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ERPで原価管理を行うメリットと進め方|専用システムとの違い・業態別の原価計算

ERPで原価管理を行うメリットと進め方のサムネイル画像
管理会計システム比較表(2026年版)のプレビュー

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管理会計システム比較表(2026年版)

製造する製品や請け負う案件が増えるほど、材料費・外注費・労務費を集計し、間接費を配賦して一つひとつの原価を出す作業は重くなります。表計算ソフトや会計ソフトで原価を追っている企業では、各システムからのデータ転記や突合に手間がかかり、案件別・製品別の採算がリアルタイムに見えないことに課題を感じている担当者も少なくありません。

基幹システム(ERP)の導入や刷新を検討するなかで、「ERPで原価管理まで賄えるのか」「専用の原価管理システムを別に入れるのと、どちらが自社に合うのか」と迷うこともあります。原価を扱う仕組みは製品によって幅があり、ERPと専用システムでは得意な範囲が異なります。

本記事では、ERPで原価管理を行う仕組みとメリットを整理したうえで、専用の原価管理システムとの違いと使い分け、製造業とプロジェクト型で変わる原価計算、導入を進めるときの勘所を解説します。あわせて、原価の集計・配賦に使える製品の選択肢も紹介し、自社に合う進め方を判断する材料としてご活用いただけます。

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ERPで原価管理を行うとは

ERPで原価管理を行うとは、生産・販売・在庫・会計・購買といった基幹業務のデータを一つの基盤に統合し、そこに集まった実績から原価を集計・配賦して把握する仕組みを指します。

原価計算に必要な材料費・労務費・経費のデータがERPの中にそろうため、別々のシステムから数字を集めて突き合わせる手間がかかりません。原価の計算に要るデータが初めから一つの基盤にそろう点が、専用システムを個別に組み合わせる場合との大きな違いです。

ERPで原価管理を行う仕組みを3ステップで示した図解。STEP1は生産・販売・在庫・会計・購買の実績と材料費・労務費・経費が一つの基盤に転記なしで集まる段階、STEP2は集まった実績から原価を集計し設定した基準で間接費を各案件・製品へ自動配賦する段階、STEP3は案件・製品単位で売上・原価・利益を締めを待たず確認できる段階を表す。

原価管理は、原価を計算して終わりではありません。原価計算の実務上の基準である「原価計算基準」も、原価管理を、標準を設定して実際の原価と比べ、差異の原因を分析して改善につなげる一連の活動と位置づけています(基準 一)。原価を集計・配賦して把握することは、その出発点にあたります。

ここでいう配賦とは、特定の製品や案件に直接ひもづかない間接費を、一定の基準で各対象に割り当てる手続きのことです。ERPでは、集まった実績から原価を集計するだけでなく、設定した基準に沿って間接費を各案件・製品へ自動で配賦できます(配賦基準の決め方は後述します)。

出典・参考資料(1件)

ERPで原価管理を行うメリット

ここからは、ERPで原価管理を行うと何がどう変わるのかを解説します。表計算ソフトや単体の原価管理システムで原価を追っている場合と比べると、変化は次のように整理できます。

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観点データの集計把握のタイミング間接費の配賦採算の見える化月次決算
表計算ソフト・単体システムでの原価管理各システムや表計算ソフトから手作業で転記・突合して集計する月次の締め後にまとめて集計するため、把握が後ろ倒しになりやすい配賦計算を手作業や表計算で行い、基準を変えるたびに作り直す案件別・製品別の採算は別途集計が必要で見えにくい転記・照合の手作業で締めに時間がかかる
ERPで原価管理を行う場合販売・在庫・会計・購買のデータが同じ基盤に集まり、転記なしで集計できる実績の入力と同時に、最新の原価を確認できる配賦基準を設定しておけば、間接費が各案件・製品へ自動で配賦される案件・製品単位で売上・原価・利益をそのまま確認できる原価データが会計と一体で流れ、月次決算を早期化しやすい

※上記は一般的な傾向です。実際の機能や対応範囲は各製品の仕様によって異なります。

転記・突合がなくなり、原価が自動で集計される

ERPでは、受発注・在庫・勤怠・経費などのデータが同じ基盤に蓄積されます。原価計算に必要な材料費・労務費・外注費のもとになる数字がその中でつながっているため、各システムからデータを書き出して突き合わせる作業が不要になります。手作業の転記が減ることで、入力ミスや二重計上といった誤りも起こりにくくなります。

