NPO法人の会計を担当していて、活動計算書や財産目録といった独自の決算書類の作成に手間取っていませんか。会員や寄付者、所轄庁への報告を正確に行うため、NPO法人会計基準に対応した会計ソフトへの切り替えを検討する団体が増えています。
少人数で事業と兼務しながら経理を回す団体は少なくありません。簿記の知識が浅くても使えるか、限られた予算で導入できるかも悩みどころです。NPO法人会計基準に対応し、活動計算書などを自動で作成できる会計ソフトを、自団体の規模や体制に合わせて選ぶには、どのような点を確認すればよいのでしょうか。
本記事では、NPO法人向けの会計ソフト6サービスを比較・解説します。NPO法人会計基準への対応や活動計算書の自動作成、助成金・事業別の区分経理といったNPO特有の観点に加え、NPO会計に特化したソフトと、汎用のクラウド会計ソフトをNPOで使う場合の使い分けを整理しました。自団体に合うソフトを選ぶための材料としてご活用ください。
また、自団体の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、NPO法人会計基準に対応し、活動計算書や財産目録などNPO法人に必要な決算書類を作成できる会計ソフトを中心に取り上げます。NPO会計に特化したソフトと、汎用のクラウド会計ソフトをNPOで利用する場合の両方を、対応帳票・料金・提供形態の観点で比較します。
町内会・自治会・PTAなど法人格のない任意団体向けの無料ソフトや、会計事務所への記帳代行そのものは主な対象外とし、必要に応じて触れます。
NPO法人向けという絞り込みを設けず、法人・個人事業主も含めたクラウド会計ソフト全般を規模やタイプ別に比較したい場合は、以下の記事もあわせてご参照ください。
NPO法人会計基準と作成が必要な決算書類(活動計算書・財産目録・注記)
NPO法人(特定非営利活動法人)は、営利企業とは異なる独自のルールで決算書類を作成します。その拠りどころとなるのが「NPO法人会計基準」です。全国のNPO支援センターが集まって民間主導で策定した基準で、法律そのものではなく、採用は各団体の任意とされています。
ただし特定非営利活動促進法(NPO法)の2012年4月改正で、作成する書類が従来の収支計算書から活動計算書へと変わりました。現在は多くの団体が、このNPO法人会計基準に沿って決算書類を作成しています。
NPO法人会計基準では、財務諸表として活動計算書と貸借対照表を作成し、あわせて財産目録を作成します。基準本文では、それぞれ次のように定められています。
出典:NPO法人会計基準 本文(Ⅲ 財務諸表等の体系と構成)|NPO法人会計基準協議会
- 8.NPO法人は、財務諸表(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録を作成しなければならない。
- 11.財産目録は、当該事業年度末現在におけるすべての資産及び負債につき、その名称、数量、価額等を詳細に表示するものでなければならない。
活動計算書は、営利企業の損益計算書にあたる書類で、1年間の収益・費用から正味財産の増減を示します。財産目録は、事業年度末の資産と負債を名称・数量・価額まで一覧にした書類です。
さらにNPO法人会計基準では、財務諸表の補足説明である「注記」の役割が大きく、資金の使途や会計方針、使途が制約された寄付などを説明します。注記は法律が直接定める書類ではなく、会計基準上の財務諸表の構成要素として位置づけられています。

これらの書類は、NPO法上の義務とも結びついています。NPO法人は毎事業年度、事業報告書・計算書類(活動計算書・貸借対照表)・財産目録・役員名簿などをまとめた「事業報告書等」を作成し、所轄庁へ提出しなければなりません。NPO法第29条は「毎事業年度一回、事業報告書等を所轄庁に提出しなければならない」と定めています。
作成した書類は事務所に備え置き、社員その他の利害関係人からの閲覧に応じる義務(第28条)もあります。決算書類を正確に作れる会計ソフトを選ぶことは、こうした報告・情報公開を滞りなく行う土台になります。
出典・参考資料(3件)
NPO会計特化型と汎用クラウド会計の違い・使い分け
NPO法人が使える会計ソフトは、大きく2つのタイプに分けられます。どちらを軸に検討するかで、比較すべき点も変わります。
NPO会計特化型:専用様式で決算書類まで作れる
NPO法人会計基準に最初から対応し、活動計算書・財産目録・注記といった書類を専用の様式で作成できるソフトです。会計王 NPO法人スタイルやFX2NPO法人会計クラウド、ee-会計などが該当します。
