「コンプライアンスをしっかりやってほしい」と任されたものの、実際に何をどこまで行う仕事なのか、輪郭がつかめないまま手探りで進めている担当者は少なくありません。社内規程の整備なのか、研修なのか、相談窓口の運用なのか——やるべきことが一目で見渡せないと、自社に体制を作ろうにも最初の一歩が踏み出せません。
コンプライアンス業務は、法令や社会規範の違反を未然に防ぐために、ルールづくりから教育、点検、相談対応、違反時の対処までを一貫して担う仕事です。扱う範囲が広いため、業務の全体像を6つの柱に分けて押さえると、自社に必要な取り組みが整理しやすくなります。
この記事では、コンプライアンス業務の具体的な仕事内容を6つに分けて解説し、よく混同される法務との違い、担当部署の決め方、ゼロから体制を作る進め方までを整理します。あわせて、自社だけでは回しきれない業務を外部の手段で補う選択肢にも触れ、自社の状況に合わせて体制を組み立てられる状態を目指します。
目次
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コンプライアンス業務とは
コンプライアンス業務とは、企業が法令や社会的なルールを守って活動できるよう、社内の仕組みを整え、運用し、違反を防ぐ一連の仕事を指します。「コンプライアンス」は日本語で「法令遵守」と訳されますが、実務で守るべき対象は法律だけにとどまりません。
就業規則や行動規範といった社内ルール、業界団体の自主規制、さらにはハラスメントの防止や公正な取引といった社会から期待される倫理まで、幅広い規範が対象になります。法律の条文に触れていなくても、社会の信頼を損なう行為は企業にとってのリスクになるため、コンプライアンス業務は「法律さえ守ればよい」という範囲よりも広く設計されます。
この「守るべき範囲の広さ」を押さえたうえで、次章から具体的な業務内容を順に見ていきます。日々の仕事に落とし込むと、取り組むべき作業は何なのかが見えてきます。
コンプライアンス業務の具体的な内容(6つの業務)
ここからは、コンプライアンス業務を構成する6つの業務について、それぞれ具体的に何をするのか(対象や頻度が決まるものはそれも添えて)を解説します。自社ですでに取り組めているもの、まだ手付かずのものを照らし合わせながら読み進めてください。

① 推進体制の整備
コンプライアンスを組織として機能させるための土台づくりです。具体的には、担当部署や責任者(コンプライアンス・オフィサーなど)を定め、経営層・各事業部門・人事・法務といった関係者の役割分担を決めます。誰が方針を決め、誰が現場に落とし込み、誰が点検するのかを明確にしておくと、問題が起きたときに対応の抜けが生じにくくなります。
体制づくりは一度作って終わりではなく、組織変更や事業拡大のたびに見直す対象です。経営トップが関与する姿勢を明確にすることが、全社に取り組みを浸透させる出発点になります。
② 社内規程・ルールの策定
行動規範(コード・オブ・コンダクト)や各種の社内規程を作り、改定していく業務です。コンプライアンス方針、ハラスメント防止規程、情報管理規程、贈答・接待に関するルールなど、自社の事業で起こりうるリスクに応じて必要な規程を整えます。
重要なのは、作った規程を現場が理解し、実際に守れる形にすることです。法改正や社会情勢の変化に合わせて内容を更新し、改定のたびに従業員へ周知する流れまでを含めて、継続的に運用します。
③ 教育・研修
従業員にコンプライアンスの知識と意識を定着させる業務です。ハラスメント、情報セキュリティ、インサイダー取引、下請法や独占禁止法といった取引ルールなど、職種や階層に応じたテーマで研修を実施します。新入社員研修や管理職研修に組み込むほか、年1回の全社研修や、違反事例が報じられたタイミングでの臨時研修といった形で、定期的・継続的に行うのが一般的です。
「知らなかった」ことによる違反を防ぐには、一度きりの実施では不十分で、繰り返し学べる仕組みが欠かせません。研修が形だけの受講になって定着しないという課題は多くの企業で見られるため、集合研修のほか、各自のペースで受講できるeラーニングを使い、受講状況を記録・管理する企業も増えています。
④ モニタリング・チェック(監査)
定めたルールが現場で守られているかを点検する業務です。各部門の業務プロセスを定期的に確認し、取引先の審査(反社会的勢力のチェックを含む)、契約内容の点検、内部監査などを通じて、違反やその兆候を早期に見つけます。問題を発見したら改善を促し、必要に応じてルール自体を見直します。
