サイバーセキュリティ対策の指針として、NIST(米国国立標準技術研究所)が公開するサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)を参照する企業が増えています。その最新版が2024年に公開された「CSF 2.0」で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公式の日本語訳を公開しています。
CSF 2.0 では、従来の機能に「統治(GV)」が加わって6つの機能になり、対象範囲も特定の業種に限らずあらゆる組織へと広がりました。一方で、コア・ティア・プロファイルといった構成要素や、自社でどう使い始めればよいかは、名前だけでは掴みにくい部分です。
本記事では、NIST CSF 2.0 の6つの機能とそれぞれの意味、旧版からの主な変更点、フレームワークを構成する3つの部品(コア・ティア・プロファイル)、自社で始めるための5つのステップを、IPA の公式日本語訳にもとづいて整理します。あわせて、ISMS(ISO/IEC 27001)との違いや、最初の一歩となる現状把握に使える脆弱性診断・ネットワークリスク診断のサービスも紹介します。
目次
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NIST CSF 2.0とは
NIST CSF 2.0 は、組織がサイバーセキュリティリスクを管理するための指針を示すフレームワークです。最大の特徴は、「達成すべき成果」を分類して示す一方で、その成果を「どう実現するか」という具体的な手段までは定めていない点にあります。規模や業種、セキュリティ対策の成熟度を問わず、どの組織でも自社の状況に当てはめて使えるように設計されています。
このフレームワークは、規模や分野、成熟度に関係なく、あらゆる組織がサイバーセキュリティの取り組みをよりよく理解し、アセスメントし、優先順位を付け、伝達するために使用できる、ハイレベルなサイバーセキュリティの成果の分類法を提供する。CSF は、成果をどのように達成することが望ましいかを規定するものではない。むしろ、これらの成果を達成するために使用できるプラクティス及び管理策に関する追加ガイダンスを提供するオンラインリソースにリンクしている。
出典:NIST サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0 日本語訳|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
このように CSF 2.0 は、守るべき成果の「共通の物差し」を提供するものであり、製品や手順を指定する規格ではありません。自社の現状を評価し、どこに力を入れるべきかを整理し、経営層や取引先と共通の言葉で対話するための土台として使えます。
NIST CSF 2.0の6つの機能(統治・識別・防御・検知・対応・復旧)
ここからは、CSF 2.0 の中心となる6つの機能を見ていきます。6つの機能は、サイバーセキュリティの取り組みを最上位で分類したもので、それぞれに英語の略号が割り当てられています。公式の日本語訳にもとづく各機能の意味は、次のとおりです。
- 統治(GV):組織のサイバーセキュリティリスクマネジメントの戦略・期待・ポリシーを定め、組織内に伝え、継続的に監視する
- 識別(ID):組織の資産と、それに関わる現在のサイバーセキュリティリスクを把握する
- 防御(PR):サイバーセキュリティリスクを管理するための安全対策(セーフガード)を講じる
- 検知(DE):起こり得るサイバー攻撃や侵害の可能性を発見し、分析する
- 対応(RS):検知されたサイバーセキュリティインシデントに対して必要なアクションを実行する
- 復旧(RC):インシデントの影響を受けた資産や業務を元の状態に戻す
※各機能の概要は IPA 公式日本語訳の定義にもとづく。英略号(GV/ID/PR/DE/RS/RC)は原著 NIST CSWP 29 による。
6つの機能は順番にこなす手順ではなく、同時に、かつ継続的に取り組むものとして位置づけられています。なかでも 2.0 で新しく加わったのが、最初に挙げた「統治(GV)」です。

出典・参考資料(1件)
新設された「統治(GV)」の中身
統治(GV)は、組織としてのサイバーセキュリティへの取り組み方を定め、監督する機能です。経営層が関与してリスク管理の方針を決め、役割や責任を明確にし、その実行を見届ける、という組織運営の視点が加わりました。統治は、公式の附属書では次の6つのカテゴリーで構成されています。
- GV.OC(組織の状況):自社の事業内容・法規制・利害関係者など、リスク管理の前提となる状況を把握する
