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マルウェア感染調査を依頼できる会社の選び方|費用相場・調査範囲・緊急対応で比較

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社内のパソコンがマルウェアに感染したかもしれない、アンチウイルスの警告は消えたが本当に駆除できたのか分からない——そうした不安を抱えたとき、頼りになるのが感染の有無や被害の広がりを調べてくれる「マルウェア感染調査(フォレンジック調査)」の専門会社です。自社だけでは、どこまで侵入され、どの情報が外部に出たのかを正確に突き止めるのは簡単ではありません。

一方で、いざ依頼先を探すと、費用や調査にかかる期間、自社のケースにどの会社が合うのかが分かりにくく、比較しづらいのが実情です。

この記事では、マルウェア感染調査を依頼できる会社を調査範囲・費用相場・調査期間・緊急対応窓口といった判断軸で整理し、自社の状況に合う依頼先を絞り込めるようにまとめました。感染が疑われたときの初動対応や、感染後に必要になる個人情報保護法上の報告義務まで解説します。まず自社のケースに合う会社タイプを知りたい場合は、記事内の診断ツールも活用してください。

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マルウェア感染調査(フォレンジック調査)とは

ここからは、マルウェア感染調査がどのような調査で、何を明らかにできるのかを整理します。依頼を検討する前に、調査でわかることと、自社で対応できる範囲との線引きを押さえておきましょう。

マルウェア感染調査とは、感染が疑われる端末やサーバーに残されたログ・ファイル・通信記録を解析し、感染の有無や被害の全体像を明らかにする調査です。デジタル機器に残る記録を証拠として保全・分析する「デジタルフォレンジック」の手法を使うため、フォレンジック調査とも呼ばれます。

調査でわかること、通常のウイルス駆除との違い

調査によって明らかになるのは、主に次の点です。アンチウイルスソフトによる駆除が「脅威を取り除く」ことを目的とするのに対し、感染調査は「何が起きたのかを事実として突き止める」ことを目的とします。

  • 感染の有無(アンチウイルスで検知されなかった潜伏マルウェアを含む)
  • 侵入経路と感染の起点(不審なメール、脆弱性、外部メディア(USBメモリなど)など)
  • 被害の広がり(ほかの端末やサーバーへの感染拡大の有無)
  • 情報漏えいの有無(外部への不審な通信やデータ送信の痕跡)

ウイルス駆除だけで対応を終えてしまうと、感染経路が塞がれないまま再発したり、すでに盗まれた情報に気づけなかったりするおそれがあります。駆除の操作そのものが、原因究明に必要な痕跡を消してしまう場合もあります。

調査会社への依頼が必要になるケース

専門の調査会社への依頼を検討すべきなのは、自社だけでは事実確認が難しい次のような場面です。いずれも、判断を誤ると被害の見落としや説明責任の不履行につながりかねません。

  • EDR(端末の不審な挙動を検知・対応する仕組み)やアンチウイルスが異常を検知したが、影響範囲を特定できない
  • マルウェアを駆除したつもりだが、残存や再感染への不安が残る
  • 取引先や当局、経営層から「感染していないか」の確認を求められた
  • 標的型攻撃による潜伏マルウェアの可能性があり、専門的な解析が必要
  • 個人情報や機密情報の漏えいが疑われ、事実関係を証拠とともに確認したい

自社で確認できる範囲と、専門会社に依頼すべきケース

端末1台の簡易なチェックであれば、アンチウイルスのフルスキャンや、無料で公開されている感染診断ツールである程度の一次確認はできます。横浜国立大学が運営する「am I infected?」のように、ネットワーク上の機器が感染していないかをIPアドレス単位で無料で調べられるツールもあります(提供状況により一時的に利用できないことがあります)。

ただし、潜伏する標的型マルウェアの特定、感染の広がりや情報漏えいの有無の見極め、法的な証拠として通用する調査報告が必要な場面では、専門会社への依頼が現実的です。被害範囲が複数の端末やサーバーに及ぶ可能性がある場合も、自社対応では全体像を把握しきれません。

感染が疑われたときにまずやること・やってはいけないこと

ここからは、感染が疑われた直後の初動対応を解説します。最初の数時間の行動が、その後の調査で原因や被害範囲を突き止められるかどうかを左右します。慌てて操作すると、かえって手がかりを失うことがあります。まずは、やることと避けることを整理しておきましょう。

マルウェア感染が疑われたときの初動対応を、やることとやってはいけないことの2列で対比した図解。やること=ネットワークから遮断、電源は入れたまま状態を保つ、気づいた異常を時系列でメモ、報告ルートに連絡し専門家へ相談。やってはいけないこと=電源を切る・再起動する、駆除・初期化を急ぐ、感染端末で業務やファイルを開く、自己判断でログを削除・上書き。

まず落ち着いてやるべきこと

感染が疑われる端末は、被害の拡大を防ぐためにまずネットワークから切り離します。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、中小企業向けの手引きで初動を次のように示しています。

ウイルス感染やランサムウェア感染の場合は、まず感染したパソコンやサーバーの利用を停止し、ネットワークから切り離すことが重要です。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」(2026年6月)

そのうえで、ログや証拠を保全したまま、早めに専門家へ相談するのが安全です。具体的には、次の行動が初動の基本になります。

  • 感染が疑われる端末をLANケーブルの抜線やWi-Fiオフでネットワークから遮断する
  • 端末の電源は入れたまま、状態を保つ(調査に必要な記録を残すため)
  • いつ・どの端末で・どんな異常に気づいたかを時系列でメモに残す
  • 社内の報告ルートに連絡し、調査会社への相談を検討する