勘定科目がNPO向けに用意され、事業ごと・助成金ごとの区分経理を前提とした機能を備えるものが多く、簿記に不慣れな担当者でも決算書類を作りやすい設計が目立ちます。NPOの会計を団体の内部で完結させたい場合や、専用書類を手間なく作りたい場合に向きます。
汎用クラウド会計をNPOで使う型:日々の記帳を効率化する
freeeやマネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Nextといった一般的な会計ソフトを、NPOの会計に利用する方法です。銀行明細やクレジットカードの取込を自動化し、日々の記帳を効率化できる点が強みです。
一方で、NPO専用の帳票様式を標準では備えていないことが多く、活動計算書などを作るには勘定科目の設定や表計算での組み替え、税理士のサポートが前提になる場合があります。ただし汎用のなかにも、NPO向けの決算テンプレートや勘定科目セットを公式に無料提供し、NPO会計に踏み込んだものもあります(どの製品がどこまで対応するかは比較表で確認できます)。
すでに汎用の会計ソフトを使っている団体や、税理士と連携して記帳を進めている団体は、慣れたソフトを活かせる汎用型が候補になります。逆に、会計担当を内部で育てながら専用書類まで自力で作りたい団体は、特化型のほうが迷いが少なくなります。次の章では、どちらのタイプでも共通して確認したい選び方の観点を整理します。

NPO法人向け会計ソフトの選び方
ここからは、NPO法人が会計ソフトを選ぶ際に確認したい観点を、優先度の高い順に解説します。自団体の事業内容や体制に照らして、どの観点を重視するかを見極めてください。
NPO法人会計基準・専用帳票の自動作成に対応しているか
最初に確認したいのは、活動計算書・貸借対照表・財産目録・注記といったNPO特有の書類を、そのソフトで作成できるかどうかです。営利企業向けの損益計算書しか出力できないソフトの場合、決算のたびに表計算ソフトで書類を組み替える手間が発生します。
特化型のソフトは専用様式を標準で備えているため、この点で迷うことは少なくなります。汎用ソフトを使う場合は、NPO向けのテンプレートや勘定科目セットが公式に用意されているか、無ければ自前で科目を設定して活動計算書を組み立てられるかを、導入前に確認しておくと安心です。
助成金・事業別の区分経理と共通費の按分を自動化できるか
NPO法人の会計で手間がかかりやすいのが、事業ごと・助成金ごとに収支を分けて管理する区分経理です。複数の事業や助成金を抱える団体では、家賃や人件費のような複数事業にまたがる共通費を、一定の基準で各事業に割り振る「按分」も必要になります。
この処理を手作業で行うと負担が大きく、ミスも起こりやすくなります。共通経費の自動按分や、事業別・助成金別の計算書作成、共通費用の自動配賦に対応する特化型ソフトなら、区分経理の負担を軽くできます。単一事業のみで区分経理がほぼ不要な団体では、この観点の優先度は下がります。自団体の事業数と助成金の受け入れ状況に応じて重視度を決めてください。
提供形態(クラウド・インストール・エクセル)はどれが合うか
会計ソフトの提供形態は、大きくクラウド型・インストール型・エクセル雛形の3つに分かれます。クラウド型は、複数の担当者が別々の場所からデータを共有でき、法改正への対応も自動で反映されます。役員や担当者が入れ替わりやすいNPOでは、引き継ぎのしやすさという点でも利点があります。
インストール型は、買い切りで購入すれば毎月の利用料がかからず、オフラインでも使える点が特徴です。買い切りのインストール型は、ランニングコストを抑えたい団体に向きます。無償のエクセル雛形は、取引件数がごく少ない小規模団体なら選択肢になりますが、区分経理や注記の作成には向きません。自団体のデータ共有の必要性と規模から選びます。
料金は予算に見合うか
料金体系は、月額制と買い切り型で大きく異なります。クラウド型は月額数千円から利用できるものが中心で、常に最新の状態で使える一方、利用を続ける限り費用が発生します。インストール型は初期の購入費が必要ですが、その後のランニングコストを抑えられます。会費や助成金で運営し予算が限られるNPOでは、数年単位の総額で見比べると判断しやすくなります。
無料・低コストで使えるソフトはあるか
無料で使える会計ツールも存在しますが、その多くは現金出納帳や収支計算書までの単式簿記が中心で、NPO法人会計基準が求める活動計算書や財産目録の作成には対応していません。法人格を持つNPO法人が正式な決算書類を作る用途では、無料ツールだけで完結させるのは難しいのが実情です。予算を抑えたい場合は、買い切りで低コストのインストール型や、汎用クラウド会計の低価格プランを検討するのが現実的です。