案件・製品別の採算をリアルタイムに把握できる

原価のもとになる実績が入力された時点で集計に反映されるため、月末の締めを待たずに案件や製品ごとの原価と利益を確認できます。赤字になりそうな案件を途中で見つけて手を打つ、採算の良い製品に注力するといった判断を、数字が出そろう前ではなく進行中に下せるようになります。

月次決算を早期化できる

原価のデータが会計と同じ基盤で流れるため、原価計算の結果を会計へ連係する際の転記・照合が減り、月次決算にかかる日数を短縮しやすくなります。決算が早く締まれば、経営の数字をもとにした意思決定も前倒しで行えます。

原材料の高騰や為替の変動をシミュレーションできる

原価のデータが一元化されていると、材料の単価や為替レートを置き換えて再計算することで、原価がどう動くかを試算しやすくなります。価格改定や調達先の見直しを検討する際に、影響を事前に見積もって先手を打てる点も、原価データが散在している状態との違いです。

専用の原価管理システムとERPの原価管理機能の違いと使い分け

原価管理を実現する方法は、ERPの原価管理機能を使うだけではありません。原価計算に特化した専用の原価管理システムを単体で導入する選択肢もあります。どちらが自社に合うかは、違いを理解したうえで判断する必要があります。

ERPの原価管理機能は基幹業務と一体、専用システムは原価計算に特化

ERPの原価管理機能は、販売・在庫・会計・購買といった基幹業務と同じ基盤の上で動きます。原価のもとになるデータが各業務とつながっているため、転記なしで原価を集計でき、原価から会計までを一貫して扱える点が強みです。一方で、原価管理のためだけに基幹システム全体を導入・刷新することになるため、範囲が広く、導入にも相応の期間がかかります。

専用の原価管理システムは、原価計算・配賦・案件別や製品別の採算管理に機能を絞っています。業種特有の原価計算方式や細かな配賦の要件に対応しやすく、必要な範囲から短い期間で導入しやすいのが利点です。ただし、会計や販売管理など既存のシステムとは別に動くため、データの連携方法を整える必要があります。

どちらが自社に向くかを判断する軸

ERPの原価管理機能と専用の原価管理システムのどちらを選ぶかは、既存システムの状況や管理したい範囲、導入の規模感によって変わります。次の観点で自社の状況を当てはめると、向き・不向きを整理しやすくなります。

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判断の観点既存システムの状況管理したい範囲導入の規模・スピード原価計算の深さコスト
ERPの原価管理機能が向くケース基幹システムをこれから刷新・統合する、複数業務をまとめたい原価だけでなく販売・在庫・会計・購買まで一体で管理したい全社的な基盤として時間をかけて導入できる標準的な原価計算を他業務と連動させたい全社基盤への投資としてまとめて検討できる
専用の原価管理システムが向くケース会計や販売管理は既存のものを使い続けたい原価計算・配賦・案件別採算に絞って管理したい必要な範囲から短期間で導入したい業種特有の原価計算・配賦の細かな要件に対応したい原価管理に絞って初期費用・運用コストを抑えたい

※上記は選び方の目安です。実際の適合は各製品の機能や自社の要件によって異なります。

専用の原価管理システムを軸に検討する場合、対応する原価計算方式や差異分析、配賦の仕方は製品によって幅があります。次の記事では、原価管理システムを原価計算の方式・差異分析・配賦といった観点で比較しているので、候補を絞り込む際の参考になります。

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業態別に見る原価計算の違い

原価計算のやり方は、どのような生産・業務の形態かによって変わります。ERPや原価管理システムを選ぶ前に、自社がどちらの型に当てはまるかを押さえておくと、必要な機能を見極めやすくなります。

製造業とプロジェクト型で原価計算の型が異なることを対比した図解。製造業(モノ)は総合原価計算で、同種製品を反復して量産し、一定期間の原価を完成品の数量で割って製品一つあたりの原価を求め、製品別・工程別にBOM・在庫と連携する。プロジェクト型(ヒト)は個別原価計算で、案件ごとに内容が異なる業務を案件単位で集計し、工数を労務費に換算して外注費や共通費を案件へ配賦する。