やってはいけないNG行動

一方で、良かれと思って行った操作が、感染経路や被害範囲を示す痕跡を消してしまうことがあります。IPAの手引きも、不用意な操作で記録を消さないよう注意を促しています。

対象機器の電源を切る等、不用意な操作でシステム上に残された記録を消さないようにします。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」(2026年6月)
  • 電源を切る・再起動する(メモリ上に残る揮発性の記録が失われる)
  • ウイルス駆除や初期化を急いで実行する(感染の証拠が消える)
  • 感染した端末で業務を続ける・ファイルを開く(被害が広がる)
  • 自己判断でログを削除・上書きする

これらを避け、できるだけ発覚時の状態を保ったまま専門家に引き継ぐことが、正確な調査の前提になります。

マルウェア感染調査会社の選び方

ここからは、依頼先を絞り込むための判断軸を解説します。会社ごとに得意な調査対象や費用の示し方、対応の速さが異なるため、自社の状況に照らして確認することが大切です。

調査範囲が自社の環境をカバーしているか

調査会社によって、対応できる機器の範囲は異なります。端末(パソコン)の調査が中心の会社もあれば、サーバー・ネットワーク機器・クラウド・スマートフォンまで横断して調べられる会社もあります。被害が1台にとどまるのか、全社規模で広がっている可能性があるのかによって、必要な調査範囲は変わります。自社の環境と、調べたい対象が会社の対応範囲に含まれているかを最初に確認しましょう。

費用が明確か、見積りの取り方が分かりやすいか

費用の示し方は会社によって二極化しています。「端末1台あたり◯万円から」と目安を公開している会社もあれば、調査範囲やデータ量に応じて個別見積りとする会社もあります。

公開価格がある会社は予算の見通しを立てやすく、個別見積りの会社は実態に即した範囲設計を相談しやすい、という違いがあります。見積りの前提(対象台数・期間・報告物の範囲)が明確に説明されるかも、信頼できる依頼先かを見分ける手がかりになります。

調査期間は自社の事情に合うか

調査にかかる期間は、規模によって数日から数週間以上まで幅があります。取引先や当局への報告期限が迫っている場合、着手から報告書の提出・報告会までにどれくらいかかるかは重要な判断材料です。初動の切り分けを急ぐのか、全体像の精緻な特定を優先するのかで、求めるスピードは変わります。

緊急対応の窓口(サイバー救急)があるか

感染が発覚した直後は、調査の正式契約を待たずに初動の相談をしたい場面があります。24時間365日の緊急受付窓口や「サイバー救急」を備えた会社であれば、発覚直後から証拠保全の助言を受けられます。自社に即応できる体制がない場合、緊急窓口の有無は依頼先を分ける要素になります。

報告物に証拠能力があり、報告会まで対応するか

調査の最終成果物は報告書です。社内説明で足りるのか、取引先や当局への提出、あるいは訴訟や懲戒処分の証拠としての利用まで見据えるのかで、求められる報告書の水準は変わります。証拠として通用する手続き(証拠保全の記録)を踏んでいるか、結果を口頭で説明する報告会まで対応するかを確認しましょう。

また、マルウェア感染に限らず、社内不正や退職者によるデータ持ち出し、訴訟対応を主目的に証拠を調べたい場合は、デジタルフォレンジック調査会社を対応範囲・証拠能力・費用で比較した以下の記事が参考になります。

自社のケースはどれに当てはまるか

これらの軸は、自社がどのケースに当てはまるかを決めると整理しやすくなります。大きく次の4つのケースに分かれ、それぞれ相性のよい会社のタイプが異なります。

  • 端末1台〜少数の「感染したか」をまず確かめたい:費用と期間を抑えた簡易・ファストフォレンジックで切り分ける
  • 全社・サーバー/ネットワーク規模で侵害範囲と情報漏えいの有無まで特定したい:ログや通信を横断解析するフルフォレンジック
  • 法的証拠・社内不正・訴訟対応まで見据えて調べたい:証拠保全を重視し、弁護士連携や鑑定書に対応する会社
  • 24時間・緊急で今すぐ初動から相談したい:サイバー救急などの緊急対応窓口を備えた会社

自社のケースに合う会社タイプを手早く把握したい場合は、次の診断で状況を選ぶと候補が絞り込めます。

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【比較表】マルウェア感染調査会社を調査範囲・費用・対応速度・緊急窓口で比較

ここからは、主要なマルウェア感染調査会社を横並びで比較します。調査範囲・費用の示し方・調査期間・緊急対応窓口・報告物といった、依頼先選びで迷いやすい軸を一覧にまとめました。詳しい特徴は、表の下の個別紹介で解説します。