ただし、無料でNPO法人会計基準に対応できる選択肢がまったくないわけではありません。基準を策定するNPO法人会計基準協議会は、基準に準拠した財務諸表を作成できる無償のExcelテンプレートを公式サイトで配布しています。たとえば「Excel簡単会計(ピボットテーブル使用)」は、現金出納の入出金を集計して活動計算書などの作成を助けるExcelファイルで、無料で入手できます。
取引件数が少なく予算が限られる小規模なNPO法人であれば、まずこうした無償テンプレートから始め、規模の拡大や体制の整備に応じて専用ソフトへ移行するという進め方もあります。
会計ソフトの「無料」が実際にどこまで使えるのか(決算書の作成まで無料か、期間限定の試用か)を製品ごとに比較した以下の記事も、低コストで導入したい場合の見極めに役立ちます。
簿記の知識が浅くても運用できるか
NPOでは、会計を専門としない担当者が事業と兼務で経理を担うことが少なくありません。入金・出金を選ぶだけで仕訳ができる入力方式や、初期設定を質問形式で進められる機能があると、簿記に不慣れでも運用を始めやすくなります。
サポート体制も確認しておきたい点です。メールや電話に加え、画面を共有しながら操作を教えてもらえるサポートを備えたソフトもあります。NPO会計に詳しい提供元であれば、決算の進め方まで相談できることもあります。担当者の入れ替わりを見越して、マニュアルやサポートの手厚さを比べておくと安心です。
ここまでの観点を踏まえても、自団体にどのソフトが合うか判断が難しい場合があります。そのような場合でも状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】NPO法人向け会計ソフトを比較
ここからは、主要なNPO法人向け会計ソフト6サービスを、NPO会計特化型と汎用クラウド会計(NPO対応)の2つに分けて比較します。NPO法人会計基準への対応、専用帳票の自動作成、提供形態、料金、区分経理・按分、初心者対応の観点で整理しました。
NPO会計特化型の比較
| サービス名 | 会計王 NPO法人スタイル | FX2NPO法人会計クラウド | ee-会計 |
|---|---|---|---|
| NPO法人会計基準・活動計算書への対応 | ● | ● | ● |
| 専用帳票の自動作成(活動計算書・財産目録・注記) | ●活動計算書・財産目録・財務諸表の注記に対応 | △貸借対照表・活動計算書・財産目録に対応(注記は公式に明記なし) | △活動計算書・注記用の事業損益計算書に対応(財産目録は公式に明記なし) |
| 提供形態(クラウド/インストール) | インストール型 (Windows専用パッケージ) | クラウド型 | クラウド型 (ASP方式) |
| 料金 | 買切り44,000円(税込) 年間保守:初年度無償(購入時期により最大15か月)/2年目以降 36,575円 ※実売価格は販売店で異なる | 要お問い合わせ (公式に料金記載なし。TKC会員事務所経由で見積り) | 要お問い合わせ (定額制。具体額は資料請求・問い合わせで確認) |
| 区分経理・共通費按分(助成金/事業別) | △非営利事業・収益事業を部門別に管理(共通費の自動按分は公式に明記なし) | ●会計区分別・事業別の帳簿確認+共通費用の自動配賦 | ●決算時の共通経費を自動按分、助成金・受託事業別の計算書を作成 |
| 簿記初心者対応・サポート | ●「らくらくエスコート」で初期設定、電話・メール対応 | ●TKC会員事務所(税理士・会計士)経由で導入・運用を支援 | ●定額制でメール・電話サポートが何度でも可、無料電話相談あり |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※●=標準で対応/△=勘定科目の設定や税理士連携などで対応。上記は2026年9月時点の各サービスの公開情報に基づきます。料金・機能は変更される場合があるため、最新の情報は各サービスの公式資料・公式サイトでご確認ください。
汎用クラウド会計(NPO対応)の比較
| サービス名 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|---|
| NPO法人会計基準・活動計算書への対応 | △NPO専用テンプレートは非提供。勘定科目の自前設定・税理士連携で対応 | ●公式の「NPOキット」・NPO法人用決算テンプレートで対応 | △NPO専用テンプレートは非提供。勘定科目の自前設定・税理士連携で対応 |
| 専用帳票の自動作成(活動計算書・財産目録・注記) | △標準では非対応(活動計算書等は勘定科目の設定・組み替えが必要) | ●NPO決算テンプレートで試算表をNPO法人特有の決算書に自動変換 | △標準では非対応(エクスポート後の組み替え・税理士対応が現実的) |
