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法人の本人確認書類とは?会社・取引担当者・実質的支配者の必要書類と確認方法を一覧で解説

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取引の相手が法人のとき、本人確認で集める書類は個人の取引と異なります。会社そのものを確認する登記事項証明書だけでなく、実際に手続きをする担当者個人の確認、さらに会社の背後にいる「実質的支配者」の確認まで、確認の対象が三層に分かれるためです。どの層でどの書類が必要になるのかを取り違えると、書類の取り直しや取引開始の遅延につながります。

法人の本人確認は、多くの場合、犯罪収益移転防止法(犯収法)にもとづく「取引時確認」として行われます。銀行口座の開設や決済サービスの契約などで、事業者が取引の相手方に書類の提出を求める根拠がこの法律です。確認する側の担当者にとっては、法令が求める書類と有効期限を正確に押さえることが、手戻りのない手続きの前提になります。

本記事では、法人の本人確認で必要になる書類を「会社」「取引担当者」「実質的支配者」の三層に分けて整理し、それぞれの具体的な書類・有効期限・原本の要否を犯収法と関係法令の条文にもとづいて解説します。あわせて、対面・非対面・eKYC(オンライン本人確認)という確認方法の違いと、法人の本人確認をオンラインで完結させるためのサービスも紹介します。

確認する義務を負う側(銀行や決済事業者などの事業者)と、確認を受けて自社の書類を用意する法人側の、どちらの立場でも必要書類を確かめられる内容です。

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法人の本人確認書類とは?会社・取引担当者・実質的支配者の3層で必要書類が決まる

法人の本人確認では、確認する対象が「会社(法人)そのもの」「取引の手続きをする担当者」「実質的支配者」の3層に分かれ、それぞれで求められる書類が変わります。個人の取引なら本人確認書類1点で足りることが多いのに対し、法人ではこの3層をそろえて初めて確認が完結します。

法人の本人確認(犯収法の取引時確認)で確認する3つの対象を示した図。①会社(法人)自体は名称・本店所在地を登記事項証明書などで確認、②取引担当者は担当者個人の本人特定事項と取引の権限(代表者以外は委任状)を確認、③実質的支配者は議決権50%超(いなければ25%超)を持つ自然人などを原則申告で確認する。

まず全体像を押さえられるよう、3層で必要になる書類と有効期限・原本の要否を1つの表にまとめました。各層の詳細は、この後のセクションで条文にもとづいて解説します。

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確認の層① 会社(法人)自体② 取引担当者(手続きをする人)③ 実質的支配者
確認する事項名称・本店所在地
(法人の本人特定事項)
担当者個人の本人特定事項
+取引の権限
議決権の50%超(いなければ25%超)を持つ自然人など
主な必要書類登記事項証明書/印鑑登録証明書/官公庁発行書類のいずれか1点個人の本人確認書類+(代表者以外は)委任状など原則は代表者などからの申告
(なりすまし等のハイリスク取引は申告+書類)
有効期限作成後6ヶ月以内個人の書類の区分に準じる
原本・写しの別対面は原本を提示
郵送は写しでも可
確認方法により異なる

※通常の特定取引の場合の一般的な整理です。取引の種類や事業者の運用により、求められる書類は異なります。

この3層に分かれる根拠は、犯収法が取引時確認で求める確認事項にあります。犯収法第4条第1項は、法人の顧客について「名称及び本店又は主たる事務所の所在地」(本人特定事項)に加え、取引を行う目的・事業の内容、そして実質的支配者の本人特定事項を確認するよう定めています。さらに同条第4項が、実際に取引の任に当たる担当者個人の確認を求めるため、会社・担当者・実質的支配者の3方向を確認することになります。

出典・参考資料(1件)

会社(法人)の本人特定事項の確認書類

3層の1つ目は、会社そのものの確認です。ここで確認するのは法人の「名称」と「本店又は主たる事務所の所在地」の2点で、これを証明する書類が本人確認書類として認められています。犯収法施行規則第7条は、法人の本人確認書類を次のように定めています。

  • イ 当該法人の設立の登記に係る登記事項証明書(当該法人が設立の登記をしていないときは、当該法人を所轄する行政機関の長の当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地を証する書類)又は印鑑登録証明書(当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるものに限る。)
  • ロ イに掲げるもののほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるもの
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(第7条第2号)|e-Gov法令検索