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サービス名セキュア・レントゲンCoWorker 端末侵害診断サービスマルウェア調査サービス(大塚商会)標的型マルウェア感染端末調査(NTTセキュリティ・ジャパン)フォレンジック調査(FRONTEO)サイバー119(ラック)デジタルデータフォレンジックデジタルフォレンジック支援(GMOイエラエ)デジタルフォレンジック(BBSec)デジタルフォレンジックサービス(NTT-AT)フォレンジック調査・インシデント対応(サイバーディフェンス研究所)Cyber NEXT デジタルフォレンジック(CEC)Proactive Defense DFIR(神戸デジタル・ラボ)マルウェア感染調査支援サービス(JBCC)
調査対象ネットワーク
(IT・OT)
端末(PC)
Win・Mac 最大100台
端末・サーバー・ネットワーク端末
(複数を一括取得)
端末・スマホ・サーバー・クラウドネットワーク・クラウド等
(詳細は要確認)
端末・スマホ・サーバー端末・スマホ・サーバー・クラウド
(対応範囲が最広)
端末・スマホ・サーバー端末・サーバー・ネットワーク
(スマホ・クラウドは要確認)
端末・サーバー・ネットワーク・USB端末・サーバー・ネットワーク
(スマホ・クラウドは要確認)
端末・サーバー・USB・クラウド端末(Windows)・FWログ
(Palo Alto FW前提)
得意な調査タイプ侵害範囲
(NW全体の侵害有無)
感染確認
(端末の痕跡調査)
感染確認
(端末・サーバー)
感染確認・侵害範囲
(複数端末を横断)
法的証拠
(不正・訴訟対応)
緊急初動
(インシデント対応)
感染確認・緊急初動感染確認・法的証拠法的証拠・緊急初動侵害範囲
(記憶媒体・NWログ)
法的証拠
(高度案件)
侵害範囲
(NW通信解析)
感染確認
(事前契約も可)
感染確認
(平時の備えも)
費用の目安要問い合わせ
(内容により変動)
1台50万円〜(税別)
初期20万円
1台120万円〜(税別)要問い合わせ50万円〜要問い合わせ
(初回相談無料)
要問い合わせ
(相談・見積り無料)
要問い合わせ要問い合わせ
(相談・見積り無料)
250万円〜(税別)要問い合わせ1台100万円〜(参考価格)220万円〜(税抜)
1週間・調査員2名
要問い合わせ
調査期間の目安最短1カ月最終報告1か月以内
(速報1週間以内)
10〜15営業日要問い合わせ要問い合わせ
(規模により数か月)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ約1週間〜要問い合わせ
緊急対応窓口要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ●24時間365日・予約不要●24時間365日(電話)●24時間365日●24時間365日要問い合わせ要問い合わせ×平日9:00〜17:45△夜間・休日はオプション要問い合わせ
報告物報告書・報告会報告書・報告会
(速報/最終)
報告書・報告会要問い合わせ報告書報告書報告書報告書報告書報告書報告書・報告会報告書報告書・報告会
(中間報告あり)
要問い合わせ
実績・認定要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせNTTグループの専業会社PFI認定
実績10,900件以上
対応実績5,300件以上基準登録・ISO27001・Pマーク
累計3.9万件以上
基準登録・PFI認定基準登録・PFI・CPSA基準登録
(専用ラボ)
基準登録・ISMS
官公庁向け研修実績
基準登録SANS受講者が担当Pマーク・ISO9001
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※上記は2026年10月時点の各社公式情報をもとに作成しています。マーク(●対応/△条件付き/×非対応)や費用・期間は代表的な目安で、公式に記載のない項目は「要問い合わせ」としています。最新・正確な内容は各社の公式情報でご確認ください。

マルウェア感染調査会社の紹介

ここからは、比較表で取り上げた各社を個別に紹介します。それぞれの調査対象・得意なケース・費用の示し方・報告物の特徴を整理しました。

各社はマルウェア感染・侵害の事後調査に対応しますが、社内不正や退職者による情報持ち出し、訴訟対応など法的証拠の確保が主な目的の場合は、より広い調査を扱うデジタルフォレンジック会社の比較もあわせて検討してください。自社の状況に照らして、相性のよい依頼先を見極める参考にしてください。

1. セキュア・レントゲン(株式会社クワッドマイナージャパン)

セキュア・レントゲンのウェブサイト

セキュア・レントゲンは、NDR(ネットワークの通信を監視して脅威を検知・対応する仕組み)製品「Network Blackbox」のフルパケットキャプチャ技術でネットワークを流れる通信を全数収集・分析する、株式会社クワッドマイナージャパンのネットワークリスク診断サービスです。

感染した端末そのものを解析するフォレンジック調査とは入り口が異なり、ネットワーク全体を見渡して、すでに侵入・潜伏している脅威や不審な通信がないかを事後に洗い出します。

診断ではスイッチのミラーポートに機器を接続し(顧客側の作業はミラーリング設定のみ)、約2週間設置したあと専門アナリストが分析してレポートと報告会を提供します。期間は公式表記で最短1カ月、料金は分析手法(オンライン/持ち帰り/設置場所での分析)やトラフィック量・設置台数によって変わるため、具体額は問い合わせが前提です。

端末単位の感染調査というより、社内ネットワーク全体で感染や情報の持ち出しが起きていないかを一度客観的に確かめたいという場面に向きます。IT環境に加えてOT(工場の生産設備などを制御する技術)のプロトコルにも対応し、工場のネットワークを含めて調べられます。

こうした「すでに社内に脅威が入り込んでいないか」を事後に確かめたいというニーズについて、提供元の株式会社クワッドマイナージャパンの白垣氏は次のように話します。

白垣氏
株式会社クワッドマイナージャパン 営業部
白垣氏
独自インタビューより

実際に「今すでに社内にランサムウェアが存在している可能性がないか、それを見てほしい」という緊急のチェックとしてご依頼いただいたこともあります。既存の防御を過信せず、一度客観的に診断したいというニーズが確実に増えていると感じます。

2. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスのウェブサイト

「CoWorker 端末侵害診断サービス」は、対象のPCから専用ツールでログを収集し、自社開発AI「Blue Agent」とセキュリティ専門家が事後に解析する、CoWorker株式会社の端末フォレンジック診断サービスです。退職時やインシデントの疑い、年1〜2回の定期点検といったタイミングを区切って、すでに侵害や情報の持ち出しが起きていないかを調べます。

調査対象は端末に残るログで、マルウェア感染の痕跡や認証情報の漏えい、USB・クラウド経由のデータ持ち出し、ChatGPTなど生成AIの利用ログまで含みます。速報レポートは1週間以内、最終レポートと報告会は1か月以内に提供し、Windows・Macの最大100台まで一括で診断できます。

