoo! JAPANへの対応を任せられること自体が、この型を選ぶ第一の理由だからです。顧客データの活用は、必要になった段階で広げられる余地として見ておけば足ります。

同じ型の中でも守備範囲には幅があります。LINE公式アカウント連携まで標準で持つもの、ログインと会員情報の受け渡しに絞ったもの、大規模な顧客データの統合を主眼にするものがあるため、料金だけでなく、どこまでを任せたいかで見比べてください。

認証基盤を自社サービスに合わせて作り込みたい企業向け

ソーシャルログインを、より広い認証基盤の一機能として扱うタイプです。多要素認証、リスクベース認証、パスキー、認証フローの分岐といった要素を組み合わせて、自社サービスに合わせたログイン体験を設計できます。

API・SDKでの実装が前提になるため、社内に開発リソースが要ります。その代わり、既存の会員基盤への組み込み方や、権限設計との接続を自分たちで決められます。会員数が大きく、認証の要件が細かい事業者や、金融のように業界固有の仕様に対応する必要がある事業者が対象です。

ここまで広げて考える場合、比べる対象はログイン手段そのものではなく、会員IDの管理・属性データの保持・同意の記録までを担う基盤の側になります。以下の記事では、その領域の主要サービスを機能と料金で比較し、自社の会員基盤に合わせた選び方を整理しています。

利用中のクラウド基盤に揃えたい企業向け

AWS・Microsoft Azure・Google Cloudが提供する、顧客向けの認証・ユーザー管理サービスです。すでにそのクラウド上でアプリケーションを動かしているなら、認証も同じ基盤に寄せることで、請求・権限管理・監視をまとめられます。

無料枠が用意されており、小規模なうちは固定費なしで始められるのも利点です。一方で、標準で接続できるIDプロバイダは海外発のものが中心で、LINEやYahoo! JAPANはOpenID Connectのカスタム設定で自ら繋ぐことになります。国内SNSを主軸にする場合は、この作業が自社に残る点を織り込んで選ぶ必要があります。

自社がどの型にあたるか判断しづらい場合は、3つの質問で候補を絞れる診断を用意しました。

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ソーシャルログインサービスの選び方

ここからは、候補を横並びで比べるときに見るべき軸を順に説明します。

必要なSNSプロバイダに対応しているか

最初に確認するのは、自社が必要とするIDプロバイダに対応しているかです。国内向けのBtoCサービスであればLINEとYahoo! JAPAN、海外の利用者も想定するならGoogleとApple、というように、自社の読者層から必要なプロバイダを先に決めておくことが重要です。

ここで気をつけたいのは、対応プロバイダの一覧を公開していないサービスがあることです。製品ページに「ソーシャルログインに対応」とだけ書かれていて、具体的なプロバイダ名が示されていない場合、LINEに対応しているかどうかは問い合わせないと分かりません。国内SNSが必須要件なら、比較検討の早い段階で確認しておくべき項目です。

実装方式と開発工数

実装方式は、自社サイトにタグを設置する形、SDKやAPIを組み込む形、クラウド基盤の認証サービスを設定する形に分かれます。必要な開発リソースが最も小さいのはタグ設置型で、自由度が最も高いのはSDK・API型です。

判断の分かれ目は、社内に認証まわりの実装を担える人がいるかどうかです。いない場合、SDK・API型を選ぶと、導入そのものが止まります。逆に、既存の会員基盤が複雑でログイン後の処理を細かく制御する必要があるなら、タグ設置型では要件を満たせないことがあります。

セキュリティと認証方式(多要素認証・パスキー対応)

ソーシャルログインは、大元のSNSアカウントの安全性に依存します。そのアカウントが乗っ取られれば、連携先のサービスにも入られます。この構造上のリスクを補うため、多要素認証やパスキーを併用できるかを確認しておく必要があります。

扱う情報の機微さで基準は変わります。購入履歴や住所を持つECサイト、金銭の動きが伴うサービスであれば、ソーシャルログインに加えて追加の認証手段を選べる構成にしておく方が安全側に倒せます。

既存会員基盤・CRMとの連携可否

すでに会員データベースを持っている場合、ソーシャルログインで受け取った情報をどう突き合わせるかが論点になります。既存の会員IDと外部アカウントを紐づける仕組みが用意されているか、それとも自社で実装することになるのかは、確認しておきたい点です。

取得した属性データを、既存のCRMやメール配信ツールへ渡せるかどうかも判断材料です。ログインを入口に顧客データを活用したいのであれば、この連携が用意されているかどうかで、導入後にやれることの幅が変わります。

ログイン画面・同意画面のカスタマイズ自由度

ログイン画面が自社サイトのデザインと大きくずれると、利用者は不安を感じて離脱します。この自由度は、実装方式からおおよそ決まります。

提供元が用意したホスト型のログイン画面を使う方式は、設置が早い代わりに見た目や項目の制約を受けます。SDKやAPIで自社側に画面を作る方式は自由度が高い代わりに実装が要ります。どこまで作り替えられるかという細かい可変範囲は製品ページに書かれていないことが多いため、デザイン要件があるなら候補をしぼった段階で問い合わせて確認する軸だと考えてください。

仕様変更対応とサポート体制

導入後に効いてくるのが、SNS側の仕様が変わったときに誰が対応するかです。提供元が追随すると明示しているサービスもあれば、記載がないサービスもあります。契約前に確認しておかないと、改定のたびに自社の開発チームが動くことになりかねません。

提供元が国内か海外かも、実務では差になります。日本語での問い合わせ窓口があるか、国内SNS特有の仕様変更に素早く追随できるか。国内SNSを主軸に据えるなら、この観点は無視できません。

ソーシャルログインサービスの料金体系と費用相場

前半で「作るか買うか」を総額で比べました。ここからは買う場合の内訳として、課金方式の型と実際の金額水準を見ていきます。

課金方式の3つの型

ソーシャルログインサービスの料金は、次の3つの型に分かれます。

  • 月額固定型:利用者数にかかわらず月額が一定。予算が読みやすく、会員数が多いほど1人あたりの単価は下がります
  • 月間アクティブユーザー(MAU)課金型:その月にログインした人数に応じて課金されます。小規模なうちは安く、会員が増えるほど費用も増えます
  • ライセンス型:オンプレミス製品やエンタープライズ向けに多く、個別見積もりになります

自社の会員数と、そのうち毎月ログインする割合をおおまかに把握しておくと、どの型が有利かを判断できます。

初期費用・月額費用の水準

公式サイトで金額を公開しているサービスは、次の水準です(2026年8月時点。ここに出てこないサービスは金額を公開しておらず、問い合わせが必要です)。

サービス初期費用月額費用会員数が増えたとき
SOC!!30,000円30,000円利用者数・ログイン回数では変動しない
Login Plus公式サイトに記載なし30,000円〜公式サイトに記載なし
Login3.0 with AI Agent公式料金ページに記載なし30,000円〜(1〜5,000MAU帯)MAU段階制の従量課金
ソーシャルPLUS80,000円〜80,000円〜10,000人ごとに月額10,000円が加算

クラウド基盤の認証サービスは初期費用がかからず、月間アクティブユーザーが無料枠(1万〜5万人)に収まるうちは費用が発生しません。ただしLINEやYahoo! JAPANをOpenID Connect経由で繋ぐ場合、その利用者は月50人までという別枠の無料枠で数えられるサービスがあり、国内SNSを主軸にすると早い段階で課金が始まります。

MAU課金型では、無料枠を設けているものが目立ちます。クラウド基盤の認証サービスでは月間1万人から5万人までが無料枠で、それを超えた分に単価がかかる形です。専用サービス側でも、月間5,000人までで月額3万円台からという段階制の料金を公開しているものがあります。

一方で、金額を公開していないサービスも相当数あります。特にオンプレミス型やエンタープライズ向けの製品は個別見積もりが原則で、公式サイトに料金の記載がありません。予算の目安を早く掴みたい場合は、金額を公開しているサービスで水準感を作ってから、非公開のサービスに問い合わせる進め方が現実的です。

会員数やアクセスが増えたときに総額がどう変わるか

導入時点の金額だけで選ぶと、事業が伸びたときに費用構造が合わなくなることがあります。

MAU課金型は、無料枠の内側にいるうちは費用がかかりませんが、会員が増えると費用も比例して増えます。月額固定型は、初期の負担は大きくても、会員数が増えるほど1人あたりの単価が下がります。会員数が数万人を超えて伸び続ける見込みがあるなら、現在の人数ではなく2〜3年後の想定人数で試算しておく方が、後から乗り換える手間を避けられます。

