紙とExcelでの経費精算に限界を感じ、上長から「経費精算システムを数社比べて候補を出してほしい」と任されたものの、各社のサイトを見ても機能が似ていて、どこを見れば自社に合うのか判断できない。経費精算システムの選定では、こうした「比べる軸が定まらない」という悩みが最初の壁になります。
経費精算システムは、領収書の入力から承認・仕訳・保存までを効率化するツールです。製品ごとに得意分野が異なるため、ランキングの上位から選ぶのではなく、自社の課題に照らして「どの観点で比べるか」を先に決めることが、導入後の後悔を避ける近道になります。
本記事では、経費精算システムを選ぶときに確認すべき7つの観点と、各観点で何を質問し、見落とすと何に困るのかを整理しました。料金体系の見方や、自社の規模・課題タイプ別にどの観点を重く見るべきかもあわせて解説します。候補を自社のチェックリストで見比べ、資料請求や無料トライアルに進むための判断材料としてご活用ください。
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目次
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経費精算システムの選定でチェックすべき7つのポイント
ここでは、経費精算システムを比べるときの観点を一覧で示します。各社の資料を並べる前に、この7つの切り口で自社の優先順位を整理しておくと、候補を同じものさしで見比べられます。それぞれの観点を「何を確認するか」まで掘り下げた内容は、次の章で順に解説します。
| 選定の観点 | 見るべきこと(なぜ重要か) |
|---|---|
| 1. 入力・申請のしやすさ | AI-OCRや交通系ICカード連携で、申請者の入力の手間をどこまで減らせるか。入力が面倒だと現場に定着しない |
| 2. 承認ワークフローの柔軟性 | 自社の承認ルート(拠点別・条件分岐)を再現でき、差し戻しを減らせるか。実際の決裁フローに合わないと運用が回らない |
| 3. 会計ソフト連携と支払業務 | 使っている会計ソフトへ仕訳・振込データをそのまま渡せるか。連携できないと転記の二度手間が残る |
| 4. 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応 | 電子取引データの保存要件やインボイスの判定に対応しているか。制度要件を満たせないと保存し直しが発生する |
| 5. 操作性・社内定着とサポート体制 | 申請者・承認者が迷わず使え、導入後の運用を支える体制があるか。定着しなければ効果が出ない |
| 6. AIでどこまで自動化できるか | 入力補助から仕訳・一次承認まで、どの範囲をAIに任せられるか。自動化の範囲で経理の工数削減幅が変わる |
| 7. 料金体系が自社に合うか | 初期費用・基本料金・1人あたり従量・最低利用料金の構成が、自社の人数・申請件数に見合うか |
このうち、自社の課題に直結する観点を2〜3点に絞ると、候補の見極めが早くなります。たとえば交通費の申請が多い企業なら「入力のしやすさ」、拠点が多い企業なら「承認ワークフローの柔軟性」が優先度の高い観点になります。
各ポイントの確認方法:何を質問し、見落とすと何に困るか
ここからは、7つの観点のうち機能にかかわる6つを取り上げ、「なぜその観点が効くのか」「候補各社にそのまま質問できる確認事項」「見落とすと後で何に困るのか」を具体的に解説します。料金の見方は次の章で詳しく扱います。
入力・申請のしやすさ(AI-OCR・交通系ICカード連携)
経費精算システムの効果は、申請者が日々の入力をどれだけ楽にできるかで大きく変わります。入力に手間がかかると現場が使わなくなり、結局紙やExcelの運用が残ってしまうためです。領収書のAI-OCR(画像から文字を読み取る機能)や、交通系ICカードの読み取り、経路検索との連携で、金額や経路の手入力をどこまで省けるかが確認したいポイントです。
候補各社には、次のような質問を投げると違いが見えます。
- 領収書をスマートフォンで撮影すると、日付・金額・取引先を自動で読み取れますか
- SuicaなどのICカードや乗換案内と連携して、交通費の経路と金額を自動入力できますか
- 定期区間を登録しておくと、その区間の運賃を自動で控除できますか
ここを見落とすと、システムを入れても申請者が金額を手入力し続けることになり、入力ミスや二重申請のチェック工数が残ります。特に外回りの多い営業部門を抱える企業では、交通費の入力補助の有無が定着を左右します。
承認ワークフローの柔軟性(拠点別ルート・条件分岐)
承認ワークフローは、自社の実際の決裁フローを再現できるかが要点です。金額や部門、拠点によって承認者が変わる企業では、単純な一直線の承認ルートしか組めないシステムだと、結局メールや口頭での確認が残ってしまいます。承認ルートを部門・拠点ごとに分けられるか、金額に応じて承認段階を増やす条件分岐を設定できるかを見ておきたい点です。
確認する質問としては、次のような項目が有効です。
- 承認ルートを拠点や部門ごとに分けて設定できますか
- 申請金額が一定額を超えたら上位者の承認を追加する、といった条件分岐に対応していますか
- 社内規定に反する申請(上限額の超過など)を自動で検知して差し戻せますか