製造業(モノ):製品別・工程別の製造原価

同じ製品を反復して量産する製造業では、一定期間に発生した原価をまとめて集計し、完成品の数量で割って製品一つあたりの原価を求める総合原価計算が基本になります。原価計算基準も、総合原価計算を「同種製品を反復連続的に生産する生産形態に適用する」と定めています(基準 二一)。材料の在庫や部品構成(BOM)と連携し、工程ごとに原価を積み上げられるかが、製造業向けに原価管理を行ううえでの確認点になります。

プロジェクト型(ヒト):案件別の労務費・外注費

ITや開発、コンサルティング、制作など、案件ごとに内容が異なる業務では、案件単位で原価を集計する個別原価計算が中心です。原価計算基準は個別原価計算を「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する」とし、「特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計」すると定めています(基準 三一)。

人の稼働が原価の中心になるため、工数の実績を労務費に換算し、外注費や共通費を案件へ配賦できるかが要になります。建設業の工事原価も、工事案件ごとに原価を積み上げるこの型に近い扱いになります。

原価計算の種類を整理する

自社の原価計算を考えるうえで、原価計算にはいくつかの区分軸があることも押さえておくと、製品選びの要件を整理しやすくなります。生産形態による区分のほかに、集計する原価の範囲と、原価の計算基準による区分があります。

  • 生産形態による区分:個別受注のように種類の異なるものを個別に生産するなら個別原価計算、同種製品を反復連続で量産するなら総合原価計算(基準 三一・二一)
  • 集計する原価の範囲による区分:全部の製造原価を集計する全部原価計算と、変動費のみを集計する直接原価計算(部分原価計算)。採算分析をどこまで行いたいかに関わります(基準 四)
  • 原価の計算基準による区分:実績で計算する実際原価計算と、あらかじめ定めた標準で計算する標準原価計算。標準を使うと差異分析による改善がしやすくなります(基準 四)

これらの区分は会計上の分類であり、業態によってどの方式が中心になるかが変わります。自社の生産・業務の形態に合う原価計算方式に、検討している製品が対応しているかを確認するのが選定の出発点です。

出典・参考資料(3件)

ERPで原価管理を始めるときの進め方と選び方

ERPや原価管理システムは、導入すればそれだけで原価が正確になる道具ではありません。使い始める前に自社で整理しておくべきことと、製品を選ぶときの確認点を押さえておくと、導入後のつまずきを減らせます。

配賦基準と集計単位を先に整理する

原価のうち、特定の製品や案件に直接ひもづかない間接費は、配賦の基準に沿って各対象へ割り当てます。原価計算基準は、間接費を配賦する物量基準として「直接作業時間、機械運転時間、生産数量等」を挙げ、間接費の発生と関連のある「適当な物量基準」を選ぶとしています(基準 三三)。どの基準で配賦するかには選択の余地があり、選んだ基準によって各製品・各案件に割り当てられる金額は変わります。

そのため、システムを入れる前に「どの単位で原価を集計したいのか(製品別・案件別・部門別など)」「間接費をどの基準で配賦するのか」を自社で決めておくことが大切です。ここが曖昧なままだと、システムに設定する前提自体が定まらず、出てくる原価の数字も納得感を欠きます。道具を入れることと、原価を正しく捉える前提を整えることは別だと考え、整理を先に進めておきましょう。

出典・参考資料(1件)

既存システムとの連携や原価計算方式への対応を確認する

製品を選ぶときは、まず自社の生産・業務の形態に合う原価計算方式(個別原価計算か総合原価計算か、標準原価計算が必要かなど)に対応しているかを確認しておきましょう。あわせて、会計や販売管理など既存システムを使い続ける場合は、そのシステムとどう連携できるかも重要な確認点です。

また、ERPを導入する際は、自社の業務を製品の標準機能に合わせる「Fit to Standard」の考え方を取ると、独自のカスタマイズを抑えて導入期間やコストを抑えやすくなります。現場の工数入力や実績データの入力が定着するかどうかも、原価の精度を左右するため、操作のしやすさや既存の勤怠・購買データとの連携も見ておくとよいでしょう。

原価管理に使える製品の選択肢

ここからは、原価の集計・配賦や案件別・製品別の原価管理に使える製品を紹介します。大きく分けると、基幹業務と一体で原価を扱うERP統合型と、案件・プロジェクト単位の原価に特化したプロジェクト原価型の2タイプがあります。