料金は端末1台あたりの単価制で、カタログ掲載の条件では初期費用20万円(ヒアリング・導入稼働費)に加え、診断費用は1台あたり50万円(税別)、複数台はボリュームディスカウントの対象です。NDAを結んだうえでツールを実行してZIPを送る遠隔診断のため、端末を預けずに進められます。

3. マルウェア調査サービス(株式会社大塚商会)

大塚商会 マルウェア調査サービスのウェブサイト

大塚商会の「マルウェア調査サービス」は、マルウェア感染事故が発覚したあとに、PC・サーバーのログやネットワーク機器の通信記録を調べ、不正操作や情報流出の有無を報告する事後調査型のサービスです。事前の監視やリアルタイムの防御は含みません。

事故直後のデータを保全し、アナリストが専用ツール(X-Ways Forensics など)でディスクイメージを解析して、調査報告書と報告会にまとめる流れです。公式サイトでは「捜査機関と同等の解析環境」で「標的型攻撃などの最先端のサイバー攻撃の調査を多数実施」しているとしています(環境の仕様や件数は公表されていません)。

概算費用は1台あたり税別120万円からで、報告書の提出・報告会までは10〜15営業日が目安です。追加台数の単価や夜間・休日の緊急対応の扱いは、見積りの段階で確認しておくとよいでしょう。

4. 標的型マルウェア感染端末調査(エヌ・ティ・ティ・セキュリティ・ジャパン株式会社)

NTTセキュリティ・ジャパン 標的型マルウェア感染端末調査のウェブサイト

アンチウイルスやEDRで見逃されるおそれのある潜伏マルウェアの検知を目指すのが、エヌ・ティ・ティ・セキュリティ・ジャパン株式会社の「標的型マルウェア感染端末調査」です。社内ネットワーク上の端末からデータを一括で取得し、フォレンジックの手法で異常を解析します。

NTTグループのセキュリティ専業会社が提供するサービスで、脆弱性診断やRedTeam/TLPTといった診断メニューと同じ「セキュリティ診断・評価・調査」のなかに位置づけられています。複数の端末を横断して一括で調査できるため、感染がどこまで広がっているか分からないケースの切り分けに向きます。

料金は全メニューが問い合わせベースで、公式サイトに具体額の記載はありません。

5. フォレンジック調査(株式会社FRONTEO)

FRONTEO デジタルフォレンジック調査のウェブサイト

株式会社FRONTEOのフォレンジック調査は、国際訴訟や企業の不正・不祥事調査を主戦場としてきたリーガルテックの事業部門が手がけるサービスです。自社開発AI「KIBIT」と有資格の専門家によるレビューを組み合わせ、保全したデータから不正や情報漏えいの痕跡を調べます。

ヒアリング・データ保全・調査・レビュー・報告の5段階で進み、報告書は米国訴訟にも対応できる水準とされます。クレジットカード情報の漏えい事故を扱う調査機関「PFI」の認定を2025年に取得し、PC・スマートフォン・サーバーのほかクラウド環境のログ保全・解析にも対応します。

公式ページでは、手がけた国際訴訟・不正調査が合計10,900件以上と示されています。費用は公式表記で「500,000円~」、機器1台あたり数十万円からが目安で、調査の規模によっては数か月に及ぶこともあります。

6. サイバー救急センター/サイバー119(株式会社ラック)

サイバー救急センター/サイバー119(ラック)のウェブサイト

株式会社ラックの「サイバー119」は、2009年のサービス開始以来インシデント対応にあたり、公式には国内外で5,300件以上の対応実績を掲げています。サイバー救急センターが運営し、ランサムウェア感染や不正アクセス、Webサイト改ざんなど幅広いインシデントに、事故発生後の契約で対応します。

緊急ホットラインでの受付からリモートでの初動対応(封じ込め)、フォレンジック調査、復旧・再発防止策の策定までを同じ組織が担い、必要に応じて現地にも派遣します。受付は24時間365日・予約不要(0120-362-119)で、初回相談は無料です。

スポット型の「サイバー119」に加え、従業員300名以上でCSIRT(セキュリティ事故に対応する社内の専門チーム)などの対応体制を持つ組織向けには、年間事前契約型の「LAC IRR」も用意されています。あらかじめ対応リソースを確保しておきたい企業にも向く構成です。

7. デジタルデータフォレンジック(デジタルデータソリューション株式会社)

デジタルデータフォレンジック(DDF)のウェブサイト

デジタルデータフォレンジック(DDF)は、データ復旧事業を母体とするデジタルデータソリューション株式会社が運営するフォレンジック調査サービスです。サイバー攻撃の調査から社内不正・情報漏えい調査、退職者による持ち出し調査まで幅広く扱います。

相談・機器の状態確認・見積り提示までは無料で、電話は24時間365日の受付です。問い合わせから最速15分でWeb打ち合わせを設定できるとしており、法人であれば対象者に気づかれずに進める出張調査にも対応します。

公式では累計相談件数が3.9万件以上と示され、ISO 27001・プライバシーマークの取得や、経済産業省の情報セキュリティサービス基準への「デジタルフォレンジックサービス」登録(登録番号022-0007-30)を受けています。費用はデバイス数・データ量・調査の深さで変わり、実額は見積りで確認する形です。

8. デジタルフォレンジック支援(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社)

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ デジタルフォレンジック支援のウェブサイト

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社のデジタルフォレンジック支援は、インシデント発生時の証拠保全からデータ解析、関連情報の抽出、報告までを行う事後調査サービスです。対応にあたるのは、2020年に新設されたフォレンジック課の専任エンジニアです。