自社の決裁ルールに合わないワークフローを選ぶと、例外処理のたびに手作業が発生し、差し戻しの往復で月次決算が遅れます。規定違反のチェックを人手に頼る状態が続くのも、この観点を見落としたときに起きやすい問題です。
会計ソフト連携と支払業務(自動仕訳・振込データ・支払いタイミング)
経費精算の後工程である仕訳と支払まで見据えると、会計ソフトとの連携が効いてきます。経費データを会計ソフトへ連携できないと、精算が終わったあとに経理が仕訳を手入力し直すことになり、転記ミスのリスクも残ります。
自社が使っている会計ソフト(freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計など)に、仕訳データや振込用のFBデータ(全銀協規定フォーマットの振込データ)をそのまま渡せるかが確認のポイントになります。
あわせて確認したいのが、精算金額の支払いタイミングです。従業員への精算金を、申請が承認されるたびに都度振り込む運用か、月次でまとめて振り込む運用かはシステムによって前提が異なります。自社の支払サイクルと合っているかを見ておくと、導入後の経理オペレーションのズレを防げます。
質問の例は次のとおりです。
- 自社の会計ソフト(具体名)に仕訳データを連携できますか。連携は自動ですか、CSVの手動取り込みですか
- 振込用のFBデータを出力できますか
- 精算金の支払いは都度払いと月次まとめのどちらを前提にしていますか
連携の可否を確認しないまま導入すると、経費精算は電子化できても仕訳の二重入力が残り、効果が半減します。
電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
経費精算で扱う領収書や請求書は、電子帳簿保存法とインボイス制度の対象になります。制度要件を満たせないシステムを選ぶと、後から保存方法をやり直すことになりかねないため、対応範囲を具体的に確認しておく観点です。制度は改正が重なっており、古い情報のままだと判断を誤るため、国税庁の最新の案内に沿って確認項目を整理します。
電子帳簿保存法は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分に分かれます。このうち電子取引(メールやWebで受け取った請求書・領収書などのデータ)の電子保存は義務です(電子帳簿保存法7条)。紙で受け取った領収書をスキャンして保存する「スキャナ保存」と、会計帳簿を電子で保存する「電子帳簿等保存」は、電子保存を選べる任意の制度です(同法4条)。
経費精算システムを選ぶうえでまず外せないのが、義務である電子取引データ保存への対応です。
国税庁は、電子取引データ保存の原則的なルールを次の3つに整理しています。
原則的な電子取引データ保存のルールは3つ!!
出典:電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について(令和6年11月)|国税庁
① 改ざん防止のための措置をとること
② 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること
③ 「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できること
システム選定の文脈では、この3つのルールを自社で手運用するのか、システムに任せるのかが分かれ目になります。確認する質問は、「①改ざん防止について、タイムスタンプの付与や、訂正・削除の履歴が残る仕組みに対応していますか」「③日付・金額・取引先での検索に対応していますか」です。
改ざん防止は、タイムスタンプが唯一の手段ではなく、訂正・削除の履歴が残るシステムや、改ざん防止の事務処理規程の運用でも満たせます。「タイムスタンプがなければ対応不可」と誤解せず、システムがどの方法で要件を担保するかを確認するのがポイントです。
検索要件については、基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下などの事業者は、税務調査時にデータのダウンロードに応じられるようにしていれば、検索機能の要件を満たす必要はないとされています。とはいえ、索引簿やファイル名を手作業で整える運用は負担が大きいため、検索に対応したシステムで自動化できるかは中小企業でも確認する価値があります。
システムが要件を満たすかを効率的に見極める手がかりがJIIMA認証です。これは、市販ソフトが電子帳簿保存法の機能要件を満たしているかを第三者機関(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)が審査・認証する制度で、「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証」などの区分があります。
ただし、JIIMA認証はソフトの機能が要件を満たす目安であって、認証があれば運用まで含めて万全になるわけではありません。国税庁も「製品のマニュアル等のみで評価し認証するものであり、それ以外の事項を保証するものではありません」とするJIIMAの説明を前提に、認証を参考情報として案内しています。
認証の有無に加え、どの区分で認証を取っているか、自社の運用(スキャナ保存か電子取引か)に合うかまで見ておくと確実です。
インボイス制度への対応も、買手である自社の立場で確認します。仕入税額控除を受けるには、受け取った請求書・領収書が記載事項(登録番号、税率ごとに区分した対価と適用税率、税率ごとの消費税額など)を満たしたインボイスであることを確認し、保存しておく必要があります。