- GV.RM(リスクマネジメント戦略):リスクをどこまで許容するか、何を優先するかといった組織としての方針を定める
- GV.RR(役割、責任、権限):誰がどのリスク管理に責任と権限を持つかを明確にする
- GV.PO(ポリシー):サイバーセキュリティのポリシーを定め、組織に周知する
- GV.OV(監督):取り組みの結果を見直し、戦略を調整する
- GV.SC(サイバーセキュリティサプライチェーンリスクマネジメント):委託先や取引先を含めたサプライチェーンのリスクを管理する
このうち GV.SC は、委託先や取引先を含めたサプライチェーン全体のリスク管理を扱います。自社だけでなく、つながる相手を通じたリスクまで視野に入れる点が、統治機能の広がりを表しています。
NIST CSF 1.1から2.0への主な変更点
CSF 2.0 は、旧版からいくつかの重要な見直しが行われました。すでに 1.1 を参照してきた組織にとっては、次の点が主な変更にあたります。
- 「統治(GV)」の新設:従来の識別・防御・検知・対応・復旧の各機能に加えて統治が設けられ、機能は6つになりました。リスク管理を経営の意思決定に組み込む視点が明確になっています。
- 対象範囲の拡大:旧版は「重要インフラのサイバーセキュリティを改善するためのフレームワーク」という名称でしたが、2.0 ではこの名称を使わず、あらゆる規模・分野の組織を対象とすることが明確になりました。
- サプライチェーンリスク管理の強化:統治の中に GV.SC(サプライチェーンリスクマネジメント)が位置づけられ、取引先を含めたリスクへの対応が重視されています。
- オンラインリソースの整備:CSF 本体とあわせて、実装例やクイックスタートガイドなどのオンラインリソースが用意され、成果を達成するための具体的な参考情報へ辿れるようになっています。
名称の変更については、公式の日本語訳でも明確に述べられています。
バージョン 2.0 より前のサイバーセキュリティフレームワークは、「重要インフラのサイバーセキュリティを改善するためのフレームワーク(Framework for Improving Critical Infrastructure Cybersecurity)」 と呼ばれていたが、CSF 2.0 ではこの名称を使用していない。
出典:NIST サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0 日本語訳「読者への注意」|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
重要インフラ向けという位置づけから、業種を問わず使えるフレームワークへと役割を広げたことが、名称の変更にも表れています。
コア・ティア・プロファイル(CSF 2.0の3つの部品)
CSF 2.0 は、コア・ティア・プロファイルという3つの部品で構成されています。コアが取り組むべき成果の一覧を示し、プロファイルで自社の現状と目標を書き表し、ティアでリスク管理の成熟度を測る、という関係です。それぞれの役割を順に見ていきます。

コア:成果を整理した階層
コアは、サイバーセキュリティの成果を整理した分類法です。先に見た6つの機能を最上位に置き、その下を「カテゴリー」「サブカテゴリー」へと段階的に細分化した階層構造になっています。公式の附属書Aでは、6つの機能の下に22のカテゴリー、さらにその下に106のサブカテゴリーが定義されています。
たとえば識別(ID)機能には「ID.AM 資産管理」「ID.RA リスクアセスメント」などのカテゴリーがあり、自社が何を守るべきか、どこにリスクがあるかを具体的な成果の単位で確認できます。
ティア:リスク管理の成熟度を測る4段階
ティアは、組織のサイバーセキュリティリスク管理のやり方がどの程度成熟しているかを表す4段階の目安です。公式の日本語訳では、次の4つが示されています(カッコ内は原著の英語表記)。
- ティア1:部分的である(Partial):リスク管理が場当たり的に行われ、対策の優先順位づけも目的や脅威環境に正式にもとづいていない段階。組織レベルでのリスク意識の向上は限定的です。
- ティア2:リスク情報が活用されている(Risk Informed):リスク管理のやり方が経営陣に承認されているものの、組織全体のポリシーとしては確立されていない場合がある段階。対策の優先順位はリスク目的・脅威環境・ビジネス要件にもとづいて決められ、情報共有は非公式に行われます。
- ティア3:反復可能である(Repeatable):リスク管理のやり方が正式に承認されてポリシーとして明文化され、サイバーセキュリティ情報が組織全体で日常的に共有されている段階。ビジネス要件・脅威・技術状況の変化に合わせて、やり方が定期的に更新されます。