実務でよく使われるのは、次の書類です。名称と本店所在地の記載があることが共通の条件になります。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局が発行する、会社の商号・本店・役員などを記載した書類。履歴事項全部証明書などが該当します。
  • 印鑑登録証明書:会社の名称・本店所在地の記載があるもの。登記事項証明書とともに法務局で取得できます。
  • 官公庁発行書類:上記に準じ、法人の名称・本店所在地が記載された官公庁発行の書類。

外国に本店を持つ法人の場合は、日本国政府が承認した外国政府または権限のある国際機関が発行した書類で、法人の名称・本店所在地の記載があるものが本人確認書類として認められます(施行規則第7条第4号)。

見落としやすいのが有効期限です。これらの会社の確認書類は、事業者が提示または送付を受ける日の前6ヶ月以内に作成されたものに限られます。これは金融機関の運用ルールではなく、施行規則第7条が定める法令上の要件です。取得から時間が経った登記事項証明書は使えないため、手続きの直前に取得し直すのが確実です。

この6ヶ月以内は、法令が定める上限です。実務では、金融機関によっては自社の運用として登記事項証明書を「発行から3ヶ月以内」など、より短い期間で求める場合もあります。提出先が指定する期限は事前に確認しておくと、取り直しの手戻りを避けられます。

原本と写しの扱いは確認方法によって変わります。窓口での対面確認では原本の提示を求められるのが原則で、書類を郵送でやり取りする非対面の方法では写しの送付が認められる場合があります(確認方法の詳細は後述します)。

出典・参考資料(1件)

住所が一致しないときなどの補完書類

本人確認書類に現在の本店所在地の記載がない、あるいは記載内容が実際と異なるといった場合には、所在地を補う「補完書類」を併せて確認します。犯収法施行規則第6条第2項は、補完書類として次のものを挙げています。

  • 国税または地方税の領収証書または納税証明書
  • 社会保険料の領収証書
  • 公共料金(電気・ガス・水道など)の領収証書

これらの補完書類も、領収日付または発行年月日が提示・送付を受ける日の前6ヶ月以内のものに限られます。会社の本人確認書類と同じく、古いものは使えない点に注意が必要です。

出典・参考資料(1件)

取引担当者(手続きをする人)の本人確認と委任状

会社の書類をそろえても、それだけでは法人の本人確認は完結しません。犯収法は、会社の確認に加えて、実際にその取引の窓口に立つ担当者個人の本人特定事項も確認するよう求めているためです。第4条第4項は、現に取引の任に当たっている自然人が顧客本人と異なるときは、その担当者についても本人特定事項を確認しなければならないと定めています。

つまり、担当者については個人の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)で本人特定事項を確認します。加えて確認が必要になるのが、その担当者が「会社のために取引をする権限を持っているか」という点です。

この取引権限の確認方法は、施行規則第12条第5項に定められています。担当者が会社のために取引の任に当たっていると認められるのは、次のいずれかに該当する場合です。

  • 会社が作成した委任状など、その担当者が会社のために取引の任に当たっていることを証する書面を持っていること
  • その担当者が、会社を代表する権限を持つ役員として登記されていること
  • 会社の本店などに電話をかけるなどの方法で、取引の任に当たっていることが確認できること

ここから読み取れる実務上のポイントは明快です。手続きをするのが代表取締役本人であれば、その氏名は登記事項証明書に役員として記載されているため、委任状は原則として不要です。一方、代表者以外の従業員などが窓口に立つ場合は、委任状などで取引権限を確認する必要があります。担当者を誰にするかで必要書類が変わるため、手続き前に確認しておくと手戻りを防げます。

出典・参考資料(2件)

実質的支配者の確認

3層の最後が、実質的支配者の確認です。実質的支配者とは、会社の背後でその事業経営を実質的に支配している自然人を指します。書類上の代表者とは別に、株式や議決権を通じて会社を実際にコントロールしている個人が誰かを明らかにすることで、法人を隠れみのにしたマネー・ローンダリングを防ぐ狙いがあります。

誰が実質的支配者に当たるかは、施行規則第11条第2項が会社の区分ごとに定めています。株式会社のように議決権による支配がある会社(資本多数決法人)では、次の順で判定します。