「受け取った領収書の登録番号の有無や、税率ごとの区分を判定できますか」「インボイスと非インボイスを仕分けして保存できますか」を確認すると、精算時の消費税処理の手戻りを防げます。
電子帳簿保存法・インボイス制度への対応は、候補各社に次の項目を確認するとチェックリストとして使えます。
- 義務である電子取引データ保存(メール・Webで受領した請求書・領収書の電子保存)に対応していますか
- 改ざん防止を、タイムスタンプの付与や訂正・削除の履歴が残る仕組みのどちらで担保していますか
- 日付・金額・取引先の3要素での検索に対応していますか
- 受け取った領収書の登録番号の有無・税率ごとの区分を判定し、インボイスと非インボイスを仕分けして保存できますか
- JIIMA認証を取得している場合、どの区分(スキャナ保存・電子取引)での認証か、自社の運用に合っていますか
電子取引データの電子保存には、人手不足やシステム整備が間に合わないといった相当の理由がある場合の猶予措置も設けられています。未対応ならただちに違反というわけではありませんが、猶予措置はあくまで経過的な扱いであり、選定の段階で要件に対応したシステムを選んでおくのが安全です。制度の詳細や自社のケースへの当てはめは、所轄の税務署や専門家にも確認してください。
制度要件をシステムに任せるか手運用で担保するかは、経費精算システムを選ぶうえで実務的な判断になります。システムの提供側からも、電子帳簿保存法への対応が導入の最も強い動機であり続けており、紙と電子を並行して保存する二重運用の維持が負担になっているという現場の実態が語られています。

導入の動機という点では、非生産的な時間の削減ももちろんですが、法令対応での電子帳簿保存法への対応が、依然として最も強い動機になっています。電子帳簿保存法の施行後、事務処理規定などを設けて電子データを原本として保存しているものの、業務フローは変更できておらず、結局紙ベースでの社内処理をおこなっている、というケースは多いです。紙と電子両方の保管を行っていて、二重運用で法令対応を乗り越えたもののそれを維持し続けるのがやはり大変だということで、しっかりシステム化しようという流れが続いています。
出典・参考資料(4件)
電子帳簿保存法・インボイス対応を最優先に候補を絞りたい場合は、JIIMA認証の区分(スキャナ保存・電子取引)と保存区分ごとに製品を整理した記事が、自社に必要な認証区分から候補を見つける手がかりになります。
操作性・社内定着とサポート体制
どれだけ機能が豊富でも、申請者と承認者が迷わず使えなければ経費精算システムは定着しません。経費精算は全社員が使う仕組みのため、ITに不慣れな従業員でも直感的に申請できるか、スマートフォンから申請・承認まで完結するかが、効果を左右します。無料トライアルで実際に自社の申請者に触ってもらい、現場の使い勝手を確かめるのが確実です。
導入後のサポート体制も見ておきたい観点です。「初期設定や承認ルートの構築を支援してもらえますか」「運用開始後の問い合わせ窓口や対応時間はどうなっていますか」を確認します。設定の自由度が高いシステムほど初期構築に手間がかかるため、専任担当による導入支援があるかどうかで、立ち上げのスムーズさが変わります。
操作性とサポートを軽視すると、導入しても一部の部署でしか使われず、紙とシステムが混在する中途半端な状態が続きます。現場の定着は、機能一覧の比較だけでは判断しにくいため、トライアルでの実機確認が欠かせません。
AIでどこまで自動化できるか
近年の経費精算システムは、AIが担う範囲が製品ごとに広がっており、ここが工数削減幅の差につながります。同じ「AI対応」でも、領収書の読み取りだけを指すのか、勘定科目の提案や自動仕訳、さらには規定に照らした一次承認まで担うのかで、経理と申請者の手間の減り方が変わります。自社が自動化したい工程に、そのシステムのAIが届いているかを見極めることが要点になります。
確認する質問は次のとおりです。
- AIが読み取るのは金額だけですか、取引先名や勘定科目まで提案してくれますか
- 申請内容を規定と照らして自動チェックし、一次承認まで任せられますか
- 読み取り後の修正や、AIが判断できなかったケースはどう扱いますか
自動化の範囲を具体的に押さえると、カタログ上の「AI搭載」という表現の実体を見極められます。
自動化の範囲を確認しないまま選ぶと、「AI対応」とうたっていても実際は読み取り補助にとどまり、仕訳や承認は人手のまま、という想定とのズレが起きます。経理の工数削減を主目的にするなら、どの工程まで自動化できるかを比較の軸に据えるのが有効です。
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経費精算システムの料金の見方:体系パターンと自社人数での概算
経費精算システムの料金は「月額◯円から」という表示だけでは比べにくく、自社の人数や申請件数によって総額が大きく変わります。ここでは、料金体系のパターンと、自社の規模でおよそいくらになるかを見積もる考え方、そして契約時に見落としやすい注意点を整理します。
料金体系の4つの構成要素
経費精算システムの料金は、主に次の4つの要素の組み合わせで決まります。製品によって、どの要素を採用するか、金額を公開するか要問い合わせにするかが分かれます。