- ティア4:適応的である(Adaptive):過去と現在の経験から得た教訓や予測指標にもとづいて、やり方を継続的に改善している段階。変化する技術状況に積極的に適応し、進化する高度な脅威にタイムリーかつ効果的に対応します。
段階が上がるほど、場当たり的な対応から、組織全体でリスク情報を活用し、変化に合わせて改善を続けられる状態へと近づきます。ただし、ティアの名称は公式の日本語訳の中でも本文と用語集でわずかに表記が異なります(たとえばティア4は「適応している」とも訳されています)。本記事では用語集の表記に統一しています。
プロファイル:現状と目標を書き表す
プロファイルは、コアの成果という観点から、自社のサイバーセキュリティ態勢を書き表したものです。いま達成できている成果を記述した「現状プロファイル」と、目指す姿を記述した「目標プロファイル」の2つを作り、その差を埋めていく、という使い方をします。
現状プロファイルは、組織が現在どの成果を、どの程度達成しているかを特徴づけるものです。目標プロファイルは、リスク管理の目的を達成するために選び、優先順位をつけた望ましい成果を示します。この2つを並べることで、どこに手を打つべきかが見えてきます。
たとえば識別機能の「ID.RA リスクアセスメント」について、現状プロファイルに「年1回のみ実施」、目標プロファイルに「四半期ごとに実施」と書けば、その差を埋める取り組みが行動計画になります。このように成果ごとに現状と目標を書き出していくのが、プロファイルの基本的な使い方です。
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NIST CSF 2.0を自社で始める進め方(組織プロファイル作成の5ステップ)
フレームワークの全体像を掴んだら、実際に自社で使い始める段階です。公式の日本語訳では、組織プロファイルを作成・活用する手順が次の5つのステップで示されています。
- 組織プロファイルの対象範囲を定める。
- 組織プロファイルの準備に必要な情報を収集する。
- 組織プロファイルを作成する。
- 現状プロファイルと目標プロファイルのギャップを分析し、行動計画を作成する。
- 行動計画を実装し、組織プロファイルを更新する。
まず、どの事業・システムを対象にするかを決め、必要な情報を集めます。現状と目標の2つのプロファイルを作って差(ギャップ)を洗い出し、優先順位をつけた行動計画に落とし込み、実行しながら見直していく、という流れです。一度作って終わりではなく、状況の変化に合わせて更新を続ける点が特徴です。

小さく始めるには
専任のセキュリティ担当者がいない中小企業では、6つの機能すべてを一度に整えるのは負担が大きく感じられます。NIST は中小企業向けに「スモールビジネス クイックスタートガイド」を用意しており、6つの機能ごとに、まず着手するとよい活動を具体的に示しています。
このガイドは、自社だけで対応するのが難しい活動については、外部の専門事業者に相談するきっかけとして使うことも想定しています。すべてを自前で完璧に進めようとせず、現状把握から着手し、手が足りない部分は外部の手を借りる、という進め方が現実的です。
5つのステップを自社で実際に回すには、現状をどう評価シートに落とし込むか、自社の成熟度がティアのどこにあるかをどう見極めるか、評価を自社でやるか外部に委託するかといった具体的な判断が必要になります。これらの進め方を評価シートの記入例とあわせて知りたい方は、次の記事が参考になります。
NIST CSFアセスメントの進め方|評価シート記入例・成熟度ティアの見方・自社実施と外部委託の判断
取引先や親会社、監査部門から「NIST CSFで自社のセキュリティ体制を評価してほしい」と求められる場面が増えています。フレームワーク(NIST サイバーセキュリティフレームワーク、CSF)の名前や大まかな構成は調べればわかるものの、いざ「…
NIST CSF 2.0とISMS(ISO/IEC 27001)の違い
情報セキュリティの枠組みとしては、ISMS(ISO/IEC 27001)もよく知られています。すでに ISMS に取り組んでいる組織にとっては、CSF 2.0 との関係が気になるところです。両者は役割が異なり、二者択一の関係ではありません。
ISO/IEC 27001(国内では JIS Q 27001)は、第三者である認証機関が組織の適合性を評価するための「要求事項規格」です。認証を取得することで、情報セキュリティマネジメントの体制が基準を満たしていることを対外的に示せます。
一方、CSF 2.0 は達成すべき成果を分類して示す自主的なフレームワークで、成果をどう達成するかは規定しません。認証制度を前提とする ISO/IEC 27001 とは出発点が異なります。実務上は、CSF で自社のリスクと優先順位を整理し、ISMS で具体的な管理策を体制として定着させる、というように組み合わせて使うこともできます。