  1. 議決権の2分の1(50%)超を直接・間接に持つ自然人がいれば、その人
  2. 該当者がいなければ、議決権の4分の1(25%)超を持つ自然人
  3. それでも該当者がいなければ、出資・融資・取引などを通じて事業活動に支配的な影響力を持つ自然人
  4. 以上のいずれもいなければ、その会社を代表し、業務を執行する自然人(代表取締役など)
資本多数決法人(株式会社など)の実質的支配者を上から順に判定するフロー図。STEP1は議決権の2分の1(50%)超を直接・間接に持つ自然人、該当者がいなければSTEP2は議決権の4分の1(25%)超を持つ自然人、いなければSTEP3は出資・融資・取引などを通じて事業活動に支配的な影響力を持つ自然人、いずれもいなければSTEP4はその会社を代表し業務を執行する自然人(代表取締役など)。

25%超の基準は、株主名簿や定款で議決権割合を確認して判断します。該当者が複数いる場合は、それぞれが実質的支配者になります。条文では次のように定められています。

法第四条第一項第四号及び令第十二条第三項第三号に規定する主務省令で定める者(以下「実質的支配者」という。)は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者とする。

出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(第11条第2項)|e-Gov法令検索

ここまでは株式会社のような資本多数決法人の判定基準です。合同会社などの持分会社や一般社団法人といった資本多数決法人以外の法人では、実質的支配者を判定する基準が議決権から変わります。自社の法人形態がどちらに当たるかを先に確認しておきましょう。

資本多数決法人以外の法人では、事業から生ずる収益または財産の配当・分配を受ける権利の50%超を持つ自然人がいればその人、いなければ同じ権利の25%超を持つ自然人、それもいなければ事業活動に支配的な影響力を持つ自然人、いずれもいなければ代表して業務を執行する自然人が実質的支配者になります(施行規則第11条第2項第3号・第4号)。

実質的支配者の確認方法は、会社の書類のように証明書の提出を受けるのではなく、顧客の代表者などからの申告を受ける方法が原則です(施行規則第11条第1項)。会社の内部情報である議決権割合を外部から証明書だけで確認するのは難しいため、まずは申告により確認する建て付けになっています。ただし、なりすましの疑いがあるハイリスク取引では、申告に加えて株主名簿などの書類による厳格な確認が求められます。

出典・参考資料(2件)

実質的支配者リスト制度の活用

実質的支配者の確認に関連して、2022年(令和4年)1月31日から法務省の実質的支配者リスト制度が運用されています。これは、株式会社(特例有限会社を含む)が実質的支配者に関する情報をまとめたリストを商業登記所(法務局)に申し出ると、登記官がその内容を確認したうえで保管し、写しの交付を受けられる制度です。

この制度は無料で利用でき、登記官の確認を経た写しを取引先や金融機関に提示することで、実質的支配者の確認を円滑に進められます。法人側にとっては、口座開設などのたびに実質的支配者を説明する手間を軽減できるメリットがあります。実質的支配者の定義そのものは犯収法第4条第1項第4号と施行規則第11条によりますが、このリスト制度自体は商業登記所(法務局)の運用にもとづく仕組みです。

出典・参考資料(1件)

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法人確認の方法:対面・非対面・eKYC

ここまでは「どの書類が必要か」を整理してきました。ここからは「どうやって確認するか」という確認方法を見ていきます。法人の本人確認の方法は、施行規則第6条第1項第3号に定められており、大きく対面と非対面に分かれます。非対面の確認をオンラインで実装する手段が、いわゆるeKYC(オンライン本人確認)です。

対面での確認

窓口などで担当者と直接向き合って行う方法です。法人の場合は、代表者などから登記事項証明書や印鑑登録証明書といった本人確認書類の提示を受けて確認します。原本の提示が基本となり、その場で書類の記載内容を確認できるのが特徴です。会社の書類に加え、手続きをする担当者個人の本人確認書類も併せて提示を受けます。

非対面での確認

郵送やオンラインでやり取りする方法です。施行規則第6条第1項第3号は、法人の非対面の確認方法として複数の方式を定めています。主なものは次のとおりです。

  • 本人確認書類やその写しの送付を受ける方法:会社の本人確認書類(またはその写し)の送付を受け、あわせて会社の本店などに宛てて、取引関係文書を書留郵便などで「転送不要郵便物」として送付します。
  • 登記情報提供サービスの受信:会社から名称・本店所在地の申告を受け、指定法人(民事法務協会)が提供する登記情報の送信を受けて確認します。非対面で申告を受ける場合は、あわせて転送不要郵便物の送付を行います。
  • 法人番号による確認:国税庁の法人番号公表サイトで公表されている名称・本店所在地を確認する方法です。この場合も非対面のときは転送不要郵便物の送付を組み合わせます。
  • 商業登記電子証明書による確認:登記官が作成した電子証明書と、それにひもづく電子署名が付された情報の送信を受ける方法です。

