不正アクセスやランサムウェア感染、情報漏えいといったセキュリティ事故が疑われるとき、社内だけで原因を調べて復旧まで進めるのは簡単ではありません。いま目の前で被害が広がっているかもしれない状況で、どこに連絡して何を頼めばよいのか、見当をつけるだけでも手間がかかります。
事故対応を外部の専門会社に依頼しようとしても、緊急の初動だけを頼みたいのか、原因や漏えい範囲を突き止めるフォレンジック調査まで必要なのか、あるいは平時から備えておきたいのかによって、適した依頼先は変わります。費用もスポットの見積もりから年間契約まで幅があり、依頼先を絞り込むには会社ごとの違いを整理して見比べる必要があります。
本記事では、インシデント対応を依頼できる会社を支援の形態で5つのタイプに整理したうえで、対応範囲・緊急受付体制・費用の考え方・事前契約の有無で各社を見比べられるようにまとめました。
依頼先のタイプの違い、各社を横断した比較、自社に合う依頼先の選び方、費用相場と契約形態、そして事故発生時・平時それぞれの依頼の進め方まで整理しています。自社の状況に合う依頼先を数社に絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて適した依頼先を最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、セキュリティ事故が起きたとき、またはそれに備えたいときに、調査や対応を外部に依頼できる会社に絞って比較します。具体的には、攻撃を受けた直後の初動対応、原因や被害範囲を突き止める調査、平時からの備えや体制づくりを支援する会社が対象です。
ウイルス対策ソフトやファイアウォールといった、事故を防ぐための製品そのものは本記事の対象ではありません。ただし、攻撃の兆候を検知する仕組みや平時の備えは事故対応と地続きのため、関連する範囲で後述の「平時にやっておく備え」で触れます。
事故対応の依頼先ではなく、不正アクセスやマルウェアを防ぐ製品そのものから社内のセキュリティ全体を見直したい場合は、守る対象別にソリューションを整理した以下の記事もご覧ください。
社内セキュリティソリューション比較|守る対象別のタイプ・代表サービスと選び方
社内のセキュリティを強化したいものの、端末の保護から不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで課題が広く、何から手をつければよいか判断がつかないという声は少なくありません。テレワークやクラウド利用が定着し、社外に持ち出される端末やIDが増えたこ…
インシデント対応を依頼できる会社のタイプ
インシデント対応を依頼できる会社は、支援の形態とタイミングで大きく5つのタイプに分けられます。どのタイプが自社に合うかは、いま事故対応が必要なのか平時の備えなのか、どこまで任せたいかによって変わります。多くの会社は複数のタイプをまたいで提供しているため、主にどの支援を得意とするかという視点で見てください。