このモニタリングは、業務の適正を確保する「内部統制」の仕組みと密接に関わります。会社法では、大会社(資本金5億円以上、または負債の合計額が200億円以上の株式会社)に対して、業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の整備方針を取締役会などで決定することを求めています。
さらに上場会社等では、金融商品取引法にもとづき、財務報告の信頼性を確保するための内部統制報告書(いわゆるJ-SOX)の提出も義務づけられています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:会社法 第362条第4項第6号・第5項、第2条第6号|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
- 出典:金融商品取引法 第24条の4の4|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025)
モニタリングの一環として行う取引先の反社会的勢力のチェックは、専用のツールを使って効率化する方法もあります。実務での進め方や、使えるツールの選び方を詳しく知りたい方は『反社チェックツールおすすめ16選を比較』もあわせてご覧ください。
⑤ 相談・内部通報窓口の対応
従業員からの相談を受け付け、違反やその疑いの通報に対応する業務です。日常的な「これは問題ないか」という相談対応と、不正やハラスメントを知らせる内部通報窓口の運用が含まれます。通報を受けたら、通報者が不利益を受けないよう情報を適切に管理しながら、事実関係を調査し、是正につなげます。
内部通報への対応は、公益通報者保護法が事業者に求める取り組みでもあります。同法は、公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備などを事業者に求めており、消費者庁はその中身を次のように整理しています。
事業者(※)に、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備等(窓口設置、「従事者」の指定、内部規程の策定等)を義務付け
出典:公益通報者保護制度の概要|消費者庁
※ 常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については努力義務
この体制整備が義務となるのは、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者です。300人以下の事業者については努力義務とされているため、自社の規模に応じて「義務」か「努力義務」かが変わる点を押さえておくとよいでしょう。窓口設置や内部規程の策定など、整備すべき措置の具体的な内容は、消費者庁が定める指針に示されています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:公益通報者保護法 第11条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122)
- 参考資料:公益通報者保護制度(指針・指針の解説を含む)|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/)
⑥ 違反発生時の対応
実際に違反や不祥事が起きたときに、被害の拡大を抑え、再発を防ぐための業務です。事実関係を調査し、関係者の処分や監督官庁・取引先への報告、必要に応じた公表などを適切に行います。対応を誤ると、違反そのものよりも「隠した」「対応が遅れた」ことで信頼を大きく損なうため、初動の手順をあらかじめ決めておくことが重要です。
対応が一段落したら、なぜ違反が起きたのかという根本原因を突き止め、再発防止策に反映します。この振り返りの結果が、①の体制や②の規程、③の研修内容の見直しにつながり、コンプライアンス業務全体が一つのサイクルとして回っていきます。
コンプライアンスと法務の違い
コンプライアンス業務を整理すると、「それは法務部の仕事では」という疑問が出てきます。両者は重なる部分もありますが、役割の焦点が異なります。大まかにいえば、法務が個別の案件に対応するのに対し、コンプライアンスは全社の仕組みづくりと運用を担います。
| 分野 / 観点 | 法務 | コンプライアンス |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 法律・契約などの法的な論点 | 法令に加え、社内規程・企業倫理・社会規範まで |
