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貸借対照表の作り方を初心者向けに解説|4ステップと記入例・バランスしない時の対処法

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クラウド会計ソフト比較表(2026年版)

確定申告や決算の時期になると、貸借対照表(バランスシート)を自分で作成する必要に迫られることがあります。簿記を学んだ経験がないまま、資産や負債といった言葉の意味から手探りで進めるのは負担の大きい作業です。

本記事では、貸借対照表を初めて作る方に向けて、日々の取引を記帳してから1枚の表に仕上げるまでの流れを、4つのステップと数字を入れた記入例で解説します。

左右の金額が合わないときの確認手順や、勘定科目を左右どちらに書くかの一覧、個人事業主と法人での違いまで整理しました。手元の帳簿の数字を当てはめながら、自社の貸借対照表を完成させるための手引きとしてご活用ください。

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貸借対照表の作り方は4ステップ

貸借対照表は、いきなり表を埋めて作るものではありません。日々の取引を記帳し、その記録を集計していく過程の最後に出来上がる書類です。まずは全体の流れを4つのステップでつかみましょう。

この流れは、貸借対照表と損益計算書を導き出せる複式簿記(正規の簿記)の標準的な手順です。国税庁の手引きでも、取引の発生から仕訳帳・総勘定元帳・試算表を経て貸借対照表を作成する記帳の流れが示されています。

手順の中で「資産」「負債」「純資産」という言葉が出てきます。ざっくりと、資産は持っている財産、負債は返す義務のあるお金、純資産は返さなくてよい元手、と捉えておけば十分です。詳しい中身は後ほど整理するので、まずは作る流れをつかみましょう。

貸借対照表を作成する4つのステップの流れ図。STEP1で取引を勘定科目に分け仕訳帳に記帳し、STEP2で総勘定元帳へ転記して残高を集計、STEP3で試算表を作り借方合計と貸方合計の一致を確認、STEP4で資産を左・負債と純資産を右に配置して貸借対照表を作成する。

①日々の取引を勘定科目に分けて仕訳帳に記帳する

取引が発生したら、その内容を「勘定科目」という分類名に振り分け、借方(左)と貸方(右)に分けて仕訳帳に記録します。借方・貸方は左右の位置を指す簿記の呼び名なので、名前の意味は深く気にせず「左」と「右」と捉えて構いません。

たとえば商品を10万円で現金販売したら、借方に「現金 100,000円」、貸方に「売上 100,000円」と書きます。この「現金」はのちに貸借対照表の資産へ、「売上」は損益計算書へ振り分けられます。1つの取引を借方と貸方の両方に同じ金額で記録するのが複式簿記の基本で、これが左右の金額が一致する仕組みの出発点になります。

②仕訳を勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記する

仕訳帳は取引を発生した順に並べた記録なので、このままでは科目ごとの残高がわかりません。そこで現金・売掛金・借入金といった勘定科目ごとにページを分けた総勘定元帳へ、仕訳を書き写します。これで科目ごとに、いま残高がいくらあるのかを集計できる状態になります。

③総勘定元帳から試算表を作り、借方・貸方の一致を確かめる

各勘定科目の残高を1枚に集めたものが試算表です。試算表は、記帳に転記漏れや金額の誤りがないかを、借方合計と貸方合計が一致するかどうかで確認するために作ります。国税庁の手引きでも、試算表の役割は次のように説明されています。

試算表は、各勘定から残高を記載して貸借の一致を確認するために作成します。

出典:令和6年分 青色申告者のための貸借対照表作成の手引き|国税庁

決算にあたっては、この段階で「決算整理仕訳」も反映させます。決算整理仕訳とは、減価償却費の計上や売れ残った在庫の振り替えなど、期末にまとめて行う調整のことです。初心者がつまずきやすい部分なので、判断に迷うときは会計ソフトや税理士に頼っても構いません。