非対面の方法では、書類の写しの送付が認められる方式がある一方、確認の確実性を担保するために「転送不要郵便物」の送付を組み合わせる点が共通しています。実際に会社が所在する住所に郵便が届くことをもって、所在地の実在性を確かめる仕組みです。

出典・参考資料(1件)

eKYCでオンライン完結する

eKYC(electronic Know Your Customer)は、上記の非対面の確認をスマートフォンやWebブラウザ上で完結させる手段です。法令上の独立した方式名ではなく、施行規則が定める非対面の確認方法を、書類の撮影・送信や電子証明書の読み取りといったオンラインの仕組みで実装したものと捉えると分かりやすくなります。

法人の本人確認でeKYCを使う場合、会社の確認(法人番号や登記情報の照合)と、担当者個人の確認(本人確認書類の撮影や公的個人認証)を組み合わせて行います。郵送の往復や窓口での書類確認にかかっていた日数を短縮でき、確認する側・される側の双方の負担を減らせるのが利点です。具体的なサービスは記事後半で紹介します。

そもそもeKYCの読み方や仕組み、本人確認の各方式(撮影・IC読み取り・公的個人認証など)の全体像を基礎から確認したい場合は、以下の記事で解説しています。

自社ケースへの当てはめチェックリスト

ここまでの内容を、実際の手続きに当てはめて確認できるようチェックリストにまとめました。取引の相手が法人のとき、次の3点を押さえると必要書類を漏れなくそろえられます。

  • 相手は株式会社などの資本多数決法人か:実質的支配者の判定基準(議決権25%超・50%超)が会社の区分で変わります。
  • 手続きをするのは代表者本人か、それ以外の担当者か:代表者本人なら委任状は原則不要、それ以外なら委任状などで取引権限を確認します。
  • 対面か非対面か:非対面なら転送不要郵便物の送付が組み合わさり、原本ではなく写しの送付が認められる方式があります。

法人KYCをオンラインで完結する

ここまで見てきたとおり、法人の本人確認は会社・取引担当者・実質的支配者の3層にわたり、書類の収集や郵送の往復に手間がかかります。この確認業務をオンラインで完結させ、事務負担を軽減する手段が、法人の本人確認(法人KYC/KYB=法人の実在性や取引権限の確認)に対応したeKYC・BPO(業務代行)サービスです。

法人の確認に対応するサービスでは、法人番号や登記情報を使った会社の確認、担当者個人のeKYC、委任状や印鑑証明書などの書類アップロード、実質的支配者の申告受付といった一連の工程をオンラインで実装できます。目視での書類チェックを専任スタッフが代行するBPOを組み合わせられるサービスもあります。以下では、法人の本人確認に対応する主なサービスを紹介します。

まず、法人確認への対応状況を一覧で比較できるよう、主なサービスをまとめました。

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サービス名ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューションProTech ID CheckerTRUSTDOCK
提供会社株式会社ネクスウェイ株式会社ショーケース株式会社TRUSTDOCK
会社(法人)の確認方法登記情報・代表者の確認登記簿謄本のアップロード履歴事項全部証明書
または法人番号(謄本提出不要)
対応する本人確認方式書類撮影・IC読取のeKYC
法人確認・BPO・郵送対応
IC認証・撮影認証
書類アップローダー
各種のeKYC方式に対応
法人確認(KYB)
公的個人認証(JPKI)アプリ・API提供マイナンバーカード等のICチップ読取に対応JPKI専用サービスを提供
BPO・目視確認の代行本人確認BPOサービスを提供ネクスウェイとの提携で連携24時間365日 専任スタッフが対応
初期費用50,000円〜要お問い合わせ要お問い合わせ
月額費用25,000円〜(従量課金制)要お問い合わせ要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見る