緊急の初動対応型
事故が起きた直後の封じ込めと被害拡大の防止を中心に担うタイプです。感染端末の隔離やネットワークの遮断、証拠の保全といった、時間との勝負になる初動を支援します。24時間365日の緊急窓口を設け、連絡を受けてすぐに動ける体制を強みにしている会社が多く、まさに今対応が必要な場合の最初の依頼先になります。
フォレンジック調査型
侵入の原因や経路、情報が漏えいしたかどうか、どこまで被害が及んだかを、ログやディスクの技術的な解析で突き止めるタイプです。得られた結果は、個人情報保護委員会への報告や取引先への説明、再発防止策の検討の土台になります。マルウェア解析やディスクの保全・解析など、専門性の高い技術力が問われる領域です。
事前契約(リテーナー)型
平時のうちに年間契約を結んでおき、事故が起きたときに優先的に対応してもらうタイプです。いざというときに「どこに頼めるか」を探す時間を省けるうえ、契約のなかで体制づくりや訓練まで支援する会社もあります。対象を一定規模以上の企業に限る場合があり、自社が条件に合うかを事前に確認しておくと安心です。
SOC・MDR連動型
ネットワークや端末の監視(SOC・MDR)と事故対応を一体で提供するタイプです。平時から監視しているぶん、異常を早く検知でき、事故につながる動きをつかんだ段階から調査・対応へ切れ目なく移れる点が強みです。監視を任せている延長で事故対応まで任せたい場合の選択肢になります。
総合危機管理型
技術的な調査・対応に加えて、広報対応や法務、経営層の意思決定の支援まで含めて、危機管理全体を支えるタイプです。海外拠点を含むグローバルな事故や、社会的な影響が大きい事案で、技術面だけでなく対外説明や事業継続まで一貫して相談したい場合に向きます。大手のコンサルティング会社やグローバルのリスク専門会社が担うことが多い領域です。
各タイプの特徴を整理すると、以下のとおりです。どのタイプにどの会社が当てはまるかは、このあとの比較表「得意な支援の形」の列で確認できます。
| 特徴 | |
|---|---|
| 緊急の初動対応型 | 事故直後の封じ込め・証拠保全など初動を支援。24時間365日の緊急窓口を持つ会社が多い。 |
| フォレンジック調査型 | ログ・ディスクの解析で原因・経路・漏えい有無を技術的に究明。報告や再発防止の土台を作る。 |
| 事前契約(リテーナー)型 | 平時に年間契約を結び、事故時に優先対応。体制づくりや訓練まで含む場合もある。 |
| SOC・MDR連動型 | 監視(SOC/MDR)と事故対応を一体で提供。検知から対応へ切れ目なく移れる。 |
| 総合危機管理型 | 技術対応に加え広報・法務・経営判断まで支援。グローバル事案や社会的影響の大きい事案向き。 |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別のサービスの対応範囲や提供形態は各社情報をご確認ください。
多くの専門会社は、初動から調査、平時の備えまで複数のタイプにまたがって提供しています。自社の状況に照らして「まず何を頼みたいか」を起点に、その支援を得意とする会社を候補にしてください。
依頼先の選び方(見るべき判断基準)
タイプを絞ったら、次は自社に合う依頼先をさらに見極めます。事故対応は緊急度が高く、任せきりにできない部分も残るため、次の観点で各社を見比べてください。
緊急時にすぐ連絡がつき、動いてもらえるか
事故対応では、連絡してから動き出すまでの速さが被害の大きさを左右します。24時間365日の受付があるか、受付が平日の日中に限られるかは会社によって異なります。夜間や休日に事故が起きても連絡がつくか、受付のあと実際に調査へ着手するまでにどれくらいかかるかを、依頼前に確認しておくと安心です。契約済みの企業を優先する会社もあるため、初めて相談する場合に即応してもらえるかという視点も欠かせません。
頼みたい範囲に、その会社の強みが合っているか
初動の封じ込めを急ぎたいのか、原因究明のフォレンジック調査を深く行いたいのか、復旧や再発防止まで伴走してほしいのかで、適した会社は変わります。自社が守りたい対象(社内ネットワーク・クラウド・端末など)に、その会社の調査・対応が対応しているかも見てください。海外拠点が関わる事故なら、グローバルで一貫して対応できるかが判断材料になります。
社内に知見を残し、外部への依存を抑えられるか
専任のセキュリティ人材を置きにくい企業では、事故対応をすべて外部に任せたくなります。ただ、丸投げにすると同じ事故を繰り返したときに自社で判断できず、毎回ゼロから依頼することになりがちです。報告会で経緯や対策を自社の担当者にも共有してもらえるか、再発防止策を自社で運用できる形に落とし込んでくれるかなど、知見が社内に残る進め方を選べるかを確認しておくと、中長期の負担を抑えられます。
専任の担当者を置けず、管理する端末も少ない中小企業の場合は、まず相談や見積もりを無料で受け付けてスポット対応できる会社に連絡し、自社の規模や状況を伝えて、対応できる範囲と費用を確認するところから始めると現実的です。はじめから年間契約を結ばなくても、事故時のスポット依頼として相談できます。
依頼先の信頼性を客観的に確かめられるか
事故対応では、調査のために社内の機密情報を外部に預けることになります。信頼できる依頼先かを客観的に確かめる手がかりの一つが、経済産業省が策定した「情報セキュリティサービス基準」への適合です。
基準に適合すると審査登録機関が認めたサービスは、IPA(情報処理推進機構)が公開する適合サービスリストに掲載され、デジタルフォレンジックの区分も設けられています。
適合性の審査は日本セキュリティ監査協会(JASA)などの審査登録機関が行い、IPAはリストの調査・公開を担う役割分担になっています。そのため「国のお墨付き」と過度に受け取らず、第三者の審査を通っているかを確かめる一つの材料として見てください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト|情報処理推進機構(IPA)(https://www.ipa.go.jp/security/service_list.html)