試算表で左右が一致していれば、次の貸借対照表の作成へ進めます。

④残高を資産・負債・純資産に配置して貸借対照表を作成する

試算表で確定した各科目の残高のうち、資産・負債・純資産にあたるものを、貸借対照表の決められた位置に書き写せば完成です。資産は左側(借方)、負債と純資産は右側(貸方)に配置し、左右の合計が一致していることを確認します。売上や仕入といった損益に関する科目は損益計算書へ回るため、貸借対照表には載りません。

完成した貸借対照表は、そのまま提出書類に転記します。個人事業主は青色申告決算書の貸借対照表のページに記入し、確定申告書に添付して提出します。法人の場合は、法人税の確定申告書に貸借対照表を添付して提出します。

数字を入れた貸借対照表の完成見本(記入例)

手順だけではイメージがつかみにくいため、実際に数字を入れた貸借対照表の記入例を見てみましょう。次の表は、ある小規模事業者の決算日時点の残高を配置したものです。左側に資産、右側に負債と純資産を並べ、両側の合計金額が一致しているのがわかります。

資産の部(借方)金額負債・純資産の部(貸方)金額
現金300,000買掛金400,000
普通預金1,500,000短期借入金600,000
売掛金800,000長期借入金1,000,000
商品500,000負債合計2,000,000
備品700,000元入金1,500,000
青色申告特別控除前の所得金額300,000
純資産合計1,800,000
資産合計3,800,000負債・純資産合計3,800,000
記入例:個人事業主の貸借対照表(決算日時点の残高を配置した例)

ポイントは、左下の「資産合計」と右下の「負債・純資産合計」が同じ3,800,000円になっている点です。手元の帳簿でこの左右が一致すれば、記帳と集計が正しく積み上がっている目安になります。個人事業主の場合は純資産の部に「元入金」と「その年の所得金額」が入り、法人では「元入金」の代わりに「資本金」などが入ります(違いは後述します)。

たとえば、期中の掛け取引で積み上がった売掛金が総勘定元帳で800,000円だったとします。この残高は試算表を経て、そのまま上の見本の資産の部「売掛金 800,000円」に着地します。手順①〜④は、こうして一つひとつの科目の残高を、表の定位置へ運んでいく作業だと捉えると分かりやすくなります。

法人の場合も、左側に資産、右側に負債・純資産を並べて左右の合計を一致させる作り方は同じです。違いは純資産の部で、個人事業主の「元入金」と「その年の所得金額」に代わって、資本金や利益剰余金が入ります。参考に、小規模な法人の記入例も挙げておきます。

資産の部(借方)金額負債・純資産の部(貸方)金額
現金500,000買掛金900,000
普通預金3,000,000短期借入金1,100,000
売掛金1,200,000長期借入金3,000,000
商品800,000負債合計5,000,000
備品1,500,000資本金5,000,000
建物4,000,000利益剰余金1,000,000
純資産合計6,000,000
資産合計11,000,000負債・純資産合計11,000,000
記入例:法人の貸借対照表(決算日時点の残高を配置した例)

この法人の例でも、左下の「資産合計」と右下の「負債・純資産合計」がどちらも11,000,000円で一致しています。純資産の中身が変わっても、左右が一致する仕組みは個人事業主と同じです。

そもそも貸借対照表とは(基本構造と3つの区分)

記入例を正しく読むために、貸借対照表の基本構造を最小限だけ押さえておきましょう。貸借対照表は、決算日という一時点で、事業に「どんな財産があり(資産)」「その資金をどう集めたか(負債・純資産)」を左右に対比して示す書類です。会社計算規則でも、貸借対照表は資産・負債・純資産の3つの部に区分すると定められています。

資金の集め方(右側)と、その資金が何に変わっているか(左側)は同じ金額を別の見方で表しているため、左右の合計は必ず一致します。「資産=負債+純資産」という関係が、貸借対照表の土台です。