| 目的 | 個別の取引・紛争で会社の法的リスクを処理する | 違反が起きにくい全社の仕組みを作り、運用する |
| アプローチ | 案件ごとの個別対応(契約審査・紛争対応など) | 体制・規程・研修・監視による予防と全社浸透 |
| 主な業務 | 契約書の作成・審査、訴訟・紛争対応、法律相談 | 規程策定、研修、モニタリング、内部通報対応 |
両者は対立するものではなく、補い合う関係にあります。法務が個別案件で見つけたリスクをコンプライアンスが全社ルールに反映したり、コンプライアンスが整えた体制のもとで法務が専門的な判断を下したりと、連携することで会社全体のリスク管理が強くなります。そのため、企業によっては両方の機能を一つの部署が担うことも珍しくありません。
コンプライアンス業務の担当部署(規模別の場合分け)
コンプライアンス業務を誰が担うかは、会社の規模や体制によって変わります。「必ずこの部署が担当する」という決まりはなく、自社の実情に合わせて配置するのが一般的です。おおよその傾向を整理すると、次のように分かれます。
- 規模の大きい企業・上場企業:コンプライアンス専門の部署(コンプライアンス部・法務コンプライアンス部など)や、統括する責任者(コンプライアンス・オフィサー、CCO)を置くことが多い傾向です。内部監査部門と連携し、全社の取り組みを主導します。
- 中小・中堅企業:専任部署を置かず、法務部門や総務部門、管理部門がコンプライアンス業務を兼任するケースが多く見られます。少人数で幅広い業務を担うため、どこまでを内製し、どこを外部に任せるかの線引きが課題になりやすい段階です。
どの体制を取るにせよ、コンプライアンスは一部署だけで完結する業務ではありません。人事・情報システム・各事業部門・経営層がそれぞれの役割を果たして初めて機能するため、担当部署には「全社を横断して調整する」役割が求められます。
コンプライアンス体制の作り方・進め方
ここからは、自社でコンプライアンス体制をゼロから作り、運用していく進め方を手順に沿って解説します。一度に完璧な体制を目指すのではなく、小さく始めて改善を重ねる前提で読んでください。
- 方針の策定とトップの関与:経営トップがコンプライアンスを重視する姿勢を明確にし、基本方針を示します。ここが曖昧だと、現場の取り組みも形だけになりがちです。
- 推進体制の整備:担当部署・責任者を決め、関係部門の役割分担を定めます(業務①)。
- リスクの洗い出しと規程の策定:自社の事業で起こりうる違反リスクを洗い出し、優先度の高いものから社内規程・ルールを整えます(業務②)。
- 教育・研修による浸透:策定したルールを従業員に周知し、研修で理解を定着させます(業務③)。
- 相談・通報窓口の設置:疑問や違反を早期に把握できるよう、相談先と内部通報窓口を用意します(業務⑤)。
- モニタリングと違反時の対応:ルールが守られているかを点検し、問題が起きたときの対応手順を整えておきます(業務④・⑥)。
- 定期的な見直し:運用状況や違反事例、法改正を踏まえて、方針・規程・研修を更新します。この繰り返しが体制を機能させ続ける鍵です。
この流れは、方針を決めて(Plan)、実行し(Do)、点検して(Check)、見直す(Act)というPDCAの形になっています。最初から全てを完璧に整える必要はなく、自社のリスクが高い領域から着手し、運用しながら育てていく進め方が現実的です。
コンプライアンス担当者に求められるスキル・知識
コンプライアンス業務を担うには、特定の分野に偏らない幅広い力が求められます。代表的なものを挙げると、次のような知識・スキルが土台になります。
- 法令・規範を理解し、調べる力:自社に関わる法律や業界ルールを押さえ、改正や新しい規制を継続的にキャッチアップします。すべてを暗記する必要はなく、必要なときに正確な情報へたどり着ける調査力が重要です。
- リスクを見つける力:自社の事業のどこに違反リスクが潜むかを、多角的な視点で見抜く力が求められます。
- コミュニケーション力:経営層から現場まで、立場の異なる人にルールの必要性を伝え、協力を引き出す力が欠かせません。コンプライアンスは全社を横断する業務のため、調整力が成果を左右します。
- 自社の事業への理解:現場の実態を踏まえずにルールを作ると、守られない規程になります。自社のビジネスを深く理解していることが、実効性のある施策につながります。
資格は必要か
コンプライアンス業務に就くために必須となる国家資格はありません。多くの担当者は、実務を通じて必要な知識を身につけています。そのうえで、体系的に学んだことを示したい場合には、認定コンプライアンス・オフィサーやビジネスコンプライアンス検定、個人情報保護士といった民間資格が役立つことがあります。