| 提供形態(クラウド/インストール) | クラウド型 | クラウド型 | クラウド型 |
| 料金 | 月2,900円〜7,000円(税抜・年契約時の月あたり換算) 初期費用0円 | 月5,480円〜8,980円(税抜・年払い、スターター/スタンダード) ※プランの範囲を超える利用に追加費用の場合あり 初期費用0円 | 月6,480円〜(税抜・年払い、ビジネスプラン) ※1人運用向けの下位プランはNPO法人の体制に合わない場合あり 初期費用0円 |
| 区分経理・共通費按分(助成金/事業別) | △部門管理はベーシックプラン以上。助成金・事業別の共通費自動按分は公式に明記なし | △タグ機能で部門別・取引先別に管理。NPO向け共通費の自動按分は公式に明記なし | △ビジネスプランで部門別損益管理。共通費の自動按分は公式に明記なし |
| 簿記初心者対応・サポート | ●AI仕訳・明細自動取込で初心者にも配慮。電話・仕訳相談はベーシックプラスプラン | ●質問に答える形の記帳・AI自動仕訳。64ページのNPO用ガイドを無償公開 | △複式簿記前提で経理経験者向けの自由度が高い設計。サポートはプランにより差 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※●=標準で対応/△=勘定科目の設定や税理士連携などで対応。上記は2026年9月時点の各サービスの公開情報に基づきます。料金・機能は変更される場合があるため、最新の情報は各サービスの公式資料・公式サイトでご確認ください。
NPO法人向け会計ソフトの個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた各サービスの特徴を個別に紹介します。まずはNPO会計に特化したソフト、続いてNPOでも使える汎用クラウド会計の順に見ていきます。
NPO会計特化型のサービス
NPO法人会計基準に対応し、活動計算書や財産目録などの専用書類を作成できるソフトです。
1. 会計王 NPO法人スタイル(ソリマチ株式会社)

会計ソフト「会計王」シリーズのNPO法人向け専用エディションで、ソリマチ株式会社が提供するWindows専用のインストール型ソフトです。NPO法人会計基準に対応し、活動計算書・財産目録・財務諸表の注記を専用様式で自動作成できます。
NPO法人特有の勘定科目があらかじめ設定されており、導入時に科目をゼロから設計する手間を抑えられます。非営利事業と収益事業を部門別に管理し、事業ごとに決算書を作成できるため、複数事業を営む団体の区分経理にも対応します。
金融機関の入出金データを自動取込するMoneyLink(約1,200金融機関対応)や、質問に答えて初期設定を進める「らくらくエスコート」を備え、簿記に不慣れな担当者でも運用しやすい設計です。価格は公式サイト表示で買い切り44,000円(税込)で、買い切り型のため月額の利用料はかからず、年間保守のバリューサポートも購入後最大15ヶ月は無償で利用できます。
2. FX2NPO法人会計クラウド(株式会社TKC)

株式会社TKCが2025年7月に提供を開始した、NPO法人の会計業務に特化したクラウド型の会計システムです。内閣府「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」に準拠し、最新のNPO法人会計基準に対応しています。
貸借対照表・活動計算書・財産目録を作成でき、作成した計算書類間の整合性を確認するチェック機能を備えます。仕訳帳・元帳・勘定科目残高を法人全体・会計区分別・事業別に切り替えて確認でき、複数の会計区分・事業に共通する費用は配賦基準に従って自動配賦し、配賦仕訳まで自動計上します。
このシステムはTKC全国会に所属する税理士・公認会計士(TKC会員事務所)を通じて提供され、導入・運用は会員事務所への相談が窓口となります。料金は公式サイトで公開されておらず、会員事務所への問い合わせが必要です。給与計算や年次有給休暇管理など、バックオフィス業務全般をカバーする機能も備えます。
3. ee-会計(NPO会計支援センター)

NPO会計の中間支援に取り組むNPO会計支援センターが提供する、NPO法人向けのクラウド型(ASP方式)会計ソフトです。NPO法人会計基準に準拠し、Windows環境とインターネット接続があれば場所を問わず利用できます。
活動計算書や、財務諸表の注記作成に使う事業損益計算書のほか、前期比較・予算実績比較・月別一覧などの帳票を作成できます。決算時には共通経費の自動按分・振替処理に対応し、助成金・受託事業ごとの計算書も作成できるため、区分経理の負担を抑えられます。