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【比較表】ソーシャルログインサービスを対応SNS・料金・実装方式で比較

本記事で取り上げる13サービスを、選定軸で横並びにしました。対応プロバイダ・実装方式・費用・多要素認証やパスキーへの対応・顧客データ連携の可否・提供元を、タイプ別に整理しています。サービス名をクリックすると、そのサービスの解説に移動します。

【タイプ別比較表】国内SNS連携と、その先の顧客データ活用まで任せたい企業向け

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サービス名ソーシャルPLUSLogin PlusSOC!!(エスオーシー)SAP Customer Data Cloud
対応SNSプロバイダLINE・Yahoo! JAPAN・Google・Apple・Facebook・X(6種)LINE・Google・Yahoo! JAPAN・Facebook・X・Apple(6種)Google・Yahoo! JAPAN・Facebook・X・LINE(5種)公式に記載なし(要問い合わせ)
実装方式公式に記載なし(要問い合わせ)フロントエンド・バックエンドの改修
(タグ設置型かAPI型かは公式に記載なし)
API連携(接続仕様書に沿って自社側のWeb APIを改修)REST API・SDK(Web/Android/iOS/Python/PHP/Java)
初期費用80,000円〜要問い合わせ30,000円要問い合わせ
月額費用・課金方式80,000円〜(月額固定)
ユーザー数1万人超は1万人ごとに+10,000円
30,000円〜(月額固定)30,000円(月額固定)
ユーザー総数・ログイン回数が増えても変動なし
要問い合わせ(課金方式も公式に記載なし)
多要素認証・パスキー公式に記載なし●パスキー(指紋・顔認証)に対応公式に記載なし●FIDO認証・二要素認証・Push認証・メールOTP
顧客データ・CRM連携●LINE公式アカウントの友だち追加・ID連携・セグメント配信●LINE公式アカウントの友だち追加・フォームアシスト・会員データエクスポート△連携先SNSからの会員情報取得のみ。CRM連携機能は公式に記載なし●項目別の同意管理・プロフィール管理、SAP Marketing Cloud等と標準連携
提供元株式会社ソーシャルPLUS(日本)ファーストデータテクノロジーズ株式会社(日本)株式会社ビショップ(日本)SAP SE(ドイツ)
国内の導入支援: NTTドコモビジネスX・電通デジタル
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイト・公式ドキュメントの記載にもとづきます。「公式に記載なし」は公開情報では確認できなかった項目で、非対応という意味ではありません(問い合わせで確認できる場合があります)。「要問い合わせ」は公式サイトに金額の記載がない項目です。対応SNSプロバイダは、公式に一覧が確認できたサービスのみ具体名を記載しています。●=対応/△=一部・条件付き対応/×=非対応。

【タイプ別比較表】認証基盤を自社サービスに合わせて作り込みたい企業向け

← 横にスクロールできます →
サービス名Login3.0 with AI AgentAuth0LoginRadiusUni-ID LibraTrustBind/Federation Manager
対応SNSプロバイダ公式に記載なし(要問い合わせ)
SNS連携の設定は個社ごとに提供元が構成
Google・Facebook・Appleほか事前構築済み74種
LINEは事前構築済みの接続として公式提供
Yahoo! JAPANは一覧になくカスタム接続での設定
LINE・Yahoo! JAPAN・Google・Apple・Facebook・Xほか
事前構築済み18種以上、カスタム実装での追加も可
公式に記載なし(要問い合わせ)公式に記載なし(要問い合わせ)
要件に応じて追加する位置づけ
実装方式OpenID Connect準拠のSDKSDK・API+ホスト型のUniversal LoginREST API・SDK+ホスト型ログインページ(Auth Studio)パッケージ製品(オンプレミス/クラウドに構築)ソフトウェア製品(オンプレミス・パブリック/プライベートクラウドに構築)
初期費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用・課金方式30,000円〜(MAU従量課金・段階制)
1〜5,000MAUの帯は1MAUあたり6.00円
0円〜(MAU課金)
月間25,000MAUまで無料プラン。有償はBtoC月額35ドル〜、BtoB月額150ドル〜
要問い合わせ(MAU従量課金)
無料プランはなく、14日間の無料トライアルあり
要問い合わせ(個別見積もり)要問い合わせ(CPUサブスクリプションライセンス)
連携するTrustBind/MFAは月額330円/ユーザー・最小300ユーザーから
多要素認証・パスキー公式に記載なし●SMS・メール・生体認証・FIDO2準拠のセキュリティキー●パスキー(FIDO2)・プッシュ通知MFA。リスクベース認証はEnterpriseプラン●ワンタイムパスワード・FIDO準拠のパスキー●OTP・クライアント証明書・リスクベース認証・パスキー(TrustBind/MFAと連携)
顧客データ・CRM連携●グループ企業間のID連携・同意管理、AIエージェントによる顧客対応●ユーザー属性・メタデータの管理。同意管理はカスタム実装が前提●同意管理(Enterpriseプラン)・複数IDプロバイダを仲介するIdentity Brokering●複数サービスの顧客ID統合・同意管理(目的別の同意取得と可視化)△認証ログの一元管理。CRM連携機能は公式に記載なし
提供元株式会社UPBOND(日本)Okta, Inc.(米国)
日本法人: Okta Japan株式会社
LoginRadius Inc.(カナダ)
日本法人・国内代理店は公式に記載なし
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社(日本)NTTテクノクロス株式会社(日本)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細公式サイトサービス詳細公式サイト

※2026年8月時点の各社公式サイト・公式ドキュメントの記載にもとづきます(Auth0の料金は2026年7月時点)。「公式に記載なし」は公開情報では確認できなかった項目で、非対応という意味ではありません(問い合わせで確認できる場合があります)。「要問い合わせ」は公式サイトに金額の記載がない項目です。対応SNSプロバイダは、公式に一覧が確認できたサービスのみ具体名を記載しています。●=対応/△=一部・条件付き対応/×=非対応。

【タイプ別比較表】利用中のクラウド基盤に揃えたい企業向け

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サービス名Firebase AuthenticationGoogle Cloud Identity PlatformAmazon CognitoMicrosoft Entra External ID
対応SNSプロバイダGoogle・Apple・Facebook・X・GitHub
LINE・Yahoo! JAPANはOIDC連携が必要で、無償版では設定不可(Identity Platformへの有償アップグレードが前提)
Google・Facebook・X・GitHub・Apple・Microsoft
LINE・Yahoo! JAPANはOIDCカスタムプロバイダとして自社で設定(専用の解説ページは公式ドキュメントになし)
Apple・Facebook・Google・Amazon
LINE・Yahoo! JAPANはOIDCカスタムプロバイダとして自社で設定
Google・Facebook・Apple
LINE・Yahoo! JAPANはカスタムOIDCプロバイダとして自社で設定
実装方式SDK(iOS・Android・Web・Flutter・C++・Unity)SDK(Web・iOS・Android)・Admin SDK・REST APISDK・API+Managed Login(ホスト型のログイン画面)MSAL SDK(ブラウザー委任認証/ネイティブ認証)
初期費用0円0円0円0円
月額費用・課金方式0円〜(MAU従量課金)
メール・電話番号・匿名・ソーシャルは月間50,000MAUまで無料、超過分は米ドル建て
0円〜(MAU従量課金)
メール・電話番号・匿名・ソーシャルは月間50,000MAUまで無料。SAML・OIDC経由は月50MAUまで無料で、超過分は1MAUあたり0.015ドル
0円〜(MAU従量課金)
Lite・Essentialsは月10,000MAUまで無料。超過分はEssentialsが1MAUあたり0.015ドル、Plusは0.020ドル(無料枠なし)。SAML・OIDC経由は月50MAUまで無料
0円〜(MAU従量課金)
月間50,000MAUまで無料。超過分の単価とアドオン(M2M認証・SMS認証・Go-Local)は公式の価格ページ・価格計算ツールで確認
多要素認証・パスキー×多要素認証はIdentity Platformへの有償アップグレードが必要●SMS・TOTPアプリによる多要素認証(パスキーは公式に記載なし)●パスキー(FIDO2)・メール/SMSのワンタイムコードはEssentials以上●パスキー(FIDO2)・メールのワンタイムパスコード・SMS認証(追加料金)
顧客データ・CRM連携△Admin SDKでのユーザー管理。CRM連携機能は公式に記載なし△カスタムクレーム・ユーザー属性の管理(Admin SDK)。CRM連携機能は公式に記載なし△カスタム属性の管理・AWSサービスとの連携。CRM連携機能は公式に記載なし△監査ログ・サインインログ、Azure Monitor/Sentinelとの連携。CRM連携機能は公式に記載なし
提供元Google LLC(米国)Google LLC(米国)Amazon Web Services, Inc.(米国)Microsoft Corporation(米国)
日本法人: 日本マイクロソフト株式会社
詳細情報サービス詳細公式サイトサービス詳細サービス詳細