ここまでタイプと選び方を見てきましたが、自社にどのタイプ・どの会社が合うか迷うこともあります。そのようなときは、いまの状況や頼みたい範囲から候補を絞り込める診断ツールをお使いください。いくつかの質問に答えるだけで、条件に近いサービスが表示されます。
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【比較表】インシデント対応を依頼できる会社の比較
インシデント対応を依頼できる会社を、得意な支援の形・緊急受付体制・フォレンジック調査への対応・事前契約の有無・費用の形といった観点で横断的に比較します。自社の状況や予算と照らし合わせながらご確認ください。
表は掲載順で並べており、会社の順位や優劣を示すものではありません。緊急の初動を急ぐ場合は「緊急受付体制」の列で24時間365日対応の会社を確認してください。各社の対応範囲や料金は変わることがあるため、依頼前に最新の情報を各社へご確認ください。
| サービス名 | CoWorker 端末侵害診断 | GMOサイバーセキュリティ byイエラエ | NRIセキュア | ラック サイバー119 | S&J | コントロール・リスクス | サイバーディフェンス研究所 | ブロードバンドセキュリティ | デジタルデータフォレンジック | マクニカ | フューチャーセキュアウェイブ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 得意な支援の形 | フォレンジック調査 (端末侵害診断) | フォレンジック調査 事前契約 | フォレンジック調査 | 緊急初動 事前契約 総合危機管理 | 緊急初動 SOC連動 | 総合危機管理 | フォレンジック調査 | 緊急初動 フォレンジック調査 | フォレンジック調査 緊急初動 | 緊急初動(止血) 事前契約 SOC連動 | 緊急初動 フォレンジック調査 総合危機管理 |
| 緊急受付体制 | 事前申込型の診断 (緊急窓口の記載なし) | 24時間365日 (電話) | 公式記載なし (「今すぐ相談」窓口) | 24時間365日・予約不要 (電話) | 公式記載なし (フォーム・電話) | 24時間ホットライン (英語拠点。日本語はフォーム) | 公式記載なし (電話・メール) | 24時間365日 (電話・Webフォーム) | 24時間365日・有人 (電話) | 平日9〜17時 (緊急専用窓口ではない) | 24時間受付 (専用窓口) |
| フォレンジック調査 | ●自社AI「Blue Agent」解析 | ●経産省基準に登録・証拠保全に対応 | ●専用ラボ・SANS GIAC資格者 | ●サイバー救急センターが実施 | ●自社ツール「K9」「IRCollector」 | ●エンドポイント・NWを解析(CREST認定) | ●自社ツールCDIR・経産省基準登録 | ●PFI認定の調査機関 | ●証拠保全・解析が主力(経産省基準登録) | △ファストフォレンジック中心(深掘りは別途) | ●経産省基準フォレンジック登録 |
| 事前契約(リテーナー) | △定期診断プランあり(年1〜2回) | ●年間契約あり(あんしんプラン) | △平時の侵害調査メニューあり | ●年間「LAC IRR」(従業員300名以上) | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | △平時の基本契約は無償(年間契約の記載なし) | 公式記載なし | △事前契約の案内あり(条件は非公開) | 公式記載なし |
| 費用の形 | 1台あたりの単価制 (無料相談・要見積もり) | 要お問い合わせ (スポット/年間契約) | 要お問い合わせ (個別見積もり) | 要お問い合わせ (スポット/年間契約) | 要お問い合わせ (相談無料・調査以降有償) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (初動アドバイスは無料) | 要お問い合わせ (相談・見積もり無料) | 要お問い合わせ (相談・見積もり無料) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (見積もりまで無料) |
| こんな企業に向く | 退職者PCの持ち出し調査や、平時の定期的な侵害チェックをしたい企業 | 24時間窓口で相談でき、診断から事故対応まで年間契約でまとめたい企業 | 250台以上の大規模環境で起きた事故を調査したい企業 | いますぐの緊急初動から広報・復旧まで一括で任せたい企業 | 100台規模を短期間で調査したい/監視と事故対応を一体で任せたい企業 | 海外拠点を含むグローバルな事案を各地域の専門家と進めたい企業 | 高度なフォレンジック・マルウェア解析を専門家に深く依頼したい企業 | 24時間窓口で初動から復旧まで、カード情報漏えい調査も任せたい企業 | 24時間・現地対応で機器の証拠保全・解析を急ぎたい企業(内部不正含む) | 初動の止血を急ぎたい/CSIRT構築・演習まで平時に備えたい企業 | 課題整理から事故対応・教育まで一貫して任せたい企業(官公庁・医療など) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※対応範囲・緊急受付体制・費用・契約形態は変動する場合があります。最新で正確な情報は、各社の公式情報や見積もりでご確認ください。
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インシデント対応を依頼できる会社(サービス個別紹介)
比較表で取り上げた各社の特徴を、個別に紹介します。得意とする支援の形や対応できる範囲はそれぞれ異なるため、自社の要件に近いものを見比べてください。
1. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