貸借対照表の基本構造を左右に示した図。左側は資産の部で、流動資産(現金・預金・売掛金・商品など1年以内に現金化するもの)と固定資産(備品・車両・建物など長期間使うもの)。右側は上段が負債の部(流動負債の買掛金・短期借入金、固定負債の長期借入金など)、下段が純資産の部(元入金や資本金、利益剰余金など返済義務のない自己資金)。資産=負債+純資産で左右の合計は必ず一致する。

資産の部(流動資産・固定資産)

資産の部は左側に置き、事業が保有する財産を記載します。現金・預金・売掛金・商品など1年以内に現金化する見込みのものを流動資産、備品・車両・建物など長期間にわたり使うものを固定資産として区分します。

負債の部(流動負債・固定負債)

負債の部は右側の上段に置き、返済や支払いの義務があるものを記載します。買掛金や短期借入金など1年以内に支払うものを流動負債、長期借入金など返済期限が1年を超えるものを固定負債として区分します。

純資産の部

純資産の部は右側の下段に置き、返済義務のない自己資金を記載します。法人では資本金や利益剰余金が中心で、個人事業主では元入金と、その年に稼いだ所得金額が入ります。資産合計から負債合計を差し引いた残りが純資産にあたります。

出典・参考資料(1件)

勘定科目を貸借対照表に書き写すときのルール

試算表の残高を貸借対照表へ書き写すとき、初心者がつまずきやすいのが「どちら側に書くか」と「元帳と表示名が変わる科目」の2点です。ここで整理しておきましょう。

左右どちらに書くか(資産=左/負債・純資産=右)の振り分け一覧

手元にある勘定科目が資産・負債・純資産のどれにあたるかがわかれば、書く位置は決まります。代表的な科目を区分ごとにまとめました。

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区分資産(左側・借方)負債(右側・貸方)純資産(右側・貸方)
位置づけ事業が保有する財産返済・支払いの義務返済義務のない自己資金
代表的な勘定科目現金/普通預金/売掛金/受取手形/商品/前払費用/仮払金/備品/車両運搬具/建物/土地買掛金/支払手形/短期借入金/未払金/預り金/前受金/仮受金/長期借入金元入金(個人)/資本金(法人)/利益剰余金/繰越利益

迷ったときは「返さなくてよいお金で集めて(純資産)、返す約束のお金も借りて(負債)、それを何に変えて持っているか(資産)」という順で考えると振り分けやすくなります。

特に判断に迷いやすいのが、「前」「仮」が付く一時的な科目です。これから受け取る権利や、後で戻ってくる立替は資産(左側)、これから提供する義務や、後で支払う・振り替える預かりは負債(右側)と考えると整理できます。

たとえば前払費用や仮払金は、サービスを受ける権利や精算待ちの立替なので資産に入ります。反対に、商品を渡す前に受け取った代金の前受金や、内容が未確定のまま入金された仮受金は、あとで提供・精算する義務があるため負債に入ります。

総勘定元帳と貸借対照表で表記が変わる勘定科目

帳簿で使っていた科目名を、貸借対照表ではそのまま書かないケースがあります。代表的なものを押さえておくと、書き写しで迷いません。

  • 繰越商品 → 商品:決算で売れ残った在庫を表す「繰越商品」勘定の残高は、貸借対照表では流動資産の「商品」として表示するのが一般的です。
  • 当座借越 → 短期借入金:当座預金の残高を超えて引き出した「当座借越」は、実質的に銀行からの借入なので、短期借入金に含めて表示します。
  • 貸倒引当金は控除する形で表示:将来の貸し倒れに備える貸倒引当金は、負債側ではなく、売掛金や受取手形といった対象の資産から差し引く控除項目として資産の部に表示します。
  • 減価償却累計額も控除する形で表示:建物や備品の価値の減少分をまとめた減価償却累計額は、その資産科目からの控除科目として表示するのが一般的な方法です。