ERP統合型は前述のERPの原価管理機能にあたり、プロジェクト原価型は前述の専用システムに近い位置づけです。会計基盤まで一体で持つか、既存の会計に連携するかが、両者を分ける目安になります。

本節ではこの2タイプを中心に取り上げます。量産の製造業向けに工程別の製造原価やBOM連携を軸とした製造原価パッケージもあり、これらは原価管理システム全体を扱う比較記事で紹介しています。製造業の原価管理を主眼に探すなら、そちらもあわせてご覧ください。まずは全体像を比較表で確認してください。

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サービス名Oracle NetSuiteクラウドERP ZACOBIC7 プロジェクト管理Biz∫(ビズインテグラル)勘定奉行クラウド[個別原価管理編]マネーフォワード クラウド個別原価プロカンReforma PSAMA-EYESHUE Classic Project ManagementSMILE V Project Directorプロジェクト収支管理Rebo
分類ERP統合型ERP統合型ERP統合型ERP統合型ERP統合型プロジェクト原価型プロジェクト原価型プロジェクト原価型プロジェクト原価型プロジェクト原価型プロジェクト原価型プロジェクト原価型
主な原価計算の対象在庫原価・案件別原価案件別の個別原価案件別の収支管理案件別原価(会計一体)案件別の個別原価案件別の個別原価案件別の収支・原価案件別の原価・損益案件別の個別原価案件別の原価・収支案件別の原価・収支案件別の売上・原価紐づけ
間接費の配賦案件予算へ配賦共通費も自動配賦公式に記載なし多段階の間接費配賦基準に基づき自動配賦多段階配賦・基準5種間接費を案件へ按分共通費配賦(工数登録前提)配賦基準を自由設定配賦処理あり公式に記載なし公式に記載なし
工数→労務費の換算プロジェクト管理モジュールで工数管理工数を労務費に自動集計工数管理あり(換算は要確認)公式に記載なし労務費計上を自動化従業員別単価で労務費按分工数×労務単価で換算工数から労務費を配賦工数×基準単価で労務費算出人件費を算出(方式は要確認)社員別単価×工数で自動公式に記載なし
会計・基幹業務との連携会計を中核に単一基盤で統合販売〜工数〜管理会計を一元化OBIC7会計・人事給与と連携会計〜販売購買〜人事給与を統合勘定奉行の会計基盤と一体クラウド会計Plus・勤怠と連携会計ソフト連携(弥生・freee等)販売〜経費を一元化・会計連携販売〜会計を統合・API連携原価計算〜仕訳〜会計連携SMILE V会計・勤怠と連携勘定奉行・大蔵大臣と仕訳連携
対象業種・規模中堅〜大企業・海外展開IT・広告・コンサル等IT・コンサル・設備工事等大手中心(中堅も対応)中小〜成長企業IPO準備・中堅〜上場企業中小中心(IT・制作・建設)中小・成長企業(〜50名目安)システム開発・SES・コンサル等SI・工事・R&D等(中堅〜大)ソフト・IT・広告制作等企画・制作業(上場〜中小)
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)オンプレ/クラウドオンプレ/クラウドクラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド/一括オンプレ(運用代行あり)要問い合わせオンプレ(パッケージ)
料金の目安(初期/月額)要問い合わせ初期10万円/月額要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ初期5万円〜/月27,500円〜要問い合わせ初期15万円〜/月3万円〜初期0円/月3万円〜(税抜)要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ(買い切り型)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイトサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※各製品の機能・対応範囲は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。詳細は各社へご確認ください。

原価管理に限らず、予算管理や経営分析まで含めた管理会計システム全体から選びたい場合は、以下の記事で目的・規模別の選び方とタイプ別の違いを比較しています。導入を広く検討する際の出発点としてご覧ください。

基幹業務と一体で原価を扱うERP統合型

販売・在庫・会計・購買などの基幹業務と同じ基盤の上で、原価を集計・配賦できるタイプです。原価から会計までを一貫して扱いたい企業に向きます。

1. Oracle NetSuite(日本オラクル)

Oracle NetSuiteのウェブサイト

Oracle NetSuiteは、会計・財務を中核に、受発注・在庫・購買・CRMなどをクラウド上の単一プラットフォームに統合したクラウドERPです。会計データと業務データが同じ基盤でつながるため、原価のもとになる数字を転記なしで扱えます。