退職した社員のPCやサーバーに不正な持ち出し・侵害の痕跡が残っていないかを、専用ツールで集めたログから事後に調べる端末フォレンジック診断サービスです。
事故の発生中に初動を担う緊急窓口ではなく、退職者PCの持ち出し確認や脆弱性の公表後の侵害有無の確認など、平時・事後の侵害調査に使う位置づけです。
CoWorker株式会社が自社開発したAI「Blue Agent」で大量のログを解析し、セキュリティ専門家が結果を精査する二段構えで進めます。
常時監視する製品とは異なり、退職時やインシデントが疑われたとき、年1〜2回の棚卸しといったタイミングを区切って実施します。マルウェア感染や認証情報の漏えい、USB・クラウド経由の持ち出し、生成AIツールの利用ログまでを調査対象とし、速報は1週間以内、最終レポートと報告会は1か月以内に提供します。WindowsとMacに対応し、最大100台までの一括診断が可能です。
料金は端末1台あたりの単価制で、台数が増えるほど1台あたりの金額は下がります。事故が起きてからの調査だけでなく、平時に「すでに侵害されていないか」を定期的に確かめたい企業に向くサービスで、正確な費用は対象範囲に応じた見積もりで確認します。
こうした事後調査がどのような場面で依頼されているのか、CoWorker株式会社の一ノ瀬氏は次のように話しています。

多いのは、退職された方のPCから情報の持ち出しがなかったかを確かめたいという、内部不正の調査のご相談です。最近では、Webサービスで広く使われているソフトウェアに深刻な脆弱性が公表されたことをきっかけに、「自社のサーバーや端末がすでに侵害されていないか、まずは手早く確かめたい」というご相談も増えています。
2. デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス支援(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社)