| 構成要素 | 内容と見るべきポイント |
|---|---|
| 初期費用 | 導入時に一度だけかかる費用。導入支援や初期設定を含むことが多い。無料の製品もあれば、要問い合わせの製品もある |
| 基本料金(月額・年額) | 人数にかかわらず毎月(毎年)かかる固定費。小規模だとこの固定費の比重が大きくなる |
| 1人あたり従量料金 | 利用するID(ユーザー)数に応じて積み上がる費用。人数が増えるほど総額に効いてくる |
| 最低利用料金 | 「最低◯名分から」「月額◯円から」といった下限。少人数でも下限まではかかる |
公開されている料金の例を挙げると、クラウド型では月額数千円から利用できる製品がある一方、基本料金が月額3万円程度からという製品もあります。1人あたりの従量料金は数百円程度が目安ですが、金額を公開せず要問い合わせとする製品も少なくありません。
初期費用の有無も製品によって分かれ、初期費用なしで始められる製品もあれば、初期費用に加えて基本料金がかかる製品もあります。本記事で取り上げる主要サービスの料金の目安は、後述の比較表にまとめているので、体系の違いとあわせてご覧ください。
正確な金額は、自社の人数・申請件数を伝えて各社に見積もりを依頼するのが確実です。料金は改定されることがあるため、最新の金額は必ず公式の料金ページや見積もりで確認してください。
1人あたり従量料金を見るときは、何を単位に課金されるのかもあわせて確認したい点です。在籍している従業員数で数える製品もあれば、その月に実際に経費精算へ関わった人数(利用者数)だけで数える製品もあり、同じ従量課金でも総額の前提が変わります。
たとえば従業員100名のうち、実際に経費が発生するのが営業・総務の25名という企業では、在籍人数で課金される製品と利用者数で課金される製品とで対象人数が4倍違い、月額の総額が大きく変わります。全社員が日常的に経費を使うのか、一部の部門に偏るのかを踏まえて、どちらの課金方式が自社に有利かを見ておきたいところです。
自社人数での概算の考え方
総額を見積もるときは、「基本料金+(1人あたり料金×利用人数)」を基本に、最低利用料金の下限を忘れないことが大切です。特に少人数の企業では、1人あたり料金が安く見えても、最低利用料金の下限が効いて1人あたりの実質負担が跳ね上がることがあります。
たとえば「1人あたり月額500円、ただし最低利用料金は月額5,000円」という製品なら、利用者が7人(3,500円)でも下限の5,000円がかかり、1人あたりは実質700円を超えます。少人数ほどこの下限の影響が大きいため、自社の人数で割り戻した「1人あたりの実質負担」で比べると、見かけの安さに惑わされずに済みます。
契約で見落としやすい落とし穴
料金そのもの以外に、契約条件にも見落としやすい点があります。導入後に後悔しないために、次の3点は契約前に確認しておくことをおすすめします。
- 更新時の値上げ:初年度は割引価格でも、更新時に標準価格へ戻る場合があります。2年目以降の金額も確認します。
- 年間契約の縛り:年単位の契約で、途中解約ができない、あるいは残期間分の支払いが必要なケースがあります。契約期間と解約条件を確認します。
- 価格のオープン性:料金を公開している製品は、後から想定外の費用が出にくい傾向があります。要問い合わせの製品は、オプション費用まで含めた総額を見積もりで確認します。
ここで整理した料金体系をふまえて、実際の製品が規模ごとにおよそいくらになるかの相場をつかみたい場合は、25サービスの月額・初期費用を料金体系別に比較した記事が参考になります。
自社の規模・課題タイプ別にどのポイントを重視するか
7つの観点はどれも大切ですが、すべてを同じ重さで見ると判断が進みません。自社がどのタイプに近いかで、重く見るべき観点は変わります。ここでは代表的な3つのタイプごとに、優先したい観点を整理します。
少人数・スモールスタートを重視する場合
利用人数が少ない企業では、最低利用料金の下限と、スモールスタートのしやすさが優先度の高い観点になります。前述のとおり、少人数だと最低利用料金の影響で1人あたりの負担が大きくなりやすいため、下限の低い製品や、少人数向けのプランがある製品が候補になります。あわせて、初期設定を自社で完結できる手軽さと、無料トライアルで使い勝手を試せるかを見ておくと、導入のハードルを下げられます。
大企業・内部統制を重視する場合
従業員数が多く、拠点や部門が分かれている企業では、承認ワークフローの柔軟性と、内部統制にかかわる機能が重要になります。拠点別・金額別の承認ルート、規定違反の自動チェック、操作ログの保持など、統制を効かせる機能が揃っているかが確認の要点になります。
この領域では、多言語・多通貨対応や、ERP(基幹システム)との連携、グローバル拠点での利用に対応した大企業向けの製品も選択肢になります。大企業向けの製品は統制・連携の要件が高度になるため、自社に必要な範囲に対応できるかを個別に確認してください。
会計や周辺業務もまとめて効率化したい場合
経費精算だけでなく、会計や請求などの周辺業務もあわせて効率化したい場合は、システムのタイプで選び分けるのが分かりやすい方法です。大きく分けると、会計ソフトと一体で使える「会計ソフト一体型」、経費精算に特化して機能を深めた「特化型」、基幹システムと連携する「ERP連携型」があります。