※2026年7〜8月時点の各社公式サイト・公式ドキュメントの記載にもとづきます。料金は米ドル建てで、日本円建ての金額は公式ページに記載がありません。4サービスとも標準で接続できるIDプロバイダは海外発のものが中心で、LINE・Yahoo! JAPANはネイティブ対応ではなくOpenID Connectのカスタムプロバイダとして自社で設定する形になります(Firebase Authenticationの無償版はOIDC連携そのものに非対応)。「公式に記載なし」は公開情報では確認できなかった項目で、非対応という意味ではありません。●=対応/△=一部・条件付き対応/×=非対応。

各ソーシャルログインサービスの詳細解説

ここからは、13サービスをタイプ別に解説します。

国内SNS連携と、その先の顧客データ活用まで任せたい企業向けのサービス

LINEやYahoo! JAPANへの対応を提供元に任せられ、ログイン後の顧客データ活用まで一体で扱えるサービスです。開発リソースが限られていて、国内のBtoC向けに会員接点を作りたい事業者に向きます。

1. ソーシャルPLUS(株式会社ソーシャルPLUS)

ソーシャルPLUSのウェブサイト

フィードフォースグループの子会社として2021年に分社化した株式会社ソーシャルPLUSが提供しています。LINEとYahoo! JAPANを含む6種類のIDプロバイダに対応し、なかでもLINEログインを起点にしたID連携を軸に据えたサービスです。公式サイトには導入350社以上と記載されています。

ログインと同時に、LINE公式アカウントの友だち追加を促せる点が特徴です。認可画面に表示される友だち追加のチェックは、LINE公式パートナー経由の申請によって初期状態でオンにできます。自社の会員IDとLINEのIDを紐づけておけば、購入履歴や会員ステータスに応じたセグメント配信・ステップ配信、リッチメニューの出し分けにつなげられます。

料金は初期費用・月額ともに80,000円からで、ユーザー数が1万人を超えると1万人ごとに月額10,000円が加算されます(数量に応じた割引の設定あり。税の区分は公式料金ページに記載なし)。LINE通知メッセージだけを使うプランは月額30,000円からで、配信自体にはLINEヤフー社が定める料金が別途かかります。

2. Login Plus(ログインプラス)/ファーストデータテクノロジーズ株式会社

Login Plus(ログインプラス)のウェブサイト

2024年8月に提供が始まったサービスです。SNS運用やSaaS導入の支援を手がけるファーストデータテクノロジーズ株式会社が運営し、LINEやGoogleを含む6種類のSNSに対応します。指紋・顔認証を使うパスキー認証も同じサービスで実装でき、ソーシャルログインと組み合わせて使えます。

LINEで新規会員登録する際は、公式アカウントの友だち追加チェックがオンになった状態で許可画面が表示されます。ほかに、サイトを開くとログインボタンがスライド表示されるGoogle One Tap、SNSの登録情報を会員登録フォームへ自動反映するフォームアシスト、会員データのエクスポート機能を備えます。

料金は月額30,000円からで、初期費用は公式サイトに記載がありません(2026年8月時点)。SNS側のアップデートへの対応は提供元が担うと公式サイトが説明しており、導入時は自社側でフロントエンドとバックエンドの改修を行います。導入社数は公表されていません。

3. SOC!!(エスオーシー)/株式会社ビショップ

SOC!!(エスオーシー)のウェブサイト

対応するIDプロバイダはGoogle・Yahoo! JAPAN・Facebook・X(旧Twitter)・LINEの5種類で、公式サイトにその旨が明記されています。実装はAPI連携方式をとり、提供元から届く接続仕様書に沿って自社側でWeb APIを改修します。

料金は初期費用30,000円・月額30,000円で、ユーザー総数やログイン回数が増えても金額は変わらない設定です(税の区分は公式サイトに記載なし)。ただし、想定を超えるシステム負荷が確認された場合には、スケールアップを伴う特別プランを提案することがあると注記されています。

各SNSのデベロッパーアカウントについては取得方法のフォローアップがあり、自社で取得できない場合は1アカウント5,000円で代行を依頼できます。運営元は2012年設立の株式会社ビショップで、導入企業名や導入社数は公式サイトに公開されていません。

4. SAP Customer Data Cloud(SAP)

SAP Customer Data Cloud(旧 Gigya、SAP CIAM)のウェブサイト

2006年創業のGigyaを2017年にSAPが買収し、現在の名称に統合された製品です。ID管理・同意管理・プロフィール管理の3つを軸に、サービスや拠点ごとに分かれた顧客IDを1つに束ねる用途で使われます。国内での導入支援は、NTTドコモビジネスX株式会社と電通デジタル株式会社が担っています。

ソーシャルログインに加えて、シングルサインオンや電話番号でのログイン、FIDO認証、二要素認証など複数の認証方式を備えます。会員登録フォームは標準のレスポンシブ画面が用意されており、認証フローごと自社の要件に合わせて作り替えられます。同意は利用規約や配信許諾など項目ごとに取得し、変更履歴も管理します。

国内ではヤマハ株式会社や株式会社オートバックスセブン、阪急阪神ホールディングスグループが、グループ横断のID統合に採用しています。一方で料金は公開されておらず、初期費用・月額ともに問い合わせが必要です。対応するIDプロバイダの一覧も公式サイトでは確認できないため、LINEやYahoo! JAPANが要件であれば事前の確認が要ります。

認証基盤を自社サービスに合わせて作り込みたい企業向けのサービス

ソーシャルログインを認証基盤の一機能として扱い、認証フローや権限設計を自社の要件に合わせて構築できるサービスです。社内に開発リソースがあり、既存の会員基盤へ組み込みたい事業者に向きます。

5. Login3.0 with AI Agent(株式会社UPBOND)

Login3.0 with AI Agentのウェブサイト

サービスごとに別々のIDを発行するのではなく、複数サービスで共通のID(DID=分散型識別子)を発行する、株式会社UPBONDの顧客向けログイン基盤です。グループ内の複数サービスを1つのIDで横断できるようにします。2025年3月には、蓄積したライフログをもとにチャットでの顧客対応をAIが担う「Login3.0 with AI Agent」の提供が始まりました。

実装はOpenID Connect準拠のSDKで行い、既存システムに大規模な改修を加えずに接続できると公式サイトが説明しています。要件のヒアリング後、最短2週間で動くプロトタイプを提示するとしています。ロッテの「Medi Palette」、コスモスイニシアが2026年1月に運用を始めた宿泊者向けマイページ、アパホテルの訪日客向け事前チェックインで採用されています。

料金は月間アクティブユーザー(MAU)に応じた段階制の従量課金で、1〜5,000MAUの帯は1MAUあたり6.00円(月額30,000円)です。初期費用は公式の料金ページに記載がありません。対応するIDプロバイダを名指しした一覧も公式サイトでは確認できず、SNS連携の設定は個社ごとに提供元が構成する運用のため、LINEやYahoo! JAPANが要件なら事前の確認が必要です。

6. Auth0(Okta Customer Identity Cloud)/Okta, Inc.

Auth0(Okta Customer Identity Cloud)のウェブサイト

2021年5月に米国のOkta, Inc.が買収し、現在は同社の顧客向けID管理製品「Okta Customer Identity Cloud」の中核技術として提供されている、開発者向けの認証・認可プラットフォームです。国内では経済産業省のGビズID、中部電力、コニカミノルタが導入事例として公式サイトに掲載されています。

ログイン画面はAuth0側でホストするUniversal Loginを使い、74種類の事前構築済みコネクションからソーシャルログインを有効にできます。認証フローの拡張はActionsと呼ぶサーバーレス関数が担い、ログイン前後のイベントにJavaScriptで独自の処理を差し込めます。多要素認証はSMS・メール・生体認証・FIDO2準拠のセキュリティキーに対応します。