攻撃や情報漏えいが起きた後に、証拠保全からログ・証跡の解析、調査報告書の作成までを担うフォレンジック調査・インシデントレスポンス支援です。削除データの復元やタイムライン化まで行い、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社が事後調査として提供しています。
証拠保全はエンジニアの現地派遣と端末の受領の両方に対応し、調査対象はWindows・macOS・Linuxの各OSからスマートフォン、AWS・Azure・GCPなどのクラウドまで広く扱います。緊急相談の窓口は24時間365日・電話(0120-362-360)で受け付けており、事故の疑いが生じた時点から相談できます。
経済産業省の情報セキュリティサービス基準に「デジタルフォレンジックサービス」として登録されています(登録番号019-0004-30)。2026年9月末からは、脆弱性診断やインシデント対応などを年間契約でまとめて利用できる「あんしんプラン」も提供しています。料金はいずれも要お問い合わせです。
3. セキュリティ事故対応支援サービス(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

事故が起きた後の原因調査から被害範囲の特定、再発防止までを扱うコンサルティング型の事故対応支援サービスです。NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が2006年から提供しています。
調査メニューは、250台以上の大規模環境のインシデントに特化した「Incident Response」と、平時に侵害の有無を先回りで調べる「Compromise Assessment」に分かれます。個別にフォレンジックやマルウェア解析、ログ解析も組み合わせられます。専用のフォレンジックラボを備え、SANS GIACなどの資格を持つコンサルタントが中心となって対応します。
報告は、調査概要をまとめた速報を先に出し、その後に最終報告書を提出する二段階です。250台以上の大規模な環境を対象にした調査メニューを備えている点が特徴で、料金は対応期間・内容・調査対象数に応じた個別見積もりとなります。
4. サイバー救急センター/サイバー119(株式会社ラック)

株式会社ラックが運営する「サイバー救急センター」の緊急対応サービスで、スポットで依頼する「サイバー119」と、年間の事前契約「LAC IRR」の2つの形があります。
緊急のホットライン(0120-362-119)は24時間365日・予約不要で受け付けています。初動対応から機器の保全、フォレンジック調査、被害拡大の防止、対外コミュニケーションや広報、復旧、再発防止までを一連のプロセスとして支援します。公表後のSNSやダークウェブの監視まで範囲に含めている点も特徴です。公式サイトでは国内外5,300件以上の対応実績を掲げています(集計時点の記載はありません)。
年間契約のLAC IRRは、従業員300名以上で、インシデント対応の責任者と対応組織が社内に定義済みであることが条件です。料金はいずれも要お問い合わせで、スポット対応は規模と調査範囲に応じて見積もられます。
5. S&J インシデント対応支援(S&J株式会社)

自社開発のフォレンジックツール「K9」「IRCollector」を使い、100台単位の端末を短期間で調べられる体制を持つS&J株式会社のインシデント対応支援です。トリアージからログ調査、感染経路・影響範囲の特定、封じ込め計画、ファストフォレンジックまでを経験豊富なアナリストが担います。
緊急の相談はフォームと電話(03-6205-8500)で受け付けます。最初の相談は無償で、インシデントではないと判断された場合も費用はかかりません。調査以降が有償となり、金額は案件ごとの見積もりです。
24時間365日監視のSOCアウトソーシングやEDR監視を別メニューで提供しており、2026年1月には事故対応の拠点としてSOCを開設しています。監視と事故対応を一体で任せたい場合の選択肢になります。
6. サイバーインシデント対応(コントロール・リスクス)

1975年から危機管理を手がけてきたコントロール・リスクスが、グローバル体制で提供するサイバーインシデント対応サービスです。事故の封じ込め・調査・復旧を、地域ごとの専門家が支援します。
デジタルフォレンジックによる被害範囲・影響の分析に加え、攻撃者を把握する脅威インテリジェンス、ディープウェブ・ダークウェブの監視、金銭要求(デジタル恐喝)への意思決定の支援、漏えいしたデータの分析までを一つのサービスに含めます。海外拠点を含むグローバルな事案を、各地域の専門家と連携して扱える点が強みです。
英語の公式ページでは、インシデント対応・脅威インテリジェンスに関するCRESTの認定や、英国NCSCの認定(CIR Standard Level)を挙げ、24時間対応のホットラインを掲げています。日本語ページからの問い合わせはフォームで受け付けており、料金は要お問い合わせです。
7. フォレンジック調査・インシデント対応(株式会社サイバーディフェンス研究所)

初動対応の支援から、フォレンジック調査・マルウェア解析・ログ分析といった本格的な調査、復旧支援と再発防止策の助言までをワンストップで引き受けるサービスです。株式会社サイバーディフェンス研究所が提供しています。
電話・メールで事故直後の相談を受け付け、被害拡大の防止と証拠保全に関する初動のアドバイスは無料で提供されます。調査はWindows中心のファストフォレンジックと、ディスク・メモリ・ログを総合的に解析するフルフォレンジックに分かれ、調査期間の目安は最短1週間程度から1か月程度です。
経済産業省の情報セキュリティサービス基準に「デジタルフォレンジックサービス」として登録されています(登録番号018-0006-30)。警察庁・検察庁・防衛省などのフォレンジック専門家向けトレーニングを手がけてきた点も挙げられています。料金は調査内容・予算・期間に応じた個別提案で、要問い合わせです。
8. 緊急対応支援・インシデントレスポンス(株式会社ブロードバンドセキュリティ)

