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管理委託契約書に印紙は不要?必要・不要になる条件と印紙税額を解説

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マンションや賃貸物件の管理委託契約書を前にして、「ここに収入印紙を貼る必要があるのか」「できれば貼らずに済ませたい」と手が止まっている方は多いのではないでしょうか。印紙税は契約書の内容によって要否も金額も変わるため、お手元の契約書がどれに当たるのかを確かめにくいのが実情です。

結論から言えば、管理委託契約書には収入印紙が不要になるケースがいくつもあります。電子契約で締結する、契約の中身が委任・準委任にとどまる、継続的取引の基本契約で契約期間が3か月以内かつ更新の定めがない、契約金額が1万円未満である、といった条件に当てはまれば、印紙を貼る必要はありません。

一方で、清掃や設備の保守・修繕といった「仕事の完成」を伴う業務が含まれると、印紙税法上は請負契約書(第2号文書)として課税対象になります。要否は契約書の実質的な内容で決まるため、自分の契約書がどの文書に当たるかを見分けることが出発点になります。

本記事では、管理委託契約書の収入印紙が不要になる条件を最初に整理し、必要になる場合の見分け方、そのときの印紙税額、管理組合と管理会社のどちらが負担するか、貼り忘れたときの過怠税までを解説します。あわせて、紙の契約書を作らずに印紙を不要にする電子契約という手段も紹介します。

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管理委託契約書に収入印紙が不要になる条件

まず、管理委託契約書で収入印紙が不要になる代表的な条件を一覧で確認します。お手元の契約書が次のいずれかに当てはまれば、印紙を貼る必要はありません。

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収入印紙が不要になるケース電子契約で締結した場合契約内容が委任・準委任にとどまる場合継続的取引の基本契約(第7号文書)で、契約期間が3か月以内かつ更新の定めがなく、かつ請負業務を含まず第2号文書にも当たらない場合請負契約(第2号文書)で、契約金額が1万円未満の場合
印紙が不要になる理由収入印紙(印紙税)が課されるのは「文書」に限られ、紙の現物を交付しない電子契約は課税文書に当たらないため(文書課税の原則)事務の委託だけで「仕事の完成」を目的としない契約は、そもそも印紙税法別表第一に掲げられておらず、課税文書に当たらない(不課税)ため第7号文書の範囲から明文で除かれているため(ただし清掃・設備管理など請負業務を含む契約は、第2号文書として課税されることがあります)契約金額1万円未満の第2号文書は非課税とされているため

※根拠は印紙税法・国税庁タックスアンサーにもとづきます。各ケースの詳細は本文で解説します。

ポイントは、これらの条件が「契約書の実質的な内容」によって決まることです。印紙税の課税対象になるかどうかは、文書の名称ではなく、記載されている内容から判断されます。

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

出典:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

そのため、「管理委託契約書」という名称であっても、委任・準委任にとどまる内容であれば別表第一に掲げられた文書に当たらず、そもそも課税文書にならないため、印紙は不要です。お手元の契約書がどちらに当たるかは、次の章の見分け方で確認できます。

出典・参考資料(3件)

収入印紙が「必要」になるのはどんな場合か(第2号・第7号の見分け)

ここからは、不要の条件に当てはまらず印紙が必要になる場合について、その見分け方を解説します。管理委託契約書が課税文書になるのは、主に請負契約書(第2号文書)または継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に当たるときです。

管理委託契約書の印紙の課税判定フロー。締結方法が電子契約なら電磁的記録は課税文書に当たらず印紙不要。紙の契約書で、業務が委任・準委任(事務の委託)のみなら不課税で印紙不要。清掃・設備の保守など「仕事の完成」を伴う業務を含む場合は請負契約書(第2号文書)として課税され、混合契約も印紙税法上は請負として扱われる。営業者間の継続的取引の基本契約に当たる場合は第7号文書で一律4,000円。

第2号文書(請負)か第7号文書(継続的取引の基本)かの見分け

第2号文書となる請負は、仕事の完成とその報酬が対価の関係にある契約です。民法第632条は、請負を「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約と定めています。清掃や設備の保守・点検、修繕のように「仕事の完成」を目的とする業務は、この請負に当たります。