在庫の原価計算では先入先出法・後入先出法・平均原価法などに対応し、追加のプロジェクト管理モジュールを組み合わせると、購買を案件にひもづけて直接費・間接費を案件予算へ配賦できます。多通貨・連結にも対応するため、海外拠点を含めて原価を一元管理したい企業の選択肢になります。

原価のもとになる数字を転記なしで扱える背景には、業務データを一つの基盤に集める設計思想があります。提供元の日本オラクルの福宮氏は、開発の出発点を次のように説明しています。

福宮氏
日本オラクル株式会社 理事 NetSuite事業統括 営業統括本部長
福宮氏
独自インタビューより

会計は会計のシステム、在庫は在庫のシステム、というように業務ごとにシステムが分かれていると、データが分断されてしまって、経営者が全体を見ようとしてもなかなか正確な数字がつかめません。そこで、あらゆる業務を一つの基盤で一元管理して、経営者がどこからでもリアルタイムにデータを確認できるようにしたい、という発想からクラウドERPという形にたどり着きました。

2. クラウドERP ZAC(オロ)

クラウドERP ZACのウェブサイト

株式会社オロが提供するクラウドERP ZACは、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型のERPです。販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理・管理会計を一元化し、プロジェクト別の収支をリアルタイムに可視化します。

個別原価計算の自動化に対応し、工数の実績を労務費に振り替え、間接費や共通経費を部門内で再配賦できます。工事進行基準にも対応するため、IT・システム開発や広告・クリエイティブなど、案件ごとに原価を積み上げたい企業に適しています。

3. OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション(オービック)

OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューションのウェブサイト

会計・人事給与・販売・生産など多数の業務ソリューションで構成される統合業務ソフトウェア(ERP)が、株式会社オービックのOBIC7です。必要な部門から段階的に導入できる構成になっています。

そのうちプロジェクト管理統合ソリューションは、IT関連業・コンサルティング業・設備工事業など案件単位で収益を管理する業種向けのモジュールです。引合いから受注・売上・開発工数・外注・経費・収支までを案件ごとに一元集計し、会計モジュールと一体で扱えます。工数から人件費への換算・配賦の細目は公式に明記されていないため、自社の要件に合うかは問い合わせで確かめるのが確実です。

4. Biz∫(ビズインテグラル)(NTTデータ・ビズインテグラル)

Biz∫(ビズインテグラル)のウェブサイト

会計・債権債務・固定資産・販売購買・人事給与までを一つに束ねた国産のERPパッケージが、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルのBiz∫です。オンプレミスに加え、クラウドにも対応します。

会計モジュールの多段階の間接費配賦に加え、プロジェクト原価管理のモジュールを備えています。配賦を細かく設定したい中堅・大企業が、会計基盤と原価管理を一体で運用したい場合に適します。

5. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウド[個別原価管理編]のウェブサイト

会計クラウドとして広く使われる勘定奉行クラウドの基盤に、プロジェクト単位の原価管理を載せたのが、株式会社オービックビジネスコンサルタントの勘定奉行クラウド[個別原価管理編]です。会計処理と原価管理を一体で扱えます。

請負金額・進捗・予定期間を案件ごとに管理し、プロジェクト別原価報告書を自動で出力します。労務費の計上や基準による自動配賦、進捗度基準での原価振替に標準で対応するため、会計と地続きで個別原価を管理したい企業に適しています。

案件・プロジェクト単位の原価に特化したプロジェクト原価型

会計や販売管理は既存のものを使いつつ、案件・プロジェクト単位の原価計算や採算管理に機能を絞って導入したい場合に向くタイプです。工数から労務費への換算や、案件ごとの配賦を得意とします。

6. マネーフォワード クラウド個別原価(マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド個別原価のウェブサイト

プロジェクト単位で収益と原価を管理する事業に向けて、株式会社マネーフォワードが提供するのがマネーフォワード クラウド個別原価です。IT・システム開発やクリエイティブなどを対象に、工数入力や費用データの連携から間接費の自動配賦、原価の可視化までを一連で担います。

労務費の按分や、部門・案件への多段階の配賦に対応し、配賦基準は工数比率・従業員数比率・売上予算比率・面積比率・カスタムの複数から選べます。原価の集計・配賦をワンクリックで行い、月次決算の早期化につなげられる点が訴求されています。

7. プロカン(PROCAN)

プロカンのウェブサイト

案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化する——これを主眼にしたクラウド型のプロジェクト収支管理システムが、株式会社PROCANのプロカンです。