このうち貸倒引当金を各資産からの控除項目として表示することは、株式会社に適用される会社計算規則で次のように定められています。

各資産に係る引当金は、次項の規定による場合のほか、当該各資産の項目に対する控除項目として、貸倒引当金その他当該引当金の設定目的を示す名称を付した項目をもって表示しなければならない。

出典:会社計算規則 第78条|e-Gov法令検索

減価償却累計額の控除表示や当座借越を短期借入金に含める表示は、上場企業などの開示に用いる財務諸表等規則が様式として定めています。一般的な簿記実務でも同じ方法が広く踏襲されているものです。厳密な様式が必要な場面は限られるため、個人事業主や中小企業の方はこの段落を読み飛ばしても差し支えありません。参考として、該当規則を挙げておきます。

出典・参考資料(1件)

左右がバランスしないときの原因別チェック手順

貸借対照表を作っていて最もつまずくのが、左右の合計が一致しないケースです。複式簿記では1つの取引を借方と貸方に同額で記録するため、正しく積み上がっていれば左右は必ず一致します。合わないということは、どこかの記帳・集計にずれがあるサインです。原因を絞り込む順に確認していきましょう。

まず差額の金額から原因を推測する

左右の差額を計算し、その金額に見覚えがないかを確認します。差額がちょうど特定の取引の金額と一致すれば、その仕訳の記帳漏れや片側だけの記入が疑われます。差額が9で割り切れる場合は、桁の書き間違いや数字の入れ替え(たとえば1,200を2,100と書くなど)が起きていることが多く、あたりを付けやすくなります。

記帳のよくあるミスを順に洗い出す

金額から原因が特定できないときは、次のよくあるミスを1つずつ確認します。上から順に見ていくと効率的です。

  1. 借方と貸方のどちらか片方だけ記入した仕訳がないか(片方記入漏れ)
  2. 仕訳帳から総勘定元帳へ書き写す際の転記漏れ・金額違いがないか(転記ミス)
  3. 同じ取引を二重に記帳していないか(二重計上)
  4. 決算整理仕訳(減価償却・在庫の振り替えなど)の反映漏れがないか
  5. 借方に書くべき科目を貸方に書くなど、左右を取り違えていないか(符号の誤り)

差額が見つからないときは、試算表の段階に戻って借方合計と貸方合計の一致を確認すると、どこでずれたかを切り分けやすくなります。試算表は各勘定の残高を集めて貸借の一致を確認するためのものなので、ここが合っていれば元帳より前、合っていなければ元帳への転記以降に原因があると判断できます。

原因が特定できないまま、つじつまを合わせるために金額を調整して左右をそろえるのは避けてください。数字の裏付けがなくなり、後の申告や資金の判断を誤らせます。どうしても見つからないときは、記帳の元になった証憑(領収書・通帳・請求書)まで戻って突き合わせるか、税理士など専門家に相談するのが安全です。

個人事業主(青色申告)と法人で違うところ

作り方の基本は個人事業主も法人も同じですが、純資産の書き方や、そもそも作成が必要になる理由には違いがあります。自分がどちらにあたるかを踏まえて読み進めてください。

純資産の書き方が違う(元入金と資本金)

法人では純資産の中心が「資本金」ですが、個人事業主では「元入金」を使います。元入金は事業の元手にあたり、翌年の期首の元入金は「期末の元入金+その年の所得金額+事業主借-事業主貸」で計算します。事業主貸・事業主借は、事業のお金と事業主個人のお金のやり取りを記録する、個人事業主に固有の科目です。

作成が必要になる理由が違う

個人事業主が貸借対照表を作る主な動機は、青色申告特別控除です。最大65万円または55万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳と、それに基づいて作成した貸借対照表・損益計算書の確定申告書への添付が要件とされています。国税庁は55万円控除の要件を次のように示しています。

これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。

出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

65万円の控除を受けるには、これに加えて仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存を行うか、確定申告書などをe-Taxで提出することが必要です。簡易簿記で記帳している場合は貸借対照表を作成できず、控除額は10万円にとどまります。