会計ソフトを提供する事業者が同じシリーズで出している製品は一体型寄り、経費精算を専業とする製品は特化型寄りに位置づけられます。各サービスがどちらに近いかは、後述の個別紹介で各製品の成り立ちを読むと見分けられます。
すでに使っている会計ソフトがあるなら同じシリーズの一体型が連携で有利になり、経費精算の機能の細かさを重視するなら特化型が候補になります。自社が今後どこまで業務を統合したいかを起点に、タイプから絞り込むと迷いにくくなります。
主要な経費精算システムの選定観点別の比較表
ここまでの選定観点をもとに、主要な経費精算システムを横並びで比較します。自社が重視する観点に照らして、候補を絞り込む際の目安としてご活用ください。より多くの製品を網羅的に比較したい場合は、料金・機能・使いやすさ・導入方法まで製品単位でまとめた比較記事もあわせてご覧ください。
| サービス名 | Bill One経費 | 弥生経費 Next | マネーフォワード クラウド経費 | 楽楽精算 | TOKIUM経費精算 | freee経費精算 | バクラク経費精算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 入力補助(AI-OCR・交通系IC) | 領収書を99.9%データ化(規定条件下、OCR・AI・オペレーター)。専用カードで立替払いを解消。交通系モバイル連携の方式は非公開 | 領収書をAIが読み取り取引先名・科目を提案。交通系IC 9種のNFC読み取り、NAVITIME経路検索、定期区間控除(電車のみ) | 領収書OCR、2,300以上のサービスから明細を自動取込。交通系IC読み取り・経路検索・定期区間控除(鉄道) | AI-OCR、交通系IC(Suica/PASMO等)のスマホ読み取り、乗換案内を内蔵し経路検索・定期区間控除 | AI-OCR+オペレーター代行入力(99%以上)と原本回収代行。交通系IC(NFC・モバイルID・専用リーダー)・駅すぱあと連携 | スマホ・LINE申請、AI-OCR、交通系IC(NFCスマホ読み取り)・駅すぱあと経路検索・定期区間控除(人事労務連携が前提) | AI-OCR(一括100枚・自動分割)、交通系IC読み取り・乗車履歴PDF取込、経路検索・定期区間控除 |
| 承認ワークフロー | 承認業務を月中に処理できる設計。条件分岐の詳細は公式に記載が薄く要確認 | スマホで申請〜承認完結。出張経費の一括申請、承認時の管理者編集に対応 | 条件分岐(30種以上の条件、上位プラン)、金額上限・必須項目のアラート/エラー設定、二重申請の自動検知 | 承認ポイント最大10段階、金額・申請内容で自動分岐、代理承認(PC・スマホブラウザ版)、承認種別ごとのメール通知 | 条件による承認フローの自動分岐、スマホ1タップ承認、申請不備時のチャット | 部門・役職による承認経路の自動設定、金額分岐、証憑の重複自動チェック | 金額・部門で承認経路を自動分岐、代理申請/承認、AI申請レビュー・二重申請の自動検知 |
| 会計ソフト連携 | 仕訳をCSV・OpenAPIでエクスポートし、既存の会計ソフトのまま導入可(連携ソフト名は非公開) | 弥生会計 Nextへ仕訳を自動連携。他社会計ソフトはCSV連携(エキスパートプラン) | クラウド会計へ自動仕訳連携、勘定奉行・弥生・PCA等とCSV/API連携。FBデータ作成・振込API対応 | 自動仕訳・会計ソフト連携、FB(振込)データ生成 | 36種類以上の会計システム・ERPと連携実績、仕訳データの自動連携・API | freee会計へワンクリック連携。他社会計ソフトを変えずに単独導入も可 | API連携できる一部の会計ソフトに対応、自動仕訳。法人カード明細を自動取得 |
| 電帳法・インボイス対応 | 電帳法対応・適格請求書判定を公式表明(タイムスタンプ方式・経費単体のJIIMA認証は要確認) | スキャナ保存・電子取引に対応、アップロード時に電帳法形式を自動チェック(JIIMA認証は単体では未取得、インボイス番号確認は弥生証憑 Next側) | スキャナ保存・電子取引に対応(JIIMA認証、タイムスタンプは上位プラン)。登録番号を国税庁APIで自動判定 | 電帳法対応(JIIMAスキャナ保存・電子取引の両認証)、インボイス対応 | スキャナ保存・電子取引のJIIMA認証(経費精算単体名義)、タイムスタンプ標準実装(インボイス受領は別製品) | ファイルボックスで電帳法・インボイス対応(JIIMA認証、訂正削除履歴方式で標準搭載) | スキャナ保存・電子取引のJIIMA認証、タイムスタンプ自動付与。事業者番号の有効性を自動判定 |
| AI自動化の範囲 | 領収書データ化と申請内容の自動チェック、仕訳入力 | AIが取引先名・科目を提案、重複領収書を検知 | OCRと明細自動取込、経費科目の自動振分、日当の自動計算 | 伝票作成AIエージェントが申請伝票を自動作成(電帳法オプション契約が前提、月5,000円〜/30ユーザー) | AI-OCRと人の確認でデータ化。AIによるルール違反検知・差し戻しの機能紹介あり(代行範囲は要確認) | AI-OCRが日付・金額・登録番号・科目を予測(申請・承認は人が確認)、インボイス税区分を自動判定 | AI申請レビューと一次承認、自動仕訳。AI承認代行は別サービス(提供条件は要確認) |