金融領域向けにはAPIセキュリティ規格のFAPI 1 Advanced認定を取得し、PSD2が求める強力な顧客認証にも対応します。料金はMAU課金で、月間25,000人までは無料プランが使えます。有償プランはBtoC向けが月額35ドルから、BtoB向けが月額150ドルからで、日本円建ての料金は公式ページに記載がありません(2026年7月時点)。

日本語での導入支援は日本法人のOkta Japan株式会社が提供しています。

7. LoginRadius(LoginRadius Inc.)

LoginRadiusのウェブサイト

中堅・大企業向けの顧客ID管理基盤として、カナダ・バンクーバーに本社を置くLoginRadius Inc.が2012年から提供しています。国内向けのプロバイダでは、公式ドキュメントにLINE用の解説ページが置かれ、公式ブログではYahoo! JAPANも対応プロバイダとして挙げられています。事前構築済みのプロバイダで足りない場合は、カスタムのIDプロバイダ実装で追加できます。

実装方法は統一REST API、Web・モバイル向けSDK、ノーコードで画面を編集できるホスト型ログインページ(Auth Studio)の3通りです。OAuth 2.0・OpenID Connect・SAML 1.1/2.0に対応し、FIDO2準拠のパスキー、マジックリンク、ワンタイムパスワードによるパスワードレス認証を備えます。

IPアドレスやデバイスから判定するリスクベース認証は、上位のEnterpriseプランの機能です。

料金はMAUに応じた従量課金ですが、Professional・Enterpriseとも金額は公開されておらず、いずれも問い合わせが必要です。無料プランはなく、14日間の無料トライアルが用意されています。公式サイトは英語のみで、日本法人・国内代理店・日本語サポートについての記載は公式サイト上に見当たりません。

8. Uni-ID Libra(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

Uni-ID Libraのウェブサイト

BtoCサービスの顧客ID統合を対象とした国産のパッケージ製品で、野村総合研究所グループのNRIセキュアテクノロジーズ株式会社が自社開発・販売しています。トヨタ自動車、近鉄グループホールディングス、カシオ計算機など、グループ横断の共通ID基盤として大手企業に導入されています。

アイ・ティ・アール(ITR)の調査では、国内のCIAM(顧客ID・アクセス管理)市場のベンダー別売上金額で9年連続の1位(2016〜2024年度対象、2026年4月発行のレポート)、デロイトトーマツミック経済研究所の調査でもCIAM比率51%以上の製品区分で3年連続の1位とされています。ただし、どちらの発表にもシェア率の数値は記載されていません。

認証はパスワード、ワンタイムパスワード、FIDO準拠のパスキーに対応し、デジタル庁の「デジタル認証アプリ」と連携してマイナンバーカードによる本人確認も行えます。2026年7月提供のバージョンではAPIセキュリティ規格FAPI 2.0の認定を取得しました。オンプレミスとクラウドのどちらでも構築でき、料金は公式サイトに記載がなく個別見積もりです。

9. TrustBind/Federation Manager(NTTテクノクロス株式会社)

TrustBind/Federation Managerのウェブサイト

NTT株式会社の子会社であるNTTテクノクロス株式会社が開発する認証・認可基盤です。公式サイトには、官公庁や金融など大小100システム以上の認証・認可基盤を構築した実績が記載されています。フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパンでは、約5,000ユーザーの認証基盤がSAML 2.0で稼働しています。

SAML 2.0・OpenID Connect・OAuth 2.0に対応し、金融機関のオープンAPI要件で参照されるFinancial-grade API(FAPI)の認定にも対応します。多要素認証はワンタイムパスワード、クライアント証明書、リスクベース認証、パスキーを、同ブランドのTrustBind/MFAと連携して利用します。

構築先はオンプレミス・パブリッククラウド・プライベートクラウドのいずれも選べます。

ライセンスは物理CPUのソケット数で数えるCPUサブスクリプション型で、本体の金額は公式サイトに記載がなく、導入費用とあわせて問い合わせが必要です(連携するTrustBind/MFAは月額330円・税抜300円/ユーザー、最小300ユーザーから)。ソーシャルログインは要件に応じて追加する位置づけで、対応するIDプロバイダの一覧は公式サイトで確認できません。

利用中のクラウド基盤に揃えたい企業向けのサービス

AWS・Microsoft Azure・Google Cloudが提供する認証サービスです。すでに同じクラウド上でサービスを運用しており、認証と請求をまとめたい事業者に向きます。

10. Firebase Authentication(Google LLC)

Firebase Authenticationのウェブサイト

Googleのアプリ開発プラットフォーム「Firebase」に含まれる認証機能で、iOS・Android・Web・Flutter・C++・Unity向けのSDKが用意されています。バックエンドは次に挙げるGoogle Cloud Identity Platformで、その機能の一部を無償の枠組みとして切り出した製品にあたります。

標準で選べるソーシャルログインはGoogle・Apple・Facebook・X(旧Twitter)・GitHubで、LINEとYahoo! JAPANの専用メニューはありません。

汎用のOpenID Connectで繋ぐ方法はあるものの、無償のFirebase Authentication単体はOIDC連携に対応しておらず、国内SNSを追加するにはIdentity Platformへの有償アップグレードが前提になります。多要素認証も同じ扱いです。

料金は、メール・電話番号・匿名・ソーシャルログインの月間アクティブユーザーが50,000人までは無料で、超過分は米ドル建ての従量課金です(日本円建ての料金は公式ページに記載なし)。無償版には稼働率のSLAがなく、PCI DSSやHIPAA関連の契約もIdentity Platform側の対象になります。

11. Google Cloud Identity Platform(Google LLC)

Google Cloud Identity Platformのウェブサイト

Firebase Authenticationと同じ認証基盤を使いながら、多要素認証、SAML・OpenID Connectでの外部ID連携、テナントごとに利用者と連携設定を分けるマルチテナンシー、稼働率99.95%のSLAを加えた上位版です。クライアントSDKとAdmin SDKのコードは変更せずに移行できると公式ドキュメントが説明しています。

個別の連携ガイドが用意されているIDプロバイダは、Google・Facebook・X(旧Twitter)・GitHub・Apple・Microsoftです。LINEやYahoo! JAPANを使う場合は、発行者のURLやクライアントIDを登録するOIDCカスタムプロバイダとして自社で設定します(両サービス専用の解説ページは公式ドキュメントにありません)。

料金は、メール・電話番号・匿名・ソーシャルログインの月間アクティブユーザーが50,000人まで無料です。一方でSAML・OIDC経由の利用者は月50人までが無料枠で、国内SNSをOIDCで繋ぐ構成はこちらの区分に入るため、想定ユーザー数に応じた費用を見積もっておく必要があります。

12. Amazon Cognito(Amazon Web Services)

Amazon Cognitoのウェブサイト

サインアップ・サインインを担う「User Pools」と、認証を通った利用者にAWSリソースへの一時的なアクセス権を発行する「Identity Pools」の2つで構成されます。S3・DynamoDB・API Gateway・AppSyncといったAWSの他サービスとは、発行したトークンやIAMロール経由で直接つなげられます。

ソーシャルログインとして名前が挙がっているのはApple・Facebook・Google・Amazonで、LINEとYahoo! JAPANは一覧にありません。連携する場合はSAML/OIDCのフェデレーション機能を使い、OIDCプロバイダとして登録します。パスキーやメール・SMSのワンタイムコードによるパスワードレス認証は、Essentials以上のプランの機能です。

料金は2024年11月にLite・Essentials・Plusの3プラン制へ変わりました。LiteとEssentialsは月10,000MAUまで無料で、超過後はEssentialsが1MAUあたり0.015ドル、無料枠のないPlusが0.020ドルです。SAML/OIDC連携の利用者は全プラン共通で月50MAUまで無料、超過分は1MAUあたり0.015ドルと別建てで課金されます。

13. Microsoft Entra External ID(Microsoft)

Microsoft Entra External IDのウェブサイト

顧客や取引先といった社外の利用者向けに、従業員用のID基盤とは別の「外部テナント」を作って使う製品です。旧称はAzure AD B2Cで、その後継として2024年5月1日に一般提供が始まりました。Azure AD B2Cは2025年5月1日に新規販売を終了し、既存の契約は少なくとも2030年5月までサポートが続くと案内されています。

ソーシャルIDとして設定できるのはGoogle・Facebook・Appleで、LINEとYahoo! JAPANはカスタムOIDCプロバイダとして自社で登録する形になります。パスキー(FIDO2)はサインインと多要素認証で使え、データの保管場所を指定するGo-Localアドオンでは日本が対象地域に含まれています。