工数に労務単価を掛けて人件費に換算し、間接費や外注費を案件へ按分できます。IT・システム開発向け、制作・広告向け、建設・工事向けと業種別のラインナップを展開しており、案件単位の原価を押さえる用途に向いています。

8. Reforma PSA(オロ)

Reforma PSA(リフォルマ PSA)のウェブサイト

株式会社オロは、大規模向けのクラウドERP「ZAC」と並行して、その機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したReforma PSAを提供しています。中小・成長企業向けの位置づけです。

販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を一元化し、工数の登録をもとに労務費や共通費を案件へ配賦して、案件別の原価と損益を自動で計算します。実行予算と実績の対比もでき、ZACほどの規模は必要ないが案件採算を押さえたい企業に向きます。

9. MA-EYES(ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESのウェブサイト

システム開発・SES(受託の技術者派遣)・受託開発・コンサルティングなどプロジェクト型ビジネスに特化したクラウド型ERPが、株式会社ビーブレイクシステムズのMA-EYESです。工数・原価をリアルタイムに集約し、プロジェクト単位の損益を管理します。

工数に基準時間単価を掛けて労務費を算出し、配賦基準は工数・人数・売上高・人件費・面積などから自由に設定できます。案件・製品・ジョブ単位での原価管理や工事進行基準にも対応し、実績データから支払・請求データを作成して会計へつなげられます。

10. HUE Classic Project Management(ワークスアプリケーションズ)

HUE Classic Project Managementのウェブサイト

案件ごとの採算を可視化し、原価計上まで統合することを掲げるプロジェクト収支管理システムが、株式会社ワークスアプリケーションズのHUE Classic Project Managementです。

工程と配置人員から予定原価を見積もり、人件費を算出してプロジェクト単位で配賦します。月次で原価計算から仕訳、会計連携までを行え、SI・工事・コンサルティング・研究開発など幅広いプロジェクト型の業種に対応します。導入事例は中堅〜大手の情報サービス業・製造業が中心です。

11. SMILE V 2nd Edition Project Director(OSK)

SMILE V 2nd Edition Project Directorのウェブサイト

SMILE V 2nd Edition Project Directorは、株式会社OSKが開発し大塚商会が提供するプロジェクト収支管理システムです。案件単位で、見込みの発生から受注・発注・仕入・売上・請求入金・支払までを一元管理します。

Web上での工数入力をもとにプロジェクト別の労務費を算出し、案件別の収支を把握できます。同社の会計システム「SMILE V 会計」と連携でき、サービス業の案件管理と原価・収支管理をまとめたい企業に向きます。配賦の計算方式の細目は公式に明記されていないため、要件は問い合わせで確かめておくと安心です。

12. プロジェクト収支管理Rebo(ディータイド)

プロジェクト収支管理Reboのウェブサイト

企画・制作業に向けて、案件ごとに売上と原価(仕入・外注費など)をひもづけ、採算を可視化するのが、株式会社ディータイドのプロジェクト収支管理Reboです。

原価金額や利益率の可視化、売上・原価予算と実績の対比、原価の按分計上に対応し、勘定奉行や大蔵大臣とのアドオンによる仕訳連携も用意されています。クライアントサーバ型のパッケージとして提供される点が、クラウド型の製品との違いです。企画・制作業で案件別の採算と会計連携を押さえたい企業に向いています。

案件・プロジェクト単位の原価管理に絞ってさらに多くの製品を見比べたい場合は、以下の記事でプロジェクト収支管理システムをタイプ別に比較し、案件別原価の作り方まで解説しています。プロジェクト型の原価管理を具体的に進める際の参考になります。

まとめ

ERPで原価管理を行うとは、生産・販売・在庫・会計・購買を一つの基盤に統合し、そこに集まった実績から原価を集計・配賦して把握する仕組みです。各システムからの転記が減り、案件・製品別の採算をリアルタイムに把握でき、月次決算の早期化にもつなげられます。

原価計算に特化した専用システムと比べると、ERPは基幹業務と一体で原価を扱える一方、導入の範囲は広くなります。既存システムの状況・管理したい範囲・導入の規模から、どちらが自社に合うかを判断するのが近道です。また、製造業とプロジェクト型では原価計算の型が異なり、配賦基準や集計単位を先に整理しておくことが、導入後に納得できる原価を得る前提になります。

自社の業態と管理したい範囲に合う製品を見極めるために、気になる製品の資料を取り寄せて、原価計算方式や配賦の対応、既存システムとの連携を具体的に比べてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. ERPで原価管理を行うとはどういうことですか?