対応範囲はマルウェア感染やWebサイト改ざん、内部不正による情報持ち出しなどで、Windows・macOS・Linux のほかスマートフォン(iOS・Android)、AWS・Azure・Google Cloud といったクラウドにも対応します。証拠保全用と調査分析用のディスクを分けて原本との同一性を検証する手順をとり、緊急窓口は24時間365日(0120-362-360)です。

クレジットカード情報漏えい事故の調査機関「PFI」に2022年に認定され、経済産業省の情報セキュリティサービス基準にも「デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス支援」として登録(登録番号019-0004-30)されています。料金は非公開で、優先度と予算に合わせて費用を提案する形です。

9. デジタルフォレンジック(株式会社ブロードバンドセキュリティ)

デジタルフォレンジック(BBSec)のウェブサイト

内部不正の立証や、サイバー攻撃によるインシデント調査、訴訟に備えた証拠準備——こうした場面を想定するのが、株式会社ブロードバンドセキュリティ(BBSec)のデジタルフォレンジックです。公式は「訴訟に対する法的証拠を情報システム内のデジタルデータから抽出する」調査と定義しています。

保全・収集・解析・抽出・報告の5工程で進め、緊急対応では初動調査から封じ込め、原因究明、復旧支援、再発防止までを扱います。Windows・各種サーバーOS・Mac・Android・iPhoneのフォレンジック調査に対応し、緊急受付は24時間365日(0120-085490)です。

クレジットカード情報漏えい調査の「PFI」やカード製造セキュリティの「CPSA」の登録を受け、経済産業省の情報セキュリティサービス基準にも「デジタルフォレンジックサービス」として登録されています(登録番号018-0038-30、2026年10月時点。登録は定期更新のため最新は登録簿でご確認ください)。料金は公開されておらず、相談・見積りは無料です。

10. デジタルフォレンジックサービス(NTTアドバンステクノロジ株式会社)

デジタルフォレンジックサービス(NTT-AT)のウェブサイト

NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT-AT)のデジタルフォレンジックサービスは、インシデント発生時に記憶媒体とネットワークのログを解析し、攻撃の痕跡やマルウェア、情報持ち出しの有無を調べます。公式は「記憶媒体から隠された真実を明らかにする」調査と位置づけています。

ヒアリング・データ保全・専用ツールによる詳細解析・報告の4段階で進み、解析は生体認証で入室を管理した専用ラボで、認定された担当者のみが行います。調査対象はPC・サーバーの記憶媒体やネットワーク機器のログで、NTTグループのセキュリティ知見を活用するとしています。

料金は公式表記で初期解析が税別250万円からで、複数台を調べる場合は台数分の費用がかかり、一度に調査できる台数には限りがあるとされます。経済産業省の情報セキュリティサービス基準に「デジタルフォレンジックサービス」として登録(登録番号018-0031-30)されています。

11. フォレンジック調査・インシデント対応(株式会社サイバーディフェンス研究所)

サイバーディフェンス研究所 フォレンジック調査・インシデント対応のウェブサイト

ペネトレーションテストや専門家トレーニングで知られる株式会社サイバーディフェンス研究所も、フォレンジック調査・インシデント対応を提供しています。フォレンジック・マルウェア解析・ペネトレーションテストの専門家が複合チームを組み、初動対応の支援から調査・復旧・再発防止提案までを担います。

進め方はヒアリングから範囲の明確化(概算費用の提示)、データ保全、調査・解析、報告会、対策支援までの6段階です。利用者自身が端末のデータを安全に収集できる独自ツール「CDIR」を備え、被害の拡大防止と証拠保全を目的としたアドバイスは無料としています。

警察庁・検察庁・防衛省向けのフォレンジック専門家トレーニングの実績を公式に掲げ、JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)認証や、経済産業省の情報セキュリティサービス基準への登録(登録番号018-0006-30)を受けています。料金は調査内容・予算・期間に応じた提案型です。

12. Cyber NEXT デジタルフォレンジック(株式会社シーイーシー)

CEC Cyber NEXT デジタルフォレンジックのウェブサイト

株式会社シーイーシーのセキュリティブランド「Cyber NEXT」のメニューの一つが、デジタルフォレンジックです。インシデント発生時に現場でコンピューターのデータやネットワーク機器のログを収集し、調査・解析します。

データ・ログの回収から調査・解析、原因究明の支援、報告書の作成までを行い、ネットワーク通信の調査には専用機器を用います。相談後は翌営業日にオンサイトまたはWeb会議で状況を確認するとしており、解析はセキュリティ専用ルームで専門の担当者が実施します。

参考価格は1台あたり100万円からで、調査対象・規模・支援内容によって変わります。経済産業省の情報セキュリティサービス基準に「Cyber NEXTデジタルフォレンジックサービス」として登録(登録番号018-0012-30)されています。電話受付は平日9:00〜17:45です。

13. Proactive Defense DFIR(株式会社神戸デジタル・ラボ)

デジタルフォレンジック&インシデントレスポンス(神戸デジタル・ラボ)のウェブサイト

「Proactive Defense DFIR」は、株式会社神戸デジタル・ラボ(KDL)がセキュリティサービスブランド「Proactive Defense」で提供するデジタルフォレンジック&インシデントレスポンスです。マルウェア感染や情報漏えい、セキュリティ事故全般の原因調査と収束支援を扱います。

ヒアリング・見積り・調査(中間報告を含む)・報告会・事後のQ&Aサポートという流れで進み、サーバー・PC・USB端末のほかクラウドサーバーやVPSも、保全したディスク・メモリのデータ解析で調査できます。担当エンジニアはSANSのフォレンジック専門トレーニングの受講者です。