これに対して、委任・準委任は事務の委託を目的とし、仕事の完成までは約束しない契約です。民法第643条・第656条が定めるこの類型は、純粋な委任・準委任にとどまる限り、請負(第2号)にも継続的取引の基本契約(第7号)にも当たらず、課税文書になりません。

一方、第7号文書は、営業者間で継続的に生じる複数の取引について、基本的な取引条件をあらかじめ定める契約書です。管理委託契約が「継続的取引の基本契約」としての性格を持つ場合は、第7号文書に当たることがあります。ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないものは第7号文書から除かれます。

出典・参考資料(2件)

マンション標準管理委託契約書での判定(混合契約は印紙税法上「請負」)

マンションの管理委託では、業務の内訳によって判定が変わります。国土交通省が示す「マンション標準管理委託契約書」の第3条は、管理事務の内容を次の4つの業務に区分しています。

第3条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第1から第4に定めるところにより実施する。一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)二 管理員業務(別表第2に掲げる業務)三 清掃業務(別表第3に掲げる業務)四 建物・設備管理業務(別表第4に掲げる業務)

出典:マンション標準管理委託契約書 第3条(管理事務の内容及び実施方法)|国土交通省

このうち、出納や運営の補助などの事務管理業務は事務の委託(準委任)としての性格が強く、清掃業務や建物・設備管理業務は「仕事の完成」を伴う請負としての性格を持ちます。このように、1通の契約書に委任的な業務と請負的な業務が混在する「混合契約」になりやすいのが、マンション管理委託契約の特徴です。

では混合契約はどう扱われるのか。国税庁は、請負の事項とその他の事項が併記・混然一体となった契約書は、印紙税法上は請負契約に該当すると整理しています。

印紙税法では、通則2において、一の文書で1若しくは2以上の号に掲げる事項とその他の事項が併記又は混合記載されているものは、それぞれの号に該当する文書とすると規定されています。このように一部の請負の事項が併記された契約書又は請負とその他の事項が混然一体として記載された契約書は、印紙税法上、請負契約に該当することになり、民法上、例えば、委任契約に近いといわれる混合契約であっても、印紙税法上は請負契約となるものも生ずることになります。

出典:請負の意義(質疑応答事例・印紙税)|国税庁

したがって、清掃や設備管理といった請負に当たる業務が含まれるマンション管理委託契約書は、全体として請負契約書(第2号文書)として課税される場合が多くなります。逆に、出納・会計や運営補助といった事務管理だけを委託する契約で、仕事の完成を伴う業務を含まないのであれば、課税文書に当たらないと整理できます。

賃貸物件の管理委託(業務委託契約書を含む)も、入居者対応や家賃収納といった事務の委託だけか、清掃・設備保守などの請負を含むかという同じ観点で判定します。判断に迷う場合は、契約書の業務範囲をもとに、税理士など専門家や所轄の税務署に確認すると確実です。

出典・参考資料(2件)

管理委託契約書の印紙税はいくらか(段階税額表)

印紙が必要と分かったら、次は税額です。請負契約書(第2号文書)として課税される場合、印紙税額は契約金額に応じて段階的に決まります。国税庁が公表する一覧にもとづく税額は次のとおりです。

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第2号文書(請負)の印紙税額(1通あたり)1万円未満1万円以上 100万円以下100万円超 200万円以下200万円超 300万円以下300万円超 500万円以下500万円超 1,000万円以下1,000万円超 5,000万円以下5,000万円超 1億円以下1億円超 5億円以下5億円超 10億円以下10億円超 50億円以下50億円超契約金額の記載のないもの
印紙税額(1通あたり)非課税200円400円1,000円2,000円10,000円20,000円60,000円100,000円200,000円400,000円600,000円200円

※国税庁「印紙税額の一覧表(その1)」No.7140/No.7102にもとづきます。

管理委託契約書では、月額の管理委託費だけを定め、契約全体の金額を計算できない形になっていることがよくあります。この場合は「契約金額の記載のないもの」として、第2号文書なら印紙税額は200円です。

一方、継続的取引の基本契約(第7号文書)に当たる場合は、契約金額にかかわらず一律4,000円です。ただし第7号文書(売買・請負などの継続的取引の基本契約)は営業者間の契約が対象のため、営業者ではないマンション管理組合と管理会社の契約は、原則として第7号文書には当たりません。

