取引先の審査や、契約書への反社会的勢力排除条項の整備を進めるとき、そもそも「反社会的勢力」がどこまでの範囲を指すのかがはっきりしないまま話が進んでしまうことがあります。暴力団はイメージできても、それ以外に誰が含まれるのかは意外と曖昧です。
反社会的勢力は、暴力団だけを指す言葉ではありません。政府の指針は暴力団のほかにも複数の類型を示しており、近年は共生者や準暴力団(半グレ)、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)といった新しい形態も問題になっています。
本記事では、政府指針による反社会的勢力の公式な定義と、該当する集団の種類・範囲を出典付きで整理します。あわせて、反社会的勢力を排除しなければならない理由や、取引先が反社会的勢力に該当するかを見分ける方法の入口までを解説します。
目次
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反社会的勢力とは(定義と範囲)
政府指針が示す反社会的勢力の定義
反社会的勢力の定義としてもっとも広く参照されているのは、2007年(平成19年)に政府(犯罪対策閣僚会議幹事会)が申し合わせた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の一文です。同指針は、反社会的勢力を次のようにとらえるとしています。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省
この一文の前半にある「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」が、反社会的勢力の中核的な定義にあたります。暴力や威力だけでなく詐欺的手法も含み、対象を集団だけでなく個人にまで広げている点が特徴です。この属性要件・行為要件の列挙は、指針の本文ではなく脚注に置かれています。
反社会的勢力に含まれる集団の種類
反社会的勢力に含まれる主な集団・類型は、次のとおりです。政府指針が挙げる属性要件のほか、契約実務で用いられる類型や、警察が新たに位置付けた集団を加えて整理します。
| 種類 | 暴力団 | 暴力団準構成員 | 暴力団関係企業 | 総会屋 | 社会運動標ぼうゴロ | 政治活動標ぼうゴロ | 特殊知能暴力集団 | 共生者 | 準暴力団(半グレ) | 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| どんな存在か | 構成員による集団的・常習的な暴力的不法行為等を助長するおそれがある団体(暴力団対策法の定義)。うち都道府県公安委員会の指定を受けたものが指定暴力団。 | 暴力団と関係を持ちながら、資金や武力の供給などで暴力団の活動を支える者。 | 暴力団員が実質的に経営に関与している、または資金提供などで暴力団を支える企業。 | 株主の権利行使に関して不当な要求を行い、企業から利益を得ようとする者。 | 社会運動を標ぼうして、企業などに不当な要求を行う者。 | 政治活動を標ぼうして、企業などに不当な要求を行う者。 | 暴力団との関係を背景に、その威力を用い、または暴力団と資金的なつながりを持って、構造的な不正の中核となっている集団・個人。 | 暴力団の資金獲得活動に協力・関与する者。経営支配・実質的関与・不当利用・資金等の提供・社会的に非難されるべき関係の5類型で示される。 | 暴力団のような明確な組織性はないものの、暴力団などの犯罪組織と密接な関係がうかがわれ、集団的・常習的に暴力的不法行為を行う集団。 | SNSなどで緩やかに結びつき、役割を細分化して犯罪を繰り返す集団。中核が匿名化され、実行役が入れ替わるため実態把握が難しい。 |
| 主な根拠 | 政府指針/暴力団対策法 | 全国銀行協会 参考例 | 政府指針 | 政府指針 | 政府指針 | 政府指針 | 政府指針 | 全国銀行協会 参考例 | 警察白書 | 警察白書(令和6年版) |
※各類型の呼称・位置付けは政府指針・契約実務・警察資料に基づく整理です。
このうち暴力団準構成員は、暴力団の構成員ではないものの、資金や武力の供給などで暴力団を支える者を指します。
共生者は、全国銀行協会が示す「暴力団排除条項参考例」で、暴力団員等と一定の関係を有する者として5つの類型に整理されています。また準暴力団(半グレ)は、暴力団のような明確な組織性を持たない集団として警察が位置付けた呼称で、近年はSNSを通じて緩やかに結びつく匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)も問題となっています。
政府指針が属性要件として挙げる類型のうち、総会屋は、株主総会などの場で企業に不正な利益を求めて不当な要求を行う者を指します。社会運動標ぼうゴロ・政治活動標ぼうゴロは、それぞれ社会運動・政治活動を標ぼうして不当な要求を行う者です。