フォレンジック調査の参考価格は税抜220万円から(1週間・調査員2名)です。事故発生前に契約しておく「事前調査サービス」(税抜55万円から・契約期間1年)も用意され、期間中に事故が起きた場合は調査費用から55万円が差し引かれます。夜間・休日の対応はオプションで可能としています。

14. マルウェア感染調査支援サービス(JBCC株式会社)

JBCC マルウェア感染調査支援サービスのウェブサイト

マルウェア感染に備えた体制づくりと、感染後の調査を一つのメニューにまとめているのが、JBCC株式会社の「マルウェア感染調査支援サービス」です。Windows PCがマルウェアに感染する事態を想定し、事前のログ環境づくりから影響調査、予防・対策までを支援します。

主なサービス内容は4つで、感染対応ポリシーやフローの策定支援、推奨ログ設定やログ基盤の構築支援に加え、ファイアウォールログによる出口調査と、感染が疑われるWindows PCの詳細調査を行います。出口調査はパロアルトネットワークス社の次世代ファイアウォールが対象です。

PCの詳細調査では、ログが不足していてもレジストリ情報などシステムに残る痕跡から感染源や感染拡大を調べるとしています。料金は公式に明示がなく、担当営業への問い合わせが案内されています。サーバーやWindows以外の端末の調査可否、緊急時の対応は、見積りを取る際に確認しておくと安心です。

調査費用の相場(調査規模別)と費用を抑える考え方

ここからは、マルウェア感染調査の費用の目安を調査規模別に整理します。費用は調査する範囲とデータ量、期間によって大きく変わるため、まずは自社のケースがどの規模に当たるかを把握することが、見積りを読み解く近道になります。

調査規模別の費用・期間の目安

費用はおおむね、調査の規模に応じて3つの水準に分かれます。各社が公開している料金の例も、この規模感に沿っています(2026年10月時点、各社公式情報による。いずれも目安で、正式な費用は見積りが必要です)。

  • 簡易・初期切り分け:数万円〜20万円程度、数日。無料の自己診断ツールや各社への初期相談が中心で、調査会社に本格的な調査を依頼する場合は、次の端末フォレンジック以降が目安になります
  • 端末フォレンジック:おおむね30万円〜、1〜2週間。端末単位の本格的な解析で、会社や求める精度により費用に幅があります。1台でも高精度・大規模な解析では100万円を超えることがあり、各社の公開価格は比較表・個別紹介で確認できます
  • サーバー・ネットワーク全体:100万円〜数百万円以上、数週間以上。全社規模の侵害範囲を解析する調査です

同じ「マルウェア感染調査」でも、調べる対象が端末1台か全社規模かで費用は一桁変わります。見積りを比べるときは、対象範囲・台数・報告物の内容までそろえて確認すると、金額の妥当性を判断しやすくなります。

費用を抑える考え方(平時のログ保全・予防)

調査費用は、平時の備えによって結果的に抑えられます。ファイアウォールやEDRのログが十分な期間保存されていれば、調査会社が解析に使える手がかりが増え、調査範囲を絞り込みやすくなります。ログが数日分しか残っていないと、侵入経路の特定に時間がかかり費用がかさむこともあります。

平時の予防・監視サービスの導入には、公的な補助制度を活用できる場合があります。IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業向けの予防・監視をワンパッケージにしたサービスで、デジタル化・AI導入補助金による導入支援制度も用意されています。

ただしこれは平時に導入する予防サービスが対象であり、感染発覚後の調査費用そのものを補助する制度ではない点に注意してください。補助額や補助率、対象は年度の公募要領で変わるため、利用を検討する際は最新の公募要領を確認してください。

あわせて、攻撃を受ける前に自社システムの弱点を洗い出しておくことも、感染そのものを防ぎ、調査が必要になる事態を減らす備えになります。脆弱性診断の方法や費用相場、依頼先の選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。

出典・参考資料(1件)

調査の流れと報告物(証拠保全から報告会まで)

ここからは、依頼後に調査がどう進むかを時系列で解説します。会社によって工程の呼び方は異なりますが、おおむね共通する流れがあります。

マルウェア感染調査の3工程を矢印でつないだ図解。STEP1 ヒアリング・証拠保全=対象機器のデータを改変しない形で複製・保全。STEP2 解析=保全データから痕跡・侵入経路・不審な通信・情報の持ち出しを分析。STEP3 報告書の作成・報告会=感染の有無・被害範囲・侵入経路・漏えいの有無と再発防止をまとめて受領。
  1. ヒアリング・証拠保全:状況を確認し、対象機器のデータを改変しない形で複製・保全します。この保全の手続きが、後に証拠としての信頼性を支えます
  2. 解析:保全したデータから、マルウェアの痕跡・侵入経路・不審な通信・情報の持ち出しを分析します。専門のアナリストが、自動解析と手動解析を組み合わせて調べます
  3. 報告書の作成・報告会:感染の有無、被害範囲、侵入経路、情報漏えいの有無と、再発防止の提案をまとめた報告書を受け取ります。内容を口頭で説明する報告会を設ける会社もあります

受け取る報告書は、社内の事後対応だけでなく、取引先や当局への説明、場合によっては法的手続きの根拠にもなります。どこまでの用途を想定するかを、依頼時に調査会社と共有しておくと、必要な水準の報告物を得られます。

感染後に必要な対応:個人情報保護法の報告義務

マルウェア感染で個人データの漏えいが疑われる場合、調査と並行して、個人情報保護法に基づく対応が必要になることがあります。ここでは、依頼前に押さえておきたい報告義務の概要を解説します。実際の対応は状況によって変わるため、専門家や調査会社に確認しながら進めてください。