一方、法人は利益の有無にかかわらず、会社法で計算書類として貸借対照表の作成が義務付けられ、法人税の確定申告でも貸借対照表の添付が求められます。法人税法は次のように定めています。

内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。……3 第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。

出典:法人税法 第74条|e-Gov法令検索
出典・参考資料(2件)

青色申告特別控除を受けるために自分で貸借対照表を作る個人事業主の方は、複式簿記の記帳から65万円控除の要件までを満たせるソフトを選ぶと負担を抑えられます。青色申告への対応や控除要件をふまえた選び方は、以下の記事で解説しています。

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手書き・エクセル・会計ソフト・専門家の使い分け

貸借対照表を作る手段は、大きく4つあります。取引の量や簿記の知識、かけられる手間に応じて選びましょう。

手書きで作る

市販の帳簿やノートに記帳して作る方法です。費用はかかりませんが、取引が増えるほど転記や集計の手間が大きくなり、計算ミスも起きやすくなります。取引が月に数件程度の小規模な事業向けの選択肢です。

エクセル・テンプレートで作る

表計算ソフトに勘定科目と金額を入力し、合計を数式で自動計算する方法です。無料のテンプレートも配布されており、手書きより集計は楽になります。ただし、日々の仕訳から試算表・貸借対照表への転記は自分で行う必要があり、科目の振り分けや決算整理の判断も手作業のままです。

会計ソフトで自動作成する

クラウド会計ソフトを使うと、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、AIが勘定科目を提案しながら仕訳を積み上げていきます。日々の記帳さえ続けていれば、試算表や貸借対照表・損益計算書はソフトが自動で作成するため、転記や合計の一致に悩む場面が減ります。簿記の知識に不安がある初心者ほど、恩恵が大きい方法です。

ここまでの手順を理解しておくと、ソフトが自動で作った貸借対照表も内容を読み解け、数字がおかしくないかを自分で確かめられるようになります。作り方を知っておくことは、ソフトを使う場合でも無駄になりません。

専門家(税理士・記帳代行)に依頼する

記帳や決算そのものを税理士や記帳代行会社に任せる方法です。手間はかからず正確性も高い一方、費用は他の手段より大きくなります。取引が複雑な場合や、本業に集中したい場合に向いています。

この中でも、コストを抑えつつ日々の記帳から貸借対照表の作成までを効率化したい場合に有力なのが、クラウド会計ソフトです。以下は、決算書(貸借対照表)の自動作成に対応した主なクラウド会計ソフトの比較です。対象規模はソフトによって異なるため、個人事業主で青色申告に向けて自分で作りたい方は、個人向けプランのあるソフトかどうかを対象規模の欄で確認してください。

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サービス名弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド会計
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(個人事業主は対象外)
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※料金・無料期間は2026年9月時点の各社公式情報によります。最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。

ここからは、各サービスの特徴を紹介します。

1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextのウェブサイト

「初めての会計ソフトに」を掲げる、弥生株式会社のクラウド会計ソフトです。会計ソフトを長年提供してきた実績があり、簿記の知識がなくても迷わず使えるように設計されている点が特徴です。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、自動仕訳を積み上げることで、貸借対照表や損益計算書といった決算書までを作成できます。

操作画面がシンプルで、日々の取引入力から決算書作成まで一連の流れに沿って進められるため、初めて自分で帳簿をつける小規模法人に向いています。無料でお試しできる期間も用意されています。

2. freee会計(フリー株式会社)

freee会計のウェブサイト

個人事業主から中小企業まで幅広く使われているクラウド会計ソフトで、フリー株式会社が開発しています。質問に答えていく形式や、AIによる仕訳の提案で、簿記の知識が浅くても記帳を進められる設計になっています。毎月の経理処理を行っていれば、決算書はボタン操作で作成できるとされています。