特殊知能暴力集団は、暴力団との関係を背景に、その威力を用いたり暴力団と資金的なつながりを持ったりして、構造的な不正の中核となっている集団・個人です。いずれも暴力を前面に出さない場合もあり、暴力団と同じく政府指針が関係遮断の対象とする類型です。
出典・参考資料(4件)
「反社=暴力団」ではない(属性要件と行為要件)
反社会的勢力は暴力団だけを指すわけではありません。政府指針は、反社会的勢力を「属性要件」と「行為要件」の2つの側面からとらえるよう求めています。

属性要件は「何者か」に着目する軸で、先ほどの種類一覧で挙げた暴力団・暴力団関係企業・総会屋などがこれにあたります。
一方の行為要件は、どのような行為をしているかに着目する軸で、指針は「暴力的な要求行為」「法的な責任を超えた不当な要求」を挙げています。このように、暴力団に所属しているかどうかだけでなく、不当な要求などの行為の側面からも判断されるため、暴力団という枠に収まらない相手も対象になり得ます。
定義が一律に定めにくい理由
政府指針が属性要件と行為要件という幅のあるとらえ方をしているのは、反社会的勢力を一つの条文で固定的に定義することが難しいためです。政府は2019年(令和元年)12月の答弁書で、この点を次のように説明しています。
政府としては、「反社会的勢力」については、その形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難であると考えている。
出典:反社会的勢力の定義に関する質問に対する答弁書(内閣参質二〇〇第八二号)|参議院
このように、反社会的勢力は「これに当てはまれば必ず反社」という一律の線引きが用意されているわけではなく、属性と行為の両面から個別に判断する必要があります。共生者や準暴力団、トクリュウのように新しい形態が現れていることも、定義を固定しにくい理由の一つです。
元暴5年ルールとは
反社会的勢力の範囲を考えるうえで、実務で問題になりやすいのが「元暴5年ルール」と呼ばれる考え方です。これは、暴力団を離脱した元暴力団員について、離脱後一定期間は反社会的勢力に準じて扱うという実務上の運用を指します。
その代表例が、全国銀行協会の「暴力団排除条項参考例」です。同参考例は、契約から排除する対象(暴力団員等)の一つとして「暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者」を挙げています。金融機関の取引実務では、この参考例を踏まえて暴排条項を整備することが一般的で、元暴力団員を離脱後5年間は取引の相手方から除外する運用につながっています。
ただし「元暴5年ルール」は正式な法令用語ではなく、暴排条項の実務運用でしばしば設けられる要件を指す通称です。すべての取引や業種で一律に5年と定められているわけではないため、自社の契約で同様の条項を設ける場合は、対象範囲や期間を個別に確認することが必要です。
出典・参考資料(1件)
なぜ反社会的勢力を排除しなければならないのか
企業が反社会的勢力を排除しなければならない理由は、大きく「行政からの要請」と「企業側のリスク」の2つに整理できます。
行政からの要請の起点は、先ほどの政府指針です。同指針は、企業がとるべき基本原則として、取引を含めた反社会的勢力との一切の関係遮断を求めています。
反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。
出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省
この要請は、法令面でも段階的に強化されてきました。1991年(平成3年)に制定され翌1992年に施行された暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)に続き、2010年から2011年にかけて各都道府県で暴力団排除条例が施行されました(東京都では2011年10月に施行)。
暴力団排除条例は、事業者に対して契約時に相手方が暴力団関係者でないことを確認するよう努めることなどを定めています。上場企業についても、東京証券取引所の有価証券上場規程が、反社会的勢力の排除に向けた社内体制の整備などを求めています。
企業側のリスクの面では、反社会的勢力と関係を持つと、不当要求による直接の被害に加えて、社会的信用の低下や取引先からの契約解除といった影響が生じます。
上場企業の場合は、反社会的勢力の関与が判明し、その実態が市場に対する株主・投資者の信頼を著しく毀損したと取引所が認めるときには、上場廃止の対象になり得ます。こうしたリスクを避けるために、取引開始前の反社チェックと、契約書への暴排条項の整備が実務上重要になります。
出典・参考資料(3件)
取引先が反社か見分ける方法と反社チェックの進め方
ここからは、取引先が反社会的勢力に該当するかどうかを見分ける方法の入口を整理します。定義や範囲を押さえたうえで、実際の確認作業をどう進めるかが次の課題になります。