これらを踏まえると、実務でよくあるマンション管理組合との管理委託契約は、清掃や設備管理など請負に当たる業務を含むため第2号文書として扱われ、報酬が月額のみで契約全体の金額を計算できない場合は「契約金額の記載のないもの」として200円になるのが一般的です。

賃貸物件でオーナーが事業者(営業者)の場合は、継続的取引の基本契約として第7号文書に当たり4,000円となることもあります。1通の契約書が第2号文書と第7号文書のどちらにも当てはまるときは、印紙税法の通則によって所属が決まります。

契約金額が記載された建設工事の請負契約書には印紙税額の軽減措置がありますが、これは建設工事の請負契約書に限った措置です。管理事務の委託である管理委託契約書は一般に建設工事の請負に当たらないため、軽減措置の対象にはなりません。

出典・参考資料(3件)

大規模修繕など「仕事の完成」を伴う工事を請負契約書で別途発注する場合は、印紙税額の決まり方や、ここで触れた建設工事の軽減措置の扱いが管理委託契約書とは変わってきます。工事の請負契約書にかかる印紙については、契約金額ごとの税額一覧や軽減措置とあわせて以下の記事で解説しています。

印紙税は管理組合と管理会社のどちらが負担するか

管理委託契約書に印紙が必要な場合、その費用を管理組合と管理会社のどちらが負担するのかは、よく争点になります。法律上の原則と実務上の慣行を分けて理解しておくと、契約時のトラブルを避けられます。

法律上の原則は共同作成者の連帯納税

印紙税法は、課税文書の作成者に納税義務があり、1つの文書を2者以上が共同して作成した場合は連帯して納税義務を負うと定めています。

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。

出典:印紙税法 第3条(納税義務者)|e-Gov法令検索

管理委託契約書を管理組合と管理会社が共同で作成した場合、両者は連帯して納税義務を負います。したがって、契約書で「管理会社が負担する」と定めても、税法上の義務が一方だけに限定されるわけではなく、どちらに対しても納付を求めうるのが原則です。

実務は折半か管理会社負担——契約書への負担者明記でトラブルを防ぐ

実務上は、当事者間の合意で負担の内訳を決めるのが一般的です。契約書を2通作成して各自が1通分の印紙代を負担する、折半する、あるいは管理会社がまとめて負担するなど、取り扱いは契約当事者の取り決めによります。これは法律上の原則ではなく当事者間の慣行であるため、原則と区別して理解しておく必要があります。

後の認識違いを避けるには、印紙税の負担者を契約書に明記しておくのが確実です。たとえば「本契約書に貼付する収入印紙は、甲及び乙が各自の保有する契約書について負担する」といった条項を置けば、どちらがどの分を負担するかが契約上はっきりします。連帯納税という法律上の原則は残りますが、当事者間での負担の取り決めを文書化しておくことで、実務上のやり取りをスムーズにできます。

出典・参考資料(1件)

収入印紙を貼り忘れたらどうなるか(過怠税)

印紙が必要な契約書に収入印紙を貼らなかった場合、本来の印紙税額だけでなく、過怠税というペナルティが課されます。印紙税法第20条は、納付すべき印紙税を文書の作成時までに納めなかったときは、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり本来の税額の3倍を過怠税として徴収すると定めています。

ただし、税務調査で指摘される前に自ら納付していない旨を申し出た場合は軽減されます。この場合の過怠税は、本来の印紙税額に、その10%を加えた金額、つまり本来の税額の1.1倍にとどまります。貼り忘れに気づいたら、早めに自主的に申し出るほうが負担は小さくなります。

収入印紙を貼っていなくても、契約そのものが無効になるわけではありません。印紙税は文書の作成に対して課される税であり、貼り忘れは税法上のペナルティ(過怠税)の問題にとどまります。契約の私法上の効力とは別の問題として整理されています。

出典・参考資料(1件)

契約更新時の収入印紙はどうなるか(見落としやすい注意点)

管理委託契約は、1年ごとなど定期的に更新されることが多く、更新時の印紙税は見落とされがちです。更新のたびに新しい契約書を作成すれば、その契約書が課税文書に当たる限り、その都度印紙税が必要になります。