A. ERPで原価管理を行うとは、生産・販売・在庫・会計・購買の実績を一つの基盤に統合し、そこに集まったデータから原価を集計・配賦して把握する仕組みです。原価計算に必要な材料費・労務費・経費のデータがERPの中にそろうため、別々のシステムから数字を集めて突き合わせる手間をかけずに原価を計算できる点が、専用システムを個別に組み合わせる場合との違いです。

Q. ERPの原価管理機能と専用の原価管理システムは、どちらを選ぶべきですか?

A. 基幹システムをまとめて刷新し、販売・在庫・会計・購買まで一体で管理したいならERPの原価管理機能、会計や販売管理は既存のものを使いつつ原価計算に絞って短期間で導入したいなら専用の原価管理システムが向きます。既存システムの状況・管理したい範囲・導入の規模感という観点で自社の状況を当てはめると、向き・不向きを整理しやすくなります。

専用システムは業種特有の原価計算方式や細かな配賦の要件に対応しやすい反面、会計や販売管理とは別に動くためデータ連携の作り込みが必要になります。

Q. Excelでの原価管理からERPへ移行する最適なタイミングはいつですか?

A. Excelでの原価管理は、転記や突合の手作業が増えて入力ミスが起きやすくなり、案件別・製品別の採算がリアルタイムに見えなくなってきたときが、ERPへ移行を検討する目安です。

製造する製品や請け負う案件が増えるほど、材料費・外注費・労務費の集計と間接費の配賦は重くなり、月次の締め後にまとめて集計する運用では採算の把握が後ろ倒しになります。手作業の負担や数字の不整合が看過できなくなってきたら、仕組みでの一元管理を検討するとよいでしょう。

Q. 原価管理機能を備えたERPの導入期間と費用の目安はどのくらいですか?

A. ERPの導入期間と費用は、製品の種類・導入する業務範囲・カスタマイズの有無によって大きく異なり、一律の目安は示せません。基幹システム全体を刷新するERP統合型と、案件単位の原価に絞ったプロジェクト原価型とでは、範囲も投資規模も変わります。

自社の業務を製品の標準機能に合わせる「Fit to Standard」の考え方で独自のカスタマイズを抑えると、導入期間やコストを抑えやすくなります。具体的な金額や期間は、製品ごとに資料請求や見積もりで確認するのが確実です。

Q. 複雑な配賦基準を設定していても、ERPの原価管理機能で対応できますか?

A. 多くの製品は配賦基準をあらかじめ設定でき、間接費を各案件・製品へ自動で配賦できますが、設定できる基準の細かさや多段階の配賦への対応は製品によって差があります。どの基準で配賦するかによって各案件・製品に割り当てられる金額は変わるため、集計単位や多段階配賦の要否といった要件を先に固めておくと、製品ごとの対応可否を判断しやすくなります。

自社で必要な配賦の要件を整理したうえで、それに対応できるかを製品ごとに確認するとよいでしょう。

Q. 現場の工数入力や実績データの入力は、きちんと定着しますか?

A. 現場の工数入力や実績データの入力が定着するかは、入力画面の操作のしやすさと、既存の勤怠・購買データとの連携の作り込みに大きく左右されます。入力が手間だと現場に根づかず、もとになる実績がそろわないと原価の精度も下がります。製品を選ぶ際は、入力負担の軽さや、勤怠・購買など既存データを自動で取り込める範囲を確認しておくことが、入力の定着と原価精度の両立につながります。

Q. 製造業とプロジェクト型では、原価計算はどう違いますか?

A. 製造業は同種製品を反復して量産するため製品別・工程別に原価を積み上げる総合原価計算が中心で、IT・開発・制作などのプロジェクト型は案件ごとに原価を集計する個別原価計算が中心です。原価計算基準も、総合原価計算は「同種製品を反復連続的に生産する生産形態」に、個別原価計算は「種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態」に適用すると定めています(基準 二一・三一)。

自社がどちらの型かによって、必要になる機能(在庫・部品構成(BOM)との連携か、工数管理と案件別の配賦か)が変わるため、製品選びの出発点になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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