資格はあくまで知識を補強する手段であり、「資格がないと担当できない」というものではありません。まずは自社のリスクと業務の全体像を理解することを優先し、必要に応じて学習の指針として活用するとよいでしょう。
コンプライアンス違反が招くリスク
コンプライアンス業務に手間をかける理由は、違反が起きたときの損失が大きいからです。違反が発覚すると、行政処分や罰則、取引先からの契約打ち切り、損害賠償といった直接的な損失に加え、社会的な信用の低下やブランドイメージの毀損、従業員の離職といった形で、長く尾を引く影響が生じます。
こうしたリスクは、日頃の体制整備と教育によって大きく減らせます。違反を「起きてから対応する」のではなく「起きにくくする」ことが、コンプライアンス業務の本質です。
代表的なコンプライアンス違反の類型
企業で起こりうる違反は多岐にわたりますが、代表的な類型を押さえておくと、自社でどこに注意すべきかが見えてきます。
- 労務関連:長時間労働、残業代の未払い、各種ハラスメントなど、働く環境に関わる違反。是正勧告や未払い分の支払い、従業員の離職や採用難につながります。
- 情報管理:個人情報や顧客情報の漏えい、情報の不正利用。損害賠償や顧客離れ、監督官庁への報告義務が生じることがあります。
- 取引・競争:下請事業者への不当な扱い、談合やカルテル、優越的地位の濫用など。課徴金や行政処分、取引先からの信頼低下を招きます。
- 会計・財務:粉飾決算、経費の不正利用、インサイダー取引。上場廃止や課徴金、関係者の刑事責任に発展することもあります。
- 品質・表示:データの改ざん、産地や性能の偽装、景品表示法に反する不当表示。製品回収や措置命令・課徴金、ブランド毀損につながります。
どの類型も、ルールの整備・教育・点検という日常の取り組みで予防できる余地があります。自社の事業に照らして起こりやすい類型を見極め、重点的に対策を講じることが有効です。
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コンプライアンス業務を効率化・外部に委ねる方法
ここまで見てきたように、コンプライアンス業務は範囲が広く、専任者が少ない企業ではすべてを自前で回しきるのは簡単ではありません。そこで、業務の一部を外部のサービスで補い、担当者の負担を減らす選択肢があります。特に、専門知識や継続的な運用が求められる「教育・研修」と「規程整備・法務相談」は、外部の手段と相性のよい領域です。
自社で回す部分と外部に任せる部分を切り分けると、限られた人員でも業務を継続しやすくなります。ここでは、業務領域ごとの代表的な手段として、教育・研修と規程整備・法務相談の2つを紹介します。同じ領域でさらに選択肢を比べたい場合の進み先もあわせて示します。
| サービス名 | OneCompliance(ワンコンプライアンス) | CLOUD LEGAL(クラウドリーガル) |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社Oyster | MOLTON株式会社 |
| 対応する業務領域 | 教育・研修(コンプライアンスeラーニング) | 規程整備・契約・法務相談(法務アウトソーシング) |
| 提供形態 | eラーニング(クラウド) | 法務BPaaS(AI+弁護士) |
| 主な機能 | コンプライアンス特化の研修コンテンツ 受講進捗のダッシュボード管理 自動リマインド・CSV出力 独自コース配信・社内規程の共有 | 契約書の作成・AIレビュー 法務・労務相談(弁護士対応) 電子契約・契約管理 上位プランで社内規程整備・内部通報窓口なども対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 0円 |
| 月額費用 | 受講者数に応じた従量課金(要問い合わせ) | 11,000円〜(税込・ブロンズプラン) |
| 無料トライアル | あり | なし |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
OneCompliance(ワンコンプライアンス)
教育・研修の業務を効率化したい場合の選択肢が、コンプライアンス領域に特化したeラーニング「OneCompliance」です。株式会社Oysterが運営し、法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティなどの分野を横断する研修コンテンツを、動画とテキストの両方で受講できます。