とくに注意したいのが、第7号文書(継続的取引の基本契約)に当たる契約です。第7号文書から除かれるのは「契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないもの」に限られます。契約書に自動更新の条項がある場合は「更新の定めがある」ことになり、この除外には当てはまりません。更新の定めの有無が、第7号文書に該当するかどうかを左右する点に注意が必要です。

更新時に、金額や期間などの契約内容を変更する覚書・変更契約書を別に作成する場合も、その文書が課税事項を含むと新たな課税文書として印紙税の対象になりえます。更新のたびに紙の契約書や覚書を交わす運用では、印紙代と貼付・消印の手間がそのつど発生します。この負担をまとめて解消する手段が、次に解説する電子契約です。

出典・参考資料(1件)
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電子契約なら管理委託契約書の印紙は不要にできる

印紙を確実に不要にできる方法が、管理委託契約を電子契約で締結することです。ここからは、なぜ電子契約だと印紙が不要になるのか、その根拠と、紙に戻してしまわないための注意点を解説します。

電子データは「課税文書」に当たらない

印紙税が課されるのは「文書」に対してです。印紙税法第2条は、別表第一の課税物件の欄に掲げる「文書」に印紙税を課すと定めており、課税の対象はあくまで紙の文書です。電磁的記録として作成・送信される電子契約は、この「文書」に当たらないため、課税対象になりません。この点は、政府の公式見解でも示されています。

事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

出典:参議院 第162回国会 答弁書第九号「印紙税に関する質問に対する答弁書」(平成17年3月15日)

国税庁の実際の取扱いでも、同じ考え方が示されています。福岡国税局の文書回答事例では、契約の成立を証する書面でも、現物を相手方に交付せず電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合は、課税文書を作成したことにはならないと回答されています。

注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、…課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

出典:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(文書回答事例)|福岡国税局

このように、管理委託契約を電子契約で締結し、紙の契約書を作成・交付しなければ、第2号文書であれ第7号文書であれ印紙税はかかりません。更新のたびに発生していた印紙代と手間も、電子化すればあわせて不要になります。

出典・参考資料(3件)

紙に出力して交付・署名すると課税に戻る

電子契約で印紙が不要になるのは、あくまで紙の現物を交付しないことが前提です。この点には注意が必要です。前出の文書回答事例でも、電子メールで送信した後に現物を別途交付した場合は、課税文書の作成に該当し印紙税が課されるとされています。

電子メールで送信した後に本注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。

出典:文書回答事例(電子送信後に現物を交付した場合の取扱い)|福岡国税局

電子契約の控えとして社内でPDFを印刷して保管するだけなら、相手方への現物交付には当たりません。しかし、印刷した契約書に署名・押印して相手方に渡したり、「原本と相違ない」旨を加えて交付したりすると、その紙の文書が課税文書になり印紙税が必要になります。電子で締結したら、締結後も紙の原本を交付しない運用を徹底することが大切です。

改正マンション管理適正化法が認めた書面の電磁的交付

マンション管理の実務では、法が交付を義務づける書面の電子化も進んでいます。マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、マンション管理業者が重要事項を記載した書面や契約成立時の書面を交付するにあたり、相手方の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法で提供できると定めています。

3 マンション管理業者は、第一項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該管理組合の管理者等又は当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を…情報通信の技術を利用する方法…により提供することができる。この場合において、当該マンション管理業者は、当該書面を交付したものとみなし…

出典:マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第73条第3項(契約の成立時の書面の交付)|e-Gov法令検索

この電磁的交付が認められているのは、重要事項説明書や契約成立時の書面といった、法が交付を義務づける書面です。管理委託契約書そのものの印紙が不要になる根拠は、前述のとおり文書課税の原則にありますが、関連する法定書面まで紙を介さず提供できるようになったことで、管理委託の手続き全体を電子で完結しやすくなっています。相手方(管理組合側)の承諾が要件となる点は押さえておきましょう。

出典・参考資料(1件)

管理委託契約を電子化できる電子契約サービス

紙のまま適切に印紙を貼って処理すれば、もちろん問題はありません。そのうえで、更新のたびの印紙代や貼付の手間を根本からなくしたい場合は、電子契約での締結が選択肢になります。電子契約で管理委託契約を締結すれば、印紙税は不要になります。