料金は最初の50,000MAUまで無料ですが、超過分の単価と、M2M認証・SMS認証・Go-Localといったアドオンの料金は公式の価格ページや価格計算ツールで確認する必要があります(アドオンに無料枠はありません)。国内では、日本精工が約1万人規模の顧客向けに導入した事例をMicrosoftが公開しています。

ソーシャルログインの仕組み(OAuth 2.0とOpenID Connect)

導入を社内で説明したり、実装方式を判断したりするには、裏で何が起きているかを押さえておくと役に立ちます。

認証と認可の違い

ソーシャルログインは、性質の異なる2つの仕様を組み合わせて成り立っています。

OAuth 2.0は認可の仕組みです。「このアプリに、自分のプロフィール情報を渡してよい」という権限の受け渡しを扱います。これに対してOpenID Connectは、OAuth 2.0の上に認証を乗せた仕様です。「この操作をしているのは確かにこの利用者である」という本人確認の結果を、IDトークンという形で受け取れるようにします。

ログイン機能として使うには、認可だけでは足りません。誰であるかを確かめる必要があるため、OpenID Connectに対応していることが前提になります。各プロバイダのドキュメントでopenidというスコープの指定が求められるのは、このためです。

ログインボタンを押してから会員登録が完了するまでに起きていること

利用者から見れば数回のタップで終わりますが、その間には次の処理が走っています。

ソーシャルログインで、ログインボタンを押してから会員登録が完了するまでの5ステップの流れを示した図。STEP1は自社サイトからIDプロバイダへ、利用者のブラウザを認可画面へ送りスコープで要求する情報を指定。STEP2はIDプロバイダが利用者を認証し同意画面を表示。STEP3は利用者の同意後、認可コードが自社サイトに返される。STEP4は自社サイトのサーバーが認可コードをIDトークン・アクセストークンと交換。STEP5は自社サイト内でIDトークンの署名と発行元を検証し、識別子で会員を特定して初回なら会員レコードを作成。個別開発ではSTEP4と5の実装が主に必要になる。
  1. 自社サイトが、利用者のブラウザをIDプロバイダの認可画面へ送ります。このとき、どの情報を要求するかをスコープとして指定します
  2. IDプロバイダが利用者を認証し、「このアプリに次の情報を渡してよいか」という同意画面を表示します
  3. 利用者が同意すると、認可コードが自社サイトに返されます
  4. 自社サイトのサーバーが、その認可コードとIDトークン・アクセストークンを交換します
  5. IDトークンの署名と発行元を検証し、含まれている識別子で会員を特定します。初回であれば会員レコードを作成します

個別開発を選ぶ場合、実装が必要になるのは主に4と5の部分です。トークンの検証を省略すると、なりすましを許すことになります。また、途中の通信をすり替えられないようにstateやnonceといった値を使う処理も、自前で組む必要があります。

シングルサインオン(SSO)との違い

ソーシャルログインとシングルサインオンは、技術的に近いものの、目的と対象が違います。

比較項目ソーシャルログイン企業向けシングルサインオン
対象となる利用者自社サービスの顧客・会員自社の従業員
アカウントの持ち主利用者本人(個人のSNSアカウント)会社(会社が発行・管理するアカウント)
主な目的会員登録・ログインの負担を減らす業務システムへのアクセスを一元管理する
退職・解約時の扱い会社側から利用者のアカウントは止められない会社側で失効させられる

この違いは実務に直結します。社内の業務システムのログインを個人のSNSアカウントに任せると、退職者のアクセスを会社側で止められなくなります。従業員向けのアクセス管理には、会社が発行したアカウントを使う仕組みを選ぶのが原則です。

その従業員向けの仕組みについては、IDaaSの機能や選び方を解説した記事があります。社内システムのアクセス管理も並行して検討している場合は、こちらをご覧ください。

ソーシャルログインを導入するメリット

ここからは、導入によって何が変わるのかを、事業者側と利用者側に分けて整理します。

事業者側のメリット

最も大きいのは、会員登録フォームの入力項目を減らせることです。氏名やメールアドレスをSNSから受け取れれば、利用者が手で埋める欄はその分だけ少なくなります。入力の手間が減るだけでなく、メールアドレスの打ち間違いによる登録失敗も防げます。

パスワードを自社で預からずに済むことも利点です。パスワードの再発行に関する問い合わせ対応が減り、自社のデータベースにパスワードを保管しないぶん、漏えい時の被害範囲も限定されます。

加えて、受け取った属性情報を会員データとして蓄積できます。プロバイダによっては性別や居住地域まで得られるため、後段のマーケティング施策の材料になります。

ユーザー側のメリット

利用者にとっては、新しいIDとパスワードを覚える必要がないことが最大の利点です。使い慣れたSNSアカウントで、数回のタップで登録が終わります。

再訪したときも、SNSにログイン済みであればパスワードを入力せずに済みます。スマートフォンからの利用が中心の場合、この差は体感として大きくなります。パスワードを思い出せずに離脱する、という事態を避けられるためです。

大手SNSが提供する多要素認証をそのまま活かせる点も、利用者にとっての安心材料になります。

会員登録の負担が購入・登録の完了にどう影響するか

会員登録を求めること自体が離脱の理由になっている、というデータがあります。ECサイトのカート放棄を調査したBaymard Instituteによれば、カート放棄率の平均は70.22%です(50件の調査に基づく平均値、2025年9月時点)。

放棄の理由のうち「まだ見ているだけで買う準備ができていない」という層を除いた分布では、「サイトがアカウントの作成を求めてきた」を挙げた人が18%を占めています(この内訳は2026年の調査による数値です)。

18% The site wanted me to create an account

「50 Cart Abandonment Rate Statistics(2026)」|Baymard Institute(2026年調査、過去3か月にオンラインで買い物をした米国の成人1,083人が対象。https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate)

この調査は米国の消費者を対象としたもので、日本のECの数値ではありません。また、ソーシャルログインを導入した場合の効果を検証したものでもありません。読み取れるのは「会員登録を求めることが離脱の理由の上位に入る」ところまでです。そのうえで、登録の手間を減らす手段としてソーシャルログインが位置づけられます。

再訪時についても、パスワードの再入力が不要になるぶんログインの負担は下がります。ただし、導入によって再訪率が何%上がるといった効果を示す公開データは確認できていないため、数値としての効果は見込みで語れません。

LINEログインを起点にしたCRM・マーケティング活用

国内向けのBtoCサービスでLINEログインを選ぶ理由は、利用率の高さだけではありません。ログインを入口にして、その後の顧客接点まで設計できるためです。

ログイン時に公式アカウントの友だち追加まで完了させる

LINEログインには、ログインの同意画面でLINE公式アカウントの友だち追加を促す「友だち追加オプション」という仕組みが公式に用意されています。

ユーザーがアプリにログインするときに、LINE公式アカウントを友だち追加するオプションを表示するように設定できます。これを、友だち追加オプションと呼びます。

「LINEログインしたときにLINE公式アカウントを友だち追加する(友だち追加オプション)」|LINE Developers(https://developers.line.biz/ja/docs/line-login/link-a-bot/)

表示方法は2種類あり、ログインの同意画面の中に友だち追加のチェックを出す形と、同意画面の後に確認画面を挟む形を選べます。会員登録の動線とは別に友だち追加を促す導線を作らなくても、登録の流れの中で接点を確保できます。1つのLINEログインチャネルにリンクできるLINE公式アカウントは1つです。

自社の会員IDとLINEアカウントを紐づける(ID連携)

友だち追加だけでは、そのアカウントが自社のどの会員なのかは分かりません。LINEログインで受け取ったユーザーIDを自社の会員IDと紐づけて初めて、購買履歴や会員ランクとLINEアカウントが結びつきます。

この紐づけができていると、注文確認や発送通知といった個別の連絡をLINEで届けられるようになります。会員本人に向けた通知になるため、一斉配信よりも開封されやすくなります。

取得した顧客データをセグメント配信・One to One施策につなげる

会員IDと紐づいたLINEアカウントに対しては、属性や行動履歴で対象を絞った配信ができます。特定のカテゴリを購入した会員だけに関連商品を案内する、しばらく来訪のない会員にクーポンを送る、といった施策です。

ログイン手段としてLINEを選ぶことが、そのまま顧客とのコミュニケーション基盤の選択にもなります。タイプ分類で最初に挙げたサービス群が存在するのは、この領域までを一体で提供するためです。