出典・参考資料(2件)
現状把握(識別)から始める:脆弱性診断・ネットワークリスク診断の活用
CSF 2.0 を自社で始めるとき、最初の壁になりやすいのが「識別(ID)」、すなわち自社の資産とリスクの現状把握です。コアの識別機能には「ID.RA リスクアセスメント」というカテゴリーがあり、どこに弱点があるかを洗い出すことが出発点になります。自社だけで把握しきれない部分は、外部の診断サービスを使って可視化する方法があります。
ここでは、現状把握に役立つ脆弱性診断・ネットワークリスク診断のサービスを紹介します。診断の対象(Webアプリ・ソースコード・クラウド・社内ネットワークなど)や進め方はサービスごとに異なるため、自社が何を把握したいかに合わせて選ぶとよいでしょう。
| サービス名 | Aikido Security | セキュア・レントゲン | CoWorker 脆弱性診断サービス | KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ |
|---|---|---|---|---|
| 診断の型・方式 | ツール型の自動診断 (クラウド型SaaS) | ネットワークリスク診断 (委託・フルパケット解析) | 委託型の人手診断 (AI自動解析+専門家確認) | 統合パッケージ型 (診断+復旧+補償。診断は内部からのリモート診断) |
| 主な診断対象 | ソースコード・依存ライブラリ クラウド設定・コンテナ・Webアプリ | 社内ネットワークの通信全体 (IT/OT両環境) | Webアプリ・API・ソースコード | 社内ネットワーク機器・サーバー 複合機・PC等(内部起点) |
| 費用の目安 | 年額3,780米ドル〜 (利用者10人までの参考価格) 無料プランあり | 要問い合わせ (手法・トラフィック量・台数で変動) | 15万円〜(ソースコードAI診断) 動的診断を含むプランは50万円〜 (税別・税込は要確認) | 1台1,250円/月〜 100ノード以下で年額90万〜150万円が目安 |
| 提供形態 | サブスク型SaaS (継続的に自動スキャン) | スポット型 (最短1カ月の単発診断) | 都度の委託診断 (定期利用も相談可) | 月額サブスク (毎月の定期診断・伴走) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※料金は2026年11月時点の各社公表情報・MCB FinTechカタログ掲載情報による。契約条件により変わる場合があるため、最新の金額は各社へご確認ください。
1. Aikido Security(株式会社AndGo)

Aikido Security は、ソースコードや依存ライブラリ、クラウド設定、コンテナ、稼働中の Web アプリケーションを1つの管理画面でまとめて検査する脆弱性診断の SaaS です。開発元はベルギーの Aikido Security で、日本では株式会社AndGo が販売窓口となり、日本語での一次対応や導入・運用の伴走を担います。
人が診断して報告書を納める受託型ではなく、ツールによる自動スキャンを継続的に回す形態です。動的診断(DAST)、ソースコード診断(SAST・SCA)、クラウド設定診断(CSPM)などに対応し、検出したアラートを自動で振り分けて誤検知を減らす仕組みを備えます。
無料で試せる Developer プランがあり、導入前に使い勝手を確かめられます。料金は、日本窓口の案内で Basic が年額3,780米ドル、Pro が年額7,560米ドル(いずれも利用者10人までの参考価格)で、正式な金額は問い合わせが必要です。
2. セキュア・レントゲン(株式会社クワッドマイナージャパン)

NDR(ネットワーク検知・対応)製品「Network Blackbox」のフルパケットキャプチャ技術を転用したのが、セキュア・レントゲンのネットワークリスク診断です。Web アプリの脆弱性スキャンとは異なり、実際にネットワーク上を流れている通信を全数検査し、外部からの脅威だけでなく、すでに内部に侵入・潜伏している脅威や弱点を洗い出す点が特徴です。
診断はミラーリング方式で機器を接続するため、万が一障害が起きてもネットワークに影響しない設計です。IT 環境に加えて OT(工場などの制御ネットワーク)にも対応し、公式は「最短1カ月でセキュリティ課題と対策をご提案」としています。
成果物として、検出した脅威の一覧やリスク分析を含むレポートと報告会が提供されます。料金は診断の手法やトラフィック量、設置台数によって変わるため、具体額は問い合わせが必要です。