反社会的勢力かどうかは、外見や印象だけで判断できるものではありません。実務では、取引先の商業登記情報や会社概要、Web上の情報、新聞記事データベースなど複数の情報源を組み合わせ、対象者の名称や役員名を照合していきます。取引の規模と企業の実態が見合わない、契約条件が不自然に有利であるといった違和感も、確認のきっかけになります。
大まかな流れとしては、まず対象となる企業名・代表者名・役員名を特定し、次に登記情報やWeb・新聞記事データベースでそれぞれを照合します。その上で、取引実態との不一致や不自然な条件といった違和感の有無を確認し、疑わしい要素があれば追加の精査や取引の見送りを検討します。
一方、こうした情報源の照合ではなく「警察に問い合わせれば相手が反社かどうかすぐ分かるのではないか」と考える担当者も少なくありません。しかし企業が警察や暴力追放運動推進センターに反社かどうかを直接照会することは、原則としてできません。その法的根拠と、警察に頼らずに実務で確認する代替手段は、以下の記事で解説しています。
ただし、こうした名称や役員名の照合だけでは把握しきれない相手もいます。反社会的勢力が紹介者や別の会社を介して素性を隠すケースを踏まえ、弁護士の阿部由羅氏は照合作業の限界と、確認すべき対象について次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的な支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
確認の対象は取引開始時だけにとどまりません。政府指針や暴力団排除条例が求める体制整備を踏まえると、契約書に暴排条項を設けたうえで、取引開始時に加えて定期的にチェックを行う運用が望まれます。
取引先が多く継続的な確認が必要な場合は、こうした照合を効率化する手段もあります。具体的な進め方は、次章で反社チェックを支援するサービスとあわせて見ていきます。
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反社チェックを実務に落とすには
取引先の反社チェックを継続的に運用するには、情報収集と照合を支援する専用のサービスを利用する方法があります。ここでは代表的なサービスを紹介します。各サービスの機能や料金を横並びで比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
以下は、ここで紹介する反社チェックツール4サービスの比較表です。
| サービス名 | RISK EYES(リスクアイズ) | RoboRoboコンプライアンスチェック | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | SP RISK SEARCH |
|---|---|---|---|---|
| 検索対象の情報源 | WEBニュース・新聞記事・ブログ/掲示板 独自反社DB・制裁リスト 行政処分・商業登記情報 | インターネット記事・新聞記事 海外情報DB(約190ヵ国) SP RISK SEARCH連携・官報破産者情報 | 国内約1,000媒体(新聞・雑誌等) 海外240以上の国・地域 官報情報・PEPs/Sanction | 独自反社DB(QSS・約60万件) 新聞記事(1960年以降) インターネット風評・海外情報 |
| 料金体系 | 初期費用無料 最低月額15,000円(税別)+1媒体300円/検索 | 従量課金・年間プランをオーダーメイドで設計 (料金は要お問い合わせ) | 初期費用無料 月額27,500円〜(ライトプラン/年間600検索) | 要お問い合わせ(会員制・個別見積もり) |
| 無料トライアル | あり | あり(取引先10件まで) | あり(期間・件数は要相談) | 公開情報に記載なし |
| 導入・利用実績 | サービス提供後に株式を公開した企業59社 (2026年4月時点、公式サイト) | 導入社数10,000社超 (2026年2月時点) | 累計導入2,000社 (2026年9月時点の公式発表) | 累計利用法人 約3,000社 (公式サイト記載) |
| 特徴・支援範囲 | AIが記事の関連度・懸念度を判定しノイズを削減。導入時は運用フローの整理から伴走 | 生成AIが記事を要約し3段階で判定。営業〜法務の承認ワークフローを自動化。BPO代行も提供 | 判定済みDB型で1件最短0.4秒・1,000件を約1分で処理。API/OEM連携やKYC/AMLコンサルも提供 | 企業危機管理の専門会社が提供。チェック結果の判断・対応まで相談できる |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
※料金・機能・導入実績は各社の公式サイト等の公開情報をもとにした2026年9月時点の記載です。最新の詳細は各サービスの公式情報をご確認ください。
1. RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

RISK EYES(リスクアイズ)は、東京証券取引所グロース市場に上場するソーシャルワイヤー株式会社(証券コード3929)が提供する反社・コンプライアンスチェックサービスです。新聞・雑誌記事やインターネット上の情報に加え、独自に構築したデータベースを用いて対象者を検索できます。
公式サイトでは、RISK EYESの提供開始後に株式を公開した企業が59社(2026年4月時点)と掲示されており、上場準備の局面でも利用されています。反社チェックとあわせて、取引先の信用面を評価する健全度分析などの機能も用意されています。
ツールによる絞り込みと、担当者に残る最終判断の線引きについて、同社の杉山賢人氏は次のように説明しています。

法人名・人名に加えて、生年や住所などの情報を指定することで、同名・類似名の別人情報を絞り込めます。また、除外ワードやAIによる記事の関連度・懸念度判定を利用することで、明らかに関連性の低い記事を確認対象から減らすことができます。これにより、担当者が目視する件数は大幅に削減できますが、検出された情報が実際の調査対象者に関するものか、また自社の基準上どのように判断するかという最終確認まですべて自動化するものではありません。RISK EYESは、最終判断に必要な情報を効率よく絞り込み、判断過程を記録するところまでを支援します。
2. RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

オープン株式会社の「RoboRoboコンプライアンスチェック」は、企業名や個人名の入力から新聞記事・Web情報の検索、結果の一覧化までを自動化し、反社チェックの作業負担を軽くするサービスです。チェック結果をレポートとして保存できるため、確認の記録を社内に残す運用にも向いています。
導入社数は、オープン株式会社の発表で10,000社を突破しています(2026年2月時点)。多くの取引先を定期的に確認する必要がある企業にとって、作業の効率化につながる選択肢です。
反社チェックが社内のどの部門にまたがる業務なのかについて、同社の関根氏は次のように話しています。

意外と多いのがDX推進部門や情報システム部門からのお問い合わせで、これは反社チェックが営業・法務・管理部門など複数の部署をまたぐ業務であることに関係しています。営業担当が新規取引先を持ってきた後、法務でチェックして結果を営業に戻し、さらに契約書作成の段階でまた法務に戻るという差し戻しが非常に多い業務なのです。
3. RiskAnalyze(KYCコンサルティング株式会社)

顧客確認(KYC)・マネー・ロンダリング対策(AML)を専門とするKYCコンサルティング株式会社が開発したのが、Webサービス型の反社・コンプライアンスチェックツール「RiskAnalyze(リスクアナライズ)」です。反社チェックに必要な情報の収集と評価を、専門会社のノウハウをもとにオンラインで行える点が特徴です。
累計導入企業数は2,000社とされています(KYCコンサルティングの公式発表、2026年9月時点の記載)。反社チェックにとどまらず、顧客確認・マネー・ロンダリング対策に関するコンサルティングも手がけています。
4. SP RISK SEARCH(株式会社エス・ピー・ネットワーク)

企業危機管理を専門とする株式会社エス・ピー・ネットワークが提供するのが、反社・コンプライアンスチェック向けのデータベース検索サービス「SP RISK SEARCH」です。2019年8月に提供が始まり、前身のスクリーニングシステムから続く反社チェックの実務ノウハウを反映しています。
データベース検索による反社チェックに加えて、危機管理の専門会社ならではの調査・対応支援を受けられる点が特徴です。チェック結果をどう判断し、どう対応するかまで含めて相談したい企業に向いています。
まとめ
反社会的勢力とは、政府指針が示す「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」を中核とする概念で、暴力団だけを指す言葉ではありません。
暴力団関係企業・総会屋・社会運動等標ぼうゴロ・特殊知能暴力集団といった属性のほか、共生者や準暴力団(半グレ)、トクリュウなど、形態は多様です。政府自身が「限定的、かつ、統一的に定義することは困難」としているように、属性と行為の両面から個別に判断する必要があります。
企業にとっては、政府指針・暴力団排除条例・上場規程が求める関係遮断を実現するために、取引開始時と定期的な反社チェック、そして契約書への暴排条項の整備が実務の要になります。取引先の確認を効率的に進めたい場合は、専用サービスの活用も検討してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 反社会的勢力とは何ですか?