※各社の公式情報にもとづく整理です。対応範囲や料金の詳細は各社にご確認ください。

ここでは法人の本人確認に対応する主なサービスを取り上げましたが、eKYC・本人確認サービス全体を導入費用や対応する本人確認方式、不正対策まで含めて比較したい場合は、以下の記事で選び方から詳しく解説しています。

法人の本人確認に対応する主なサービス

1. ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューションのウェブサイト

株式会社ネクスウェイが提供する、犯収法に準拠したクラウド型の本人確認トータル支援サービスです。オンライン本人確認(eKYC)、公的個人認証(JPKI)、書類の目視確認・突合、法人確認、確認後の工程を代行するBPO、転送不要郵便の発送追跡までを1つのサービスでまとめて提供している点が特徴です。

ラインナップには法人の本人確認に対応する「法人確認サービス」があり、登記情報や代表者の確認をオンラインで行えます。eKYC後の書類の目視チェックや突合を専任スタッフが代行するBPOを組み合わせられるため、確認件数が多く自社での目視負担が大きい事業者に向いています。導入実績は300社以上で、そのうち犯収法の特定事業者が100社以上を占めると公表されています。

2. ProTech ID Checker(株式会社ショーケース)

ProTech ID Checkerのウェブサイト

東京証券取引所スタンダード市場に上場する株式会社ショーケースが提供するオンライン本人確認サービスです。対象ページにタグを設置するだけで導入できるローコード型の実装で、システム開発を伴わずに本人確認をWebサイト上で完結できます。AIによる申込情報と本人確認書類の突合・審査で、目視での確認工数を削減します。

本人確認の方式は、マイナンバーカードや運転免許証のICチップを読み取るIC認証、容貌と書類を撮影する撮影認証、登記簿謄本などをアップロードする書類アップローダーに対応します。法人の確認では、登記簿謄本のアップロードと担当者個人のeKYCを組み合わせて行う形が中心です。累計導入社数は450社以上で、SOC 2 Type 2報告書やISO/IEC 27001などの第三者認証も取得しています。

3. TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

TRUSTDOCKのウェブサイト

個人向けの本人確認・公的個人認証(JPKI)と、法人向けの法人確認(KYB)の両方をカバーするeKYCプラットフォームで、株式会社TRUSTDOCKが提供しています。犯収法に準拠し、確認業務の一部または全部を専任スタッフに委託できるBPOを24時間365日体制で用意している点が特徴です。

法人の確認では、履歴事項全部証明書または法人番号の入力による会社の確認に対応し、法人番号のみで謄本の提出を不要とする「法人番号による法人確認」も提供しています。代表者・取引担当者の個人確認、委任状や印鑑証明書のアップロード、反社チェック、事業所宛ての転送不要郵便の送付まで、法人確認に必要な工程を組み合わせられます。

実装形態は、API・JavaScriptアップローダー・専用アプリの3系統から選べます。自社サービスへの組み込み方に応じて実装方法を選択できる点も特徴です。

そもそも法人の本人確認(取引時確認)とは

ここまで必要書類・確認方法とサービスを見てきましたが、そもそもなぜ法人の本人確認が求められるのか、その位置づけと制度の背景を整理します。法人の本人確認は、犯収法が定める「取引時確認」の一環です。犯罪で得た資金の移転や、テロ資金の供与を防ぐことを目的とし、一定の事業者に対して取引の相手方を確認する義務を課しています。

「確認する側」と「される側」で読み方が変わる

法人の本人確認を調べる人は、大きく2つの立場に分かれます。まず自分がどちらの立場かを押さえると、必要な情報が整理しやすくなります。

  • 確認する側(特定事業者):銀行・決済事業者などとして、取引の相手方である法人を確認する義務を負う立場。どの書類を、どの方法で集めれば法令を満たせるかを知りたいケースです。
  • 確認される側(取引先の法人):口座開設や契約のために、自社の書類を提出する立場。どの書類を用意すれば手続きが滞りなく進むかを知りたいケースです。

本記事で整理した3層の書類・有効期限・確認方法は、どちらの立場でも共通して押さえておくべき前提知識です。確認する側は自社の確認手続きの設計に、確認される側は提出書類の準備に、それぞれ役立ててください。

法人にも本人確認が必要なケース・対象となる事業者

取引時確認の義務を負うのは、犯収法が定める「特定事業者」です。すべての事業者に確認義務があるわけではなく、マネー・ローンダリングに悪用されるリスクが高い業務を行う事業者が対象になります。代表的な特定事業者には次のような業種が含まれます。