個人事業主向けのプランが用意されているため、青色申告に向けて自分で貸借対照表まで作りたい個人の方にも向いています。クレジットカードの登録なしで試せる無料期間もあります。

3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計のウェブサイト

ひとり法人や中小企業向けのクラウド会計ソフトで、株式会社マネーフォワードが提供しています。複数の金融関連サービスと連携して明細を取り込み、AIが勘定科目を提案する形で仕訳を蓄積し、複式簿記に対応した貸借対照表や損益計算書を自動で作成します。

勘定科目を自分で確認しながら運用していくスタイルに向いており、複式簿記の考え方を身につけながら決算書を整えたい事業者に適しています。初期費用はかからず、無料で試せる期間も設けられています。

ここで挙げた3製品のほかにもクラウド会計ソフトは数多くあります。以下の記事では、規模やタイプ別の選び方から料金まで、主要なクラウド会計ソフトを横並びで比較しています。自社に合う1本を絞り込みたい方はあわせてご覧ください。

まとめ

貸借対照表は、日々の取引を仕訳帳に記帳し、総勘定元帳・試算表を経て、資産・負債・純資産の残高を配置することで作成します。左側の資産合計と右側の負債・純資産合計が一致することが、正しく積み上がっている目安です。合わないときは、差額の金額から原因を推測し、片方記入漏れ・転記ミス・二重計上・決算整理漏れ・左右の取り違えを順に確認していきましょう。

手書きやエクセルでも作成はできますが、日々の記帳から決算書作成までを自動化したい場合は、クラウド会計ソフトが有力な選択肢になります。自社の規模や簿記の習熟度に合わせて、無理なく続けられる方法を選んでください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 貸借対照表と損益計算書(P/L)の違いは何ですか?

A. 貸借対照表は決算日という一時点の財産と資金の状態を表すのに対し、損益計算書(P/L)は一事業年度など一定期間にどれだけ稼ぎ、何に使って、いくら利益が出たかという経営成績を表します。貸借対照表が「ある時点の残高」を示すのに対し、損益計算書は「一定期間の増減」を示すのが基本的な違いです。

両方あわせて決算書を構成し、貸借対照表には資産・負債・純資産の科目、損益計算書には売上・仕入・経費などの損益に関する科目が載ります。

Q. 簿記の知識がなくても貸借対照表は作れますか?

A. 貸借対照表は、日々の取引を自動で仕訳・集計するクラウド会計ソフトを使えば、簿記の知識に自信がなくても作成できます。銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、AIが勘定科目を提案しながら仕訳を積み上げ、試算表や貸借対照表・損益計算書までソフトが自動で作成するためです。

手書きやエクセルでの作成は、仕訳や科目の振り分け、決算整理を自分で判断する必要があり、ある程度の簿記の知識が前提になります。初めて自分で決算書を作る方ほど、会計ソフトの自動化の恩恵が大きい方法です。

Q. 赤字や休業中でも貸借対照表の作成は必要ですか?

A. 法人の場合、赤字でも休業中でも貸借対照表の作成と申告が原則として必要で、業績によって作成義務が免除されることはありません。法人税法第74条は、内国法人が事業年度終了後に確定申告書を提出し、その申告書に貸借対照表・損益計算書を添付することを定めており、利益の有無を問いません。

個人事業主の場合は、青色申告特別控除(55万円・65万円)を受けるために、複式簿記による記帳と貸借対照表の作成・添付が必要になります。

出典・参考資料(2件)

Q. 貸借対照表はいつまでに作成・提出すればよいですか?

A. 提出期限は事業形態で異なり、法人は事業年度終了の日の翌日から2か月以内、個人事業主は原則として翌年3月15日の確定申告期限までが目安です。法人は法人税の確定申告書に貸借対照表を添付して提出し、個人事業主は青色申告特別控除を受ける場合に確定申告書へ貸借対照表を添付します。いずれも期限に余裕をもてるよう、日々の記帳を早めに進めておくことが大切です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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