| 料金の目安 | 要問い合わせ(初期費用+年額費用、処理件数に応じ個別設定) | セット版: 弥生会計 Nextに付帯(追加1名 月400円〜)/単体版: 年28,000円〜(税抜) | 月2,480円〜(年払い・税抜、初期費用0円)。経費精算に関わった人数で数えるアクティブユーザー課金 | 初期費用10万円+月額30,000円〜(税抜、人数・オプションで変動) | 基本利用料 月1万円〜(領収書件数の従量課金、アカウント数無制限・税抜)。原本回収ポストは月3,000円 | 基本料金 月7,500円〜(経費精算Plus・年払い・税抜)+従量650円/ID(申請・承認した人のみ) | 月額30,000円〜(税抜・年間契約12か月一括払い、料金表は請求制) |
| 無料トライアル | 公式に記載なし | あり(会計セット版は最大2か月。単体版は公式に明記なし) | あり(1か月、自動課金なし) | あり(期間は公式に明記なし) | 公式に記載なし(デモ・資料請求を案内) | 公式に記載なし(還元キャンペーンの案内あり) | あり(有料プラン機能を利用可、自動課金なし。期間は公式に明記なし) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
主要な経費精算システムの選定観点別の強み(個別解説)
比較表で取り上げた主要サービスについて、選定観点に照らした特徴を個別に紹介します。それぞれの強みが自社の優先する観点と合うかを確認してください。
1. Bill One経費(Sansan株式会社)

Bill One経費は、全社員に配布する専用の「Bill Oneビジネスカード」で経費を支払わせ、従業員による立替払いそのものをなくす仕組みを中核に据えたクラウド経費精算サービスです。提供元はSansan株式会社で、同社の経理向けサービス「Bill One」シリーズの一領域にあたります。
入力・申請の観点では、領収書をスマホで撮影すると、Sansanのデータ化技術(OCR・AI・入力オペレーター)が通常翌営業日までにデータ化します。公式は規定条件下で99.9%のデータ化精度と注記しています。読み取り内容はBill Oneビジネスカードの利用明細と自動で突合され、機能ページには電子帳簿保存法対応と適格請求書の判定が挙げられています。
料金は初期費用と年額費用の2本立てで、経費精算の処理件数に応じて個別に設定されるため、金額は要問い合わせです。立替精算の手間そのものを減らしたい企業に向きますが、具体的な費用は自社の件数を伝えて見積もりで確認する必要があります。
2. 弥生経費 Next(弥生株式会社)

会計ソフトで広く知られる弥生株式会社のクラウド経費精算ソフトが、弥生経費 Nextです。弥生会計 Nextとセットで使う形と、経費精算を単体で使うエキスパートプランの両方が用意されています。
会計ソフト連携を重視する企業には、承認済みの経費データが弥生会計 Nextへ仕訳として自動で連携される点が利点です。入力面では、領収書のスマホ撮影とAIによる取引先名・科目の提案、交通系ICカードの読み取り、NAVITIMEと連携した経路検索に対応します。電車区間では定期区間の自動控除も行えます。
領収書のアップロード時に、電子帳簿保存法に対応した形式かどうかを自動でチェックする機能も備えます。料金は、弥生会計 Nextのプランに経費精算機能が含まれるセット版(追加ユーザーは1名あたり月400円から・税抜)と、単体利用のエキスパートプランに分かれます。
3. マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

経費精算から会計の仕訳までを同じシリーズ内で完結できる点を特徴とするのが、マネーフォワード クラウド経費です。株式会社マネーフォワードが提供し、会計・給与・法人カードといった同社のバックオフィス向けサービスと組み合わせて使えます。
入力面では、領収書のOCRに加え、交通系ICカードや旅行予約サイトなど2,300以上のサービスからの明細データ自動取込に対応します。承認ワークフローは条件分岐に対応し、申請金額や部門に応じて承認ルートを変える設定ができます(条件分岐は上位プランが対象)。電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引、インボイス制度にも対応します。
料金は単体プランで月額2,480円(税抜・年払い時)からで、初期費用は無料、無料トライアルが1か月用意されています。課金は在籍人数ではなく、その月に経費精算へ関わった人数で数えるアクティブユーザー課金を採る点が特徴です。
4. 楽楽精算(株式会社ラクス)

楽楽精算は、累計導入社数が2025年9月時点で20,000社を超えると公式が公表するクラウド経費精算システムです。提供元は株式会社ラクスで、交通系ICカードや領収書の読み取り、ワークフロー、自動仕訳、申請ルールチェックといった経費精算の基本機能を一通り備えています。
申請・入力の観点では、AI-OCRによる領収書の自動読み取りに加え、ジョルダンの乗換案内を内蔵し、スマホアプリでの交通系ICカード読み取りや定期区間の自動控除に対応します。領収書から申請伝票を自動作成する「伝票作成AIエージェント」もオプションとして提供されています(利用には電子帳簿保存法オプションの契約が必要)。
料金は初期費用100,000円、月額30,000円から(いずれも税抜)で、利用人数やオプションに応じて変動します。詳細な料金は料金表の請求が必要なため、自社の人数での総額は見積もりで確認することになります。