ソーシャルログインのデメリットと、設計で手当てすべき論点

ここからは、仕組みそのものが持つ制約と、導入すると決めたときに設計で決めておくべきことを続けて見ていきます。

SNSアカウントを持たない・使いたくない利用者がいる

ソーシャルログインだけを用意すると、対応するSNSのアカウントを持たない人は登録できません。SNSアカウントは持っていても、買い物に使うサービスと結びつけたくないという利用者もいます。

そのため、メールアドレスとパスワードによる従来型の登録も並行して残すのが基本になります。ソーシャルログインは登録手段を置き換えるものではなく、選択肢を増やすものと考えるのが実態に合います。

SNSに登録された以上の情報は取得できない

受け取れるのは、そのプロバイダが返すと決めている項目だけです。前半で見たとおり、住所まで返せるのはYahoo! JAPANに限られ、LINEの標準的なスコープでは本名すら得られません。

そのため、住所や電話番号が必須のEC事業では、登録フォームの項目そのものはあまり減りません。この場合の効きどころは入力欄の削減ではなく、パスワードを作らせずに済むことと、再訪したときにログインでつまずかせないことにあります。配送先や電話番号が必要な事業であれば、足りない項目を自社のフォームで追加入力してもらう設計が必要です。

この場合、ソーシャルログインの直後に入力欄を出すのか、購入手続きの段階まで先送りするのかで、離脱の起きる場所が変わります。登録の時点で必須にするのは、その項目が本当に登録時点で要るかを確かめてからにする方が無難です。

同じ人が二重に会員になる「重複アカウント」への対処

以前メールアドレスで登録した人が、次の来訪時にソーシャルログインを使うと、別会員として登録されることがあります。購買履歴やポイントが分断され、利用者からは「履歴が消えた」ように見えます。

やっかいなのは、メールアドレスによる自動的な名寄せが当てにならない点です。Appleは公式ドキュメントで、この状況をこう説明しています。

A user may already have an account in your system, but may attempt to use Sign in with Apple to log in to that account. Sharing the real email address that’s associated with the user’s Apple Account may not help because it may not be the same email the user uses to create the account with your system.

「Authenticating users with Sign in with Apple」|Apple Developer Documentation(https://developer.apple.com/documentation/signinwithapple/authenticating-users-with-sign-in-with-apple)

SNS側に登録されているメールアドレスと、自社サービスに登録されたメールアドレスが同じとは限らない、という指摘です。Appleは対処として、新規作成であることを利用者に伝えたうえで、紐づけたい既存アカウントがあるかを尋ねる設計を挙げています。

実装上は、会員の識別に使うキーをプロバイダが返す変更されない識別子に固定したうえで、既存会員との紐づけは利用者本人に確認する画面を挟むのが現実的です。

SNS凍結・障害でログインできなくなるときの代替ログイン手段

大元のSNSアカウントが凍結されたり、プロバイダ側で障害が起きたりすると、その手段でログインしていた会員は自社サービスにも入れなくなります。会員側に落ち度がなくても起きうる事態です。

対処として、1つの会員アカウントに複数のログイン手段を紐づけられるようにしておく方法があります。ソーシャルログインで登録した会員にも、後からメールアドレスとパスワードを設定できる導線を用意しておくと、いざというときの復旧経路になります。

パスワードレス(パスキー)との併用

近年は、パスキーによるパスワードレス認証に対応するサービスが増えています。端末の生体認証を使ってログインする方式で、パスワードを覚える必要がない点はソーシャルログインと共通しますが、外部のIDプロバイダに依存しないという違いがあります。

両者は排他的ではありません。ソーシャルログインを主たる入口としつつ、パスキーを代替手段として用意しておけば、プロバイダ側の障害時にも会員がログインできる経路が残ります。サービスを選ぶ際に、パスキーへの対応可否を確認しておく価値はここにあります。

ソーシャルログインの危険性と個人情報保護への対応

ソーシャルログインには、外部のアカウントに依存することから生じるリスクがあります。事実として何が起こりうるのかと、法令面で何が求められるのかを分けて確認します。

大元のSNSアカウントが乗っ取られたときの影響範囲

ソーシャルログインでは、大元のSNSアカウントが1つの鍵になります。そのアカウントが乗っ取られると、それを使ってログインしていたすべてのサービスに侵入されうる構造です。

これは技術そのものの欠陥というより、鍵が集約されることによる影響範囲の拡大です。事業者側でできるのは、機微な操作の前に追加の認証を求める、いつもと違う環境からのログインを検知する、といった手当てになります。利用者に対しても、SNS側で多要素認証を有効にすることを案内する価値があります。

IDプロバイダ側で情報漏えいが起きた場合に何が起きるか

IDプロバイダ側で情報漏えいが起きた場合、自社サービスのパスワードそのものは影響を受けません。ソーシャルログインでは、パスワードが自社に渡らない代わりに、自社側にも保管されていないためです。

一方で、漏えいした認証情報で当該SNSアカウントに侵入されれば、そこから連携先のサービスへ入られる可能性は残ります。前項と同じく、自社側で不審なログインを検知する仕組みを持っておくことが手当てになります。

取得する情報の範囲(スコープ)をどう決めるか

取得する情報の範囲は、法令面と実務面の両方から決める必要があります。

まず法令面です。個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)第17条は、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定するよう求めています。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、この「できる限り」の水準について次のように説明しています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、利用目的をできる限り具体的に特定しなければならないが、利用目的の特定に当たっては、利用目的を単に抽象的、一般的に特定するのではなく、個人情報が個人情報取扱事業者において、最終的にどのような事業の用に供され、どのような目的で個人情報を利用されるのかが、本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定することが望ましい。

「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-1 利用目的の特定|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260614_guidelines01.pdf)

そのうえで同法第18条は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとしています。取れるから取るのではなく、特定した利用目的の達成に必要な範囲でスコープを決めるという順序になります。

ソーシャルログインで会員情報を受け取ったとき、事業者に求められるのは利用目的の通知または公表です。同法第21条第1項は、個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知または公表しなければならないと定めています。

ガイドライン(通則編)3-3-3は、通知または公表が必要な事例として「個人情報の第三者提供を受けた場合」を挙げており、ソーシャルログインでの会員情報の受け取りはこれにあたります。プライバシーポリシーで利用目的をあらかじめ公表していれば、その場での個別通知までは要りません。

ここで混同されやすいのが、同法第30条の確認・記録義務です。第三者から個人データの提供を受ける際に、提供元の名称・住所や取得の経緯を確認・記録する義務ですが、ソーシャルログインでの情報の受け渡しには適用されません。個人情報保護委員会のガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)は、確認・記録義務が適用されない類型として「本人に代わって提供」を挙げ、その事例に次を示しています。

事例4)本人がアクセスするサイトの運営業者が、本人認証の目的で、既に当該本人を認証している他のサイトの運営業者のうち当該本人が選択した者との間で、インターネットを経由して、当該本人に係る情報を授受する場合

「個人情報保護法ガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」2-2-1-1 提供者の考え方(2)本人に代わって提供|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/240401_guidelines03.pdf)

これはソーシャルログインの構図そのものです。ガイドラインは、この類型では提供者・受領者のいずれに対しても確認・記録義務は適用されないとしています。ただし、この免除は確認・記録義務に限った話で、利用目的の特定や通知・公表の義務が消えるわけではありません。またガイドラインは、この類型が「実質的に本人同意があることが前提」であるとも明記しています。

ソーシャルログインで足りない項目を自社のフォームで追加入力してもらう場合、その部分は本人から直接取得する形になるため、同法第21条第2項により、あらかじめ利用目的を明示する必要があります。ガイドラインは、送信ボタンを押す前に利用目的が本人の目に留まる配置にすることが望ましいとしています。

出典・参考資料(3件)

実務面では、取得する情報を増やすほど同意画面に並ぶ項目が増え、利用者が身構えて離脱しやすくなります。会員登録の離脱を減らすために導入したはずが、要求する項目が多すぎて逆効果になることもあります。登録の時点で本当に必要な項目に絞り、後から必要になった情報は必要な場面で追加取得する設計にすると、法令面の要請とも整合します。