緊急対応から初動調査、封じ込め、原因調査、影響範囲の特定、フォレンジック調査、復旧支援、再発防止策の策定までをワンストップで担う事故対応支援です。株式会社ブロードバンドセキュリティが提供し、技術者が企業に出向いて事象を把握する対応にも応じます。
緊急対応の窓口は電話(0120-085490)・Webフォームとも24時間365日で受け付けています。クレジットカード情報の漏えい調査に対応するPFI(PCI Forensic Investigator)の認定調査機関で、対応地域は日本・韓国をはじめとするアジア太平洋地域に及びます。
平時の基本契約は無償で結べ、ネットワーク構成図などの初動資料を事前に預けられます。初動対応の準備支援(参考価格180万円〜)やCSIRT(セキュリティ事故対応の専門チーム)の構築・運用支援(同500万円〜、いずれも税抜・フォレンジック調査費は別)といった平時メニューも公開しています。緊急対応本体は、相談・見積もりが無料で、実額は要お問い合わせです。
9. デジタルデータフォレンジック(デジタルデータソリューション株式会社)

デジタルデータソリューション株式会社が「デジタルデータフォレンジック(DDF)」のブランドで提供する、デジタル機器から証拠を保全・解析する調査サービスです。ランサムウェアや不正アクセス、標的型攻撃、情報漏えいから、横領やデータ持ち出しといった内部不正まで幅広く扱います。
相談の受付は24時間365日・有人対応(電話0120-900-952)で、問い合わせ後は状況確認と見積もりの打ち合わせを経て、対象機器の保全、調査・解析、報告書の作成へと進みます。機器の保全は現地での作業や夜間対応にも応じ、ランサムウェアでは法人向けに現地駆けつけを用意しています。
相談・機器状態の確認・見積もりは無料で、見積もり提示後も調査開始前であればキャンセル費用はかかりません。経済産業省の情報セキュリティサービス基準への登録(登録番号022-0007-20・022-0007-30)やISO 27001、プライバシーマークを取得しています。費用は対象機器の数やデータ量、調査の深さに応じて変わり、要問い合わせです。
10. マクニカ セキュリティサービス(株式会社マクニカ)

株式会社マクニカが、インシデント対応の初動支援を中心に、脅威ハンティング、CSIRTの構築支援・演習までをメニューとしてそろえるセキュリティサービスです。初動支援はBlackpanda社との共同提供で、攻撃の無効化による被害拡大の防止(止血)に範囲を絞っています。
ファストフォレンジックのツールで、端末・ID・ネットワーク・クラウドを対象にデータを分析し、報告と助言を行います。CSIRTの構築支援では、体制図や役割の整備、対応手順書・フローの作成、机上演習までを支援し、強化演習はS&J社の専門家が担当します。
IR担当への問い合わせ窓口は電話(045-476-2010)・メールで平日9時から17時までの受付です(緊急時の受付専用窓口ではない点に注意が必要です)。事前契約を結んでおくと攻撃の無効化をスムーズに進められると案内されており、料金は要お問い合わせです。
11. セキュリティ事故対応(フューチャーセキュアウェイブ株式会社)

課題整理から企画立案、事故対応、教育、ルール整備までを「セキュリティライフサイクル」として一貫支援するフューチャーセキュアウェイブ株式会社の事故対応サービスです。2025年に複数社の合併を経て現在の社名となり、公式には40年の実績を掲げています。
事故時には、初動対応や保全支援、広報対応支援といった初動から、証拠保全・機器やログの解析による侵害原因・被害範囲の特定、インターネット上の漏えい情報の調査までを担います。対応後には詳細な調査報告書を作成します。必要に応じてJPCERT/CCやIPAと連携する体制も示しています。
インシデント対応の専用窓口(03-5677-5070)は24時間受け付けており、一般の問い合わせ電話は平日9時から17時までです。経済産業省の情報セキュリティサービス基準に監査・ペネトレーションテスト・コンピュータフォレンジックの区分で登録し、警視庁サイバーセキュリティ対策本部や各県警察、民間企業への導入事例を公表しています。料金は見積もりまで無料で、実額は要お問い合わせです。
インシデント対応会社に頼める範囲と、自社でやるべきこと
セキュリティ事故への対応は、検知・連絡から被害拡大を止める封じ込め、原因や被害範囲を調べる調査、システムの復旧、再発防止、そして取引先や監督官庁などへの説明まで、多くの工程に分かれます。このうち専門会社に依頼できるのは主に調査と対応の部分で、自社でやるべきことも残ります。本節では、その線引きを整理します。