5. TOKIUM経費精算(株式会社TOKIUM)

領収書の入力と原本の回収・保管を提供元が代行する点が、TOKIUM経費精算の最大の特徴です。株式会社TOKIUMが運営するクラウド経費精算システムで、利用者はスマホで領収書を撮影して申請し、原本は備え付けのポストに投函するだけで提出が完了します。
撮影した領収書は、AI-OCRで読み取ったうえでオペレーターが確認・修正入力する構成で、公式は99%以上のデータ化精度を示しています。承認は設定した条件でルートが自動分岐し、承認者はスマホから操作できます。会計システム・ERPとは36種類以上との連携実績があり、電子帳簿保存法にはJIIMA認証とタイムスタンプで対応します。
料金は基本利用料が月額1万円から(税抜)で、領収書の件数に応じた従量課金と組み合わされ、アカウント数は無制限です。原本の突合点検・保管を使う場合は、別途ポスト代が月額3,000円かかります。入力や証憑管理の手間そのものを外部に預けたい企業に向く構成です。
6. freee経費精算(フリー株式会社)

freee経費精算は、料金プラン上は「freee支出管理 経費精算Plus/Full」として提供されるクラウド経費精算システムです。運営はフリー株式会社で、スマートフォンやLINE、専用アプリからの経費申請、AI-OCRによる領収書のデータ化、承認ワークフローに対応します。
会計ソフト連携の観点では、freee会計と組み合わせて使えるほか、公式は利用中の会計ソフトを変更することなく利用できると案内しています。既存の会計ソフトと並行して、経費精算だけを導入する使い方もできます。電子帳簿保存法には、証憑を保管する「ファイルボックス」機能で対応します。
料金は基本料金とID従量課金を組み合わせた構成です。経費精算Plusの基本料金は年払いで年90,000円(月あたり7,500円・税抜)、ID料金は申請または承認を行ったユーザーに対し1IDあたり月650円(税抜)がかかります。実際に申請・承認した人数分だけが課金対象になります。
7. バクラク経費精算(株式会社LayerX)

バクラク経費精算は、AIによる入力とチェックの自動化に重点を置いた経費精算システムです。運営は株式会社LayerXで、領収書をスマホで撮影するとAI-OCRが金額・日付・勘定科目を読み取り、過去の仕訳を学習して入力の手間を下げます。
AIでどこまで自動化できるかを重視する企業には、社内規程に照らして規定違反や記入漏れを指摘するAI申請レビューが候補になります。二重申請の自動検知や、税率ごとの自動仕訳にも対応します。電子帳簿保存法にはタイムスタンプ付与・検索要件・改ざん検知で対応し、インボイス制度では領収書内の事業者番号の有効性を自動で判定します。
法人カード連携では、バクラクビジネスカードのほか三井住友・JCB・三菱UFJ・UCの法人カードと連携し、明細を自動取得して申請にまとめられます。料金は月額30,000円から(税抜)で、契約は年間契約・12か月分一括払いです。有料プランの機能を試せる無料トライアルも用意されています。
選定の進め方:現状フローの棚卸しから無料トライアル・一括資料請求まで
選定の観点が整理できたら、次の手順で候補を絞り込むと失敗しにくくなります。順番にも理由があり、現状を把握してから候補に当たることで、自社に合わないシステムに時間をかけずに済みます。

- 現状の業務フローを棚卸しする:申請件数、承認ルート、使っている会計ソフト、紙の運用が残っている工程を書き出し、どの観点を重く見るかを決めます。
- 観点を自社用のチェックリストにする:本記事の7つの観点を、自社の優先順位に並べ替え、各社に質問する項目にまとめます。
- 候補2〜3社の資料を請求して比べる:チェックリストの観点で資料を見比べ、料金は自社の人数で見積もりを依頼します。
- 無料トライアルで実際の領収書・承認フローを試す:自社の実際の領収書を読み取らせ、承認ルートを組んで、現場の使い勝手を確かめます。
- 比較の根拠を残して社内稟議にかける:「この観点で比較し、この理由で選んだ」という根拠を残すと、稟議を通しやすくなります。
複数社の資料をまとめて取り寄せると、同じ観点で横並びに比較しやすくなります。気になる製品の資料を集めて、自社のチェックリストと照らし合わせてみてください。
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まとめ:選定ポイントを自社のチェックリストに落とし込む
経費精算システムの選定では、入力のしやすさ、承認ワークフローの柔軟性、会計ソフト連携と支払業務、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応、操作性とサポート、AIの自動化範囲、そして料金体系という7つの観点を軸に、自社の課題に照らして優先順位を付けることが出発点になります。
各観点を「何を確認するか」まで具体化し、自社用のチェックリストに落とし込めば、機能が似て見える製品の違いを見極められます。まずは候補を2〜3社に絞って資料を取り寄せ、自社の人数での料金を見積もり、無料トライアルで実際の業務を試すところから始めてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 経費精算システムとは何ですか?