ソーシャルログインの導入の進め方

導入を決めてから公開までに何が必要かを、順に見ていきます。

プロバイダごとの利用申請・審査で必要になるもの

ソーシャルログインを使うには、プロバイダごとに開発者向けの登録と設定が必要です。手続きの重さはプロバイダによってかなり違います。

プロバイダ追加の手続きが必要になる場面求められるもの
LINEメールアドレスを取得する場合LINE Developersコンソールからの事前申請。メールアドレスの取得と利用について利用者に提示する文面のスクリーンショットの提出が必要で、申請が受理されると利用できる
Yahoo! JAPAN属性取得APIを使う場合(常に)審査。利用できるのは法人・個人事業主・大学・研究機関に限られる。プライバシーポリシーと利用規約のURL登録も必要
Meta(Facebook)本番運用の範囲で権限を使う場合ビジネス認証。加えて権限ごとにアプリレビューが必要になる場合がある
Google機密・制限付きスコープを使う場合OAuthアプリ審査。同意画面にアプリ名とロゴを表示する場合は、より軽いブランド審査が必要

特に注意したいのが、Yahoo! JAPANとLINEです。Yahoo! JAPANの属性取得APIは審査を前提としており、LINEでメールアドレスを受け取る場合も事前申請が要ります。

審査や申請にかかる日数を公表している資料は、いずれのプロバイダについても確認できませんでした。そのため期間そのものは読めませんが、順序は決まっています。申請にはプライバシーポリシーと利用規約のURL、利用者に提示する文面のスクリーンショットといった提出物が要るため、実装に着手するより前に、規約類の整備と同意画面の文面確定を済ませておく必要があります。

ここが遅れると、実装が終わっていても公開できません。

専用サービスを使う場合、この手続きを代行または支援してもらえることがあります。どこまでを提供元が担うのかは、事前に確認しておく項目です。

出典・参考資料(4件)

既存の会員アカウントとどう突き合わせるか

すでに会員データベースがある場合、既存会員がソーシャルログインを使い始めたときに同一人物として扱う設計が要ります。

会員テーブルとは別に、外部アカウントの識別子を保持するテーブルを用意し、1つの会員に複数の外部アカウントを紐づけられる構造にしておくと、後からプロバイダを増やしたときにも作り直しが要りません。紐づけのキーには、プロバイダが返す変更されない識別子を使うのが基本です。

既存会員に対しては、ログイン済みの状態からソーシャルログインを追加で連携させる導線を用意しておくと、新規に別アカウントが作られることを防げます。

公開前に確認しておくこと

公開前に確かめておきたい点がいくつかあります。

  • 利用者が同意画面で連携を拒否した場合に、エラーで止まらず元の画面に戻れるか
  • プライバシーポリシーに、ソーシャルログインで取得する情報とその利用目的が反映されているか
  • ソーシャルログイン以外の登録手段が残っており、そちらへの導線が分かりやすいか
  • Appleのログインを使う場合、初回の認可でしか返らない氏名を取り逃さずに保存できているか
  • スマートフォンからの動作を実機で確認したか(国内では利用の大半がスマートフォン経由になるため)

4つ目については補足が要ります。Appleは、氏名を含むユーザー情報を返すのは初回の認可時のみで、以降の認可では返さないと公式に明記しています。初回のレスポンスを取りこぼすと、以降の認可では返ってこないため、あらためて取得することができません。

まとめ

ソーシャルログインを導入するときに最初に決めるのは、自社で開発するか専用サービスを使うかです。ライセンス費用のかからない個別開発にも、SNS側の仕様改定に追随し続けるという負担が残ります。対応したいSNSが3つ以上になる場合や、LINEを主軸に据える場合は、専用サービスの方が総量として軽くなります。

サービスを選ぶ際は、自社が必要とするIDプロバイダに対応しているかを最初に確認してください。特にLINEとYahoo! JAPANは、対応プロバイダを公開していないサービスもあるため、国内SNSが必須要件なら早い段階で確かめておくべき項目です。そのうえで、実装方式・料金体系・多要素認証やパスキーへの対応・CRM連携の可否を比べていくと、候補がしぼり込めます。

導入後に効いてくる論点も、選定の段階で見ておく価値があります。重複アカウントをどう防ぐか、プロバイダ側の障害時にどう復旧させるか、取得する情報をどこまでに絞るか。いずれも後から作り直すと手戻りが大きい部分です。各サービスの資料で自社の要件との適合を確かめたうえで、比較検討を進めてください。

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ソーシャルログインに関するよくある質問(FAQ)

Q. ソーシャルログインとは何ですか?

A. ソーシャルログインとは、利用者がすでに持っているLINEやGoogleなどのアカウントを使って、別のWebサービスに会員登録・ログインできるようにする仕組みです。

ログインの入口として使われるアカウントの提供元をIDプロバイダと呼び、国内ではLINE・Yahoo! JAPAN・Google・Apple・Facebook・X(旧Twitter)の6つが主要な選択肢です。利用者がIDプロバイダで認証を済ませると、サービス側は本人確認の結果と、利用者が同意した範囲の会員情報を受け取ります。SNSのパスワードそのものがサービス側に渡ることはありません。

この受け渡しは、OAuth 2.0とOpenID Connectという仕様の上で行われます。

Q. ソーシャルログインは自社で開発するのと専用サービスを使うのと、どちらを選ぶべきですか?

A. ソーシャルログインの実現手段は、対応したいSNSが1つだけで社内に認証まわりの実装経験があるなら個別開発でも現実的ですが、対応SNSが3つ以上になる場合やLINEを軸に据える場合は専用サービスの方が総量として軽くなります。

差が出るのは初期費用よりも導入後です。個別開発はライセンス費用がかからない代わりに、認可コードの受け取り、IDトークンの検証、なりすましを防ぐstateやnonceの管理といった実装に加えて、プロバイダごとに異なる申請要件と仕様の改定に自社の開発チームが追随し続けることになります。専用サービスは月額費用がかかる代わりに、この追随を提供元に任せられます。

すでにAWS・Azure・Google Cloud上でサービスを運用しているなら、各クラウドの認証サービスに寄せる選択肢もあります。

Q. ソーシャルログインサービスの費用はどれくらいかかりますか?

A. ソーシャルログインサービスの費用は、月額固定型・月間アクティブユーザー(MAU)課金型・ライセンス型の3つに分かれ、金額を公開しているサービスでは初期費用3万円台・月額3万円台からが1つの水準です(2026年8月時点)。

対応プロバイダやCRM連携の範囲が広がる構成では、初期費用・月額ともに8万円台からとなります。MAU課金型には無料枠を設けているものが目立ち、クラウド基盤の認証サービスでは月間1万人から5万人までが無料枠です。オンプレミス型やエンタープライズ向けの製品は個別見積もりが原則で、公式サイトに金額の記載がありません。

会員数が伸びる見込みがあるなら、現在の人数ではなく2〜3年後の想定人数で試算しておくと、後から乗り換える手間を避けられます。MAU課金型は会員が増えるほど費用も比例して増え、月額固定型は会員が増えるほど1人あたりの単価が下がるためです。

Q. ソーシャルログインで対応すべきSNSはどれですか?

A. 対応するSNSは自社の利用者層が日常的に使っているものから決めるのが基本で、国内向けのBtoCサービスではLINEログインの利用比率が高い傾向が報告されています。

ソーシャルログイン提供事業者による導入サイトの集計では、同社サービスを導入した354サイト(一般消費者向けのECサイトや求人サイトが中心、2025年の集計)において、ソーシャルログインの利用回数のうち88%をLINEログインが占め、利用回数全体の97%がスマートフォンからでした。

ただし母集団はLINE連携を主力とするベンダーの導入サイトであり、国内全体の実勢よりLINEの比率が高く出る方向に偏りうる点は踏まえておく必要があります(ソーシャルPLUS調べ:「ソーシャルログイン利用状況調査2025」)。

PC・タブレットからの利用ではLINE・Google・Yahoo! JAPANの3つで約93%を占めます。BtoBサービスや海外の利用者も想定するなら、GoogleとAppleを加える判断になります。

Q. ソーシャルログインでは会員の氏名や住所まで取得できますか?

A. ソーシャルログインで受け取れる項目はプロバイダごとに違い、住所まで返せるのはYahoo! JAPANだけで、LINEの標準的なスコープでは本名も取得できません。

LINEログインで受け取れるプロフィール情報は、公式ドキュメントによればユーザーID・表示名・プロフィール画像・ステータスメッセージです。氏名・性別・誕生日・電話番号・住所を受け取るにはLINE Profile+という別枠の仕組みと所定の申請が要り、メールアドレスの取得にも事前申請が必要です。