外部の防御を固めている組織でも、内部の現状を一度客観的に把握しておく意義について、同社は次のように説明しています。

実際に「今すでに社内にランサムウェアが存在している可能性がないか、それを見てほしい」という緊急のチェックとしてご依頼いただいたこともあります。そのときは幸い問題ありませんでしたが、もし侵入されていたら、重大な被害につながりかねないリスクが見つかりました。既存の防御を過信せず、一度客観的に診断したいというニーズが確実に増えていると感じます。
3. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

自社開発の AI による自動解析に、社内のセキュリティ専門家による最終確認を組み合わせているのが、CoWorker 脆弱性診断サービスです。公式サイトのメニューはソースコード AI 診断・動的脆弱性診断(Web/API 診断)・実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト)の3つで、目的に応じて段階的に選べます。
ソースコード AI 診断は本番環境に影響を与えずにリスクを洗い出せる点が案内されており、動的診断では稼働中の Web アプリや API を対象に、攻撃者の視点で脆弱性を検証します。
費用は、公式サイトでは通常「50万円〜」と記載があります。MCB FinTechカタログの掲載情報では、ソースコード AI 診断が150,000円、ソースコードと動的診断を組み合わせたプランが500,000円からと案内されています(金額は税別・税込の別やプラン内容の詳細は要確認)。
診断をどの頻度で行うべきかという点について、同社は攻撃側の変化を次のように挙げています。

一方で、攻撃者側もAIを活用するようになり、新しく、しかもスピード感の早い攻撃が増えてきています。これまでは年に1回、あるいはサービスをリリースした直後にだけ脆弱性診断を行うという企業が多かったのですが、AIの発達によって攻撃側のスピードが上がっている以上、定期的に診断をしないと危険だという状況になってきました。
4. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

KATABAMI は、脆弱性診断だけでなく、復旧のためのバックアップとサイバー保険までを「予防・復旧・補償」の3本柱で束ねた、統合パッケージ型のサービスです。診断専業のツールや受託診断とは位置づけが異なり、現状把握から事後の備えまでをひとまとめに検討したい企業に向きます。
診断を担うのが「KATABAMI VDP」で、ネットワークの内部から月次(年12回)で弱点を検出し、A〜E の5段階評価と改善策のレポートを提示します。外部スキャンでは見つけにくい内部起点の脅威も検査できる点を訴求しており、本記事の文脈では、この内部ネットワークの脆弱性診断が識別フェーズの現状把握にあたります。
公式サイトでは月額1台あたり1,250円からと案内され、100ノード以下の場合の目安は年額90万〜150万円とされています。検出した弱点への対策の実装そのものは標準の範囲外で、必要に応じて別料金で依頼する形です。
専任のセキュリティ担当者がいない企業がどこまで対応を進められるかという点について、同社は次のように述べています。

スキルやご経験がなくても、問題なくご導入いただけます。当社のサービスの特徴は、客観的にネットワークの内部診断を行い、問題点の指摘だけで終わらずに、対策の仕方まできちんとアドバイスし、伴走してご実施いただく点です。毎月実施することで、対策のできた・できなかったことを定点観測します。加えて、翌月にはお客様ご自身で対応できるようになるところまで、しっかりフォローすることを行っています。
ここで挙げたのは、現状把握の入り口に使えるサービスの一例です。診断方法や費用相場、自社に合う選び方まで含めて脆弱性診断サービス全体を見比べたい場合は、次の比較記事をあわせてご覧ください。
まとめ
NIST CSF 2.0 は、統治・識別・防御・検知・対応・復旧の6つの機能でサイバーセキュリティの取り組みを整理するフレームワークです。旧版からは統治(GV)が新しく加わり、対象が重要インフラから全組織へと広がりました。コア・ティア・プロファイルの3つの部品を使い、現状と目標の差を埋める5つのステップで、自社の取り組みに落とし込めます。
その第一歩となるのが、識別(現状把握)です。自社の弱点をどこまで把握できているか不安がある場合は、脆弱性診断やネットワークリスク診断を使って可視化することから始めると、次に何をすべきかが見えてきます。
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よくある質問(FAQ)