ここでは、管理委託契約の電子化に使える代表的な電子契約サービスを紹介します。いずれも契約書の送信から電子署名・保管までをオンラインで完結でき、紙の契約書を作らずに締結できます。

取引相手となる管理組合やオーナーに受け入れてもらいやすいかどうかも、サービス選びの大切な観点です。以下では、導入社数が多く、印紙税の扱いを公式に案内している2つのサービスを取り上げます。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサイン
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
署名方式立会人型(事業者署名型)が標準
当事者型(マイナンバーカード署名)にも対応
立会人型(契約印タイプ)・当事者型(実印タイプ)
ハイブリッド署名にも対応
印紙税の扱い(公式記載)電子契約は印紙税の課税対象外と公式メディアで解説電子契約は印紙税の課税対象外と公式FAQ・ヘルプ・ブログで明示
管理委託契約での特徴立会人型が標準で相手方の本人確認が不要。管理組合・オーナーに協力を求めやすい立会人型・当事者型を契約の重要度で選択。ハイブリッド署名で相手方の負担も抑えられる
料金の目安無料〜(有料プランは月額11,000円〜、税抜)
送信料220円/件(税抜)
無料〜(有料プランは月額8,800円〜、税抜・年間契約)
送信料100円/件〜(税抜・立会人型)
無料プランフリープランあり(1名・月2件まで)お試しフリープランあり(1ユーザー・月5件まで・契約印タイプのみ)
導入実績導入社数250万社以上
累計送信4,000万件超
導入350万社以上
累計送信5,000万件
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※各社公式情報による(2026年9月時点)。料金はいずれも税抜。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインのウェブサイト

弁護士ドットコム株式会社が運営するクラウドサインは、書類のアップロード・送信から電子署名・タイムスタンプの付与、契約書の保管・検索までをオンラインで完結できる電子契約サービスです。印刷・押印・郵送を不要にするため、管理委託契約を紙の契約書を作らずに締結でき、印紙税の対象になりません。

電子署名は、契約当事者の指示にもとづき同社の電子署名と認定タイムスタンプを付与する事業者署名型(立会人型)が標準です。認証局での本人確認が不要で、相手方の負担が小さいため、管理組合やオーナーに協力を求めやすいのが利点です。マイナンバーカードを用いて当事者自身が署名する当事者署名型にも対応しています。

公式サイトでは導入社数250万社以上、累計送信件数4,000万件超と案内されています(2026年9月時点の公式トップページ)。富士キメラ総研の調査(2024年度実績)では、電子契約ツール部門のシェア首位と表記しています。料金は、有料のLightプランが月額11,000円(税抜)から、契約送信は1件あたり220円(税抜)です。無料で試せるフリープランもあります。

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインのウェブサイト

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子印鑑GMOサインは、立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方の電子署名方式に対応したクラウド型の電子契約サービスです。両者を組み合わせたハイブリッド署名も利用でき、相手方や契約の重要度に応じて署名方式を選べます。

印紙税の扱いについては公式に明示しており、よくある質問やヘルプセンターで「電子データにより作成される電子契約は、印紙税の課税対象外です」と案内しています。政府見解にもとづいて電子契約で収入印紙が不要になる理由を公式に解説している点は、管理組合やオーナーへの説明材料にもなります。

公式サイトでは導入実績350万社以上、累計送信件数5,000万件と案内されています(2026年9月時点の公式サイト)。料金は、基本のライトプランが月額8,800円(税抜)から、送信料は契約印タイプで1件100円(税抜)です。月5件まで無料で使える「お試しフリープラン」もあります。契約書のテンプレート登録や承認ワークフローなど、締結前後の業務を支える機能も備えています。

ここで取り上げた2サービスのほかにも、電子契約システムは数多くあります。料金体系や署名方式、対応機能はサービスごとに差があるため、印紙税の削減だけでなく自社の契約業務全体に合う一社を選びたい方は、主要なサービスを横断して比較しておくと安心です。以下の記事では、料金とタイプ別の選び方を軸に電子契約システムを比較しています。

まとめ

管理委託契約書の収入印紙は、必ずしも必要とは限りません。電子契約で締結する、契約内容が委任・準委任にとどまる、継続的取引の基本契約で契約期間が3か月以内かつ更新の定めがない、契約金額が1万円未満である、といった条件に当てはまれば不要になります。