1コンテンツ数分のマイクロラーニング形式で、PC・スマートフォンのどちらからでも受講できます。管理者向けには、受講者ごとの進捗をダッシュボードで一元管理できます。未受講者への自動リマインド、受講状況のCSV出力、自社独自コースの配信、就業規則など社内規程の共有といった、運用の手間を抑える機能も用意されています。コンプライアンスに絞ることで、必要な領域のコンテンツを厚く揃えている点が特徴です。
料金は受講者数に応じた課金体系で、具体的な金額は問い合わせでの確認が必要です。無料トライアルが用意されているため、まずは資料で内容を確かめるところから始められます。
提供元の株式会社Oysterは、研修を継続的に提供する形にした狙いを次のように説明しています。

悪意があって違反するケースもゼロではない一方で、「知らなかった」ことで問題が起きる場面も現実にあります。だからこそ、知識と意識をしっかり学べる場を、継続的に提供したいと思ってサービスを作ってきました。
OneCompliance のほかにも、コンプライアンス研修に使えるeラーニングは数多くあります。教材に含まれるテーマや料金、受講状況の管理機能を横並びで比較して自社に合うものを選びたい場合は、次の記事で主要サービスを詳しく解説しています。
コンプライアンス研修eラーニングおすすめ比較29選!料金・教材テーマ・選び方を解説
コンプライアンス研修を全社員に行き渡らせたいのに、集合研修では日程調整や会場手配が追いつかず、受講記録の管理も煩雑になっていませんか。ハラスメント防止や情報セキュリティ、個人情報保護など扱うべきテーマは年々増え、法改正のたびに教材を作り直す…
CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)
MOLTON株式会社が運営する「CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)」は、生成AIと弁護士の体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービスです。契約書の作成・レビュー、法務・労務相談などをオンラインで利用でき、規程の整備や法務相談を外部に委ねたい場合の受け皿になります。

弁護士監修のひな形をもとに、質問に答える形で契約書を作成し、そのままレビューや電子署名での締結まで進められる設計です。初期費用は0円で、月額11,000円(税込)から利用できるプランが用意されています。上位プランでは、社内規程の整備や株主総会・取締役会のサポート、内部通報窓口といった、体制づくりに関わる業務まで対応の範囲が広がります。
社内に法務の専任者を置くほどではないものの、規程整備や契約まわりで専門的な判断を仰ぎたい、という企業に向いた手段です。対応範囲や料金の詳細は、資料や問い合わせで確認するとよいでしょう。
提供元のMOLTON株式会社は、中小企業や個人事業主が置かれた法務体制の実情を次のように話しています。

日本の産業を下支えし多くを占める個人事業主や中小企業だと「法務部がない」「法務専任担当者がいない」さらにはコスト面で「顧問弁護士もいない」という状況がまだまだ多いです。では顧問弁護士に全部お願いすればいいかというと、正直コスト面の壁もあって、なかなか現実的に難しいです。さらに人材不足の影響で、専門人材である法務人材の採用も難しくなっています。結果として、現状維持でリスクは無い前提としてなんとなく運用してしまっている企業も少なくないと思っています。
まとめ
コンプライアンス業務は、「推進体制の整備」「社内規程・ルールの策定」「教育・研修」「モニタリング・チェック」「相談・内部通報窓口の対応」「違反発生時の対応」という6つの業務で構成されます。法務が個別案件に対応するのに対し、コンプライアンスは全社の仕組みづくりと運用を担う点が役割の違いです。
担当部署は企業規模によって専任部署から兼任までさまざまですが、いずれの場合も全社を横断して調整する役割が求められます。体制づくりは、方針策定から見直しまでをPDCAで回し、自社のリスクが高い領域から着手するのが現実的です。すべてを自前で抱え込まず、教育・研修や規程整備といった専門性の高い業務は外部の手段も活用しながら、自社に合った形で継続できる体制を整えてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. コンプライアンス業務とは何ですか?