  • 銀行・信用金庫・保険会社・証券会社・暗号資産交換業者などの金融機関等
  • クレジットカード事業者・ファイナンスリース事業者
  • 宅地建物取引業者などの不動産業
  • 弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士などの士業

これらの特定事業者が、口座開設や、200万円を超える現金取引といった一定額を超える取引の受任など、犯収法施行令が定める「特定取引」を行う際に、取引時確認が必要になります。どの取引が特定取引に当たるかは施行令第7条などに定められています。

出典・参考資料(2件)

通常の特定取引とハイリスク取引の違い

取引時確認には、通常の特定取引で行う確認と、より厳格な確認が求められる「ハイリスク取引」の2種類があります。この区別によって、確認する事項や書類の厳格さが変わります。

通常の特定取引では、本人特定事項・取引目的・事業の内容・実質的支配者を確認します。このうち取引目的は顧客からの申告により(施行規則第9条)、事業の内容は定款や登記事項証明書などの書類により確認します(施行規則第10条)。

一方、なりすましの疑いがある取引や、確認事項を偽っていた疑いがある取引、特定国等に関係する取引などのハイリスク取引では、これらに加えて資産及び収入の状況の確認が必要になります(犯収法第4条第2項)。また、実質的支配者の確認も、申告だけでなく書類による確認が求められるなど、通常よりも厳格になります。

ハイリスク取引で確認する資産及び収入の状況は、顧客が法人の場合、貸借対照表・損益計算書などの書類で確認します。個人の場合は、源泉徴収票・確定申告書・預貯金通帳などの書類で確認します(施行規則第14条)。

出典・参考資料(2件)

2027年4月の犯収法改正が法人確認に与える影響

本記事で解説した確認方法は、2026年時点で施行されている現行の犯収法施行規則にもとづくものです。ただし、非対面の本人確認については、2027年4月1日に施行が予定される改正で見直しが行われます。

改正の骨子は、偽造リスクが指摘されてきた「本人確認書類の画像と容貌の画像を送信する方法」(いわゆるホ方式)などを廃止し、公的個人認証(マイナンバーカードのICチップを読み取る方法)を軸とした確認へ移行する点にあります。法人の確認でも、担当者個人の非対面確認をどの方式で行うかに影響します。

改正後は現行と条番号や方式の区分が変わるため、本記事では現行制度の条文をもとに解説しています。改正の詳しい内容やスケジュールは警察庁の情報を確認してください。

出典・参考資料(1件)

ホ方式の廃止やワ方式(公的個人認証)への移行など、2025年・2027年の改正で本人確認がどう変わるかは、以下の記事で移行のポイントまで詳しく解説しています。法人の担当者個人の非対面確認で使える方式にも関わるため、改正の影響を押さえておきたい方はあわせてご覧ください。

まとめ

法人の本人確認書類は、「会社(法人)自体」「取引担当者」「実質的支配者」の3層に分けて考えると、必要な書類を漏れなくそろえられます。会社の確認では登記事項証明書や印鑑登録証明書などを作成後6ヶ月以内のもので用意し、担当者の確認では個人の本人確認書類に加え、代表者以外なら委任状で取引権限を確認します。実質的支配者は議決権25%超などの基準で判定し、原則として申告により確認します。

確認方法は対面と非対面に分かれ、非対面をオンラインで実装するeKYCを使えば、書類収集や郵送の往復にかかる負担を軽減できます。法人確認に対応したサービスを活用することで、3層にわたる確認をオンラインで効率的に進められます。自社の取引に合った確認体制を整えるための検討材料として、各サービスの資料を比較してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 法人の本人確認(取引時確認)とは何ですか?

A. 法人の本人確認(取引時確認)とは、犯罪収益移転防止法(犯収法)にもとづき、銀行や決済事業者などの特定事業者が、取引の相手方である法人について本人特定事項などを確認する手続きです。個人の確認と違い、会社(法人)そのもの・取引担当者・実質的支配者の3層を確認するのが特徴です。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人の本人確認書類には何が使えますか?

A. 法人の本人確認書類は、登記事項証明書・印鑑登録証明書・官公庁発行書類のいずれか1点で、いずれも法人の名称と本店所在地の記載があるものに限られます。実務では、法務局が発行する登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)が多く使われます。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人の本人確認書類に有効期限はありますか?6ヶ月を過ぎた登記事項証明書は使えますか?