必要になるのは、清掃や設備管理など「仕事の完成」を伴う業務が含まれ、請負契約書(第2号文書)や継続的取引の基本契約書(第7号文書)に当たる場合です。税額は、第2号文書なら契約金額に応じた段階額(金額の記載がなければ200円)、第7号文書なら一律4,000円が目安になります。負担は法律上は共同作成者の連帯ですが、実務では当事者の取り決めによるため、契約書への明記が安心です。

印紙を確実に不要にできる手段は、電子契約での締結です。紙の契約書を作らなければ印紙税はかからず、更新のたびの印紙代や手間もなくせます。印紙代や契約手続きの負担を見直したい場合は、電子契約サービスの導入もあわせて検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 管理委託契約書には必ず収入印紙を貼らなければなりませんか?

A. 管理委託契約書は、必ずしも収入印紙が必要とは限りません。電子契約で締結する、契約内容が委任・準委任にとどまる、継続的取引の基本契約で契約期間が3か月以内かつ更新の定めがない、契約金額が1万円未満のいずれかに当てはまれば、収入印紙は不要です。

一方、清掃や設備の保守・修繕など「仕事の完成」を伴う請負業務を含む紙の契約書は、請負契約書(第2号文書)として課税対象になります。お手元の契約書がどちらに当たるかは、契約書の名称ではなく記載されている業務の実質的な内容で判断されます。

Q. 契約金額の記載がない管理委託契約書の印紙税はいくらですか?

A. 契約金額の記載がない管理委託契約書が請負契約書(第2号文書)に当たる場合、印紙税額は1通あたり200円です。月額の管理委託費だけを定め、契約全体の金額を計算できない契約書も、この「契約金額の記載のないもの」に当たります。ただし、継続的取引の基本契約書(第7号文書)に当たる場合は、金額の記載の有無にかかわらず一律4,000円です。

出典・参考資料(2件)

Q. 電子契約で締結した管理委託契約書にも収入印紙は必要ですか?

A. 電子契約で締結した管理委託契約書には、収入印紙は必要ありません。印紙税が課されるのは紙の「文書」に限られ、電磁的記録として作成・送信する電子契約は課税文書に当たらないためです。この点は国税庁の取扱いや政府の国会答弁でも示されています。ただし、電子契約の内容を紙に印刷して署名・押印し、相手方に現物を交付すると、その紙の文書が課税対象に戻る点に注意が必要です。

出典・参考資料(3件)

Q. 相手方が負担すると合意したのに収入印紙を貼ってくれない場合はどうなりますか?

A. 契約書で「管理会社が負担する」などと合意していても、印紙税法上は共同作成者が連帯して納税義務を負うため、税務署は管理組合・管理会社のどちらにも印紙税の納付を求めることができます。

相手が貼らない場合は、まず相手に履行を求め、応じなければ自ら納付したうえで、合意にもとづき負担分を請求するのが実務的な対応です。負担をめぐる認識違いを避けるには、どちらがどの分を負担するかを契約書に明記しておくと確実です。

出典・参考資料(1件)

Q. 管理委託契約書を2通作成する場合、収入印紙は両方に必要ですか?

A. 印紙税は課税文書1通ごとに課されるため、課税対象となる管理委託契約書の原本を2通作成する場合は、それぞれに収入印紙を貼る必要があります。管理組合と管理会社が各自1通ずつ保管する運用では、2通分の印紙税がかかります。一方、原本を1通だけ作成し、もう一方は単なる控え(コピー)とする方法であれば、印紙は1通分で済みます。印紙代を抑えたい場合は、作成する原本の通数を見直すことも有効です。

出典・参考資料(2件)

Q. 賃貸物件の管理委託契約書も印紙の扱いは同じですか?

A. 賃貸物件の管理委託契約書も、判定の考え方はマンション管理と同じで、「仕事の完成」を伴う請負業務を含むかどうかで収入印紙の要否が決まります。

入居者対応や家賃の収納・会計といった事務の委託(準委任)にとどまる契約であれば課税文書に当たらず、清掃や設備の保守など請負に当たる業務が併記されていれば、印紙税法上は請負契約書(第2号文書)として課税されます。契約書の名称が「業務委託契約書」でも、業務の中身で判断する点は変わりません。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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