消費税の計算・申告書対応や減価償却資産の管理、全帳票のエクセル出力にも対応します。料金は定額制で、契約期間内であればメール・電話サポートを追加費用なく何度でも利用できます(訪問相談は別料金、具体的な利用料は要問い合わせ)。毎週水曜日には1団体1回限りの無料電話相談も受け付けています。
汎用クラウド会計(NPOで使える)のサービス
一般的なクラウド会計ソフトのうち、NPO向けのテンプレートや科目設定を通じてNPO会計に利用できるサービスです。
4. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生株式会社が2025年4月にリリースした法人専用のクラウド会計サービスです。会計帳簿・決算書の作成に加え、見積・請求書の発行や経費精算、証憑保存を同一システムで扱えます。AIが取引明細から勘定科目を推測して仕訳を提案し、2,500以上の金融機関との連携で明細を自動で取り込みます。
勘定科目体系は「法人/一般」として提供され、NPO法人向けの専用テンプレートや勘定科目はあらかじめ用意されていません。NPO法人会計基準の活動計算書や財産目録を作成する場合は、勘定科目の自前設定や出力データの組み替えで対応することになります。税理士とのリアルタイム共有機能があり、顧問税理士と連携してNPO会計を運用する団体に向いています。
料金はエントリープランが年額34,800円(税抜)からで、初期費用は0円です。全機能を試せる無料体験プランも用意されています(体験期間などの条件は公式サイトで最新の内容をご確認ください)。
5. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識が浅い担当者でも使えることを掲げる、フリー株式会社のクラウド会計ソフトです。質問に答える形での記帳やAIによる自動仕訳を採用し、1,000を超える金融機関・サービスと連携して、取引データの取得から決算書の作成までを1つのシステムで行えます。
汎用クラウド会計のなかでは、公式にNPO法人向けの対応を用意している点が特徴です。試算表をNPO法人特有の決算書に変換するテンプレートに加え、勘定科目セット・決算テンプレート・使用ガイドをまとめた「NPOキット」を無償で公開しています。NPO法人向けアプリ「Nport」との連携にも対応します。
公式のNPOページに記載された小規模法人向けの料金は、スターターが月額5,480円(年払い・税抜)から、スタンダードが月額8,980円(同)からです。プランに含まれる範囲を超える利用には追加費用が発生する場合があります。初期費用は0円で、30日間の無料トライアルを利用できます。
6. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

複式簿記や勘定科目を前提に、経理担当者が細かく設定・調整しやすい、株式会社マネーフォワードの法人向けクラウド会計ソフトです。2,300以上の金融関連サービスと連携して明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化します。
公式にNPO専用のテンプレートや勘定科目セットは提供されていないため、NPO法人会計基準の活動計算書などは、勘定科目の追加設定やデータの組み替え、税理士との連携で対応するのが現実的です。請求書・経費・給与などマネーフォワード クラウドシリーズと同一基盤で連携し、バックオフィス全体をまとめて効率化できます。
NPO法人が利用する場合は法人向けのビジネスプランが基本で、料金は月額6,480円(年払い換算・税抜)からです。1人での運用を前提とした下位のひとり法人プランは、社員の集まりであるNPO法人の体制には合わない場合があります。
初期費用は0円で、クレジットカード登録不要の1ヶ月間の無料トライアルを利用できます。税理士を「監査」などの権限でメンバーに追加でき、公認メンバー制度に加入した士業アカウントは追加料金の対象外です。
まとめ
NPO法人向けの会計ソフトを選ぶうえで最も重要なのは、活動計算書や財産目録などNPO法人会計基準に沿った決算書類を作成できるかどうかです。専用書類を手間なく作りたい団体や会計を内部で完結させたい団体は、NPO会計特化型が有力な候補になります。すでに汎用の会計ソフトを使っている団体や税理士と連携している団体は、NPO向けのテンプレートや科目設定を活かせる汎用クラウド会計が検討の起点になります。
そのうえで、助成金・事業別の区分経理の自動化、提供形態、料金、簿記に不慣れでも使えるかといった観点を、自団体の事業内容と体制に照らして比べてください。各サービスの詳しい機能や料金は、資料を取り寄せて確認するのが確実です。
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よくある質問(FAQ)