A. 経費精算システムとは、領収書の入力・申請から承認・仕訳・保存までの経費精算業務を一括して効率化するクラウド型のツールです。
領収書のAI-OCR読み取りや交通系ICカード連携で入力の手間を減らし、承認ワークフロー、会計ソフト連携、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応までを支えます。製品ごとに得意分野が異なるため、ランキングの上位から選ぶのではなく、自社の課題に照らしてどの観点を重視するかを決めて選ぶのが基本です。
Q. 経費精算システムは何人くらいの規模から導入する価値がありますか?
A. 経費精算システムの導入価値は、従業員数そのものよりも申請件数の多さと会計連携の必要性で決まり、数名規模でも効果が出る場合があります。
月末に領収書の確認や差し戻しで経理の工数が逼迫している、電子帳簿保存法に対応した保存を自動化したい、といった課題があれば、少人数でも導入メリットがあります。すでに会計ソフトを使っているなら、同じシリーズの一体型を追加する形で低コストに始められるケースもあります。
一方、申請が月に数件程度であれば、最低利用料金の下限が負担になり費用対効果が出にくいこともあるため、自社の申請件数で見積もって判断するのがよいでしょう。
Q. 経費精算システムの料金はどこまで確認すればよいですか?
A. 経費精算システムの料金は、初期費用・基本料金・1人あたりの従量料金・最低利用料金の4つに、オプション費用まで含めた総額で確認します。
「月額◯円から」という表示だけでは比べられず、利用人数や申請件数、保管機能、サポート範囲によって総額が変わります。特に少人数の企業は、最低利用料金の下限が効いて1人あたりの実質負担が跳ね上がりやすい点に注意が必要です。自社の人数で割り戻した「1人あたりの実質負担」で比べると、見かけの安さに惑わされずに済みます。あわせて、更新時の値上げや年間契約の縛りといった契約条件も見ておくと安心です。
Q. 経費精算システムを使わず、Excelでの運用でも対応できますか?
A. 経費精算システムを使わずExcelで運用することも可能ですが、申請件数が増えたり電子帳簿保存法への対応が必要になったりすると、保存要件や承認履歴の管理、会計連携がすべて手作業で残り、負担が大きくなります。
少人数で申請件数が少ないうちはExcelでも運用できますが、電子取引データの保存・検索の要件を満たす管理や、差し戻しの履歴管理、仕訳の転記は人手頼りになります。こうした作業が増えてきた段階でシステム化を検討すると、移行の負担を抑えやすくなります。
Q. 経費精算システムを選ぶとき、電子帳簿保存法への対応はどう確認すればよいですか?
A. 経費精算システムの電子帳簿保存法対応は、義務である電子取引データ保存に対応しているか(改ざん防止と検索の要件を満たせるか)を軸に確認します。
改ざん防止はタイムスタンプに限らず、訂正・削除の履歴が残る仕組みや事務処理規程でも満たせます。日付・金額・取引先での検索やインボイスの判定に対応しているか、JIIMA認証をどの区分(スキャナ保存・電子取引)で取得しているかもあわせて確認するとよいでしょう。各要件の詳しい確認項目と国税庁の出典は、本文「電子帳簿保存法・インボイス制度への対応」で解説しています。
Q. 会計ソフトを使っていなくても経費精算システムは導入できますか?
A. 会計ソフトを使っていなくても経費精算システムは導入できますが、仕訳連携のメリットを十分に得るには、会計ソフトとあわせて検討するのが効率的です。
経費精算だけを単独で導入し、申請・承認・保存を電子化することは可能です。ただし、承認後の仕訳を自動で会計ソフトへ渡せると転記の二度手間がなくなるため、これを機にクラウド会計の導入もあわせて検討する企業もあります。既存の会計ソフトを変えずに経費精算だけを追加できる製品もあるので、現状の会計環境を前提に連携の可否を確認するとよいでしょう。
Q. 経費精算システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 経費精算システムは、クラウド型なら申し込みから1〜2週間程度で利用を開始でき、承認ルートの設定やデータ移行、社内への周知まで含めると実運用まで1〜2か月程度を見込むのが一般的です。
承認フローの構築や会計連携の設定、従業員への操作説明を丁寧に行ってから本格運用に移ると、現場への定着がスムーズになります。設定の自由度が高い製品ほど初期構築に手間がかかるため、導入支援サービスの有無も確認しておくと立ち上げが早くなります。
Q. 経費精算システムの無料トライアルはどう活用すればよいですか?
A. 経費精算システムの無料トライアルは、自社の実際の領収書を読み取らせ、自社の承認ルートを組んで、申請者と承認者が現場で迷わず使えるかを試すために活用します。
カタログやデモ画面では分かりにくい入力の手間や読み取り精度、スマホからの操作性は、実データで試すと違いが見えます。多くのクラウド製品が無料トライアルを用意しているので、候補を2〜3社に絞った段階で、同じ領収書・同じ承認フローを各社で試すと横並びで比較できます。なお、ずっと無料で使えるプランは少なく、無料なのはトライアル期間に限られる点に留意してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