A. 反社会的勢力とは、政府指針が示す「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」を中核とする概念で、暴力団だけを指す言葉ではありません。
2007年(平成19年)に政府(犯罪対策閣僚会議幹事会)が申し合わせた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」による定義で、暴力団・暴力団関係企業・総会屋・社会運動等標ぼうゴロ・特殊知能暴力集団などの属性のほか、共生者や準暴力団(半グレ)、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)といった集団も含まれます。
出典・参考資料(1件)
Q. 共生者とは何ですか?
A. 共生者とは、暴力団の資金獲得活動などに協力・関与し、暴力団と一定の関係を持つ者を指します。
全国銀行協会の「暴力団排除条項参考例」では、暴力団員等と一定の関係を有する者として、次の5類型に整理されています。
- 経営を支配していると認められる関係
- 経営に実質的に関与していると認められる関係
- 不当に暴力団員等を利用していると認められる関係
- 資金等を提供し便宜を供与するなどの関係
- 社会的に非難されるべき関係
出典・参考資料(1件)
Q. 半グレ(準暴力団)とは何ですか?
A. 半グレとは、警察が「準暴力団」と位置付ける集団を指します。暴力団のような明確な組織性は持たないものの、暴力団などの犯罪組織との密接な関係がうかがわれ、集団的・常習的に暴力的不法行為を行う集団です。平成26年版の警察白書は、繁華街・歓楽街等で暴走族の元構成員等を中心とする集団が暴力的不法行為を行っている実態を挙げ、こうした集団を準暴力団と定義しています。
出典・参考資料(1件)
Q. トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)とは何ですか?
A. トクリュウとは、SNSなどを通じて緩やかに結びつき、役割を細分化して犯罪を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。令和6年版の警察白書によると、収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、実行役を入れ替えながら資金獲得活動を行うため、組織の把握やメンバーの特定が容易ではないという特徴があります。法律上の定義語ではなく、実態を説明するための呼称です。
出典・参考資料(1件)
Q. 暴力団準構成員とは何ですか?
A. 暴力団準構成員とは、暴力団の構成員ではないものの、暴力団と関係を持ちながら資金や武力の供給などで暴力団の活動を支える者を指します。全国銀行協会の暴力団排除条項参考例が、契約から排除する「暴力団員等」の一つとして準構成員を挙げています。ただし、この呼称は政府指針が挙げる属性要件そのものには含まれない点に注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
Q. 元暴5年ルールとは何ですか?
A. 元暴5年ルールとは、暴力団を離脱した元暴力団員を、離脱後の一定期間は反社会的勢力に準じて扱う実務上の運用を指す通称です。全国銀行協会の暴力団排除条項参考例が、排除対象の「暴力団員等」に「暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者」を挙げていることが直接の根拠で、金融機関の取引実務で広く用いられています。
ただし正式な法令用語ではなく、すべての取引や業種で一律に5年と定められているわけではないため、自社の契約で同様の条項を設ける場合は対象範囲や期間を個別に確認することが必要です。
出典・参考資料(1件)
Q. 反社会的勢力の一覧やリストはありますか?
A. 反社会的勢力全体を網羅した公的な一覧・リストは、一般には公表されていません。政府も答弁書で、反社会的勢力は「その形態が多様であり…あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難」としており、一律の線引きが用意されていないためです。
暴力団については暴力団対策法に基づき都道府県公安委員会が指定していますが、反社会的勢力に該当するかどうかは、複数の情報源を照合する反社チェックによって個別に確認していく必要があります。
出典・参考資料(1件)
Q. 取引先が反社会的勢力かどうかを調べる方法はありますか?
A. 取引先が反社会的勢力かどうかは、商業登記情報・会社概要・Web情報・新聞記事データベースなど複数の情報源を組み合わせ、名称や役員名を照合する「反社チェック」で確認します。
外見や印象だけで判断できるものではなく、取引規模と企業実態が見合わない、契約条件が不自然に有利であるといった違和感も確認のきっかけになります。政府指針や暴力団排除条例が求める体制整備を踏まえ、取引開始時と定期的なチェックを行い、件数が多い場合は専用の反社チェックサービスを活用する方法もあります。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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