Q. NIST CSF 2.0とは何ですか?
A. NIST CSF 2.0は、米国国立標準技術研究所(NIST)が公開する、サイバーセキュリティで達成すべき成果を分類して示したフレームワークです。成果を「どう実現するか」という具体的な手段までは規定せず、規模・業種・成熟度を問わず、どの組織でも自社の状況に当てはめて使えるよう設計されています。日本語では独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公式の翻訳を公開しています。
Q. NIST CSF 2.0は1.1から何が変わりましたか?
A. NIST CSF 2.0では、新たに「統治(GV)」機能が加わって機能が5つから6つになり、対象範囲が重要インフラから全組織へと広がりました。あわせて、統治の中にサプライチェーンリスクマネジメント(GV.SC)が位置づけられています。
実装例やクイックスタートガイドなどのオンラインリソースも用意されました。旧版の「重要インフラのサイバーセキュリティを改善するためのフレームワーク」という名称は、2.0では使われていません。
Q. NIST CSF 2.0とISO/IEC 27001(ISMS)はどちらを導入すべきですか?
A. NIST CSF 2.0とISO/IEC 27001は二者択一ではなく、役割が異なるため組み合わせて使えます。ISO/IEC 27001は認証機関が組織の適合性を評価する要求事項規格で、基準を満たしていることを対外的に示せます。一方、CSF 2.0は認証を前提としない自主的なフレームワークで、自社のリスクと優先順位を整理するための物差しです。
実務では、CSFで現状と優先度を見える化し、ISMSで具体的な管理策を体制として定着させる、という使い分けができます。
Q. NIST CSF 2.0はどこから始めればよいですか?
A. NIST CSF 2.0は、まず「識別(ID)」=自社の資産とリスクの現状把握から始めるのが現実的です。6つの機能すべてを一度に整えようとせず、現状プロファイルと目標プロファイルの差を埋める形で、優先順位をつけて進めます。
専任担当者がいない企業は、NISTの「スモールビジネス クイックスタートガイド」で機能ごとの着手例を確認できます。自社だけでは把握が難しい部分は、脆弱性診断などの外部サービスで可視化する方法もあります。
Q. NIST CSF 2.0に認証制度はありますか?
A. NIST CSF 2.0には、ISO/IEC 27001のような第三者による認証の制度はありません。CSF 2.0は達成すべき成果を示す自主的なフレームワークで、認証取得ではなく、自社のセキュリティ態勢を評価・改善し、経営層や取引先と共通の言葉で対話するための土台として使うものです。対外的に適合性を証明する必要がある場合は、ISO/IEC 27001(ISMS)などの認証制度を併用します。
Q. NIST CSF 2.0の公式な日本語訳はどこで読めますか?
A. NIST CSF 2.0の公式な日本語訳は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のウェブサイトで無料で公開されています。本体(NIST CSWP 29)の日本語訳に加えて、中小企業向けの「スモールビジネス クイックスタートガイド」やリソース&概要ガイドの日本語訳も読めます。原著は NIST が英語(NIST CSWP 29)で発行しています。
出典・参考資料(5件)
- 出典:NIST サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0 日本語訳|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 参考資料:The NIST Cybersecurity Framework (CSF) 2.0(NIST CSWP 29、原著)|NIST
- 出典:NIST サイバーセキュリティ フレームワーク 2.0: スモールビジネス クイックスタートガイド 日本語訳|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 参考資料:NIST サイバーセキュリティ フレームワーク 2.0: リソース&概要ガイド 日本語訳|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 出典:ISMS適合性評価制度の概要|情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