A. 法人の本人確認書類は、事業者が提示・送付を受ける日の前6ヶ月以内に作成されたものに限られ、作成から6ヶ月を過ぎた登記事項証明書などは使えません。これは金融機関の運用ルールではなく施行規則が定める法令上の要件のため、手続きの直前に取得し直すのが確実です。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人の本人確認書類は原本が必要ですか、コピーでもよいですか?

A. 原本かコピーかは確認方法によって変わり、窓口での対面確認は原本の提示が原則、郵送など非対面の方法では写し(コピー)の送付が認められる方式があります。ただし非対面では、会社の所在地の実在性を確かめるため、本店などに宛てて転送不要郵便物の送付を組み合わせます。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人の本人確認では取引担当者個人の確認も必要ですか?委任状は必ず要りますか?

A. 会社の書類に加えて、手続きをする取引担当者個人の本人確認も必要で、委任状が要るかは担当者が誰かで変わります。代表取締役本人が手続きする場合は登記事項証明書に役員として記載されているため委任状は原則不要で、代表者以外の従業員などが窓口に立つ場合は委任状などで取引権限を確認します。

出典・参考資料(2件)

Q. 法人の実質的支配者は誰まで確認すればよいですか?

A. 株式会社などの資本多数決法人では、議決権の50%超(該当者がいなければ25%超)を持つ自然人を実質的支配者として確認します。いずれの該当者もいなければ事業活動に支配的な影響力を持つ人、それもいなければ代表取締役が対象になります。確認は原則として代表者などからの申告によります(なりすまし等のハイリスク取引は申告に加え株主名簿などの書類で確認します)。

出典・参考資料(2件)

Q. 実質的支配者リスト制度を使うと法人の本人確認は楽になりますか?

A. 実質的支配者リスト制度を使うと、登記官の確認を経た実質的支配者リストの写しを金融機関などに提示でき、実質的支配者の確認を円滑に進められます。制度の利用は無料で、口座開設などのたびに実質的支配者を一から説明する手間を軽減できます。株式会社(特例有限会社を含む)が商業登記所に申し出て利用します。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人の本人確認は非対面・eKYCでも完結できますか?

A. 法人の本人確認は、登記情報提供サービスの受信・法人番号による確認・商業登記電子証明書などを使えば、非対面(eKYC)でもオンラインで完結できます。非対面の場合は、会社の所在地の実在性を確かめるため、本店などに宛てて転送不要郵便物の送付を組み合わせるのが原則です。

出典・参考資料(1件)

Q. 法人番号だけで法人の本人確認はできますか(謄本の提出は不要ですか)?

A. 国税庁の法人番号公表サイトで公表されている名称・本店所在地を確認する方法があり、この方式なら登記事項証明書(謄本)の提出を受けずに会社の確認ができます。非対面のときは、あわせて本店などへの転送不要郵便物の送付を行い、所在地の実在性を確認します。

出典・参考資料(1件)

Q. どのような取引で法人の取引時確認が必要になりますか?

A. 法人の取引時確認は、犯収法が定める特定事業者が、口座開設や200万円を超える現金取引などの「特定取引」を行うときに必要になります。すべての事業者・取引が対象になるわけではなく、銀行・貸金・暗号資産交換業・不動産業・士業などの特定事業者が特定取引を行う場合に義務づけられています。

出典・参考資料(2件)

Q. 法人の確認では本人確認書類のほかに事業内容の確認書類も必要ですか?

A. 通常の特定取引では本人特定事項のほかに取引目的・事業の内容・実質的支配者も確認し、事業の内容は登記事項証明書や定款などの書類で確認します(取引目的は申告により確認します)。なりすましなどのハイリスク取引では、これらに加えて資産・収入の状況の確認も必要になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 2027年4月の犯収法改正で法人の本人確認はどう変わりますか?

A. 2027年4月1日に施行が予定される改正では、偽造リスクが指摘される「本人確認書類の画像と容貌の画像を送信する方法」(いわゆるホ方式)などが廃止され、公的個人認証(マイナンバーカードのICチップ読み取り)を軸とした確認へ移行します。法人の確認でも、担当者個人の非対面確認をどの方式で行うかに影響します。改正後は条番号や方式の区分が変わるため、最新の内容は警察庁の情報で確認してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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