Q. NPO法人会計基準とは何ですか?
A. NPO法人会計基準とは、全国のNPO支援センターが集まって民間主導で策定した、NPO法人の決算書類の作成ルールです。法律そのものではなく採用は各団体の任意ですが、2012年4月施行のNPO法改正で作成すべき書類が従来の収支計算書から活動計算書へと変わったことを受け、現在は多くの団体がこの基準に沿って決算書類を作成しています。
会計ソフトを選ぶ際は、この基準に対応し、活動計算書・貸借対照表・財産目録や注記を作成できるかが重要な確認点になります。
Q. NPO法人が会計ソフトで作成する必要がある決算書類は何ですか?
A. NPO法人が作成する必要があるのは、計算書類である活動計算書・貸借対照表と、財産目録です。NPO法(特定非営利活動促進法)第27条は計算書類を「活動計算書及び貸借対照表」と定め、これに財産目録を加えた書類の作成を求めています。会計基準ではさらに、資金の使途や会計方針を説明する「注記」の役割が大きくなっています。
加えてNPO法人は毎事業年度、事業報告書・計算書類・財産目録・役員名簿などをまとめた「事業報告書等」を作成し、所轄庁へ提出する義務があります(NPO法第29条)。会計ソフトがこれらの帳票を作成できるかを確認しておくと、報告・情報公開を滞りなく行えます。
Q. 無料で使えるNPO法人向けの会計ソフトはありますか?
A. 無料の会計ツールの多くは現金出納帳や収支計算書までの単式簿記が中心で、NPO法人会計基準が求める活動計算書や財産目録の作成には対応していません。ただし例外として、NPO法人会計基準協議会が、基準に準拠した財務諸表を作成できる無償のExcelテンプレート(「Excel簡単会計」など)を公式に配布しています。
取引件数の少ない小規模なNPO法人であれば、この無償テンプレートを使う選択肢があります。事業規模が大きくなって記帳量が増えてきたら、低コストの買い切り型ソフトや汎用クラウド会計の低価格プランへ移行するとよいでしょう。
Q. 弥生会計やマネーフォワードなどの汎用会計ソフトはNPO法人会計基準に対応していますか?
A. 弥生会計 Nextやマネーフォワード クラウド会計といった汎用の会計ソフトは、NPO専用のテンプレートを標準では備えておらず、勘定科目の設定や表計算での組み替え、税理士との連携によってNPO会計に対応するのが基本です。一方で同じ汎用クラウド会計でも、freeeのようにNPO向けの決算テンプレート(NPOキット)や勘定科目セットを公式に無料提供している例もあります。
汎用ソフトを検討する際は、NPO向けのテンプレートが用意されているか、無ければ自前で科目を設定して活動計算書を組み立てられるかを、導入前に確認してください。
Q. NPO法人はNPO会計特化型と汎用クラウド会計のどちらを選べばよいですか?
A. 会計を団体の内部で完結させ専用書類まで自力で作りたい団体はNPO会計特化型、すでに汎用ソフトを使っていたり税理士と連携している団体は汎用クラウド会計が向きます。特化型は活動計算書・財産目録などを専用様式で作成でき、NPO向けの勘定科目や事業別・助成金別の区分経理を前提とした機能を備えます。
汎用型は銀行明細やクレジットカードの取込で日々の記帳を効率化できる点が強みです。自団体の体制と、すでに使っているツールを踏まえて選びます。
Q. 簿記の知識が浅い担当者でもNPO法人の会計ソフトを使えますか?
A. 入金・出金を選ぶだけで仕訳ができる入力方式や、初期設定を質問形式で進められる機能を備えたソフトなら、簿記に不慣れな担当者でも運用を始めやすくなります。NPOでは会計を専門としない担当者が事業と兼務で経理を担うことが多いため、こうした初心者向けの設計やサポート体制の手厚さが選定の重要な観点になります。
画面を共有しながら操作を教われるサポートや、決算の進め方まで相談できる提供元もあります。担当者の入れ替わりも見越して、マニュアルやサポートの充実度を比べておくと安心です。
NPO法人向け会計ソフトの料金・機能を一括チェック
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