専門会社に頼めるのは、感染端末の隔離や通信の遮断といった初動の判断支援、ログやディスクの解析による原因・被害範囲の究明、復旧手順の助言、再発防止策の提案、報告書の作成などです。事故の全体像が見えていない段階でも、何を調べ、どの順で手を打つべきかを示してもらえる点に、外部へ依頼する大きな価値があります。
一方で、自社でやるべきことも残ります。社内の関係者への連絡や意思決定、業務を止めるかどうかの判断、個人情報保護委員会への報告や本人・取引先への通知は、最終的に自社の責任で行う必要があります。とりわけ個人データの漏えいが疑われる場合、個人情報保護法で報告と通知が義務づけられています。
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。
出典:個人情報の保護に関する法律 第26条第1項(2022年4月施行)|e-Gov法令検索
報告が必要になるのは、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害のおそれがある場合、不正の目的によるおそれがある行為による場合、本人の数が1,000人を超える場合のいずれかに当たる事態です(同法施行規則第7条)。不正アクセスやランサムウェアなどサイバー攻撃が原因の漏えいは、件数にかかわらず報告対象になり得ます。
報告は、事態を知ったあと速やかに行う「速報」と、その後に詳細をまとめる「確報」の二段階です。個人情報保護委員会は速報の目安を発覚から3〜5日以内としており、確報は発覚日から30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)と施行規則で定められています。
前項の場合において、個人情報取扱事業者は、当該事態を知った日から三十日以内(当該事態が前条第三号に定めるものである場合にあつては、六十日以内)に、当該事態に関する前項各号に定める事項を報告しなければならない。
出典:個人情報の保護に関する法律施行規則 第8条第2項|e-Gov法令検索
専門会社が行う調査結果は、これらの報告・通知の内容を固めるための根拠になります。どこまでを依頼し、どこからを自社で担うかを、依頼の段階ですり合わせておくことが大切です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律 第26条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
- 出典:個人情報の保護に関する法律施行規則 第7条・第8条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/428M60020000003)
- 参考資料:個人データの漏えい等事案が発生した場合等の対応について|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/leakAction/)
個人データの漏えいが疑われるとき、初動から個人情報保護委員会への報告、再発防止までを自社としてどう進めればよいかは、以下の記事で手順に沿って解説しています。
費用相場と契約形態(スポット緊急対応/事前契約リテーナー)
インシデント対応の費用は、依頼する範囲や事故の規模によって大きく変わります。多くの会社が料金を公開しておらず、調査の対象や期間、緊急度に応じた個別見積もりとしているため、ここでは費用の決まり方と契約形態の考え方を整理します。
スポットの緊急対応・フォレンジック調査
事故が起きてから単発で依頼する形です。費用は調査する端末やサーバーの台数、ログの量、調査にかける期間、緊急度によって見積もられます。初回の相談や見積もりは無料としている会社が多い一方、実際の調査費用は対象の規模しだいで数十万円から数百万円まで開きます。
ランサムウェアのように広範囲の端末を調べる必要がある事故では、台数が増えるほど費用も大きくなります。見積もりを依頼する際は、調べる対象の範囲と、どこまでの報告書を求めるかを明確に伝えると、金額のぶれを抑えられます。
事前契約(リテーナー)・平時の備え
平時のうちに年間契約を結んでおく形です。事故時に優先的に対応してもらえるほか、体制づくりや訓練まで含む契約もあります。費用は年額での提示が多く、対象範囲や含まれる支援内容によって変わります。
たとえば、事故に備えた初動対応の準備支援やCSIRTの構築・運用支援といった平時メニューでは、参考価格として初動対応準備支援が180万円から、CSIRT構築・運用支援が500万円から(いずれも税抜・フォレンジック調査費用は別)といった水準を示している会社もあります。
自社の規模や求める体制に応じて、どこまでを平時に備え、どこからを事故時のスポット対応に委ねるかを設計することになります。
いずれの形でも、実際の金額は各社の見積もりで確認するのが確実です。比較表では公開されていない費用を「要お問い合わせ」としているのはこのためで、候補を数社に絞ったうえで見積もりを取り、範囲と金額を見比べることをおすすめします。
依頼の進め方(事故発生時の連絡と平時の備え)
事故が起きたときに迷わず動けるよう、発生時の連絡と依頼の流れ、そして平時にやっておきたい備えを順に整理します。連絡経路は、事故が起きてから探すのではなく、平時に決めておくほど初動が速くなります。
事故が起きたときの連絡先と依頼の流れ
事故を疑ったら、おおむね次の順で進めることになります。まず社内の関係者に連絡して状況を共有し、被害が広がらないよう自社で感染端末の隔離や通信の遮断を検討します。
このとき、原因究明のために証拠となるログやディスクの状態を保全しておくことが重要で、やみくもに再起動や初期化をすると、後の調査で原因をたどれなくなることがあります。そのうえで専門会社に連絡し、調査・封じ込め・復旧・再発防止・対外説明のどこまでを依頼するかを相談することになります。
依頼と並行して自社でも動けるよう、発生直後の初動の順序と、証拠を失わないために避けるべき操作をより詳しく確認したい場合は、以下の記事で手順に沿って整理しています。
有料の専門会社に依頼する前に、公的な相談窓口を頼ることもできます。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ安心相談窓口」は、ウイルスや不正アクセスに関する技術的な相談にアドバイスを提供する窓口です。電話番号は03-5978-7509、受付は平日10時から17時まで(土日祝日・年末年始を除く)で、相談は無料です(通話料は自己負担)。ただし助言が中心で、調査や復旧の実働は行いません。
もう一つの公的な窓口がJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)です。初動対応のサポートや、改ざんサイト・マルウェア公開サイトへの対応などを、報告内容に応じて関係先への連絡・調整という形で支援します。
報告はWebフォームまたは電子メールで受け付けており、原則として電話では受け付けていません。捜査や法的対応の代行、個別製品の使い方の相談には対応しないため、封じ込めや復旧、フォレンジック調査といった実働は、民間の専門会社に依頼することになります。公的窓口と専門会社は役割が異なるので、状況に応じて両方に連絡するのが現実的です。
個人データの漏えいが疑われる場合は、前述の「頼める範囲と自社でやるべきこと」で触れたとおり、個人情報保護委員会への報告が期限つきで義務づけられています。期限に間に合わせるには、原因や被害範囲を早く突き止める調査が欠かせません。
そのため依頼先選びでは、調査結果を報告義務の期限内に報告できる形(報告書の様式や提出までのスピード)でまとめてもらえるかを確認しておくと安心です。自社側で進める対応の手順そのものは、前掲のインシデント対応の手順や個人情報漏えい時の対応フローの記事に沿って確認できます。
出典・参考資料(2件)
- 出典:情報セキュリティ安心相談窓口|情報処理推進機構(IPA)(https://www.ipa.go.jp/security/anshin/about.html)
- 出典:インシデントの対応依頼|JPCERTコーディネーションセンター(https://www.jpcert.or.jp/form/)
平時にやっておく備え(事前契約・訓練・連絡経路)
事故対応の速さは、平時の備えでほぼ決まります。専任の担当者を置きにくい企業でも、現実的に取り組める備えがあります。一つは、連絡経路を事前に決めておくことです。社内の誰がどの順で判断し、どの専門会社や公的窓口に連絡するかを文書にしておくだけで、初動の迷いが大きく減ります。
もう一つが、事前契約(リテーナー)やCSIRTの構築・運用支援、模擬訓練の活用です。国が公開する経営ガイドラインでも、事故に備えた体制づくりは経営者が取り組むべき項目に挙げられています。
指示7 インシデント発生時の緊急対応体制の整備
出典:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0 重要10項目|経済産業省・IPA
平時の備えには、事故が起きる前に兆候をつかむ仕組みも含まれます。たとえば、社内ネットワークを流れる通信を記録して不審な動きを検知する仕組みや、機器の弱点を定期的に点検するパッケージを平時に導入しておくと、事故の早期発見や被害の抑制につながります。こうした検知・備えのサービスは、事故対応の専門会社とあわせて検討する価値があります。
社内ネットワークの通信を記録して不審な動きを検知したい場合は、次のようなサービスが候補になります。
社内機器の弱点を定期的に点検し、サイバー保険まで含めて平時の備えを固めたい場合は、次のようなパッケージもあります。
すでにUTMやEDRといった対策を導入している企業でも、それが実際に機能しているかを点検する意味について、KATABAMIを提供する株式会社SYNCHROの北口氏は次のように話しています。