個人情報保護法は、一定の漏えい等が生じたときに、個人情報保護委員会への報告と本人への通知を義務づけています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。

出典:個人情報の保護に関する法律 第26条|e-Gov法令検索

報告が義務づけられる事態は施行規則で定められており、次のいずれかに当たる漏えい等(またはそのおそれ)が対象です。マルウェア感染による不正アクセスは、三つ目の「不正の目的をもって行われたおそれがある行為」に該当しやすく、報告対象になりやすい点に注意が必要です。

  • 要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等
  • 不正に利用されることで財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等
  • 不正の目的をもって行われたおそれがある行為による個人データの漏えい等
  • 本人の数が千人を超える漏えい等

報告は二段階です。法令上は、事態を知った後「速やかに」速報を行い、確報は知った日から30日以内(不正の目的による場合は60日以内)に行うと定められています。個人情報保護委員会は、速報の目安を発覚日から3〜5日以内と案内しています。

マルウェア感染は不正の目的による行為に当たりやすいため、確報は60日以内となるケースが多くなります。あわせて、本人への通知も事態の状況に応じて速やかに行う必要があります。

こうした報告・通知の判断には、漏えいの有無や範囲を正確に把握することが前提になります。感染調査で事実を固めておくことが、法令対応を適切に進める土台になります。

ここでは依頼前に押さえておきたい報告義務の概要を解説しました。個人データの漏えいが発覚したあとの初動から報告・通知、再発防止までの一連の対応フローは、以下の記事で手順を追って解説しています。

出典・参考資料(3件)

まとめ

マルウェア感染調査の依頼先は、調査範囲・費用の示し方・調査期間・緊急対応窓口・報告物の水準という軸で比べると、自社に合う会社を絞り込めます。まずは自社のケースが、端末1台の切り分けなのか、全社規模の侵害範囲調査なのか、法的証拠を見据えた調査なのか、緊急の初動相談なのかを見極めることが出発点です。

感染が疑われたら、まずネットワークから遮断し、記録を消さないよう状態を保ったまま専門家に相談してください。個人データの漏えいが疑われる場合は、個人情報保護法上の報告義務も視野に入れて対応を進めます。各社の資料を取り寄せて、調査範囲や費用、報告物の中身を具体的に比較することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. マルウェア感染調査(フォレンジック調査)とは何ですか?

A. マルウェア感染調査(フォレンジック調査)とは、感染が疑われる端末やサーバーに残るログ・ファイル・通信記録を解析し、感染の有無や被害の全体像を明らかにする調査です。デジタル機器の記録を証拠として保全・分析するデジタルフォレンジックの手法を用いるため、フォレンジック調査とも呼ばれます。アンチウイルスで検知されなかった潜伏マルウェアや、侵入経路、情報漏えいの痕跡まで突き止められる点が特徴です。

Q. マルウェア感染調査は、通常のウイルス駆除やアンチウイルスと何が違いますか?

A. マルウェア感染調査は、「何が起きたのかを事実として突き止める」ことを目的とする点でウイルス駆除と異なります。アンチウイルスやEDRによる駆除が脅威を取り除くことを目的とするのに対し、感染調査は侵入経路・被害範囲・情報漏えいの有無を証拠とともに明らかにします。駆除だけで対応を終えると、感染経路が塞がれないまま再発したり、すでに盗まれた情報に気づけなかったりするおそれがあります。

Q. 感染したかもしれないとき、自社ですぐにウイルスチェックをかけてもよいですか?

A. 急いでウイルス駆除や初期化をかけるのは避けるのが安全です。駆除や再起動の操作が、感染経路や被害範囲を示す痕跡(特にメモリ上に残る揮発性の記録)を消してしまうことがあるためです。感染が疑われる端末はまずネットワークから切り離し、電源は入れたまま状態を保って、早めに専門家へ相談してください。

Q. マルウェア感染調査は、小さな会社や端末1台だけでも依頼できますか?

A. 端末1台や小規模な会社でも依頼できます。端末1台の簡易な切り分けであれば数万円〜20万円程度から相談できるサービスもあり、まずは見積りと調査範囲の相談から始められます。被害が1台にとどまるのか、全社に広がっている可能性があるのかで必要な範囲は変わるため、現状を伝えたうえで相談するとよいでしょう。

Q. マルウェア感染調査の費用相場はどれくらいですか?

A. マルウェア感染調査の費用は、簡易な初期切り分けで数万円〜20万円程度、端末単位の本格的な解析で30万円〜100万円程度、サーバー・ネットワーク全体で100万円〜数百万円以上が目安です。同じ「マルウェア感染調査」でも、対象が端末1台か全社規模かで費用は一桁変わります(2026年10月時点、各社公式情報による目安。正式な費用は見積りが必要です)。

Q. マルウェア感染調査の見積りは、どうやって取ればよいですか?

A. マルウェア感染調査の見積りは、対象台数・調査期間・報告物の範囲という前提をそろえて、複数社から取るのが基本です。公開価格を示す会社は予算の見通しを立てやすく、個別見積りの会社は実態に即した範囲設計を相談しやすい、という違いがあります。見積りの前提が明確に説明されるかどうかも、信頼できる依頼先を見分ける手がかりになります。

Q. マルウェア感染調査にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. マルウェア感染調査の期間は、簡易な切り分けで数日、端末フォレンジックで1〜2週間、サーバーやネットワーク全体で数週間以上が目安です。取引先や当局への報告期限が迫っている場合は、着手から報告書の提出・報告会までにどれくらいかかるかを、契約前に確認しておくと安心です。