A. コンプライアンス業務とは、企業が法令や社会的なルールを守って活動できるよう、社内の仕組みを整え、運用し、違反を防ぐ一連の仕事です。守る対象は法律だけでなく、就業規則などの社内ルール、業界の自主規制、ハラスメント防止や公正な取引といった社会から期待される倫理まで幅広く含みます。
具体的には、「推進体制の整備」「社内規程・ルールの策定」「教育・研修」「モニタリング・チェック」「相談・内部通報窓口の対応」「違反発生時の対応」という6つの業務で構成されます。
Q. コンプライアンスと法務の仕事は何が違うのですか?
A. コンプライアンスと法務の違いは、法務が契約審査や紛争対応といった個別案件を処理するのに対し、コンプライアンスは違反が起きにくい全社の仕組みを作って運用する点にあります。扱う対象も、法務が法律・契約などの法的な論点に絞られるのに対し、コンプライアンスは法令に加えて社内規程・企業倫理・社会規範まで広く対象にします。
両者は対立するものではなく補い合う関係で、企業によっては一つの部署が両方の機能を担うこともあります。
Q. 中小企業でもコンプライアンスの専任担当者は必要ですか?
A. 中小企業では、コンプライアンスの専任担当者や専門部署を必ず置かなければならないわけではなく、法務・総務・管理部門が兼任する形が一般的です。専任部署や責任者(コンプライアンス・オフィサー)を設けるのは規模の大きい企業や上場企業に多く、中小・中堅企業では少人数で幅広く担うため、どこまでを内製し、どこを外部に任せるかの線引きが実務上の課題になります。
専任の有無にかかわらず、経営層や各部門と横断的に連携できる体制を整えることが重要です。
Q. コンプライアンス体制づくりは何から始めればよいですか?
A. コンプライアンス体制づくりは、経営トップが方針を示したうえで、推進体制の整備と自社のリスクの洗い出しから始めるのが基本です。最初から完璧な体制を目指す必要はなく、方針策定→体制整備→規程策定→教育・研修→相談・通報窓口の設置→モニタリングと違反時の対応→定期的な見直し、という流れをPDCAで回します。自社のリスクが高い領域から優先的に着手し、運用しながら改善を重ねる進め方が現実的です。
Q. 内部通報窓口の設置は、すべての企業に義務づけられていますか?
A. 内部通報窓口の設置をはじめとする体制整備が義務づけられるのは、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者で、300人以下の事業者は努力義務です。これは公益通報者保護法にもとづくもので、窓口の設置のほか、対応する従事者の指定や内部規程の策定などが求められます。
自社の規模に応じて「義務」か「努力義務」かが変わる点を押さえ、整備すべき措置の具体的な内容は消費者庁が定める指針を確認するとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
- 出典:公益通報者保護法 第11条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122)
Q. コンプライアンス業務は、どこまで外部に委ねられますか?
A. コンプライアンス業務のうち、専門知識や継続的な運用が求められる「教育・研修」や「規程整備・法務相談」は、外部のサービスで補いやすい領域です。一方で、自社のリスクの把握や方針の決定、違反発生時の最終的な判断は、社内に残すべき中核的な業務です。自社で回す部分と外部に任せる部分を切り分けると、専任者が少ない企業でも、限られた人員で業務を継続しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