すでに対策をされている企業の場合は、UTM(ファイアウォール機能付きルーター)やアンチウイルスソフト、EDR、NDRなどが導入されています。ただ、それらが適切に機能しているかどうかは、やはりチェックしたくなるものです。すり抜けてきたウイルスの被害や、ファイアウォールが無効化されてエンドポイントに攻撃が届くような事例も増えていますので、現状の対策がどの程度機能しているかを客観的に診断したい、というニーズが多いです。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0|経済産業省・情報処理推進機構(IPA)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/mng_guide.html)
依頼前に確認したい注意点(失敗を避けるチェックリスト)
依頼先を選ぶ前に、次の点を確認しておくと、事故対応でありがちな失敗を避けられます。
- 目的と範囲を明確にする:原因究明を優先するのか、早期復旧を優先するのかで進め方が変わります。何を一番に達成したいかを決めてから依頼すると、調査範囲と費用のぶれを抑えられます。
- 社内に知見を残す設計にする:丸投げにすると、同種の事故が再び起きたときに自社で判断できません。報告会や再発防止策の共有を通じて、対応の経緯が社内に残る進め方を選びます。
- 外部に渡す情報を最小限にする:調査には社内の機密情報を預けることになります。渡す情報の範囲と取り扱い、調査後のデータの扱いを事前に取り決めておきます。
- 監視と事故対応の責任の分かれ目を確認する:監視を別の会社に任せている場合、どこまでが監視側の役割で、どこからが事故対応側の役割かを明確にしておかないと、対応が宙に浮くことがあります。
- 自社に近い被害を想定して確かめる:自社の業種や扱う情報に近い事故への対応経験があるか、対応できる事故の種類に自社の懸念が含まれるかを確認しておくと、いざというときの安心につながります。
まとめ
インシデント対応を依頼できる会社は、緊急の初動対応、フォレンジック調査、事前契約、監視との連動、総合的な危機管理という支援の形で整理すると、自社に合う依頼先を見極めやすくなります。いま事故対応が必要なのか平時の備えなのか、どこまで任せたいかを起点にタイプを絞り、緊急時の連絡のつきやすさ、頼みたい範囲との相性、社内に知見が残るか、第三者の審査を通っているかといった観点で各社を見比べてください。
費用は公開されていない会社が多いため、候補を数社に絞ったうえで見積もりを取り、範囲と金額を見比べるのが確実です。事故が起きてから探し始めるより、平時に連絡経路と依頼先の当たりをつけておくことが、初動の速さと被害の抑制につながります。各社の資料をまとめて取り寄せて、比較の出発点にしてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. インシデント対応とは何ですか?
インシデント対応とは、不正アクセスやマルウェア感染、情報漏えいといったセキュリティ事故の発生から収束までの一連の対応を指します。具体的には、事故の検知と連絡、被害拡大を止める封じ込め、原因や被害範囲を調べる調査、システムの復旧、再発防止策の実施、取引先や監督官庁への説明までが含まれます。
外部の専門会社に依頼できるのは、このうち主に調査と対応の部分で、社内への連絡や最終的な意思決定、監督官庁への報告は自社に残ります。
Q. インシデント対応は中小企業でも依頼できますか?
インシデント対応は、事故が起きてから単発で依頼するスポット対応であれば、企業規模を問わず相談できます。相談や見積もりを無料とする会社が多く、専任のセキュリティ人材がいない企業でも初動から任せられます。一方で、平時に結ぶ事前契約(リテーナー)は従業員数などの条件を設ける会社があるため、自社が対象になるかを事前に確認しておくと安心です。
Q. インシデント対応の費用はどのくらいかかりますか?
インシデント対応の費用は料金を公開していない会社が多く、調査する端末の台数・ログの量・期間・緊急度に応じた個別見積もりが中心です。スポットの緊急対応は対象の規模しだいで数十万円から数百万円まで開き、事前契約(リテーナー)は年額での提示が多くなります。料金が公開されていないこと自体は不信の材料ではなく、調べる対象・期間・求める報告書をそろえた同じ前提で複数社の見積もりを比べるのが確実です。
Q. インシデント対応を依頼すると、どんな報告書や成果物が得られますか?
インシデント対応会社に依頼すると、原因・侵入経路・被害範囲や情報漏えいの有無をまとめた調査報告書が、主な成果物として得られます。多くの会社は、概要を先に伝える速報と、詳細をまとめる最終報告書の二段階で提出し、再発防止策の提案や報告会での説明までを行います。
これらの報告書は個人情報保護委員会への報告や取引先への説明の根拠として使えるため、報告・通知に使える形でまとめてもらえるかを依頼前に確認しておくと安心です。
Q. 夜間や休日に事故が起きても、すぐ対応してもらえますか?
24時間365日の緊急窓口を設けている会社なら、夜間や休日でも連絡がつき、初動対応に動いてもらえます。ただし受付が平日の日中に限られる会社もあり、契約済みの企業を優先する場合もあります。受付の時間帯と、連絡してから実際に調査へ着手するまでの速さは会社ごとに異なるため、初めて相談する場合でも即応してもらえるかを事前に確かめておくことが大切です。
Q. インシデント対応と脆弱性診断やSOC(監視)は何が違いますか?
インシデント対応は事故が起きた後(またはその疑いが生じたとき)の調査・封じ込め・復旧を担うのに対し、脆弱性診断は平時に弱点を点検する備え、SOC(監視)は異常を検知する平時の仕組みという違いがあります。
SOCは検知と一次連絡が中心で、原因究明や復旧は別契約になることが多く、監視を任せている会社にそのまま事故対応まで頼めるとは限りません。監視から事故対応まで一体で任せたい場合は、両方に対応できる会社かを確認してください。
Q. 調査のために社内の機密情報を外部に渡しても大丈夫ですか?
インシデント対応では調査のために社内の機密情報を預けることになるため、渡す情報の範囲と取り扱い、調査後のデータの扱いを依頼前に取り決めておくことが欠かせません。
信頼できる依頼先かを客観的に確かめる手がかりの一つが、経済産業省の「情報セキュリティサービス基準」への適合で、適合すると認められたサービスはIPA(情報処理推進機構)が公開する適合サービスリストに掲載されます。第三者の審査を通っているかを、依頼先を見極める一つの材料にしてください。
Q. 個人情報の漏えいが起きたとき、依頼すれば報告義務も果たせますか?
個人情報保護委員会への報告や本人への通知は、最終的に自社の責任で行う義務であり、インシデント対応会社が代行するものではありません。
専門会社に依頼できるのは、報告・通知の根拠となる調査です。個人情報保護法で定める報告には期限があるため、調査結果をその期限に間に合う形でまとめてもらえるかを依頼先選びで確認しておくと安心です(報告義務の詳細は本文の「頼める範囲と自社でやるべきこと」で解説しています)。
出典・参考資料(1件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律 第26条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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