Q. マルウェアを駆除・初期化したあとでも、感染の痕跡を調べられますか?

A. 駆除や初期化をしたあとでも、システムに残る痕跡から感染を調べられる場合があります。ログが不足していても、レジストリ情報などシステムに残る記録をたどって感染源や感染拡大を分析する調査会社もあります。ただし痕跡が多く残っているほど精度は上がるため、できるだけ発覚時の状態を保ったまま相談するのが望ましいです。

Q. マルウェア感染調査は、サーバーやクラウド、スマートフォンも対象にできますか?

A. 対応できる機器の範囲は会社によって異なり、端末(パソコン)だけでなくサーバー・ネットワーク機器・クラウド・スマートフォンまで横断して調べられる会社もあります。自社の環境と調べたい対象が、依頼先の対応範囲に含まれているかを最初に確認してください。被害が複数の端末やサーバーに及ぶ可能性がある場合は、横断して調査できる会社が向きます。

Q. マルウェア感染調査の報告書は、訴訟や社内の懲戒処分の証拠として使えますか?

A. 証拠保全の手続きを踏んだ報告書であれば、訴訟や社内の懲戒処分の証拠として利用できる場合があります。対象機器のデータを改変しない形で複製・保全した記録が、証拠としての信頼性を支えます。社内説明で足りるのか、取引先・当局への提出や法的手続きまで見据えるのかで求められる報告物の水準が変わるため、想定する用途を依頼時に調査会社と共有しておきましょう。

Q. マルウェア感染で個人情報が漏れた可能性があるとき、報告義務はありますか?

A. マルウェア感染で個人データの漏えい(またはそのおそれ)が生じた場合、個人情報保護法に基づき、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられることがあります。不正の目的をもって行われたおそれがある行為、要配慮個人情報、財産的被害が生じるおそれ、本人の数が千人を超える漏えい等が対象です。

報告は二段階で、速報は法令上「速やかに」(個人情報保護委員会は発覚から3〜5日以内を目安と案内)、確報は事態を知った日から30日以内(不正の目的による場合は60日以内)に行います。マルウェア感染は不正の目的による行為に当たりやすく、確報が60日以内となるケースが多くなります。

実際の対応は状況によって変わるため、専門家や調査会社に確認しながら進めてください。

出典・参考資料(2件)

Q. マルウェア感染調査の会社は、24時間・緊急で対応してもらえますか?

A. 24時間365日の緊急受付窓口(サイバー救急)を備えた会社であれば、正式契約を待たずに発覚直後から証拠保全の助言を受けられます。感染発覚直後に初動を相談したい場合は、緊急窓口の有無が依頼先を分ける要素になります。自社に即応できる体制がない企業ほど、緊急対応窓口のある会社が向きます。

Q. ランサムウェアの被害でも、マルウェア感染調査の会社に依頼できますか?

A. ランサムウェアの被害でも、マルウェア感染調査やインシデント対応に対応する会社に依頼できます。多くの会社が、ランサムウェア感染や不正アクセスを含む幅広いインシデントを、事故発生後の契約で扱っています。被害の封じ込め・原因究明・復旧・再発防止までを一貫して支援する会社もあるため、緊急の初動から相談するとよいでしょう。

Q. マルウェア感染調査を依頼すれば、情報漏えいの有無は必ず分かりますか?

A. 情報漏えいの有無を必ず確定できるとは限りませんが、残された痕跡から漏えいの可能性を事実に基づいて評価できます。ログが十分に残っているほど判断の精度は上がり、逆にログが数日分しか残っていないと特定に時間がかかることがあります。平時からファイアウォールやEDRのログを十分な期間保存しておくことが、正確な調査の土台になります。

Q. 会社に依頼する前に、無料でマルウェア感染の有無を確認する方法はありますか?

A. 端末1台の簡易な一次確認であれば、アンチウイルスのフルスキャンや無料の感染診断ツールである程度は確かめられます。横浜国立大学が運営する「am I infected?」のように、ネットワーク上の機器が感染していないかをIPアドレス単位で無料で調べられるツールもあります(提供状況により一時的に利用できないことがあります)。

ただし潜伏する標的型マルウェアの特定や、感染の広がり・情報漏えいの有無の見極め、法的証拠として通用する調査が必要な場面では、専門会社への依頼が現実的です。

Q. マルウェア感染調査では、予防と調査のどちらを優先すべきですか?

A. 順番としては、平時の予防(EDR・メール対策・ログ保全)を先に固めるのが基本です。予防とログ保全を整えておくほど、万一感染したときの調査で使える手がかりが増え、調査を早く安く済ませられます。すでに感染が疑われている場合は、当然ながら事実確認のための調査を急ぎます。

Q. マルウェア感染調査の費用は、補助金で抑えられますか?

A. 感染発覚後の調査費用そのものを直接補助する制度は、原則ありません。補助の対象になるのは、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」など平時に導入する予防・監視サービスで、デジタル化・AI導入補助金による導入支援が用意されています。補助額や補助率、対象は年度の公募要領で変わるため、利用を検討する際は最新の公募要領を確認してください。

Q. 調査を依頼する前に、社内で準備しておくとよいことはありますか?

A. 感染に気づいた端末はネットワークから切り離したうえで電源を入れたまま保ち、「いつ・どの端末で・どんな異常に気づいたか」の時系列メモと、ファイアウォールやEDRのログを保全しておくと調査がスムーズです。社内の連絡窓口を一本化し、調査会社とのやり取りを集約すると、状況の行き違いを防げます。

ログの保存期間が短いと侵入経路の特定に時間がかかり費用がかさむため、残っているログは消さないことが大切です。駆除や初期化を先に行うと、調査に必要な痕跡まで失われるおそれがあります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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