Yahoo! JAPANは姓名・性別・生年(4桁のみで月日は返りません)・郵便番号を含む住所まで返せますが、属性取得APIの利用には審査があります。Googleは姓・名・メールアドレス・プロフィール画像、Appleは名前とメールアドレスまでで、名前は初回の認可時にしか返りません。

配送先や電話番号が必要な事業では、足りない項目を自社のフォームで追加入力してもらう設計が前提になります。

Q. ソーシャルログインを導入するなら、Sign in with Appleへの対応は必須ですか?

A. 別のログインサービスの提供を求めるApp Store Reviewガイドライン4.8が及ぶのはApp Storeで配信するアプリに限られ、Webサイトのみで提供している会員サービスには適用されません。

同ガイドラインが求めているのは、他社のソーシャルログインでアプリのプライマリアカウントを作らせている場合に、「データ収集をユーザーの名前とメールアドレスに限定する」「ユーザーが自分のメールアドレスを非公開にできる」「同意なく広告目的でアプリとのインタラクションに関わるデータを収集しない」の3要件を満たす別のログインサービスを、同等の選択肢として併せて提供することです。

Sign in with Appleはこの要件を満たす代表的な選択肢にあたります。自社独自のサインインシステムのみを使っている場合など、5つの例外も置かれています。

ECサイトや会員制Webサービスだけを運営していてiOSアプリを配信していないのであれば、この規定を理由にAppleのログインを入れる必要はありません。ただし、iPhoneの利用者が多い読者層を抱えているなら、選択肢として用意する価値は別途あります。

Q. ソーシャルログインを導入すると会員登録率や再訪率は上がりますか?

A. ソーシャルログインの効果については、会員登録を求めること自体が離脱の理由の上位に入るという調査はある一方、導入によって再訪率が何%上がるといった効果を示す公開データは確認できていません。

ECサイトのカート放棄を調査したBaymard Instituteによれば、「まだ見ているだけ」という層を除いた放棄理由の分布では、「サイトがアカウントの作成を求めてきた」を挙げた人が18%を占めています(2026年調査、過去3か月にオンラインで買い物をした米国の成人1,083人が対象)。

これは米国の消費者調査であり、ソーシャルログイン導入の効果を検証したものでもないため、読み取れるのは「会員登録を求めることが離脱の理由の上位に入る」ところまでです。

再訪時についても、SNSにログイン済みであればパスワードの再入力が不要になるぶん、ログインの負担は下がります。ただし、数値としての効果は見込みで語れません。

Q. ソーシャルログインに危険性はありますか?

A. ソーシャルログインの危険性は、大元のSNSアカウントが1つの鍵になるため、それが乗っ取られると、そのアカウントで連携していたサービスにも侵入されうるという構造にあります。

これは技術そのものの欠陥というより、鍵が集約されることによる影響範囲の拡大です。IDプロバイダ側で情報漏えいが起きても、自社サービスのパスワードそのものは影響を受けません(パスワードが自社に渡らず、保管もされないためです)。一方で、漏えいした認証情報でSNSアカウントに侵入されれば、そこから連携先へ入られる可能性は残ります。

事業者側の手当ては、機微な操作の前に追加の認証を求める、いつもと違う環境からのログインを検知する、多要素認証やパスキーを併用できるサービスを選ぶ、といった設計になります。購入履歴や住所を持つECサイトなど、扱う情報が機微なサービスほど、ソーシャルログイン以外の認証手段も選べる構成にしておく方が安全側に倒せます。

Q. SNS側の障害やアカウント凍結でログインできなくなったらどうなりますか?

A. ソーシャルログインだけを用意していると、プロバイダ側の障害やSNSアカウントの凍結が起きている間、その手段で登録した会員は自社サービスにもログインできなくなります。

会員側に落ち度がなくても起きうる事態です。対処としては、1つの会員アカウントに複数のログイン手段を紐づけられる設計にしておく方法があります。ソーシャルログインで登録した会員にも、後からメールアドレスとパスワードを設定できる導線を用意しておけば、いざというときの復旧経路になります。パスキーを代替手段として併用できるサービスを選ぶのも同じ考え方です。

そもそも対応するSNSのアカウントを持たない利用者や、買い物に使うサービスとSNSを結びつけたくない利用者もいます。メールアドレスとパスワードによる従来型の登録も並行して残すのが基本です。

Q. ソーシャルログインを導入すると、既存の会員アカウントはどうなりますか?

A. 既存の会員基盤があるサービスでソーシャルログインを導入すると、以前メールアドレスで登録した人が別会員として登録され、購買履歴やポイントが分断される「重複アカウント」が起こりえます。

やっかいなのは、メールアドレスによる自動的な名寄せが当てにならない点です。Appleは公式ドキュメントで、Apple Accountに紐づくメールアドレスは利用者が自社サービスの登録に使ったものと同じとは限らないと説明し、新規作成であることを利用者に伝えたうえで、紐づけたい既存アカウントがあるかを尋ねる設計を挙げています。

GoogleとYahoo! JAPANも、メールアドレスを会員の識別子として使わないよう公式に注意しています。

実装では、会員の識別に使うキーをプロバイダが返す変更されない識別子に固定し、1つの会員に複数の外部アカウントを紐づけられる構造にしておきます。既存会員には、ログイン済みの状態からソーシャルログインを追加で連携させる導線を用意しておくと、新規に別アカウントが作られることを防げます。

Q. ソーシャルログインの導入で、個人情報保護法上必要になる対応は何ですか?

A. ソーシャルログインで会員情報を受け取る事業者に求められるのは、利用目的をできる限り特定すること(個人情報保護法第17条。ガイドライン通則編3-1-1は「できる限り具体的に」特定するよう求めています)と、それを本人に通知するか、あらかじめプライバシーポリシーなどで公表しておくこと(同法第21条第1項)です。

同法第18条は、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定めています。したがって、取れるから取るのではなく、特定した利用目的の達成に必要な範囲で取得する項目(スコープ)を決めるという順序になります。

同意については、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)2-16が「本人による同意する旨のホームページ上のボタンのクリック」を同意を得ている事例として挙げており、IDプロバイダの同意画面で利用者が同意する操作がこれにあたります。

よく混同されますが、第三者から個人データの提供を受ける際の確認・記録義務は、ソーシャルログインでの情報の受け渡しには適用されません。個人情報保護委員会のガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)が、本人が選択したIDプロバイダとの本人認証目的の情報授受を「本人に代わって提供」の事例として挙げ、提供者・受領者のいずれにも同義務は適用されないとしているためです。

ただし免除されるのは確認・記録義務に限られ、利用目的の特定や通知・公表の義務が消えるわけではありません。なお、足りない項目を自社のフォームで追加入力してもらう場合は、本人から直接取得する形になるため、同法第21条第2項によりあらかじめ利用目的を明示する必要があります。

出典・参考資料(3件)

Q. ソーシャルログインとシングルサインオン(SSO)は何が違いますか?

A. 両者の違いは対象となる利用者とアカウントの持ち主にあり、ソーシャルログインは自社サービスの顧客が自分のSNSアカウントで会員登録・ログインする仕組み、企業向けのシングルサインオンは従業員が会社の発行したアカウントで業務システムにアクセスする仕組みです。

技術的には近い仕様を使いますが、この違いは実務に直結します。社内の業務システムのログインを個人のSNSアカウントに任せると、退職者のアクセスを会社側で止められなくなります。従業員向けのアクセス管理には、会社が発行・管理するアカウントを使う仕組みを選ぶのが原則で、顧客向けの会員登録・ログインに使うソーシャルログインとは分けて考えます。

Q. ソーシャルログインの導入にはどれくらいの期間を見ておくべきですか?

A. ソーシャルログインの導入スケジュールでは、実装作業そのものよりも、プロバイダごとの利用申請・審査に要する時間を公開日から逆算して織り込んでおく必要があります。

Yahoo! JAPANの属性取得APIは利用に審査があり、対象は法人・個人事業主・大学・研究機関に限られ、プライバシーポリシーと利用規約のURL登録も求められます。LINEでメールアドレスを取得する場合はLINE Developersコンソールからの事前申請が要り、メールアドレスの取得と利用について利用者に提示する文面のスクリーンショットを提出したうえで、申請が受理されて初めて使えます。

Metaは本番運用の範囲で権限を使うためにビジネス認証を求め、Googleは機密・制限付きスコープを使う場合にアプリ審査を求めます。

専用サービスを使う場合、これらの手続きを代行または支援してもらえることがあります。どこまでを提供元が担うのかは、契約前に確認しておく項目です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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